説明

容器内充填物検査装置、充填物充填装置および容器内充填物検査方法

【課題】容器内に充填された充填物の検査を容易に行うことが可能な容器内充填物検査装置、充填物充填装置および容器内充填物検査方法を提供する。
【解決手段】容器内充填物検査装置は、充填物S1が充填された容器1の重量を測定する重量測定部14と、容器1の先端口2から充填物S1を一定量抽出させるサンプル抽出部12と、該サンプル抽出部12によって抽出された充填物を採取用紙に拭い取ることでサンプリングを行うサンプリング部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に充填された充填物の検査を行う容器内充填物検査装置、充填物充填装置および容器内充填物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シーラントや接着剤として、第1原料と、第2原料とを混合して生成する2液混合式のものがあり、航空機をはじめとした各種構造物の接続部や継目の隙間を密閉してシールしたり、接合したりする手段に用いられている。このような2液混合式のものは、第1原料、第2原料それぞれ単体では常温で液性を有する一方、一旦2液混合すると硬化反応が始まり一定時間後に硬化してしまう。しかしながら、このような2液混合して使用する際に、実際の組立作業で使用する分だけ第1原料と第2原料を混合するのでは、作業効率が低下してしまう。このため、低温環境で予め第1原料と第2原料を混合して2液混合シーラントを生成したあと速やかに、当該シーラントを容器に充填し、容器ごと急速冷凍したあと冷凍庫内で保存して、使用時に冷凍庫から取り出して解凍して使用するようにしていた。
【0003】
このような2液混合式のシーラントを容器に充填するシーラント充填装置としては、第1原料を第1流路に向けて供給する第1供給部と、第2原料を第2流路に向けて供給する第2供給部とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記のシーラント充填装置は、さらに第1流路と前記第2流路とが合流し、第1原料と第2原料が通る第3流路を備える。さらに、上記のシーラント充填装置は、少なくとも2種類の原料を混合するものであり、第3流路上には第1原料と第2原料を混合する混合機が設けられ、混合機を経て得られる混合材料は第4流路を通って排出される。そして、第1原料と第2原料が混合される前に、少なくとも混合機を減圧雰囲気にする系内減圧機を備える。 第1原料と第2原料をそれぞれ事前に減圧下で攪拌する。そして、混合機を減圧雰囲気にした後に、第1原料と第2原料を混合することで、混合の過程における空気の巻き込みを低減し、得られるシーラントをカートリッジから噴出しても突発を生じさせることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−201287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしならが、特許文献1のシーラント充填装置においても、容器であるカートリッジに充填物であるシーラントを充填する際に空気が混入されてしまうおそれがあった。そして、空気が混入された場合には、上記のとおり充填物を容器から噴出させる際に突発が生じてしまう。このため、空気が混入されずに適切に容器内に充填物が充填されたかを容易に検査することができる検査装置及び方法が望まれていた。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、容器内に充填された充填物の検査を容易に行うことが可能な容器内充填物検査装置、充填物充填装置および容器内充填物検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器に一定容量充填された充填物の検査を行う容器内充填物検査装置であって、充填物が充填された容器重量を測定する重量測定部と、前記容器の先端口から充填物を一定量抽出させるサンプル抽出部と、該サンプル抽出部によって抽出された充填物を採取用紙に拭い取ることでサンプリングを行うサンプリング部とを備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、重量測定部で充填物が充填された容器重量を測定することで、充填物が適切に充填された場合に対して、空気が混入された場合には容器重量が変化するため、空気の混入状態を知ることができる。また、サンプル抽出部で容器の先端口から一定量充填物をサンプルとして抽出して、サンプリング部で、抽出した充填物を採取用紙に拭い取る。これにより、採取用紙にサンプリングされた充填物の特性を調べることで、容器内に充填された充填物の特性を知ることができ、該特性をもって空気の混入状態を知ることができる。
【0009】
また、上記容器内充填物検査装置において、前記サンプリング部は、前記採取用紙を折り返すことで前記採取用紙に折れ部を形成する払拭部を有し、該払拭部に対して前記容器を相対移動させることによって充填物を採取用紙に拭い取らせることを特徴としている。
この構成によれば、払拭部で、抽出した充填物を採取用紙に拭い取ってサンプリングすることができる。
【0010】
また、上記の容器内充填物検査装置において、前記サンプリング部は、充填物が充填された複数の前記容器について、前記採取用紙上で幅方向、長さ方向に位置を順次変更しながら、充填物をサンプリングすることを特徴とする。
この構成によれば、採取用紙上に複数の充填物をサンプリングすることができる。
【0011】
また、本発明は、上記の容器内充填物検査装置と、前記容器に充填物を充填する充填部と、充填物が充填された前記容器の前記先端口にキャップを打栓する打栓部とを備えることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、上記の容器内充填物検査装置によって容器内に充填部によって適性に充填物が充填されたか検査しつつ、打栓部によって先端口にキャップを打栓して充填物を封入することができる。
【0013】
また、本発明は、容器に一定容量充填された充填物の検査を行う容器内充填物検査方法であって、充填物が充填された容器の重量を測定する重量測定工程と、記容器の先端口から充填物を一定量抽出させるサンプル抽出工程と、該サンプル抽出工程で抽出された充填物を採取用紙に拭い取ることでサンプリングを行うサンプリング工程とを備えることを特徴としている。
【0014】
この方法によれば、重量測定工程で充填物が充填された容器重量を測定することで、充填物が適切に充填された場合に対して、空気が混入された場合には容器重量が変化するため、空気の混入状態を知ることができる。また、サンプル抽出工程で容器の先端口から一定量充填物をサンプルとして抽出して、サンプリング工程で、抽出した充填物を採取用紙に拭い取る。これにより、採取用紙にサンプリングされた充填物の特性を調べることで、容器内に充填された充填物の特性を知ることができ、該特性をもって空気の混入状態を知ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る容器内充填物検査装置および容器内充填物検査方法によれば、容器内に充填された充填物の検査を容易に行うことができる。
また、本発明に係る充填物充填装置によれば、充填物の検査を容易に行いつつ、容器内に充填物を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る一実施形態のシーラント充填方法を実行するシーラント充填装置の模式的側面図である。
【図2】図1のシーラント充填装置に適用される保管部の模式的側面図である。
【図3】図1のシーラント充填装置が実行するシーラント充填方法における充填工程の模式的側面図である。
【図4】図1のシーラント充填装置が実行するシーラント充填方法におけるサンプル抽出工程の模式的側面図である。
【図5】図1のシーラント充填装置が実行するシーラント充填方法における検査工程の模式的側面図である。
【図6】図1のシーラント充填装置が実行するシーラント充填方法における重量測定工程の模式的側面図である。
【図7】図1のシーラント充填装置が実行するシーラント充填方法における打栓工程の模式的側面図である。
【図8】図1のシーラント充填装置が実行するシーラント充填方法における向き変更工程の模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態のシーラント充填装置およびシーラント充填方法について図面を参照して説明する。
本実施形態の充填物充填装置であるシーラント充填装置は、容器内に充填物として2液混合式のシーラントを充填するものである。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態のシーラント充填方法を実行するシーラント充填装置10は、シーラントS1の容器1への充填を行う充填部11と、サンプル抽出部12、サンプリング部13、及び重量測定部14を有し、容器1内に充填されたシーラントS1の検査を行うシーラント検査装置(容器内充填物検査装置)100と、容器1に打栓を行う打栓部15と、シーラントS1が充填された容器1を排出させる容器排出部16と、これらを制御する制御装置19及びこれらを収容するケース17と、ケース17内を冷凍する冷凍部(不図示)とを備える。
【0018】
シーラント充填装置10は、充填部11の外部に2液混合冷凍庫5が配置されており、容器排出部16の外部に保管部(図2参照)6が配置される。2液混合冷凍庫5には、容器1に充填するための第1原料及び第2原料となる2種類のシーラントが貯蔵されており、2種類のシーラントは、混合されてシーラントS1として、ダクト22を通じて充填部11に送給される。また、本実施形態のシーラント充填装置で使用される容器1には、予め常温においてラベリングが実施されており、固有の識別表示が番号やバーコードなどによりマーキングされている。このため、容器1が図示しない冷凍部により冷凍されたケース17内に搬送されてきて、その際に容器の表面に結露水がついたとしても、既にラベリングが実施されていて、当該ラベルが付着不良ではがれてしまうおそれがない。
【0019】
充填部11、サンプル抽出部12、サンプリング部13、重量測定部14、打栓部15、及び容器排出部16は、基部Gの上面に配置されている。シーラント充填装置10は、ケース17内上部に配置されて鉛直方向及び直交する水平2方向へ移動可能な3軸ロボット20を有し、この3軸ロボット20が備えるロボットハンド21が容器1を把持する。
【0020】
充填部11は、ダクト22に連通接続された充填台23と、マーキング読取装置24と、この充填台23の側部に配置されたカメラ25と、を備える。充填部11は、ロボットハンド21により容器1が先端口2を下方に向けた逆さ姿勢で充填台23上に載置された際に、マーキング読取装置24により、容器1のラベルにマーキングされた識別表示を読み取る。
【0021】
充填部11は、充填台23を通じて、容器1の先端口2から容器1の中栓3が定位置に到達するまでシーラントS1を充填させる。充填部11は、シーラントS1が充填される際に、カメラ25により中栓3の位置を検出する。カメラ25は、制御装置19に接続されている。そして当該制御装置19には、シーラントS1が所定量充填された時の中栓3の位置が予め記憶されている。そして、制御装置19は、充填部11を制御し、カメラ25から入力される画像に基づいて、所定量充填された時の位置に到達するまでシーラントS1を充填させる。
【0022】
サンプル抽出部12は、容器1が先端口2を下方に向けた逆さ姿勢で先端口2を保持する載置台26を備える。サンプル抽出部12は、制御装置19による制御のもと、載置台26に容器1が載置された状態で、押圧部材27を降下させて押圧部材27が上方から中栓3を下方に向けて押圧することにより、先端口2からサンプルシーラントS2を一定量抽出する。
【0023】
重量測定部14は、載置台26の下部に内蔵された例えばロードセルなどであり、載置台26に載置された容器1の重量を測定する。重量測定部14で測定された重量は、制御装置19に出力され、制御装置19では、マーキング読取装置24で読み取られたデータと対応付けて記憶される。ここで、上記のとおり充填部11では、カメラ25で中栓3の位置を管理して充填していることで、一定容量のシーラントS1が充填されている。従って、容器1内に空気が混入してしまった場合には、重量測定部14で測定される重量が小さくなることから、重量測定部14における測定結果をもって容器1に充填されたシーラントS1における空気の混入量を検査できる。
【0024】
サンプリング部13は、採取用紙29aが巻回されて構成されたロール紙29が回転可能に収容されたロール収容部28と、ロール紙29から引き出された採取用紙29aの上下両側に配置されて採取用紙29aを上方へ向けて案内する一対の案内ローラ30、31と、一対の案内ローラ30、31で上方へ向けて案内された採取用紙29aを下方へと折り返す払拭部32と、ロール紙29から採取用紙29aを引き出す引出部33とを備える。
【0025】
ロール収容部28は、傾斜面を有する傾斜部28aと、傾斜部28aの下端から立設された壁部28bとを有する。そして、ロール紙29は、傾斜部28a及び壁部28bによって回転可能に支持されている。引出部33は、駆動ローラ33aと、駆動ローラ33aとで採取用紙29aを挟み込むピンチローラ33bと、駆動ローラ33aを回転駆動する図示しない駆動部とを有する。
【0026】
サンプリング部13においては、払拭部32に対して、ロボットハンド21で把持された容器1を3軸ロボット20によって相対移動させることで、払拭部32で折り返された採取用紙29aに、容器1の先端口2から一定量抽出されたサンプルシーラントS2を拭いとることが可能となっている。そして、採取用紙29aに拭い取られて付着したサンプルシーラントS2は、引出部33によって採取用紙29aとともに順次外部に搬出される。
【0027】
このとき、サンプルシーラントS2の採取用紙29aへのサンプリングは、採取用紙29aの幅方向(図1紙面奥行き方向に所定のピッチで、また、採取用紙29aの長さ方向(引出部33によって引き出される方向)に所定のピッチでそれぞれ行われる。そして、外部において、採取用紙29aから付着したサンプルシーラントS2を取り外し、不図示の検査機器により、弾性力や固化前後の形状の変化に基づいて、充填されたシーラントS1における空気の混入量が検査される。例えば、空気の混入量が多い場合には、混入した空気の影響により、サンプルシーラントS2の弾性係数は低下することとなる。また、所定量抽出されることで、ほぼ一定の形状で拭い取られるサンプルシーラントS2は、外部に取りだされることで固化することとなるが、空気の混入量が多い場合には、その空隙の分だけ高い収縮率で固化後に変形することとなる。従って、サンプリング部13は、抽出した一定量のサンプルシーラントS2を検査することにより、サンプルシーラントS2の弾性力や形状に基づいて、容器1に充填されたシーラントS1における空気の混入量を検査できる。サンプリング部13では、サンプル抽出部12で抽出した一定量のサンプルシーラントS2を拭うだけであるので、複雑な装置構成を必要とせずに、低コストで簡単にサンプリングして検査することができ、それゆえに全数検査が容易となる。
【0028】
打栓部15は、ベルトコンベア15aを介して複数のキャップ4が搬送される。そして、容器1が、先端口2を下方に向けた逆さ姿勢で3軸ロボット20によって搬送されてキャップ4に向けて降下されることで、先端口2にキャップ4が打栓される。
【0029】
容器排出部16は、容器1を保管部6において保管するに際し、容器1の向きを、先端口2を下方に向けた逆さ姿勢から横向きに変更し、容器1を排出させる。容器排出部16は、櫛形状に形成された第1支持部35と、第1支持部35の櫛形状の間に配置された第2支持部36とを有する。
【0030】
第1支持部35は、3軸ロボット20で搬送された容器1のキャップ4が配置される転倒用凹部37を有し、駆動部38により第2支持部36が露出するように下方に向けて移動する。第2支持部36は、第1支持部35の櫛形状の間に配置されて図示しない容器1の排出口に向けて降下するように傾斜しており、第1支持部35が下方に移動された際に容器1が受け渡される。容器排出部16は、先端口2を下方に向けた逆さ姿勢の容器1が第1支持部35の転倒用凹部37上に配置されることにより、キャップ4の側部が転倒用凹部37に落とし込まれる。そして、容器排出部16は、第1支持部35上において、容器1が横向きに向きを変更される。そして、制御装置19よる制御のもと、駆動部38によって第1支持部35が下方に移動されることにより、第2支持部36に容器1を受け渡すことで傾斜によって容器1を図示しない排出口を経て外部の保管部6へと転がす。
【0031】
図2に示すように、保管部6は温度管理されており、横向きに向きを変更された容器1が搬送される回転扉40と、回転扉40の下流側に配置された低温庫41とを備える。
保管部6は、容器排出部16の第2支持部36を介して転がされて搬送されてきた容器1を、回転扉40により温度を維持したままで低温庫41に保管する。従って、シーラントS1が所定量充填された容器1は、保管部6において2液混合後のシーラントS1が硬化しない温度に温度管理された低温庫41で保管される。そのため、シーラントS1が硬化することなく特性を十分に維持したまま保管できる。
【0032】
次に、シーラント充填装置10が実行する充填物充填方法であるシーラント充填方法について説明する。なお、以下の工程は、制御装置19の制御のもと実行される。
図3に示すように、3軸ロボット20の位置A1において充填工程が実行される。
充填工程では、2液混合冷凍庫5からダクト22を通じて送給されてきたシーラントS1が、ロボットハンド21により先端口2を下方に向けた逆さ姿勢の容器1の先端口2から充填される。同時に、マーキング読取装置24により容器1のラベルに表示された識別表示の読み取りが実行され、制御装置19に出力される。そして、制御装置19による制御のもと、充填部11によりカメラ25により検出された中栓3の位置までシーラントS1が所定量充填される。充填工程が終了すると、制御装置19は、3軸ロボット20によって次の位置A2までシーラントS1が充填された容器1を移動する。
【0033】
図4に示すように、3軸ロボット20の位置A2においてサンプル抽出工程が実行される。
サンプル抽出工程では、制御装置19は、3軸ロボット20によって容器1を、先端口2を下方に向けた逆さ姿勢で載置台26に載置させる。次に、制御装置19は、押圧部材27を降下させて、容器1の中栓3を上方から押圧させることにより、一定量のサンプルシーラントS2を抽出させる。なお、サンプルシーラントS2の抽出される量は、僅かであり垂れるほど抽出されるものではない。
【0034】
また、この際、重量測定工程が実行される。重量測定工程では重量測定部14によって容器1の重量が測定される。そして、重量測定部14で測定された重量は、制御装置19に出力され、制御装置19では、マーキング読取装置24で読み取られたデータと関係付けて記憶される。このため、測定された重量に基づいて、どの容器1が合格で、また不合格かを識別することができる。
サンプル抽出工程及び重量測定工程が終了すると、一定量抽出されたサンプルシーラントS2を有する容器1は、次の位置A3まで3軸ロボット20とともに移動する。
【0035】
図5に示すように、3軸ロボット20の位置A3から位置A4の間においてサンプリング工程が実行される。
サンプリング工程では、制御装置19による制御のもと、ロール収容部28から引き出された採取用紙29aによって、先端口2を下方に向けた逆さ姿勢の容器1の先端口2からサンプルシーラントS2が一定量拭い取られる。具体的には、位置A3まで搬送された容器1は、3軸ロボット20によって、先端口2の高さを払拭部32で折り返された採取用紙29aの折れ点の高さと略等しく設定される。また、当該容器1は、3軸ロボット20によってその幅方向の位置を、採取用紙29a上において所定の位置となるように設定される。そして、容器1は、3軸ロボット20によって払拭部32の一方側の位置A3から、払拭部32を通過して他方側の位置A4まで移動させられる。これにより、先端口2から抽出されたサンプルシーラントS2は、先端口2と略等しい高さに位置する払拭部32で折り返された採取用紙29aに拭い取られることとなる。
図6に示すように、サンプリング工程が終了すると、容器1を保持している3軸ロボット20が次の位置A5へ移動する。
【0036】
図7に示すように、3軸ロボット20の位置A5において打栓工程が実行される。
打栓工程では、制御装置19による制御のもと、3軸ロボット20によって容器1が降下させられることで、先端口2を下方に向けた逆さ姿勢の容器1の先端口2に、下方にベルトコンベア15aによって搬送されてきたキャップ4が打栓される。
打栓工程が終了すると、容器1を保持している3軸ロボット20が次の位置A6へ移動する。
【0037】
図8に示すように、3軸ロボット20の位置A6において向き変更工程が実行される。
向き変更工程では、制御装置19による制御のもと、3軸ロボット20によって容器1が、第1支持部35上において、キャップ4が転倒用凹部37上に位置するようにして、配置される。そして、3軸ロボット20のロボットハンド21が容器1の把持を解除することによって、容器1は、転倒用凹部37によって外周面が第1支持部35に支持されるようにして転倒し横向きに向きを変更される。この状態で、制御装置19の制御のもと、駆動部38により第1支持部35が下方に移動されることにより、第2支持部36に容器1が受け渡されて傾斜を介して保管部6へ向けて転がされる。向き変更工程で転がされて搬送されてきた容器1は、保管部6において、回転扉36により温度を維持したままで即時に低温庫35に保管される。
【0038】
向き変更工程が終了すると、制御装置19の制御のもと容器1を保持している3軸ロボット20が最初の位置A1に戻り、以後、繰り返し上記工程を実行する。
なお、制御装置20は、次の容器1のサンプリング工程では、3軸ロボット20によって、採取用紙29aの幅方向に所定ピッチ分だけ位置を異なるようにして、サンプルシーラントS2を採取用紙29aに拭い取らせる。また、採取用紙29aにおいて、長さ方向に同じ位置で、所定ピッチで所定数サンプリングを実施した場合には、次の容器1のサンプリング工程では、制御装置19は、引出部33を駆動させて、所定ピッチ分だけ採取用紙29aを引き出させて、長さ方向に異なる位置でサンプルシーラントS2を採取用紙29aに拭い取らせる。
そして、これを繰り返すことで、採取用紙29aには、幅方向、長さ方向に、それぞれ所定のピッチで複数のサンプルシーラントS2がサンプリングされることとなる。
【0039】
ここで、制御装置20は、サンプリングした容器1のマーキング読取装置24で読み取ったデータと、採取用紙29a上でサンプリングした位置とを対応付けて記憶しており、これによりどのサンプルシーラントS2が保管部6に保管されたどの容器1と対応しているかを識別することができる。
このため、サンプル検査工程として、採取用紙29aにサンプリングされた多数のサンプルシーラントS2について、弾性定数を測定する負荷試験や、形状を測定する外観試験を行った後に、これら試験結果に基づいて、どの容器1が合格で、また、不合格であるかを識別することができる。
【0040】
以上、説明したようにシーラント検査装置100を備えたシーラント充填装置10およびシーラント検査方法を含むシーラント充填方法によれば、容器1に充填したシーラントS1における空気の混入状態について、充填重量、並びに、サンプルシーラントS2の弾性力や形状により定量評価することが可能である。
【0041】
さらに、シーラント検査装置100およびシーラント検査方法によれば、サンプルシーラントS2のサンプリングは、サンプル抽出工程で容器1の先端口2から一定量のサンプルシーラントS2を抽出し、当該サンプルシーラントS2が、3軸ロボット20に把持された容器1と払拭部32との相対移動によって採取用紙29aに拭われて行われる。従って、複雑な装置構成を必要とせずに、低コストで容易にサンプリングすることができる。このため、全数検査も容易に実施することができる。
【0042】
なお、本発明の容器内充填物検査装置および容器内充填物検査方法は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
例えば、本実施形態では、3軸ロボット20によって払拭部32に対して容器1を移動させることによって採取用紙29aにサンプルシーラントS2を拭い取らせるものとしたが、これに限るものではなく、払拭部32を容器1に対して移動させるものとしても良い。
また、重量測定部14は、載置台26の下部に内蔵されて、サンプル抽出工程とともに実施するものとしたが、これに限るものではない。充填工程完了後であれば良く、重量測定部14が打栓部15に内蔵されていて、打栓工程後にキャップ4の重量も含めて重量測定を実施しても良い。あるいは、重量測定部14が3軸ロボット20に内蔵されていて、工程間において搬送途中で重量測定を実施しても良い。また、重量測定部14が独立して構成されていて、いずれかの工程間において実施されるものとしても良い。
また、本実施形態では、充填物を2液混合式のシーラントとしたが、これに限るものではなく、空気が混入するような一定の粘性を有し、温度あるいは空気との反応により硬化するような充填物を容器に充填して保管する場合において、当該充填物の空気混入状態を検査する場合に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器
2 先端口
10 シーラント充填装置(充填物充填装置)
11 充填部
12 サンプル抽出部
13 サンプリング部
14 重量測定部
15 打栓部
29a 採取用紙
100 シーラント検査装置(容器内充填物検査装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に一定容量充填された充填物の検査を行う容器内充填物検査装置であって、
充填物が充填された容器重量を測定する重量測定部と、
前記容器の先端口から充填物を一定量抽出させるサンプル抽出部と、
該サンプル抽出部によって抽出された充填物を採取用紙に拭い取ることでサンプリングを行うサンプリング部とを備えることを特徴とする容器内充填物検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の容器内充填物検査装置において、
前記サンプリング部は、前記採取用紙を折り返すことで前記採取用紙に折れ部を形成する払拭部を有し、該払拭部に対して前記容器を相対移動させることによって充填物を採取用紙に拭い取らせることを特徴とする容器内充填物検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の容器内充填物検査装置において、
前記サンプリング部は、充填物が充填された複数の前記容器について、前記採取用紙上で幅方向、長さ方向に位置を順次変更しながら、充填物をサンプリングすることを特徴とする容器内充填物検査装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容器内充填物検査装置と、
前記容器に充填物を充填する充填部と、
充填物が充填された前記容器の前記先端口にキャップを打栓する打栓部とを備えることを特徴とする充填物充填装置。
【請求項5】
容器に一定容量充填された充填物の検査を行う容器内充填物検査方法であって、
充填物が充填された容器の重量を測定する重量測定工程と、
前記容器の先端口から充填物を一定量抽出させるサンプル抽出工程と、
該サンプル抽出工程で抽出された充填物を採取用紙に拭い取ることでサンプリングを行うサンプリング工程とを備えることを特徴とする容器内充填物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−184008(P2012−184008A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46551(P2011−46551)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】