説明

容器内の異物検査装置

【課題】複雑な調整手段等を必要とせずに容器内の異物検査ができる容器内の異物検査装置を提供する。
【解決手段】検査ロータ3の検査位置に設置され、載置台10を介して台座8上に載置された検査すべき容器2の底面側から容器2内を照明する照明手段16と、照明手段16と容器2を挟んで対向するように設置され、照明手段16より容器2内に入射した光を反射する異物を撮像する撮像手段17と、載置台10内に設けられ、照明手段16からの光を容器2の底面側へ反射する反射手段12と、検査位置において反射手段12が照明手段16と対向する位置に停止するよう台座8を駆動するモータ9の回転を制御すると共に、撮像手段17が撮像した画像から異物を検出する制御手段20とから構成したもので、容器2の形状や材質が種々変わっても、照明手段16や撮像手段17の位置を調整する等の複雑な調整作業を必要とせずに異物の検出が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に充填された液体中の異物を検出する容器内の異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の液体が充填された瓶やプラスチックボトル等の容器は、自動生産ラインにおいて連続的に大量生産されることが多い。
このため容器中の液体に異物等が混入した場合、生産後の発見が困難となることから、従来では生産ラインの途中に検査工程を設置して、検査工程で容器内に混入した異物の検査を行っている。
また液体が収容された容器が透明や半透明であって、容器の外部から異物の混入が視覚的に発見が可能な場合、従来では搬送ラインの途中に検査ロータを設置して、検査ロータ上を容器が自転している間に容器に光を照射し、異物からの反射光を撮像手段により撮像することにより、容器内に混入した異物を検出する検査装置が例えば特許文献1ないし3等で公知である。
【0003】
前記特許文献1に記載の異物検査装置は、検査ロータの異なる3つの回転角度にカメラと照明を設置し、かつ検査ロータ上を移動する容器をそれぞれ異なるモータで回転、停止制御して、容器内の液体をカメラで撮影することにより、液体中の異物を検出するようになっている。
また特許文献2に記載の異物検出装置は、縦波光を照射する第1照明と横波光を照射する第2照明とで容器を照明し、容器を透過した光をハーフミラーで分光した後、縦波光偏光フィルタを備えた検査用センサと、横波光偏光フィルタを備えた検査用センサでそれぞれ受光することにより、液体の色と無関係に液体中の異物が検出できるように構成されている。
さらに前記特許文献3に記載された自動検液装置は、ターレットに設けた回転台を高速回転させて、回転台上の容器を回転させ、回転中の容器に下方から光線を照射して、容器内に混入した異物からの反射光を捕捉することにより、異物検査を行うように構成されている。
【特許文献1】特開2003−107011号公報
【特許文献2】特開2004−12219号公報
【特許文献3】特公昭47−10466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記特許文献1ないし3に記載された異物検査装置では、液体を収容した容器の形状や材質が一定の場合は効果を発揮するが、近年のようにユーザのニーズに呼応して容器の形状や材質が多種多様化してる上、多品種少量生産されることが多くなっている現状では、容器の形状や材質によって異物の発見が困難となったり、検査ミスが発生する等の問題がある。
かかる問題を解消するためには、容器に死角が発生しないように照明手段や撮像手段の位置を変える等の調整が必要となるが、照明手段や撮像手段を調整自在とするためには複雑な調整機構を必要とすることから、異物検査装置のコストが高くなると共に、多品種少量生産する生産ラインでは、容器の形状や材質が変わる毎に調整作業を繰り返す必要があるため、生産性を低下させる等の問題もある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、複雑な調整手段等を必要とせずに容器内の異物検査ができる容器内の異物検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の容器内の異物検査装置は、容器に充填されている液体中に混入した異物を検査する容器内の異物検出装置であって、個別に設けられたモータにより回転自在な複数の台座が円周方向に設けられ、かつ一定方向に回転される検査ロータと、検査ロータの検査位置に設置され、載置台を介して台座上に載置された検査すべき容器の底面側へ、または外周側から容器内を照明する照明手段と、照明手段と容器を挟んで対向するように設置され、照明手段より容器内に入射した光を反射する異物を撮像する撮像手段と、載置台内に設けられ、照明手段からの光を容器の底面側または異物より反射した光を撮像手段側へ反射する反射手段と、検査位置において反射手段が照明手段または撮像手段と対向する位置に停止するようモータの回転を制御すると共に、撮像手段が撮像した画像から異物を検出する制御手段とから構成したものである。
【0006】
前記構成により、回転されながら検査位置に達した容器は、検査位置で載置台とともに停止し、同時に載置台内の反射手段が照明手段または撮像手段と対向するため、照明手段により効率よく容器内を照明し、もしくは異物より反射した光を効率よく撮像手段へ入射することができるようになる。
これによって容器内に充填されている液体中に混入した異物を確実に検出することができると共に、容器の形状や材質が種々変わっても、照明手段や撮像手段の位置を調整する等の複雑な調整作業が不要なことから、特に多品種少量生産することが多い生産ラインにおいて生産性の向上が図れると共に、複雑な構造の調整手段を設ける必要がないことから、異物検査装置全体のコスト低減が図れる。
また容器を底部から照明したり、底部を透過した光を撮像手段へ入射するようにしたことから、容器を回転させてもなお底部に沈殿している異物が液体中に混入している場合でも、異物の検出が可能となるため、異物検査の信頼性が向上する。
【0007】
本発明の容器内の異物検査装置は、検査位置を検査ロータの円周方向に複数個所設けて、各検査位置に照明手段及び撮像手段を対向設置したものである。
【0008】
前記構成により、第1の検査位置で検出できなかった異物を、第2の検査位置で検出が可能となるため、液体中に混入した異物が微細であっても確実に検出できるようになり、検査精度が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器内の異物検査装置によれば、容器の形状や材質が種々変わっても、照明手段や撮像手段の位置を調整する等の複雑な調整作業が不要なことから、特に多品種少量生産することが多い生産ラインにおいて生産性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は異物検査装置の構成図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は載置台の断面図、図4は変形例を示す説明図である。
図1に示す異物検査装置の本体1は、透明な容器2に液体を充填する生産ライン(図示せず)の途中に設置された大径な環状の検査ロータ3を有しており、生産ラインの搬送ラインに接続された搬入ライン4より小径な搬入ロータ5を介して容器2が連続的に搬入されるようになっており、検査ロータ3をほぼ1周して検査の完了した容器2は、小径な搬出ロータ6を介して搬出ライン7へ搬出されるようになっている。
検査ロータ3には、円周方向に等間隔に多数の台座8が設けられていて、これら台座8は検査ロータ3とともに反時計回り方向へ一定の回転速度で回転(公転)されるようになっている。
【0011】
台座8は円板により形成されていて、各台座8の下方に図2に示すように設置されたモータ9により高速で回転されるようになっており、各台座8上に、容器2を載置する載置台10が着脱自在に設置されている。
載置台10は図3に示すように、上部と下部に大径部10a、10bを有する筒体により形状されていて、下部の大径部10bに、台座8上面に突設された嵌合部8aが下方から嵌合されており、上部の大径部10aには、上面に容器2の底部が上方より嵌合する凹入部10cが形成されている。
そして載置台10内に反射手段12が取り付けられている。
反射手段12は、載置台10の外周面に開口された開口部10dより入射した光を上方へと反射する反射ミラー12aと、反射ミラー12aを45度の角度で固定する固定台12bとから構成されていて、固定台12bの底部が載置台10の大径部10a上面に固着具13により固着されている。
【0012】
また検査ロータ3の周辺には、検査ロータ3を横切るようにした複数箇所、例えば2箇所に検査位置14、15が設けられていて、各検査位置14、15に検査ロータ3の台座8上に設置された載置台10を挟んで対向するよう照明手段16及び撮像手段17が設置されている。
照明手段16は、例えばキセノンランプにより形成されていて、検査ロータ3の外側に位置する固定基台1a上に設置されており、照射面16aが載置台10内に設けられた反射手段12と図2に示すように対向するように設置されていると共に、後述する制御手段20からの指令によりストロボ発光されるようになっている。
撮像手段17は、例えばCCDカメラにより形成されていて、検査ロータ3の内側に位置する固定基台1a上に設置されており、載置台10上に載置された容器2内の異物からの反射光が受光できるように、図2に示すように容器2の中央部分をほぼ同じ高さに設置されていると共に、照明手段16と同期して撮像した映像を制御手段20へ送るようになっている。
本体1の上部には、検査ロータ3と一体に回転する円板状の回転支持部材18が設けられていて、回転支持部材18には、検査ロータ3の各台座8毎に容器保持手段19が設けられている。
容器保持手段19は、回転支持部材18に上下摺動自在に支承された保持杆19aを有していて、保持杆19aの下端に回転自在に設けられた保持キャップ19bにより載置台10上の容器2の上部を下方へ押圧しており、これによって載置台10上の容器2が高速回転(自転)しても、載置台10上から容器2が飛び出さないようになっている。
【0013】
一方検査ロータ3の回転中心には、回転各を検出する角度検出手段21が設置されていて、検査ロータ3の回転角を検出するようになっており、台座8を駆動するモータ9には、ポテンショメータ等の角度検出手段21aが設けられていて、これら角度検出手段21,22により検出された回転角信号が制御手段20へ入力されるようになっている。
制御手段20は、検査ロータ3に設けられたモ−タ9の回転を制御するモータ制御部20aと、容器2の形状や材質等に応じた回転パターンが予め記憶され、制御手段20に接続された検査モード入力手段23より入力される回転パターン選択信号に応じて回転パターン情報を出力するパターン情報記憶部20bと、検査ロータ3と台座8の回転角度情報(位置情報)から搬入位置Bにおける台座8の基準位置を記憶する角度情報記憶部20c及び撮像手段17が撮像した画像を処理する画像処理部20dから構成されていて、台座8を回転するモ−タ9の回転制御と、画像処理部20dが処理した画像から、容器2内に充填された液体中の異物を検出するようになっている。
なお図1中24はスリップリングである。
【0014】
次に前記構成された異物検査装置の作用を説明する。
生産ラインにより飲料や薬品等の液体が充填された透明な容器2は、生産ラインの搬送手段により連続的に搬送されて検査工程に達し、搬入ライン4により搬入ロータ5へと送り込まれる。
搬入ロータ5へ送り込まれた容器2は、搬入位置Bで検査ロータ3の台座8上に設置された載置台10上に載置された後、容器保持手段19の保持杆19aが下降することにより、載置台10と保持キャップ19bとの間で容器2が上下方向から挟着されると同時に、搬入位置Bにおいて、載置台10の位置が一定方向、例えば開口部10dが検査位置14、15にある照明手段16と対向する位置となるように制御手段20によりモ−タ9が回転制御され、その位置を基準位置として角度情報記憶部20cに記憶される。
【0015】
その後検査ロータ3の回転(公転)とともに、検査モード入力手段23から予め入力された回転パターン選択信号に応じて制御手段20のパターン情報記憶部20bから回転パターンが読み出され、制御手段20よりスリップリング24を介して検査ロータ3の各モ−タ9へ回転信号が出力されるため、モ−タ9は回転パターンに応じて載置台10上の容器2を高速回転(自転)させる。
これによって容器2の液体内で沈殿していた異物が浮上された状態で、容器2は第1の検査位置14に達する。
検査位置14に達した容器2は、搬入位置24で角度情報記憶部20cに記憶された基準位置、すなわち載置台10の開口部10dが照明手段16と対向する位置に停止され、同時に制御手段20からの指令により照明手段16がストロボ発光される。
【0016】
照明手段16の発光面16aから照射された光は、反射手段12の反射ミラー12aにより上方へと反射され、載置台10上の容器2内へ底面側より入射される。
このとき容器2内に充填されている液体中に異物が存在している場合は、入射された光が異物に反射するため、照明手段16に同期して動作する撮像手段17によりその画像が撮像される。
撮像手段17により撮像された画像は、制御手段20に取り込まれて画像処理部20dで画像処理され、異物のない正常時の画像と比較されて異物の検出が行われて、もし異物が発見された場合は、その容器2が載置された台座8の番号が制御手段20に記憶される。
第1の検査位置14で検査が終了した容器2は、再び所定の回転パターンで高速回転されながら第2の検査位置15に達し、第2の検査位置15で同様に検査が行われ、第1の検査位置14で発見されなかった異物の検査が行われる。
【0017】
その後第2の検査位置15で検査の完了した容器2は、搬出位置Cに達して、搬送ロータ6により搬出ライン7へと搬出されるが、第1、第2検査位置14、15で異物が発見され、台座8の番号が制御手段20に記憶された容器2は、搬送ロータ6により図示しない排出ラインへと振り分けられ、排出ラインにより不良品の保管場所へ排出される。
以下前記動作を繰り返して、生産ラインにより連続的に生産される容器2内の液体中に混入した異物を検出するもので、多品種少量生産ラインのように容器2の形状や材質が種々変更になっても、照明手段16の位置や撮像手段17の位置調整等の面倒な調整をほとんど必要とせずして容器2内の液体中に混入した異物の検出が行えるようになる。
【0018】
なお図4は、照明手段16及び撮像手段17の設置位置の変形例を示すもので、この変形例のように照明手段16により外周側から容器2を照明し、反射手段12と対向するように設置した撮像手段17により液体中の異物を撮像して、異物の検出を行うようにしても勿論よい。
また本発明の異物検査装置は、飲料等の液体を充填したガラス容器やプラスチック容器の他に、薬品分野で使用されているアンプル薬、バイアル薬、点眼薬等の液体を充填した容器であって、透明または半透明の容器全般に適用できるものである。
さらに反射手段12にはミラーに変えてプリズム等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態になる容器内の異物検査装置の構成図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の実施の形態になる容器内の異物検査装置に設けられた載置台付近の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態になる容器内の異物検査装置の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
2 容器
3 検査ロータ
8 台座
9 モータ
10 載置台
12 反射手段
14 検査位置
15 検査位置
16 照明手段
17 撮像手段
20 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に充填されている液体中に混入した異物を検査する容器内の異物検出装置であって、個別に設けられたモータにより回転自在な複数の台座が円周方向に設けられ、かつ一定方向に回転される検査ロータと、前記検査ロータの検査位置に設置され、載置台を介して前記台座上に載置された検査すべき容器の底面側または外周側から前記容器内を照明する照明手段と、前記照明手段と前記容器を挟んで対向するように設置され、前記照明手段より前記容器内に入射した光を反射する異物を撮像する撮像手段と、前記載置台内に設けられ、前記照明手段からの光を前記容器の底面側へ、または異物より反射した光を前記撮像手段側へ反射する反射手段と、前記検査位置において前記反射手段が前記照明手段または前記撮像手段と対向する位置に停止するよう前記モータの回転を制御すると共に、前記撮像手段が撮像した画像から異物を検出する制御手段とを具備したことを特徴とする容器内の異物検査装置。
【請求項2】
前記検査位置を前記検査ロータの円周方向に複数個所設けて、各検査位置に前記照明手段及び撮像手段を対向設置してなる請求項1に記載の容器内の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−201003(P2006−201003A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12259(P2005−12259)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】