説明

容器の殺菌方法および殺菌装置

【課題】プラスチック材料製の容器の殺菌を、さらなる殺菌処理または先行の殺菌処理を必要とすることなく液体(特に、飲料)で満たすことができる方法を提供する。
【解決手段】搬送装置によって所定の搬送経路に沿って運ばれる容器10を殺菌するために、照射装置2が、容器10の長手方向Lの容器10と照射装置2との間の相対移動によって殺菌すべき容器10の内部へと導入され、電荷担体の照射12によって容器10の内壁10aを殺菌すべく電荷担体の照射12を放射する方法であって、容器10の外側に位置する開口領域10bも殺菌されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の殺菌方法および殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料製造産業の分野において、容器(例えば、プラスチック材料製の容器)を、中身を入れる前に殺菌することが知られている。この場合、この殺菌を、幅広くさまざまなやり方で実行することができる。このやり方で、例えば容器を、例えばH(過酸化水素)または過酢酸などの殺菌剤で殺菌することが可能である。しかしながら、これらの媒体の取り扱いは、これらの媒体が人間に有害な影響も有する可能性があるため、問題がないわけではない。加えて、これらの媒体を使用する場合には、事後に容器をすすぐことが必要である。
【0003】
近年では、容器を電荷担体の照射(特に、電子線照射)によって殺菌する方法も、知られるようになってきている。このやり方で、特許文献1は、包装材料の殺菌のための方法および装置を提示している。この場合、包装材料の内面を電子線照射によって処理するための処理ヘッドが、包装材料の開口部を通ってそれぞれの包装材料に配置される。
【0004】
本出願の出願人による特許文献2は、容器の殺菌のための装置を提示している。この装置は、電荷担体を発することができる出口窓を備える処理ヘッドを有している。特許文献2に開示の内容は、その全体がここでの言及によって本明細書に援用される。
【0005】
電荷担体によって容器を殺菌するための装置は、特許文献3からも知られており、特に電子の出口窓の冷却装置がさらに説明されている。さらに、特許文献3に開示の内容も、ここでの言及によって本明細書に援用される。
【0006】
しかしながら、プラスチック材料製の容器の内壁の殺菌は、全体にわたる殺菌において必ずしも充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008007428号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1982921号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102008025868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、プラスチック材料製の容器の殺菌を、さらなる殺菌処理または先行の殺菌処理を必要とすることなく液体(特に、飲料)で満たすことができるようなやり方で可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、本発明によれば、独立請求項の主題によって達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題である。
【0010】
本発明にかかる容器の殺菌方法においては、容器が搬送装置によって所定の搬送経路に沿って運ばれる。さらに、照射装置が、容器の長手方向の容器と照射装置との間の相対移動によって、殺菌すべき容器へと導入され、電荷担体の照射によって容器の内壁を殺菌すべく電荷担体の照射を放射する。
【0011】
本発明によれば、容器の外側に位置する開口領域も殺菌される。
【0012】
この場合、外側に位置する領域とは、特に、内面が殺菌される容器の開口領域であると理解される。さらに、開口領域は、開口部の領域と、おそらくは隣接する容器の頭部領域とであると理解される。このやり方で、特に容器のねじ領域も、外側において殺菌される。したがって、後の充てんの手順において注ぎ込まれる液体と接触し、あるいは容器の蓋と接触する容器の領域が、殺菌されることが好都合である。また、プラスチック材料製の予備成形物の頭部および開口領域が、容器に随意により配置されるキャリアリングまで延びることが好ましい。
【0013】
容器は、好ましくはプラスチック材料製の容器であり、用語「容器」は、例えば瓶などの仕上がった容器、および特にプラスチック材料製の容器を形成すべく成形することができる例えばプラスチック材料製の予備成形物の両方であると理解される。
【0014】
外側に位置する開口領域が、照射装置によって殺菌されることが好都合である。外側に位置する開口領域のこの殺菌を、容器の内面の殺菌の直前または直後に実行することが特に好ましい。容器がプラスチック材料製の容器であることが好都合である。
【0015】
さらなる好都合な方法の場合には、開口領域の殺菌が、照射装置を完全に容器の外部に位置させつつ実行される。
【0016】
特に好ましい方法の場合には、照射装置が、特に開口部を通って容器の内部へと導入される棒状の本体を有している。この場合、電子を棒状の本体から出すことができる出口窓を、この棒状の本体の端部に配置することができる。
【0017】
さらなる好都合な方法の場合には、開口領域の殺菌の際に、照射装置の下端または上述の端部が、0.5cm〜10cmの間、好ましくは1cm〜6cmの間、特に好ましい様相では3cm〜5cmの間の開口領域からの距離に位置する。これらの特定の寸法のおかげで、照射装置から発せられる特に電子などの電荷担体が、開口領域および開口領域に隣接する容器の頭部領域を殺菌するための充分な範囲を依然として有することができる。
【0018】
さらなる好都合な方法の場合には、開口領域および頭部領域よりも下方に位置する容器の外壁の領域が、電荷担体の照射による照射によっては殺菌されない。これらの領域においては、これらの領域が充てんされる飲料に触れる可能性がないため、殺菌を省略することが可能である。
【0019】
さらなる好都合な方法の場合には、容器が、クリーンルームを通って運ばれ、あるいはクリーンルームへと運ばれる。このやり方で、この種のクリーンルームを照射装置に直接隣接させることが可能であるが、照射をクリーンルームの内部で実行することも可能であると考えられ、このクリーンルームが殺菌処理の後も続くことが可能であると考えられる。さらなる好都合な方法の場合には、照射装置が、容器の開口領域を、少なくとも容器が無菌室に進入するまで照射する。この場合、この無菌室の境界を、上述の容器の開口領域の反対側(例えば、下方)に、すなわち容器の底部の方向に、定めることができると好都合である。この場合、容器が、無菌室の境界を越える往復運動を実行することができる。
【0020】
さらなる好都合な方法の場合には、容器に、気体媒体の導かれた流れが作用させられる。このやり方で、例えば、特に容器の長手方向に流れる無菌の空気を、容器に作用させることができる。このやり方で、無菌室の境界を、たとえ物理的な分離が存在しなくても容器の前記開口領域の下方に維持または定義することができる。無菌の空気を流す空気フィルタを設けることが好都合である。好ましくは、気体媒体の流れが、容器の首部から容器の底部へと進む成分を有する。
【0021】
さらなる好都合な方法の場合には、照射が、少なくとも照射装置が容器の底部から取り去られる時間のあいだ行われる。換言すると、照射が、好都合には照射装置を容器から引き出す際に行われる。この場合、照射を、照射装置が再び容器から引き出されるや否や、開始させることができる。しかしながら、照射を、照射装置の浸漬の最中および照射装置の引き出しの最中の両方において行うことも可能であると考えられる。
【0022】
さらには、照射を、照射装置の引き出しの手順の全体において行うことが可能であり、すなわち特に照射装置の端部がすでに再び容器の外部に位置していても行うことが可能である。
【0023】
さらに本発明は、容器の殺菌装置に関し、そのような装置が、容器を所定の搬送経路に沿って運ぶ搬送装置と、電荷担体の照射(特に、電子の照射)を放射する照射装置とを有しており、この場合に、この照射装置を、容器の内壁を殺菌するために、容器の長手方向の容器と照射装置との間の相対移動によって容器の内部へと導入することができる。
【0024】
本発明によれば、この装置は、照射装置を制御するための制御装置を有しており、この制御装置は、照射装置によって放射される照射によって容器の外側に位置する開口領域も殺菌される効果を有する。
【0025】
容器の処理のためのさらなる装置を、容器の搬送方向において容器の殺菌のための装置の下流に配置することが好ましい。このさらなる装置は、例えば、特に飲料などの液体で容器を満たす充てん装置であってよい。さらには、しかしながら、さらなる装置が、例えばプラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形する成形装置や、プラスチック材料製の予備成形物を加熱する加熱装置など、プラスチック材料製の予備成形物を処理する装置であってもよい。
【0026】
したがって、指定の照射を照射装置が少なくとも部分的に容器の外部に位置し、好ましくは完全に容器の外部に位置するときに作動させるべきでもあることが、装置に関しても提案される。
【0027】
照射装置が、電荷担体または電子を照射装置から発することができる出口窓を、照射装置の端面に有することが好都合である。
【0028】
この照射装置が、少なくとも局所的に容器の搬送経路に沿って容器と一緒に移動することが好都合である。このやり方で、例えば複数の照射装置が配置され、さらに容器を搬送するための複数の搬送装置も配置されたキャリア装置を提供することが可能である。したがって、この容器の搬送の際に、この場合には例えば棒状の本体を有する照射装置を、容器を殺菌するために容器の内部へと導入することができる。
【0029】
さらなる好都合な実施形態の場合には、装置が、電子を照射装置の前記出口窓の方向に加速させる加速装置(好ましくは、複数の加速装置)を有する。さらなる好都合な実施形態の場合には、装置が、容器に気体媒体の流れを作用させるための加圧装置をさらに有する。
【0030】
容器を、殺菌の際に局所的に円形である少なくとも1つの搬送経路に沿って案内することが好都合である。
【0031】
さらなる好都合な実施形態の場合には、装置が、容器が案内されて通過する無菌室を有する。この場合、この殺菌室を、容器の搬送経路の周囲にチャネルの形態として設計することが可能である。特に、上述の無菌室を、容器の搬送経路の周囲のリングの形態に設計することが可能であると考えられる。このやり方で、上述の無菌室の容積を比較的小さく保つことができ、このやり方で無菌の状態を安価なやり方で維持することができる。
【0032】
さらなる利点および実施形態が、添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】殺菌の手順の図式的な図である。
【図2】殺菌の手順のさらなる図式的な図である。
【図3】殺菌の手順のさらなる図式的な図である。
【図4】空気によるさらなる加圧を含む殺菌手順の図である。
【図5】容器の搬送を伴う殺菌手順の図式的な図である。
【図6】容器の殺菌装置の考えられるさらなる実施形態を示している。
【図7】殺菌シーケンスの図式的な図である。
【図8a】図7に示した殺菌シーケンスの詳細図である。
【図8b】図7に示した殺菌シーケンスの詳細図である。
【図8c】図7に示した殺菌シーケンスの詳細図である。
【図8d】図7に示した殺菌シーケンスの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1〜図3は、殺菌プロセスを説明する3つの図を図式的に示している。この場合、ここでは開口部10dを通って容器10の内部へと導入することができる棒状の本体の形態に設計された殺菌装置2(図式的にのみ示されている)が設けられている。図1に示されている状況においては、照射装置が、ほぼ容器の底部10eまで導入されており、このやり方で、上述の底部領域10eにも電子雲12を作用させることができる。この処理の結果として、参照符号10aで示されているプラスチック材料製の容器の内壁の全体が殺菌される。この場合には、電子4が、加速装置(図示されていない)によって加速させられる。参照符号10bは、開口部10dを含む開口領域を指しているが、開口領域10bは、容器の長手方向Lに開口部10dよりもさらに(下方へと)延びている。
【0035】
図2は、下端部22が出口窓24を容器10の中ほどの領域に位置させるように配置されている第2の状況を示している。この場合、内壁の中ほどの領域が殺菌される。
【0036】
この場合、容器10に対する照射装置2の移動を、一定の速度で生じさせることができるが、速度を例えば容器の外形に依存するようにし、例えばより大きな断面の領域においては、よりゆっくりとした相対移動とし、より小さな断面の領域においては、より速やかな移動とし、このやり方で容器の内壁10aに常に一定の線量を加えることが可能であると考えられる。
【0037】
この場合、すべての構成において、容器10と照射装置2との間の相対移動は、容器10の長手方向Lに生じる。
【0038】
図3は、容器10に対する照射装置2のさらなる位置を示している。この場合、照射装置2または出口窓24が、容器10から完全に引き出されている。電子雲12が、内側および外側の両方から容器の開口部10dに作用し、この開口部の殺菌をもたらしている。しかしながら、さらには、開口領域にも電子が作用し、この場合には容器の上部領域10fにも電子が作用している。
【0039】
図4は、図3に示した状況を示しており、この場合には、案内された気流30が容器へとさらに向けられている。より正確には、無菌の空気による加圧が、やはり容器の長手方向Lに生じ、このやり方で無菌室の境界の移動を防止している。参照符号Uは無菌ではない領域を指しており、参照符号Sは無菌の領域を指している。参照符号32は、無菌室の境界を指しており、この場合には、無菌室の境界を材料の境界によって形成する必要はない。しかしながら、ここで気流を、プラスチック材料製の容器へと、容器の長手方向に対して斜めに衝突させることも、同様に可能であると考えられる。しかしながら、この気流30が、特に容器の開口部から容器の底部へと長手方向Lに延びる成分も有することが好ましい。
【0040】
図5は、本発明に係る装置1の大まかな概略図である。この場合には、装置1は、容器10を保持するための複数の搬送要素(図示せず)が配置された搬送ホイール16を備えている。したがって、この搬送ホイールは、容器を搬送するための搬送装置6の一部である。さらに、上述したようなやり方でプラスチック材料製の容器の開口部へと導入することができる複数の照射装置2が、この搬送ホイール16に配置されている。参照符号Pは容器の搬送経路を指しており、参照符号aは殺菌のための処理角度を指している。最初に、殺菌されていない容器10が、送り込みホイール14によって搬送ホイール16へともたらされる。搬送ホイール16による搬送の最中に、プラスチック材料製の容器は、最初に内壁について殺菌される。容器が送り出され、あるいは送り出しホイール18へと移されるとき、容器は開口領域についても殺菌され、したがって外側についても殺菌される。
【0041】
参照符号34は、容器が依然として殺菌されている間に進入する無菌室を指している。その後に、今や無菌の容器が、ここではチャネルの形態である無菌室34を通って運び出される。無菌室のこの領域において、上述のように、無菌ゾーンを容器の指定の領域の上方(例えば、首部リングの上方)だけに形成し、その下方には形成しないことも可能である。
【0042】
図6は、本発明に係る装置のさらなる実施形態を示している。図5に示した実施形態と対照的に、この場合には、プラスチック材料製の容器の開口領域を殺菌(この場合には、特にやはり電子による処理によって)するさらなる殺菌装置26が設けられている。しかしながら、この場合に、例えば紫外線照射、X線照射、またはガンマ線照射による殺菌など、他の殺菌処理も可能であると考えられる。この殺菌装置26は、この場合には固定様式で配置される。
【0043】
図7は、殺菌処理を示すためのさらなる図である。この場合、複数の照射装置2が設けられ、この場合には容器10と一緒に搬送経路Pに沿って運ばれる。この搬送経路Pは、すでに上述したように、円形および直線の両方であってよく、あるいは他の移動方向に進むようにすることができる。この場合に、個々の照射装置2が固定であるように設計され、すなわち容器の長手方向に移動することがないことが、明らかである。むしろ、ここでは容器が持ち上げられることで、照射装置2が容器の内部へと進入し、殺菌を行うことができる。
【0044】
この場合には、破線Tが、無菌領域と無菌ではない領域との間の分離の線を指している。25kGyを上回る線量を、無菌領域において加えることができ、したがって線量は、無菌でない領域においては25kGyを下回る。この場合、殺菌プロセスを、いくつかの部分I−IVに分割することができる。部分Iにおいては、容器が長手方向に沿って昇降させられることがなく、この領域においては、容器の開口部に電子雲12が作用し、したがってここで殺菌が施される。領域IIにおいては、容器が持ち上げられ、照射装置2が容器の内部に進入する。このやり方で、容器の底部領域の殺菌が可能であり、容器の中ほどの領域の殺菌も可能である。
【0045】
次いで、部分IIIにおいては、容器が再び下げられ、この場合に、図7に示されるとおり、容器の内面の殺菌がこの部分においても施される。しかしながら、部分IIIのうちの右側の2つの状態においては、容器がすでに再びほとんど下げられた状態で、容器の外側の開口領域の照射も施される。容器の持ち上げが、その後に容器が再び下げられるときよりも迅速に行われていることが明らかである。したがって、照射装置2の容器への導入を、その後に再び容器から取り出すときよりも素早く行うことが好ましい。
【0046】
部分IVにおいては、容器が再び下方位置において搬送され、開口領域について照射される。この場合、斜めに向けられ、あるいはおおむね他のやり方で配置された照射装置2aを設けることも可能であり、容器が側方から照射される。さらに、プラスチック材料製の容器を、内部の照射の最中に容器の長手軸を中心にして回転させ、このやり方で容器の内面への電子のさらにより一様な分布を達成することも、可能であると考えられる。
【0047】
図8a〜図8bは、個々の部分をさらに詳しい図にして示している。この場合、図8aに示されている状況において、容器を例えばスルースホイール(sluice wheel)によって導入することが可能であると考えられ、その場合、既存のガンマ線を遮ることが好ましい。さらに、容器が、この場合には電子照射装置2の上方へと持ち上げられ、最初に内面の殺菌が行われないことが好ましい。内面の殺菌は、図8bの左側に示されている2つの状況において初めて始まる。
【0048】
図8bに示されている状況においては、容器が照射装置2に対して順次下げられ、この最中に最小限の線量も容器の内面へと加えられる。この場合、アーク(電子線の破壊)の発生が問題である。アークが生じると、容器の内側の表面への線量が少なくなりすぎる。そのようなアークの発生が、特にセンサ装置によって確認された場合、容器を後続の殺菌領域へと移動させず、再度の処理を行うか、あるいは取り除くことが可能である。電子線の線量に必要な処理の継続時間を、容器の下降または上昇の速度によって調節することが可能である。許容される線量の境界は、容器を下降させるための調整された移動のプロファイルおよび必要な浸漬深さを必要とする。
【0049】
容器を昇降させるために、例えば機械式のリフト用カムなどの駆動部を使用することができる。さらに、容器を持ち上げるために、リニアモータ、電動モータ、油圧による駆動部、または空気圧による駆動部を、使用することも可能であると考えられる。しかしながら、反対に、容器そのものを上昇または下降させる代わりに(あるいは、容器そのものの上昇または下降に加えて)、個々の照射装置2を上昇または下降させることも可能であると考えられる。
【0050】
図8bから明らかであるとおり、容器の外側の殺菌は行われず、当然ながら容器の外側の領域は無菌ではない。図8cに示されている状況においては、容器が照射装置2の下方に位置している。ここで、少なくとも最小限の線量が、容器またはレセプタクルの外側へと加えられる。
【0051】
照射装置が容器へと浸漬されるとき、殺菌作用が生じることが絶対的に必要というわけではない。この場合、ここで照射をオンまたはオフにすることができる。殺菌の定義によれば、例えば上述のように開口部を通って細菌が持ち込まれるという事実の結果として、放射線の雲12が存在する出口窓よりも上方において、再汚染が再び生じる可能性がある。しかしながら、それにもかかわらず、図8aに示されるように、上方から下方への照射は、追加の安全性の度合いを可能にする。
【0052】
実際の殺菌は、図8bに示されるように、容器内部の容器の底部から、容器の開口部の方向への照射装置の相対移動によって始まる。この場合、上述のように、この容器の壁の相対移動を、例えば壁の厚さまたは壁の直径に合わせて調整することができる。容器内の殺菌の際に無菌の領域と無菌でない領域との間で生じる容器の内部の気体の交換について、これらの領域のすべてが図8bに示されるように放射線の雲12を通って移動しなければならず、したがって殺菌されなければならないという結果をもたらすことが、好都合である。
【0053】
第3のステップにおいて、照射装置は、容器から引き出され、開口部が外側領域において好ましくはキャリアリングまで殺菌されると同時に、特に容器へと落下するすべての粒子が殺菌用の雲12を通過しなければならないようなやり方で開口部の口が照射されるように、開口部の上方に配置され、あるいは開口部の上方へと移動させられる。放射線の雲におけるこの保護の結果として、殺菌を、無菌でない環境で行うことができ、維持することもできる。
【0054】
図8cは、この殺菌状態の維持を示している。この場合にも、微生物の問題が、瓶の内部の殺菌の際の先のアークの場合において防止される。上述のように、この場合にも、アークの発生は首部リングへの線量は過度に少なくなる。容器が無菌領域へと移されず、再び処理されるか、あるいは取り除かれる。
【0055】
さらに、最小限の線量のための処理の継続時間または電子ビームにおける滞留時間を、他の表面の線量過大が防止されるようなやり方で調節することが好ましい。
【0056】
図8dは、容器の殺菌のさらなるステップを示している。ここで、容器は、内側について殺菌され、開口領域についても殺菌されており、それでもなお依然として加えられている放射線の雲12によって再汚染から保護されている。その後に、容器は、容器の開口部の領域だけに広がる無菌室へと移される。開口部の周囲および上方だけに存在する小さな領域だけがこれらの殺菌手段において無菌である形式の首部リング絶縁手段は、従来技術において公知である。上述のように、この場合には、無菌状態を保証するために、好ましくは上方から下方への無菌の空気を導かせることができる。
【0057】
放射線の雲から無菌の気流への移動のために、例えば放射線エミッタ、空気ノズル、UVランプ、またはプラズマなど、さらなる手段を使用することができる。
【0058】
殺菌処理の後で、容器を、出口に位置するスルースホイールまたは移送用星形ホイールへと移すことができる。この場合、回転エミッタのアークを、内部および首部の処理の際に固定のエミッタによって保護することが好ましい。汚染からの無菌ゾーンの保護も、特に好ましくは照射装置によって実行される。
【0059】
容器の外側の最小限の線量を、上述のように、固定のエミッタによって実現することも可能である。
【0060】
しかしながら、アークに関して、固定のエミッタは、特に内側または開口領域の処理の際に回転エミッタにおいてアークがすでに生じている場合に、或る程度問題である。
【0061】
出口において、容器をスルースホイールによって順に取り出すことができ、その場合、ガンマ線の遮蔽もここで順に行われる。
【0062】
容器を搬送するための搬送装置が、容器を例えば底部にて運ぶことができるが、搬送装置が容器を容器の開口部またはキャリアリングにて運ぶことも可能であると考えられる。さらに、容器の側壁による搬送も、可能であると考えられる。
【0063】
後処理の範囲において、容器を無菌の空気ですすぐこともできる。この場合には、例えば、処理の際に生じたオゾンを吹き飛ばすことができる。
【0064】
出願人は、出願書類に開示された特徴のすべてについて、それらが単独または組み合わせにおいて従来技術と比べて新規である限りにおいて、本発明に不可欠であるとして請求する権利を留保する。
【符号の説明】
【0065】
1 装置
2 照射装置、電子照射装置
2a 照射装置
4 電子
6 搬送装置
10 容器
10a 内壁
10b 開口領域
10d 開口部
10e 底部
10f 容器領域
12 電子雲、放射線の雲
14 送り込みホイール
16 搬送ホイール
18 送り出しホイール
22 端部
24 出口窓
26 殺菌装置
30 気流
32 無菌室境界
34 無菌室
L 長手方向
P 搬送経路
U 無菌でない領域
S 無菌領域
I〜IV 部分
a 処理角度
T 分離線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器が搬送装置によって所定の搬送経路に沿って運ばれる工程と、
照射装置が前記容器と該照射装置との間の前記容器の長手方向の相対移動によって殺菌すべき前記容器の内部へと導入される工程と、
電荷担体の照射によって前記容器の内壁を殺菌すべく電荷担体を照射する工程と、
を含む容器の殺菌方法であって、
前記容器の外側に位置する開口領域も殺菌されることを特徴とする容器の殺菌方法。
【請求項2】
前記外側に位置する開口領域は、前記照射装置によって殺菌されることを特徴とする請求項1に記載の容器の殺菌方法。
【請求項3】
前記開口領域の殺菌は、前記照射装置を完全に前記容器の外部に位置させつつ実行されることを特徴とする請求項2に記載の容器の殺菌方法。
【請求項4】
前記開口領域の殺菌の際に、前記照射装置の下端が、0.5cm〜10cmの間、好ましくは1cm〜6cmの間、特に好まくは3cm〜5cmの間の距離に位置することを特徴とする請求項3に記載の容器の殺菌方法。
【請求項5】
前記開口領域および頭部領域よりも下方に位置する前記容器の外壁の領域は、前記電荷担体の照射による照射によっては殺菌されないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の容器の殺菌方法。
【請求項6】
前記容器は、クリーンルームを通って運ばれること、またはクリーンルームへと運ばれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の容器の殺菌方法。
【請求項7】
前記照射装置は、前記容器の前記開口領域を、少なくとも前記容器が無菌室に進入するまで照射することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の容器の殺菌方法。
【請求項8】
前記容器に、気体媒体の導かれた流れが作用させられることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の容器の殺菌方法。
【請求項9】
前記照射は、少なくとも前記照射装置が前記容器の底部から取り去られる時間のあいだ行われることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の容器の殺菌方法。
【請求項10】
容器を所定の搬送経路に沿って運ぶ搬送装置と、
電荷担体を照射する照射装置と、
を備え、
前記照射装置を、前記容器と該照射装置との間の容器の長手方向の相対移動によって容器の内部へと導入し、前記容器の内壁を殺菌することができる容器の殺菌装置であって、
前記照射装置を制御する制御装置をさらに備え、該制御装置は、前記照射装置による照射によって前記容器の外側に位置する開口領域も殺菌することを特徴とする容器の殺菌装置。
【請求項11】
前記照射装置は、少なくとも局所的に前記容器と一緒に移動することを特徴とする請求項10に記載の容器の殺菌装置。
【請求項12】
前記容器に気体媒体の流れを作用させる加圧装置を備えることを特徴とする請求項10または11に記載の容器の殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【公開番号】特開2012−180129(P2012−180129A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−35718(P2012−35718)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】