説明

容器の遠心脱水装置および方法

【課題】熱風乾燥処理および容器の反転処理が不要で、容器の送込みと押出しを同時にでき、効率的で経済的に遠心脱水処理を行う。
【解決手段】回転体1の対向する両側部に形成された一対の容器収容部5a、5bの一方を最上部に位置させ、他方を最下部に位置させ、一方の容器収容部5a内に容器7を裏返して送り込み、この一方の容器収容部5a内の容器7を遠心脱水処理すべく回転体1を回転させ、この遠心脱水処理後、一方の容器収容部5aを最下部に位置させ、他方の容器収納部5bを最上部に位置させ、一方の容器収容部5aから容器7を外部に押し出すとともに、他方の容器収容部5b内に容器7を裏返して送り込んで収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分の付着した容器を回転させて遠心脱水処理する容器の遠心脱水装置および遠心脱水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や品物などを入れて搬送する、例えば折り畳み籠やパレット、クレイトなどの収容容器は、衛生面から定期的に洗浄することが必要であり、洗浄された後に再利用される。
【0003】
また、洗浄が完了した容器は、残留し付着している水分を除去するために、熱風を当てて乾燥させているが、この熱風乾燥による手段は熱風を発生するためにランニングコストがかかることに加えて、送風音などの騒音の問題や熱風による容器の余熱が残る等の課題が指摘されている。
【0004】
一方、これらの問題を解消する手段として、遠心脱水装置がある。この遠心脱水装置は、水分の付着した容器を回転させることで容器に付着した水分を遠心力の作用で振り飛ばして除去する、いわゆる遠心脱水処理するものである。従来は遠心脱水処理の処理能力を上げるために、遠心脱水装置の手前、上流側で洗浄の終わった複数の容器を積み上げ、その積み上げた状態で脱水を行っている。
【0005】
また、遠心脱水装置に搬送されている容器は、通常は、その前の工程の洗浄装置において容器内のごみ、異物などを落下させて除去するために底面が上になるように裏返されて洗浄される。この裏返しの状態では下流側の工程で不都合であるため、従来は、この裏返された容器を遠心脱水装置で遠心脱水処理した後の工程において、さらに底面が下になるように容器を表向きにひっくり返す反転処理を行っている。
【0006】
更に、容器は、遠心脱水の後、下流に搬送されてから、遠心脱水装置の外部に送り出されるが、従来は、容器が外部に完全に送り出されてから、次に遠心脱水処理される容器が上流から送り込まれてくるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−246436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来の遠心脱水装置では、洗浄工程で裏返されて洗浄され、この裏返された状態の容器を遠心脱水装置で遠心脱水した後、容器を表向きに反転する必要があり、そのための反転装置などが必要であり、非経済的であるとともに、容器の洗浄、遠心脱水ラインに反転工程を加えるためライン全体が長大化するという問題がある。
【0009】
また、容器は、遠心脱水の後、下流に搬送されてから、外部に送り出されるが、従来は、容器が外部に完全に送り出されてから、次に遠心脱水される容器が上流から送り込まれてくるようになっているため、外部への送出し動作と上流からの送込み動作とが直列的に行われ、時間が無駄にかかり、処理能力が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、熱風乾燥処理および容器の反転処理が不要で、容器の送込みと押出しを同時にでき、効率的で経済的に遠心脱水処理を行うことができる容器の遠心脱水装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、請求項1記載の容器の遠心脱水装置は、容器を回転させて遠心脱水処理する容器の遠心脱水装置であって、中心軸から離間した位置で前記容器を収容し保持する容器収容部と、この容器収容部で保持しつつ当該容器を回転せしめる回転体と、前記容器収容部を前記回転体の回転軌跡の最上部に位置決めする第1の位置決め手段と、前記容器収容部を前記回転体の回転軌跡の最下部に位置決めする第2の位置決め手段と、前記第1の位置決め手段で前記最上部に位置決めされた容器収容部内に前記容器を裏返して送り込むと共に、前記第2の位置決め手段で前記最下部に位置決めされた容器収容部内から前記容器を外部に押し出す容器搬送手段と、この容器搬送手段で容器収容部内に容器が裏返して収容された後、この収容した容器を遠心脱水処理すべく前記回転体を前記中心軸の周りに回転させるように駆動する回転駆動手段とを有することを要旨とする。
【0012】
請求項1記載の容器の遠心脱水装置では、容器を収容する容器収容部を回転体の最上部に位置させ、この容器収容部内に容器を裏返して収容するように送り込み、この容器収容部内に収容した容器を遠心脱水処理すべく回転体を回転させ、この遠心脱水処理後、容器を収納した容器収容部を最下部に位置させ、この最下部に位置決めされた容器収容部から容器を外部に押し出すとともに、最上部に位置決めされた容器収容部内に容器を裏返して送り込んで収容するため、遠心脱水処理された容器は表向きになって外部に押し出され、従来のように表向きに反転する反転装置が不要となり、経済化、効率化、迅速化を図ることができる上に、また遠心脱水処理された容器を外部に押し出すとともに、新たな容器を遠心脱水処理すべく容器収容部内に送り込むことができるというように容器押出し処理と容器送込み処理と同時にでき、搬送時間、処理時間を短縮でき、処理能力を向上することができる。更に、従来のように熱風乾燥を使用せず、騒音がないとともに、容器は遠心脱水処理で低温化されているため、従来のように冷却装置が必要なく、また冷却時間も必要とすることなく、すなわち冷却処理が必要なく、遠心脱水処理で低温化されて外部に押し出された容器に次の工程で、例えば牛乳などのように温度に弱い食品などが入れられても、食品に対して影響はなく、安全である。
【0013】
請求項2記載の容器の遠心脱水装置は、前記容器収容部は、複数の容器を収容することができることを要旨とする。
【0014】
請求項2記載の容器の遠心脱水装置では、容器収容部に複数の容器を収容でき、これにより、この複数の容器を容器収容部内に収容すべく送り込みでき、最下部に位置決めされた容器収容部から複数の容器を外部に押し出すことができ、処理時間の短縮と効率化を計れる。
【0015】
請求項3記載の容器の遠心脱水装置は、前記容器収容部は、前記収容した容器の外部への移動を防止するシャッタを有することを要旨とする。
【0016】
請求項3記載の容器の遠心脱水装置では、容器収容部にシャッタがあり、容器収容部内に収容した容器が外部に飛び出さないように防止されている。
【0017】
請求項4記載の容器の遠心脱水方法は、容器を回転させて遠心脱水処理する容器の遠心脱水方法であって、前記容器を収容し保持する容器収容部を中心軸から離間した位置に設けた回転体の容器収容部を当該回転体の回転軌跡の最上部に位置させるように前記回転体を位置決めし、この最上部に位置決めされた容器収容部内に前記容器を裏返して送り込み収容し、この収容した容器を遠心脱水処理すべく前記回転体を前記中心軸の周りに回転させて、前記容器を遠心脱水処理し、前記容器収容部を前記回転体の回転軌跡の最下部に位置させるように前記回転体を位置決めし、前記容器収容部から前記容器を外部に押し出すことを要旨とする。
【0018】
請求項4記載の容器の遠心脱水方法では、容器を収納する容器収容部を回転体の最上部に位置させ、この容器収容部内に容器を裏返して送り込み、この容器収容部内に収容した容器を遠心脱水処理すべく回転体を回転させ、この遠心脱水処理後、この容器収容部を最下部に位置させて、容器を外部に押し出すとともに、容器収納部を最上部に位置させ、この容器収容部内に容器を裏返して送り込んで収容するため、容器は表向きになって外部に押し出され、従来のように表向きに反転する反転装置が不要となり、経済化、効率化、迅速化を図ることができる上に、また容器を外部に押し出すとともに、新たな容器を容器収容部内に送り込むことができるというように容器押出し処理と容器送込み処理と同時にでき、搬送時間、処理時間を短縮でき、処理能力を向上することができる。更に、従来のように熱風乾燥を使用しないとともに、容器は遠心脱水処理で低温化されているため、遠心脱水処理されて外部に押し出された容器に次の工程で、例えば牛乳などのように温度に弱い食品などが入れられても、食品に対して影響はなく、安全である。
【0019】
請求項5記載の容器の遠心脱水装置は、前記回転体の上部を覆うように湾曲した多数の水抜孔の形成された天井外板を有し、前記水抜孔は、内周部が回転体と反対の外側に向かって突出していることを要旨とする。
【0020】
請求項5記載の容器の遠心脱水装置では、多数の水抜孔の形成された天井外板が回転体の上部を覆うとともに、各水抜孔は内周部が回転体と反対の外側に向かって突出しているため、回転体の遠心脱水処理により容器から飛んでくる水滴は水抜孔を通過して外部に放出され、この外部に放出された水滴が水抜孔と水抜孔との間の平坦部に落下して付着したとしても、この水滴が水抜孔内に入り込んで容器に付着することが防止される。
【0021】
請求項6記載の容器の遠心脱水装置は、中心が前記中心軸にある第1の位置状態においては、円弧部が前記容器収容部内の容器の外部への移動を阻止するように容器収容部の側近に位置し、中心が前記中心軸から外れた第2の位置状態においては、円弧部が前記容器収容部内の容器の外部への移動および容器収容部内への容器の外部からの搬入を可能とするように容器収容部から外れて位置する円形ストッパを更に有することを要旨とする。
【0022】
請求項6記載の容器の遠心脱水装置では、円形ストッパは第1の位置状態においては容器収容部内の容器の外部への移動を阻止し、第2の位置状態においては容器収容部内の容器の外部への移動および容器収容部内への容器の外部からの搬入を可能とするため、円形ストッパの簡単な構造により容器収容部内の容器の外部への移動を適確に阻止することができる。
【0023】
請求項7記載の容器の遠心脱水装置は、前記円形ストッパに連結され、該円形ストッパを第1および第2の位置状態に移動させるストッパ用シリンダおよびこのストッパ用シリンダを伸縮駆動する駆動手段を更に有することを要旨とする。
【0024】
請求項7記載の容器の遠心脱水装置では、ストッパ用シリンダを介して駆動手段で円形ストッパを第1および第2の位置状態に移動させている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、容器を収容する容器収容部を回転体の最上部に位置させ、この容器収容部内に容器を裏返して収容するように送り込み、この容器収容部内に収容した容器を遠心脱水処理すべく回転体を回転させ、この遠心脱水処理後、容器を収納した容器収容部を最下部に位置させ、この最下部に位置決めされた容器収容部から容器を外部に押し出すとともに、最上部に位置決めされた容器収容部内に容器を裏返して送り込んで収容するので、遠心脱水処理された容器は表向きになって外部に押し出され、従来のように表向きに反転する反転装置が不要となり、遠心脱水ラインが短縮でき、経済化、効率化、迅速化を図ることができる上に、また遠心脱水処理された容器を外部に押し出すとともに、新たな容器を遠心脱水処理すべく容器収容部内に送り込むことができるというように容器押出し処理と容器送込み処理とを同時にでき、搬送時間、処理時間を短縮でき、処理能力を向上することができる。更に、従来のように熱風乾燥を使用せず、騒音がないとともに、容器は遠心脱水処理で低温化されているため、従来のように冷却装置が必要なく、また冷却時間も必要とすることなく、すなわち冷却処理が必要なく、遠心脱水処理で低温化されて外部に押し出された容器に対してそのまま次の工程で例えば牛乳などのように温度に弱い食品などが入れられても、食品に対して影響はなく、安全である。
【0026】
また、本発明によれば、多数の水抜孔の形成された天井外板が回転体の上部を覆うとともに、各水抜孔は内周部が回転体の外側に向かって突出しているので、回転体の遠心脱水処理により容器から飛んでくる水滴は水抜孔の傾斜面に沿って流れ、さらに孔を通過して外部に放出される。さらに、この放出された水滴が天井外板の水抜孔の間の平坦部に落下して付着しても孔の傾斜により孔に入り込むことは無く、また回転体による空気の吹き出しがあることから水抜孔から水が入り込んで容器に再付着することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係わる容器の遠心脱水装置を概要的に示す斜視図である。
【図2】図1に示した遠心脱水装置を容器送込み入口側から見た正面図である。
【図3】図1に示した遠心脱水装置を容器送込み入口側から見た正面図である。
【図4】図1に示した遠心脱水装置において容器収容部内に複数の容器を収容すべく送り込む様子を示す説明図である。
【図5】図1に示した遠心脱水装置において容器収容部内に複数の容器を収容すべく送り込む様子を示す説明図である。
【図6】図1に示した遠心脱水装置において容器収容部内に複数の容器を収容すべく送り込む様子を示す説明図である。
【図7】図1に示した遠心脱水装置において容器収容部内に複数の容器を収容すべく送り込んだ後にピストンを引っ込めてから上昇させる作用を示す説明図である。
【図8】図1に示した遠心脱水装置において容器収容部内に複数の容器を収容すべく送り込んだ後に入口シャッタを閉塞する作用を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態である容器の遠心脱水装置を示す側面図である。
【図10】図9に示した容器の遠心脱水装置を示す正面図である。
【図11】本発明の別の実施形態に係わる容器の遠心脱水装置を容器送込み入口側から見た正面図である。
【図12】図11に示した遠心脱水装置の側面図である。
【図13】図11に示した遠心脱水装置において円形ストッパを上昇させた状態を容器送込み入口側から見た正面図である。
【図14】図11に示した遠心脱水装置において容器収容部内に複数の容器を収容すべく送り込む様子を示す説明図である。
【図15】図11に示した遠心脱水装置に使用されている湾曲天井外板に形成された水抜孔の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係わる容器の遠心脱水装置を概要的に示す斜視図である。同図に示す容器の遠心脱水装置100は、水平方向に長い円筒形の回転体1を有し、この回転体1は、その中心軸であって、水平に伸びている水平軸3の周りを矢印201で示すように図示しないモータなどの回転駆動手段により回転駆動されるようになっている。
【0030】
また、回転体1の水平軸3を挟んで図1では上下方向で対向する両側部には、容器を収容して保持する一対の容器収容部5a、5bが形成されている。この容器収容部5a、5bは、本実施形態では180度毎に一対設けるようにしているが、片側のみ1箇所、あるいは90度毎に二対、さらには60度毎に三対設けるようにしても良いのは言うまでもない。
【0031】
容器は、図1において回転体1の右方および左方に符号7で示すように、例えば横340mm、縦270mm、高さ200mm程度の箱型の例えばリッタークレートであり、このような箱型の容器7は、その底7aを上にして裏返された状態で、図1において矢印203で示すように図示しないベルトコンベアなどにより送り込まれながら回転体1の上側の容器収容部5a内に収容されるようになっている。なお、容器収容部5a、5bは、両者を総称して記載する場合には、単に容器収容部5と記載する。また、容器収容部5a、5bは、同じ構造および寸法であるので、回転体1の上側にあるときの容器収容部5を容器収容部5aと記載し、回転体1の下側にあるときの容器収容部5を容器収容部5bと記載することもある。
【0032】
容器収容部5は、矩形の断面をもって細長く形成され、この容器収容部5には、複数個、本実施形態では6個の容器7が容器収容部5の長手方向に直列に収容可能であるが、このように容器収容部5内に収納された容器7は、回転体1が矢印201で示すように回転駆動されると、この回転体1の回転とともに裏返された状態で回転し、遠心脱水処理を施される。
【0033】
なお、この回転により容器収容部5内に収容された容器7が外部に放り出されないように容器収容部5の外周側の開口部の両縁側には長手方向に沿って内側に突出する突出部9が形成されて、この突出部9により容器7が回転で容器収容部5の外に放り出されないように保持されている。
【0034】
また、図1において、回転体1の下側の容器収容部5bの右方には、歯車11aが設けられ、また容器収容部5bの左方には、別の歯車11bが設けられ、これらの歯車11a、11bの間にチェーン12が架け渡され、このチェーン12は歯車11a、11bの間で矢印205、208で示すように反時計方向に回転するようになっている。
【0035】
更に、チェーン12の上には、回転体1の右方に示すように、板状の押出し部材13が上向きで突出して取り付けられ、この押出し部材13は、チェーン12とともに矢印205、208で示すように反時計方向に回転するようになっている。そして、この押出し部材13は、チェーン12とともに矢印205、208で示すように回転する場合に、下側の容器収容部5bの内部を右方から左方に通過し、容器収容部5bを左側に出たところで矢印209で示すように押出し部材13はチェーン12とともに回転して、下向きになり、またチェーン12とともに容器収容部5bの下側を左方から右方に逆方向に移動し、最初の右方の位置に戻るようになっている。また、この右方の最初の位置に戻った後は、矢印211で示すように、押出し部材13はチェーン12とともに回転し、上向きの状態になる。
【0036】
なお、容器収容部5内から容器7を外部に押し出す押出し部材13やチェーン12、そして後述する容器収容部5内に容器7を裏返して送り込むベルトコンベア41、突起部43、歯車45、ピストン51、支持体53および周辺の関連装置は適宜、容器搬送手段を構成するものである。
【0037】
ところで、複数の容器7は、図1に示すように、一方の容器収容部5aが上側に位置している場合に、後述するベルトコンベアなどで搬送されながら容器収容部5aの近くまで搬送された後、矢印203で示すように後述するピストンなどにより容器収容部5a内に底7aを上にして裏返して送り込まれるようになっているが、このように容器収容部5a内に送り込まれた容器7が回転体1の回転により遠心脱水処理を受けて、水分などを除去された後は、図1において他方の容器収容部5bが位置している下側に位置するように回転体1の回転が制御手段により制御され、この下側の位置で容器収容部5aとして停止するようになっている。従って、遠心脱水処理を受けて、水分除去処理の完了した複数の容器7は、下側に位置する容器収容部5aの内部においては底7aを下にした表向きに反転された状態になっている。なお、矢印203で示す容器収容部5aの開口部は、容器7が送り込まれる容器送込み入口と称することもある。
【0038】
すなわち、図1において、容器7は、上側の容器収容部5aに送り込まれて収容されたときには、裏返した状態で収容されていたが、回転体1が回転して、遠心脱水処理を受けて、水分除去処理の完了した状態では、最初には上側にあった容器収容部5aは、下側の容器収容部5bの位置になって、上下の向きが反転しているので、この容器収容部5a内に収容されていた容器7も上下の向きが反転され、底7aが下となった表向きとなっているのである。
【0039】
従って、このように下側に位置した容器収容部5a内で表向きとなった容器7は、押出し部材13が上述したように矢印205で示すように、回転体1の容器収容部5b内を右方から左方に移動すると、この押出し部材13によって容器7は矢印205で示すように押動され、容器収容部5aの左側から左方の外部に押し出されるようになっている。そして、押出し部材13が容器7を容器収容部5から押し出した後は、矢印209で示すように、押出し部材13がチェーン12とともに下向きになり、矢印208で示すように、下向きのまま、回転体1の左方から右方に容器収容部5bの下方を移動し、最初の右方の位置に戻り、また矢印211で示すように、チェーン12とともに回転し、押出し部材13は上向きの状態になる。
【0040】
図2は、図1に示した容器の遠心脱水装置100を容器送込み入口側から見た正面図である。この容器の遠心脱水装置100は、回転体1の水平軸3を挟んで上下方向で対向する両側部に形成された容器収容部5a、5bのうちの上側の容器収容部5aには、容器7が底7aを上にして裏返して収容されている様子が図示されているが、この容器収容部5aの前には、入口シャッタ21が開閉自在に設けられ、この入口シャッタ21により容器収容部5a内に収容された容器7が容器送込み入口から外部に飛び出さないように防止されている。
【0041】
入口シャッタ21は、上端部がシャッタ軸23に回動自在に取り付けられ、このシャッタ軸23を中心に矢印221で示すように回動し、これにより容器収容部5aの容器送込み入口を開閉し得るようになっている。すなわち、回転体1の容器収容部5aの内部に容器7が送り込まれて収容され、この収容された容器7に対して遠心脱水処理を行うために回転体1を図2で矢印223、225で示すように回転駆動しようとするときには、入口シャッタ21は、図2に示すように、下方に降ろされて、容器収容部5aの容器送込み入口を閉塞し、これにより容器収容部5a内に収容された容器7が遠心脱水処理の回転の間、容器収容部5aから外部に飛び出さないように防止している。なお、容器7を容器収容部5a内に収容する場合には、入口シャッタ21は上方に上げられて、容器収容部5aの容器送込み入口を開放し、容器収容部5a内に容器7が送り込まれて収容し得るようになることは勿論である。
【0042】
また、図2において、回転体1全体は、全周囲を固定外板31で覆われて保護されているが、この固定外板31の、下側に位置する容器収容部5bのほぼ中央部分に相当する部分は、矩形に切り取られて、切欠き部33が形成され、この切欠き部33内を図1で説明したチェーン12と共に移動する押出し部材13が容器7を押し出しながら通過するようになっている。なお、図1で説明したように、押出し部材13は、チェーン12に取り付けられ、このチェーン12は歯車11a、11bに架け渡されて作動するようになっている。
【0043】
図3は、図1および図2に示した容器の遠心脱水装置100を容器送込み入口側から見た図2と同様な正面図であるが、図3は、容器収容部5aに収容された容器7が回転体1の回転による遠心脱水処理を完了した後の図であって、この遠心脱水処理の完了により図2で上側にあった容器収容部5aに収容されていた容器7が下側に位置して、この下側の位置となった容器収容部5a内において容器7は底7aを下にした表向きの状態で存在していることが示されている。なお、図3において、下側に位置する容器収容部5内に表向きで収容された容器7は、上述したように、固定外板31の切欠き部33内を通過する押出し部材13で外部に押し出されるようになっている。
【0044】
図4は、図1に示した容器の遠心脱水装置100において回転体1の容器収容部5a内に複数個、本実施形態では6個の容器7を収容すべく送り込む様子を示す説明図である。
【0045】
図4において、複数個の容器7は、底7aを上にして裏返にされた状態でベルトコンベア41上に載置されて搬送され、容器収容部5aの容器送込み入口に向けて矢印235で示すように送り込まれてくる。なお、このベルトコンベア41で搬送される複数の容器7の最後の容器7の後端部には、ベルトコンベア41上に取り付けられた突起部43が容器7の後端部に当接、若しくは当初は後端部と離間して移動している。
【0046】
ベルトコンベア41によって搬送される容器7は少なくとも一つ前の容器7を容器収容部5a内に押し込むことによって、複数の容器7がベルトコンベア41によって順次、容器収容部5a内に送り込まれる。このとき最後尾の容器7の後端部に当接または離間していた突起部43は、当該最後尾の容器7の後端部に当接し、押し込むことになる。すなわち突起部43は、最後の容器7を押動し、複数の容器7の全てを容器収容部5aに向けて送り込めるように補助するものである。
【0047】
なお、ベルトコンベア41は、左端部が歯車45に架け渡され、この歯車45によりベルトコンベア41は、矢印231、233で示すように移動すべく駆動され、これにより複数の容器7を容器収容部5aの容器送込み入口に向けて送り込むようになっている。
【0048】
また、回転体1の容器収容部5aの容器送込み入口には、上述した入口シャッタ21が取り付けられている。この入口シャッタ21は、容器7が容器収容部5a内に送り込まれてくるときには、シャッタ軸23を中心に矢印237で示すように上方に揺動して、容器送込み入口を開放するようになっている。なお、入口シャッタ21は、ピストン25により容器送込み入口を開閉するように駆動される。
【0049】
更に、容器収容部5aの容器送込み入口の上方であって、入口シャッタ21の上方には、別のピストン51が支持体53に支持されて設けられている。このピストン51は、後述する図5で説明するように、複数の容器7のうちの最後の容器7の先端が容器送込み入口から容器収容部5a内に少し入って、ベルトコンベア41による搬送およびベルトコンベア41上の突起部43による押動の後に、この押動に連動して、このピストン51が最後の容器7の後端部を後方からさらに押動して、容器収容部5a内に最後の容器7を完全に押し込むためのものである。
【0050】
図5を参照して、ピストン51について更に詳しく説明する。図5に示すように、複数の容器7のうちの最後の容器7の先端が容器送込み入口から容器収容部5a内に入って、ベルトコンベア41による搬送およびベルトコンベア41上の突起部43による押動に連動して、ピストン51は、支持体53と共に矢印241で示すように図示しない下降駆動手段により下降し、二点鎖線で示すようにピストン51の左端の先端部は、最後の容器7の後端部に当接する。
【0051】
このようにピストン51の先端部が最後の容器7の後端部に当接すると、次に図6において矢印243で示すように、ピストン51は図示しない作動手段により長く伸び、この伸びたピストン51の先端部で最後の容器7を容器収容部5a内に押し込む。
【0052】
このように最後の容器7を容器収容部5a内に押し込むと、ピストン51は図7において矢印245で示すように元の位置まで短縮し、それから図7において矢印247で示すように、ピストン51は支持体53と共に元の上方位置に戻る。
【0053】
図8は、上述した図7のようにピストン51が支持体53とともに元の上方位置に戻った後、入口シャッタ21が矢印251で示すようにシャッタ軸23を中心に回動して、容器収容部5aの容器送込み入口を閉塞した状態を示している。このように複数の容器7のすべてが容器収容部5a内に収容された後、入口シャッタ21で容器送込み入口を閉塞することにより、容器収容部5a内に収容された複数の容器7が回転体1の回転による遠心脱水処理がなされた際に、容器7の外部への飛び出しを防止することができる。
【0054】
次に、以上のように構成される容器の遠心脱水装置100の作用について全体的に説明する。
【0055】
まず、図4に示すように、入口シャッタ21が上方に移動して、容器収容部5aの容器送込み入口が開放しているとともに、ピストン51も上方に移動し、更に容器収容部5a、5bのうち一方の容器収容部5aが回転体1の上側に位置し、他方の容器収容部5bが下側に位置するように図示しない回転体1の位置決め手段により回転体1を位置決めした状態において、複数個、本実施形態では6個の容器7が底7aを上にした裏返しの状態でベルトコンベア41上に載置されて搬送されつつ、回転体1の上側の容器収容部5a内に収容されるべく容器送込み入口に向かって送り込まれてくると、このベルトコンベア41上の複数の容器7は、ベルトコンベア41による搬送およびベルトコンベア41上の突起部43による押動により図4で矢印235で示すように容器収容部5aに向かって進み、この複数の容器7のうち最後の容器7を残した前の方の容器7が図5に示すように容器収容部5aの内部に進入するが、最後の容器7は、ベルトコンベア41が歯車45のところで下方に進むので、ベルトコンベア41による搬送および突起部43による押動がなくなるため、容器収容部5aの容器送込み入口に先端部が少し入ったところでそれ以上進むことはできなくなる。
【0056】
このように最後の容器7の先端部が容器収容部5a内に少し入った状態になると、図5に示すように、上方のあるピストン51が支持体53とともに矢印241で示すように下降して、このピストン51の先端部は、最後の容器7の後端部に当接する。ピストン51の先端部が最後の容器7の後端部に当接すると、ピストン51は、図6に示すように、伸長し、その先端部で最後の容器7を容器収容部5a内に押動し、最後の容器7も容器収容部5a内に完全に収容される。
【0057】
このように最後の容器7も容器収容部5a内に完全に収容されると、図7に示すように、ピストン51は支持体53とともに上方の元の位置に戻る。ピストン51が上方の元の位置に戻ると、次に図8に示すように、入口シャッタ21が矢印251で示すように下降し、容器収容部5aの容器送込み入口を閉塞する。
【0058】
ピストン51が上方の元の位置に戻り、入口シャッタ21が容器送込み入口を閉塞すると、複数の容器7を容器収容部5aに収容した回転体1は、図2において矢印223、225で示すように回転し、この回転により複数の容器7に対して遠心脱水処理を施し、各容器7に付着した水分を除去する。
【0059】
回転体1の回転による遠心脱水処理により複数の容器7の水分が完全に除去されると、回転体1は、図3に示すように、複数の容器7を収容した一方の容器収容部5aを回転体1の回転軌跡の最下部に位置させ、他方の容器収容部5bを回転体1の回転軌跡の最上部に位置させるように図示しない位置決め手段により位置決めされ、この位置で回転を停止される。
【0060】
図3に示すように、一方の容器収容部5aを回転体1の最下部に位置させ、他方の容器収容部5bを回転体1の最上部に位置させて、回転体1の回転が停止すると、最下部に位置する容器収容部5a内に収容されている複数の容器7は、底7aが下となった表向きになっている。
【0061】
このように最下部に位置する容器収容部5a内に表向きで収容された複数の容器7は、容器収容部5aから外部に押し出されることになるが、この押し出し動作は、図1に示すように、チェーン12が歯車11a、11bにより駆動され、このチェーン12に取り付けられた押出し部材13が図1で矢印251で示すように下側の容器収容部5a内に進入し、この容器収容部5a内に収容されている複数の容器7を矢印253で示すように容器収容部5aの外部に押し出すように容器7を押動する。この結果、複数の容器7は、順次容器収容部5aから外部に押し出され、次の工程に搬送される。
【0062】
なお、上述した複数の容器7の容器収容部5aからの外部への押出し動作と同時に、この時、最上部に位置する他方の容器収容部5bの容器送込み入口を閉塞していた入口シャッタ21は、図4に示すように、上方に回動して、容器収容部5bの容器送込み入口は開放され、この開放した容器収容部5b内に上述したように、底7aを上にして裏返された複数の容器7がベルトコンベア41により容器収容部5b内に収容されるべく送り込まれる処理が図示しない制御手段により行われ、以降は上記と同じ動作が繰り返し行われる。
【0063】
上記実施形態では、最初に、上側の容器収容部5内に裏返して収容された各容器7は、遠心脱水処理を受けた後には、下側の容器収容部5から表向きに押し出されるため、従来のように、容器7を反転する反転装置が不要となり、経済化を図ることができるとともに、下側の容器収容部5から複数の容器7を押し出すと同時に、上側の容器収容部5に次の複数の容器7を送り込んで収容するという動作、すなわち容器7の容器収容部5への送込み動作と容器7の容器収容部5からの押出し動作とを同時に行うことができ、処理時間の無駄がなくなり、処理能力を向上することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、従来のように、容器7に付着した水分を除去するために熱風乾燥を使用していないため、容器7の温度が上昇することもなく、むしろ遠心脱水処理により容器7は低温化されることなる。従って、本遠心脱水装置100で遠心脱水処理で水分を除去された容器7に対して、次の工程で例えば牛乳などのように温度に弱い食品などが入れられても、食品に対して影響はない。
【0065】
次に、図9および図10を参照して、本発明の他の実施形態である容器の遠心脱水装置について説明する。図9および図10にそれぞれ側面図および正面図で示す容器の遠心脱水装置300は、図1に示した実施形態の容器の遠心脱水装置100を実際の構造に近い形で図示したものであって、基本的な機能および作用は、図1に示した遠心脱水装置100と同じである。なお、図10は、図9に示す遠心脱水装置300を容器送込み入口側から見た正面図である。
【0066】
図9および図10に示す遠心脱水装置300は、図1の遠心脱水装置100の回転体1に対応する回転体301を有するが、この回転体301は、図1に示す回転体1のように円筒形でなく、図10の正面図から分かるように、中心の水平軸303を中心に上下に延出した矩形の箱型の構造を有し、水平軸303の周りを回転するようになっている。なお、この水平軸303の周囲には、補強体304が取り付けられている。
【0067】
また、回転体301は、水平軸303を境にして、上側に容器収容部305aが設けられ、下側に容器収容部305bが設けられ、これらの容器収容部305a、305b内に容器307が収容されるようになっている。なお、図9に示すように、容器収容部305aが上側に位置している場合に、この上側に位置する容器収容部305aの中に容器307が底307aを上にして裏返して送り込まれて収容される。
【0068】
そして、このように容器307が裏返して上側の容器収容部305a内に収容されてから、回転体301の回転による遠心脱水処理により水分を完全に除去された後は、容器307を収容した容器収容部305aは、水平軸303の下側となり、この下側の容器収容部305a内においては、容器307は、底307aが下となった表向きの状態となり、前記押出し部材13に対応する押出し部材313で押動されて、外部に押し出されるようになっている。
【0069】
容器307を収容する容器収容部305a、305bを有する回転体301は、全体が矩形に枠組みされたフレーム401a、401b、401c、401dで囲まれるように保護されているが、上側のフレーム401aの上には、回転体301を回転駆動する回転体モータ403が図9に示すように取り付けられ、この回転体モータ403の回転力がベルト405を介して水平軸303に伝達され、これにより水平軸303が回転し、更に回転体301が回転するようになっている。
【0070】
また、前記押出し部材313は、回転体301の下側に沿って平行に伸びているチェーン312に取り付けられ、このチェーン312を駆動する歯車は、フレーム401bの下方に設けられている押出しモータ314によって回転駆動され、これによりチェーン312を介して押出し部材313が回転体301の容器収容部305aの中を右側から左側に容器307を押動しながら移動するようになっている。
【0071】
図10に示すように、容器収容部305aの容器送込み入口の前側には、前記入口シャッタ21に対応する入口シャッタ321がスライド式に取り付けられているが、この入口シャッタ321は、回転体シャッタ解放シリンダ421および回転体シャッタロック解放シリンダ422で作動し、容器収容部305aの容器送込み入口を開閉するようになっている。
【0072】
以上のように説明した遠心脱水装置300においては、図4で説明したようなベルトコンベア41、歯車45、ピストン51などは図示されていないが、図1に示した遠心脱水装置100と同様に、これらのベルトコンベア41などが設けられているものであり、これらのベルトコンベア41などを使用して、複数の容器307を底307aを上にした裏返した状態で遠心脱水装置300の容器収容部305a内に送り込んで収容してから、回転体モータ403で回転体301を回転して、容器7を遠心脱水処理し、この遠心脱水処理で容器7の水分が完全に除去されると、容器7を収容した容器収容部305aを下側にし、この下側となった容器収容部305aの中で表向きとなった容器7を押出し部材313を外部に押し出すというものである。
【0073】
なお、上記実施形態では、複数の容器を容器収容部内に送り込んで収容し、この複数の容器を同時に遠心脱水処理するように説明したが、本発明は、これに限定されるものでなく、容器を1個ずつ収容して、遠心脱水処理してもよいものである。
【0074】
次に、図11および図12を参照して、本発明の別の実施形態である容器の遠心脱水装置について説明する。なお、図11は、本実施形態の遠心脱水装置500を容器送込み入口側から見た正面図であり、図12は、横から見た側面図である。
【0075】
図11および図12に示す第3の実施形態の容器の遠心脱水装置500は、前記実施形態において、新たに、回転体1の上側を全体的に覆う半円筒形の湾曲天井外板35を設けた点と、容器の外部への移動を防止する入口シャッタの代わりに、遠心脱水装置500の容器送込み入口側およびその反対側に位置する容器送出し出口側の両側において回転体1に近接して配設されているリング状の円形ストッパ27a、27bを設けた点とが異なるのみであり、その他の基本的な構成は、先に説明した各実施形態の遠心脱水装置と同じである。
【0076】
ここで、その他の同じ基本的構成について簡単に説明すると、回転体1(301)、水平軸3(303)、容器収納部5a(305a)、5b(305b)、容器7(307)、突出部9の基礎構成と、底7a(307a)を上にして裏返された容器7(307)を容器送込み入口まで搬送するベルトコンベア41、このベルトコンベア41を移動させる歯車45、この歯車45の上方であって、更に容器送込み入口の上方に設けられ、ベルトコンベア41上を搬送されている容器7を遠心脱水装置の容器収容部5a内に押し込むためのピストン51が支持体53に支持されて設けられているベルトコンベア搬送構成と(図4および図14)、遠心脱水装置を全体的に囲んで保護している矩形に枠組みされたフレーム401a、401b、401c、401dのフレーム構成と、上側のフレーム401aの上に設けられ、回転体1を回転駆動するための回転体モータ403およびこの回転体モータ403の回転力を水平軸3(303)に伝達して回転体1(301)を回転させるためのベルト405を有する回転駆動構成と、下側に位置した容器収容部5b(305b)内の容器7(307)を容器収容部5b(305b)内から外部に押し出すための押出しモータ314、押出し部材13(313)、チェーン12(312)の押出し構成とは、先に説明した各実施形態の遠心脱水装置に使用されている構成と同じであり、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0077】
すなわち、本実施形態の遠心脱水装置500は、図11および図12に示すように、水平軸3の周りを回転する水平方向に長い円筒形の回転体1を有し、この回転体1の水平軸3を挟んで上下方向で対向する両側部には、容器7を収容して保持する一対の容器収容部5a、5bが形成され、この容器収容部5a、5b内に容器7が収容され、更にベルト405を介した回転体モータ403の回転力により回転体1が回転し、この回転体1の回転により容器7が回転体1とともに回転して遠心脱水処理されるとともに、押出し部材13が押出しモータ314によりチェーン12を介して回転体1の容器収容部5bの中を右側から左側に容器7を押動しながら移動し、これにより下側の容器収容部5b内の容器7を容器収容部5b内から外部に押し出す構成および作用は、先に説明した各実施形態の構成および作用と同じである。
【0078】
上述したように、本実施形態において新たに追加された前記円形ストッパ27(円形ストッパ27a、27bを総称して、添え字を除き、単に円形ストッパ27と称する)は、図11に示す状態では、水平軸3を中心とした位置である第1の位置状態に設定されていて、この第1の位置状態における円形ストッパ27の上側の円弧部と下側の円弧部は、それぞれ容器収容部5a、5bのほぼ中心の側近を通るようになっていて、これにより容器収容部5a、5b内に収容された容器7が容器収容部5a、5bの外部に出ないように阻止している。
【0079】
一方、図13は、円形ストッパ27が上方に移動した第2の位置状態を示している図であるが、円形ストッパ27は、図13で示すように上方へ移動した上方の第2の位置状態と、図11で示したように水平軸3を中心とした中心位置の第1の位置状態との2つの位置状態をとることができるように移動可能になっている。そして、円形ストッパ27は、水平軸3を中心とした中心位置の第1の位置状態では上述したように、円形ストッパ27の上側と下側の円弧部が容器収容部5a、5b内の容器が外部に出ることを阻止しているのに対して、上方に移動した上方位置の第2の位置状態では、図13に示すように、円形ストッパ27の上側と下側の円弧部は容器収容部5a、5bの中心の側近から外れ、上側の容器収容部5a内の容器7は、円形ストッパ27内を通過し得るようになり、下側の容器収容部5b内の容器7は、円形ストッパ27の下方を通過し得るようになる。
【0080】
上述したように、円形ストッパ27は、水平軸3を中心とした第1の位置状態と上方に移動した第2の位置状態の2つの位置をとることができるように上下方向に移動可能とするために、円形ストッパ27の上側の円弧部は、連結板29および連結棒39を介してストッパ用シリンダ49に接続されている。そして、図示しないシリンダ駆動手段によりストッパ用シリンダ49が上下動すると、この上下動は連結棒39および連結板29を介して円形ストッパ27に伝達され、これにより円形ストッパ27は上下方向に移動し、前記中心の第1の位置状態と上方の第2の位置状態の2つの位置状態を取り得るようになっている。なお、ストッパ用シリンダ49は、その下端部が湾曲天井外板35の上側の円弧部をねじ止めしているフレーム401aに固定されている。
【0081】
また、上述した円形ストッパ27の上下動を円滑にするために、円形ストッパ27の両側には、2本のストッパガイドレール59が垂直に設けられ、円形ストッパ27の上下動をガイドしている。
【0082】
更に、図12に示すように、半円筒形の湾曲天井外板35は、多数の水抜孔55が形成されているが、この多数の水抜孔55の各々は、図15(a)に拡大断面図で示すように、回転体1に向かう方向と逆の外側に向かう方向(図15(a)の上方)に向かって内周部が突出するように構成されている。このように構成することにより、回転体1の遠心脱水処理により容器7から飛んでくる水滴は、図15(a)で下方から水抜孔55を通過して、図15(a)の上方の外部に放出されるが、この外部に放出された水滴が水抜孔55と水抜孔55との間の平坦部57に落下して付着したとしても、この平坦部57に落下した水滴が水抜孔55内に入り込んで容器7に付着することが防止されている。すなわち、水抜孔55の内周部の突出した傾斜面部分が防壁となって、平坦部57に落下した水滴が水抜孔55内に入ることを防止している。また回転体1の回転による風で、水抜孔55からは空気が吹き出ており、この水抜孔55から内部に水が入り込むことは無い。
【0083】
なお、図15(a)に示す水抜孔55の内径aは、例えば約15mmであり、突出した内周部の麓の直径は、例えば約23mmであり、周縁部の突出した高さhは、例えば約4mmであり、この間が傾斜面となっている。また、隣接する水抜孔55の中心部間の距離は、例えば30mm程度である。
【0084】
図15(b)は、多数の水抜孔55が形成された湾曲天井外板35の一部を拡大して示す平面図であり、図15(c)は、図15(b)のA−A線に沿った断面図である。図15(c)に示すように、回転体1の遠心脱水処理により、容器7からの水滴が矢印Wで示すように水抜孔55を通過して、上方に外部に放出されるが、この外部に放出された水滴が平坦部57に落下したとしても、この平坦部57に落下した水滴が水抜孔55内に入り込むことが水抜孔55の突出した周縁部により防止され、ひいては再度容器7に付着することが防止される。
【0085】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1、301 回転体
3、303 水平軸
5、5a、5b、305a、305b 容器収容部
7、307 容器
7a、307a 容器の底
9 突出部
11、11a、11b 歯車
12、312 チェーン
13、313 押出し部材
21、421 入口シャッタ
23 シャッタ軸
27、27a、27b 円形ストッパ
29 連結板
31 固定外板
35 湾曲天井外板
39 連結棒
41 ベルトコンベア
43 突起部
45 歯車
49 ストッパ用シリンダ
51 ピストン
53 支持体
55 水抜孔
57 平坦部
59 ストッパガイドレール
314 押出しモータ
401a、401b、401c、401d フレーム
403 回転体モータ
405 ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を回転させて遠心脱水処理する容器の遠心脱水装置であって、
中心軸から離間した位置で前記容器を収容し保持する容器収容部と、
この容器収容部で保持しつつ当該容器を回転せしめる回転体と、
前記容器収容部を前記回転体の回転軌跡の最上部に位置決めする第1の位置決め手段と、
前記容器収容部を前記回転体の回転軌跡の最下部に位置決めする第2の位置決め手段と、
前記第1の位置決め手段で前記最上部に位置決めされた容器収容部内に前記容器を裏返して送り込むと共に、前記第2の位置決め手段で前記最下部に位置決めされた容器収容部内から前記容器を外部に押し出す容器搬送手段と、
この容器搬送手段で容器収容部内に容器が裏返して収容された後、この収容した容器を遠心脱水処理すべく前記回転体を前記中心軸の周りに回転させるように駆動する回転駆動手段と
を有することを特徴とする容器の遠心脱水装置。
【請求項2】
前記容器収容部は、複数の容器を収容することを特徴とする請求項1記載の容器の遠心脱水装置。
【請求項3】
前記容器収容部は、前記収容した容器の外部への移動を防止するシャッタを有することを特徴とする請求項1または2記載の容器の遠心脱水装置。
【請求項4】
容器を回転させて遠心脱水処理する容器の遠心脱水方法であって、
前記容器を収容し保持する容器収容部を中心軸から離間した位置に設けた回転体の容器収容部を当該回転体の回転軌跡の最上部に位置させるように前記回転体を位置決めし、
この最上部に位置決めされた容器収容部内に前記容器を裏返して送り込み収容し、
この収容した容器を遠心脱水処理すべく前記回転体を前記中心軸の周りに回転させて、前記容器を遠心脱水処理し、
前記容器収容部を前記回転体の回転軌跡の最下部に位置させるように前記回転体を位置決めし、
前記容器収容部から前記容器を外部に押し出す
ことを特徴とする容器の遠心脱水方法。
【請求項5】
前記回転体の上部を覆うように湾曲した多数の水抜孔の形成された天井外板を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の容器の遠心脱水装置。
【請求項6】
前記水抜孔は、当該孔の内周部が回転体に対向する外側に向かって突出していることを特徴とする請求項5項に記載の容器の遠心脱水装置。
【請求項7】
中心が前記中心軸にある第1の位置状態においては、円弧部が前記容器収容部内の容器の外部への移動を阻止するように容器収容部の側近に位置し、中心が前記中心軸から外れた第2の位置状態においては、円弧部が前記容器収容部内の容器の外部への移動および容器収容部内への容器の外部からの搬入を可能とするように容器収容部から外れて位置する円形ストッパを更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載または請求項5記載の容器の遠心脱水装置。
【請求項8】
前記円形ストッパに連結され、該円形ストッパを第1および第2の位置状態に移動させるストッパ用シリンダおよびこのストッパ用シリンダを伸縮駆動する駆動手段を更に有することを特徴とする請求項7記載の容器の遠心脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−137277(P2012−137277A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238785(P2011−238785)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(396013329)株式会社クレオ (12)
【出願人】(506314427)株式会社 オーディエム (3)
【出願人】(591002289)株式会社明治テクノサービス (4)
【Fターム(参考)】