説明

容器をシールする方法および装置

【課題】 本発明は、容器のシーリング、たとえばポリマーディスクから形成した容器であって、粉末形態の薬剤配合物を収容する薬剤ポケットを含む容器のシーリングについてのものである。
【解決手段】 本発明は、複数の孔を含み、孔の各々がディスクに摺動自在に連結したポケットを含むポリマー・ディスクをバリヤ・フォイルでシールするのに使用するためのプラテンに関するもので、このプラテンは、ポリマー・ディスクの孔に対応する孔領域および少なくとも1つの隆起とを含み、孔領域には隆起がなく、隆起が孔領域から隔たっている。さらに、本発明は、複数の孔を含み、各孔がディスクに摺動自在に連結したポケットを含むポリマー・ディスクをバリヤ・フォイルでシールする方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器のシーリングに関する。たとえば、本発明は、ポリマー・ディスクから形成した容器であって、粉末形態の薬剤配合物を収容する薬剤ポケットを含む容器のシーリングに関する。
【背景技術】
【0002】
熱および/または圧力を用いてポリマー容器にアルミニウムフォイル積層材を接着することは、外部環境からの來雑物、たとえば、湿気の侵入を防ぐべく薬剤パッケージをシールする方法として十分に確立している。シールは、アルミニウムフォイルに積層したヒートシール・ポリマーを容器のポリマー表面に溶融させ、次いでヒートシール・ポリマーが容器の溶融または軟化した層と融着するように圧力を加え、フォイルを容器に接着する。シールの良否は、シーリング領域全体にわたってヒートシール・ポリマーが容器に充分に融着しているかどうかに依存する。
【0003】
アルミニウムフォイルはほぼ実質的に完全な防湿層となるが、積層材のヒートシール層は、湿気侵入に対して完全に不浸透性ではないので、湿気が通過して容器の内容物(たとえば、薬剤製品)に達する通路となる。それでも、ヒートシール層が薄く、外部環境にさらされる層の表面と内容物との距離が充分に長ければ、ヒートシール層を通しての湿気侵入を許容レベルまで減らすことはできる。
【0004】
シールはホット・ローラまたはホット・フラット・プラテンを使用して形成できる。ヒートシール層および容器の接触面の薄い層を溶融するのに充分な温度および接触時間を使用する。次いで加えられた圧力が2つの溶融層を相互に融着させ、シーリング領域全体が共に押圧されるまで溶融した材料を接触領域上のいかなる突出点からも離れる方向に流動させる。これにより、良好なシールがシーリング領域全体にわたって確実に形成されることになる。
【0005】
しかしながら、この公知方法にはいくつかの問題がある。まず、この方法は、全ての種類の容器で用いるのには適していないのである。第2に、ヒートシール・ポリマーの薄い層は、容器シーリング表面の仕上げの際の比較的大きいばらつきまたは不完全さに対応することができないのである。第3に、シールの完全性が、容器のシール表面上にあるか、または、積層材のヒートシール層により担持された來雑物(たとえば薬剤粒子)によって損なわれる可能性がある。
【0006】
上記在来のシール方法が適していない容器のタイプがWO03/015857、WO03/066470およびWO05/002654に記載されている。このような容器としては、中心軸のまわりに円形配列となるように複数の穴を貫通形成した環状ディスクがある。各孔はそこにぴったりと嵌合するポケットを収納し、ポケットは孔の外に向かってディスクに対して移動することができる。ポケットは、粉末形態の活性物質を含む薬剤配合物を収容できる。活性物質を保護するために、ディスクは、頂面および底面(すなわち、ディスクの2つの主要面)上にバリヤー層を含む。使用時には、頂部バリヤー層を貫いて各ポケットを孔から順番に押し出し、粉末配合物を送達装置に露出させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の容器においては、ポケットは、ディスクに対して摺動して孔から出る必要がある。したがって、ポケットは、力を加えたときにディスクに対して自由に移動できなければならない。ポケットが移動するためには、孔は、ヒートシール・ポリマーから自由になっていなければならない。そして、ポケットがディスクから出るのを妨げたり、邪魔したりするようないかなるゆがみもあってはならない。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題のうち少なくとも1つを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、複数の孔を含み、これらの孔の各々がディスクに摺動自在に連結したポケットを含む、ポリマー・ディスクに対して、バリヤ・フォイルのシーリングで使用するためのプラテンが提供される。このプラテンは、ポリマー・ディスクの孔に対応する孔領域と少なくとも1つの隆起とを含み、孔領域には隆起がなく、隆起は孔領域から隔たっている。
【0010】
1つまたはそれ以上の隆起、および隆起のない孔領域を含むプラテンを提供するということは、ディスクの各孔に隣接する領域がプラテンからの圧力を受けないということを意味する。したがって、たとえバリヤ・フォイルのヒートシール層が孔に隣接する領域で溶融したとしても、孔と接触するように押されることがなく、それにより、ヒートシール・ポリマーを孔内へ流動させてポケットを孔に接着することがない。
【0011】
さらに、ポリマー・ディスクは、典型的には射出成形で形成される。このプロセスで、ポリマー材料が冷えるにつれて収縮し、頂面および底面に浅いくぼみを残すのが普通である。本発明によるプラテンを使用すると、上記のような変形を含む、バリヤ・フォイルを表面にシーリングする際の問題が解消する。
【0012】
さらにまた、万が一ディスクの表面になんらかの來雑物、たとえば、薬剤粉末がある場合には、隆起によって加えられる相対的に高い局所的な圧力によってヒートシール材料およびディスク・ポリマー材料が隆起から離れる方向に流動し、これがシール領域の下から來雑物を取り除き、良好なシールを達成できる。
【0013】
またさらに、孔領域から隔たって設けた隆起は、使用時に、ポケットが孔から滑り出ることができないほどプラテンがディスクの孔をゆがませることがないということを意味する。
【0014】
「バリヤ・フォイル」という用語は、外部環境との接触によってディスク内容物が劣化するのを防いだり、制限したりする、ディスク表面にシールすることができるあらゆるシートとして解釈されるべきである。バリヤ・フォイルは、典型的には、外側層としてヒートシール層を含む積層材からなり、このヒートシール層は、熱によって活性化され、バリヤ・フォイルをディスクに接着するように作用するヒートシール・ポリマーを含む。バリヤ・フォイルの一例として、アルミニウム層とヒートシール・ポリマー層との積層材を含む。
【0015】
しかしながら、アルミニウム層の代わりに別の金属フォイルまたはポリマー・シートを使用してもよい。さらに、多層積層材を使用してもよい。
【0016】
ここで、「摺動自在に連結される」という用語は、ポケットと孔の関係を定めるのに用いている。ポケットは、孔内に位置するが、このポケットは適切な力を加えた際に孔に対して摺動または移動して孔から出ることができる。孔は、ディスク材料によって定められ、両端が開いており、これらの開放端はバリヤ・フォイルによって閉ざされる。したがって、孔の1つの開放端のところでバリヤ・フォイルを貫いて押し出すことによってポケットを孔から出すことができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、プラテンは環状である。環状プラテンは、ディスクの少なくとも一部に適合することができ、プラテンの形成で使用する材料が最小限で済む。その結果、プラテンを加熱しやすくなり、周囲温度より高い温度を維持するのに使用するエネルギが少なくなる。また、製造コストも減る。
【0018】
ディスクの孔は、円形配列で配置してもよく、典型的には、ディスクの中心軸から等間隔で設置できる。したがって、プラテンの孔領域をディスクの孔に一致させるためにプラテンの孔領域を円形配列に配置できる。
【0019】
上述したような本発明の一実施形態においては、プラテンは少なくとも1つの円周方向隆起を含む。この隆起は、単一の円形隆起であるか;半径方向に少なくとも2つの隆起部分を提供する、単一の螺旋形の隆起であるか、すなわち、この螺旋形は、プラテンまわりに少なくとも2つの旋回部を含み、したがって、隣接した隆起部分を与え;または、2つまたはそれ以上の個別の円形隆起または個別の螺旋形隆起を含んでもよい。円周方向隆起は、プラテンの孔領域とプラテンの周縁との間に位置する。
【0020】
ディスクの薬剤ポケットへの湿気進入は、典型的には、ヒートシール・ポリマー層を経て生じる。したがって、円筒形のディスクの場合、外部環境にさらされるヒートシール・ポリマーの唯一の部分はディスクの周縁にある。プラテン上に少なくとも1つの円周方向隆起を設けることによって、ディスクの周縁と孔内のポケットとの間で良好なシールが行われる。これがヒートシール層を経た湿気進入を最小限に抑える。
【0021】
場合により、使用時に最も外側の隆起とディスクの縁との間にギャップを定めるように円周方向隆起を配置する。これにより、ディスクの縁がシーリング・プロセス中にゆがんでしまうというリスクを回避または低減できる。或る種の用途において、特に、ディスクの正確なアライメントを必要とする場合には、ディスクの縁がゆがまないようにすることが重要である。
【0022】
先に述べたような本発明のさらに別の実施形態においては、プラテンは、2つまたはそれ以上の円形の隆起、または、プラテンまわりに少なくとも2つの完全な旋回部を有する螺旋形の隆起と、隣接する円周方向隆起または隆起部分(螺旋形隆起の場合)を架橋する複数の横方向隆起とを含む。
【0023】
このプラテンの性質は、ディスクをシールした後、隆起によって形成されたシール間に良好なシールが形成されなかった領域がある可能性があるということである。換言すれば、プラテン上の隆起間のギャップに対応する領域において、バリヤ・フォイルとディスク表面との間にギャップが形成される可能性があるということである。したがって、この領域に侵入するいかなる湿気も、ギャップ(すなわち、ディスクの隣接したシール部分間のギャップ)によって形成される流路を通って自由に移動するだろう。したがって、プラテン上の円周方向隆起または隆起部分を架橋する横方向隆起を設けることで、円周方向シール間に形成されるいかなる流路の連絡性をも制限し、これらの流路内の湿気移動を低減するのである。
【0024】
先に述べたような本発明のさらに別の実施形態においては、プラテンは、隣接した孔領域間を延びる少なくとも1つの半径方向の隆起を包含する。この半径方向隆起は、孔領域間の連絡を阻止し、1つのポケットから隣接したポケットへ湿気が移動する可能性を最小限に抑える。
【0025】
先に述べたような本発明のまたさらに別の実施形態においては、プラテンは、孔領域とプラテンの中心軸との間に位置した少なくとも1つのコア隆起を含む。このコア隆起は、円周方向隆起に類似しているが、孔領域の外側ではなくて孔領域の内側に位置する。したがって、コア隆起は単一の円形隆起であるか;半径方向に少なくとも2つの隆起部分を提供する、単一の螺旋形の隆起であるか、すなわち、この螺旋形は、プラテンまわりに少なくとも2つの旋回部を含み;または、2つまたはそれ以上の個別の円形隆起または個別の螺旋形隆起を含んでいてもよい。
【0026】
コア隆起は、環状の形状であるディスクをシールするのに有用である。上述したように、円筒形のディスクは、外部環境にさらされるヒートシール・ポリマーの縁部分を1つしか持たない。それに対して、環状ディスクは、露出した縁部分を2つ、すなわち、環体の周縁と内縁とを有する。ヒートシール層の内縁を経てディスクのポケットに湿気が侵入するのを制限または阻止するために、上述したように少なくとも1つのコア隆起を含むプラテンを用いてディスクの内縁とポケットとの間に良好なシールを創り出すことができる。
【0027】
先に述べたような本発明のまたまたさらに別の実施形態においては、プラテンは、2つまたはそれ以上の円形のコア隆起、または、隣接した隆起部分を与える少なくとも2つの旋回部を包含する螺旋形隆起を含む。この場合、隣接したコア隆起または隆起部分を架橋して少なくとも1つの架橋隆起を設ける。
【0028】
上述したように、架橋隆起または横方向隆起の目的は、隣接したコア隆起によって作られたシール間に形成されてしまう可能性のあるあらゆる流路間の、またはこれらの流路に沿った連絡をも制限することにある。
【0029】
先に述べたような本発明のさらに別の実施形態においては、プラテンは、複数の孔隆起を含み、これらの孔隆起の各々は、プラテンのそれぞれの孔領域を取り囲み、孔領域と孔隆起との間にギャップを構成するように配置する。
【0030】
孔隆起は、使用時、ディスクにおける孔および薬剤ポケットまわりに良好なシールを与える。これにより、薬剤ポケットへの湿気侵入をさらに最小限に抑えることができる。孔隆起と孔領域との間のギャップは、プラテンによってディスクに圧力を加えるシーリング・プロセス中にディスクの孔をゆがませるのを阻止するのに必要である。ギャップがないと、或る種のディスク・ポリマー材料では、材料が孔隆起によって孔内に流動させられ、ポケットがディスクに対して摺動して孔から出るのを妨げるか邪魔する可能性がある。したがって、このギャップは、プラテンがディスクと接触するように押されたときに孔隆起によってディスクの孔がゆがむのを防ぐことができる。
【0031】
先に述べたような本発明のさらに別の実施形態においては、プラテンの隆起は、鋭い縁をもたない接触領域を含む。バリヤ・フォイルをディスクにシールするときに、プラテンの隆起は比較的に高い局所的圧力を発生し、これがバリヤ・フォイルをゆがませる。隆起の接触領域または接触部分に鋭い縁がないことから、シーリング・プロセス中にバリヤ・フォイルが裂ける可能性が減る。
【0032】
隆起の「接触領域」は、シーリング・プロセス中にバリヤ・フォイルと接触するように押圧される隆起の一部と解釈されるべきである。
【0033】
隆起の接触領域は、典型的には、隆起の頂点であり、丸い輪郭を有する、すなわちほぼ一定の半径を有する隆起の頂点であり、鋭い縁をもたない隆起の一例である。
【0034】
上述したように、射出成形で形成されたディスクは、冷却時に表面ゆがみを生じる。このようなゆがみは、ディスクの表面にくぼみと突出点を形成する可能性がある。ディスクの表面における最大高さ変化(すなわち、突出点の頂点とくぼみの底との差)をhとすると、隆起の高さH(すなわち、隆起がプラテンの表面から延びる最大距離)を、H/hの値が2〜8の範囲になるように設定するとよい。本発明の或る実施形態は、H/h値が2.5〜3.5の範囲になる隆起を包含し得る。換言すれば、隆起の高さは、シールしようとしているディスクの最大高さ変化の2〜8倍(場合によっては、2.5〜3.5倍)となるように選定するとよい。
【0035】
2〜8のH/h値であれば、ディスクの表面に欠陥があっても確実に良好なシールを達成できる。
【0036】
先に述べたような本発明のさらに別の実施形態においては、プラテンは、プラテンを周囲温度より高い温度まで加熱できる熱源を含む。プラテンは、さらに、プラテンを所定の高い温度に維持する制御機構を含んでいてもよい。
【0037】
本発明の第2態様は、複数の孔を包含し、各孔がディスクに摺動自在に連結されたポケットを収容しているポリマー・ディスクをバリヤ・フォイルでシールする方法であって、
i.接着剤層を含むバリヤ・フォイルをディスクに貼付する工程;ならびに
ii.本発明の第1態様において先に記載したようなプラテンを介してバリヤ・フォイルの領域に熱と圧力を加える工程であって、加えた熱および圧力がディスクをバリヤ・フォイルでシールするのに充分である工程
とを含む方法を提供する。
【0038】
熱および圧力は、所定時間加えるとよい。この時間としては、ディスクをゆがませたり、ポケットの内容物が温度感受性であるときにポケットの内容物を加熱したりすることなく、ディスクにバリヤ・フォイルをシールするのに充分な時間である。したがって、温度および圧力は、良好なシールを達成できる最短時間加えると望ましい。この時間は、たとえば、0.1〜3.0秒、より詳しくは、0.3〜1.0秒でもよい。
【0039】
先に述べたような本発明のさらに別の実施形態においては、プラテンを介してディスクに加えられる圧力は、1〜20バール、より詳しくは2〜10バールである。
【0040】
先に述べたような本発明のまたさらに別の実施形態においては、プラテンは、90〜200℃の温度まで加熱する。プラテンの温度は、125〜150℃となるように選ぶとよい。たいていのヒートシール・ポリマーは、90〜200℃の融点を有する。したがって、90℃より低いプラテン温度は、ヒートシール・ポリマー層を溶融させるには低すぎるかも知れないし、200℃より高いと、ディスクまたはその内容物に損傷を与えるリスクがあり、いずれにしても、なんの利点もなく作業コストを高めることになる。それにもかかわらず、ヒートシール・ポリマーの選択は、より低い温度を使用することになるか、より高い温度を使用する必要が生じるかも知れない。
【0041】
特に明記しない限り、上記の実施形態は排他的であることを意図していない。したがって、本発明の実施形態において、先に説明した個々の特徴のうちどの2つまたはそれ以上の特徴を本発明の第1、第2の態様と組み合わせることができる。したがって、ここで使用した「実施形態」なる用語は、「あらゆる先行する実施形態または態様において定義したような発明の一実施形態」と解釈されるべきである。
【0042】
以下、添付図面を参照しながら本発明の特定の実施形態を例示、説明する。
図1は、本発明によるプラテンの頂平面図である。
図2は、図1に示すプラテンの或る領域の拡大図である。
図3は、図1に示すプラテンの部分を通る断面図である。
【0043】
図1は、周縁4および内縁6を有する環状プラテン2を示している。プラテンは、その軸まわりに円形配列で配置した複数の孔領域8を含む。孔領域8は、いかなる隆起も持っておらず、シールしようとしているディスクの孔に対応するように配置してある。
【0044】
孔領域8と周縁4との間には4つの同心の円周方向隆起10が設けてある。円周方向隆起は、図3に断面で示してあり、各々、0.5mmの直径aと0.3mmの高さbとを有する。ここで、高さは、隆起がプラテンの表面から外方へ突出する最大距離と定義する。図3からわかるように、隆起10、12、14、16、18、20の頂点は丸くなっており、実質的に一定の半径を有する。
【0045】
図1、2に示すように、隣接した円周方向隆起10は、多数の半径方向隆起12で結合してあり、これらの半径方向隆起12は、隣接した円周方向隆起10の定める流路内で円周方向に隔たって配置してある。半径方向隆起12に近接している円周方向隆起10の部分は、幅が0.5mmから0.4mmまで減っている。これは図2でより明瞭にわかる。図2において、円周方向隆起10が半径方向隆起12で結合する点で円周方向隆起10の各々に円弧状の凹部22が形成してある。
【0046】
プラテン2の孔領域8と内縁6との間に4つの同心のコア隆起14が設けてある。コア隆起14は、円周方向隆起10と同様に配置してあり、隣接したコア隆起14によって構成された流路内でとびとびに架橋隆起18が隣接したコア隆起14を架橋している。
【0047】
孔領域8の各々の間には半径方向隆起16があり、この半径方向隆起16は、最外方のコア隆起14から最内方の円周方向隆起10まで延びており、孔領域8間にランド部を形成している。
【0048】
孔領域8の各々を取り囲んで孔隆起20がある。孔隆起20は、シーリング・プロセス中にディスクの孔のゆがみを防ぐか最小限に抑える距離だけ孔領域8から隔たっている。
【0049】
プラテンは熱源(図示せず)を含んでいるが、この熱源は当該技術分野では普通であるからここではこれ以上詳しく説明しない。
【0050】
使用時、プラテンは、環状高密度ポリエチレン(HDPE)ディスクをシールするのに用いる。HDPEディスクは、その中心軸まわりに円形配列で配置した複数の孔を含み、各孔内には薬剤ポケットがぴったりと保持されている。薬剤ポケットは、各々、粉末形態の薬剤配合物を収容している。ディスクは、射出成形で形成してあり、0.05〜0.15mmの表面高さ変化を持つ。これにより、少なくとも2のH/h値(ディスクの隆起高さ/表面高さ変化値)が得られる。
【0051】
ヒートシール・ポリマー層を含むアルミニウムフォイル積層材をディスクを覆うように置き、次いで、図1〜3を参照しながら、先に説明したプラテンをディスクに向かって押圧する。プラテンは、積層材のヒートシール・ポリマーとディスクのシーリング表面のHDPEの両方を融解させるに充分な温度に維持する。隆起がアルミニウムフォイルと接触すると、プラテンからの熱がアルミニウム層を通って隆起の直ぐ下にあるヒートシール層およびディスク表面のHDPEに伝わる。隆起の下にあるヒートシール層およびHDPEポリマーが共に融解し、プラテンからの圧力が隆起をディスク表面に押し付け、溶融HDPEを隆起の両側に移動させる。
【0052】
プラテンは、移動したHDPEが隣接した隆起間の流路を満たすまでディスクに向かって押圧する。換言すれば、2つの隣接した隆起で構成された流路内に残っている残留量がゼロに達するまで押圧する。この時点で、プラテンの隆起は、移動した材料が流れることができるところはどこにもないので、ディスク内へのさらなる突入を阻止される。プラテンの作動システムにある圧力センサがこの最大突入量を検出し、シーリング・プロセスを停止させる。
【0053】
あるいは、プラテンの作動システムは、プラテンの隆起が所定深さまで突入したときにシーリング・プロセスを停止させる機械的な止めを含んでいてもよい。
【0054】
隆起の半径およびシール・フォイルの選択は、アルミニウム層がシーリング・プロセス中に引き裂かれないように行う。使用できる隆起頂点の最小半径は、フォイル積層材内に含有されるアルミニウムの硬度に依存することになる。軟アルミニウム層を含む積層材の場合、ディスク表面への浸透量を大きくしたり、隆起についてより小さな曲率半径を使用したりすることができる。これにより、隆起上のいかなる鋭い縁もより良好に許容できることになる。
【0055】
プラテンの孔領域からの隆起の間隔は、シーリング中にディスクの孔の縁になんらのゆがみも生じさせない程度とする。ゆがみは隆起の高さよりも少ない程度まで制限するとよい。
【0056】
プラテンがディスクと接触している時間は、粘性の溶融材料を移動させるのに必要な力がフォイルを引き裂くほどではないが、熱がディスクを通して活性薬剤製品を収容している薬剤ポケットまで侵入するほど長くないように選定する。
【0057】
典型的には、接触時間は0.3〜1.0秒であり、プラテンの加える圧力は2〜10バールであり、プラテンの温度は130〜150℃である。
【0058】
テストによれば、本発明は、表面が平らでそして慣用の平らなプラテンを使用する場合、シール領域全体を覆って形成されたシールを有する容器によって達成される防湿性能に等しい防湿性能を有するシールを提供することがわかった。
【0059】
さらに、テストは、シーリング・プロセス中にディスクの表面に粉末が存在したときでもシール品質になんら劣化がなかったことを示した。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明によるプラテンの頂平面図である。
【図2】図1に示すプラテンの或る領域の拡大図である。
【図3】図1に示すプラテンの部分を通る断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔を含み、各孔がディスクに摺動自在に連結したポケットを含むポリマー・ディスクをバリヤ・フォイルでシールするのに用いるプラテンであって、ポリマー・ディスクの孔に対応する孔領域および少なくとも1つの隆起を含み、孔領域には隆起がなくそして隆起が孔領域から隔たっている、プラテン。
【請求項2】
プラテンが環状である、請求項1に記載のプラテン。
【請求項3】
孔領域がプラテンの中心軸線まわりに円形配列で配置してある、請求項1または2に記載のプラテン。
【請求項4】
プラテンが、その孔領域と周縁との間に設けた少なくとも1つの円周方向隆起を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプラテン。
【請求項5】
プラテンが、2つまたはそれ以上の円周方向隆起および隣接した円周方向隆起を架橋する複数の横方向隆起を含む、請求項4に記載のプラテン。
【請求項6】
プラテンが、隣接した孔領域間を延びる少なくとも1つの半径方向隆起を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプラテン。
【請求項7】
プラテンが、その孔領域と中心軸との間に設けた少なくとも1つのコア隆起を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のプラテン。
【請求項8】
プラテンが、2つまたはそれ以上のコア隆起を含み、そして隣接したコア隆起を架橋する少なくとも1つの架橋隆起が設けてある、請求項7に記載のプラテン。
【請求項9】
プラテンが、各々、それぞれの孔領域を取り囲む孔隆起を含み、この孔隆起が、孔領域と孔隆起との間にギャップを構成するように配置してある、請求項1〜8のいずれかに記載のプラテン。
【請求項10】
隆起が、鋭い縁をもたない接触領域を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のプラテン。
【請求項11】
各隆起の頂点が丸い輪郭を有する、請求項10に記載のプラテン。
【請求項12】
隆起が、ポリマー・ディスクの表面変形より大きい高さを有する、請求項1〜11のいずれかに記載のプラテン。
【請求項13】
プラテンが、それを加熱できる熱源を含む、請求項1〜12のいずれかに記載のプラテン。
【請求項14】
プラテンが、それを所定温度に維持する制御機構を含む、請求項13に記載のプラテン。
【請求項15】
i.接着剤層を含むバリヤ・フォイルをディスクに貼付する工程;ならびに
ii.請求項1〜12のいずれかに記載のプラテンを介して熱および圧力をバリヤ・フォイルの領域に加え、加えた熱および圧力がバリヤ・フォイルをディスクにシールするに充分な程度である工程
とを含む、
複数の孔を含み、各孔がディスクに摺動自在に連結したポケットを含むポリマー・ディスクをバリヤ・フォイルでシールする方法。
【請求項16】
所定時間にわたって熱および圧力を加えることを含み、この時間が、バリヤ・フォイルをディスクにシールするが、ディスクをゆがませたり、ポケットの内部を加熱したりしない程度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
時間が0.3〜1.0秒間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プラテンによって加える圧力が2〜10バールである、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−19004(P2008−19004A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−179225(P2007−179225)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】