説明

容器及び包装食品

【課題】 容器に収容した収容物を、手を汚すことなく且つ無駄なく手軽に取り出すことができる容器とその容器に食品を収容した包装食品を提供することにある。
【解決手段】 収容部と収容部内に収容物を出し入れ可能な開口部が設けられた容器であって、前記容器は片手で保持可能なサイズであり、前記収容部は外側から開口部側に押すことによって裏返し可能なものである。前記容器は、その開口部周縁又は/及び開口部の下部周縁が変形しにくい又は変形しない硬質であり、収容部が裏返し可能な軟質なものである。前記容器は二以上を連結することもできる。本願発明の包装食品は前記容器に食品が収容されたものである。この場合、食品をおにぎり一個分に必要な分量の具材とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は食品、化粧品、化学品、薬剤といった各種物品を少量ずつ収容できる容器に関し、特に、海藻類や魚介類等の佃煮、鮭フレーク、ツナ、昆布といったおにぎりの具材を収容するのに適した容器及びその容器に食品を収容した包装食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一口サイズのゼリーや水羊羹などを収容する容器として合成樹脂製のカップ状容器が使用されている。この種のカップ状容器には固形のもの以外にも、コーヒー用ミルクやシロップのような液状物、ケチャップ、ジャムのようなゲル状物が収容されている(特許文献1)。特許文献1記載の容器は、収容部を階段状にしたものであり、その収容部の底を指で開口部側に押すと、収容部が開口部側に折り畳まれて収容物が押し出されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−167277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の容器は段状の収容部を開口部まで押して収容物を押し出すものであるため、主として液状用であり、そぼろ状の食品や佃煮といった細かな食品を取り出すときは、収容物が段と段の間に挟まってしまい、取り残しが出る。また、容器本体内に残った収容物を取り出すためにはスプーンや箸などで掻き出す必要があり、非常に面倒である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の解決課題は、収容物を手軽に、残さず無駄なく取り出すことができる容器及びその容器に食品を収容した包装食品を提供することにある。
【0006】
本願発明の容器は、請求項1記載のように、収容部と収容部内に収容物を出し入れ可能な開口部が設けられた容器であって、前記容器は片手で保持可能なサイズであり、前記収容部は外側から開口部側に押すことによって裏返し可能なものである。
【0007】
本願発明の容器は、請求項2記載のように、前記容器において、開口部周縁又は/及び開口部の下部周縁が指で押さえても変形しにくい又は変形しない硬質であり、収容部が裏返し可能な軟質のものである。
【0008】
本願発明の容器は、請求項3記載のように、前記容器が二以上連結されたものである。連続成型した容器に食品を収容する場合、各容器に同じ食品を収容することも、異なる食品を収容することもできる。おにぎりの具として適する食品を収容することもできる。
【0009】
本願発明の包装食品は、請求項4記載のように、前記容器に食品が収容されたものである。この場合、請求項5記載のように、食品はおにぎり一個分に必要な分量の具材とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
(1)本願請求項1記載の容器は片手で保持可能なサイズなので扱い易い。また、容器は外側から指で開口部側に押すことによって裏返し可能であるので、収容物が魚や肉をそぼろ状にしたものや佃煮のように粘性の高いものであっても取り残しなく取り出すことができる。収容物を完全に取り出すことができるので、スプーンや箸で掻き出す面倒もない。
(2)本願請求項2記載の容器は、開口部周縁又は/及び開口部の下部周縁が変形しにくい又は変形しない硬質であり、収容部が裏返し可能な軟質なので、容器を指先でもちやすくなり、より一層収容物を押し出しやすくなる。
(3)本願請求項3記載の容器は、二以上連結してあるので、異なる種類の収容物を小分けにしたい場合に便利である。
(4)本願請求項4記載の包装食品は、前記いずれかの容器に食品が収容されているので、食品の取り出しが容易である。
(5)本願請求項5記載の包装食品は、おにぎり一個分に必要な分量の具材が収容されているので、容器から直接米飯の中に具材を詰められるので手間がかからず便利である。
(6)一般的に家庭でおにぎりを作る場合、必要とするおにぎりの個数に対して具材が多すぎたり、少なすぎたりすることがあり、具材や米飯など何かしらの残りが出てしまい、材料を無駄にすることが多いが、本願請求項5記載の包装食品によれば、必要とするおにぎりの個数や種類に応じて必要分だけを用意することができるので経済的である。
(7)収容部を裏返して収容物(具材)を押し出した後、収容部が被ったままの指先でさらにしっかり具材を押込むことができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願発明の容器の一例を示す説明図。
【図2】開口部に枠体を設けた場合の容器の一例を示す説明図。
【図3】二以上の容器を縦横に連結した場合の容器の一例を示す説明図。
【図4】開口部を閉口するための蓋材を設けた場合の容器の一例を示す説明図。
【図5】容器に入れた具材を使っておにぎりを作る場合の使用例を示すものであって、(a)は具材を容器から押し出す様子を示す説明図、(b)は具材を米飯に押込む様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(容器の実施形態1)
本願発明の容器の第1の実施形態について、図1を参照しながら説明する。この実施形態の容器1は片手で保持可能なサイズであり、食品Fを収容可能な収容部2の上面に食品Fを出し入れするための開口部3が設けられたカップ状の容器である。収容部2は合成樹脂やゴム等の柔軟な材質で形成され、収容部2の外周(例えば、底側)から開口部3側に向けて押込むことによって、収容部2を開口部3の外側に押出して裏返せるようにしてある。開口部3の外周には、収容部2及び開口部3が型崩れしないよう、収容部2の材質よりも硬質の外周縁4が設けられている。外周縁4の幅は任意の寸法とすることができるが、収容部2をその底面側から開口部3方向に押し出す際に、指を掛けられる程度の幅としてある。外周縁4の一部に指を係止するための指支持突起を設けて、収容物を片手で容易に押し出せるようにしてもよい。
【0013】
(容器の実施形態2)
本願発明の容器の第2の実施形態について、図2を参照しながら説明する。この実施形態の容器1の基本構造は実施形態1と同様である。異なるのは、収容部2の開口部3下部周縁に開口部3と同径の環状の枠体5を設けたことである。枠体5は開口部3の外周に形成された外周縁4と同質の樹脂で外周縁4と一体成型してある。枠体5は開口部3の上方に向けて突出するように設けることもできる。
【0014】
(容器の実施形態3)
本願発明の容器の第3の実施形態について、図3を参照しながら説明する。この実施形態の容器1の基本構造は前記実施形態1又は2と同様である。異なるのは、これらの容器1を縦方向及び横方向に連結して形成したことである。容器1は縦横いずれか一方にのみ連結することも、縦横以外の他の方向に連続して形成することもできる。連結された各容器1の間には、切り取り部Nを設けて各容器1を一つずつ切り取れるようにしてもよい。
【0015】
(容器の実施形態4)
本願発明の容器の第4の実施形態について、図4を参照しながら説明する。この実施形態の容器1は、基本構造は前記実施形態1乃至3に記載の容器1と同様である。異なるのは、容器1に蓋材6を取り付け、収容部2の開口部3を閉口したことである。図4に示す蓋材6は樹脂製のフィルム材であり、開口部3の外周に形成された外周縁4及び突起7にホットメルト接着剤によって加熱接着してある。蓋材6は新規の又は既存の方法により接着することができる。
【0016】
(容器の他の実施形態)
前記容器1の実施形態において、収容部2を開口部3から外側に向けて押し出しやすいように、収容部2の外周底面に窪みを設けることができる。また、収容部2に収容した収容物を取り出しやすいように、収容部2の内周底面に複数の凹凸を設けることもできる。
【0017】
(包装食品の実施形態)
本願発明の包装食品の第1の実施形態について、図3及び図4を参照しながら説明する。この包装食品は、前記容器の実施形態3に記載の容器1の収容部2に食品Fを収容し、食品Fを収容した収容部2の開口部3をフィルム状の蓋材6で閉口したものである。この場合、各容器1に収容する食品Fは同じものであっても異なるものであっても良い。食品Fとしては、昆布の佃煮、鮭フレーク、ツナ、そぼろ等がある。本実施形態では連結された容器1に食品Fを収容する場合を一例として説明したが、図4に示すように、容器の実施形態1又は2に記載の単体の容器1に食品Fを入れて販売用としてもよい。
【0018】
(包装食品の使用例1)
本願発明の包装食品の使用例について、図5を参照しながら説明する。この使用例は、食品用容器に入れた具材8を使っておにぎりを握る場合の例である。
(1)予め任意の具材8を収容した容器1の蓋材6をあけておく。
(2)おにぎり用に下ごしらえをした米飯Rを片手(左手)にのせ、具材8を収容するための受け部を形成する。
(3)その状態で容器1に任意の具材8を収容した容器1を右手で保持し、収容部2の底面外周を親指で開口部3側に向けて押込み、具材8が開口部3を出して左手にのせた米飯Rの上に出す。
(4)その状態のまま人差し指で具材8を米飯Rの中までしっかりと押込む。このとき、収容部2の中の具材8を完全に出し切るようにする。
(5)具材8が完全に米飯Rの中に押込まれた後、右手で保持していた容器1を置いて、両手でおにぎりを所望形状に成形する。
【0019】
(包装食品の使用例2)
本願発明の包装食品は、おにぎりの型枠を用いておにぎりを作る場合にも使用することができる。この場合、おにぎりは以下の手順で作る。
(1)下ごしらえをした米飯Rを型枠にセットし、具材8を収容するための受け部を形成する。
(2)その後、容器1の蓋材6を開けて、米飯Rに形成した受け部に具材8を押込む。蓋材6は(1)の前にあけておくこともできる。
(3)そのまま具材8を米飯の中までしっかり押込み、収容部2の中の具材8を完全に出し切る。
(4)具材8が完全に米飯Rの中に押込まれた後、両手でおにぎりを所望形状に成形する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本願発明の容器1は、サプリメント、薬剤、化粧品、化学品など、食品以外のものを収容するために使用することも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 容器
2 収容部
3 開口部
4 外周縁
5 枠体
6 蓋材
7 突起
8 具材
F 食品
N 切り取り部
R 米飯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と収容部内に収容物を出し入れ可能な開口部が設けられた容器において、
前記容器は片手で保持可能なサイズであり、
前記収容部はその外側から開口部側に押すことによって裏返し可能である、
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1記載の容器において、
開口部周縁又は/及び開口部の下部周縁が変形しにくい又は変形しない硬質であり、
収容部が裏返し可能な軟質である、
ことを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の容器が二以上連結された、
ことを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の容器に食品が収容された、
ことを特徴とする包装食品。
【請求項5】
請求項4記載の包装食品において、
食品はおにぎり一個分に必要な分量の具材である、
ことを特徴とする包装食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−25988(P2011−25988A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176313(P2009−176313)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(309022844)
【Fターム(参考)】