説明

容器コーティング装置

【課題】 コーティング剤供給状況の確認が容易な、及び/又はメンテナンス性を向上させた、容器コーティング装置を提供する。
【解決手段】 コーティング装置は、容器を搬送するコンベアと、コンベア上の容器の側面と接触するようにコンベアの側方に配置され、容器を回転させるように構成された環状ベルトと、環状ベルトによって容器がコーティング剤でコーティングされるように環状ベルトにコーティング剤を塗布するブラシと、ブラシの上方に、ブラシから隔離して配置され、下方に向けてコーティング剤を吐出することによってブラシにコーティング剤を供給するノズルとを備える。ブラシは、鉛直方向に対して傾斜した第1側面および第2側面を有し、ノズルから吐出されるコーティング剤を第1側面で受けるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ビール瓶等のように繰り返して使用される容器は、工場内、出荷、回収等の各段階において互いに擦れ合って傷つく。このような傷は、消費者に好ましくないイメージを与えうる。そこで、通常は、ビール等の飲料を充填し容器にラベルを貼った後などにおいて容器がコーティングされる。
【0002】
容器をコーティングするコーティング装置に関する従来技術として特許文献1がある。特許文献1には、容器を搬送するコンベアと、コンベア上の容器を回転させるように構成され、容器の側面に当接しつつ表面にコーティング剤を塗布するコーティングベルトと、コーティングベルトにコーティング剤を供給するコーティング剤供給部とを備えるコーティング装置が開示されている。
【0003】
特許文献1のコーティング剤供給部は、ブラシと、ブラシの一端を挟んで固定するホルダと、ホルダ側面の開口に接続されたコーティング剤供給チューブとを備える。コーティング剤はチューブからホルダを介してブラシに供給され、ブラシがコーティング剤を環状ベルトへ、接触しつつ供給する。
【特許文献1】特開2005−238003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示されるコーティング装置は、コーティング剤供給チューブがホルダに接続されているため、チューブからブラシへのコーティング剤の供給がホルダ内で行われ、目視することができない。このため、作業者がブラシへのコーティング剤の供給状況を確認することや、供給の異常を発見することが困難である。
【0005】
また、ベルトへのコーティング剤の塗布異常が発生した場合などにおいて、コーティング剤供給部を分解する必要があり、メンテナンス性の向上が望まれる。
【0006】
本発明は、容器コーティング装置において、コーティング剤供給状況の確認を容易にすること、及び/又はメンテナンス性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコーティング装置は、容器をコーティング剤でコーティングするコーティング装置に係り、該装置は、容器を搬送するコンベアと、前記コンベア上の容器の側面と接触するように前記コンベアの側方に配置され、該容器を回転させるように構成された環状ベルトと、前記環状ベルトによって容器がコーティング剤でコーティングされるように前記環状ベルトにコーティング剤を塗布するブラシと、前記ブラシの上方に、前記ブラシから隔離して配置されていて、下方に向けてコーティング剤を吐出することによって前記ブラシに対してコーティング剤を供給するノズルとを備え、前記ブラシは、鉛直方向に対して傾斜した第1側面および第2側面を有し、前記ノズルから吐出されるコーティング剤を前記第1側面で受けるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第1側面とそれに接する前記環状ベルトの面とがなす角が鋭角であることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記環状ベルトの回転によって前記第1側面から前記第2側面に至る間に前記ブラシによってコーティング剤が塗布されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、コーティング剤供給状況の確認が容易な、及び/又はメンテナンス性を向上させた、容器コーティング装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0012】
本発明のコーティング装置は、ビール瓶等の容器の表面をコーティングするために好適である。図1〜図3は、本発明の好適な実施の形態に係るコーティング装置を概略的に示したもので、図1はコーティング装置の平面図、図2は図1に示すコーティング剤供給部75を、鉛直下向きが下となるように示した側面図である。図3は、図2に示す側面図をA−A’で切断した断面図である。図4は、ブラシ35との接触部における環状ベルト15の表面を示す図である。
【0013】
本発明の好適な実施の形態に係るコーティング装置100は、ビール瓶等の瓶1の円筒部の表面にコーティング剤を塗布するように構成されている。コーティング対象の瓶1は、適当な間隔でコンベア10によって所定方向(図1では右方向)へ搬送される。
【0014】
コンベア10の両側には、一対の環状ベルト11、15が配置されている。環状ベルト11は、駆動プーリー21と従動プーリー22に掛けられており、環状ベルト15は、駆動プーリー26と従動プーリー25に掛けられている。コンベア10によって搬送される瓶1は、環状ベルト11、15が配置されている部分に達すると、一対の環状ベルト11、15に挟まれながら搬送される。一対の環状ベルト11、15は、瓶1が回転するような相対速度で回転駆動されている。例えば、環状ベルト11を低速で回転させ、環状ベルト15をそれよりも高速で回転させると、コンベア10上の瓶1は、図1において右方向に移動しながら時計回りに回転する。こうして、瓶はコンベア10上を回転させられながら運搬され、環状ベルト15に供給されているコーティング剤が、瓶1の円筒部にその全周にわたって塗布される。
【0015】
環状ベルト15の外周、従動プーリー25近傍の所定箇所には、コーティング剤を環状ベルト15に供給するコーティング剤供給部75が配置されている。コーティング剤供給部75は、タンク31、供給管32、調節弁33、ノズル34、ブラシ35を備えている。図2はコーティング剤供給部75の構造を示しており、この図において環状ベルト15は右方向へ回転する。また、破線で示される瓶1は、図1に示す通り、図2において環状ベルト15よりも奥(y軸負方向)に存在する環状ベルト11と、環状ベルト15との間に挟まれており、図2において左方向へ運搬される。
【0016】
タンク31は、コーティング剤を貯えており、供給管32を通して、ノズル34へとコーティング剤を供給する。調節弁33は、タンク31からノズル34へのコーティング剤の供給量を調節する。調整弁33は、作業者が手動で操作しても良いし、制御システムによって制御されても良い。
【0017】
ノズル34は、下方が開口した管であって、ブラシ35の上方に、ブラシ35から隔離して配置されている。下方に向けてタンク31から供給されたコーティング剤を吐出することによって、ブラシ35にコーティング剤を供給する。この構成によれば、ノズル34からブラシ35へのコーティング剤の供給を目視することが可能であり、容易にコーティング液の供給異常を発見することができる。また、ノズル34とブラシ35とが接続されていないため、コーティング剤供給部に異常が発生した場合に、異常部位を特定することが容易である。同時に、ノズル34のクリーニング、ブラシ35の交換等のメンテナンスも容易に行うことができる。ここで、ノズル34の個数は、1個でもよいし、複数個でもよい。図2に示す例では、4個のノズル34が設けられている。調整弁33は、個々のノズルに対して設けられてもよいし、2以上のノズル34に対して共通に設けられてもよい。
【0018】
ブラシ35は、先端が環状ベルト15に接触するように配置されており、ノズル34から供給されたコーティング剤を環状ベルト15に塗布する。図3に示すように、ブラシ35は、鉛直方向に対して傾斜した第1側面351及び第2側面352を有し、ノズル34から吐出されるコーティング剤を第1側面351で受けるように配置されている。
【0019】
ブラシ35の第1側面351は、環状ベルト15の面とがなす角、すなわち図3に示す角αが、鋭角であるように配置されることが好ましい。この構成によれば、ノズル34から第1側面351に供給されたコーティング剤は、図3の左下方向へ、ブラシ35の毛に沿って環状ベルト15まで円滑に移動する。
【0020】
環状ベルト15の各部分は、環状ベルト15の回転によってブラシ35の第1側面から第2側面に至る間にブラシ35によってコーティング剤が塗布されることが好ましい。換言すると、図4に示すように、環状ベルト15に任意の鉛直な線B−B’を引いたときに、B−B’の下部がまずブラシ35に接触し、続いてB−B’の上部がブラシ35に接触するように、ブラシ35を傾けて配置することが好ましい。この構成によれば、図4において右方向へ回転する環状ベルト15との接触により、ブラシ35上に存在するコーティング剤36は、右上方向へと移動させられる。コーティング剤がブラシからしたたり落ちることを防止し、コーティング剤の無駄を省くことができる。
【0021】
本実施形態では、環状ベルト11側にはコーティング剤供給部が設けられていないが、環状ベルト11側にもコーティング剤供給部を設けてもよい。
【0022】
また、環状ベルト11の代わりに、容器1をガイドするためのガイド部材を設けても良い。この場合には、コンベア10で搬送される容器1は、環状ベルト11の回転に伴って回転することになる。この場合において、環状ベルト11は、容器1と接する部分において、コンベア10と同一方向に、コンベア10よりも速い速度で駆動されることが好ましい。
【0023】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱しない形で、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の好適な実施の形態のコーティング装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1に示すコーティング液供給部75の構成を概略的に示す側面図である。
【図3】図2に示す側面図をA−A’で切断した断面図である。
【図4】ブラシ35との接触部分における環状ベルト15の表面を示す模式図である。
【符号の説明】
【0025】
1 瓶
10 コンベア
11、15 環状ベルト
21、26 駆動プーリー
22、25 従動プーリー
31 タンク
32 供給管
33 調節弁
34 ノズル
35 ブラシ
36 コーティング剤
75 コーティング剤供給部
100 コーティング装置
351 第1側面
352 第2側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をコーティング剤でコーティングするコーティング装置であって、
容器を搬送するコンベアと、
前記コンベア上の容器の側面と接触するように前記コンベアの側方に配置され、該容器を回転させるように構成された環状ベルトと、
前記環状ベルトによって容器がコーティング剤でコーティングされるように前記環状ベルトにコーティング剤を塗布するブラシと、
前記ブラシの上方に、前記ブラシから隔離して配置されていて、下方に向けてコーティング剤を吐出することによって前記ブラシに対してコーティング剤を供給するノズルとを備え、
前記ブラシは、鉛直方向に対して傾斜した第1側面および第2側面を有し、前記ノズルから吐出されるコーティング剤を前記第1側面で受けるように配置されている、
ことを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
前記第1側面とそれに接する前記環状ベルトの面とがなす角が鋭角である、
ことを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
【請求項3】
前記環状ベルトの各部分は、前記環状ベルトの回転によって前記第1側面から前記第2側面に至る間に前記ブラシによってコーティング剤が塗布される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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