説明

容器内容物の放出量調整機構ならびにそれを備えたエアゾール式製品およびポンプ式製品

【課題】放出孔側の内容物通路部分に放出量モード切替用の回動部材を備えた放出量調整機構において、当該回動部材とその受け部とのシール性をより完全なものとする。
【解決手段】押釦本体10の環状部分15の内周面の一部に内容物放出量調整用の溝部15aを形成し、一周に渡って前後方向の長さが異なる放出量調整部27を有する回動部材20を当該環状部分に保持した。放出量調整部27と環状部分15とは周面同士のみでシールされている。後端面27cと仕切壁状部14との間にはバッファ空間域Bが設定され、両者間の面当てシールは行っていない。図示の多量放出モードでは、放出量調整部27の最短部27aが深溝部分15bに位置して内容物流入口の面積Aが大きくなっている。操作レバー22を180度ほど回動すると放出量調整部27の最長部27bが浅溝部分15cに位置して面積Aが小さい少量放出モードとなる。トリガーレバー形式の操作部材を用いた放出量調整機構も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式製品やポンプ式製品を対象とした内容物の放出量調整機構などに関する。
【0002】
本発明の放出量調整機構の動作形式としては、エアゾール式およびポンプ式の各製品を対象とする。なお、本明細書で用いる「ポンプ式」とは、利用者が、操作部や、容器の一部(周面部分など)などを例えば押圧することにより内容物収納空間の容積が小さくなって、その中の内容物が外部空間に放出される方式を示しており、いわゆる押出式,チューブ式なども含む概念である。
【0003】
また、放出量調整機構の操作部材としては、
・操作時に直線移動する押釦形式のもの
・操作時に回動するトリガレバー形式のもの
などを対象とする。
【0004】
本明細書においては、容器内容物の放出孔の側を「前」とし、それと反対側を「後」としている。すなわち図1〜図3の左側方向が「前」で、右側方向が「後」となる。
【背景技術】
【0005】
本件出願人は、押釦本体(操作部材)の内容物流出側の凹状部に、内容物の放出量調整用でその内側に放出用通路を備えた筒状の回動部材を取付けて、これを回動することにより、当該凹状部の底面部分に形成された二つの孔部を当該回動部材の後端面で選択的に開閉して単位時間あたりの容器内容物の放出量や噴射範囲を変更できる、放出量調整機構を開示している(特許文献1参照)。
【0006】
この放出量調整機構の場合、押釦本体凹状部と調整用回動部材との接触部分を介して容器内容物が漏洩することを防止し、その放出量調整を確実に行うために、
(a)調整用回動部材の外周面と(それを保持する)押釦本体凹状部の内周面とを密接させるといったいわゆる径シールだけでなく、
(b)調整用回動部材の後端面も(それを受ける)押釦本体凹状部の底面と密接させるといったいわゆる面当てシールも十分なものとなるように、
押釦本体および調整回動部材のペアを製造し、組立てなければならない。
【特許文献1】特開2001−300356公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この放出量調整機構は、調整用回動部材を回動するだけで二つの孔部を選択的に開閉して容器内容物の放出量を変更できるという、使い勝手の良いものであった。
【0008】
しかしながら、上述のように調整用回動部材と押釦本体凹状部とをそれぞれの2フェーズで密接する(径シールおよび面当てシール)ように製造し組立てなければならないため、その寸法管理や組立に手間がかかるという点で改良の余地を残している。
【0009】
特に上記(b)の面当てシールの場合、密接対象である調整用回動部材および押釦本体凹状部それぞれの密接対象の後端面(回動部材)および底面(凹状部)を設計通りのきれいな状態に作成したとしても、調整用回動部材を押釦本体凹状部に挿入して取り付けるときの作業精度のバラツキにより、すなわち調整用回動部材の後端面と釦本体凹状部の底面との面合わせがうまくいかないときには、不完全な面当てシール状態となってしまう。
【0010】
一方、上記(a)の径シールに関しては、調整用回動部材の外周面と(それを保持する)押釦本体凹状部の内周面との寸法管理だけで十分なシール状態を確保できる。
【0011】
すなわち、上記放出量調整機構は、作成時の成形精度のみによっては十分なシール作用を必ずしも期待できない面当てシール部分を構成要素としている。
【0012】
そこで、本発明は、シール状態の良否が、調整用回動部材をその受け側の凹状部に挿入して取り付けるときの作業精度自体に左右されやすい上記(b)の面当てシールを構成要素とせずに、上記(a)の径シールのみからなるシール部分を持つ放出量調整機構を提供することにより、調整用回動部材とその受け側の凹状部との間のシール性の十全化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)容器内部から内容物放出口(例えば後述の放出孔部材30,80の放出孔31)にいたる通路部分(例えば後述の流出側開口部13)の内容物通過対象範囲を変更できるようにした放出量調整機構において、前記通路部分を構成する筒状部(例えば後述の管状部分15,筒状部60)および、この筒状部との間で回動する回動部材(例えば後述の回動部材20,70)の一方の周面に、その長手方向に続く内容物通過用の凹状部(例えば後述の溝部15a,61,62)を形成し、前記筒状部および前記回動部材の他方に、当該回動部材の回動操作により前記凹状部の一部を閉じてそこへの流入実効面積(例えば後述の内容物流入口Aの面積)を変化させるための調整作用部(例えば後述の放出量調整部27,72)を形成する。
(2)前記凹状部として、前記筒状部の内周面に、その開口側からの深溝部分(例えば後述の深溝部分15b,61)とこれの上流側に続く浅溝部分(例えば後述の浅溝部分15c,62)とからなる溝部を形成し、前記調整作用部として、前記回動部材に、その回動状態に応じて前記溝部との対向部分の前記長手方向の位置が異なる態様の後端部(例えば後述の最短部27a,最長部27b,後端面27c)からなる外周面を形成する。
【0014】
本発明は、このような構成からなる放出量調整機構を対象とし、また、この放出量調整機構を備えて容器内部に放出用ガスおよび内容物を収容したエアゾール式製品や、内容物を収容したポンプ式製品も対象としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このように内容物放出量を調整するための回動部材およびこれに対応した内容物通路部分の筒状部における調整作用域としてこの回動部材と筒状部との周面部分をもっぱら用いることにより、背景技術での改善対象となった上記(b)の面当てシールの必要性を捨象しているので、放出量調整機構自体のシール性を完全なものすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1乃至図3を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1および図2は押釦形式の操作部材を用いた放出量調整機構を示し、図3はトリガレバー形式の操作部材を用いた放出量調整機構を示している。
【0017】
図1および図2において、
1は内容物放出用の押釦,
10は押釦本体,
11は押釦本体10をステム(図示省略)に嵌合するための流入側開口部,
12は当該流入側開口部に続く内容物放出用の縦通路,
13は押釦本体10に後述の回動部材20を取り付けるための流出側開口部,
14は縦通路12とその直下流側に位置して流出側開口部13の一部からなる後述のバッファ空間域B(横通路)とを分ける仕切壁状部,14aは当該仕切壁状部に形成されて縦通路12と連通する孔部,
15はバッファ空間域Bの構成要素であって後述の放出量調整部27を密接・回動可能な状態に保持する管状部分(凹状部),15aは当該管状部分の例えば上側内周面に形成された内容物放出量調整用の溝部,15bは前方の深溝部分,15cは後方の浅溝部分,
16は後述の回動部材20の環状突起23と係合して当該回動部材を回動可能に保持するための押釦本体側の環状凹部,
20は後述の外側筒状部21および内側鞘状部24などからなり押釦本体10に対し回動可能に設定されて放出量モードを切替えるための回動部材,
21は押釦本体10に取り付けて回動可能に保持されるとともに後述の放出孔部材30を密接状態で嵌合保持するための外側筒状部,
22は回動部材20の操作レバー,
23は押釦本体側の環状凹部16に対応した回動部材側の被ガイド用の環状突起,
24は外側筒状部21との間に複数の内容物通過用孔部を間歇的に設ける態様で当該筒状部と一体成形された内側鞘状部,
25は内側鞘状部24の一部であって後述の放出孔部材30のスクリュー部31に当接する前面部,
26は内側鞘状部24の一部であって後述の放出孔部材30の内周面と当接する胴部,
27は内側鞘状部24の後端側部分であってその周面の後端位置(前後方向の長さ)を一周にわたりいわばリニアに順次変化させ、押釦本体10の管状部分15の内周面と当接しながらの回動の程度に応じて、後述の内容物の流入口Aの前後方向の長さ(流入口Aの実効面積)を変更するための放出量調整部,27aは多量放出モードに対応の最短部,27bは少量放出モードに対応の最長部,27cはこの最短部と最長部との間で周回している後端面,
30は回動部材20の外側筒状部21と内側鞘状部24との間に嵌め込まれて当該回動部材と連動する放出孔部材,
31は放出孔,
32は放出孔31に通じて放出内容物を霧状にするためのスクリュー部,
33は回動部材20の外側筒状部21と内側鞘状部24との間に嵌め込まれる環状部分,33aは当該環状部分の内周面の前後方向に間歇的に形成された内容物通過用の溝部,
Aは押釦本体側の溝部15aと回動部材側の放出量調整部27とによって設定され、その面積が回動部材20の回動状態に応じて変化する内容物流入口,
Bは押釦本体側の仕切壁状部14と回動部材側の放出量調整部27との間に形成されて内容物流入口Aへと通じるバッファ空間域B(横通路),
をそれぞれ示している。
【0018】
本発明の放出量調整機構の特徴は、
(c)押釦本体10の管状部分15の任意の内周面部分(例えば上側内周面)に内容物放出量調整用の溝部15aを形成し、
(d)当該溝部の内容物流入口Aの内容物通過用面積を特定する作用を持つ(回動部材20の一部の)放出量調整部27の前後方向のいわば身長を、回動部材20の回動操作によって変更する、すなわち上述の背景技術で述べた調整用回動部材の後端面に相当する本発明の後端面27cと押釦本体凹状部の底面に相当する本発明の管状部分15の底面(仕切壁状部14の前面)との間にバッファ空間域Bを設定した、
ことである。
【0019】
このバッファ空間域Bを設定するということは、内容物の漏洩を防止するとともに放出量調整を確実に行うためのシール対象として、回動部材側の放出量調整部27の外周面と押釦本体側の管状部分15の内周面との間や、回動部材側の外側筒状部21の外周面と押釦本体側の流出側開口部13の内周面との間や、放出孔部材側の環状部分33の外周面と当該外側筒状部21の内周面との間などに関する上記(a)のいわゆる径シールのみを考えれば良いことに他ならない。
【0020】
すなわち、従来のように放出量調整部27の後端面27cと孔部14aを形成した仕切壁状部14の前面部分との間の、上記(b)の面当てシールを不要としている。
【0021】
図1に示すように、回動部材20は、外側筒状部21およびこれと一体成形された内側鞘状部24などからなり、外側筒状部21に形成された環状突起23が押釦本体10の環状凹部16に入り込んで当該押釦本体に回動自在に取り付けられている。
【0022】
そして、回動部材20の外側筒状部21と内側鞘状部24との間には放出孔部材30が嵌め込まれて一体化している。
【0023】
このとき、内側鞘状部24は、
・放出量調整部27の外周面が押釦本体10の管状部分15の内周面に密接し、後端面27cと端面14との間にはバッファ空間域Bが形成され、
・胴部26の外周面が放出孔部材30の環状部分33の内周面に当接し、
・前面部25が放出孔部材30のスクリュー部32に当接し、
・外側筒状部21の内周面が放出孔部材30の環状部分33の外周面に密接し、
・外側筒状部21の外周面が押釦本体10の流出側開口部13の周面に密接した、
態様になっている。
【0024】
そして、操作レバー22を回動すると、これと一体の内側鞘状部24や放出量調整部27が押釦本体10の管状部分15の溝部15aに対して回動する。
【0025】
これにより、溝部15aの流入口Aの前後方向の長さ(流入口Aの面積)が変化するので内容物の放出量を変更できる。
【0026】
図1に示すように、多量放出モードでは放出量調整部27の最短部27aが溝部15aの深溝部分15bに位置している。
【0027】
したがって、溝部15aの深溝部分15b(の一部)と浅溝部分15cがともにバッファ空間域Bに対して開口し、内容物流入口Aの面積が大きくなる。
【0028】
この状態で押釦本体10を押圧すると、多量の内容物が「容器本体(図示省略)−開口部11−縦通路12−孔部14a−バッファ空間域B−流入口A−溝部15a−溝部33a−スクリュー部32」の通路を経て放出孔31から外部空間に放出される。
【0029】
このとき、内容物はスクリュー部32によって渦状になって放出孔31に流入し、その流速も速くなるので霧状になって外部空間に放出される。そして、内容物の放出量自体も多いためその噴射範囲も広くなる。
【0030】
図1の状態から図2の少量放出モードに移行するには、図1の操作レバー22を例えば時計方向に180度回動すればよい。
【0031】
図2に示すように少量放出モードでは、放出量調整部27の最長部27bが溝部15aの浅溝部分15cに位置する。
【0032】
したがって、溝部15aの浅溝部分15c(の一部)のみがバッファ空間域Bに対して開口し、内容物流入口Aの面積が小さくなる。この状態で押釦本体10を押圧すると、少量の内容物が図1の場合と同様の通路を経て放出孔31から外部空間に放出される。
【0033】
このときの内容物も霧状となって放出されるが、内容物放出量自体が少ないのでその噴射範囲は狭い。
【0034】
なお、上述のように、溝部15aの全体は均一の深さではないので、多量モードにおける内容物流入口A(深溝部分15bと浅溝部分15c)の面積と少量モードにおける内容物流入口A(浅溝部分15cのみ)の面積との差が大きく、各モード間での内容物放出量やその噴射範囲の差分を大きく設定することができる。
【0035】
操作レバー22の回動操作を多量放出モードと少量放出モードとの間の任意の位置で止めれば、その状態が、外側筒状部21の外周面と流出側開口部13の周面との摩擦作用により保持される。
【0036】
溝部15aの内容物流入口Aの面積はレバー22の回動状態に応じて変化するので、この任意の位置での停止操作により、内容物の放出量や噴射範囲を、多量放出モードと少量放出モードとの間の各種状態に設定することができる。
【0037】
図3のトリガレバー形式の操作部材を用いる放出量調整機構において、
40は容器本体側に固定された肩カバー,41は当該肩カバーを構成する対向部分の各外周面に形成した操作部材回動用の一対の支軸,
50は支軸41を中心に回動可能な操作部材,51はトリガレバー,52は当該トリガレバーの上側部分に形成した前面U字状の前方開口部,53は当該操作部材を構成する対向部分の各内周面に形成した半円凹状で後述の円柱状突出部63に対する一対の倣い部,54は支軸41を保持する一対の孔部,
60は全体がL字状断面で後述のステム90とともに上下動して放出内容物の通路となる筒状部,61は上述の内容物放出量調整用の深溝部分15bと同一の作用を呈する深溝部,62は同じく浅溝部分15cと同一の作用を呈する浅溝部,63は当該筒状部の屈曲部分(縦通路の下流端部分)の外面に倣い部53のそれぞれと対応する態様で形成した一対の円柱状突出部,
70は前面が楕円形状で固定筒状部60に対して回動可能に設定された回動部材(≒上述の回動部材20),71は当該回動部材の外側筒状部との間に複数の内容物通過用孔部を間歇的に設ける態様で当該外側筒状部と一体成形された内側鞘状部(≒上述の内側鞘状部24),72は深溝部61および浅溝部62と協働作用する放出量調整部(≒上述の放出量調整部27)
80は回動部材70の前面側の環状空間域に嵌合してこれと連動する放出孔部材(≒上述の放出孔部材30),
90は筒状部60の上流端側開口部と嵌合してこれを固定的に保持するステム,
をそれぞれ示している。
【0038】
図3の機構における放出量調整のための構成要件(深溝部61,浅溝部62および放出量調整部72)は図1および図2のそれと同一である。
【0039】
したがって、回動部材70の外周面部分を持ってこれを回動させれば、図1および図2で示した放出量調整機構と同じように放出孔部材70から外部空間に放出される内容物の量やその噴射範囲が変わっていく。
【0040】
図1,図2の放出量調整機構との基本的な相違点は、
・レバー形式の操作部材50を用い、
・ステム90に続く筒状部(放出内容物の通路)60が操作部材50とは別部材になっていることである。
【0041】
操作部材50と筒状部60とは、
・ステム90に固定された筒状部60の円柱状突出部63と、肩カバー40に軸支された操作部材50の倣い部53とが対向し、
・筒状部60の下流側端部がトリガレバー51(操作部材50)の前方開口部52に入り込んだ、
状態で一体化している。
【0042】
ここで、操作部材50は肩カバー40の支軸41を中心に回動し、筒状部60はステム90とともに肩カバー40に案内されながら上下動する。ステム自体もハウジング(図示省略)の内部で上下動方向に案内されている。
【0043】
図3の静止モードではハウジング内のスプリング(図示省略)の弾性力によりステム90および筒状部60が上動しており、操作部材50は、その倣い部53と筒状部60の円柱状突出部63との当接作用により図示時計方向に回動した状態に位置している。
【0044】
この静止モードのトリガレバー51を反時計方向に引くと操作部材50の倣い部53も当然のことながら同方向に移動する。
【0045】
この倣い部53の移動にともなってこれと当接する円柱状突出部63が下方向にも押されるので、筒状部60およびステム90は上記弾性力に抗しながら下動する。
【0046】
その結果、周知のステム孔部開放動作により容器内容物がステムを経筒状部60へと流入して通常の作動モードとなる。
【0047】
そして利用者がトリガレバー51の引き操作を止めると筒状部60およびステム90は上記弾性力によって上動し、また、操作部材50はこの上動にともなう倣い部53と円柱状突出部63との当接作用により図示時計方向に回動して、それぞれ図示の静止モード位置へと復帰する。
【0048】
回動部材70の前側の回動操作対象部分(大径部分)の前面形状(図示のものとは直交する上下方向の断面形状)を楕円状としたり、おむすび状や三角形などの多角形状としたりすれば、円の場合よりもその周面を把持しやすく、回動操作を止める位置の目安もつけやすくなる。例えば、角部やそれに近い部分が上となる位置で回動操作を止めるなどである。
【0049】
上述の管状部分15(押釦本体10),回動部材20,筒状部60および回動部材70などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどのプラスチック製のものである。
【0050】
なお、以上の内容に各種変更をほどこした場合についても本発明の対象となることは勿論である。
例えば、
(1)通路部分を構成する管状部分15,筒状部60の側に放出量調整部27,72を形成し、回動部材20,70の側に溝部15a,61,62を形成する、
(2)管状部分などの外側に放出量調整部を配する、
(3)押釦としてスパウト作動やチルト作動に対応したものを用いる、
(4)トリガレバーとして本件出願人が特開2002−233797号公報や特開平11−197563号公報などで図示したタイプのものを用いる、
などのように変更してもよい。
【0051】
容器内容物の対象としては、液状,発泡性(泡状),ペースト状,ジェル状,粉状などの各種性状のものがある。
【0052】
本発明が適用されるエアゾール式製品やポンプ式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0053】
容器本体に収納する内容物は、例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0054】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0055】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0056】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0057】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0058】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0059】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0060】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0061】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の、押釦形式の操作部材を用いた放出量調整機構(多量放出モード)を示す説明図である。
【図2】本発明の、押釦形式の操作部材を用いた放出量調整機構(少量放出モード)を示す説明図である。
【図3】本発明の、トリガレバー形式の操作部材を用いた放出量調整機構(多量・静止モード)を示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1:内容物放出用の押釦
10:押釦本体
11:流入側開口部
12:内容物放出用の縦通路
13:流出側開口部
14:仕切壁状部
14a:孔部
15:管状部分(凹状部)
15a:内容物放出量調整用の溝部
15b:深溝部分
15c:浅溝部分
16:環状凹部
20:回動部材
21:外側筒状部
22:操作レバー
23:被ガイド用の環状突起
24:内側鞘状部
25:前面部
26:胴部
27:放出量調整部
27a:最短部
27b:最長部
27c:後端面
30:放出孔部材
31:放出孔
32:スクリュー部
33:環状部分
33a:内容物通過用の溝部
A:内容物流入口
B:バッファ空間域B(横通路)
40:肩カバー
41:一対の支軸
50:操作部材
51:トリガレバー
52:前面U字状の前方開口部
53:一対の倣い部
54:一対の孔部
60:筒状部
61:深溝部
62:浅溝部
63:一対の円柱状突出部
70:回動部材
71:内側鞘状部
72:放出量調整部
80:放出孔部材
90:ステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内部から内容物放出口にいたる通路部分の内容物通過対象範囲を変更できるようにした放出量調整機構において、
前記通路部分を構成する筒状部および、この筒状部との間で回動する回動部材の一方の周面に、その長手方向に続く内容物通過用の凹状部を形成し、
前記筒状部および前記回動部材の他方に、当該回動部材の回動操作により前記凹状部の一部を閉じてそこへの流入実効面積を変化させるための調整作用部を形成した、
ことを特徴とする放出量調整機構。
【請求項2】
前記凹状部として、前記筒状部の内周面に、その開口側からの深溝部分とこれの上流側に続く浅溝部分とからなる溝部を形成し、
前記調整作用部として、前記回動部材に、その回動状態に応じて前記溝部との対向部分の前記長手方向の位置が異なる態様の後端部からなる外周面を形成した、
ことを特徴とする請求項1記載の放出量調整機構。
【請求項3】
請求項1または2記載の放出量調整機構を備えて容器内部に放出用ガスおよび内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【請求項4】
請求項1または2記載の放出量調整機構を備えて容器内部に内容物を収容したポンプ式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−102690(P2006−102690A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294885(P2004−294885)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】