容器保持冶具
【課題】カートリッジ用のガン式ディスペンサに袋状の容器を設置可能とし、ディスペンサのピストンにより押される際に容器の一部がスリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制する。
【解決手段】交換式のカートリッジ内をピストン50により押圧して内容物を吐出するガン式ディスペンサにカートリッジに代えて装着でき、変形自在な容器Aを保持する容器保持治具である。容器保持治具は、設置部10に設置し、容器が装填される円筒状のスリーブ80とピストン50の先端に脱着可能で、スリーブ内を摺動して容器A押圧するピストンカバー81と、を有している。スリーブは、開閉して容器を出し入れ可能な蓋部82を持つ。ピストンカバーは、ピストンの軸と中心が一致する円状の前面部100と、容器の一部がピストンカバーとスリーブとの間に入り込むことを抑制する入込み抑制部101と、を有している。
【解決手段】交換式のカートリッジ内をピストン50により押圧して内容物を吐出するガン式ディスペンサにカートリッジに代えて装着でき、変形自在な容器Aを保持する容器保持治具である。容器保持治具は、設置部10に設置し、容器が装填される円筒状のスリーブ80とピストン50の先端に脱着可能で、スリーブ内を摺動して容器A押圧するピストンカバー81と、を有している。スリーブは、開閉して容器を出し入れ可能な蓋部82を持つ。ピストンカバーは、ピストンの軸と中心が一致する円状の前面部100と、容器の一部がピストンカバーとスリーブとの間に入り込むことを抑制する入込み抑制部101と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用内容物を収容する交換式のカートリッジをピストンにより押圧して食用内容物を吐出するガン式のディスペンサに前記カートリッジの代わりに装着可能であり、食用内容物用の変形自在な容器を保持可能な容器保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ファストフード店などでは、一般的に例えばマヨネーズ、タルタルソースなどの粘性を有する食用内容物をバンズなどに盛付ける際に、当該食用内容物を所定量ずつ押し出す手動のガンディスペンサが用いられる。
【0003】
上述のガン式のディスペンサは、特許文献1、2に示すような食用内容物を収容した交換式のカートリッジをディスペンサの設置部に装着し、当該カートリッジをピストンにより押すことによって、カートリッジ内の食用内容物を押し出すことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270771号公報
【特許文献2】特公平3−23436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カートリッジは、全体がいわゆる使い捨てであるため、環境面、コスト面の観点から好ましくない。そこで、食用内容物の容器を、薄いフィルム等からなる変形自在な袋状のものにし、その容器を保持してガン式ディスペンサに設置するための、繰り返し使用可能な容器保持治具を設けることを考えている。また、カートリッジ用のガン式ディスペンサが広く普及しているため、同じ構造のガン式ディスペンサを用いて、変形自在な容器を設置できるとよい。
【0006】
この場合容器保持治具は、カートリッジと同様にガン式ディスペンサに容器を設置し、そのピストンにより容器を押圧して食用内容物を安定的に押し出す必要がある。このため、容器保持治具には、変形自在な容器を収容しガイドする円筒状のスリーブを設けるとよい。
【0007】
しかしながら、その場合、スリーブ内の容器がピストンに押されて食用内容物が吐出されるが、この際、図12に示すように容器200のフィルム状の薄い袋の一部がピストン201とスリーブ202との間に入り込み易い。容器200の一部がピストン201とスリーブ202の間に入り込むと、中身の食用内容物がピストン201の後方側に移動する。この結果、例えばピストン201がスリーブ202の先端まで移動したときに、食用内容物が容器200内に残ってしまう。また、ピストン201より後ろに容器200の一部が入り込むと、その部分が邪魔をしてピストン201を引き戻し難くなり、容器200の交換時に容器200をスリーブ202内から取り出し難くなる。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、カートリッジ用のガン式ディスペンサに変形自在な容器を設置可能にすると共に、その変形自在な容器を用いる場合の特有の問題である、ピストンにより押される際に容器の一部がスリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、食用内容物を収容する交換式のカートリッジ内をピストンにより押圧して食用内容物を吐出するガン式ディスペンサに前記カートリッジの代わりに装着可能であり、食用内容物用の変形自在な容器を保持可能な容器保持冶具であって、カートリッジの設置部に設置可能で、前記容器が装填される円筒状のスリーブと、前記ピストンの先端に脱着可能で、前記スリーブ内を摺動して前記スリーブ内の容器を押圧するピストンカバーと、を有し、前記スリーブは、当該スリーブの本体に対し開閉し、前記容器を出し入れ可能にする蓋部を有し、前記ピストンカバーは、前記ピストンの軸と中心が一致する円状の前面部と、前記前面部の周りに環状に設けられ、前記前面部よりも後方側に位置し、前記容器の一部がこのピストンカバーと前記スリーブとの間に入り込むことを抑制する入込み抑制部と、を有するものである。
【0010】
本発明によれば、カートリッジ用のガン式ディスペンサに変形自在な容器を設置できる。また、ピストンにより押圧された容器の一部がスリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制できるので、食用内容物を残さず容器から押し出すことができる。また、ピストンを引き戻し易くなり、容器の交換時にスリーブから容器を容易に取り外すことができる。
【0011】
前記入込み抑制部は、V字型状の断面形状を有していてもよい。かかる場合、前面部の周囲に、V字型の内側となる空間が形成されるので、前面部の周囲から垂れた容器の一部がこの空間内に誘導され、これによって、容器の一部がピストンとスリーブとの間から後方に入り込むのを効果的かつ確実に防止できる。また、入込み抑制部の先端とスリーブとの接触面積が小さく摩擦が小さくなるため、スリーブ内におけるピストンカバー及びピストンの移動がスムーズに行われ、食用内容物の吐出が適正に行われる。なお、「V字型状」には、V字型と実質的に同等の機能を果たす、V字型に近い形状のものも含まれる。
【0012】
前記ピストンカバーは、当該ピストンカバーが取り付けられた状態で前記ピストンを最も後方に配置した際に、前記ピストンカバーの少なくとも一部が前記スリーブ内に位置するような前後方向の長さを有していてもよい。かかる場合、容器の交換時に、ピストンを引いても、ピストンカバーがスリーブから抜けることがない。この結果、容器の交換時にスリーブがディスペンサに対し固定されるので、当該スリーブに対する容器の出し入れを簡単かつ迅速に行うことができる。
【0013】
前記ピストンカバーは、その内面に、ピストンを系止する爪部を有し、当該爪部により前記ピストンカバーを前記ピストンに対し自在に脱着できるようにしてもよい。かかる場合、工具等が必要なく、ピストンカバーのピストンに対する脱着を容易に行うことができる。ピストンからピストンカバーを外すことにより、スリーブ及びピストンカバーをディスペンサから容易に外すことができるので、カートリッジと容器保持治具との交換も容易に行うことができる。
【0014】
前記スリーブの材質は、ポリカーボネートであり、前記ピストンカバーの材質は、ポリプロピレンであってもよい。かかる場合、スリーブ及びピストンカバーの強度が確保され、軽量化が図られる。また、熱湯殺菌が可能になる。
【0015】
また、前記食用内容物が、粘性を有する食品が前記容器充填され密封された容器詰め食品であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カートリッジに代えて、繰り返し使用可能な容器保持治具を用いることができるので、環境面、コスト面の観点から好ましい。また、容器内の食用内容物を無駄なく効率的に押し出すことができる。さらに容器の交換が容易になりディスペンサの使い勝手がよくなる。また、容器保持治具は、ディスペンサから取り外すことができるので、適宜洗浄して長期間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】容器を外した状態のディスペンサの斜視図である。
【図2】容器の斜視図である。
【図3】容器の吐出部の断面図である。
【図4】シート部の正面図である。
【図5】容器保持治具の斜視図である。
【図6】スリーブの断面図である。
【図7】ディスペンサの設置部に設置された容器保持治具の縦断面図である。
【図8】ピストンを最大限引き戻した状態の容器保持治具の縦断面図である。
【図9】容器を装填したときのディスペンサの斜視図である。
【図10】プルトップ部を外したときのディスペンサの斜視図である。
【図11】食用内容物が押し出されている状態を示す容器保持治具の縦断面である。
【図12】容器がピストンとスリーブとの間から後方に移動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる容器保持治具1が搭載されたガン式のディスペンサ2の構成の概略を示す斜視図である。
【0019】
ガン式のディスペンサ2は、一般的なステンレス製のものであり、食用内容物を収容する交換式の筒状のカートリッジを装着して、当該カートリッジ内をピストンにより押して食用内容物を押し出すものである。具体的には、ディスペンサ2は、その筒状のカートリッジと本発明の容器保持治具1を選択的に設置可能な設置部10と、当該設置部10の後端に取り付けられたハンドル部11と、設置部10の筒状のカートリッジや、容器保持治具1の容器Aを後方から押す押圧機構12を有している。なお、筒状のカートリッジは、例えばそれ自体が容器であり、少なくとも一部が変形して内部の食用内容物が吐出されるものである。
【0020】
図1に示すように設置部10は、略円筒状に形成され、例えば中央に円形の開口部20aを有する環状の先端部20と、中央に後述のロッド51が挿通する円形の後端部21と、先端部20と後端部21を接続し容器保持治具1の後述のスリーブ80や筒状のカートリッジが載置される略半円筒状の載置部22を有している。
【0021】
図1に示すようにハンドル部11は、例えば設置部10の後端部21に固定された固定ハンドル30と、固定ハンドル30に対し回動自在に設けられたレバー31を有している。ハンドル部11の内部には、例えば図示しないスプリングが設けられており、レバー31を引いた力を除去すると、レバー31が元の位置に戻るようになっている。
【0022】
押圧機構12は、例えば設置部10のスリーブ80内に挿入される円盤状のピストン50と、当該ピストン50から、後端部21とハンドル部11を貫通し、後方に突出するロッド51を有している。ロッド51には、長手方向に沿って一定間隔の複数の溝51aが形成されており、レバー31内の図示しないフックを各溝51aに引っ掛けることができる。これがラチェット機構になっており、ある溝51aに引っ掛けられたレバー31を引くと、ロッド51が溝51aの間隔分前方に送られピストン50が前進し、レバー31を戻すと、レバー31が次の溝51aに引っ掛かる。複数の溝51aがあるので、この動作を繰り返すことができ、レバー31を繰り返し引くことにより、その分ピストン50を前進させることができる。また、ロッド51は、軸周りに反転させることにより溝51aとレバー31の引っ掛かりを解除でき、後方に引き戻すことができる。
【0023】
容器Aは、図2に示すように食用内容物が吐出される部分に設けられた吐出部60と、吐出部60に接続され変形自在な袋部61を有している。吐出部60は、例えば樹脂製で射出成型されたものであり、袋部61は、例えば樹脂製の薄いフィルムにより形成されている。
【0024】
吐出部60は、例えば図3に示すように環状の外枠部70と、当該外枠部70から取り外し容器Aを開封可能にするプルトップ部71と、プルトップ部71の裏面側に取り付けられたシート部72を有している。
【0025】
シート部72は、図4に示すように薄膜の円形状を有し、切り込み状の吐出孔72aが例えば3か所に形成されている。プルトップ部71を外枠部70から取り外すと、シート部72の吐出口72aが露出する。
【0026】
次に、容器保持治具1について説明する。図5に示すように容器保持治具1は、容器Aが装填される円筒状のスリーブ80と、ピストン50の先端に脱着可能で、スリーブ80内を摺動してスリーブ80内の容器Aの袋部61を押圧するピストンカバー81を有している。
【0027】
スリーブ80は、スリーブ80の本体80aに対し開閉し容器Aを取り出し可能にする蓋部82を有している。蓋部82は、半円筒状に形成されている。蓋部82は、図6に示すように一端にスリーブ80の軸方向に延びる回動軸90を有し、当該回動軸90周りに回動して開閉自在である。また、スリーブ80は、図5に示すように回動軸90と反対側の他端のスリーブ80の本体80aに係止される係止部91が形成されている。係止部91は、例えば貫通孔であり、本体80a側に設けられた突起部92に嵌め込まれることによって本体80aに係止される。また、スリーブ80は、スリーブ80が設置部10に設置された状態でピストン50を最も後退させたときに、ピストン50とスリーブ80が干渉せずスリーブ80の着脱が可能な長さを有している。スリーブ80の材質には、例えばポリカーボネートが用いられている。
【0028】
ピストンカバー81は、図7に示すようにピストン50の軸と中心が一致する円板状の前面部100と、前面部100の周りに環状に設けられ、前面部100よりも後方側に位置し、容器Aの袋部61がこのピストンカバー81とスリーブ80との間に巻き込まれるのを抑制する入込み抑制部101を有している。入込み抑制部101は、前面部100よりも一段後方に下がった位置に断面V字形状に形成されている。
【0029】
入込み抑制部101は、例えば略V字型の断面形状を有し、例えば前面部100の外縁から連続的に後方に延びる後延部110と、後延部110の外縁に位置する底部111と、底部111から前方側の斜め外側に向けて突出する突部112を有し、入込み抑制部101には、V字の内側にできる空間Bが形成される。突部112は、例えば先細になるようにテーパ状に形成されている。突部112の先端は、スリーブ80の内面に当接している。なお、突部112は、スリーブ80の内面に対し、フィルム状の袋部61が入り込まない程度に実質的に当接していればよく、僅かな隙間があってもよい。
【0030】
ピストンカバー81は、入込み抑制部101の後方側に延びる円筒部120と、前面部100の裏面から後方側に延びるリブ部121をさらに有している。円筒部120の後方端には、内側に突出する爪部130が設けられている。爪部130は、円筒部120の後方端の複数個所に設けられている。ピストンカバー81の裏面のリブ部121に対し、円形の略皿状のピストン50を押圧し、当該ピストン50の周縁部をピストンカバー81の内周面にある爪部130に引っ掛けることにより、ピストンカバー81をピストン50に対し取り付けることができる。また、ピストン50からピストンカバー81を引っ張り、爪部130からピストン50の外縁を取り外すことにより、ピストンカバー81をピストン50から取り外すことができる。
【0031】
ピストンカバー81は、前後方向に所定の厚みを有し、図8に示すようにピストンカバー81が取り付けられた状態のピストン50を最も後方に配置した際(ロッド51を最も後方に引いた際)に、ピストンカバー81の少なくとも一部がスリーブ80内に位置するように構成されている。ピストンカバー81の材質には、例えばポリプロピレンが用いられている。
【0032】
次に、以上のように構成された容器保持治具1の動作を、ディスペンサ2の使用時の動作と共に説明する。先ず、図1に示すように容器保持治具1がディスペンサ2の設置部10に装着される。その後、スリーブ80の蓋部82が開放され、その開口に手を入れて、ピストンカバー81がピストン50に取り付けられる。その後、図9に示すように容器Aがスリーブ80内に設置される。このとき、容器Aの吐出部60が、スリーブ80の先端の開口部80bに嵌め込まれ、位置決めされる。なお、容器Aには、ハンバーガーやホットドックなどの食品に盛りつけられる、マヨネーズ等の粘性を有するペースト状の食用内容物Cが収納されている。
【0033】
次に、図10に示すように蓋部82が閉じられ、プルトップ部71が外枠部70から外され、容器Aが開封される。このとき、シート部72の吐出孔72aが露出する。こうして、容器Aの装填作業が終了する。
【0034】
次に、ディスペンサ2のレバー31が引かれ、ロッド51及びピストン50が所定ピッチ前進し、ピストンカバー81が容器Aの袋部61を後ろ側から押圧する。これにより、吐出孔72aから所定量の食用内容物Cが押し出される。
【0035】
このとき、図11に示すように主にピストンカバー81の前面部100が容器Aの袋部61を押し、前面部100の周囲の入込み抑制部101の空間Bに袋部61の一部が入り込む。また、断面V字形状の入込み抑制部101の突部112がスリーブ80の内壁に当接している。これにより、前面部100の周囲の空間Bに移動した袋部61の一部が、V字形状の入込み抑制部101に保持され、ピストンカバー81が前方に移動しても、袋部61がスリーブ80とピストンカバー81との間に入り込むことが抑制される。
【0036】
その後、ピストンカバー81が容器Aの吐出部60に到達すると、容器Aが空になる。このとき、前面部100はシート部72まで到達し、吐出部60の外枠部70は入込み抑制部101の空間Bに入り込んで、吐出部60とピストンカバー81との干渉が防止される。
【0037】
容器Aが空になると、ロッド51が後方に引き戻され、ピストンカバー81及びピストン50がスリーブ80内の後方側に移動する。このとき、ロッド51とピストン50が最大限後方に引かれても、ピストンカバー81がスリーブ80から抜けることがない。このため、ロッド51とピストン50に取り付けられたピストンカバー81によりスリーブ80が設置部10に対し固定される。その後、スリーブ80の蓋部82が開放され、中から空の容器Aが取り出され、新しい容器Aと交換される。
【0038】
以上の実施の形態によれば、容器保持治具1を用いて、カートリッジ用のガン式ディスペンサ2に、変形自在な容器Aを設置できる。これにより、カートリッジの代わりに、繰り返し使用可能な容器保持治具1を使用して容器Aを設置できるので、環境面、コスト面の観点から好ましい。また、容器保持治具1が、前面部100と入込み抑制部101を有するピストンカバー81を有しているので、ピストン50により容器Aの袋部61を押圧して食用内容物を押し出す際に、容器Aの袋部61がスリーブ80とピストンカバー81との間に入り込むことを抑制できる。これにより、食用内容物Cを残さず容器Aから押し出すことができる。また、容器Aの交換時に、ピストン50を引き戻しやすくなり、スリーブ80から容器Aを容易に取り外すことができる。
【0039】
また、入込み抑制部101が、前面部100の周りに環状に設けられ、前面部100よりも一段後方側に位置し、V字型状の断面形状を有しているので、前面部100の周囲にV字型の内側形状の空間Bを形成できる。これにより、前面部100の周囲から垂れた容器Aの袋部61の一部がこの空間B内に誘導され、これによって、容器Aの袋部61の一部がピストンカバー81とスリーブ80との間から後方に入り込むのを効果的かつ確実に防止できる。また、入込み抑制部101の先端とスリーブ80との接触面積が小さく摩擦が小さくなるため、スリーブ80内におけるピストンカバー81及びピストン50の移動がスムーズに行われ、食用内容物Cの吐出が適正に行われる。
【0040】
ピストンカバー81は、ピストン50を最も後方に配置した際に、ピストンカバー81の少なくとも一部がスリーブ80内に位置するような前後方向の長さを有するので、容器Aの交換時に、ピストン50を引いても、ピストンカバー81がスリーブ80から抜けることがない。この結果、容器Aの交換時にスリーブ80がディスペンサ2に対し固定されるので、当該スリーブ80に対する容器Aの出し入れを簡単かつ迅速に行うことができる。
【0041】
ピストンカバー81は、その内面に、ピストン50を系止する爪部130を有し、当該爪部130によりピストンカバー81をピストン50に対し自在に脱着できる。このため、工具等が必要なく、ピストンカバー81のピストン50に対する脱着を容易に行うことができる。ピストン50からピストンカバー81を外すことにより、スリーブ80及びピストンカバー81をディスペンサ2の設置部10から容易に外すことができるので、カートリッジと容器保持治具1との交換も容易に行うことができる。
【0042】
スリーブ80の材質に、硬くて割れない樹脂であるポリカーボネートを用い、ピストンカバー81の材質に、比較的硬い樹脂であるポリプロピレンを用いたので、容器保持治具1の強度を確保でき、容器保持治具1を取り扱う煩雑な作業において破損することが防止される。また、耐熱性に優れており、食用内容物を扱うスリーブ80やピストンカバー81を熱湯殺菌することができる。さらに軽量化が図られ、比較的重いステンレス製のディスペンサ2にも好適に使用できる。
【0043】
容器保持治具1に装填される容器Aは、食用内容物が吐出されるプルトップ式の吐出部60と、当該吐出部60に接続された変形可能な袋部61を有している。このようにプルトップ式の吐出部60を有することにより、使用前の密閉性を確保し、食用内容物を確実に無菌状態に保つことができる。また、容器Aの開封を容易に行うことができるため使い勝手も良い。また、変形自在な袋部61を有することにより、食用内容物の押し出しを好適に行うことができる。
【0044】
また、容器Aに粘性を有する食品が充填され密封された容器詰め食品は、残らず使い切られるため、食用内容物の無駄をなくすことができる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ディスペンサのピストンにより押圧される容器が、スリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制する際に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 容器保持治具
2 ディスペンサ
50 ピストン
51 ロッド
60 吐出部
61 袋部
80 スリーブ
81 ピストンカバー
82 蓋部
100 前面部
101 入込み抑制部
A 容器
C 食用内容物
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用内容物を収容する交換式のカートリッジをピストンにより押圧して食用内容物を吐出するガン式のディスペンサに前記カートリッジの代わりに装着可能であり、食用内容物用の変形自在な容器を保持可能な容器保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ファストフード店などでは、一般的に例えばマヨネーズ、タルタルソースなどの粘性を有する食用内容物をバンズなどに盛付ける際に、当該食用内容物を所定量ずつ押し出す手動のガンディスペンサが用いられる。
【0003】
上述のガン式のディスペンサは、特許文献1、2に示すような食用内容物を収容した交換式のカートリッジをディスペンサの設置部に装着し、当該カートリッジをピストンにより押すことによって、カートリッジ内の食用内容物を押し出すことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270771号公報
【特許文献2】特公平3−23436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カートリッジは、全体がいわゆる使い捨てであるため、環境面、コスト面の観点から好ましくない。そこで、食用内容物の容器を、薄いフィルム等からなる変形自在な袋状のものにし、その容器を保持してガン式ディスペンサに設置するための、繰り返し使用可能な容器保持治具を設けることを考えている。また、カートリッジ用のガン式ディスペンサが広く普及しているため、同じ構造のガン式ディスペンサを用いて、変形自在な容器を設置できるとよい。
【0006】
この場合容器保持治具は、カートリッジと同様にガン式ディスペンサに容器を設置し、そのピストンにより容器を押圧して食用内容物を安定的に押し出す必要がある。このため、容器保持治具には、変形自在な容器を収容しガイドする円筒状のスリーブを設けるとよい。
【0007】
しかしながら、その場合、スリーブ内の容器がピストンに押されて食用内容物が吐出されるが、この際、図12に示すように容器200のフィルム状の薄い袋の一部がピストン201とスリーブ202との間に入り込み易い。容器200の一部がピストン201とスリーブ202の間に入り込むと、中身の食用内容物がピストン201の後方側に移動する。この結果、例えばピストン201がスリーブ202の先端まで移動したときに、食用内容物が容器200内に残ってしまう。また、ピストン201より後ろに容器200の一部が入り込むと、その部分が邪魔をしてピストン201を引き戻し難くなり、容器200の交換時に容器200をスリーブ202内から取り出し難くなる。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、カートリッジ用のガン式ディスペンサに変形自在な容器を設置可能にすると共に、その変形自在な容器を用いる場合の特有の問題である、ピストンにより押される際に容器の一部がスリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、食用内容物を収容する交換式のカートリッジ内をピストンにより押圧して食用内容物を吐出するガン式ディスペンサに前記カートリッジの代わりに装着可能であり、食用内容物用の変形自在な容器を保持可能な容器保持冶具であって、カートリッジの設置部に設置可能で、前記容器が装填される円筒状のスリーブと、前記ピストンの先端に脱着可能で、前記スリーブ内を摺動して前記スリーブ内の容器を押圧するピストンカバーと、を有し、前記スリーブは、当該スリーブの本体に対し開閉し、前記容器を出し入れ可能にする蓋部を有し、前記ピストンカバーは、前記ピストンの軸と中心が一致する円状の前面部と、前記前面部の周りに環状に設けられ、前記前面部よりも後方側に位置し、前記容器の一部がこのピストンカバーと前記スリーブとの間に入り込むことを抑制する入込み抑制部と、を有するものである。
【0010】
本発明によれば、カートリッジ用のガン式ディスペンサに変形自在な容器を設置できる。また、ピストンにより押圧された容器の一部がスリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制できるので、食用内容物を残さず容器から押し出すことができる。また、ピストンを引き戻し易くなり、容器の交換時にスリーブから容器を容易に取り外すことができる。
【0011】
前記入込み抑制部は、V字型状の断面形状を有していてもよい。かかる場合、前面部の周囲に、V字型の内側となる空間が形成されるので、前面部の周囲から垂れた容器の一部がこの空間内に誘導され、これによって、容器の一部がピストンとスリーブとの間から後方に入り込むのを効果的かつ確実に防止できる。また、入込み抑制部の先端とスリーブとの接触面積が小さく摩擦が小さくなるため、スリーブ内におけるピストンカバー及びピストンの移動がスムーズに行われ、食用内容物の吐出が適正に行われる。なお、「V字型状」には、V字型と実質的に同等の機能を果たす、V字型に近い形状のものも含まれる。
【0012】
前記ピストンカバーは、当該ピストンカバーが取り付けられた状態で前記ピストンを最も後方に配置した際に、前記ピストンカバーの少なくとも一部が前記スリーブ内に位置するような前後方向の長さを有していてもよい。かかる場合、容器の交換時に、ピストンを引いても、ピストンカバーがスリーブから抜けることがない。この結果、容器の交換時にスリーブがディスペンサに対し固定されるので、当該スリーブに対する容器の出し入れを簡単かつ迅速に行うことができる。
【0013】
前記ピストンカバーは、その内面に、ピストンを系止する爪部を有し、当該爪部により前記ピストンカバーを前記ピストンに対し自在に脱着できるようにしてもよい。かかる場合、工具等が必要なく、ピストンカバーのピストンに対する脱着を容易に行うことができる。ピストンからピストンカバーを外すことにより、スリーブ及びピストンカバーをディスペンサから容易に外すことができるので、カートリッジと容器保持治具との交換も容易に行うことができる。
【0014】
前記スリーブの材質は、ポリカーボネートであり、前記ピストンカバーの材質は、ポリプロピレンであってもよい。かかる場合、スリーブ及びピストンカバーの強度が確保され、軽量化が図られる。また、熱湯殺菌が可能になる。
【0015】
また、前記食用内容物が、粘性を有する食品が前記容器充填され密封された容器詰め食品であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カートリッジに代えて、繰り返し使用可能な容器保持治具を用いることができるので、環境面、コスト面の観点から好ましい。また、容器内の食用内容物を無駄なく効率的に押し出すことができる。さらに容器の交換が容易になりディスペンサの使い勝手がよくなる。また、容器保持治具は、ディスペンサから取り外すことができるので、適宜洗浄して長期間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】容器を外した状態のディスペンサの斜視図である。
【図2】容器の斜視図である。
【図3】容器の吐出部の断面図である。
【図4】シート部の正面図である。
【図5】容器保持治具の斜視図である。
【図6】スリーブの断面図である。
【図7】ディスペンサの設置部に設置された容器保持治具の縦断面図である。
【図8】ピストンを最大限引き戻した状態の容器保持治具の縦断面図である。
【図9】容器を装填したときのディスペンサの斜視図である。
【図10】プルトップ部を外したときのディスペンサの斜視図である。
【図11】食用内容物が押し出されている状態を示す容器保持治具の縦断面である。
【図12】容器がピストンとスリーブとの間から後方に移動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる容器保持治具1が搭載されたガン式のディスペンサ2の構成の概略を示す斜視図である。
【0019】
ガン式のディスペンサ2は、一般的なステンレス製のものであり、食用内容物を収容する交換式の筒状のカートリッジを装着して、当該カートリッジ内をピストンにより押して食用内容物を押し出すものである。具体的には、ディスペンサ2は、その筒状のカートリッジと本発明の容器保持治具1を選択的に設置可能な設置部10と、当該設置部10の後端に取り付けられたハンドル部11と、設置部10の筒状のカートリッジや、容器保持治具1の容器Aを後方から押す押圧機構12を有している。なお、筒状のカートリッジは、例えばそれ自体が容器であり、少なくとも一部が変形して内部の食用内容物が吐出されるものである。
【0020】
図1に示すように設置部10は、略円筒状に形成され、例えば中央に円形の開口部20aを有する環状の先端部20と、中央に後述のロッド51が挿通する円形の後端部21と、先端部20と後端部21を接続し容器保持治具1の後述のスリーブ80や筒状のカートリッジが載置される略半円筒状の載置部22を有している。
【0021】
図1に示すようにハンドル部11は、例えば設置部10の後端部21に固定された固定ハンドル30と、固定ハンドル30に対し回動自在に設けられたレバー31を有している。ハンドル部11の内部には、例えば図示しないスプリングが設けられており、レバー31を引いた力を除去すると、レバー31が元の位置に戻るようになっている。
【0022】
押圧機構12は、例えば設置部10のスリーブ80内に挿入される円盤状のピストン50と、当該ピストン50から、後端部21とハンドル部11を貫通し、後方に突出するロッド51を有している。ロッド51には、長手方向に沿って一定間隔の複数の溝51aが形成されており、レバー31内の図示しないフックを各溝51aに引っ掛けることができる。これがラチェット機構になっており、ある溝51aに引っ掛けられたレバー31を引くと、ロッド51が溝51aの間隔分前方に送られピストン50が前進し、レバー31を戻すと、レバー31が次の溝51aに引っ掛かる。複数の溝51aがあるので、この動作を繰り返すことができ、レバー31を繰り返し引くことにより、その分ピストン50を前進させることができる。また、ロッド51は、軸周りに反転させることにより溝51aとレバー31の引っ掛かりを解除でき、後方に引き戻すことができる。
【0023】
容器Aは、図2に示すように食用内容物が吐出される部分に設けられた吐出部60と、吐出部60に接続され変形自在な袋部61を有している。吐出部60は、例えば樹脂製で射出成型されたものであり、袋部61は、例えば樹脂製の薄いフィルムにより形成されている。
【0024】
吐出部60は、例えば図3に示すように環状の外枠部70と、当該外枠部70から取り外し容器Aを開封可能にするプルトップ部71と、プルトップ部71の裏面側に取り付けられたシート部72を有している。
【0025】
シート部72は、図4に示すように薄膜の円形状を有し、切り込み状の吐出孔72aが例えば3か所に形成されている。プルトップ部71を外枠部70から取り外すと、シート部72の吐出口72aが露出する。
【0026】
次に、容器保持治具1について説明する。図5に示すように容器保持治具1は、容器Aが装填される円筒状のスリーブ80と、ピストン50の先端に脱着可能で、スリーブ80内を摺動してスリーブ80内の容器Aの袋部61を押圧するピストンカバー81を有している。
【0027】
スリーブ80は、スリーブ80の本体80aに対し開閉し容器Aを取り出し可能にする蓋部82を有している。蓋部82は、半円筒状に形成されている。蓋部82は、図6に示すように一端にスリーブ80の軸方向に延びる回動軸90を有し、当該回動軸90周りに回動して開閉自在である。また、スリーブ80は、図5に示すように回動軸90と反対側の他端のスリーブ80の本体80aに係止される係止部91が形成されている。係止部91は、例えば貫通孔であり、本体80a側に設けられた突起部92に嵌め込まれることによって本体80aに係止される。また、スリーブ80は、スリーブ80が設置部10に設置された状態でピストン50を最も後退させたときに、ピストン50とスリーブ80が干渉せずスリーブ80の着脱が可能な長さを有している。スリーブ80の材質には、例えばポリカーボネートが用いられている。
【0028】
ピストンカバー81は、図7に示すようにピストン50の軸と中心が一致する円板状の前面部100と、前面部100の周りに環状に設けられ、前面部100よりも後方側に位置し、容器Aの袋部61がこのピストンカバー81とスリーブ80との間に巻き込まれるのを抑制する入込み抑制部101を有している。入込み抑制部101は、前面部100よりも一段後方に下がった位置に断面V字形状に形成されている。
【0029】
入込み抑制部101は、例えば略V字型の断面形状を有し、例えば前面部100の外縁から連続的に後方に延びる後延部110と、後延部110の外縁に位置する底部111と、底部111から前方側の斜め外側に向けて突出する突部112を有し、入込み抑制部101には、V字の内側にできる空間Bが形成される。突部112は、例えば先細になるようにテーパ状に形成されている。突部112の先端は、スリーブ80の内面に当接している。なお、突部112は、スリーブ80の内面に対し、フィルム状の袋部61が入り込まない程度に実質的に当接していればよく、僅かな隙間があってもよい。
【0030】
ピストンカバー81は、入込み抑制部101の後方側に延びる円筒部120と、前面部100の裏面から後方側に延びるリブ部121をさらに有している。円筒部120の後方端には、内側に突出する爪部130が設けられている。爪部130は、円筒部120の後方端の複数個所に設けられている。ピストンカバー81の裏面のリブ部121に対し、円形の略皿状のピストン50を押圧し、当該ピストン50の周縁部をピストンカバー81の内周面にある爪部130に引っ掛けることにより、ピストンカバー81をピストン50に対し取り付けることができる。また、ピストン50からピストンカバー81を引っ張り、爪部130からピストン50の外縁を取り外すことにより、ピストンカバー81をピストン50から取り外すことができる。
【0031】
ピストンカバー81は、前後方向に所定の厚みを有し、図8に示すようにピストンカバー81が取り付けられた状態のピストン50を最も後方に配置した際(ロッド51を最も後方に引いた際)に、ピストンカバー81の少なくとも一部がスリーブ80内に位置するように構成されている。ピストンカバー81の材質には、例えばポリプロピレンが用いられている。
【0032】
次に、以上のように構成された容器保持治具1の動作を、ディスペンサ2の使用時の動作と共に説明する。先ず、図1に示すように容器保持治具1がディスペンサ2の設置部10に装着される。その後、スリーブ80の蓋部82が開放され、その開口に手を入れて、ピストンカバー81がピストン50に取り付けられる。その後、図9に示すように容器Aがスリーブ80内に設置される。このとき、容器Aの吐出部60が、スリーブ80の先端の開口部80bに嵌め込まれ、位置決めされる。なお、容器Aには、ハンバーガーやホットドックなどの食品に盛りつけられる、マヨネーズ等の粘性を有するペースト状の食用内容物Cが収納されている。
【0033】
次に、図10に示すように蓋部82が閉じられ、プルトップ部71が外枠部70から外され、容器Aが開封される。このとき、シート部72の吐出孔72aが露出する。こうして、容器Aの装填作業が終了する。
【0034】
次に、ディスペンサ2のレバー31が引かれ、ロッド51及びピストン50が所定ピッチ前進し、ピストンカバー81が容器Aの袋部61を後ろ側から押圧する。これにより、吐出孔72aから所定量の食用内容物Cが押し出される。
【0035】
このとき、図11に示すように主にピストンカバー81の前面部100が容器Aの袋部61を押し、前面部100の周囲の入込み抑制部101の空間Bに袋部61の一部が入り込む。また、断面V字形状の入込み抑制部101の突部112がスリーブ80の内壁に当接している。これにより、前面部100の周囲の空間Bに移動した袋部61の一部が、V字形状の入込み抑制部101に保持され、ピストンカバー81が前方に移動しても、袋部61がスリーブ80とピストンカバー81との間に入り込むことが抑制される。
【0036】
その後、ピストンカバー81が容器Aの吐出部60に到達すると、容器Aが空になる。このとき、前面部100はシート部72まで到達し、吐出部60の外枠部70は入込み抑制部101の空間Bに入り込んで、吐出部60とピストンカバー81との干渉が防止される。
【0037】
容器Aが空になると、ロッド51が後方に引き戻され、ピストンカバー81及びピストン50がスリーブ80内の後方側に移動する。このとき、ロッド51とピストン50が最大限後方に引かれても、ピストンカバー81がスリーブ80から抜けることがない。このため、ロッド51とピストン50に取り付けられたピストンカバー81によりスリーブ80が設置部10に対し固定される。その後、スリーブ80の蓋部82が開放され、中から空の容器Aが取り出され、新しい容器Aと交換される。
【0038】
以上の実施の形態によれば、容器保持治具1を用いて、カートリッジ用のガン式ディスペンサ2に、変形自在な容器Aを設置できる。これにより、カートリッジの代わりに、繰り返し使用可能な容器保持治具1を使用して容器Aを設置できるので、環境面、コスト面の観点から好ましい。また、容器保持治具1が、前面部100と入込み抑制部101を有するピストンカバー81を有しているので、ピストン50により容器Aの袋部61を押圧して食用内容物を押し出す際に、容器Aの袋部61がスリーブ80とピストンカバー81との間に入り込むことを抑制できる。これにより、食用内容物Cを残さず容器Aから押し出すことができる。また、容器Aの交換時に、ピストン50を引き戻しやすくなり、スリーブ80から容器Aを容易に取り外すことができる。
【0039】
また、入込み抑制部101が、前面部100の周りに環状に設けられ、前面部100よりも一段後方側に位置し、V字型状の断面形状を有しているので、前面部100の周囲にV字型の内側形状の空間Bを形成できる。これにより、前面部100の周囲から垂れた容器Aの袋部61の一部がこの空間B内に誘導され、これによって、容器Aの袋部61の一部がピストンカバー81とスリーブ80との間から後方に入り込むのを効果的かつ確実に防止できる。また、入込み抑制部101の先端とスリーブ80との接触面積が小さく摩擦が小さくなるため、スリーブ80内におけるピストンカバー81及びピストン50の移動がスムーズに行われ、食用内容物Cの吐出が適正に行われる。
【0040】
ピストンカバー81は、ピストン50を最も後方に配置した際に、ピストンカバー81の少なくとも一部がスリーブ80内に位置するような前後方向の長さを有するので、容器Aの交換時に、ピストン50を引いても、ピストンカバー81がスリーブ80から抜けることがない。この結果、容器Aの交換時にスリーブ80がディスペンサ2に対し固定されるので、当該スリーブ80に対する容器Aの出し入れを簡単かつ迅速に行うことができる。
【0041】
ピストンカバー81は、その内面に、ピストン50を系止する爪部130を有し、当該爪部130によりピストンカバー81をピストン50に対し自在に脱着できる。このため、工具等が必要なく、ピストンカバー81のピストン50に対する脱着を容易に行うことができる。ピストン50からピストンカバー81を外すことにより、スリーブ80及びピストンカバー81をディスペンサ2の設置部10から容易に外すことができるので、カートリッジと容器保持治具1との交換も容易に行うことができる。
【0042】
スリーブ80の材質に、硬くて割れない樹脂であるポリカーボネートを用い、ピストンカバー81の材質に、比較的硬い樹脂であるポリプロピレンを用いたので、容器保持治具1の強度を確保でき、容器保持治具1を取り扱う煩雑な作業において破損することが防止される。また、耐熱性に優れており、食用内容物を扱うスリーブ80やピストンカバー81を熱湯殺菌することができる。さらに軽量化が図られ、比較的重いステンレス製のディスペンサ2にも好適に使用できる。
【0043】
容器保持治具1に装填される容器Aは、食用内容物が吐出されるプルトップ式の吐出部60と、当該吐出部60に接続された変形可能な袋部61を有している。このようにプルトップ式の吐出部60を有することにより、使用前の密閉性を確保し、食用内容物を確実に無菌状態に保つことができる。また、容器Aの開封を容易に行うことができるため使い勝手も良い。また、変形自在な袋部61を有することにより、食用内容物の押し出しを好適に行うことができる。
【0044】
また、容器Aに粘性を有する食品が充填され密封された容器詰め食品は、残らず使い切られるため、食用内容物の無駄をなくすことができる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、ディスペンサのピストンにより押圧される容器が、スリーブとピストンとの間に入り込むことを抑制する際に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 容器保持治具
2 ディスペンサ
50 ピストン
51 ロッド
60 吐出部
61 袋部
80 スリーブ
81 ピストンカバー
82 蓋部
100 前面部
101 入込み抑制部
A 容器
C 食用内容物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用内容物を収容する交換式のカートリッジ内をピストンにより押圧して食用内容物を吐出するガン式ディスペンサに前記カートリッジの代わりに装着可能であり、食用内容物用の変形自在な容器を保持可能な容器保持冶具であって、
カートリッジの設置部に設置可能で、前記容器が装填される円筒状のスリーブと、
前記ピストンの先端に脱着可能で、前記スリーブ内を摺動して前記スリーブ内の容器を押圧するピストンカバーと、を有し、
前記スリーブは、
当該スリーブの本体に対し開閉し、前記容器を出し入れ可能にする蓋部を有し、
前記ピストンカバーは、
前記ピストンの軸と中心が一致する円状の前面部と、
前記前面部の周りに環状に設けられ、前記前面部よりも後方側に位置し、前記容器の一部がこのピストンカバーと前記スリーブとの間に入り込むことを抑制する入込み抑制部と、を有する、容器保持治具。
【請求項2】
前記入込み抑制部は、V字型状の断面形状を有している、請求項1に記載の容器保持治具。
【請求項3】
前記ピストンカバーは、当該ピストンカバーが取り付けられた状態で前記ピストンを最も後方に配置した際に、前記ピストンカバーの少なくとも一部が前記スリーブ内に位置するような前後方向の長さを有している、請求項1又は2に記載の容器保持冶具。
【請求項4】
前記ピストンカバーは、その内面に、ピストンを系止する爪部を有し、当該爪部により前記ピストンカバーを前記ピストンに対し自在に脱着できる、請求項1〜3のいずれかに記載の容器保持冶具。
【請求項5】
前記スリーブの材質は、ポリカーボネートであり、
前記ピストンカバーの材質は、ポリプロピレンである、請求項1〜4のいずれかに記載の容器保持冶具。
【請求項6】
前記食用内容物が、粘性を有する食品が容器に充填され密封された容器詰め食品である、請求項1〜5のいずれかに記載の容器保持冶具。
【請求項1】
食用内容物を収容する交換式のカートリッジ内をピストンにより押圧して食用内容物を吐出するガン式ディスペンサに前記カートリッジの代わりに装着可能であり、食用内容物用の変形自在な容器を保持可能な容器保持冶具であって、
カートリッジの設置部に設置可能で、前記容器が装填される円筒状のスリーブと、
前記ピストンの先端に脱着可能で、前記スリーブ内を摺動して前記スリーブ内の容器を押圧するピストンカバーと、を有し、
前記スリーブは、
当該スリーブの本体に対し開閉し、前記容器を出し入れ可能にする蓋部を有し、
前記ピストンカバーは、
前記ピストンの軸と中心が一致する円状の前面部と、
前記前面部の周りに環状に設けられ、前記前面部よりも後方側に位置し、前記容器の一部がこのピストンカバーと前記スリーブとの間に入り込むことを抑制する入込み抑制部と、を有する、容器保持治具。
【請求項2】
前記入込み抑制部は、V字型状の断面形状を有している、請求項1に記載の容器保持治具。
【請求項3】
前記ピストンカバーは、当該ピストンカバーが取り付けられた状態で前記ピストンを最も後方に配置した際に、前記ピストンカバーの少なくとも一部が前記スリーブ内に位置するような前後方向の長さを有している、請求項1又は2に記載の容器保持冶具。
【請求項4】
前記ピストンカバーは、その内面に、ピストンを系止する爪部を有し、当該爪部により前記ピストンカバーを前記ピストンに対し自在に脱着できる、請求項1〜3のいずれかに記載の容器保持冶具。
【請求項5】
前記スリーブの材質は、ポリカーボネートであり、
前記ピストンカバーの材質は、ポリプロピレンである、請求項1〜4のいずれかに記載の容器保持冶具。
【請求項6】
前記食用内容物が、粘性を有する食品が容器に充填され密封された容器詰め食品である、請求項1〜5のいずれかに記載の容器保持冶具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−214239(P2012−214239A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80050(P2011−80050)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【出願人】(397058666)カーギル インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】
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