説明

容器入り粘性食品

【課題】容器に収納した粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる容器入り粘性食品を提供する。
【解決手段】
容器入り粘性食品は、前記粘性食品が、第1処理工程(STEP11)により、有色の天然物を破砕して得られた第1状態の食品に対して、第2処理工程(STEP12)により、ゲル化剤を添付して所定の粘性とした第2状態の食品、または、第2状態の食品に対して、加熱処理である第3処理工程(STEP13)を施して得られた第3状態の食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ状の可撓性容器に粘性食品を収納した容器入り粘性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器入り粘性食品としては、海苔などの海藻類の佃煮をプラスチック製のチューブに詰めたチューブ入り海藻類の佃煮が知られている(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−204495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載のチューブ入り海藻類の佃煮では、食べたい分量をその都度搾り出して使用することができるものの、チューブの注出口から佃煮を吐出させて描線することは困難である。
【0005】
すなわち、一般的なチューブの容器では、子供が注出口から佃煮を吐出させて何かを描こうとすると、注出口の径が大きく、思い通りに描けない。一方で、注出口の径を小さくすることも考えられるが、海藻類などが詰まってしまうという不都合を生じる。さらに、海藻類が詰まらないとしても、吐出した佃煮がぶつぶつと途切れてしまい描線することは困難である。
【0006】
以上の事情に鑑みて、本発明は、容器に収納した粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる容器入り粘性食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器入り粘性食品は、チューブ状の可撓性容器に粘性食品を収納し、該容器に外圧を掛けることにより該容器に設けられた注出口から該粘性食品を吐出させて描線可能な容器入り粘性食品であって、前記粘性食品は、有色の天然物を破砕する第1処理を施して得られた第1状態の食品に対して、ゲル化剤を添付して所定の粘性にする第2処理を施して得られた第2状態の食品であることを特徴とする。
【0008】
かかる本発明の容器入り粘性食品によれば、第1処理により有色の天然物を破砕することで、海苔などの海藻を用いる場合にもこれが描線するための小径の注出口で詰まってしまうことがない。
【0009】
さらに、第2処理により粘性食品をゲル化剤により所定の粘性にすることで、注出口から吐出した粘性食品がぶつぶつと途切れてしまうことを防止して、粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる。
【0010】
また、本発明の容器入り粘性食品は、前記粘性食品は、前記第2処理を施して得られた前記第2状態の食品に対して、加熱処理である第3処理を施して得られた第3状態の食品であることを特徴とする。
【0011】
かかる本発明の容器入り粘性食品によれば、第1および第2処理を施した食品に対して、加熱処理である第3処理を施すことで、必要な加熱を最小限に留めて天然物が有する色が変色または消滅することを回避することができ、天然物の色彩を生かしつつ、粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる。
【0012】
さらに、本発明の容器入り粘性食品は、前記所定の粘性が、8Pa・S〜13Pa・Sであることを特徴とする。
【0013】
かかる本発明の容器入り粘性食品によれば、具体的に、第2処理により粘性食品を8Pa・S〜13Pa・Sの所定の粘性に調整することで、注出口から吐出した粘性食品がぶつぶつと途切れてしまうことを防止して、粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる。
【0014】
また、本発明の容器入り粘性食品は、前記ゲル化剤として、キサンタンガム、カードラン、カラギーナン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、プルラン、ゼラチン、寒天、ファーセレラン、アルギン酸類、デンプン類、グルコマンナン、タラガム、カラヤガム、アラビアガム、ペクチン及びセルロース誘導体のうちいずれか1以上を含むことを特徴とする。
【0015】
かかる本発明の容器入り粘性食品によれば、ゲル化剤として、キサンタンガム、カードラン、カラギーナン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、プルラン、ゼラチン、寒天、ファーセレラン、アルギン酸類、デンプン類、グルコマンナン、タラガム、カラヤガム、アラビアガム、ペクチン及びセルロース誘導体のうちいずれか1以上を含むことで、第2処理により得られる第2状態の食品の粘性を上記所定の粘性とすることができ、注出口から吐出した粘性食品がぶつぶつと途切れてしまうことを防止して、粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる。
【0016】
さらに、本発明の容器入り粘性食品は、前記有色の天然物が海苔であることを特徴とする。
【0017】
かかる本発明の容器入り粘性食品によれば、有色の天然物が海苔である場合に好適に、天然物の色彩を生かしつつ、粘性食品を注出口から吐出させて描線することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の容器入り粘性食品の製造工程を示すフローチャート。
【図2】本実施形態の容器入り粘性食品の使用方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す本実施形態の容器入り粘性食品の製造工程は、前処理工程(図1/STEP10)と、第1処理工程(図1/STEP11)と、第2処理工程(図1/STEP12)と、第3処理工程(図1/STEP13)と、注入・封止工程(図1/STEP14)と、後処理工程(図1/STEP15)とを備える。
【0020】
この粘性食品としては、例えば、海藻類である海苔のほか、シソ、カボチャ、梅などの有色の天然物と、調味料(醤油、みりん、砂糖など)とを主原材料とする。
【0021】
まず、前処理工程(図1/STEP10)では、これらの天然物の洗浄のほか不必要部位の除去等の前処理を行う。また、この処理工程では主原料の必要な軽量等を併せて行う。
【0022】
次に、第1処理工程(図1/STEP11)では、有色の天然物を破砕する。破砕には破砕機が用いられる。破砕機としては、一般的な調理用粉砕機のほか、海苔を粉砕加工する際にはミンチ機等を用いることが好ましい。
【0023】
次に、第2処理工程(図1/STEP12)では、第1処理工程により得られた第1状態の食品に対して、ゲル化剤を添付して所定の粘性にする。
【0024】
具体的に、所定の粘度としては8Pa・S〜13Pa・Sであり、この範囲の粘度であれば、ゲル化剤としては、キサンタンガム、カードラン、カラギーナン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、プルラン、ゼラチン、寒天、ファーセレラン、アルギン酸類、デンプン類、グルコマンナン、タラガム、カラヤガム、アラビアガム、ペクチン及びセルロース誘導体のうちいずれか1以上を任意に選択することができる。
【0025】
なお、有色の天然物が海苔の場合には、柔らで滑らかな舌ざわりと、後述する描線可能とするために、キサンタンガムを使用することが好ましい。海苔には塩分が含まれているが、キサンタンガムは耐塩性に優れており、粘度の保持に効果的だからである。
【0026】
次に、第3処理工程(図1/STEP13)では、第2処理工程により得られた第2状態の食品に対して、加熱処理を施す。この加熱処理は、有色の天然物の色彩を喪失しないように、製造工程の最終段階で行われる。また、必要な加熱は、色彩を喪失しない温度範囲および時間で行われる。
【0027】
加熱は、粘性食品の殺菌の意味では不可欠であるが、この処理工程を容器への注入直前の最終工程で最小限に留めることで、天然物が有する色が変色または消滅することを回避することができると共に、天然物自体の風味を最大限に活かすことができる。
【0028】
次に、注入・封止工程(図1/STEP14)では、図2に示すチューブ状の可撓性容器2に第3処理工程により得られた第3状態の食品を注入して収納し、その注入口(図示省略)をシール材にて封止する。そして、容器2は、注入口を覆うように蓋付のキャップ20が螺着される。なお、キャップ20には、開閉式の蓋部21と、蓋部21により閉蓋される小径(約5mm)の注出口22とを備える。
【0029】
次に、後処理工程(図1/STEP15)では、以上のようにして製造された容器入り粘性食品を検品し、必要に応じた袋詰めや箱詰め等を行う。そして、製品が当該食品加工工場1から出荷される。
【0030】
以上が容器入り粘性食品の製造工程の詳細であり、このようにして製造された容器入り粘性食品は、例えば、図2に示すように使用される。
【0031】
すなわち、容器2のキャップ20を外してシール材を取り除き、再度、キャップ20を螺着することで、蓋部21を開ければ使用できる状態となる。
【0032】
そして、子供が注出口22から佃煮を吐出させて何かを描こうとする場合には、容器2本体に外力を加えて小径の注出口22から内容物である粘性食品を吐出させながら、容器2を移動させることで、思い通りに描線することができる。
【0033】
このとき、第1処理工程(図1/STEP11)により有色の天然物が破砕されているため、海苔などの海藻を用いる場合にもこれが描線するための小径の注出口22で詰まってしまうことがない。さらに、第2処理工程(図1/STEP12)により粘性食品をゲル化剤により所定の粘性にすることで、注出口22から吐出した粘性食品がぶつぶつと途切れてしまうことを防止して、粘性食品を注出口22から吐出させて描線することができる。加えて、第1および第2処理を施した食品に対して、加熱処理である第3処理工程(図1/STEP13)を施すことで、必要な加熱を最小限に留めて天然物が有する色が変色または消滅することを回避することができ、天然物の色彩および風味を活かすことができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、第3処理工程を製造工程の最終段階で行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、前処理工程(図1/STEP10)で必要な加熱等を予め行い、第3処理工程を省略してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…食品加工工場、2…容器、20…キャップ、21…蓋部、22…注出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状の可撓性容器に粘性食品を収納し、該容器に外圧を掛けることにより該容器に設けられた注出口から該粘性食品を吐出させて描線可能な容器入り粘性食品であって、
前記粘性食品は、有色の天然物を破砕する第1処理を施して得られた第1状態の食品に対して、ゲル化剤を添付して所定の粘性にする第2処理を施して得られた第2状態の食品であることを特徴とする容器入り粘性食品。
【請求項2】
請求項1記載の容器入り粘性食品において、
前記粘性食品は、前記第2処理を施して得られた前記第2状態の食品に対して、加熱処理である第3処理を施して得られた第3状態の食品であることを特徴とする容器入り粘性食品。
【請求項3】
請求項1または2記載の容器入り粘性食品において、
前記所定の粘性が、8Pa・S〜13Pa・Sであることを特徴とする容器入り粘性食品。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の容器入り粘性食品において、
前記ゲル化剤として、キサンタンガム、カードラン、カラギーナン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、プルラン、ゼラチン、寒天、ファーセレラン、アルギン酸類、デンプン類、グルコマンナン、タラガム、カラヤガム、アラビアガム、ペクチン及びセルロース誘導体のうちいずれか1以上を含むことを特徴とする容器入り粘性食品。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の容器入り粘性食品において、
前記有色の天然物が海苔であることを特徴とする容器入り粘性食品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−244940(P2012−244940A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119335(P2011−119335)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(502109647)株式会社カキヤ (2)
【Fターム(参考)】