説明

容器の搬送装置

【課題】所定の搬出位置からこの搬出位置から搬出すべき容器を確実に搬出することが可能な容器の搬送装置を提供する。
【解決手段】検査装置200の検査結果に基づいて壜BTを不良品搬出位置P2又は良品搬出位置P3から搬出する搬送装置1において、ポケットとポケットに取り込んだ壜BTを保持する保持状態及びこの保持を解除する解除状態に切り替え可能なチャック装置5とを有し、ポケットを搬入位置P1から不良搬出位置P2を経由して良品搬出位置P3まで搬送するホイールと、搬入位置P1と不良品搬出位置P2との間の解除位置P4にてチャック装置5を解除状態に切り替える保持解除部80と、解除位置P4から不良品搬出位置P2まで壜BTを案内する搬送ガイド90と、壜BTが良品と判断された場合に解除位置P4から不良品搬出位置P2に至る間でチャック装置5を保持状態に切り替える状態切替機構70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壜などの容器の良否を検査し、この検査結果に基づいて容器を良品又は不良品に選別する容器検査装置などに組み込まれる容器の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壜の検査装置などに組み込まれる搬送装置として、壜などが取り込まれるポケットが外周に一定のピッチで多数設けられたスターホイールを回転させつつ各ポケットに取り込まれた壜の保持及び保持の解除を切り替え、スターホイールの回転経路上に複数設定された搬出位置から選択的に壜を搬出するスターホイール装置が知られている。また、このようなスターホイール装置に壜の保持手段として壜を掴むことが可能なチャック爪を有するチャック装置が設けられ、搬出位置にて壜を掴んでいたチャック爪を開かせてこの搬出位置から搬出すべき壜を搬出させる装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−217427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置では、チャック爪の作動不良などによりチャック爪が開かなかった場合、チャック爪による容器の保持が解除されず、所定の搬出位置からこの搬出位置から搬出すべき容器が搬出されないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、所定の搬出位置からこの搬出位置から搬出すべき容器を確実に搬出することが可能な容器の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器の搬送装置は、検査装置(200、201、202)にて検査された容器(BT)を前記検査装置の検査結果に基づいて不良品搬出位置(P2、P12、P13)又は良品搬出位置(P3、P14)から選択的に搬出する容器の搬送装置(1)において、容器を取り込む取り込み部(13)と、前記取り込み部に取り込んだ容器を保持する保持状態及び容器の保持を解除する解除状態に切り替え可能な保持手段(5)と、を有し、前記取り込み部を容器の搬入位置(P1、P11)から前記不良搬出位置を経由して前記良品搬出位置まで搬送する搬送手段(6)と、前記搬入位置と前記不良品搬出位置との間の解除位置(P4、P15)にて前記保持手段を前記保持状態から前記解除状態に切り替える保持解除手段(80)と、前記解除位置から前記不良品搬出位置まで前記取り込み部に取り込まれた状態で容器を案内するガイド手段(90、92、93)と、前記検査装置にて容器が良品と判断された場合に前記解除位置から前記不良品搬出位置に至る間で前記保持手段を前記解除状態から前記保持状態に切り替える状態切替手段(70、70A、70B)と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の容器の搬送装置によれば、搬入位置と不良品搬出位置との間の解除位置において保持解除手段により保持手段が解除状態に切り替えられるので、搬送手段により搬送される全ての容器の保持がこの解除位置にて解除される。その後、検査装置にて容器が良品と判断された場合は状態切替手段によって保持手段が保持状態に切り替えられるので、不良品搬出位置からは保持手段にて保持されなかった容器が全て搬出される。すなわち、この搬送装置では、保持手段を保持状態に切り替えるように状態切替手段が動作し、かつ保持手段が正常に動作して解除状態から保持状態に切り替わらない限り、容器は不良品搬出位置から搬出される。そのため、保持手段が動作不良を起こした場合や検査装置の判断が状態切替手段に入力されなかった場合でも不良品搬出位置から不良品を確実に搬出でき、良品搬出位置からの不良品の搬出を防止できる。
【0008】
本発明の搬送装置の一形態において、前記保持手段は、前記保持状態及び前記解除状態に切り替え可能な容器保持機構(11)と、操作部(22)を有し、外部から前記操作部への操作を受けて前記容器保持機構を前記保持状態と前記解除状態との間で切り替える駆動機構(12)と、を備え、前記保持解除手段として前記容器保持機構が前記保持状態から前記解除状態に切り替わるように前記駆動機構の前記操作部を操作する操作部材(81)が前記解除位置に搬送された前記保持手段の前記操作部と接触する位置に固定されていてもよい。このように操作部材を設けることで、解除位置において容器保持機構を確実に解除状態に切り替えることができる。また、保持手段の操作部と操作部材とを接触させて機械的に容器保持機構の状態を切り替えるので、容器保持機構の切り替え操作を確実に実施することができる。そのため、その後状態切替手段により保持手段が保持状態に切り替えられない限り、容器を不良品搬出位置から確実に搬出することができる。従って、不良品搬出位置から不良品を確実に搬出させ、良品搬出位置からの不良品の搬出を防止できる。
【0009】
この形態において、前記状態切替手段は、前記容器保持機構が前記解除状態から前記保持状態に切り替わるように前記駆動機構の前記操作部を操作する作用位置と前記容器保持機構が前記解除状態に維持される待機位置とに移動可能な可動部(71、71A、71B)と、前記可動部を前記作用位置と前記待機位置との間で駆動するアクチュエータ(72)と、を備えていてもよい。この場合、可動部をアクチュエータにより駆動することで、保持手段を選択的に保持状態に切り替えることができる。そのため、良品搬出位置から搬出すべき容器のみを保持手段に再度保持させることができる。なお、アクチュエータの動作不良などにより可動部が作用位置に駆動されない場合は保持手段が解除状態を維持するので、容器は不良品搬出位置から搬出される。そのため、アクチュエータの動作不良などが発生しても容器を不良品搬出位置から搬出させることができるので、良品搬出位置からの不良品の搬出を防止できる。
【0010】
また、この形態の搬送装置は、前記検査装置にて容器が良品と判断された場合は前記可動部が前記作用位置に駆動され、前記検査装置にて容器が不良品と判断された場合は前記可動部が前記待機位置に駆動されるように前記アクチュエータの動作を制御する動作制御手段(100)を備えていてもよい。このようにアクチュエータを駆動させることで、良品と判断された容器のみを保持手段に再度保持させ、この容器を良品搬出位置から搬出することができる。一方、容器が不良品と判断された場合は保持手段が解除状態に維持されるので、この容器は不良品搬出位置から搬出される。
【0011】
本発明の搬送装置の一形態において、前記ガイド手段は、前記取り込み部に取り込まれた状態の容器の外面と接触する位置に前記取り込み部の搬送経路に沿って配置されるガイド面(90a、92a、93a)を備えていてもよい。この場合、保持手段が容器を保持していなくても容器の外面がガイド面に接触するので、取り込み部からの容器の飛び出しを防止し、容器を取り込み部に取り込まれた状態に維持できる。そのため、状態切替手段により保持手段が保持状態に切り替えられた場合、保持手段により容器を再度保持することができる。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明の容器の搬送装置によれば、不良品搬出位置から不良品を確実に搬出し、良品搬出位置への不良品の搬送を防止できる。そのため、良品ラインへの不良品の搬出を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の形態]
図1は、本発明が適用された壜搬送用のスターホイール装置の平面図である。スターホイール装置1は、壜(容器)BTを検査するための検査装置の出口側スターホイール装置として構成されており、検査中の壜BTを保持する別のスターホイール装置2から搬入位置P1にて壜BTを受け取って不良品搬出位置P2又は良品搬出位置P3から不良品コンベア3又は良品コンベア4に選択的に送り出すように構成されている。スターホイール装置1の外周には、壜BTを取り込む取り込み部としてのポケット13及び保持手段としてのチャック装置5が周方向に一定のピッチでそれぞれ多数並べて設けられている。なお、図1では、これら複数のチャック装置5の一部のみを示している。ポケット13及びチャック装置5は、スターホイール装置1のホイールの外周にそれぞれ固定されている。ホイール6は不図示の駆動装置により図1のホイール中心Cwを中心として図1に矢印Rで示した所定の回転方向に旋回駆動される。従って、ポケット13及びチャック装置5もホイール6とともにホイール中心Cwの周りに回転駆動され、ホイール6により搬入位置P1から不良品搬出位置P2を経由して良品搬出位置P3に搬送される。そのため、ホイール6は本発明の搬送手段として機能する。
【0015】
まず、図2〜図4を参照してチャック装置5について説明する。なお、図2は、チャック装置5の拡大図を、図3は図2のIII−III線におけるチャック装置5の断面図を、図4は図2のIV−IV線におけるチャック装置5の断面図をそれぞれ示している。図2に示すように、チャック装置5は、容器保持機構11と、容器保持機構を駆動する駆動機構12とを備えている。図3に示したように、容器保持機構11は、ベース10と、容器を掴むためのチャック爪50をそれぞれ有する一対のアーム15L、15Rと、これら一対のアーム15L、15Rをチャック爪50、50が閉じる方向に付勢するコイルばね33、35とを備えている。一対のアーム15L、15Rは、ベース10に取り付けられたアーム軸16L、16Rの周りに回転自在に設けられ、チャック爪50、50が閉じて壜BTを掴む閉方向及びチャック爪50、50が開いて壜BTを解放する開方向に互いに連動して動く。
【0016】
駆動機構12は、ホイール6の半径方向すなわち図3の左右方向に移動可能なローラ軸17と、ローラ軸17と平行かつ回転自在に設けられるカム軸21と、を備えている。カム軸21の下端には先端が二つに分かれた(図5及び図6参照)操作部としてのカム駆動レバー22がカム軸21と一体回転するように設けられている。カム駆動レバー22の各先端には、カム駆動ローラ23がそれぞれボルト24を中心として回転可能に取り付けられている。図2及び図4に示すようにカム軸21の上端にはカム面26を有するアーム駆動カム25がカム軸21と一体に回転するように取り付けられている。図4に示したように、カム面26は、第1凹部26aと、第2凹部26bと、それらの間に配置される凸部26cと備えている。カム軸21の回転中心から第2凹部26bの底までの距離はカム軸21の回転中心から第1凹部26aの底までの距離よりも十分に大きく設定される。
【0017】
次に、図4を参照してチャック装置5の開閉動作について説明する。図4(a)に示すように、ローラ軸17の外周に設けられた第1ローラ18がカム面26の第1凹部26aと噛み合った位置ではコイルばね33、35に付勢されてチャック爪50が閉じている。以下、図4(a)に示したようにチャック爪50、50を閉じて壜BTを保持しているチャック装置5の状態を保持状態と呼ぶ。一方、カム駆動レバー22が外部から操作されてアーム駆動カム25が回転し、図4(b)に示すように第1ローラ18がカム面26の第2凹部26bに移動すると、ローラ軸17がホイール6の外周側に押し出されてアーム15Rのアーム駆動部28を押す。これによりアーム15Rがアーム軸16Rの周りに回転する。また、アーム15Lもアーム15Rと連動してアーム軸16Lの周りに回転する。そのため、チャック爪50、50が開く。以下、図4(b)に示したようにチャック爪50、50を開いているチャック装置5の状態を解除状態と呼ぶ。なお、この解除状態においてアーム駆動カム25すなわちカム駆動レバー22に第1ローラ18が凸部26cを乗り越えるだけの回転モーメントが付加されると、ローラ軸17が図4の左側に移動し、コイルばね33、35の力によりチャック装置5は図4(a)の状態に戻る。このように外部からカム駆動レバー22が操作されることで、チャック装置5は保持状態と解除状態とに切り替わる。
【0018】
なお、チャック装置5の状態とカム駆動レバー22の状態とは以下に示したように関連付けられている。チャック装置5が保持状態のとき、カム駆動レバー22は、2個のカム駆動ローラ23のうち搬送方向前方の一方のカム駆動ローラ23aがホイール6の外周側に移動し、他方のカム駆動ローラ23bがホイール中心Cw側に回転してチャック装置5の中心線CL上に移動した状態となる。このような状態のチャック装置5を図6にチャック装置5Aとして示す。チャック装置5が解除状態のとき、カム駆動レバー22は、2個のカム駆動ローラ23a、23bがホイール6の外周に沿ってほぼ並んだ状態となる。このような状態のチャック装置5を図6にチャック装置5Bとして示す。
【0019】
図1に示すようにスターホイール装置1には、搬入位置P1と不良品搬出位置P2との間にチャック装置5を保持状態から解除状態に切り替える解除位置P4が設定されている。また、良品搬出位置P3と搬入位置P1との間は、チャック装置5を保持状態から解除状態に切り替えるチャック強制開位置P5が設定されている。搬入位置P1には搬入操作機構60が、不良品搬出位置P2には状態切替手段としての状態切替機構70が、良品搬出位置P3、解除位置P4及びチャック強制開位置P5には保持解除手段としての保持解除部80がそれぞれ設けられている。搬入操作機構60、状態切替機構70及び保持解除部80は、スターホイール装置1の固定部分、例えばベースに取り付けられてホイール6の回転に対し一定位置に拘束されている。
【0020】
搬入操作機構60は、ヘッド部61と、ヘッド部61を進退可能に駆動するエアシリンダ62と、エアシリンダ62に供給する圧縮空気の量を調整する電磁弁63と、を備えている。エアシリンダ62によってヘッド部61は、チャック装置5側に突き出される作用位置と、その作用位置よりもホイール中心Cw側に引っ込められる待機位置との間で進退駆動される。ヘッド部61にはカム面61aが形成されており、ヘッド部61が作用位置のときはこのカム面61aが解除状態のチャック装置5のカム駆動ローラ23aと接触し、チャック装置5が保持状態に切り替わるまでカム駆動ローラ23aをホイール6の外周側に押し出す。一方、ヘッド部61が待機位置にあるときはアーム駆動カム25の位置に拘わりなくカム面61aはカム駆動ローラ23a、23bと接触しない。
【0021】
図5に拡大して示すように状態切替機構70は搬入操作機構60と同じ装置であり、カム面71aを有する可動部としてのヘッド部71と、アクチュエータとしてのエアシリンダ72と、電磁弁73とを備えている。ヘッド部71はエアシリンダ72によって上述したヘッド部61と同様に作用位置と待機位置との間で進退駆動される。ヘッド部71が作用位置にあるときはカム面71aが解除状態のチャック装置5のカム駆動ローラ23aと接触してチャック装置5が保持状態に切り替わるまでカム駆動ローラ23aをホイール6の外周側に押し出す。一方、ヘッド部71が待機位置にあるときはアーム駆動カム25の位置に拘わりなくカム面71aはカム駆動ローラ23a、23bと接触しない。
【0022】
搬入操作機構60の電磁弁63及び状態切替機構70の電磁弁73は、動作制御手段としての動作制御装置100(図1参照)によってそれぞれ制御されている。動作制御装置100には、検査装置200の検査結果、及び搬送中の壜BTの位置検出センサなどの種々のセンサの出力信号が入力されている。動作制御装置100は、検査装置200の検査結果及びセンサの出力信号を参照して電磁弁63及び電磁弁73の動作を制御し、ヘッド部61及びヘッド部71の動作を制御する。
【0023】
図6は解除位置P4を拡大して示している。図6に示したように保持解除部80には操作部材としてのカムブロック81が設けられている。カムブロック81は、解除位置P4に搬送されたチャック装置5のカム駆動レバー22のカム駆動ローラ23と接触する位置に固定され、ホイール6の外周側に向かって形成されたカム面81aを有している。カム面81aは、チャック装置5が保持状態のときのカム駆動ローラ23bと接触し、チャック装置5が保持状態から解除状態に切り替わるまでホイール6の回転を利用してカム駆動ローラ23bをホイール6の外周側に押し出す。なお、良品搬出位置P3及びチャック強制開位置P5にも、解除位置P4と同様のカムブロック81が設けられている。
【0024】
図1に示したように、スターホイール装置1は、ガイド手段としての搬送ガイド90を備えている。搬送ガイド90は、ホイール6によるポケット13の搬送経路に沿って解除位置P4から不良品搬出位置P2まで設けられている。また、搬送ガイド90は、ポケット13に取り込まれた状態の壜BTの外面と接触してこの壜BTがポケット13から飛び出さないように案内する搬送ガイド面90aを備えている。
【0025】
次に、以上のように構成されたスターホイール装置1の動作を説明する。まず、スターホイール装置1の搬入位置P1ではホイール6の回転に伴ってチャック装置5が順次繰り出される。搬入位置P1と良品搬出位置P3との間のチャック強制開位置P5には保持解除部80が設けられているので、保持状態のチャック装置5はこの保持解除部80のカムブロック81によって解除状態に切り替えられる。そのため、搬入位置P1ではチャック装置5のチャック爪50、50が開いている。チャック装置5がホイール6により搬入位置P1まで搬送されると動作制御装置100によってヘッド部61が待機位置から作用位置に駆動され、チャック装置5のカム駆動ローラ23aがカム面61aによってホイール6の外周側に押し出される。それにより、チャック装置5が解除状態から保持状態に切り替わり、チャック爪50、50が閉じられる。なお、ヘッド部61は、カム駆動ローラ23aをホイール6の外周側に押し出し、チャック装置5を保持状態に切り替えた後、このカム駆動ローラ23aが設けられているカム駆動レバー22のもう1つのカム駆動ローラ23bと接触しないように、速やかに作用位置から待機位置に戻される。この搬入操作機構60によるチャック爪50の閉じる動作に連動してスターホイール装置2からチャック爪50同士の間に壜BTが渡され、壜BTはポケット13に取り込まれるとともにチャック爪50、50によって掴まれる。
【0026】
チャック爪50に掴まれた壜BTはホイール6の回転に伴ってまず解除位置P4に搬送される。図6に示したように解除位置P4には保持解除部80が設けられているため、チャック装置5が保持状態から解除状態に切り替えられてチャック爪50が開けられる。すなわち、この解除位置P4において全てのチャック装置5が一旦解除状態に切り替えられる。チャック装置5による保持が解除された壜BTは、搬送ガイド90によって解除位置P4から不良品搬出位置P2までポケット13に取り込まれた状態でホイール6の回転に伴って搬送される。
【0027】
不良品搬出位置P2では、状態切替機構70のヘッド部71が待機位置に保持されており、壜BTが良品である場合はチャック装置5のカム駆動ローラ23aが不良品搬出位置P2に搬送されるタイミングに合わせて動作制御装置100によってヘッド部71が作用位置に駆動される。これにより、カム駆動ローラ23aがカム面71aに接してホイール6の外周側に押し出され、チャック装置5が解除状態から保持状態に切り替えられてチャック爪50、50により壜BTが再度掴まれる。なお、このヘッド部71もヘッド部61と同様に、チャック装置5を保持状態に切り替えた後、このカム駆動ローラ23aが設けられているカム駆動レバー22のカム駆動ローラ23bと接触しないように速やかに作用位置から待機位置に戻される。不良品搬出位置P2においてチャック装置5に再度掴まれた壜BTはホイール6によって良品搬出位置P3に搬送される。
【0028】
一方、壜BTが不良品である場合、状態切替機構70のヘッド部71は駆動されず、待機位置に保持される。そのため、この不良品の壜BTNGは、搬送ガイド90による案内が無くなる不良品搬出位置P2においてポケット13から外れ、図1及び図5に示したようにスターホイール装置1から不良品コンベア3に搬出される。
【0029】
良品搬出位置P3には保持解除部80が設けられているので、カムブロック81によって保持状態のチャック装置5が解除状態に切り替えられる。すなわち、良品搬出位置P3では全てのチャック装置5が解除状態に切り替えられる。そのため、良品搬出位置P3まで搬送された壜BTは、良品搬出位置P3においてポケット13から外れ、スターホイール装置1から良品コンベア4に搬出される。
【0030】
以上のように、第1の形態のスターホイール装置1によれば、解除位置P4にて全てのチャック装置5を解除状態に切り替えて壜BTの保持を一旦解除し、その後壜BTが良品と判断された場合にのみ不良品搬出位置P2にてこの壜BTが再度保持されるようにチャック装置5が保持状態に切り替えられるので、不良品コンベア3には不良品搬出位置P2にてチャック装置5に再度保持されなかった壜BTが全て搬出される。そのため、例えばチャック装置5が動作不良を起こした場合や動作制御装置100から状態切替機構70に動作信号が入力されなかった場合でも、不良品コンベア3に不良品を確実に搬出でき、良品コンベア4への不良品の搬出を防止できる。
【0031】
[第2の形態]
図7は、本発明の第2の形態に係る壜搬送用のスターホイール装置の平面図である。なお、図7において上述した図1〜図6に示した第1の形態と共通する部分には同一の参照符号を付し、それらの説明は省略する。このスターホイール装置1も第1の形態のものと同様に壜BTを検査するための検査装置の出口側スターホイール装置として構成されている。この検査装置では、搬送中の壜BTに対して複数の検査を実施する。例えば、図7に示したように別のスターホイール装置2の搬送経路上には第1検査位置P21及び第2検査位置P22が設定されており、第1検査位置P21では第1検査装置201による検査が、第2検査位置P22では第2検査装置202による検査がそれぞれ壜BTに対して実施される。これらの検査装置201、202では例えば壜BTの天面を検査する天面検査や、壜BTの底が欠けていないか検査する底かけ検査など互いに異なる検査が実施される。なお、検査装置201、202の各検査結果は動作制御装置100に送られ、スターホイール装置1の動作の制御に使用される。検査装置201、202は周知の検査装置と同様でよいため、ここでの説明は省略する。
【0032】
図7に示したようにスターホイール装置1は、検査中の壜BTを保持する別のスターホイール装置2から搬入位置P11にて壜BTを受け取り、第1不良品搬出位置P12、第2不良品搬出位置P13又は良品搬出位置P14から第1不良品コンベア3A、第2不良品コンベア3B又は良品コンベア4に選択的に送り出すように構成されている。なお、図示を省略したが、このスターホイール装置1の外周にも多数のポケット13及び多数のチャック装置5…5が周方向に一定のピッチで並べて設けられている。
【0033】
スターホイール装置1には、第1不良品搬出位置P12と第2不良品搬出位置P13との間に解除位置P15が、良品搬出位置P14と搬入位置P11との間にチャック強制開位置P16がそれぞれ設定されている。図7に示したように、第1不良品搬出位置P12には状態切替機構70Aが、第2不良品搬出位置P13には状態切替機構70Bが、良品搬出位置P14、解除位置P15及びチャック強制開位置P16には保持解除部80がそれぞれ設けられている。状態切替機構70A、70Bの動作は動作制御装置100にて制御される。これらの状態切替機構70A、70B及び保持解除部80は、スターホイール装置1の固定部分であるベースにそれぞれ取り付けられてホイール6の回転に対し一定位置に拘束されている。なお、状態切替機構70A、70B及び保持解除部80は、図5及び図6に示した第1の形態のものと同様でよいため、ここでの説明は省略する。
【0034】
また、スターホイール装置1には、第1搬送ガイド91、第2搬送ガイド92、第3搬送ガイド93、及び第4搬送ガイド94が設けられている。第1搬送ガイド91は別のスターホイール装置2の搬送経路に沿って別のスターホイール装置2からスターホイール装置1の搬入位置P11まで設けられ、第2搬送ガイド92は搬入位置P11から第1不良品搬出位置P12までポケット13に取り込んだ状態で壜BTを搬送すべくスターホイール装置1の搬送経路に沿って設けられている。また、第3搬送ガイド93は解除位置P15から第2不良品搬出位置P13までポケット13に取り込んだ状態で壜BTを搬送すべくスターホイール装置1の搬送経路に沿って設けられ、第4搬送ガイド94は第2不良品搬出位置P13にてチャック装置5に保持された壜BTを良品搬出位置P14に案内すべくスターホイール装置1の搬送経路に沿って設けられている。
【0035】
次に図7を参照して第2の形態のスターホイール装置1の動作を説明する。スターホイール装置1には別のスターホイール装置2から壜BTが第1搬送ガイド91に案内されて順次送り込まれる。この壜BTは、搬入位置P11にてスターホイール装置1のポケット13に取り込まれるとともに別のスターホイール装置2による保持が解除されるため、ホイール6の回転に伴って矢印R方向に搬送される。なお、良品搬出位置P14と搬入位置P11との間のチャック強制開位置P16には保持解除部80が設けられているため、チャック装置5はカムブロック81によって解除状態に切り替えられる。そのため、搬入位置P11には、解除状態すなわちチャック爪50が互いに開いた状態のチャック装置5がホイール6の回転に伴って順次繰り出される。搬入位置P11ではチャック装置5に対して操作を実施しないため、壜BTはチャック爪50、50に掴まれない。そのため、壜BTは、ポケット13に取り込まれた状態で第2搬送ガイド92のガイド面92aに案内されて第1不良品搬出位置P12に搬送される。
【0036】
第1不良品搬出位置P12では、状態切替機構70Aのヘッド部71Aが待機位置に保持されている。第1不良品搬出位置P12に搬送された壜BTが第1検査装置201にて良品と判断されている場合はチャック装置5のカム駆動ローラ23aが第1不良品搬出位置P12に搬送されるタイミングに合わせてヘッド部71Aが作用位置に駆動される。これによりカム駆動ローラ23aがホイール6の外周側に押し出されてチャック装置5が解除状態から保持状態に切り替えられ、チャック爪50、50により第1検査装置201にて良品と判断された壜BTが掴まれる。そのため、この壜BTはホイール6の回転に伴って解除位置P15に搬送される。なお、ヘッド部71Aは、チャック装置5を保持状態に切り替えた後、このカム駆動ローラ23aが設けられているカム駆動レバー22のカム駆動ローラ23bと接触しないように速やかに作用位置から待機位置に戻される。
【0037】
一方、第1検査装置201にて不良品と判断された壜BTが第1不良品搬出位置P12に搬送された場合は、状態切替機構70Aのヘッド部71Aが駆動されず、待機位置に保持される。そのため、チャック装置5が解除状態を維持し、この壜BTは第2搬送ガイド92が無くなる位置にてポケット13から外れ、スターホイール装置1から第1不良品コンベア3Aに搬出される。
【0038】
解除位置P15では、カムブロック81によって保持状態のチャック装置5が解除状態に切り替えられ、チャック爪50が開けられる。チャック装置5による保持が解除された壜BTは、第3搬送ガイド93のガイド面93aに沿って解除位置P15から第2不良品搬出位置P13にポケット13に取り込まれた状態でホイール6の回転に伴って矢印R方向に搬送される。
【0039】
第2不良品搬出位置P13では、第2検査装置202にて良品と判断された壜BTがチャック爪50、50に再度掴まれるようにヘッド部71Bの動作が動作制御装置100にて制御される。なお、このヘッド部71Bの動作は状態切替機構70Aと同様でよいため、詳細な説明は省略する。第2不良品搬出位置P13でチャック装置5に再度保持された容器は、第4搬送ガイド94に案内され、ホイール6の回転に伴って良品搬出位置P14に搬送される。一方、第2検査装置202にて不良品と判断された壜BTが第2不良品搬出位置P13に搬送された場合は、状態切替機構70Bのヘッド部71Bが駆動されず、チャック装置5は解除状態を維持する。そのため、この壜BTは、第3搬送ガイド93が無くなる位置にてポケット13から外れ、スターホイール装置1から第2不良品コンベア3Bに搬出される。
【0040】
良品搬出位置P14では、保持解除部80のカムブロック81によって保持状態のチャック装置5が解除状態に切り替えられる。そのため、良品搬出位置P14に搬送された壜BTは、良品搬出位置P14にてポケット13から外れ、スターホイール装置1から良品コンベア4に搬出される。
【0041】
以上のように、第2の形態のスターホイール装置1によれば、第1検査装置201の検査結果に基づいて状態切替機構70Aの動作が制御され、第2検査装置202の検査結果に基づいて状態切替機構70Bの動作が制御されるので、第1不良品コンベア3Aからは第1検査装置201にて不良品と判断された壜BTが、第2不良品コンベア3Bからは第2検査装置202にて不良品と判断された壜BTがそれぞれ搬出される。このように壜BTを選択的に搬出することで、検査結果の異なる壜BTをそれぞれまとめることができる。良品搬出位置P14には、第1不良品搬出位置P12及び第2不良品搬出位置P13の両方でチャック装置5に保持された壜BTが搬送されるので、例えばチャック装置5が動作不良を起こした場合や動作制御装置100から状態切替機構70A又は状態切替機構70Bに動作信号が入力されなかった場合でも、第1不良品コンベア3A又は第2不良品コンベア3Bに不良品を確実に搬出でき、良品コンベア4への不良品の搬出を防止できる。
【0042】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、ポケットに取り込まれた壜を保持する保持手段としてチャック装置の代わりに吸着カップが設けられていてもよい。スターホイール装置の搬送経路には、壜の搬出位置を4箇所以上設定してもよい。この場合、さらに多くの種類に壜BTを分類することができる。状態切替機構を設ける位置は、上述した形態の位置、すなわち不良品搬出位置に限定されない。検査装置にて良品と判断された容器が不良品搬出位置に到達する前にチャック装置にて再度保持される位置に設けられていればよい。そのため、状態切替機構の配置位置は、解除位置から不良品搬出位置の間であればスターホイール装置の大きさや構造などに応じて適宜変更してよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の搬送装置の第1の形態を示す平面図。
【図2】図1のチャック装置の側面図。
【図3】図2のIII−III線に沿ったチャック装置の断面図。
【図4】図2のIV−IV線に沿ったチャック装置の断面図で、(a)が保持状態のときの断面図を示し、(b)が解除状態のときの断面図を示す。
【図5】図1の不良品搬出位置を拡大して示す図。
【図6】図1の解除位置を拡大して示す図。
【図7】本発明の第2の形態を示す平面図。
【符号の説明】
【0044】
1 スターホイール装置(搬送装置)
5 チャック装置(保持手段)
6 ホイール(搬送手段)
11 容器保持機構
12 駆動機構
13 ポケット(取り込み部)
22 カム駆動レバー(操作部)
70、70A、70B 状態切替機構(状態切替手段)
71、71A、71B ヘッド部(可動部)
72 エアシリンダ(アクチュエータ)
80 保持解除部(保持解除手段)
81 カムブロック(操作部材)
90 搬送ガイド(ガイド手段)
90a 搬送ガイド面
92 第2搬送ガイド(ガイド手段)
92a ガイド面
93 第3搬送ガイド(ガイド手段)
93a ガイド面
100 動作制御装置(動作制御手段)
200 検査装置
201 検査装置
202 検査装置
P1、P11 搬入位置
P2、P12、P13 不良品搬出位置
P3、P14 良品搬出位置
P4、P15 解除位置
BT 壜(容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置にて検査された容器を前記検査装置の検査結果に基づいて不良品搬出位置又は良品搬出位置から選択的に搬出する容器の搬送装置において、
容器を取り込む取り込み部と、前記取り込み部に取り込んだ容器を保持する保持状態及び容器の保持を解除する解除状態に切り替え可能な保持手段と、を有し、前記取り込み部を容器の搬入位置から前記不良搬出位置を経由して前記良品搬出位置まで搬送する搬送手段と、前記搬入位置と前記不良品搬出位置との間の解除位置にて前記保持手段を前記保持状態から前記解除状態に切り替える保持解除手段と、前記解除位置から前記不良品搬出位置まで前記取り込み部に取り込まれた状態で容器を案内するガイド手段と、前記検査装置にて容器が良品と判断された場合に前記解除位置から前記不良品搬出位置に至る間で前記保持手段を前記解除状態から前記保持状態に切り替える状態切替手段と、を備えていることを特徴とする容器の搬送装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記保持状態及び前記解除状態に切り替え可能な容器保持機構と、操作部を有し、外部から前記操作部への操作を受けて前記容器保持機構を前記保持状態と前記解除状態との間で切り替える駆動機構と、を備え、
前記保持解除手段として前記容器保持機構が前記保持状態から前記解除状態に切り替わるように前記駆動機構の前記操作部を操作する操作部材が前記解除位置に搬送された前記保持手段の前記操作部と接触する位置に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の容器の搬送装置。
【請求項3】
前記状態切替手段は、前記容器保持機構が前記解除状態から前記保持状態に切り替わるように前記駆動機構の前記操作部を操作する作用位置と前記容器保持機構が前記解除状態に維持される待機位置とに移動可能な可動部と、前記可動部を前記作用位置と前記待機位置との間で駆動するアクチュエータと、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の容器の搬送装置。
【請求項4】
前記検査装置にて容器が良品と判断された場合は前記可動部が前記作用位置に駆動され、前記検査装置にて容器が不良品と判断された場合は前記可動部が前記待機位置に駆動されるように前記アクチュエータの動作を制御する動作制御手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の容器の搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド手段は、前記取り込み部に取り込まれた状態の容器の外面と接触する位置に前記取り込み部の搬送経路に沿って配置されるガイド面を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−84296(P2007−84296A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276269(P2005−276269)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(390014661)株式会社キリンテクノシステム (126)
【Fターム(参考)】