説明

容器へと導入された電荷担体源により容器を殺菌する装置および殺菌する方法

【課題】きわめて高い加速電圧の使用を回避するプラスチック材料製の容器の殺菌方法を提供する。
【解決手段】電荷担体発生装置12を有する殺菌装置を、容器10の開口10bを通じて容器10へと導入する工程と、容器10の内壁10aを電荷担体を作用させることによって殺菌する工程とし、電荷担体発生装置12が、少なくとも部分的に容器10へと導入され、容器10の内部で電荷担体を発生させる殺菌方法とした。また少なくとも殺菌処理の前または最中の或る時間において、容器10の内部に負圧が生成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、特にプラスチック材料製の容器を殺菌するための方法および装置に関する。充てん前の容器の殺菌、ならびに実際の充てん作業は、特に無菌の充てん設備において、不可欠な処理工程である。考えられる殺菌の形態は、殺菌剤および処理の実行に関してさまざまである。しかしながら、滅菌作用が化学的なプロセスにもとづいて実行されることは、すべてに共通である。先行技術から公知のより最近の発展は、これらとは異なり、細菌の減少を達成するために電離放射線を利用する。応用の大部分において、この放射線は、相応の設備において生成され、殺菌対象の容器へと導入される、加速させられた電荷担体、特に加速させられた電子からなる。この方法の利点は、化学物質の使用を削減でき、あるいは回避できる点にある。しかしながら、これらの装置は、未だ完全には定着していない加速設備を有し、結果として高価であることに加え、比較的込み入った回路および監視を要している。さらに、生じる迷放射線ゆえに、設備全体の周囲またはこの設備の個々の部分の周囲に、遮蔽を設けなければならない。
【0002】
容器の殺菌のための装置が、特許文献1から知られている。この場合には、容器が所定の搬送経路に沿って運ばれ、より正確には処理室を通って運ばれる。ここでは、容器に電子を作用させることによって殺菌が実行され、この形式の殺菌装置は、電子を生じさせるための発生装置と、発生装置によって生じさせた電子を処理室に存在する容器の方向に加速させるための加速装置とを有している。この場合に、処理室内の気体の圧力は、処理室の外部の気体の圧力よりも低い。すなわち、電子を比較的低い圧力のもとにある領域において加速させることで、これらの電子の到達範囲を広げるべきであると提案されている。
【0003】
市場において入手可能であって、殺菌に使用される現在のシステムは、電子発生装置ならびに電子ビームを殺菌対象の容器内へと送るためのグルーピングおよび機械的な技術的解決策を有している。より正確に言うと、これらの設備の場合、通常はビームフィンガが容器の中へと導入され、電子がこのビームフィンガによって出口窓の方向に加速され、容器の内壁へ向かって出口窓を出る。ビームの作用および伝達を保証するために、電子を、通常は、高度に加速させなければならない。これに必要な加速電圧は、150kVにものぼる。結果として、電子の運動エネルギーが増加し、望ましくない放射線またはX線が同程度に生じる。
【0004】
電子ビームを生じさせるためのこれまでの設備および装置のさらなる欠点は、発生源から作用の場所までの電子の搬送の問題である。空気中に生じ、あるいは既存の出口窓に生じる途中の空間に存在する分子が、電子ビームの到達範囲をかなりの程度まで妨げる。結果として、電子の加速を相応に調節しなければならず、これは、全体としての設備のサイズ、複雑さ、危険の可能性、および遮蔽、ならびにコストを大にする工程である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009008633号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、きわめて高い加速電圧の使用を回避する方法および装置を利用可能にすることにある。さらに、容器の殺菌のためのこの形式の設備のコストを、全体として削減しなければならない。本発明によれば、これらの目的は、独立請求項の主題によって達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題を形成する。
【0007】
容器、特にプラスチック材料製の容器を殺菌するための本発明による方法の場合には、これらの容器の内壁が、電荷担体、特に電子を作用させることによって殺菌される。この目的のため、殺菌装置が、特にこの容器の開口、好ましくは口を通じて容器へと導入される。この殺菌装置は、電荷担体発生装置(charge carrier generation device)を有している。
【0008】
本発明によれば、電荷担体発生手段が、少なくとも部分的に容器へと導入され、容器の内部で電荷担体を発生させる。
【0009】
先行技術においては、電荷担体または電子が、容器の外部で生成され、容器内へと加速させられるにすぎない一方で、今や電子の発生そのものを殺菌対象の容器の中へと移動させることが提案される。このようにして、今や電荷担体が容器の内側でのみ生成される。これにより、電子を加速させるためのきわめて高い加速電圧の供給を、不要とすることができる。電子発生装置と容器の内壁との間は、通常は及ぶべき距離がきわめてわずかでしかないため、電子を大きく加速させる必要がない。
【0010】
さらなる好ましい方法の場合には、電荷担体発生装置が、容器の長手方向に容器へと導入される。容器を、殺菌そのものの最中に、特に電荷担体発生装置の容器内への挿入方向とは異なる方向に、移動させることが好都合である。上述のとおり、電荷担体は、特に電子である。
【0011】
さらに好ましい方法の場合には、負圧(大気圧に対して)が、少なくとも殺菌処理の前または最中の或る時間において、容器の内部に生成される。これにより、例えば、殺菌対象の容器に存在する粗い真空または高真空の中で、電子雲を容器の内部で生成することができる。このやり方で、電子を事実上自然発生的に該当の作用面へと運ぶことができる。妨げとなる分子が存在しないため、これに必要となるエネルギーを、近似の様相で、好都合にはさらなる加速電圧がなくても加えることができる。電子が、殺菌対象の表面におけるイオン化によって、望ましくない微生物の細胞コンパートメントおよび分子を無力化させる。
【0012】
さらなる好都合な方法の場合には、0.0005mbar〜800mbarの間、好ましくは0.0005mbar〜600mbarの間、好ましくは0.001mbar〜300mbarの間、特に好ましい態様では0.001mbar〜100mbarの間の圧力が、容器の内部に生成される。これらの圧力の比において、電子は、上述のように追加の加速電圧を不要にでき、いずれの場合もきわめて高い加速電圧を不要にできるように、比較的広い到達範囲を有する。加速電圧は、使用される場合には、好都合には100kV未満、好ましくは50kV未満、好ましくは10kV未満である。
【0013】
殺菌対象の容器が、プラスチック材料製の予備成形物であると好都合である。多数の理由で、この種のプラスチック材料製の予備成形物は、ここで実行される殺菌に特に適している。一方では、通常は円筒形の本体を有しているため、電子発生装置とプラスチック材料製の予備成形物の内壁との間の距離が、プラスチック材料製の予備成形物の長手方向において略一定なままである。さらに、プラスチック材料製の予備成形物は、きわめて高度の安定性を有しており、したがって負圧を作用させることが可能である。他の容器の場合には、この種の負圧が、容器の変形または爆縮につながる可能性すらある。
【0014】
さらに、容器を、殺菌処理の最中または上述の電荷担体発生装置の動作の最中に、特に長手軸を中心にして、電荷担体発生装置に対して回転させることも可能であると考えられる。こうすることで、容器の内壁の一様な照射を、電子が周方向において一様に放出されていない場合にももたらすことができる。したがって、今や電子を発生装置から出発して好ましい方向に加速させることも可能であると考えられる。この場合、容器を回転させることが好ましいが、容器の内側に位置する電荷担体発生装置を好ましくは長手軸を中心にして回転させることも、可能であると考えられる。
【0015】
さらなる好都合な実施形態の場合には、容器が、殺菌の最中に所定の搬送経路に沿って運ばれる。これは、円形の搬送経路であると好都合である。
【0016】
さらなる好都合な実施形態の場合には、プラスチック材料製の予備成形物が、負圧によって保持装置に保持される。したがって、プラスチック材料製の予備成形物を保持装置へと移し、次いで負圧を作用させ、さらにこの負圧によって保持装置に保持することが提案される。
【0017】
なお、本明細書において、この種の負圧は、任意でガラス製の容器においても生成できるため、ガラス製の容器もここで説明される殺菌に適する。
【0018】
さらに本発明は、容器、特にプラスチック材料製の容器を殺菌するための装置に関する。この装置は、プラスチック材料製の容器の内壁に電荷担体を作用させる殺菌装置を備えている。この場合、殺菌装置が、電荷担体を生じさせる電荷担体発生装置を備えている。
【0019】
本発明によれば、電荷担体発生装置が、容器の内部への導入が可能となるように設計される。
【0020】
すなわち、先行技術と対照的に、電荷担体発生装置そのものを(例えば、高度に加速された電子を放出させることができる出口窓にではなく)容器へと導入することが、方法に関しても提案される。電荷担体発生装置を、容器の口を通じて容器へと導入できることが好都合である。したがって、先行技術と対照的に、いかなる出口窓も容器へと導入せず、発生装置そのものを容器へと導入することが好ましい。
【0021】
さらなる好都合な実施形態の場合には、装置は、少なくとも容器の殺菌の最中の或る時間において容器を搬送する搬送装置を備える。加えて、装置は、殺菌または印加装置を容器へと導入する移動装置をさらに備える。この場合、電荷担体発生装置を、容器の長手方向に移動させることが可能であるが、電荷担体発生装置を、この長手方向について固定したままにし、容器を電荷担体発生装置に対して動かすことが好ましい。
【0022】
好ましい実施形態の場合には、装置は、複数の殺菌装置が配置される回転式のキャリアを備える。さらに好ましい実施形態の場合には、装置は、容器に負圧を作用させる圧力印加装置を備える。特に、この負圧の使用の結果として、容器の内部における電子の到達範囲を大きくすることができる。しかしながら、多くの場合に、特定の殺菌を負圧を発生させずに可能にすることも可能であると考えられる。さらに、容器そのものに負圧を作用させるだけでなく、容器が搬送される空間に負圧を作用させることも、可能であると考えられる。しかしながら、容器の内部だけに上述の負圧を作用させることが好ましい。さらに好ましい実施形態の場合には、装置は、電荷担体を前記容器の内壁の方向に案内する偏向装置を備える。これにより、例えば正の電極をプラスチック材料製の容器の外側に設け、これらのプラスチック材料製の容器を囲むことができる。
【0023】
例えば、このようにして、熱陰極を容器の内部へと導入することができる。この場合、この熱陰極を、この熱陰極を囲むガラスフラスコを備えずに導入し、必要な真空を容器そのものにおいて生成することも可能であると考えられる。好ましい実施形態の場合には、電離放射線発生装置(radiation generation device)は、容器へと導入することおよび電流を通過させることが可能な第1の電気導体を備える。それ自身は先行技術から公知であるとおり、電子が、上述の電流によって放出される。これは、例えばタングステン陰極であってよい。
【0024】
さらに好ましい実施形態の場合には、電離放射線発生装置(radiation generation device)が、容器へと導入することおよび電流を通過させることが可能な第2の電気導体を備えることができる。この場合に、この第2の導体を、好ましくは第1の導体に並列に接続することができる。この場合、電気導体の不具合の場合にも殺菌を続けることができるよう、電流を通過させることができる上述の第1の導体の不具合の場合に、第2の導体が作動させられるような設計であってよい。
【0025】
さらに本発明は、プラスチック材料製の容器の処理のための設備に関する。本発明によれば、この設備は、上述の形式の装置を備える。設備は、プラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するための装置をさらに有することが好ましい。さらに好ましい実施形態の場合には、上述の装置が、プラスチック材料製の容器の搬送の方向において、プラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するための装置の手前に配置される。さらに好ましい実施形態の場合には、設備が、プラスチック材料製の予備成形物を加熱するための加熱装置をさらに備え、この場合には、この加熱装置が、プラスチック材料製の予備成形物の搬送の方向において、プラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するための装置の手前に配置される。
【0026】
この場合に、本発明による装置を、プラスチック材料製の予備成形物の搬送の方向において、加熱装置とプラスチック材料製の予備成形物をプラスチック材料製の容器へと成形するための装置との間に配置することができる。しかしながら、本発明による装置を、例えばプラスチック材料製の予備成形物を加熱するための加熱装置の入り口領域の手前または入り口領域など、この加熱装置の手前に配置することが好ましい。
【0027】
さらなる利点および実施形態が、添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】本発明の根底にある課題を説明するための概略図である。
【図1B】本発明の根底にある課題を説明するための概略図である。
【図2】本発明に係る装置の側面図である。
【図3】本発明に係る装置の詳細図である。
【図4】さらなる実施形態における本発明に係る装置の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1Aおよび図1Bは、本発明の根底にある課題を説明するための2つの図である。この場合、電荷担体を発生させる電荷担体発生装置(charge carrier generation device)が、参照符号12で示されている。ここでは点線によって示されている複数の障壁30aが、この電荷担体発生装置12と容器10との間に存在している。例として、殺菌装置の出口窓、空気、などが、この種の障壁となり得る。このように、電子ビームを生じさせるための従来の設備および装置の主たる欠点の1つは、電子を発生源から作用の場所まで運ぶという問題である。途中の空間に存在し、空気中に生じ、あるいは既存の出口窓に生じる分子が、電子ビームの到達範囲をかなりの程度まで妨げる。
【0030】
この結果として、電子の加速を相応に調節しなければならず、これは、全体としての設備のサイズ、複雑さ、危険の可能性、遮蔽、およびコストを大にする工程である。
【0031】
電子の到達範囲の拡大に関し、上述の不利な因子をもたらすことなく、それでもなお適切な殺菌を実行するために、必要とされる電子について、電荷担体発生源から作用の場所までの移動の距離を小さくするような措置をとることが提案される。これが、図1Bに示されている。この場合には、障壁30aが削減されており、結果として電子の移動の経路が大きくなっている。ここで、矢印P1と比べてより大きい矢印P2が、容器10、より正確には、容器10の内壁に達する電子の数がより多いことを概略的に示している。
【0032】
図2は、本発明に係る装置1の概略図である。この場合、軸を中心にして回転可能であり、あるいはシャフト18によって回転可能であるキャリア8が設けられ、キャリア8上に、複数の処理ステーションまたは殺菌装置2が存在している。
【0033】
この場合、それぞれの容器10を、把持装置によって装置1へと移すことができ、この把持装置が、外側、特に保持リングの下方からプラスチック材料製の容器を把持することが好ましい。その後に、容器は、保持装置によって固定される。より正確には、各々のステーションまたは殺菌装置2において、容器またはプラスチック材料製の予備成形物を、搬送スターホイールの外部の把持具によって適切な形状のドッキング領域へと案内することができる。参照番号26は、例えば、電子発生装置がプラスチック材料製の容器の内部に達するようなやり方でプラスチック材料製の予備成形物をキャリア8へともたらす昇降装置を概略的に示している。したがって、プラスチック材料製の容器を途中で移動させ、あるいは回転させることが好ましい。この場合には、プラスチック材料製の予備成形物の首部の表面が、ドッキング領域に接触する。負圧の設定の初期において、転送スターホイールの外部の把持具は、プラスチック材料製の容器を依然として保持でき、適切な負圧(例えば、800mbar以下)において、供給スターホイールの外部の把持具上にプラスチック材料製の容器を解放することができる。次いで、このようにして得られたプラスチック材料製の容器が、電荷担体発生装置をオンにすることによって照射される。
【0034】
予備成形物のサイズに応じた処理時間の後で、照射の処置は停止される。これを、例えば、照射の電流をオフにし、好ましくはその後に周囲の空気を導入することによって実行することができる。圧力が等しくなった状態、または圧力が等しくなろうとする最中に、プラスチック材料製の容器を、取り出しスターホイールの外部の把持具によって再び把持することができる。この場合、電荷担体発生装置を傷めることがないように、プラスチック材料製の容器を再び下方へと引き下げることもできる。
【0035】
任意の外側の消毒は、内部の処理手段の前または後ろに接続されたさらなるビーム放射器、例えば、表面放射体などによって実行することができる。さらに、内部の消毒の最中にプラスチック材料製の容器の外側の照射を行うことも、可能であると考えられる。
【0036】
殺菌システム、すなわち電荷担体発生装置の作動を、この場合には、負圧の生成の前または後に開始させることができる。
【0037】
図3は、本発明による装置の実施形態を示している。この場合にも、容器の内側の殺菌に使用される電荷担体発生装置12が、やはり設けられている。参照番号16は、容器10が負圧によって配置される保持装置を指している。参照番号20は、この場合には、プラスチック材料製の容器10の内部に真空を生成することによってプラスチック材料製の容器を保持装置16に固定する圧力印加装置を指している。本発明による装置の主たる利点は、比較的少ない手間しか必要とせず、比較的単純である、ここで提案されるとおりのプロセスの結果として生じる。生じる迷放射線は最小限であり、エネルギーの消費も少ない。参照番号10aは、プラスチック材料製の容器10の内壁を指しており、参照番号10bは、プラスチック材料製の容器10の開口または口を指している。
【0038】
参照番号32は、電子をプラスチック材料製の予備成形物の内壁の方向に移動させる電子伝導装置を指している。この電子伝導装置を、この場合には、正の電荷が作用させられるスリーブの形態に設計することができる。さらに、電子伝導装置を、破線34によって示されているように、プラスチック材料製の予備成形物の1つの領域だけに位置させ、さらにプラスチック材料製の予備成形物をそれらの長手方向Lを中心にして回転させることが、可能であると考えられる。
【0039】
高度に加速させられた電荷担体によって容器の適切な殺菌が可能なだけでなく、電荷担体がプラスチック材料製の予備成形物または容器10の(内)表面にそれぞれ到達すれば充分でありうることを、確かめることができた。参照符号Lは、容器10の長手方向を指している。
【0040】
図4は、本発明による装置のさらなる実施形態を示している。ここでは、図3の実施形態の場合にも存在する電気導体22に加えて、ここでは代替の放射体として機能するさらなる導体24が設けられている。この代替の放射体を、この場合には、導体22に対して平行または導体22からずらして設けることができる。この場合、制御装置が第1の導体22の損傷を確認した場合に、第2の導体24を作動させて電荷担体を発生させることができる。
【0041】
先行技術からの装置と対照的に、ここでは、複雑な電子加速装置も、放射体の出口と容器の入り口との間の移動の経路も、なしで済まされる。このように、大きな相違は、本発明においては、加速電圧を存在させず、あるいは最小限の加速電圧だけで、電子雲が殺菌の目的に使用される点にある。このやり方で、いくつかの利点がもたらされる。第1に、従来の加速電圧がなしで済まされ、結果としてエネルギーを節約することができる。さらに、電子における作用の運動エネルギーが小さくなり、したがって生じるX線照射の削減が達成される。加えて、加速電圧の生成に必要な高電圧の発生器をなしで済ますことができ、必要な遮蔽の厚さも減らすことができ、設備を全体として簡略化でき、その場合にはコストの削減も可能である。
【0042】
したがって、きわめて低い加速電圧で周囲の容器の表面へと運ばれ、あるいは加速電圧を必要とせずに周囲の容器の表面へと運ばれる電子雲を、高真空において生じさせることが好ましい。
【0043】
本出願の出願人は、本件の出願書類において開示したすべての特徴を、それらが単独または組み合わせにおいて先行技術と比べて新規である限りにおいて、本発明に不可欠であるとして請求する権利を留保する。
【符号の説明】
【0044】
1 装置
2 殺菌装置
8 キャリア
10 容器
10a 内壁
10b 容器の開口
12 電荷担体発生装置
16 保持装置
18 シャフト
22 電気導体
24 さらなる電気導体
26 昇降装置
30a 障壁
32, 34 電子伝導装置
L 長手方向
P1、P2 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(10)、特にプラスチック材料製の容器の殺菌方法であって、
電荷担体発生装置(12)を有する殺菌装置(2)を、前記容器(10)の開口(10b)を通じて前記容器(10)へと導入する工程と、
前記容器(10)の内壁(10a)を、電荷担体を作用させることによって殺菌する工程と、
を含み、
前記電荷担体発生装置(12)が、少なくとも部分的に前記容器(10)へと導入され、前記容器(10)の内部で電荷担体を発生させる工程を含むことを特徴とする殺菌方法。
【請求項2】
少なくとも殺菌処理の前または最中の或る時間において、前記容器(10)の内部に負圧が生成されることを特徴とする請求項1に記載の殺菌方法。
【請求項3】
0.0001mbar〜800mbarの間、好ましくは0.0003mbar〜600mbarの間、好ましくは0.001mbar〜300mbarの間の(負)圧が、前記容器(10)の内部に生成されることを特徴とする請求項2に記載の殺菌方法。
【請求項4】
前記容器(10)が、プラスチック材料製の予備成形物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記容器が、殺菌の最中に所定の搬送経路に沿って運ばれることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の殺菌方法。
【請求項6】
前記プラスチック材料製の容器(10)が、負圧によって保持装置(16)に保持されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の殺菌方法。
【請求項7】
プラスチック材料製の容器(10)の内壁(10a)に電荷担体を作用させる殺菌装置(2)を備え、
該殺菌装置(2)が電荷担体を生じさせる電荷担体発生装置(12)を備えている、容器(10)、特にプラスチック材料製の容器(10)を殺菌するための装置(1)であって、
前記電荷担体発生装置(12)が、前記容器(10)の内部への導入が可能となるように設計されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項8】
少なくとも前記容器(10)の殺菌の最中の或る時間において該容器(10)を搬送する搬送装置(8)を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記容器(10)に負圧を作用させる圧力印加装置(20)を備えることを特徴とする請求項7または8に記載の装置(1)。
【請求項10】
電荷担体を前記容器(10)の内壁(10a)の方向に案内する偏向装置(32、34)を備えることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記電荷担体発生装置(12)が、前記容器(10)へと導入することおよび電流を通過させることが可能な第1の電気導体を備えていることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記電荷担体発生装置(12)が、前記容器(10)へと導入することおよび電流を通過させることが可能な第2の電気導体(24)を備えていることを特徴とする請求項11に記載の装置(1)。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−79107(P2013−79107A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−213331(P2012−213331)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】