説明

容器をブロー成形するための装置

本発明による装置は、容器をブロー成形するために用いる。まずパリソンの熱調整を行い、次にブロー成形型内でパリソンにブロー成形圧を作用させることによりパリソンを容器に成形する。少なくとも2つのブロー成形セグメントから成るブロー成形型を、担持構造物上に配置されているブローステーションの型担持体によって位置決めする。ブロー成形型に加えて底部を使用する。型担持体と底部とは双方とも機械的に位置決め可能であるように配置されている。型担持体と底部とは機械的に互いに連結されている。両型担持体のうち一方の型担持体は運動不能に、他方の型担持体は回動可能にそれぞれ担持構造部によって保持されている。底部は両型担持体のそれぞれに対し相対的に可動に配置されている。底部は型担持体に対し相対的に運動軌道部を有し、運動軌道部は、ブローステーションの縦方向に延在している成分と、縦方向に対し横方向に延在している成分との双方を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担持構造物上に配置され、熱可塑性パリソンを容器に成形する少なくとも1つのブローステーションを有し、ブローステーションが、型担持体によって保持される少なくとも2つのブロー成形セグメントと、底部とを備え、型担持体と底部とが双方とも機械的に位置決め可能であるように配置され且つ機械的に互いに連結されている、容器をブロー成形するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料(たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート))から成っているパリソンは、ブロー成形機内部において種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱装置とブロー成形装置とを有し、ブロー成形装置の領域において、予め温度調整したパリソンを両軸方向に配向することで該パリソンを膨張させ容器を形成させる。膨張は圧縮空気を用いて行われ、圧縮空気は膨張されるパリソンの内部へ導入される。パリソンをこのように膨張させる際の方法技術的なプロセスに関しては特許文献1に説明されている。
【0003】
容器を成形するためのブローステーションの基本的な構成に関しては特許文献2に記載されている。また、パリソンを温度調整する可能な態様に関しては特許文献3に説明されている。
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に、パリソンを嵌合させる搬送心棒を使用することのが好ましい。しかし、他の搬送装置を用いてパリソンを操作することもでき、たとえばパリソンを操作するやっとこの使用、パリソンの保持のために該パリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用もその構造的な例である。
【0004】
搬送ホイールを使用した容器の操作はたとえば特許文献4に記載されており、搬送ホイールをブローホイールと搬出路との間に配置する構成になっている。
【0005】
前述したパリソンの操作にはいわゆる2段階方式で行われるものがある。すなわち、まずパリソンを射出成形法で製造し、次に中間蓄積してその後温度に関しコンディショニングを行い、容器にブロー成形させる。他方いわゆる1段階方式を適用したものもある。この方式では、パリソンを射出成形技術で製造し十分に固化した直後に、適宜温度調整してブロー成形する。
【0006】
使用されるブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。回転搬送ホイール上に配置されるブローステーションの場合には、型担持体を本のように開閉させる構成のものが多い。他方、互いに変位可能な型担持体或いは他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。特に複数のキャビティを収容するのに適している位置固定の型担持体の場合には、互いに平行に配置された板を型担持体として使用するのが通常である。
【0007】
ブローステーションの開閉運動の実施と、底部のストローク運動の実施とは、典型的には機械的に制御して行われる。回転する搬送ホイール上にブローステーションが配置されている場合には、機械台上に位置固定して配置されるカムセグメントが使用される。このカムセグメントに沿って、運動する構成要素と結合されているカムローラが案内される。通常カムセグメントは、ブロー成形ホイールの一部分に沿ってのみ配置されているにすぎず、すなわちこの一部分に沿って付設のカムローラの位置変更が行われるにすぎない。カムローはそれぞれの所定の終端位置において適当な手段により安定化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、コンパクトな構成が得られるように、冒頭で述べた種類の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、両型担持体のうち一方の型担持体が運動不能に、他方の型担持体が回動可能にそれぞれ担持構造部によって保持されていること、底部が両型担持体のそれぞれに対し相対的に可動に配置されていること、底部が型担持体に対し相対的に運動軌道部を有し、運動軌道部が、ブローステーションの縦方向に延在している成分と、縦方向に対し横方向に延在している成分との双方を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
ブローステーションが位置固定の型担持体と可動な型担持体とを備えて構成されていることにより、互いに並設された多数のブローステーションを極めてコンパクトに配置することが可能になる。しかしながら、この種の配置構成には、型担持体に対する底部の通常のストローク運動を実施できないという問題がある。というのは、通常は底部と位置固定の型担持体との間に形状拘束的結合が実現されているからである。底部が型担持体に対して自在に運動できても、ブロー成形される容器とブロー成形型との間の形状拘束的結合という問題があり、その結果これによっても簡単な運動の実施が妨害される。
【0012】
本発明に従って底部を案内し、底部と可動な型担持体とを機械的に連結させることにより、きわめて短時間に、よって与えられている処理時間のロスを少なくして、しかも機械的コストを少なくして、同時に、実施される運動の反復精度を高くして、ブロー成形された容器をブロー成形型から取り出すことが可能になる。
【0013】
底部の運動はブローステーションの縦軸線方向に実施されるため、ブロー成形された容器の底部輪郭部と底部型の輪郭部との間で形状拘束的結合が生じても、その分離が行われる。底部を側方へ位置決め運動させ、それに重畳させて底部をストローク運動させた後、ブロー成形された容器は3つの次元すべてにおいてブロー成形型から解放されて、たとえば水平方向に、開口したブローステーションから取り出すことができる。ブローステーションの縦軸線は、典型的には鉛直方向に延びている。
【0014】
実施されるべき運動を維持して高い精度を得るため、底部はカム制御されて位置決め可能である。
【0015】
簡単な運動設定は、底部が可動な型担持体と連結されていることによって行うことができる。
【0016】
コンパクトな構成には、底部が垂直に延在する軸に対し相対的に回転可能に配置されていることが寄与する。
【0017】
同様に、ブローステーションのコンパクトな構成は、前記軸がブローステーションのステーション軸の延長部として延在していることによって支援される。
【0018】
有利な運動設定は、底部がカムローラでもってカム軌道部に係合し、カム軌道部が回動可能な型担持体の運動軌道部に対しほぼ接線方向に延在していることによって行われる。
【0019】
特に、きわめて簡潔な運動過程は、底部が、ステーション軸に対しほぼ筒状に位置決めされる包絡曲面のセグメント内部に配置されている運動軌道部を有していることによって得られる。
【0020】
機械的に堅牢な連結は、底部が連結棒と位置決めレバーとを介して駆動軸と連結されていることによって提供される。
【0021】
直線運動と、回転運動から導出される複数の運動成分との重畳を容易にするため、連結棒の端部が底部と位置決めレバーとに撓み可能に連結されていることが提案される。
【0022】
典型的な適用例は、ブローステーションがブローホイール上に配置されていることにある。
【0023】
ブロー成形された容器とブロー成形型との形状拘束的結合を解消するため、底部は、ブローステーションを閉じた状態でブロー成形セグメントによって張られる分離面に対し横方向に位置決め可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸、膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明するための概略構成図である。
【図4】加熱容量を増大させた加熱路の変形実施形態を示す図である。
【図5】位置固定して配置される担持体および回動可能に配置される担持体と、3次元で位置決め可能な底部とを備えたブローステーションを、該ブローステーションが完全に開口した状態で示した斜視図である。
【図6】ブローステーションを部分的に閉鎖した後の、図5の配置構成を示す図である。
【図7】ブローステーションの閉鎖終了直前の、図6の配置構成を示す図である。
【図8】斜め下から見た、図7の配置構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1と図2はパリソン(1)をブロー成形して容器(2)を形成するための装置の基本構成図である。
【0026】
容器(2)の成形装置は実質的にブローステーション(3)から成り、ブローステーション(3)はパリソン(1)を挿着可能なブロー成形型(4)を備えている。パリソン(1)はたとえばポリエチレンテレフタラートから成る射出成形品である。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿着し、且つ完成した容器(2)を取り出すことができるようにするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部(7)とから成っている。底部(7)は昇降装置(8)により位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域において搬送心棒(9)によって保持されていてよい。搬送心棒(9)は、パリソン(1)とともに、装置内部の多数の処理ステーションを通過する。他方、パリソン(1)をたとえばやっとこ或いは他の操作手段を介して直接ブロー成形型(4)に挿着するようにしてもよい。
【0027】
圧縮空気の誘導を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置されている。接続ピストン(10)はパリソン(1)に圧縮空気を供給するとともに、搬送心棒(9)に対する密封の用をも成す。他方、変形実施形態では、固定の圧縮空気管を使用することも基本的には考えられる。
【0028】
パリソン(1)の引伸ばしは、本実施形態では、引伸ばし棒(11)を用いて行う。引伸ばし棒(11)はシリンダ(12)により位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックアップローラによって付勢されるカムセグメントを介して引伸ばし棒(11)の機械的位置決めを行う。カムセグメントの使用は、特に、多数のブローステーション(3)が1つの回転ブロー成形ホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0029】
図1に図示した実施形態の場合、引伸ばしシステムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が可能であるように構成されている。引伸ばし棒(11)は、本来の引伸ばし工程を開始する前に、まず第1次シリンダ(13)によりパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動させる。本来の引伸ばし工程を実施している間、引伸ばし棒を走出させた第1次シリンダ(13)は、該第1次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに第2次シリンダ(16)により位置決めされ、或いはカム制御部を介して位置決めされる。特に、引伸ばし工程を実施している間に曲線軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により実際の引伸ばし位置が設定されるように、第2次シリンダ(16)をカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は第2次シリンダ(16)により案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0030】
型担持体(19,20)の領域に配置される型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(40)を用いて型担持体(19,20)を互いにロックさせる。
【0031】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスレッドインサート(22)を使用する。
【0032】
図2はブロー成形された容器(2)に加えて破線でパリソン(1)を示すとともに、成長している容器ブローホール(23)を概略的に図示したものである。
【0033】
図3はブロー成形機の基本構成を示す。ブロー成形機は加熱路(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)はパリソン装入部(26)を起点として受け渡しホイール(27,28,29)により加熱路(24)の領域へ搬送される。加熱路(24)に沿って加熱要素(30)とファン(31)とが配置され、パリソン(1)を温度調整するようになっている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソン(1)はブローホイール(25)へ搬送される。ブローホイール(25)の領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を完了した容器(2)は他の受け渡しホイールにより排出路(32)に供給される。
【0034】
容器(2)内に充填される食料品の、特に飲料物の長い有効寿命を保証するような材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形するには、パリソン(1)の加熱と配向の際に特別な方法ステップを厳守する必要がある。さらに、特殊な寸法規定を厳守することにより有利な成果を得ることができる。
【0035】
熱可塑性材料としては種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用できる。
【0036】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は圧縮空気の供給により行う。圧縮空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧レベルで供給するブロー成形前段階と、ガスを高圧レベルで供給する次のブロー成形主段階とに分ける。典型的には、ブロー成形前段階を実施している間は10バールないし25バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給し、ブロー成形主段階を実施している間は25バールないし40バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給する。
【0037】
図3からわかるように、図示した実施形態の場合、加熱路(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)はチェーン状に互いに列設され、転向ホイール(34)によって案内されている。特に、チェーン状に配置することにより実質的に長方形の基本輪郭を張るよう想定している。図示した実施形態の場合、加熱路(24)の受け渡しホイール(29)側および装入ホイール(35)側の拡がり領域には比較的大きなサイズの単独の転向ホイール(34)が使用され、この領域に隣接している転向領域には比較的小サイズの2つの転向ホイール(36)が使用されている。しかし基本的には他の任意のガイドも考えられる。
【0038】
受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することができるようにするにはこの種の配置が特に合目的であることが判明した。というのは、加熱路(24)の対応する拡がり領域には3つの転向ホイール(34,36)が位置決めされ、より厳密に言えば、小さいほうの転向ホイール(36)がそれぞれ加熱路(24)の直線部への移行領域に位置決めされ、大きいほうの転向ホイール(34)が受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とに直接移行する領域に位置決めされているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用してもよい。
【0039】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器(2)は取り出しホイール(37)によりブローステーション(3)から搬出され、受け渡しホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出路(32)へ搬出される。
【0040】
図4に図示した加熱路(24)の変形実施形態では、より多数の加熱要素(30)を設けることにより、単位時間当たりより大量のパリソン(1)を温度調整することができる。この変形実施形態では、ファン(31)が冷却空気を冷却空気管路(39)の領域へ誘導する。冷却空気管路(39)はそれぞれ付設の加熱要素(30)に対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。このように排流方向を設定することにより、冷却空気の流動方向は実質的にパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気管路(39)は、加熱要素(30)に対向している表面の領域に、加熱放射線のための反射器を備えていてもよい。同様に、放出された冷却空気を介して加熱要素(30)の冷却を行うようにしてもよい。
【0041】
図5は、型担持体(19)を位置固定させて、型担持体(20)を回動可能に担持構造部(41)によって保持させたブローステーション(3)の斜視図である。本実施形態では、底部(7)は鉛直方向において型担持体(19,20)の下方に配置されている。図示した配置構成の場合、容器(2)はその口部分(21)を鉛直方向上向きにして成形される。
【0042】
型担持体(20)の回動運動は、ブローステーション(3)の縦方向(43)に延在しているステーション軸(42)に対し相対的に行われる。型担持体(20)の運動を設定するため、型担持体(20)は連結レバー(44)を介して駆動軸(45)と連結されている。たとえば、連結レバー(44)は駆動軸(45)上に着座しているスリーブ(46)でもって駆動軸(45)を取り囲むように構成してよい。
【0043】
図5の実施形態によれば、底部(7)はカムローラ(47)を介してカム軌道部(48)で案内されている。カム軌道部(48)はカム担持体(49)の領域に延在している。カム担持体(49)は担持構造部(41)と不動に結合されている。カム軌道部(48)は、縦方向(43)の成分と、該縦方向(43)に対し横方向の成分とをもって延在している。この場合、カム軌道部(48)の横方向調整は、型半部分(5,6)の分離面に対しほぼ横方向に指向するように行うのが有利である。なお、型半部分(5,6)の分離面とは、ブローステーション(3)を閉じた状態で型半部分(5,6)がそれらの境界部でもって互いに対向させるような面である。
【0044】
回転しているブローホイール(25)上にブローステーション(3)を配置すると、カム軌道部(48)はブローホイール(25)の外周に対し接線方向の成分でもって延在する。
【0045】
底部(7)は、位置運動を設定するため、連結棒(50)を介して、駆動軸(45)と結合されている位置決めレバー(51)と連結されている。位置決めレバー(51)は、底部(7)および位置決めレバー(51)と撓み可能に結合されている。カムローラ(47)がカム軌道部(48)に係合することに加えて、底部(7)は図5に図示していない他の支持軌道部に沿って案内されている。この支持軌道部に関しては図8において詳細に説明する。
【0046】
図6は、図5の図示に比べると、型担持体(19,20)がさらに閉じた位置を示している。閉鎖運動は、駆動軸(45)の回転と、これから結果する連結レバー(44)の回動とによって得られる。同時に位置決めレバー(51)も回動し、連結棒(50)を介して底部(7)をそのカムローラ(47)とともにカム軌道部(48)の一部分に沿って変位させる。これによって底部(7)は、縦方向(43)への運動と該縦方向(43)に対し横方向の並進運動との双方を実施する。
【0047】
図7は、図5および図6に図示したブローステーション(3)をほぼ完全に閉じた状態で示したものである。この場合、底部(7)はほぼ完全に縦方向(43)に位置決めされており、運動の終了時点で縦方向(43)に対し横方向の横方向運動のみを実施する。これにより、底部(7)と型担持体(19)との間で形状拘束的結合が可能になる。この運動過程を補助するため、カム軌道部(48)は、水平線に対し傾斜して延在している主領域が接続している短い水平領域を備えて延在している。
【0048】
有利には、カムローラ(47)がカム軌道部(48)において横方向に変位可能に案内されているのがよい。これによって、カムローラ(47)がカム軌道部(48)に沿った運動に加えて、位置決めレバー(51)の回転運動によってさらに湾曲した運動軌道をも走行するにもかかわらず、カム担持体(49)を板体として製造技術的に簡単に実現させることが可能になる。湾曲した運動軌道での走行は、カム軌道部(48)においてカムローラ(47)が横方向に変位可能であることによって補償することができる。
【0049】
位置決めレバー(51)のサイズの決定は、典型的には、縦方向(43)に対し平行に延在している底部(7)の中心軸線が、縦方向(43)に対しほぼ横方向において、縦方向(43)に対し横方向で回動可能な型担持体(20)の中心線の運動軌道に対応する半分の距離を走行するように行う。底部(7)は、開放運動を実施した後、両型担持体(19,20)に対し等距離で、よって型半部分(5,6)に対し等距離で配置される。これによって、ブローステーション(3)の開口度合いを最少にした状態でのブロー成形した容器(2)の取出しが可能になる。
【0050】
図7から同様にわかるように、コンパクトな構成をさらに補助するため、連結レバー(44)は複数個の横レバー(52)を介して型担持体(20)と結合されている。横レバー(52)は、ブローステーション(3)の開放状態で、型担持体(20)のとさか状の凹部(53)に沈降可能である。横レバー(52)は型担持体(20)の縦軸線(54)と連結レバー(44)の縦軸線(55)とのまわりを回動可能である。縦軸線(42,54,55)は縦方向(43)に対しほぼ平行に延びている。
【0051】
図8はブローステーション(3)を下から見た斜視図である。この図から特にわかるように、底部(7)は、底部型担持体(56)と、本来の底部型(57)と、カムローラ(47)を保持する位置決め要素(58)とから形成されている。底部型担持体(56)と底部型(57)とは互いに固着されている。有利な実施形態によれば、底部型担持体(56)と位置決め要素(58)も互いに固着されている。
【0052】
図8に図示した実施形態によれば、位置決め要素(58)はガイドブッシュ(59)を有している。ガイドブッシュ(59)は案内軸(60)を取り囲んでいる。特に、案内軸(60)が図8には図示していないステーション軸(42)の延長として配置されていることが考えられる。これによって、型担持体(20)と位置決め要素(58)とは1つの共通の回転軸のまわりに回動する。
【0053】
図8を参照して底部型(7)の運動過程をもう一度説明する。図8の作動状態を起点とした型担持体(20)の開放運動の際、連結棒(50)を介して底部(7)に引張りが作用し、これにより位置決め要素(58)が案内軸(60)のまわりで回動し、同時にカムローラ(47)がカム軌道部(48)に沿って位置決めされる。したがって、底部型(57)は案内軸(60)のまわりでの回動運動と並進運動との双方を実施する。その運動軌道は、ねじのねじ山のように延在している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持構造物上に配置され、熱可塑性パリソンを容器に成形する少なくとも1つのブローステーションを有し、ブローステーションが、型担持体によって保持される少なくとも2つのブロー成形セグメントと、底部とを備え、型担持体と底部とが双方とも機械的に位置決め可能であるように配置され且つ機械的に互いに連結されている、容器をブロー成形するための装置において、
両型担持体(19,20)のうち一方の型担持体が運動不能に、他方の型担持体が回動可能にそれぞれ担持構造部(41)によって保持されていること、
底部(7)が両型担持体(19,20)のそれぞれに対し相対的に可動に配置されていること、
底部(7)が型担持体(19,20)に対し相対的に運動軌道部を有し、運動軌道部が、ブローステーション(7)の縦方向(43)に延在している成分と、縦方向(43)に対し横方向に延在している成分との双方を備えていること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
底部(7)がカム制御されて位置決め可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
底部(7)が可動な型担持体(20)と連結されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
底部(7)が垂直に延在している軸に対して相対的に回転可能に配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
前記軸がブローステーション(3)のステーション軸(42)の延長部として延在していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
底部(7)がカムローラ(47)でもってカム軌道部(48)に係合し、カム軌道部(48)が回動可能な型担持体(20)の運動軌道部に対しほぼ接線方向に延在していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
底部(7)が、ステーション軸(42)に対しほぼ筒状に位置決めされる包絡曲面のセグメント内部に配置されている運動軌道部を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
底部(7)が連結棒(50)と位置決めレバー(51)とを介して駆動軸(45)と連結されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
連結棒(50)の端部が底部(7)と位置決めレバー(51)とに撓み可能に連結されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
ブローステーションがブローホイール(25)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
底部(7)が、ブローステーション(3)を閉じた状態でブロー成形セグメントによって張られる分離面に対し横方向に位置決め可能であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−526690(P2010−526690A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507783(P2010−507783)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000622
【国際公開番号】WO2008/138293
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】