説明

容器内の液体レベルを監視するための方法および装置

【課題】容器内の液体のレベル、特に、バブラー内における有機金属化合物のレベルを監視するための方法および装置を提供する。
【解決手段】容器内の液体レベル変化をキャパシタンス的に監視する金属プローブ10が、容器2のポート内にシールされたマウンティング内に気密封止される。このプローブの、マウンティング内にシールされる部分は、ニッケル合金から作られ、金属対ガラス整合されたシールによってガラス材料内に包み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定プローブの分野に関し、特に、限定の意味ではないが、容器内における金属有機化合物等の反応性液体のレベルを監視するためのプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
電子および光電子産業において使用される金属の薄膜は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)として知られるプロセスによって固体基板上に作成される。金属前駆物質は、通常、バブラーによって基板に運ばれる。金属前駆物質を入れるバブラーは、インレット・パイプ、ディップ・チューブ、およびアウトレット・パイプを有する。水素、ヘリウム、または窒素等のキャリア・ガスが、インレット・パイプを介して容器内に導入され、ディップ・チューブを介して容器の底まで運ばれる。このガスは、アウトレット・パイプを介してバブラーから排出される前に、金属前駆物質の蒸気を取り出すことができる。ガスは、この前駆物質の蒸気をリアクタ・サイトまで運び、そこで前駆物質が分解し、固体基板上に金属が析出する。
【0003】
バブラー内の前駆物質の量は、装置の使用に伴って絶えず変化する。従来のプローブは、金属有機化合物がプローブを冒すことから使用することができない。またこれは、前駆物質の汚染を招くことにもなる。バブラー内の前駆物質の体積は、光学システムを基礎とする高低充填レベルについてシングル・ポイント測定を使用して測定することができる。しかしながらこれは、破損のおそれのあるガラス管を使用し、破損すればバブラー内の内容物の汚染を生じる。それに代えて、正確なレベル表示器を伴うことなしにバブラーを提供し、パフォーマンスの低下が確認されたときに交換するか、あるいは特定の条件下における使用時間に基づいて計算値を使用することもできる。これは、バブラー内の材料の10%がまだ使用できるかもしれないときに、バブラーの早期交換をもたらすことになり得る。
【0004】
バブラー内に入っている有機金属前駆物質のレベルを監視するための正確なプローブが提供されることが望ましいことは明らかである。しかしながら、必要な堅牢性ならびにそれが接触することになる有機金属化合物との適合性を有する適切なプローブの提供には問題がある。これに関して言えば、プローブは、高純度の金属の析出を確実に達成するために、容器内に入れられる化学物質と反応することがあってはならない。それに加えて、容器内の内容物が空気に過敏であり、かつ容器内の圧力を維持する必要があることから、バブラーの気密シールを損なわない必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、容器内の反応性液体のレベル、特に、限定の意味ではないが、容器内における金属有機化合物のレベルを継続的に監視する方法を提供することであり、前述した欠点の克服、あるいは少なくとも緩和をねらいとする。
【0006】
本発明の別の目的は、容器内の液体のレベル、特に、限定の意味ではないが、容器内における金属有機化合物のレベルを継続的に監視するための装置を提供することであり、前述した欠点の克服、あるいは少なくとも緩和をねらいとする。
1.容器(2)内の、有機金属化合物を含む反応性液体のレベルを監視するための装置であって、前記容器に気密封止される第1の電極として作用する少なくとも1つの金属プローブ(10)、ガラス材料内に包み込まれた前記プローブのシーリング端(22)、前記第1の電極から離隔されたキャパシタを形成する第2の電極、前記キャパシタに電流を印加するための手段(14)、およびそのキャパシタンスを監視するための手段、を包含する装置;
2.前記容器自体が金属容器であり、前記第2の電極として作用する、前記1に記載の装置;
3.前記プローブは、ステンレス・スチールから作られる、前記1または2に記載の装置;
4.前記ガラス材料は、硼珪酸ガラスである、前記1〜3のいずれかに記載の装置;
5.前記プローブは、前記容器の上部に備えられたポート内に気密封止される、前記1〜4のいずれかに記載の装置;
6.前記プローブは、前記容器の前記ポート内に挿入されるマウンティングまたはキャップ(30)内にシールされる、前記5に記載の装置;
7.前記マウンティングは、前記プローブ用の電気接続が備えられる、前記6に記載の装置;
8.前記プローブは、少なくとも、前記シールから延びる部分の上にエラストマ材料のコーティングが施される、前記1〜7のいずれかに記載の装置;
9.前記ガラス材料内に包み込まれる、前記プローブの少なくとも前記部分(22)は、ニッケル合金を包含する、前記1〜8のいずれかに記載の装置;
10.前記合金は、インコネル(Inconel)またはコバール(Kovar)合金である、前記9に記載の装置;
11.前記合金は、アルミニウムおよび/またはチタンを含む、前記9または10に記載の装置;
12.前記合金は、インコネルX−750(Inconel X-750)である、前記11に記載の装置;
13.前記マウンティング(32)は、ニッケル合金から作られる、前記6〜12のいずれかに記載の装置;
14.前記合金は、インコネルX−750(Inconel X-750)である、前記13に記載の装置;
15.キャパシタンスにおける変化を測定するための監視手段をさらに包含する、前記1〜14のいずれかに記載の装置;
16.キャパシタンスにおける変化を記録するためのレコーダをさらに包含する、前記15に記載の装置;
17.前記容器内の前記液体のレベルを表示するための表示手段をさらに包含する、前記16に記載の装置;
18.前記装置の較正を行うための較正手段をさらに包含し、それによって特定のキャパシタンスが前記容器内の特定体積の液体と対応する、前記1〜17のいずれかに記載の装置;
19.前記容器はバブラーである、前記1〜18のいずれかに記載の装置;
20.有機金属化合物を入れるバブラーであって、インレット・パイプ(4)、アウトレット・パイプ(8)、およびディップ・チューブ(6)を有するシールされた金属容器を包含し、さらに前記容器に気密封止される金属プローブ(10)を包含し、前記プローブのシーリング端(22)がガラス材料内に包みこまれ、前記容器および前記プローブがキャパシタを形成し、さらに前記キャパシタに電流を印加するための手段、およびそのキャパシタンスを測定するための監視手段を包含するバブラー;
21.容器内の有機金属化合物のレベルを監視するための方法であって、
その一端(22)がガラス材料内に包みこまれ、そして容器に気密封止される、少なくとも1つの金属プローブ(10)を容器(2)内に挿入して第1の電極として作用させるステップ、別の電極を備えてキャパシタを形成するステップ、前記キャパシタに電流を印加するステップ、及びそのキャパシタンスを監視するステップ、を包含する方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施態様に従ったプローブが嵌め込まれた装置を示した概略図である。
【図2】図1に示した装置内に含まれるプローブの断面図である。
【図3】図1および2に示した装置を使用して測定した時間に伴うバブラー内のTMGのレベルの変化を示したグラフである。
【図4】図1および2に示した装置を使用して測定した時間に伴うバブラー内のTMAのレベルの変化を示したグラフである。
【図5】本発明の別の実施態様に従ったプローブの長さ方向の断面図である。
【図6】図5に示したプローブの横方向の断面図である。
【図7】図5および6に示したプローブを使用して測定した時間に伴うバブラー内のTMAのレベルの変化を示したグラフである。
【図8】図5および6に示したプローブを使用して測定した時間に伴うバブラー内のTMGのレベルの変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
したがって、本発明の第1の態様は、容器内の有機金属化合物のレベルを監視するための方法を提供し、当該方法は、少なくとも1つの金属プローブを容器内に挿入して第1の電極として作用させるステップ、ガラス材料内に包みこまれた前記プローブの一端を前記容器内に気密封止するステップ、第1の電極から離隔して別の電極を備えてキャパシタを形成するステップ、そのキャパシタに電流を印加し、そのキャパシタンスを監視するステップを包含する。
【0009】
本発明の第2の態様は、容器内の液体のレベルを監視するための装置を提供し、当該装置は、容器内に気密封止されて第1の電極として作用する少なくとも1つの金属プローブ、ガラス材料内に包み込まれた前記プローブのシーリング端、この第1の電極から離隔されたキャパシタを形成する第2の電極、キャパシタに電流を印加するための手段、およびそのキャパシタンスを監視するための手段を包含する。
【0010】
ここで認識されるように、これらの2つの互いに離隔された電極は、それらの間に必要な誘電性をセット・アップするために提供される。このようにして形成されたキャパシタのキャパシタンスは、プローブの間の液体の量に伴って変化し、それによって容器内の液体のレベルを監視することが可能になる。
【0011】
好ましくは容器自体が、たとえばステンレス・スチールといった金属容器であり、上記の第2の電極として作用する。それに代えて、2つの平行なプローブを装置内にシールし、それぞれ第1および第2の電極として作用させることもできる。
【0012】
容器内に挿入される金属プローブは、ロッド、平らな細長いプレート、あるいは管の形式とすることができる。プローブは中空あるいは中実とすることができる。好ましくはプローブがステンレス・スチールから作られる。
【0013】
本発明に係るプローブは、金属有機化合物のレベルの監視における使用に特に適している。
プローブは、好ましくは容器の上部にあるポートに取り付けられ、容器は概してバブラーの形式であり、インレットおよびアウトレット・パイプを含む。プローブの一端は、ガラス材料内に包み込まれ、それがポート内に気密封止される。より好ましくは、プローブが、容器のポート内に挿入されるマウンティングまたはキャップ内にシールされる。好ましくは、このマウンティングにプローブ用の、たとえばBNCコネクタ等のバヨネット・タイプのコネクタの形式の電気コネクタが備えられる。
【0014】
シールから延びるプローブの少なくとも一部に、たとえばテフロン(Teflon)TM等のエラストマ材料のコーティングを塗布してもよい。
より好ましくは、少なくとも、ガラス材料の中に包み込まれて金属対ガラスシールを形成するプローブの部分がニッケル合金を含み、さらに好ましくは、典型的に70%のニッケルを含む合金である。より好ましくは、この合金は、アルミニウムおよび/またはチタンの追加によって析出硬化可能に作られるものである。適切な合金には、インコネルX‐750(Inconel X‐750)、インコネル600(Inconel 600)、あるいはコバール(Kovar)の商品名の下に販売されている合金が含まれる。より好ましくは、インコネルX‐750合金が使用される。プローブのこの部分の周囲をシールするガラスは、好ましくは硼珪酸ガラス(borosilicate glass)とする。プローブが、整合されたシールによってガラスにシールされることは好ましい。
【0015】
続いてガラス材料が、マウンティング内にシールされる。このマウンティングは、好ましくはインコネルX‐750等のニッケル合金から構成される。マウンティングは、接続面および内側面にVCRプロファイル等のガスケット面シール・フィッティングを組み込んでおり、電気コネクタとガラス対金属気密封止に適合するようになっている。このガスケットは、好ましくは締め付け時に変形して確実な金属対金属シールを提供するものとする。電気コネクタは、好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の絶縁材料の層によって囲まれる。
【0016】
キャパシタンスにおける変化を測定するためのキャパシタンス・メータ等の監視手段とともに、ACまたはDC電源をプローブへ印加するための従来手段を備えてもよい。好ましくは、キャパシタンスにおける変化を記録するためのレコーダも備える。このレコーダには、液晶ディスプレイ等の表示手段を含めることができる。キャパシタンスを継続的に監視することによって、容器内の液体のレベルの連続して読むことが好ましい。
【0017】
好ましくはこの装置が、システムの較正を行うための手段を含み、それによって特定のキャパシタンスが容器内の特定体積の液体と対応する。たとえば記録手段を、空の容器について記録されるキャパシタンスに対して値『0』にセットし、充満している容器について記録されるキャパシタンスに対して値『100』にセットすることができる。好ましくはこの装置が、容器内に入れられる液体の特定の特性に応答するべく較正される。それに加えてこの装置は、容器に対する液体の追加または取り出しのレートを提供するべく適合させることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施態様においては、金属有機化合物を入れるバブラーが提供され、このバブラーは、インレット・パイプ、アウトレット・パイプ、およびディップ・チューブを有するシールされた金属容器を包含しており、さらに容器内に気密封止された金属プローブ、ガラス材料内に包み込まれた前記プローブのシーリング端を包含し、容器およびプローブがキャパシタを形成し、さらに、そのキャパシタに電流を印加するための手段、およびそのキャパシタンスを測定するための監視手段を包含する。
【0019】
ここで認識されるように、金属プローブは、前述したとおりにバブラー内に気密封止することができる。
本発明のよりよい理解のために、またそれがどのようにして実施されるかを明確に示すために、次に添付図面を参照して実施態様の説明を行う。この説明において実施例1は本発明の一実施態様に従った装置の使用をバブラー内のトリメチルガリウム(TMG)のレベル変化の測定を調べ、実施例2は同じ装置の使用をバブラー内のトリメチルアルミニウム(TMA)のバブラー内のレベル変化の測定を調べ、実施例3は本発明の別の実施態様に従った装置の使用をTMAのレベル変化の測定を調べ、実施例4は同じ装置の使用をバブラー内のTMGのレベル変化の測定を調べる。
【0020】
添付図面の図1および2により、本発明の第1の実施態様に従った、バブラー等の容器内の金属有機化合物のレベルを連続して監視するための装置を示す。このバブラー2は、ディップ・パイプ6に導かれているインレット・パイプ4およびアウトレット・パイプ8を有する。金属プローブ10が備えられ、それがバブラー容器の中心を通って延び、その長さまで達している。プローブの上側エンドは、ガラスの層12の中に封入されており、バブラーの上部に気密封止されてバブラー内の圧力が維持されること、およびバブラーの内容物が空気から遮断されることを保証する。容器内に入れられた前駆物質内に浸るプローブの下側エンドは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の不活性の耐熱材料またはそのほかの弾性材料を用いてコーティングされる。プローブの上部は、電子コントロール・ユニットへ接続され、当該ユニットは電源を備え、バブラー内の液体のレベルの読みを表示する監視デバイスと通信する。
【0021】
実施例1
本発明の第1の実施態様に係る装置の、バブラー内のトリメチルガリウム(TMG)のレベルを連続して監視する能力を立証するための研究を行った。前述したとおりのプローブをバブラー内にシールし、バブラーが空のときにモニタを零点調整した。続いてバブラーにTMG(約180g=157ml)を満たし、読みを最大にセットした。その後、ディップ・レッグを介して材料をレシーバへ押し出した。テレトレンド(Teletrend)TM上のレベルの読みを連続的に記録した。記録は、材料が取り出されるに従って、添付図面の図3に示されているとおり、読みが100%から0%まで変化することを示した。グラフの勾配の急峻さは、材料を取り出すレートに従属していた。すべての材料を取り出した後、さらにバブラー内に材料を滴下することによってシステムをチェックすると、読みが0%から100%まで上昇した。
【0022】
実施例2
本発明の第1の実施態様に従った装置の、バブラー内のトリメチルアルミニウム(TMA)のレベルを連続して監視する能力を立証するための研究を行った。実施例1に関して説明したとおり、バブラーが空のときにプローブに接続されたモニタを零点調整した。続いてバブラーにTMA(約120g=160ml)を満たし、読みを最大にセットした。その後、ディップ・レッグを介して材料をレシーバへ押し出した。テレトレンドTM上のレベルの読みを記録した。記録は、材料が取り出されるに従って、添付図面の図4に示されるとおり、読みが100%から0%まで変化することを示した。グラフの勾配の急峻さは、材料を取り出すレートに依存していた。
【0023】
添付図面の図5および6は、本発明の第2の実施態様に従ったプローブを例示している。このプローブは、バブラー等の容器内への挿入前の状態を示している。プローブは、マウンティング30内にシールされた中空ステンレス・スチールの細長い管20を包含する。その管の、マウンティング内にシールされることになる端部分22は、典型的な70%のニッケル(Ni)である、インコネルX‐750TMの商品名の下に販売されているようなニッケル合金から作られる。インコネルX‐750合金は、インコネル600TMと特性において類似しているが、アルミニウムおよびチタンの追加によって析出硬化可能に作られている。端部分22は、ガラス材料34に対して気密封止される。
【0024】
インコネル600TMは、ニッケル‐クロム‐鉄合金であり、熱ならびに腐食に対する高い耐性を有する。高いニッケル含有量によってこの合金が、多くの有機ならびに無機化合物による腐食に対する耐性を持ち、事実上、塩化物イオン応力腐食割れに耐える。クロムは、硫黄化合物に対する耐性をもたらし、高温下あるいは腐食性溶液内における酸化条件に対する耐性を与える。またこれは、高純度の水による腐食に対しても優れた耐性を有する。インコネルX‐750合金は、酸化に対する良好な耐性とともに、約1300°F(700℃)に至る温度までの高い引っ張り強度ならびにクリープ破断特性を有する。
【0025】
プローブのインコネルX‐750の部分22には、金属対ガラス・シールの形成を酸化層に頼るガラス対金属の整合されたシールが提供される。類似の熱膨張係数を伴うガラスおよび金属が選択されて、融合オペレーションの間にガラスの中に生じる応力が最小化される。インコネルあるいはそれに代わるコバールTMスチールは、硼珪酸ガラスともっともよく融合し、整合されたシールを提供する。
【0026】
プローブ本体のガラス対金属気密封止を有する部分を受けるマウンティング30のボディ32は、ニッケル合金、たとえばインコネルX‐750合金から作られる。このマウンティングは、接続面および内側のプロファイルに1/2インチのスウェージロック(登録商標)VCRプロファイルを有し、BNCコネクタとの嵌め合いならびにガラス対金属気密封止に適合している。VCRは、高結合度、高純度金属ガスケット面シール・フィッティングである。このガスケットは、締め付け時にフィッティングの盛り上がった断面によって変形され、確実な金属対金属シールを提供する。たとえばポリエーテルエーテルケトン材料(PEEK)のBNC絶縁取り巻き36が、電極嵌め合い部品38とともに部分22の上部に配置される。
【0027】
実施例3
本発明の第2の実施態様に係る装置の、バブラー内のTMAのレベルを連続して監視する能力を立証するための研究を行った。図7に示した結果は、バブラー内へのTMAの充填、100%の完全充填を読み取る較正ステップ、および0%の空に戻す読みを示している。なお、液体は正圧を使用してバブラー内へのポンプ注入および排出が行われ、迅速なレベルの変化を可能にしている。
【0028】
実施例4
本発明の第2の実施態様に係る装置の、バブラー内のTMGのレベルを連続して監視する能力についてさらに研究を行った。プロセスは、実施例3に関して説明したものに同一であるが、較正ステップが実施例3の場合のように増加時ではなく、100%からの減少時の読みに対して行われている。結果を図8に示す。
【0029】
実施例3および4に関して得られた結果は、本発明の第2の実施態様に従ったプローブが備えられたバブラーの提供によって、バブラー内における連続的なレベル監視が達成されたことを示している。充填および排出のグラフの急峻な勾配によって示されているとおり、迅速な応答時間が達成されている。
【0030】
本発明は、堅牢であり、容器内に入れられる有機金属化合物に適合した、バブラー内の材料のレベルの監視に適した測定プローブを提供する。これは、個別のバブラー内の有機金属化合物のレベルを連続して監視することを可能にし、使用者は、バブラー内の材料のレベルが低くなるにつれて、いつ追加の材料を注文しなければならないかについて知ることができる。これはまた、バブラー内のソース材料の最大利用を保証する。プローブをバブラーのポートへ接続するガラス気密封止は、容器内の圧力が保持されること、および容器内の、極めて空気に過敏な内容物が空気から遮断されることを保証する。
【0031】
以上に加えて、このシールは、高温に対する耐性があり、レベルの測定との干渉あるいは容器の内容物との干渉がない。プローブにコーティングすることのできるエラストマー材料は、総合的な不活性の提供を補助し、前駆物質の純度が維持されることを保証する。さらに、このプローブは、従来提供されているガラス・プローブより壊れにくい。これは、荒い運搬管理があり得ることから重要である。プローブが破損しないことは、バブラー内側の生成物の性質に起因して重要であり、破損は漏れを導き、さらには可能性として発火をもたらすこともある。
【0032】
容器、特にバブラー・ボディに対する漏れ止め結合を提供し、したがって有機金属前駆物質の収容に適した超高純度、高結合度、かつ堅牢な容器を作り出すマウンティングへのプローブのシールは、これまでに達成されていない。シールされたユニットは、高圧に耐え、落下時の衝撃耐性があり、いかなる形であっても、ppm不純物レベルにおいてさえ、生成物を汚染することがない。これは、ステンレス・スチールの高結合度の供給容器(バブラー)内の有機金属前駆物質のレベルを連続的に示すためのプローブにとって必須である。この種の、必要とされる不活性、堅牢性、簡素性、信頼性、および正確性の仕様を満たしているプローブを入手することは、現在のところ可能でない。さらにまた、キャップまたはマウンティング・ユニット、すなわちプローブ用の電気接続を有するユニットの統合された部品として形成されるキャパシタンスの提供についても、これまで述べられたことがない。
【符号の説明】
【0033】
2 容器
4 インレット・パイプ
6 ディップ・パイプ
8 アウトレット・パイプ
10 金属プローブ
12 ガラスの層
20 細長い管
22 端部分
30 マウンティング
32 ボディ
34 ガラス材料
36 絶縁取り巻き
38 電極嵌め合い部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)内の有機金属化合物のレベルを監視するための方法であって、
ガラス材料内に包みこまれるシーリング端(22)を有する少なくとも1つの金属プローブ(10)を容器内に挿入して第1の電極として作用させるステップ;
金属対ガラス対金属シールで容器内に該プローブの該シーリング端を気密封止するステップ、ここで、プローブのシーリング端を包みこむガラス材料は該金属対ガラス対金属シールの該ガラスである;
第2の電極を備えて、該第1の電極と第2の電極がキャパシタを形成するステップ;
該キャパシタに電流を印加するステップ;及び
キャパシタンスの変化を監視するステップ;
を包含する方法。
【請求項2】
前記プローブは、ステンレス・スチールから作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プローブは、前記容器の上部に備えられたポート内に気密封止される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プローブは、前記容器の前記ポート内に挿入されるマウンティングまたはキャップ(30)内にシールされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記マウンティングは、前記プローブ用の電気接続が備えられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プローブは、少なくとも、前記シールから延びる部分の上にエラストマ材料のコーティングが施される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ガラス材料内に包み込まれる、前記プローブの少なくとも前記部分(22)は、ニッケル合金を包含する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記合金は、インコネル(Inconel:登録商標)またはコバール(Kovar:登録商標)合金である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記合金は、アルミニウムおよび/またはチタンを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記合金は、インコネルX−750(Inconel X-750:登録商標)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マウンティング(32)は、ニッケル合金から作られる、請求項4〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記合金は、インコネルX−750(Inconel X-750:登録商標)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
キャパシタンスにおける変化を記録するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記容器内の前記液体のレベルを表示するための表示手段をさらに有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
較正を行うための較正手段をさらに包含し、それによって特定のキャパシタンスが前記容器内の特定体積の液体と対応する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記ガラス材料は、硼珪酸ガラス材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記容器はバブラーである、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−32532(P2010−32532A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230505(P2009−230505)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【分割の表示】特願2005−505080(P2005−505080)の分割
【原出願日】平成15年6月26日(2003.6.26)
【出願人】(598169572)シグマ−アルドリッチ・カンパニー (31)
【氏名又は名称原語表記】Sigma−Aldrich Co.
【Fターム(参考)】