説明

容器入り口腔内用製剤

【課題】簡便な操作で、効果的に口腔内用製剤を歯周ポケットに浸入させられる容器入り口腔内用製剤を提供する。
【解決手段】口腔内用製剤が注出容器1に収納されてなる容器入り口腔内用製剤において、前記口腔内用製剤は、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、0.3〜20Pa・sであり、前記注出容器1は、前記口腔内用製剤が収納される容器本体2と、該容器本体2の一端に設けられ、前記口腔内用製剤を注出するノズル体3とを備え、ノズル先端31の内径が0.2〜3mmであることよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器入り口腔内用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の喪失原因の約7割が歯周病であり、歯周病の罹患を防ぐためには、殺菌剤や抗炎症剤等の有効成分を含有した口腔内用製剤を用いることが有用であると言われている。歯周病の根本的な原因は、歯周ポケットの奥底の狭部に存在する病原性細菌である。
従って、歯周病の罹患を防ぐには、セルフケアにおいて歯周ポケットの奥底まで製剤を浸入させ、滞留させて、病原性細菌を死滅させることが重要である。
【0003】
歯周ポケットの奥底に製剤を浸入させるためには、有効成分を含む液体歯磨きを用いて歯頸部を清掃したり、有効成分を含む液体組成物を口中に含んだりするが、口腔内の唾液により有効成分が希釈されてしまい、歯周ポケット内に有効成分が滞留しにくいという問題があった。
【0004】
従来、歯周病の罹患の防止や改善を目的とし、様々な製剤や器具が提案されている。
例えば、歯間部に挿入可能なスティック状に形成され、歯肉及び/又は歯面に付着性を有する歯間部挿入用徐法性スティック状製剤が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明は、歯間や歯面に付着し、有効成分を徐放するため、任意の時間、効果を持続できる。
あるいは、(A)油脂、ワックス及び高級炭化水素より選ばれた1種以上、(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、(C)セルロース誘導体、(D)カルシウム化合物、(E)セフェム系抗生物質を含有する歯周病治療用徐放性製剤が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、患部に塗布された後、セフェム系抗生物質を持続的に放出することで、薬剤効果の持続性の向上が図られている。
【0005】
また、先端にノズル装着部を備えたバレルと、先端に該バレルの内壁を液密に摺動可能なガスケットを備え前記バレルの後端から挿入されたプランジャと、前記ノズル装着部に着脱自在なノズルを含んでなり、該ノズルが前記ノズル装着部への取り付け手段を備えた基端側の取付部と、該取付部から所定角度曲折せられて延びる吐出部からなる薬剤注入器が提案されている(例えば、特許文献3)。特許文献3の発明によれば、歯周ポケットの奥底へ薬剤を浸入させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−163768号公報
【特許文献2】特開2000−302621号公報
【特許文献3】特開2000−107298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜2の技術は、組成物の粘度を高めて、患部や患部近傍への付着性を向上させているため、組成物が歯周ポケットに浸入しにくい(浸入性が低い)という問題があった。加えて、唾液等で溶解した組成物の全てが必ずしも歯周ポケットに浸入するのではなく、一部が流出してしまうという問題がある。
また、単に粘度を低下させた組成物は、歯周ポケットのような狭小な隙間へ容易に浸入できるものの、唾液等により容易に流失し、薬剤効果を持続できない(滞留性が低い)。
特許文献3の技術は、医師による治療行為を前提にしており、セルフケアを目的とした用途には、操作が煩雑である。
そこで、本発明は、簡便な操作で、効果的に口腔内用製剤を歯周ポケットに浸入させられる容器入り口腔内用製剤を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の容器入り口腔内用製剤は、口腔内用製剤が注出容器に収納されてなる容器入り口腔内用製剤において、前記口腔内用製剤は、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、0.3〜20Pa・sであり、前記注出容器は、前記口腔内用製剤が収納される容器本体と、該容器本体の一端に設けられ、前記口腔内用製剤を注出するノズル体とを備え、前記ノズル体の先端の内径が0.2〜3mmであることを特徴とする。
[前記の口腔内用製剤の粘度(Pa・s)]/[前記ノズル体の先端の内径(mm)]で表される比が0.15〜40であることが好ましく、前記容器本体は、長さ5〜20cm、最大幅が1〜6cmであることが好ましく、前記容器本体は、可撓性を有し、前記容器本体を押圧して前記口腔内用製剤を注出してもよく、前記容器本体は、可塑性を有していてもよい。
前記容器本体には、先端近傍に逆止弁が設けられていることが好ましく、前記ノズル体の先端には、可撓性を有する2つの平面部が対向した逆流防止部が形成され、前記逆流防止部は、前記容器本体を押圧して口腔内用製剤を注出すると開口し、前記容器本体の押圧を解除すると閉口することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡便な操作で、効果的に口腔内用製剤を歯周ポケットに浸入させられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかる注出容器の平面図である。
【図2】図1のノズル体の平面図である。
【図3】図1の逆止弁の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる注出容器の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる注出容器の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるノズル体の平面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるノズル体の平面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるノズル体の平面図である。
【図9】(a)図8のノズル体の正面図である。(b)図8のノズル体の部分拡大図である。(c)図9(b)のC1−C1断面図である。
【図10】(a)図8のノズル体の使用方法を説明する正面図である。(b)図8のノズル体の使用方法を説明する部分拡大図である。(c)図10(b)のC2−C2断面図である。
【図11】(a)図8のノズル体の使用方法を説明する正面図である。(b)図8のノズル体の使用方法を説明する部分拡大図である。(c)図11(b)のC3−C3断面図である。
【図12】実施例に用いた注出部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(容器入り口腔内用製剤)
本発明の容器入り口腔内用製剤は、口腔内用製剤が注出容器に収納されたものであり、例えば、歯周病の予防又は改善を目的とし、歯周ポケットに塗布されるものである。
【0012】
<注出容器>
本発明の注出容器の一実施形態について、以下に図面を参照して説明する。
図1に示す注出容器1は、容器本体2と、容器本体2の一端に設けられたノズル体3とを備えるものである。
【0013】
容器本体2は、中空筒状の胴部20と、胴部20の一方の開口端を塞ぐ肩部22と、肩部22から突出した筒状の口頸部26と、胴部20の他方の開口端の内側同士が付き合わされ接着された底部24とを備える、いわゆるチューブ容器である。
本実施形態においては、肩部22の内部に逆止弁4が設けられ、この逆止弁4の口頸部26が肩部22から突出し、突出した口頸部26にノズル体3が装着されている。
【0014】
容器本体2の長さL1、即ち、底部24の端部からノズル体3の基端(ノズル基端)35までの長さは、特に限定されないが、例えば、5〜20cmが好ましく、7〜15cmがより好ましい。長さL1が5cm未満であると、小さすぎて手に収まりにくく、口腔内用製剤を塗布対象に正確に塗布しにくい場合がある。長さL1が20cm超であると、口腔内でのノズル体3の位置決め等の操作性が低下し、口腔内用製剤を塗布対象に正確に塗布しにくい場合がある。
【0015】
容器本体2の最大幅である幅W1は、特に限定されないが、例えば、1〜6cmが好ましく、2〜4cmがより好ましい。幅W1が1〜6cmであれば、容器本体2が手に収まりやすく、口腔内でのノズル体3の操作が容易となり、口腔内用製剤を塗布対象に正確に塗布できる。
【0016】
胴部20の材質は、可撓性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等の樹脂からなる単層フィルム、及びこれらの単層フィルムを積層した多層フィルム等が挙げられる。多層フィルムは、アルミニウム等の金属製の薄膜又は蒸着膜を備えていてもよい。このような単層フィルム又は多層フィルムで胴部20が形成されていれば、胴部20を押圧することで口腔内用製剤を注出し、胴部20の押圧を解除することで胴部20の形状が復元する(復元性)ため、容器本体2内の口腔内用製剤を残らず注出できる。
【0017】
胴部20は、肩部22との境界と、底部24の端部との中点を中心とする領域をプランジャーで押圧し、プランジャーがチューブと接触してから5mm下降した際の応力(以下、胴部硬さということがある)が1〜35Nであることが好ましく、2〜10Nであることがより好ましい。胴部硬さが1N未満であると、胴部20が軟弱になりすぎて、注出容器1を持ちにくくなるおそれがあり、35N超であると、口腔内用製剤を注出する際に、強く胴部20を押圧することとなり、口腔内用製剤の注出量の制御が困難になるおそれがある。
胴部硬さは、SUN RHEO METER CR−500DX(株式会社サン科学製)を用い、プランジャー(直径10mmの円柱型)の下降スピード300mm/分で測定された値である。
なお、胴部硬さは、胴部20を構成するフィルムの材質、厚さ、胴部20の幅W1の組み合わせにより調節できる。
【0018】
胴部20を構成するフィルムの厚さは、特に限定されず、材質等を勘案して決定できる。
【0019】
肩部22の材質は、特に限定されず、ポリオレフィンやポリエステル等の樹脂が挙げられる。
【0020】
ノズル体3は、口腔内用製剤を注出する際の流路が内部に形成された略円筒状の注出部30と、口頸部26の外周面に嵌合する筒状の接続部32とからなり、注出部30と接続部32とが一体成形されたものである。注出部30は、容器本体2とノズル体3との連通方向F1に伸び、口腔内用製剤の注出方向が、連通方向F1と略同一とされている。ノズル体3は、接続部32との境界である注出部基端33からノズル先端31に向かい漸次縮径するテーパー形状であり、このテーパー形状は、ノズル体3の長さ方向に対し内径が線形に減少するテーパー(線形テーパー)である。
【0021】
ノズル体3の長さl1、即ちノズル先端31からノズル基端35までの長さ(図2)は、特に限定されないが、例えば、20〜60mmが好ましく、30〜50mがより好ましい。長さl1が20mm未満であると、奥歯の歯頸部にノズル先端31が届きにくく、口腔内用製剤を塗布対象に塗布しにくいおそれがある。長さl1が60mm超であると、口腔内でのノズル体3の操作性が低下し、口腔内用製剤を塗布対象に正確に塗布しにくい場合がある。
【0022】
注出部30の長さl2、即ちノズル先端31から注出部基端33までの長さ(図2)は、特に限定されないが、例えば、15mm以上60mm未満が好ましく、25mm以上50mm未満がより好ましい。長さl2が15mm未満であると、奥歯の歯頸部にノズル先端31が届きにくく、口腔内用製剤を塗布対象に塗布しにくいおそれがある。長さl2が60mm以上であると、口腔内でのノズル体3の操作性が低下し、口腔内用製剤を塗布対象(特に、上顎下顎、舌側面・頬側面の全ての歯頸部)に正確に塗布しにくい場合がある。加えて、長さl2が15mm以上60mm未満であれば、後述するノズル硬さの調節が容易なためである。
【0023】
ノズル体3のノズル先端31の内径(先端内径)r1(図2)、即ちノズル体3の開口径は、0.2〜3mmであり、0.3〜2mmが好ましい。先端内径r1が0.2mm未満であると、口腔内用製剤を注出する際に、強く胴部20を押圧することとなり、口腔内用製剤の注出量の制御が困難であったり、吐出量が少なかったりして注出容器1の操作が煩雑になる。先端内径が3mm超であると、ノズル先端31から液垂れが生じ、取り扱いが煩雑である。
【0024】
ノズル体3の注出部基端33の内径(基端内径)r2は、小さすぎても、大きすぎても所望するノズル硬さを得られない場合がある。従って、注出部基端33の内径は、ノズル体3の材質等を勘案して決定でき、例えば、基端内径r2は1〜10mmとされる。
【0025】
ノズル体3の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン、ポリスチレン等の樹脂が挙げられ、中でも比較的軟質なポリオレフィン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等が好ましい。
【0026】
ノズル体3は、ノズル先端31と注出部基端33との中点を中心とする領域をプランジャーで押圧し、プランジャーがノズル体3と接触してから1mm下降した際の応力(ノズル硬さ)が1〜80Nであることが好ましく、3〜50Nであることがより好ましい。ノズル硬さが1N未満であると、自重によりノズル体3が屈曲したり、ノズル先端31が揺動したりして、塗布対象に口腔内用製剤を塗布しにくくなるおそれがある。ノズル硬さが80N超であると、例えば、ノズル先端31を歯牙と歯肉との境目に従って移動させようとした際、注出部30が十分に撓まず、口腔内用製剤を塗布対象に正確に塗布しにくかったり、ノズル先端31が歯肉に当たった際に、痛みを感じるおそれがある。
胴部硬さは、SUN RHEO METER CR−500DX(株式会社サン科学製)を用い、プランジャー(接地面1×7mm)の下降スピード300mm/分で測定された値である。
なお、ノズル硬さは、ノズル体3の材質、厚さ、ノズル体3の長さl1、注出部30の長さl2、注出部30の形状の組み合わせによって調節できる。
【0027】
図3に示すように、逆止弁4は、連通方向F1の両側に第一の逆止弁開口部43と第二の逆止弁開口部45とが形成された略円筒状のシリンダー部40と、第一の逆止弁開口部43の周縁から延設された口頸部26と、シリンダー部40内に収納され、連通方向F1に可動な球状の弁体50とを備えるものである。
シリンダー部40内には、第一の逆止弁開口部43の周縁近傍に、凸部42が形成され、第二の逆止弁開口部45側に、内周面の周方向に伸びる凸条44が形成されている。
【0028】
シリンダー部40の材質は、特に限定されず、ポリオレフィンやポリエステル等の樹脂、アルミニウム等の金属等が挙げられる。
口頸部26の材質は、シリンダー部40の材質と同様であり、弁体50の材質は、シリンダー部40の材質と同様である。
【0029】
(口腔内用組成物)
口腔内用組成物は、粘度が0.3〜20Pa・sのものであり、好ましくは0.5〜5Pa・sである。粘度が0.3Pa・s未満であると、ノズル先端31から液垂れが生じ、取り扱いが煩雑になるおそれがあり、粘度が20Pa・s超であると、口腔内用製剤を注出容器1から注出しにくく操作が煩雑であり、口腔内用製剤が歯周ポケット等の狭小部に浸入しにくい。
加えて、[口腔内用製剤の粘度(Pa・s)]/[ノズル体の先端の内径r1(mm)]で表される比(以下、粘度/内径比ということがある)は、0.15〜40が好ましく、0.4〜30がより好ましく、0.7〜8がさらに好ましい。粘度/内径比が上記範囲内であれば注出容器1から注出された口腔内用製剤の状態をより容易に制御でき、口腔内用製剤を歯周ポケット等の狭小部により容易に塗布できる。
なお、口腔内用製剤の粘度は、東機産業株式会社製のBH型回転式粘度計(製品名:TVB−10)を用い、以下に示す測定条件で測定されたものである。
ローター:No.4、回転数:20rpm、測定温度:25℃、測定時間:180秒後
【0030】
口腔内用製剤の組成は、粘度を0.3〜20Pa・sにできるものであれば特に限定されず、殺菌剤、抗炎症剤等の有効成分、粘稠剤、粘結剤、キレート剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、色素、香料等を組み合わせたものが挙げられる。
【0031】
有効成分としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性殺菌剤、ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン等の殺菌剤、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等の再石灰化効果を有するフッ化物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、アズレン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル等の抗炎症剤、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム等の知覚過敏抑制成分、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物等が挙げられる。中でも、口腔内用製剤を歯周ポケット洗浄剤とする場合、殺菌力の観点からカチオン性殺菌剤(以下、(C)成分ということがある)が好ましい。
これらの有効成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
口腔内用製剤中の有効成分の含有量は、有効成分の種類等を勘案し、本発明の効果を損なわない範囲で決定できる。
【0032】
粘稠剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物等の多価アルコール等が挙げられる。これらの粘稠剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
口腔内用製剤中の粘稠剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、5〜50質量%とされる。
【0033】
粘結剤としては、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、ポリビニルピロリドン等の窒素を含有する水溶性高分子、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、グアガム、ゼラチン、アビセル等の有機粘結剤、モンモリロナイト、カオリン、ベントナイト等の無機粘結剤等が挙げられ、中でも、カルボキシビニルポリマー(以下、(A)成分ということがある)と、窒素を含有する水溶性高分子(以下、(B)成分ということがある)とを併用することが好ましい。
口腔内用製剤中の粘結剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、5質量%以下とされる。
なお、本稿において「水溶性」とは、水に対する溶解度(20℃)が0.1g/水100g以上のものである。また「高分子」とは、重量平均分子量が1000以上のものであり、「重量平均分子量」は、米国薬局方(USP)において規定されたK値を光散乱法により測定された重量平均分子量に換算したものである。
【0034】
(A)成分と(B)成分とを併用する場合、(A)成分としては、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される0.5質量%水溶液の粘度(以下、0.5質量%粘度ということがある)が、好ましくは20Pa・s以下、より好ましくは2〜20Pa・s、さらに好ましくは5〜16Pa・sのものである。このような(A)成分としては、例えば、Carbopol941、981、ETD2050、2984(商品名、ルーブリゾール株式会社製)、HV501、501E(商品名、住友精化株式会社製)等が挙げられる。
これらの(A)成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0035】
(B)成分としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、中でも、滞留性のさらなる向上を図る観点から、ポリビニルピロリドンが好ましい。
ポリビニルピロリドンとしては、ルビスコールK−30、90(商品名、BASFジャパン株式会社製)等が市販されている。
【0036】
0.5質量%粘度が20Pa・sの(A)成分と(B)成分とを併用した口腔内用製剤は、口腔内で水分と接触することで、降伏値が上昇する。このため(A)成分及び(B)成分を含有する口腔内用製剤は、塗布対象に塗布する際は浸入性が高く、塗布した後は滞留性が高くなる。
なお、降伏値は、粘弾性測定装置RheoStress RS50(HAAKE社製)を用い、センサーC35/4度、0〜20Pa(30秒)、37℃にて測定できる。
【0037】
(A)成分と(B)成分とを併用する場合、(B)成分に対する(A)成分の質量比((A)/(B))は、0.2〜5であり、好ましくは0.4〜3である。0.2未満であると、十分な滞留性が得られないおそれがあり、5超であると、浸入性や滞留性が損なわれるおそれがある。
【0038】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグリコシド、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸デカグリセリル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
口腔内用製剤中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜5質量%とされる。
【0039】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等、防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。これらの甘味剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
口腔内用製剤中の甘味剤の含有量は、甘味剤の種類等を勘案し、本発明の効果を損なわない範囲で決定できる。
【0040】
香料としては、天然香料及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)をした香料、合成香料、天然香料及び/又は合成香料を組み合わせた調合香料等、公知の香料が挙げられる。これらの香料は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
口腔内用製剤中の香料の含有量は、香料の種類に応じて決定でき、例えば、0.000001〜1質量%が好ましい。また、上記香料を香料溶媒に溶解した香料製剤を用いる場合、口腔内用製剤中の香料製剤の含有量は、例えば、0.1〜2.0質量%が好ましい。
【0041】
口腔内用製剤の分散媒は、水であれば特に限定されず、水道水、井水や、蒸留、イオン交換、ろ過又はこれらを組み合わせて処理した精製水等が挙げられる。
口腔内用製剤中の水の含有量(水分含量)は、30〜85質量%であり、好ましくは、40〜75質量%である。30質量%未満であると浸入性が不十分であり、85質量%超であると滞留性が不十分となる。
【0042】
(製造方法)
本実施形態の容器入り口腔内用製剤の製造方法について説明する。
まず、常法に従って、任意の成分を水に分散又は溶解して口腔内用製剤を得る。
【0043】
肩部22から口頸部26が突出するように、逆止弁4を肩部22を構成する部材(肩部部材)に装着した後、この肩部部材で筒状のフィルムの一方の開口端を閉塞して肩部22を形成する。肩部22の形成方法は特に限定されず、例えば、肩部部材と筒状のフィルムとを熱溶着する方法が挙げられる。
次いで、フィルムの他方の開口端から口腔内用製剤を充填した後、この開口端を閉塞して底部24を形成する。底部24の形成方法は特に限定されず、例えば、筒状のフィルムの内側同士付き合わせて、熱溶着したり、接着剤で接着する方法が挙げられる。
そして、口頸部26にノズル体3を装着することで、容器入り口腔内用製剤を得ることができる。なお、ノズル体3は、口頸部26に接着されていてもよいし、着脱可能に装着されていてもよい。
【0044】
(使用方法)
本実施形態の容器入り口腔内用製剤の使用方法について説明する。
手指で胴部20を把持し、ノズル先端31を歯牙と歯肉との境目に当接させ、把持した手指で胴部20を押圧して口腔内用製剤をノズル先端31から注出する。胴部20を押圧すると、弁体50は、胴部20内の口腔内用製剤に押されて口頸部26側に移動し凸部42に当接し符号50aの状態となる。この際、弁体50aは、第一の逆止弁開口部43を塞がないため、逆止弁4内には、口腔内用製剤が口頸部26内を流通する流路が確保される。
【0045】
口腔内用製剤を注出しながら、ノズル先端31を歯牙と歯肉との境目に従って移動させることで、広範にわたって口腔内用製剤を塗布する。
歯牙と歯肉との境目に塗布された口腔内用製剤は、流動性を有するため、歯周ポケットの奥底まで浸入する。
胴部20は、押圧が解除されると復元し、口頸部26内及びノズル体3内の口腔内用製剤は、胴部20内に戻ろうとする。この際、弁体50aは、第二の逆止弁開口部45側に移動し、凸条44に当接して第二の逆止弁開口部45を塞ぐ。こうして、逆止弁4は、口腔内の唾液等が胴部20内に浸入するのを防止する。
【0046】
本実施形態によれば、ノズル先端の内径が0.2〜3mmである注出容器に、粘度0.3〜20Pa・sの口腔内用製剤が収納されているため、簡便な操作で、狭小な歯周ポケットへ効果的に口腔内用製剤を浸入させられる。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、容器本体がチューブ容器とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、図4に示す注出容器100のように、略円筒状のシリンジ120と、プランジャ122とからなる注射器型の容器本体102であってもよい。あるいは、図5に示す注出容器200のように、可撓性の材質によりブロー成形された平面視略楕円形の容器本体202であってもよい。
【0048】
上述の実施形態では、注出部は略円筒状であるが、本発明はこれに限定されず、注出部が角筒状であってもよい。注出部が角筒状である場合、ノズル先端の内径は、ノズル先端の内径の輪郭が内接する円の直径である。
【0049】
上述の実施形態では、注出部の形状が、線形テーパーとされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、注出部基端からノズル先端までが略同一の内径であってもよい。
また、例えば、図6に示すノズル体103のように、注出部基端133からノズル先端131に向かい漸次縮径すると共に、外周面が凹状曲面とされた注出部130を備えるものが挙げられる。
あるいは、図7に示すノズル体203のように、注出部基端233からノズル先端231に向かい漸次縮径すると共に、外周面が膨出面とされた注出部230を備えるものが挙げられる。
中でも、ノズル体としては、図6に示すノズル体103が好ましい。
【0050】
さらに、ノズル体としては、ノズル先端に逆流防止部が形成されているものが好ましい。逆流防止部としては、いわゆるダブルリード状のものが挙げられる。このような逆流防止部が形成された注出部について、図8〜9を用いて説明する。図8は、ノズル体303の平面図であり、図9(a)はノズル体303をノズル先端から見た正面図であり、図9(b)は、図8の部分拡大図であり、図9(c)は、図9(b)のC1−C1断面図である。
【0051】
図8に示すノズル体303の注出部330は、平面視において注出部基端333からノズル先端331に向かい漸次縮幅し、次いで拡幅する形状であり、ノズル先端331に向かい漸次拡幅する部分が逆流防止部340とされたものである。図9に示すように、逆流防止部340は、対向する平面部341と平面部342とがその内面同士を突き合わせられて形成されたものであり、可撓性を有する樹脂により構成されたものである。ノズル体303は、平面部341と平面部342とが合わせ部344で突き合わされている状態(常態)において、ノズル先端331が閉状態とされている。
【0052】
次に、ノズル体303を備えた注出容器の使用方法について、図9〜11を用いて説明する。図10(a)はノズル体303をノズル先端から見た正面図であり、図10(b)は、ノズル体303の部分拡大図であり、図10(c)は、図10(b)のC2−C2断面図である。図11(a)はノズル体303をノズル先端から見た正面図であり、図11(b)は、ノズル体303の部分拡大図であり、図11(c)は、図11(b)のC3−C3断面図である。
【0053】
まず、注出容器の胴部を押圧すると、図10に示すように、平面部341と平面部342とが互いに離間し、開口部346を形成して、口腔内用製剤が注出される。さらに胴部を押圧すると、図11に示すように開口部346が広がり、より多量の口腔内用製剤が注出される。
任意の量の口腔内用製剤を注出した後、胴部への押圧を解除すると、図9に示すように平面部341と平面部342とが突き合わされ、ノズル先端331は閉口する。
このような逆流防止部340が形成されていることで、ノズル先端331に付着した唾液等がノズル体303内に逆流するのを防止できる。
なお、ノズル体303における「先端の内径」は、開口部346を正面視真円形にした際の開口径である。また、逆流防止部340の基端(即ち、平面視においてノズル体303の幅が最も狭くなる位置)におけるノズル体303の内径は、0.2〜3mmが好ましい。
【0054】
上述の実施形態では、注出部は、連通方向に伸び、口腔内用製剤の注出方向と連通方向とが略同一となる形状(ストレート形状)とされているが、本発明はこれに限定されず、注出部が屈曲していてもよい。ただし、注出部の形状は、口腔内用製剤の注出方向と連通方向とが略同一となる形状が好ましい。通常、口腔内用製剤を口腔内に塗布する際には、鏡を見たり、ノズル先端の当たり心地を頼りにしながら注出容器を操作する。注出部がストレート形状であれば、ノズル体をいかなる角度で口腔内に挿入しても、塗布対象に簡便かつ正確に口腔内用製剤を塗布できる。
【0055】
上述の実施形態では、肩部内に逆止弁が設けられているが、本発明はこれに限定されず、逆止弁が設けられていなくてもよい。
また、上述の実施形態では、逆止弁が、球状の弁体を備えるものとされているが、本発明はこれに限定されず、従来公知のいかなる逆止弁を用いてもよい。
【0056】
上述の実施形態では、胴部の材質が、可撓性を有しかつ復元性を有するものであるが、本発明はこれに限定されず、胴部の材質は、逆止弁の有無、逆流防止部の有無を勘案して決定できる。例えば、注出容器が逆止弁及び逆流防止部を備えていない場合、可撓性を有し、かつ可塑性を有する材質で胴部を構成してもよい。可塑性を有する材質を採用することで、ノズル先端に付着した唾液等が容器本体内に流入するのを防止できる。
可撓性を有し、かつ可塑性を有する材質としては、アルミニウム等の金属単層のフィルムが挙げられる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0058】
(使用原料)
各例の口腔内用製剤に用いた原料は、以下の通りである。
<(A)成分>
A−1:カルボキシビニルポリマー(商品名;Carbopol981、0.5質量%水溶液の粘度;6Pa・s、ルーブリゾール株式会社製)
A−2:カルボキシビニルポリマー(商品名;CarbopolETD2050、0.5質量%水溶液の粘度;15Pa・s、ルーブリゾール株式会社製)
<(B)成分>
B−1:ポリビニルピロリドン(商品名;ルビスコールK−90、BASFジャパン株式会社製)
【0059】
<(C)成分>
C−1:塩化セチルピリジニウム(和光純薬工業株式会社製)
C−2:塩化ベンザルコニウム(関東化学株式会社製)
C−3:塩化ベンゼトニウム(関東化学株式会社製)
【0060】
<その他>
その他の成分については、医薬部外品原料規格の規格品を用いた。
【0061】
(製造例1〜7)口腔内用組成物A〜Gの製造
表1の組成に従い、水に各成分を添加し、攪拌して各例の口腔内用製剤を製造した。
【0062】
【表1】

【0063】
(実施例1〜9、実施例12〜41)
表2〜5の仕様に従い、図1に示す注出容器1と同様の注出容器を作製した。容器本体の形成には、ラミネートチューブを用いた。このラミネートチューブは、下記仕様のラミネートフィルムを、円筒状の表中の「ラミネートチューブ直径」の円筒状としたものである。また、ノズル体は、図12(a)に示すストレート形状(注出部形状「A」)の注出部を備えるノズル体である。
注出容器に、表2〜5に示す各例の口腔内用製剤を収納して、容器入り口腔内用製剤とした。得られた容器入り口腔内用製剤について、液垂れ、製剤の押し出しやすさ、口腔内での操作性、容器の持ちやすさ、注出制御のしやすさ及び歯頸部への塗布のしやすさを評価し、その結果を表中に示す。
ラミネートフィルム:低密度ポリエチレン72μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂90μm/アルミニウム10μm/エチレン・アクリル酸共重合体樹脂35μm/直鎖状低密度ポリエチレン50μm、厚み257μm、大日本印刷株式会社製
【0064】
(実施例10)
注出部を図12(b)に示すものとした以外は、実施例1と同様にして容器入り口腔内用製剤を得た。得られた容器入り口腔内用製剤について、液垂れ、製剤の押し出しやすさ、口腔内での操作性、容器の持ちやすさ、注出制御のしやすさ及び歯頸部への塗布のしやすさを評価し、その結果を表中に示す。
なお、本例に用いた注出容器は、注出部基端433とノズル先端431との中間でθ1=135°で屈曲した注出部430を備えるものであり、表中、注出部形状を「B」と記載した。
【0065】
(実施例11)
注出部を図12(c)に示すものとした以外は、実施例1と同様にして容器入り口腔内用製剤を得た。得られた容器入り口腔内用製剤について、液垂れ、製剤の押し出しやすさ、口腔内での操作性、容器の持ちやすさ、注出制御のしやすさ及び歯頸部への塗布のしやすさを評価し、その結果を表中に示す。
なお、本例に用いた注出容器は、注出部基端533とノズル先端531との中間でθ2=90°で屈曲した注出部530を備えるものであり、表中、注出部形状を「C」と記載した。
【0066】
(比較例1〜4)
表6の仕様に従った以外は、実施例1と同様にして容器入り口腔内用製剤を得た。得られた容器入り口腔内用製剤について、液垂れ、製剤の押し出しやすさ、口腔内での操作性、容器の持ちやすさ、及び歯頸部への塗布のしやすさを評価し、その結果を表中に示す。
【0067】
(評価方法)
<液垂れの評価方法>
各例の容器入り口腔内用製剤について、上顎・下顎を含む口腔内全体の歯頸部に塗布した時の、ノズル先端からの液垂れの状態について、4段階で回答を得た。液垂れが「全く無い」を4点、「ほとんど無い」を3点、「気にならない程度である」を2点、「ある」を1点として、10名の平均点から以下の基準でノズル先端部からの液垂れを評価した。
◎:3.5点以上
○〜◎:3.0点以上3.5点未満
○:2.5点以上3.0点未満
△〜○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.0点以上1.5点未満
【0068】
<製剤の押し出しやすさの評価方法>
各例の容器入り口腔内用製剤について、上顎・下顎を含む口腔内全体の歯頸部に塗布した時の、容器からの押し出しやすさについて、4段階で回答を得た。「非常に良い」を4点、「良い」を3点、「やや良い」を2点、「悪い」を1点として、10名の平均点から以下の基準で容器からの押し出しやすさを評価した。
◎:3.5点以上
○〜◎:3.0点以上3.5点未満
○:2.5点以上3.0点未満
△〜○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.0点以上1.5点未満
【0069】
<口腔内での操作性の評価方法>
各例の容器入り口腔内用製剤について、上顎・下顎を含む口腔内全体の歯頸部に塗布した時の、口腔内での動かしやすさについて、4段階で回答を得た。「非常に良い」を4点、「良い」を3点、「やや良い」を2点、「悪い」を1点として、10名の平均点から以下の基準で口腔内での動かしやすさを評価した。
◎:3.5点以上
○〜◎:3.0点以上3.5点未満
○:2.5点以上3.0点未満
△〜○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.0点以上1.5点未満
【0070】
<容器の持ちやすさの評価方法>
各例の容器入り口腔内用製剤について、上顎・下顎を含む口腔内全体の歯頸部に塗布した時の、容器の持ちやすさについて、4段階で回答を得た。「非常に良い」を4点、「良い」を3点、「やや良い」を2点、「悪い」を1点として、10名の平均点から以下の基準で容器の持ちやすさを評価した。
◎:3.5点以上
○〜◎:3.0点以上3.5点未満
○:2.5点以上3.0点未満
△〜○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.0点以上1.5点未満
【0071】
<注出制御のしやすさの評価方法>
各例の容器入り口腔内用製剤について、紙上に1cm/sec.の速度で15cmの直線状に内容物を注出し、注出状態を下記評価基準に従って評価した。この操作を10回繰り返し、その平均点を下記判断基準に分類して、注出制御のしやすさを評価した。
≪評価基準≫
5点:一定の幅でムラなく注出できる。
4点:略一定の幅で注出でき、ムラがほとんどない。
3点:略一定の幅で注出できるが、わずかにムラがある。
2点:注出された口腔内用製剤の幅に広狭があり、明らかにムラがある。
1点:口腔内用製剤が断続的に注出されたり、口腔内用製剤が流れて広がったりして、一定に注出できない。
≪判断基準≫
◎:4.5点以上
○〜◎:3.5点以上4.5点未満
○:3点以上3.5点未満
△:2点以上3点未満
×:2点以下
【0072】
<歯頸部への塗布のしやすさの評価方法>
各例の容器入り口腔内用製剤について、上顎・下顎を含む口腔内全体の歯頸部に塗布した時の、塗布のしやすさについて、4段階で回答を得た。「非常に良い」を4点、「良い」を3点、「やや良い」を2点、「悪い」を1点として、10名の平均点から以下の基準で歯頸部への塗布のしやすさを評価した。
◎:3.5点以上
○〜◎:3.0点以上3.5点未満
○:2.5点以上3.0点未満
△〜○:2.0点以上2.5点未満
△:1.5点以上2.0点未満
×:1.0点以上1.5点未満
【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
表2〜5に示すように、本発明を適用した実施例1〜41は、いずれも液垂れの評価が「○」以上、製剤の押し出しやすさの評価が「○」以上、歯頸部への塗布のしやすさの評価が「△〜○」以上、注出制御のしやすさの評価が「○」以上であった。
加えて、粘度/内径比が0.15〜40である実施例1〜41は、注出制御のしやすさが「○」以上であった。粘度/内径比が0.4〜30である実施例35、37は、粘度/内径比が0.4未満の実施例36、粘度/内径比が30超の実施例41に比べて、注出制御のしやすさがより良好になっていた。粘度/内径比が0.7〜8である実施例2、39は、粘度/内径比が0.7未満の実施例38、粘度/内径比が8超の実施例40に比べて、注出制御のしやすさがさらに良好になっていた。
表6に示すように、口腔内用製剤の粘度が0.1Pa・sである比較例1、及び先端内径r1が3.5mmである比較例4は、いずれも液垂れの評価及び歯頸部への塗布しやすさの評価が「×」であった。また、口腔内用製剤の粘度が30Pa・sである比較例2、及び先端内径r1が0.1mmの比較例3は、いずれも製剤の押し出しやすさの評価が「×」、歯頸部への塗布のしやすさの評価が「△」であった。
これらの結果から、本発明を適用した容器入り口腔内用製剤は、簡便な操作で、効果的に口腔内用製剤を歯周ポケットに浸入させられることが判った。
【符号の説明】
【0079】
1、100、200 注出容器
2、102、202 容器本体
3、103、203、303 ノズル体
4 逆止弁
31、131、231、331、431、531 ノズル先端
340 逆流防止部
341、342 平面部
F1 連通方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内用製剤が注出容器に収納されてなる容器入り口腔内用製剤において、
前記口腔内用製剤は、B型粘度計を用いて20rpm、25℃で測定される粘度が、0.3〜20Pa・sであり、
前記注出容器は、前記口腔内用製剤が収納される容器本体と、該容器本体の一端に設けられ、前記口腔内用製剤を注出するノズル体とを備え、前記ノズル体の先端の内径が0.2〜3mmであることを特徴とする容器入り口腔内用製剤。
【請求項2】
[前記の口腔内用製剤の粘度(Pa・s)]/[前記ノズル体の先端の内径(mm)]で表される比が0.15〜40であることを特徴とする、請求項1に記載の容器入り口腔内用製剤。
【請求項3】
前記容器本体は、長さ5〜20cm、最大幅が1〜6cmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の容器入り口腔内用製剤。
【請求項4】
前記容器本体は、可撓性を有し、
前記容器本体を押圧して前記口腔内用製剤を注出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器入り口腔内用製剤。
【請求項5】
前記容器本体は、可塑性を有することを特徴とする、請求項4に記載の容器入り口腔内用製剤。
【請求項6】
前記容器本体には、先端近傍に逆止弁が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器入り口腔内用製剤。
【請求項7】
前記ノズル体の先端には、可撓性を有する2つの平面部が対向した逆流防止部が形成され、
前記逆流防止部は、前記容器本体を押圧して口腔内用製剤を注出すると開口し、前記容器本体の押圧を解除すると閉口することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器入り口腔内用製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−211125(P2012−211125A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−57361(P2012−57361)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】