説明

容器内の加圧液体を均圧分注するための方法および装置(フレア飲料弁)

本発明は、所定量の加圧された液体を分注する方法に関し、この分注方法は、容器内の液体を分注開口を介して分注空間に分注する際、容器と分注空間の間の圧力差が、中間投与室を用いて段階的に均一化される。まず、容器と投与室の間で圧力が均一化され、容器と投与室を圧力連通して圧力均衡を維持しつつ、容器から投与室へ所定量の液体を分注する。次いで、投与室を気体的かつ液体的に容器から遮断し、第2段階として、投与室と分注空間の間で圧力が均一化され、投与室と分注空間の圧力を等しく保って投与室内の所定量の液体を分注空間へ分注する。本発明の分注方法は、容器の第1内側容器に液体を供給し、第2内側容器に圧力均衡媒体を導入し、第1および第2内側容器は、変形可能または移動可能な側面で互いに隣接している。本発明の分注装置は、ユーザの冷蔵庫内に収容される内蔵型または自己冷却型の炭酸飲料分注機にできる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2009年5月7日にオランダでなされた出願第2002851号の優先権を主張するもので、この言及により上記出願の内容は本出願に合併される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、分注技術に関し、より詳しくは、容器内の加圧液体を、液体に溶解したガスの損失を無くし,あるいは損失を最小化して均圧分注するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスなどの他の物質が溶解した液体を定量分注する場合、分注された液体から溶解物質が突然放出されるという問題が起きている。例えば、ビールやソフトドリンクなどの炭酸水の場合、容器から液体が流出したとき、圧力の減少の結果、液体に溶けていた二酸化炭素がガスになって放出されることが度々ある。例えば、標準大気圧が略100kPaであるのに対して、典型的な炭酸水の内圧は、(缶詰め4℃で)117kPa、(室温21℃で)245kPaであることに留意すべきである。この例のように、従来の缶詰炭酸水は、室温で特に顕著であるように大気圧に対して超過圧を有する。
【0004】
従って、例えば瓶詰めの炭酸水では、気体の二酸化炭素は、水中に溶解した二酸化炭素と平衡状態にある。瓶が開けられると、水に溶解していた二酸化炭素は、泡だって急速に放出される。これは、高圧(大気圧以上)の二酸化炭素ガスを添加した後に炭酸水の瓶が密封されるからである。高圧のため、水には多量の炭酸ガスが溶解している。炭酸水の瓶が開けられると、瓶内の二酸化炭酸ガスの圧力は(大気圧まで)相当減少する。ガスの溶解度は、圧力に比例するから、溶解度が相当減少する。その結果、二酸化炭酸ガスは、炭酸水から泡を立てて急速に放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二酸化炭素ガスが周囲環境に逃げ出すと、炭酸飲料の例えば「泡立ち」,「飲み感」,「甘み感」などの特有の特徴が悪化する。
【0006】
当該技術分野で必要とされるのは、これらの問題を減じるか無くすようなこの種の液体を分注する方法および装置である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
投与された(定量の)加圧液体を分注する方法が提供される。本発明の一実施形態の方法は、中間投与室を用いて容器と分注空間の圧力差を段階的に均一化して、分注開口を経て容器内の液体を分注空間に分注する。第1に、容器と中間投与室を連通して両者間で圧力均衡を保ちつつ、両者間で圧力を均一化して、所定量の液体を容器から中間投与室に分注する。次に、中間投与室を容器から気体的にも液体的にも遮断する。第2段階において、中間投与室と分注空間の間で圧力を均一化して、両者の圧力を同じに保ちつつ、中間投与室内の所定量の液体を分注空間に分注する。本発明の方法は、容器の第1内側容器に液体を供給し、第2内側容器に圧力均衡媒体を導入するとともに、第1内側容器と第2内側容器を少なくとも変形しうる或いは移動しうる側面で隣接させる。また、本発明は、特に上記方法を実施するように構成された分注装置に関する。本発明の一実施形態の分注装置は、ユーザの冷蔵庫に内蔵できるか或いは例えば自己冷却式の炭酸飲料分注装置を含む。
【0008】
本発明の一実施形態において、例えばガスなどの溶解物質を含む投与された液体の分注方法が行われる。この方法は、容器から分注開口を経て液体が分注されるべき空間(「分注空間」)に液体を、容器と分注空間の圧力差を段階的に均一化しつつ分注し、この分注は、(i) まず、容器と中間投与室の間で圧力を均一化して、容器から中間投与室に液体を分注し、(i) 次に、中間投与室を容器から遮断し、中間投与室と分注空間の圧力が等しくなった時点で、中間投与室から分注空間に液体を分注する。
【0009】
本発明の一実施形態の方法は、分注すべき液体を第1内側容器に、圧力均衡媒体を第2内側容器に夫々供給し、第1,第2内側容器は、それらの間の変形または移動しうる側面によって互いに隣接している。第1内側容器は、例えば硬い容器内に設けられた柔軟な袋または膜(この袋または膜が第1内側容器を区画する)からなり、第2内側容器は、上記袋のまたは膜の外面と上記硬い容器の内面との間の空間からなって、第2内側容器に空気が導入されると、第1内側容器の体積が収縮する。この「袋内の袋」技術は、オランダ国ヘルモンドに在るディスペンシング・テクノロジーズ・ベスローテン・フェンノートシャップが有するフレア(登録商標)技術としても知られている。第1,第2内側容器の実施方法には種々あるが、それら総ての方法は、本発明の種々の実施形態に用いることができると理解される。
【0010】
圧力均衡媒体と分注すべき液体の接触は、例えば圧力均衡媒体を第2内側容器に導入し、分注すべき液体を第1内側容器に供給することによって防がれる。液体から放出された溶解ガス(例えば二酸化炭素)は、第1内側容器に入って、第2内側容器内の圧力均衡媒体から遮断されたままだから、圧力均衡媒体とガスは混合し得ない。従って、液体とこの液体から放出されたガスが入った第1内側容器を冷却すれば、放出されたガスは総て液体に再溶解して、液体の特有の特徴は保持される。
【0011】
本発明の一実施形態では、圧力均衡媒体は、例えば空気であって、液体から遮断されたままだから、液体が炭酸水である場合も非炭酸水(例えば果汁飲料)である場合も、長い貯蔵寿命と汚染の虞をなくするという利点がある。
【0012】
本発明の一実施形態は、例えば炭酸水などの物質溶解した液体にとって特に利点があるが、例えばN2O(笑気ガス)や二酸化窒素ガスやN2を溶解した液体に対しても同様に適用できる。ここでは炭酸水を例とし挙げたが、本発明は、他の液体に対しても同様に適用できると理解されねばならない。さらに、貯蔵寿命を延ばし,汚染の虞をなくすることは、溶解物質を含まない液体についても言えるから、本発明はガス溶解液体に限られない。
【0013】
本発明の一実施形態では、圧力均衡媒体は、例えば第2内側容器の体積を増加させ、 (分注すべき液体を蓄えた)第1内側容器の体積を減少させて、第1内側容器から分注すべき液体を押し出すうえ、第1内側容器内に空隙を生じさせず、第1内側容器内の液体からのガスの放出を防ぐ。
【0014】
本発明の一実施形態は、(i) 分注すべき液体の圧力と (ii) 分注空間の圧力が段階的に均一化される。この均一化は、(i) 容器と投与室の間でまずガスのみを接続した後、液体を接続して、ガス接続によって容器内の圧力を投与室内の圧力と均一化して、分注すべき液体を液体接続によって投与室に流入させる第1段階と、これに続き (ii) 投与室と分注空間の間でまずガスを接続した後液体を接続して、ガス接続によって投与室内の圧力を分注空間内の圧力と均一化して、投与室内の(第1段階の後半で流入した)液体を液体接続によって分注空間に配達する第2段階によって行われる。このように、第1段階で容器から投与室へ両者の圧力を同じに維持しつつ液体を移動させ、第2段階で投与された定量の液体を投与室から分注空間へ両者の圧力を同じに維持しつつ配達する。こうして、投与された定量の液体のみが分注空間に接し、容器内に残る液体は、第2段階で投与室が遮断されるので分注空間から遮断される。
【0015】
本発明の一実施形態では、空気が圧力均衡媒体の役割を果たす。この空気は第2内側容器に導入されて、第1内側容器内の液体から分離されているので、分注空間から取り出される空気は液体に混合せず、総ての上記フレア(登録商標)技術と同様、液体(例えばその特徴的な特性や貯蔵寿命など)に悪影響を及ぼすことがない。代替の実施形態では、気体,固体,液体またはこれらの任意の組み合わせを圧力均衡媒体として用いることができ、その場合の重要点は、液体が流れ合う2つの容器または室の間で等圧を維持することである。
【0016】
本発明の一実施形態では、第2内側容器を加圧するために例えば追加圧力源を容器に接続することができる。第2内側容器内を所望の圧力にすることによって、容器内の液体が加熱されたり容器が振動されたりした場合に、例えば上述のように第1内側容器内の液体から二酸化炭素が放出されてガス気泡が発生することを防止することができる。
【0017】
上記追加圧力源は、直接的または間接的なものにできる。間接的なものは、例えば主ポンプなどの主圧力源から分岐したホースと理解される。
【0018】
本発明の一実施形態は、容器から投与された(定量の)加圧液体を分注する装置を提供する。この装置は、例えば分注開口と、第1内側容器および第2内側容器と、投与室を有する。容器と分注空間の圧力差は、段階的に均一化される。この均一化は、(i) 容器と投与室の間でまずガスのみを接続した後、液体を接続して、ガス接続によって容器内の圧力を投与室内の圧力と均一化して、分注すべき液体を液体接続によって投与室に流入させる第1段階と、これに続き (ii) 投与室と分注空間の間でまずガスを接続した後液体を接続して、ガス接続によって投与室内の圧力を分注空間内の圧力と均一化して、投与室内の(第1段階の後半で流入した)液体を液体接続によって分注空間に配達する第2段階によって行われる。このように、第1段階で容器から投与室へ両者の圧力を同じに維持しつつ液体を移動させ、第2段階で投与された定量の液体を投与室から分注空間へ両者の圧力を同じに維持しつつ配達する。第1段階が終わって第2段階が始まる前に、容器と投与室の間のガス接続および液体接続が遮断される。
【0019】
第1段階と第2段階の両方で、液体と圧力均衡媒体は、互いに接触しない。液体が空気と初めて接触するのは、容器内に残る液体から投与室が遮断されて幾らか時間が経過して、第2段階で分注空間に分注されるときである。従って、投与された定量の液体のみが分注空間に接し、容器内に残る液体は、第2段階で投与室が遮断されるので分注空間から遮断される。
【0020】
一実施形態の装置によれば、第2内側容器の体積は、この容器に圧力均衡媒体を導入することによって増加でき、第2内側容器が膨脹すると、第1内側容器が収縮する。これは、第1内側容器と投与室の液体接続が開かれたとき、第1内側容器から液体を押し出すのに役立ち、第1内側容器が次第に収縮するにつれ、次第に液体が押し出される。これは、第1内側容器内での空隙の発生を防止するのに役立ち、液体に溶解した如何なるガスも液体中に留まる。なぜなら、第1内側容器内には、ガスが充満しうる低圧空間がないからである。第1内側容器の体積は、第2内側容器の圧力によって連続的に減少するから、第1内側容器は、液体の収容量の大小に拘わらず常に液体で「充満」されている。
【0021】
本発明の一実施形態の装置は、分注すべき液体の圧力と分注空間の圧力を均一化するように段階的に動作する圧力均一化手段を有する。この手段は、(i) 容器と投与室を接続するとともに第1閉鎖手段によって閉鎖可能な第1ガス管および第1液管と、(ii) 投与室と分注空間を接続するとともに第2閉鎖手段によって閉鎖可能な第2ガス管および第2液管と、(iii) 第1,第2閉鎖手段は、液管とガス管を所望の順序で相次いで開閉するようになっている。
【0022】
本発明の一実施形態において、第1段階で液管,ガス管を開閉する上記所望の順序は、 (a) ガス管を開く一方、液管を閉じ、
(b) 容器から投与室へ液体が流出するように液管を開き、
(c) ガス管を開いたまま、液管を閉じ、
(d) ガス管を閉じ、
(e) 所望なら、過剰圧を周囲環境に逃がすためガス出口を開く。
【0023】
ステップ(e)について、このステップでガス出口を開くことによって、投与室の袋と投与室の外壁の間に依然存在する過剰圧は、総て周囲環境に逃がすことができる。
【0024】
以上の操作に続いて、第2段階では、投与室内に在る所定量の液体が、分注される(即ち、分注空間に配達、通常はユーザが保持する容器に流れ込む)。その際、投与室の圧力がまず周囲環境圧力(即ち、分注空間の圧力)に均一化され、過小圧を防ぐため均一化された圧力が維持される。本発明の一実施形態では、分注空間への液体の配達は、重力によるか、投与室に取り付けられた図27に示すような外部圧力源によって行うことができる。
【0025】
本発明の一実施形態では、上記第1,第2閉鎖手段は、可動部材に配置された凹部で構成でき、液管およびガス管を開閉する所望のステップの順序は、上記可動部材によってもたらされる。この可動部材は、例えば一体的に作ることができる。ガスと液体を供給する異なる流路は、可動部材の動作によってステップの順序の性能を向上させるため互いに関連して配置できる。この実施形態では、可動部材は一体的に作られているので、ステップの正確な順序が確保され、更に部材を頑丈かつ信頼性あるものにできる。
【0026】
本発明の一実施形態の装置は、第2内側容器を加圧する図2のポンプ12のような追加圧力源を有する。
【0027】
本発明の一実施形態では、投与室は取り外し可能に分注装置に取り付けられ、内容積が異なる(異なった量の液体を分注できる)投与室に取り替えることができるようになっている。投与室を取り外せることは、液体を収容するため投与室内に設けられる(後述する)袋を取り替えることができるというオプションを提供できる。
【0028】
本発明の一実施形態では、容器は、図1,2,10,11に示すように分注開口よりも高い位置に設けることができ、容器から分注開口への液体の押し出しを重力の働きで行わせることができる。
【0029】
本発明の一実施形態では、投与室は、容器と分注開口の間の高さに位置させることができ、液体は容器から投与室へ重力の働きで流れた後、投与室内の計量された量の液体が重力の働きで分注開口に移動する。
【0030】
代替として、一実施形態は、デザイン選択の理由から、投与室が、図18〜33に示すように、例えば容器および分注開口よりも低い高さに設けられる。この実施形態では、投与室から分注開口への液体の移動に、外部圧力源が用いられる。
【0031】
上述の液体を分注する方法を実施する本発明の装置の実施形態は、次に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の分注装置の第1実施形態を示す図であり、容器が水平に対して所定角度で傾いている。
【図2】図2は、本発明の分注装置の第2実施形態を示す図であり、容器の底部に追加ポンプが設けられている。
【図3A】図3Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、新たな容器が装着された状態を示す。
【図3B】図3Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、新たな容器が装着された状態を示す。
【図4A】図4Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管が開き,液管が閉じている状態を示す。
【図4B】図4Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管が開き,液管が閉じている状態を示す。
【図5A】図5Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管,液管が共に開いている状態を示す。
【図5B】図5Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管,液管が共に開いている状態を示す。
【図6A】図6Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液管が閉じ,ガス管が開いている状態を示す。
【図6B】図6Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液管が閉じ,ガス管が開いている状態を示す。
【図7A】図7Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液管,ガス管が共に閉じている状態を示す。
【図7B】図7Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液管,ガス管が共に閉じている状態を示す。
【図8A】図8Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、空気出口管が開いた状態を示す。
【図8B】図8Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、空気出口管が開いた状態を示す。
【図9A】図9Aは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液体が分注装置から分注されている状態を示す。
【図9B】図9Bは、図1または図2に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液体が分注装置から分注されている状態を示す。
【図10】図10は、本発明の分注装置の第3実施形態を示す図であり、容器は略倒置状態で配置されている。
【図11】図11は、本発明の分注装置の第4実施形態を示す図であり、容器は略倒置状態で配置されている。
【図12A】図12Aは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、新たな容器が装着された状態を示す。
【図12B】図12Bは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、新たな容器が装着された状態を示す。
【図13A】図13Aは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管が開き,液管が閉じている状態を示す。
【図13B】図13Bは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管が開き,液管が閉じている状態を示す。
【図14A】図14Aは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管,液管が共に開いている状態を示す。
【図14B】図14Bは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、ガス管,液管が共に開いている状態を示す。
【図15A】図15Aは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液管が閉じ,ガス管が開いている状態を示す。
【図15B】図15Bは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液管が閉じ,ガス管が開いている状態を示す。
【図16A】図16Aは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、空気出口管が開いた状態を示す。
【図16B】図16Bは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、空気出口管が開いた状態を示す。
【図17A】図17Aは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液体が分注装置から分注されている状態を示す。
【図17B】図17Bは、図10または図11に示す分注装置のガス流と液流の流路を示す詳細斜視図であり、液体が分注装置から分注されている状態を示す。
【図18】図18は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図19】図19は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図20】図20は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図21】図21は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図22】図22は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図23】図23は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図24】図24は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図25】図25は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図26】図26は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図27】図27は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図28】図28は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図29】図29は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図30】図30は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図31】図31は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図32】図32は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【図33】図33は、本発明の分注装置の第5実施形態を示す図であり、ユーザの冷蔵庫に内蔵される炭酸飲料用分注装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
容器が所定角度で上に向いた分注装置
図1および図2は、本発明による分注装置の実施形態を示している。図を参照すると、分注装置は、容器4のための支持部を含むハウジング2を備え、容器4は、首部16と流出開口18(図3参照)を有する瓶として示されている。分注装置1は、容器4の首部16がスナップ式,クランプ式またはねじ式に固定できる接続片20を有する。分注装置1は、流出管11が例えば配置できる分注開口10を備えた弁ハウジング6を更に有する。分注装置1は、分注すべき所定量の液体が供給される投与室8を更に有する。投与室8は、上述のように種々の他の体積をもつ投与室に例えば取り替えることができる。
【0034】
図2に示す実施形態の分注装置は、容器4の弁14に接続できるポンプ12を有する。このポンプ12は、例えば第1内側容器28内に在る液体Lを加圧すべく、容器4の第2内側容器28内に圧力を加える。液体Lが炭酸水であり、容器2が例えば冷蔵庫外にあって幾分加熱されている場合、加熱によって炭酸水LからCO2ガスが発生する。ポンプ12を用いて第2内側容器28を介して対抗圧力を加えると、炭酸水から二酸化炭素が放出されるのを防ぎ、第1内側容器26内にCO2ガスの泡が生じるのを防ぐことができる。この対抗圧力は、第1内側容器の温度が幾らであれ,容器内の圧力が均衡圧以下になるのを防止する。従って、例えば第1内側容器内の液体が代表的な炭酸水であれば、その内圧は(4℃で)117kPa、(21℃で)248kPaである。4℃で117kPa以上、21℃で248kPa以上の圧力を加えれば、溶解したCO2ガスは炭酸水から放出されない。
【0035】
図3A,Bは、液体Lを収容した新たな容器4が、その首部16をスナップ式,クランプ式またはねじ式で分注装置1の接続片2に固定された状態を示している。分注装置の動作では、液体Lは、重力の働きで流出開口18と管24および接続片20を通って流れ落ち、弁ハウジング6に在る閉鎖要素30によって止められる。図3A,Bの例では、液体Lは容器2の第1内側容器26内にあり、システム圧Psをもつガスは容器2の第2内側容器28内にあって、システム圧Psは、分注空間内の周囲環境圧Peよりも大きい。図示の例では、第1内側容器26は第2内側容器28の「内」にあって、両容器は、既述の「袋内の袋」構造を呈することに留意されたい。第1,第2内側容器として、後述するように種々の代替構造を用いることができる。投与室8は、周囲環境圧Peを呈する内部空間をもつ。図3A,Bに示した状態では、ガスは弁ハウジング6を貫流できない。
【0036】
図4A,Bは、ガスが、容器2の第2内側容器28から接続片20を通りガス管40(図4B)を介した後、閉鎖要素30のガス管36を介して投与室8内の空間に流れる状態を示している。これによって、投与室8内の圧力は、システム圧Ps、即ち第2内側容器22に行き渡り,既述のように大気Sの周囲環境圧Peよりも通常大きい圧力(既述のガスを液体に閉じ込めるために第2内側容器に加える必要のある対抗圧力)に均一化される。
【0037】
投与室8の圧力が第2内側容器28内のシステム圧Psに均一化されると、閉鎖要素30が弁ハウジング6に対して更に動かされて、閉鎖要素30内の液管32(図4A)が容器2の流出開口18と連通し、容器2の第1内側容器26内の液体が、重力の働きで液管32を介して袋34に流れ込む。従って、上記容器と同様に、投与室8は液体のための第1内側容器とガスのための第2内側容器を有することに留意されたい。第1内側容器は、袋34の内部であり、第2内側容器は、袋34の外面と投与室8の内面の間の空間である。従って、本発明の実施形態では、第1段階で一方の第1袋内から他方の第1袋内へ液体が移動し、一方と他方の第2袋はガス連通していて等圧に維持される。一方の「袋内の袋」構造(容器)は、他方の「袋内の袋」構造(投与室)と連通可能に接続されるのである。
【0038】
袋34は、図5A,Bに示すように、例えば液体Lで充填されると投与室8内で膨脹するように液管32(図4A,B)に配置されている。袋34が膨脹すると、投与室8内でシステム圧Psを呈するガスは、圧縮され、図5Bに示すように容器2の第2内側容器28へ戻るガス流が生じる。従って、投与室内と第2内側容器内の圧力が等圧に維持される。袋34は、衛生上の理由で例えば取り替えることができることに留意されたい。
【0039】
袋34が、少なくとも実質上投与室8の全空間を埋める程多くの液体Lを受け入れる(従って、圧力均衡媒体として用いられる総ての空気や他のガスが基本的に投与室から第2内側容器28に戻る)と、図示の実施形態では分注装置1のハンドルとしても動作する投与室8(投与室を動かして、種々の管の開閉を制御する)を上方へ動かす。
【0040】
こうして、図6Aに示すように、液管32は、閉鎖要素30の回転によって管24から離れ、分注装置1の接続片20を通る管24と連通しなくなる。しかし、この投与室8の第1の「後部上方」位置でも、図6Bに示すように、ガス管が依然開いていて、投与室内のガスと容器2の第2内側容器28内のガスの間で圧力の均一化が完了する。投与室と第2内側容器の間のガス管が依然開いているので、第1段階の圧力均一化が行われる。投与室8は、例えば更に上方へ動くことができ、それによって液管およびガス管が図7A,Bに示すように閉じられる。
【0041】
投与室8が(図7中間上方位置まで)更に上方へ動かされると、ガス通路が開かれる。すると、図8Bに示すように、如何なる過剰圧も周囲環境Sに逃げ、投与室8内のガス圧力が、周囲環境圧Peに均一化される。投与室8が図9A,Bに示すように最上位置まで動かされると、袋34内の液体Lは、今や弁ハウジング6の分注開口10に接続される液管32および流出管11(図1,図2)を介して、重力の働きによって分注域Sへ分注される。液体は、この分注域でユーザの例えばグラスに注がれる。
【0042】
投与室8(即ち、袋34と投与室8の内面の間の空間)の過小圧を防ぐため、液体Lが袋34を流れ出るとき、ガスが開口38とガス管36を経て投与室8内の隙間に流入して、液体Lが重力の働きで分注開口10へ流れ出るとき、投与室8内のガスの圧力は、周囲環境圧Peに均一化される。これは、第2段階の圧力均一化である。
【0043】
袋34内の実質上総ての液体Lが分注されたなら、分注装置1は、図3A,Bに示す状態に再び戻り、図4〜9を参照して既に述べた一連のステップが繰り返され、最終的に数位環境Sに更に分注すべく、投与室8が液体Lで再び満たされる。
【0044】
容器が倒置された分注装置
図10,11は、本発明の夫々第3,第4実施形態を示しており、容器は実質上倒置されている。図10を参照すると、分注装置101は、例えば瓶として示された容器104のための支持部を含むハウジング102を備える。容器104は、容器104の弁114が傷付くことなく直立状態で液体を蓄え得るよう脚部105を備えている。図2に示した実施形態と同様、所望なら追加ポンプ112を設けることができ、それが図11に示す本発明の第4実施形態である。
【0045】
図10,11への参照を続けると、分注装置101は、容器104が実質上倒置されるハウジング102を有する。容器104は、その首部116(図12A,B参照)を接続片120に取り付けて固定される。この取り付けは、例えばスナップ,クランプまたはねじによるものとすることができる。分注装置101は、例えば弁ハウジング106を介して容器104に接続できる投与室108を更に有する。弁ハウジング106は、流出管111が例えば配置できる分注開口110を有する。弁ハウジング106は、また内蔵する弁を操作するための制御ハンドル107を有する。投与室108は、例えば内蔵する袋134(図13A,B参照)が他の袋に、或いは、例えば投与室108自体が異なった容積の他の投与室108に容易に取り替えられるように、接続片121に取り外し可能に取り付けられる。これに関連して、「小さい」サイズの容積が望まれる場合や、例えば大学の友愛会館で飲料としてビールを提供したり、非常に暑い日に屋外で大きなグラスでソフトドリンクを提供したりするとき「大きな」または「超大な」サイズの容積が望まれる場合を容易に想像できるであろう。
【0046】
図12A,Bは、分注装置101に新たな容器104が取り付けられた直後の状態を示している。容器104は、液体Lを化加えた第1内側容器126を有する。また、容器104は、システム圧Psのガスが入った第2内側容器128を有する。システム圧Psは、投与室108に行き渡っている周囲環境圧Peよりも通常高い。
【0047】
図10〜17に示す実施形態では、制御ハンドル107は、先に述べた実施形態の投与室108と異なる。制御ハンドル107(図11参照)を押し下げて、弁ハウジング106内の閉鎖要素130を回転させると、第2内側容器128と投与室108内の空間が図13Bに示すようにガス連通する。すると、圧力均一化の第1段階が始まり、第2内側容器128から接続片120を通りガス管140を介した後、閉鎖要素130内のガス管136およびガス管142と接続片121を経て、投与室108内の圧力がシステム圧Psになる。この状態では、図12Aに示すように(液管132は閉じている)、投与室108への液体の流れは未だ不可能である。
【0048】
制御ハンドル107を更に回すと、閉鎖要素130は、容器104と投与室108の間に図14Bに示すガス接続と(図14Aに示す)液体接続を同時にもたらし、液体Lは、図14Aに示すように、重力の働きで閉鎖要素130を貫く液管132を経て袋134に流入する。袋134は、図14A,Bに示すように、膨脹して投与室108内で次第に大きい体積を占める。こうして、投与室108と第2内側容器128の間で第1段階の圧力の均一化が持続し、投与室108で生じるいかなる過剰圧も、図14Bに示すように第2内側容器128に戻される。
【0049】
図15A,Bに示すように、閉鎖要素130を更に回すと、図6A,Bの状態と類似して、ガス流路が開いたまま,液流路が閉じる。これは、投与室108と第2内側容器128の間の更なる圧力均一化をもたらす。
【0050】
投与室108と第2内側容器128の間の圧力均一化が終わると、投与室と第2内側容器の間のガス管は閉じられ、投与室は第2内側容器から遮断される。ここで、投与室で何らかの過剰圧が生じると、この過剰圧は、図16Bに示すように開口138から周囲環境Sに放出される。
【0051】
次に、閉鎖要素130は、図17Aに示すように、液管132が袋134内の液体Lを分注開口110に連通させるまで更に回される。袋134から液体Lが流出するので、投与室108内の袋134の体積が減少して、過小圧が生じうる。しかし、投与室108の内部空間は、周囲環境Sとガス連通しているので、図17Bに示すように圧力均一化が生じ、周囲環境Sの空気が開口138からガス管144,142と接続片121を経て流入して、内部空間の過小圧は周囲環境圧Peに均一化される。これが再度,つまり第2段階の圧力均一化である。
【0052】
袋134内の総ての液体Lが分注されると、分注装置101は、図12Aに示す状態に再び戻り、図13〜17に示す上述のステップを再び行うことによって、新たな所定量の液体Lが、投与室108を介して周囲環境Sに分注されることになる。
【0053】
水平容器をもつ内蔵型の分注装置
図18〜33は、本発明の実施形態によるユーザの冷蔵庫に内蔵できるユニットを示している。この実施形態は、例えばコーラなどの炭酸飲料や他の飲料で満たされる容器をもっている。記載の容易化のため、図示の実施形態は、飲料としてコーラを用いるものとする。この実施形態は、例えばユーザが家庭の「個人ソーダ泉」において新鮮な一杯の炭酸水を分注するために用いられる。
【0054】
図18〜33に示す実施形態において、コーラは、本発明による上述の方法で分注することができ、この場合、圧力均衡媒体は空気と水の混合物であり、コーラは、分注装置に水平に載せられた容器から後述するように分注される。空気は、第2内側容器を加圧するために用いられるが、水圧は、投与室内の圧力を均一化し、投与室からコーラを分注するために用いられる。空気および水系統は、空気圧によって後方へ動き,そのとき投与室の下方に鉛直に設けられたピストンに水ラインを介して圧力を伝える水平に配置されたピストンを介して互いに接続されている。これに関連して、圧力均衡媒体は、ピストンを動かす空気または水または任意のガスや液体を含んで発生された圧力を伝達できるものであれば何でもよい。
【0055】
図18は、新たな容器が装着された分注装置を示している。図18〜33には、種々の位置が示されており、分注装置の外面には、例えば特定の飲料メーカの商標名が書かれていてもよい。上記容器は、「袋内の袋」またはこれと同等の装置であり、コーラが入った第1内側容器と、第1内側容器と容器の外殻の間の小さな空隙,つまり第2内側容器とを有する。
【0056】
図19は、弁を分注装置に取り付けることによって新たな容器を所定位置にロックした状態を示している。容器は、図示のように、弁ハウジングと弁と投与室用の袋を総て首部に搭載している。
【0057】
図20は、分注レバーと吐出口を有する分注装置の前面パネルを示している。図21は、容器を収容して分注装置に取り付けられた前面パネルを示す。
【0058】
図22は、図13Bに幾分類似した状態を示しており、液管が開く前に、投与室に加わる圧力が第1内側容器に加わる圧力に均一化される状態である。コーラは容器内,詳しくは容器瓶の第1内側容器内にあり、投与室への流路は未だ開いていない。既述の如く、分注装置の後部にあって前後に動く1つのピストンと、投与室の下方にあって上下に動くもう1つのピストンの2つのピストンがある。投与室の下方にあるピストンは、最上位置にあって、投与室が空である。投与室の下方にある前部ピストンは、(前部ピストンの上方を指す矢印の上の圧縮される白い袋として示された)袋に上記矢印で示すように圧力を加える。この圧力は、第2内側容器と後部ピストンの双方に空気回路管を介してエアを供給する(図32の12Vのエンジンとポンプ参照)空気圧縮機によって供給される。後部ピストンへの空気圧は、後部ピストンを後方へ押し、後部ピストン室の水を矢印で示すように押圧する。後部ピストン室の水は、水回路を介して前部ピストンのピストン室に接続されているから、前部ピストンを上方へ押し、投与室,特に投与室の袋に圧力を加える。
【0059】
図23,24は、レバーの押し下げで分注装置が起動され、第1内側容器と投与室の袋が互いに液体接続される状態を示している。ここで、容器の後部の弁コネクタに接続された空気回路に接続されたポンプによって、第2内側容器(第1内側容器と容器の外殻の間の空隙)に供給される空気圧の最初の推進力を受けて、コーラが袋に入り、前部ピストンを押し下げる。この圧力は、袋134が投与室8を図5に示したように充填していく際に発揮する圧力に類似する。上記圧力は、前部ピストンのピストン室から水を吐出させ、この水を(矢印で示すように)水回路を経て後部ピストンのピストン室に送る。そして、水は、ピストンの矢印で示すように、後部ピストンを前方へ押す。後部ピストンの前方への運動は、空気回路管の矢印で示すように、空気回路管および弁コネクタを介してエアを第2内側容器内に送り込む。斯くて、第2内側容器と投与室は、後部ピストンの空気および水回路のインターフェイスを介して互いに連通し、第1段階の圧力均一化によって圧力が均一化される。こうして、コーラが第1内側容器から出て、投与室の袋を充填し、投与室の袋の重さが前部ピストンのピストン室の水を移動させ、それが後部ピストンのピストン室の空気を押圧して、この空気が第2内側容器内に戻る。先に述べた実施形態と類似して、投与室の袋は、加圧下(先の実施形態では投与室にシステム圧Psで供給され、ここでは前部ピストンによって供給される)で充填されて、袋内にある体積の液体のみが取り上げるから、液体が第1内側容器から投与室へ移動しても、袋または第1内側容器内に空隙が生じず、液体からガスが放出されない。
【0060】
投与室への充填は、図25に示すように、袋が基本的に満杯になったとき終了し、今や充填された袋は、前部ピストンの室内の総ての水を後部ピストンの室内へ押し出して、後部ピストンをその最大前進位置へ押し出す(ここで、用語「前進」は、分注装置の前面に向かってを意味する)。袋は、今や満杯になったので、分注装置は、その内容物を図26,27に示すように分注する準備ができている。
【0061】
図26は、コーラの実際の分注を示し、図27は、分注装置内でどのように分注が行われるかを示す。ユーザがハンドルを動かす、容器と投与室の間での液連通が閉鎖され、投与室と吐出口の間の液連通が開放される。今や、外部(即ち,分注空間)と接触できるのは、投与室内の所定量の液体だけである。
【0062】
上述の如く、投与室が吐出口の高さよりも下方に位置するので、投与室からコーラを分注するために重力を用いることができない。従って、ピストンよって投与室の下方に加えられる圧力が、コーラを移動させる。(図32の12Vのエンジンとポンプ参照)空気圧縮機によってエアが後部ピストンに供給され、これが図27に示すように後部ピストンを押し、その結果、水が水回路を経て前部ピストンの下部に供給され、投与室内の袋を押し上げて、コーラが分注される。
【0063】
図28は、ハンドルを押し上げて分注を停止した状態を示している。一旦この状態になると、分注装置は、吐出口と投与室の間の液接続を遮断し、容器の第1内側容器と投与室の袋の間の液接続を再び開放して、図29に示されるように袋は再び充填され始める。図29では、第2内側容器内の空気と(空気と水回路からなる後部ピストンインターフェイスを介して)圧力連通している前部ピストンによって、第2内側容器と投与室の間の圧力は均一化される点に留意されたい。
【0064】
従って、図29に示すように、分注システムは再び分注する準備ができており、図24〜27に示す過程が繰り返される。よって、図29は図24と同じで、図30は図25と同じである。
【0065】
吐出口と投与室の間の液接続が閉鎖されたので、吐出口は、次の液分注を行う前の清掃のため、または例えば少なくとも容器が交換されるなど他の合理的な時間間隔で、図31に示すように取り外すことができる。
【0066】
図32は、この実施形態の分注装置の主たる構成要素を示している。最後に、図33は、この実施形態の側面図および正面図を図解的寸法で示している。図32に示すように、代替実施形態は、前部ピストンの水体積の半分を保持する寸法にされた2つの後部ピストンを有する。これは、圧力負荷を均衡させるうえ、空間のより良い利用を可能にする。この例で2つのピストンは、水回路を介して前部ピストンに接続され、弁コネクタおよび空気回路を介して第2内側容器に接続される。
【0067】
このように、本発明の実施形態では、液体が加圧された容器から同じ圧力に加圧された小さな投与室に分注される。これによって、両方の液体の圧力が同じである限り、液体中のガスは液体に溶解したままであり、均衡圧力は決して達せられない。液体が投与室を充填するほど、投与室の体積は増加するが、液体を収容するに十分なだけの増加なので、加わる圧力によって投与室の袋が拡大して内部に空隙や気泡が生じることはない。これによって、液体は溶解したガスを全く失うことなく分注される。この作用は、容器および投与室に加わる圧力の間に均一化があり、加わる圧力が液体に溶解したガスの溶解状態を維持するに十分である限り、如何なる温度でも存在する。
【0068】
以上の記述および図は、本発明の一例であって、次の特許請求の範囲のように本発明を限定するものではない。当業者は、上述の種々の実施形態の技術態様を種々容易に組み合わせることができることに言及しておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から分注空間に所定量の液体を分注する方法において、上記容器と分注空間の圧力差は、上記容器から中間の投与室に圧力均衡媒体を導入することによって段階的な均一化でなくされ、上記液体が第1内側容器内に供給され、上記圧力均衡媒体が第2内側容器内に供給され、上記第1および第2内側容器は、それらの間の変形可能または移動可能な側面によって互いに隣接している液体の分注方法。
【請求項2】
請求項1に記載の分注方法において、上記液体は溶解物質を含んでいる分注方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分注方法において、上記液体は、炭酸ガスを溶解している分注方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の分注方法において、上記液体は、少なくとも笑気ガスまたは窒素のいずれかを溶解している分注方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の分注方法において、上記圧力均衡媒体は、上記第2内側容器の体積を増加させ、それによって第1内側容器の体積を減少させて、第1内側容器内の液体を吐出させる分注方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の分注方法において、上記液体の圧力は、上記分注空間の圧力と
第1の段階:つまり容器と投与室の間を(i) ガス接続した後、(ii) 液接続し、ガス接続によって容器内の圧力と投与室内の圧力を均一化し、液接続を介して液体を投与室に流し込む段階および
第2の段階:つまり投与室と分注空間の間を(i) ガス接続した後、(ii) 液接続し、ガス接続によって投与室内の圧力を分注空間内の圧力を均一化し、液接続を介して投与室内の液体を分注空間に分注する段階を経て
均一化される分注方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つに記載の分注方法において、上記圧力均衡媒体として空気が用いられる分注方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つに記載の分注方法において、上記第2内側容器を加圧するために追加の動力源を容器に接続した分注方法。
【請求項9】
容器に収容した液体を分注開口を介して所定量分注する分注装置において、上記容器と分注空間の圧力差は、上記容器から中間の投与室に圧力均衡媒体を導入することによって段階的な均一化でなくされ、上記容器は、分注すべき少なくとも1つの液体を収容できる第1内側容器と、圧力均衡媒体を導入できる第2内側容器からなり、上記第1および第2内側容器は、それらの間の変形可能または移動可能な少なくとも1つの表面によって互いに隣接している分注装置。
【請求項10】
請求項9に記載の分注装置において、上記液体は溶解物質を含んでいる分注装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の分注装置において、上記液体は、炭酸ガスを溶解している分注装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1つに記載の分注装置において、上記液体は、少なくとも笑気ガス,二酸化窒素ガスまたは窒素のいずれかを溶解している分注装置。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれか1つに記載の分注装置において、上記第2内側容器の体積は、その中に圧力均衡媒体を導入することによって拡大でき、この拡大によって上記第1内側容器の体積が減少して、第1内側容器内の液体がこの容器内に空隙を生じることなく吐出される分注装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか1つに記載の分注装置において、
上記液体の圧力を上記分注空間内の圧力と段階的に均一化する圧力均一化手段を更に備え、この圧力均一化手段は、
上記容器と投与室の間に配置され、第1閉鎖手段によって夫々閉鎖できる第1ガス管および第1液管と、
上記投与室と分注空間の間に配置され、第2閉鎖手段によって夫々閉鎖できる第2ガス管および第2液管とを備え、
上記第1および第2閉鎖手段は、上記液管およびガス管を所望の順序で開閉するようになっている分注装置。
【請求項15】
請求項14に記載の分注装置において、上記第1および第2閉鎖手段は、可動部分に設けられた凹部からなり、所望の順序での上記液管およびガス管の開閉は、上記可動部分を動かすことによって行われる分注装置。
【請求項16】
請求項15に記載の分注装置において、上記可動部分が一体的に作られている分注装置。
【請求項17】
請求項9乃至16のいずれか1つに記載の分注装置において、上記容器に接続され、上記第2内側容器を加圧するようになっている追加の圧力源を更に備える分注装置。
【請求項18】
請求項14乃至17のいずれか1つに記載の分注装置において、上記投与室は、取り外し可能に取り付けられている分注装置。
【請求項19】
請求項9乃至18のいずれか1つに記載の分注装置において、上記容器は、分注開口よりも高い位置にある分注装置。
【請求項20】
請求項14乃至19のいずれか1つに記載の分注装置において、上記投与室は、上記容器の高さと上記分注開口の高さの間にある分注装置。
【請求項21】
請求項9乃至20のいずれか1つに記載の分注装置において、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の方法が適用される分注装置。
【請求項22】
請求項9に記載の分注装置において、上記液体は、炭酸飲料であり、上記圧力均衡媒体は、互いに圧力連通した空気と水の組み合わせであり、上記第1内側容器は、内側の袋であり、上記第2内側容器は、第1内側容器と容器の外殻の間の空間であり、上記容器は分注装置内に水平に配置されている分注装置。
【請求項23】
請求項22に記載の分注装置において、分注装置全体は、家庭の冷蔵庫内の棚に適合できる分注装置。
【請求項24】
請求項22に記載の分注装置において、分注装置の全高は191mm以下であり、全長は385mm以下である分注装置。
【請求項25】
請求項22に記載の分注装置において、水ポートを有して、鉛直軸に沿って動く前部ピストンと、
空気ポートと水ポートを夫々有して、水平軸に沿って動く2つの後部ピストンと、
上記第2内側容器に接続された弁コネクタと、
上記2つの後部ピストンの空気ポートを弁コネクタおよび圧力源に接続する空気回路と、
前部ピストンの水ポートを2つの後部ピストンの水ポートに接続する水回路を更に備える分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2012−526021(P2012−526021A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509057(P2012−509057)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056283
【国際公開番号】WO2010/128151
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(509103532)ディスペンシング・テクノロジーズ・ベスローテン・フェンノートシャップ (4)
【氏名又は名称原語表記】Dispensing Technologies B.V.
【Fターム(参考)】