説明

容器の液漏れ検査装置

【課題】加圧前の密封容器に水などが付着している場合でも、容器材料や充填液体の導電性に影響されることなく、密封容器からの液漏れの有無を検査することができる容器の液漏れ検査装置を提供する。
【解決手段】液体が充填された可撓性を備えた密封容器Aを搬送する搬送装置1と、搬送装置1で搬送中の密封容器Aを容器外側から加圧する加圧装置2と、加圧装置2で加圧中の密封容器Aをその背景と共に撮像する撮像装置3と、撮像装置3で取得された画像情報に基づいて、密封容器Aからの液漏れの有無を判定する判定装置4とを有し、判定装置4は、密封容器Aから空中に放出されている放出液体の画像情報が背景の画像情報に含まれているか否かを判別し、放出液体の画像情報が背景の画像情報に含まれていると判別したときに、密封容器Aからの液漏れ有りの判定を行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が充填された可撓性を備えた密封容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置で搬送中の前記密封容器を容器外側から加圧する加圧装置と、前記密封容器からの液漏れの有無を判定する判定装置とを有する容器の液漏れ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体が充填された密封容器では、容器にピンホール(微小な孔)が存在していた場合に、そのピンホールを通して充填液体が漏れ出す。
上記容器の液漏れ検査装置は、密封容器にピンホールが存在している場合には、密封容器に充填された液体がそのピンホールを通して漏れ出すので、その液漏れの有無を判定する装置である。
従来の容器の液漏れ検査装置では、密封容器を加圧することにより発生した液漏れの有無を判定するために、密封容器に接触させる一対の電極を設けて、液漏れにより密封容器に付着した液体を介して電極間が短絡すると、液漏れ有りの判定を行うように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−9578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の容器の液漏れ検査装置では、加圧前の密封容器に水などが付着していると、その水などが密封容器からの液漏れによるものであるのか判別できないので、精度良く検査することができない。
このため、加圧前の密封容器に水などが付着しているおそれがある場合は、例えば圧縮空気で付着水を吹き飛ばす必要があり、検査工程が煩雑化する問題がある。
また、密封容器に付着した液体を介して電極間が短絡すると液漏れ有りの判定を行うので、検査精度が容器材料や充填液体の導電性に影響され易いおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、加圧前の密封容器に水などが付着している場合でも、容器材料や充填液体の導電性に影響されることなく、密封容器からの液漏れの有無を検査することができる容器の液漏れ検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による容器の液漏れ検査装置の第1特徴構成は、液体が充填された可撓性を備えた密封容器を搬送する搬送装置と、前記搬送装置で搬送中の密封容器を容器外側から加圧する加圧装置と、前記加圧装置で加圧中の密封容器をその背景と共に撮像する撮像装置と、前記撮像装置で取得された画像情報に基づいて、前記密封容器からの液漏れの有無を判定する判定装置とを有し、前記判定装置は、前記密封容器から空中に放出されている放出液体の画像情報が前記背景の画像情報に含まれているか否かを判別し、前記放出液体の画像情報が前記背景の画像情報に含まれていると判別したときに、前記密封容器からの液漏れ有りの判定を行うように構成されている点にある。
【0006】
本構成の容器の液漏れ検査装置は、加圧装置で加圧中の密封容器をその背景と共に撮像する撮像装置と、撮像装置で取得された画像情報に基づいて、密封容器からの液漏れの有無を判定する判定装置とを有し、判定装置は、密封容器から空中に放出されている放出液体の画像情報が背景の画像情報に含まれているか否かを判別し、放出液体の画像情報が背景の画像情報に含まれていると判別したときに、密封容器からの液漏れ有りの判定を行うように構成されている。
【0007】
すなわち、密封容器にピンホールが存在する場合には、加圧中の密封容器から液体がピンホールを通して容器外面に滲み出たり、空中に噴出するように放出される。
また、密封容器に厚さが極めて薄い脆弱部が存在していると、密封容器が加圧されることによりその脆弱部が破れた場合に、容器内部の液体がその破れた箇所から容器外面に滲み出たり、空中に噴出するように放出される。
容器外面に滲み出た液体は、最終的には、容器外面を伝って容器底部などから空中に流れ落ちるように放出される。
【0008】
撮像装置は、加圧装置で加圧中の密封容器をその背景と共に撮像するので、液漏れが発生しているときには、空中に噴出するように、或いは、流れ落ちるように放出された放出液体の画像情報を含む背景の画像情報を取得することができる。
判定装置は、撮像装置で取得された画像情報に基づいて、放出液体の画像情報が背景の画像情報に含まれているか否かを判別し、放出液体の画像情報が背景の画像情報に含まれていると判別したときに、密封容器からの液漏れ有りの判定を行う。
したがって、本構成の容器の液漏れ検査装置であれば、加圧前の密封容器に水などが付着している場合でも、容器材料や充填液体の導電性に影響されることなく、放出液体の画像情報の有無に基づいて、密封容器からの液漏れの有無を検査することができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記判定装置は、前記背景の画像情報を互いに隣り合う複数の画像領域情報に分割して、前記複数の画像領域情報の少なくとも二つに前記放出液体の画像情報が含まれているか否かを判別し、前記放出液体の画像情報が含まれていると判別したときに、前記液漏れ有りの判定を行うように構成されている点にある。
【0010】
密封容器に付着している水などが単独の液滴として落下した場合は、その液滴を密封容器から放出された放出液体と誤認し易い。
本構成であれば、液体が単独の液滴として落下したような場合には、その液滴の画像情報が取得されても、複数の画像領域情報の少なくとも二つに含まれる画像情報として判別されないので、判定装置は液漏れ有りの判定を行わない。
そして、密封容器から放出された放出液体の画像情報が複数の画像領域情報の少なくとも二つに含まれていると判別したときに、液漏れ有りの判定を行うので、液漏れの有無を精度良く判定することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記加圧装置で加圧された後の前記密封容器を前記搬送装置の搬送路から排除可能な排除装置と、前記液漏れ有りの判定が行われた前記密封容器を前記搬送路から排除するように前記排除装置の作動を制御する制御装置とを有する点にある。
【0012】
本構成であれば、液漏れ有りの判定が行われた密封容器を搬送路から能率良く排除することができる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、前記加圧装置は、前記密封容器を挟持することにより、当該密封容器を加圧しながら挟持搬送可能な搬送ベルトを前記搬送装置に設けて構成してある点にある。
【0014】
本構成であれば、多数の密封容器を傷付けることなく搬送ベルトで加圧しながら搬送して、その加圧中の密封容器の画像をその背景画像と共に撮像することができるので、密封容器からの液漏れの有無を能率良く検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】容器の液漏れ検査装置を示す概略平面図である。
【図2】容器の液漏れ検査装置を示す概略側面図である。
【図3】容器の液漏れ検査装置を示す概略正面図である。
【図4】判定動作を説明するためのイメージ図である。
【図5】第2実施形態の判定動作を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図3は、本発明による容器の液漏れ検査装置を示す。
液漏れ検査装置は、液体が充填された密封してある複数の密封容器Aを搬送方向に一列に並べて搬送する搬送装置1と、搬送装置1で搬送中の密封容器Aを容器外側から加圧する加圧装置2と、加圧装置2で加圧中の密封容器Aをその背景と共に撮像する高速度カメラなどの撮像装置3と、撮像装置3で取得された画像情報に基づいて、密封容器Aからの液漏れの有無を判定する判定装置4と、撮像装置3の撮像動作及び後述する排除装置5の作動を制御する制御装置6とを有している。
【0017】
密封容器AはPET樹脂などをブロー成形して製造されたものであり、液体を充填して密封してある状態で外周側から加圧すると弾性変形する可撓性を備えている。
【0018】
加圧装置2は、直立姿勢の密封容器Aを外周側から挟持することにより、当該密封容器Aを加圧しながら挟持搬送可能な一対の搬送ベルト7を搬送装置1の途中に設けて構成してある。
一対の搬送ベルト7は、直立姿勢の密封容器Aの胴部、例えば上下方向中間箇所に形成されたくびれ部分A1を挟持することにより、当該密封容器Aを加圧しながら吊り下げ姿勢で挟持搬送することができるように、所定の張力が付与されている。
【0019】
したがって、搬送装置1は、直立姿勢の密封容器Aを加圧しながら搬送する加圧搬送部1bの前後に、密封容器Aを直立姿勢で載置搬送する第1載置搬送部1aと第2載置搬送部1cとを有する。
第1載置搬送部1aで載置搬送された密封容器Aが加圧搬送部1bに受け渡されて加圧されながら搬送され、加圧搬送部1bで加圧された後の密封容器Aが第2載置搬送部1cに受け渡されて載置搬送される。
撮像装置3は、加圧搬送部1bにおいて加圧しながら吊り下げ姿勢で搬送される密封容器Aの底部をその背景と共に撮像する。
【0020】
第2載置搬送部1cにおいて載置搬送中の、加圧装置2で加圧された後の密封容器Aを搬送路8から排除可能な排除装置5が設けられている。
排除装置5は、上下方向の軸芯Xの周りで揺動自在に支持された排除バー5aと、排除バー5aを搬送路8の横側方で待機させる待機位置と搬送路8を横断する排除位置とに亘って駆動揺動させる駆動装置5bとを有する。
排除バー5aは、待機位置から排除位置に向けての駆動揺動により、第2載置搬送部1cで搬送中の密封容器Aを搬送路8の横側方に向けて押し出して、排出シュート5cに落下させることができる。
【0021】
加圧搬送部1bには、第1載置搬送部1aから受け渡された密封容器Aを搬送始端側で感知するフォトセンサなどの入口センサ9aと、第2載置搬送部1cに受け渡す密封容器Aを搬送終端側で感知するフォトセンサなどの出口センサ9bとが設置されている。
【0022】
制御装置6は、密封容器Aが入口センサ9aで感知された後、撮像装置3の前方を通過するまでの時間を予め記憶しており、入口センサ9aによる密封容器Aの感知信号が入力されると、その密封容器Aが撮像装置3の前方を通過するタイミングで撮像装置3を作動させて、その密封容器Aを背景と共に撮像する。
【0023】
また、制御装置6は、密封容器Aの液漏れの有無が判定装置4で判定された後、出口センサ9bで感知されるまでの所定の感知時間と、密封容器Aが出口センサ9bで感知された後、排除バー5aによる排除位置を通過するまでの所定の排除時間とを記憶している。
【0024】
そして、制御装置6は、判定装置4から液漏れ有りの判定信号が入力されると、所定の感知時間が経過したときに出口センサ9bが感知した密封容器Aを液漏れ有りの判定が行われた密封容器Aとして認識し、所定の排除時間が経過したときに、排除バー5aを待機位置から排除位置に向けて駆動揺動させてその認識した密封容器Aが搬送路8から排除されるように排除装置5を作動させる。
【0025】
判定装置4は、判定プログラムが記憶されている情報処理装置(コンピュータ)で構成され、撮像装置3で取得した画像情報が入力される毎に、その入力された画像情報に基づいて判定プログラムを実行することにより、密封容器Aからの液漏れの有無を判定する。
【0026】
判定プログラムは、撮像装置3から入力された画像情報のうちの、密封容器Aから空中に略一定経路に沿って略一連に放出されている放出液体の画像情報Bが背景の画像情報Cに含まれているか否かを判別し、図4にイメージ図で示すように放出液体の画像情報Bが背景の画像情報Cに含まれていると判別したときに、密封容器Aからの液漏れ有りの判定を行う。
【0027】
尚、密封容器Aから空中に略一連に放出されている放出液体は、略一定経路に沿って一体に連続して(繋がって)放出されている放出液体だけではなく、複数の液滴が略一定経路に沿って互いに離れて放出されている放出液体を含む。
【0028】
〔第2実施形態〕
本発明による容器の液漏れ検査装置は、判定プログラムが、背景の画像情報Cを図5のイメージ図に示すように互いに隣り合う複数(本実施形態では三つ)の画像領域情報C1〜C3に分割して、複数の画像領域情報C1〜C3の夫々に放出液体の画像情報Bが略一連に連続するように含まれているか否か、或いは、複数の画像領域情報C1〜C3の少なくとも二つに放出液体の画像情報Bが含まれているか否かを判別する。
【0029】
そして、図5のイメージ図で示すように放出液体の画像情報Bが複数の画像領域情報C1〜C3の夫々に略一連に連続するように含まれていると判別したとき、或いは、図示しないが、複数の画像領域情報C1〜C3の少なくとも二つに放出液体の画像情報Bが含まれていると判別したときに、液漏れ有りの判定を行うように構成されている。
【0030】
また、密封容器Aから空中に略一連に放出されている放出液体が、複数の液滴が略一定経路に沿って互いに離れて放出されている放出液体である場合は、その放出液体の画像情報Bが三つの画像領域情報C1〜C3のうちの少なくとも二つに含まれていると判別したときに、液漏れ有りの判定を行うように構成されている。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0031】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による容器の液漏れ検査装置は、加圧装置2で加圧中の密封容器Aをその背景と共に互いに異なる角度から撮像する複数の撮像装置3と、各撮像装置3で取得された画像情報に基づいて、密封容器Aからの液漏れの有無を判定する判定装置4とを有していてもよい。
2.本発明による容器の液漏れ検査装置は、加圧搬送部1bにおいて加圧しながら吊り下げ姿勢で搬送される密封容器Aの全体をその背景と共に撮像する撮像装置3を有していてもよい。
3.本発明による容器の液漏れ検査装置は、液漏れ有りの判定結果を表示するモニターなどを有していてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 搬送装置
2 加圧装置
3 撮像装置
4 判定装置
5 排除装置
6 制御装置
7 搬送ベルト
8 搬送路
A 密封容器
B 放出液体の画像情報
C 背景の画像情報
C1〜C3 画像領域情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された可撓性を備えた密封容器を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置で搬送中の密封容器を容器外側から加圧する加圧装置と、
前記加圧装置で加圧中の密封容器をその背景と共に撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で取得された画像情報に基づいて、前記密封容器からの液漏れの有無を判定する判定装置とを有し、
前記判定装置は、前記密封容器から空中に放出されている放出液体の画像情報が前記背景の画像情報に含まれているか否かを判別し、前記放出液体の画像情報が前記背景の画像情報に含まれていると判別したときに、前記密封容器からの液漏れ有りの判定を行うように構成されている容器の液漏れ検査装置。
【請求項2】
前記判定装置は、前記背景の画像情報を互いに隣り合う複数の画像領域情報に分割して、前記複数の画像領域情報の少なくとも二つに前記放出液体の画像情報が含まれているか否かを判別し、前記放出液体の画像情報が含まれていると判別したときに、前記液漏れ有りの判定を行うように構成されている請求項1記載の容器の液漏れ検査装置。
【請求項3】
前記加圧装置で加圧された後の前記密封容器を前記搬送装置の搬送路から排除可能な排除装置と、
前記液漏れ有りの判定が行われた前記密封容器を前記搬送路から排除するように前記排除装置の作動を制御する制御装置とを有する請求項1又は2記載の容器の液漏れ検査装置。
【請求項4】
前記加圧装置は、前記密封容器を挟持することにより、当該密封容器を加圧しながら挟持搬送可能な搬送ベルトを前記搬送装置に設けて構成してある請求項1〜3のいずれか1項記載の容器の液漏れ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−57602(P2013−57602A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196479(P2011−196479)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】