説明

容器及び蓋体並びに容器の巻き締め方法

【課題】巻締めフランジ部や巻締めカール部が切欠かれている容器について、巻締め時の荷重の影響を可及的に小さくし得る構造の容器及び蓋体並びに容器の巻き締め方法を提供する。
【解決手段】容器本体10の開口端部に設けられた巻締めフランジ部11と、底蓋20の周縁に設けられた巻締めカール部21とを巻き締めて接合される構成で、巻締めカール部21と巻締めフランジ部11の少なくとも一方に切欠き部41,42が設けられている容器において、切欠き部41,42の周方向両脇の少なくとも一方側に、巻締めカール部21の張り出し幅が部分的に短い短小カール部21Bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻締めカール部や巻締めフランジ部が部分的に切欠かれている構造の容器及びそれに用いる蓋体並びに容器の巻き締め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の巻き締め容器としては、たとえば、図5に記載のような構成となっている。
すなわち、容器本体110の開口端部に形成された巻締めフランジ部111に、蓋体120の周縁に張り出す巻締めカール部121を重ね、巻締めロール130によって巻き締めて接合している。
巻締めカール部121は、パネル122の周辺から立ち上がるチャックウォール部123を介して外向きに延びており、巻き締める際には、チャックウォール部123の内周をチャック140で押さえ、巻締めロール130による押圧力をチャックウォール部123を介してチャック140によって受けるようになっている。
【0003】
しかしながら、図示するように、巻き締め後の容器に部分開口を形成するために、予め巻締めカール部121に切欠き部150を設ける場合、切欠き部150付近に応力が集中して異常変形しやすい。特に、容器が角形容器の場合、図5(C)に示すように、コーナー部間の直線領域Lでは、巻き締め成形は単純な曲げ成形であるが、コーナー部Cでは絞り成形となるために、巻締めロール130による押圧力をチャック140で支持しているとしても、コーナー部Cを越えて次のコーナー部間の直線領域に作用する力が大きくなり、この部分に切欠き部150があると、切欠き部150近傍に応力が集中して座屈し、陥没するという問題がある。
このような切欠き部を有する容器の巻き締め構造としては、たとえば、特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−89076号公報
【特許文献2】特開2006−92884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、巻締めフランジ部や巻締めカール部が切欠かれている容器について、巻締め時の荷重の影響を可及的に小さくし得る構造の容器及び蓋体並びに容器の巻き締め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の容器は、
容器本体の開口端部に設けられた巻締めフランジ部と、蓋体の周縁に設けられた巻締めカール部とを巻き締めて接合される構成で、前記巻締めカール部と巻締めフランジ部の少なくとも一方に切欠き部が設けられている容器において、
前記切欠き部の周方向両脇の少なくとも一方側に、前記巻締めカール部の張り出し幅が部分的に短い短小カール部によって巻き締められる短小巻締部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の容器においては、
1.容器本体及び蓋体は角丸のコーナー部を有する角形形状で、前記切欠き部はコーナー部間の領域に設けられ、前記巻締めカール部の短小カール部は切欠き部近傍のコーナー部を含む領域に設けられていること、
が好ましい。
【0007】
また、本発明の容器の蓋体は、容器本体の開口端に設けられた巻締めフランジ部に重ねて巻き締められる巻締めカール部を備えた容器の蓋体において、
前記巻締めカール部には、巻締めカール部の張り出し長さが部分的に短い短小カール部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の容器の蓋体においては、
1.巻締めカール部には切欠き部が設けられ、前記短小カール部は切欠き部の周方向両脇の少なくとも一方側に設けられていること、
2.容器本体側の巻締めフランジ部に切欠き部が設けられ、前記短小カール部は切り欠き部と重なる箇所の周方向両脇の少なくとも一方側に設けられていること、
3.蓋体は角丸のコーナー部を有する角形形状で、切欠き部はコーナー部間の領域であって一方のコーナー部近傍に設けられ、前記巻締めカール部の短小カール部は切欠き部近傍のコーナー部に設けられていること、
が好ましい。
【0008】
また、本発明の容器の巻き締め方法は、
容器本体の巻締めフランジ部に蓋体の巻締めカール部を重ね、重ねられた巻締めカール部と巻締めフランジ部を、前記巻締めカール部に対して周方向に移動する巻締めロールによって巻き締める容器の巻き締め方法において、
前記巻締めフランジ部と巻締めカール部の少なくともいずれか一方には、巻き締め前に予め切欠き部を設けると共に、
前記巻締めカール部には、前記切欠き部が配設される領域の両脇のうち少なくとも一方側に、前記巻締めカール部の張り出し長さが部分的に短い短小カール部を設けておき、
巻き締め時に、巻締めロールを短小カール部側から切欠き部に向かって巻き締めることを特徴とする。
また、本発明の容器の巻き締め方法においては、
1.容器本体及び蓋体は角丸のコーナー部を有する角形形状で、前記切欠き部はコーナー部間の領域に設けられ、前記巻締めカール部の短小カール部は切欠き部近傍のコーナー部を含む領域に設けられていること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
(本発明の容器の効果)
蓋体の巻締めカール部や容器本体の巻締めフランジ部に切欠き部があると、巻締める際に、巻締めロールが進入すると切欠き部近傍の強度不足により蓋体や容器本体が異常変形しやすい。本発明によれば、切り欠き部の脇に部分的に短小カール部を設けた蓋体と容器とを巻き締めた短小巻締部を設けるようにしているので、短小カール部側から切欠き部に向けて巻締めロールを進入させれば、巻締め荷重を低減し、蓋体や容器本体の切欠き部近傍の異常変形を防ぐことができ、切欠き部を有する正確な形状の容器が実現できる。
特に、容器は角が丸められた角形容器で、切り欠き部がコーナー部の近傍に設けられている場合、コーナー部は巻き締める際に、絞り加工になるため、巻き締め荷重が高く、その近傍である、コーナー部近傍に切り欠き部があると、容器や蓋体の切欠き部付近に異常変形が発生しやすい。そのため、そのコーナー部を含む領域を短小カール部とすることで、容器本体や蓋体の異常変形を防ぐことができる。
【0010】
(本発明の蓋体の効果)
蓋体の巻締めカール部や容器本体の巻締めフランジ部に切欠き部があると、巻締める際に、巻締めロールが進入すると切欠き部近傍の強度不足により蓋体や容器本体が異常変形しやすい。本発明の蓋体によれば、切り欠き部の脇に部分的に短小カール部を設けて巻締めカール部の長さを短くしているので、短小カール部側から巻締めカール部に設けた切欠き部に向けて、あるいは短小カール部側から巻締めフランジ部に設けた切欠き部に重なる箇所に向けて巻締めロールを進入させれば、巻締め荷重を低減し、蓋体や容器本体の切欠き部近傍の異常変形を防ぐことができる。
特に、蓋体が、角が丸められた角形形状で、切り欠き部がコーナー部の近傍に設けられている場合、コーナー部は巻き締める際に、絞り加工になるため、巻き締め荷重が高く、その近傍である、コーナー部近傍に切り欠き部があると、容器や蓋体の切欠き部付近に異常変形が発生しやすい。そのため、そのコーナー部を含む領域を短小カール部とすることで、容器本体や蓋体の異常変形を防ぐことができる。
【0011】
(本発明の容器の巻き締め方法の効果)
蓋体の巻締めカール部や容器本体の巻締めフランジ部に切欠き部があると、巻締める際に、巻締めロールが進入すると切欠き部近傍の強度不足により蓋体や容器本体が異常変形しやすい。本発明によれば、切り欠き部の脇に部分的に短小カール部を設けて巻締めカール部の長さを短くしているので、短小カール部側から切欠き部に向けて巻締めロールを進入させれば、巻締め荷重を低減し、蓋体や容器本体の切欠き部近傍の異常変形を防ぐことができ、切欠き部を有する正確な形状の容器が実現できる。
特に、容器は角が丸められた角形容器で、切り欠き部がコーナー部の近傍に設けられている場合、コーナー部は巻き締める際に、絞り加工になるため、巻き締め荷重が高く、その近傍である、コーナー部近傍に切り欠き部があると、容器や蓋体の切欠き部付近に異常変形が発生しやすい。そのため、そのコーナー部を含む領域を短小カール部とすることで、容器本体や蓋体の異常変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る容器を示すもので、同図(A)は概略斜視図、同図(B)は底面側から見た概略斜視図、同図(C)は底蓋を外した巻き締め前の状態の分解斜視図である。
【図2】図2(A)は図1の容器の巻締部のコーナー部近傍の部分拡大斜視図、(B)は二重巻締部の断面図、(C)は短小巻締部の断面図、(D)、(E)は短小カール部の長さが異なる短小巻締部の断面図である。
【図3】図3は本発明の容器の巻き締め方法の巻き締め工程を示す説明図である。
【図4】図4(A)は巻締めカール部の短小カール部の他の形状例を示す図、(B)乃至(E)は切欠き部の他の構成例を示す図である。
【図5】図5(A)乃至(D)は従来の容器の巻き締め方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を図示の実施例に基づいて説明する。
実施例1
図1は本発明の実施例に係る容器を示している。
この容器1は金属製の角形缶で、四角筒形状の胴部2の上下開口端にそれぞれ上蓋3および底蓋20が二重巻締めされて接合されている。上蓋3には吐出口を閉塞するキャップ6が着脱自在に取り付けられている。上蓋3と底蓋20の双方に巻締部5があるが、本実施例では、胴部2と上蓋3によって容器本体10が構成されるものとし、切り欠きを備える側の底蓋20と胴部2の間の巻締部30に本発明が適用される。
【0014】
すなわち、容器本体10を構成する胴部2の底部側の開口端部に設けられた巻締めフランジ部11と、底蓋20の周縁に設けられた巻締めカール部21とを巻き締めて接合され
る構成で、巻締めカール部21と巻締めフランジ部11の少なくとも一方、この例では両方に切欠き部41,42が設けられ、この切欠き部41,42によって、底蓋20と胴部2との角部に部分開口部40が形成され、部分開口部40を通じて内部と外部が連通する構成となっている。この部分開口部40は、別途、不図示の透明板等によって密閉してもよい。
【0015】
上記した容器は、薄肉の金属材で成形されるが、耐食性等を考慮して樹脂を被覆した金属材を用いることが好ましい。たとえば、塗装やフィルムラミネートしたブリキ、TFS等のメッキ鋼板やアルミニウム合金板等が挙げられる。金属材の樹脂による被覆は、容器成形前に行うのが好ましいが、容器成形後に行ってもよい。容器1の材料としては、少なくとも、底蓋20、上蓋3を金属材を含む素材とし、胴部2については、場合によっては他の素材を用いてもよい。
【0016】
容器本体10の胴部2は角丸(かどまる;隅が丸まった)の四角筒形状で、4側面が平板で、4つのコーナー部10C1,10C2,10C3,10C4が円弧状となっている。そして、巻締めフランジ部11は、胴部2の開口端を取り囲むように、直線的な側面部と円弧状のコーナー部に沿って所定幅だけ張り出している。
そして、コーナー部10C1,10C2間の一つの直線状の領域10L1に切欠き部41が設けられている。この切欠き部41は図で示す矩形状の他、円弧状,V字状,U字状,台形状などの形状で、巻締めフランジ部11から胴部2の側面部まで所定長さだけ延びており、一方のコーナー部10C1近傍に位置している。このコーナー部10C1近傍とは、コーナー部10C1に隣接する位置からコーナー部10C1の周長程度離れた位置であるが、巻き締め荷重が影響する距離は、容器本体の形状、寸法、金属材の肉厚などにも影響されるもので、近傍には限らない。
また、胴部2側面の切り欠き部41のコーナー部C1と反対側の隣接領域には、面剛性を高めるリブ7が複数設けられている。これらのリブ7は、巻締めフランジ部11に対して直交方向に延びている。
【0017】
一方、底蓋20は、胴部2の開口端形状に倣った角丸四角形状のパネル部22と、パネル部22の周縁を取り囲むように張り出す巻締めカール部21とから構成されている。巻締めカール部21は、直線的に延びるパネル部22の4辺の側辺部と、4つの円弧状のコーナー部20C1、20C2,20C3,20C4部に沿って、所定長さだけ張り出している(図3(A)参照)。巻締めカール部21の形状は、パネル部22の周縁から立ち上がるチャックウォール部23を介して断面半円形状に反った形状で、張り出した長さは巻締めフランジ部11の張り出し長さよりも長い。そして、巻締めカール部のコーナー部20C1,20C2間の一つの直線状の領域20L1に、巻締めフランジ部11の切欠き部41に対応して、一方のコーナー部C1近傍に切欠き部42が設けられている。この切欠き部42も図で示す矩形状の他、円弧状,V字状,U字状,台形状などの形状で、巻締めカール部21の外端からパネル部22まで所定長さ延びている。
【0018】
この切欠き部42も巻締めフランジ部11の切欠き部41と同一幅で、巻締めカール部21の外端からパネル部22の内部まで延びており、各切欠き部41、42の両方が合わさってL字状の部分開口部40が構成される。
そして、巻締めカール部21には、切り欠き部が配設される領域、すなわち切欠き部42の両脇の一方側となるコーナー部C1を含む領域に、巻締めカール部21の張り出し幅が部分的に短い短小カール部21Bが設けられている。
巻締部30は、短小カール部21B以外の長大カール部21Aにおいて二重巻き締めされる構成で、その形状は二重巻き締めに対応する長い半円形状で、短小カール部21Bでは四半円弧程度の長さとなっている。
【0019】
短小カール部21Bは、円弧状のコーナー部20C1を含み、コーナー部20C1に対して切欠き部42と反対側のコーナー部間領域である直線状の領域20L4まで所定長さ延びている。この長さは、コーナー部20C1の周長程度が好ましい。
また、切欠き部42側のコーナー部間領域である直線状領域20L1側についても、コーナー部20C1から直線状領域20L1側に所定長さ延び、図示例では切欠き部42まで延びている。
なお、短小カール部21Bは図4(A)に示すように漸次短くなるような形状でもよい。
巻締部30は、図2に示すように、基本的には、長大カール部21Aにおける二重巻締部30Aと、短小カール部21Bにおける短小巻締部30Bとから構成される。二重巻締部30Aは、ボディフックラジアス31と、ボディフックラジアス31にて円筒状に折り返されたボディフック32と、ボディフックラジアス31を覆うシーミングパネル33、ボディフック外周を覆うシーミングウォール34と、ボディフック32の先端を覆うカバーフックラジアス35を介してボディフック32と容器胴部2外周と間に挟まれるカバーフック36とを備えた構成となっている。ボディフックラジアス31とボディフック32が巻締めフランジ部11が塑性変形した部分であり、シーミングパネル33、シーミングウォール34、カバーフックラジアス35及びカバーフック36が、巻締めカール部21の長大カール部21Aが塑性変形した部分である。
【0020】
一方、短小巻締部30Bにおいては、たとえば、図2(C)に示すように上記二重巻締部30Aのカバーフック36の長さ分だけ短い巻き締め構造となる。すなわち、ボディフックラジアス31にて円筒状に折り返されて成形されたボディフック32と、チャックウォール先端のシーミングパネル33を介して折り返されボディフック32外周を覆うシーミングウォール34とを備えた構成となっている。カバーフック36が無い分だけ、短小カール部21Bにおけるシームシックネスは、直線状領域では二重巻締部30Aの部分よりも薄肉となり、コーナー部領域では二重巻締部30Aの部分より薄肉乃至同等以下の厚さとなる。
短小巻締部の構造は、短小カール部の長さによって、たとえば、図2(D)に示すように、カバーフックが部分的に形成される程度の長さにしてもよいし、図2(E)に示すようにシーミングウォール34の長さがボディフック32の長さよりも短くてもよい。
なお、巻締めフランジ部11も、トリムを行う工具の制約上、大幅な変更は難しいが短小カール部21Bの縮小量に合わせて適宜短くしてもよい。
【0021】
次に、上記した容器の巻き締め方法について説明する。
図3に示すように、容器本体10の開口端部の巻締めフランジ部11に、蓋体である底蓋20の巻締めカール部21を重ねる(図3(A)、(B)参照)。
そして、チャック50をチャックウォール部23内周にあてがい、重ねられた巻締めカール部21と巻締めフランジ部11を、巻締めロール60によってチャック50に向けて押圧し、チャック50との間で圧縮しつつ周方向に移動させることによって二重巻き締めまたは短小巻き締めする。巻き締めは、特に図示しないが、数回にわたって段階的に行われる。その際、公知の二重巻き締め同様、2回で行うのが好ましい。
【0022】
この実施例では、コーナー部C1に、巻締めカール部21の張り出し幅が通常の二重巻締を行う箇所(この実施例では20C2,20L2,20C3,20L3,20C4)の張り出し幅よりも短い短小カール部21Bが設けられており、コーナー部20C1に対して切欠き部42と反対側のコーナー部間の直線領域20L4からコーナー部20C1に向けて巻き締める(図3(C)〜(F)参照)。
このコーナー部20C1を巻き締める際には、巻締めカール部21及び巻締めフランジ部11は絞り加工になるため、巻き締め荷重が高くなり、その近傍である、コーナー部20C1に隣接、またはコーナー部20C1の周長程度内に離間された箇所に切り欠き部4
1,42があると、容器本体10や底蓋20の切欠き部41,42付近に異常変形が発生しやすい。本発明のよれば、このコーナー部20C1を含む領域について、巻締めカール部21を短小カール部21ABとすることで、巻き締め荷重を低減することができ、容器胴部2や底蓋20の異常変形を防ぐことができる。
【0023】
なお、上記実施例では、容器本体10の胴部2と底蓋20の両方に切り欠き部41,42を設けた例を示したが、図4(B),(C)に示すように、底蓋20のみに切欠き部42設けた場合についても適用可能であるし、図4(D),(E)に示すように胴部2のみに切欠き部41を設けた例についても適用可能である。
容器本体10の胴部2の巻締めフランジ部11にのみ、切欠き部41が設けられた場合は、底蓋20の巻締めカール部21に設けられる短小カール部21Bは、切り欠き部41が配設される領域、すなわち切り欠き部41と重なる箇所の周方向両脇の少なくとも一方側に設けられることになる。
また、上記実施例では、四角筒形状の容器について説明したが、四角形状に限定されるものではなく、三角形、五角形以上の多角形状に対して適用可能である。また、コーナー部間の領域が直線状である必要はなく、コーナー部より曲率半径が大きい円弧状となっていてもよい。さらに、角形容器に限らず、容器本体の胴部が断面楕円形状の容器についても適用可能であるし、断面円形の容器についても適用可能である。
【0024】
要するに、巻締めロール進入側の切り欠き部脇に部分的に短小カール部を設けて巻締めカール部の長さを短くし、短小カール部側から切欠き部に向けて巻締めロールを進入させることで、巻締め荷重が低減し、蓋体や容器本体の切欠き部近傍の異常変形を防ぐことができる。
また上記実施例では胴部と上蓋および底蓋を別体とした3ピースの構成例を示したが、胴部と上蓋を一体構成とした2ピース構成としてもよいことはもちろんである。
本発明は各種装置のケース等にも利用可能であり、胴部や蓋体に切欠き部を有する巻締め接合容器に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 容器、2 胴部、3 上蓋、5 巻締部、6 キャップ、 7 リブ
10 容器本体
10C1,10C2,10C3,10C4 コーナー部
10L1 直線状領域
11 巻締めフランジ部
20 底蓋(蓋体)
20C1,20C2,20C3,20C4 コーナー部
20L1,20L2,20L3,20L4 直線状領域
21 巻締めカール部
21A 長大カール部
21B 短小カール部
22 パネル部
23 チャックウォール部
30 巻締部
30A 二重巻締部
30B 短小巻締部
31 ボディフックラジアス、32 ボディフック、
33 シーミングパネル、34 シーミングウォール
34 シーミングウォール、35 カバーフックラジアス
36 カバーフック
40 部分開口部
41,42 切欠き部
50 チャック
60 巻締めロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口端部に設けられた巻締めフランジ部と、蓋体の周縁に設けられた巻締めカール部とを巻き締めて接合される構成で、前記巻締めカール部と巻締めフランジ部の少なくとも一方に切欠き部が設けられている容器において、
前記切欠き部の周方向両脇の少なくとも一方側に、前記巻締めカール部の張り出し幅が部分的に短い短小カール部によって巻き締められる短小巻締部が設けられていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器本体及び蓋体は角丸のコーナー部を有する角形形状で、前記切欠き部はコーナー部間の領域に設けられ、前記巻締めカール部の短小カール部は切欠き部近傍のコーナー部を含む領域に設けられている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
容器本体の開口端に設けられた巻締めフランジ部に重ねて巻き締められる巻締めカール部を備えた容器の蓋体において、
前記巻締めカール部には、巻締めカール部の張り出し長さが部分的に短い短小カール部が設けられていることを特徴とする容器の蓋体。
【請求項4】
前記巻締めカール部には切欠き部が設けられ、前記短小カール部は切欠き部の周方向両脇の少なくとも一方側に設けられている請求項3に記載の容器の蓋体。
【請求項5】
前記容器本体側の巻締めフランジ部に切欠き部が設けられ、前記短小カール部は切り欠き部と重なる箇所の周方向両脇の少なくとも一方側に設けられている請求項3に記載の容器の蓋体。
【請求項6】
前記蓋体は角丸のコーナー部を有する角形形状で、切欠き部はコーナー部間の領域であって一方のコーナー部近傍に設けられ、前記巻締めカール部の短小カール部は切欠き部近傍のコーナー部に設けられている請求項3乃至5のいずれかの項に記載の容器の蓋体。
【請求項7】
容器本体の巻締めフランジ部に蓋体の巻締めカール部を重ね、重ねられた巻締めカール部と巻締めフランジ部を、前記巻締めカール部に対して周方向に移動する巻締めロールによって巻き締める容器の巻き締め方法において、
前記巻締めフランジ部と巻締めカール部の少なくともいずれか一方には、巻き締め前に予め切欠き部を設けると共に、
前記巻締めカール部には、前記切欠き部が配設される領域の両脇のうち少なくとも一方側に、前記巻締めカール部の張り出し長さが部分的に短い短小カール部を設けておき、
巻き締め時に、巻締めロールを短小カール部側から切欠き部に向かって巻き締めることを特徴とする容器の巻き締め方法。
【請求項8】
前記容器本体及び蓋体は角丸のコーナー部を有する角形形状で、前記切欠き部はコーナー部間の領域に設けられ、前記巻締めカール部の短小カール部は切欠き部近傍のコーナー部を含む領域に設けられている請求項7に記載の容器の巻き締め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−111543(P2012−111543A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264001(P2010−264001)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】