説明

容器取出し受渡し装置

容器を走行中にコンベアから受部材へ受渡せる装置を提供する。
【解決手段】 定速で連続走行するコンベアのリテーナと同期して同速で並走して並走中に容器をリテーナから押し上げる押上げ体3と、押上げ体3と同時期に同期して同方向に同一速度で並走する仲介部材4と、この並走中に並走速度と異なる速度で移動して容器を上記受部材6へ受け渡す受渡し部材7とを有し、仲介部材4は上記受部材の上面とほぼ同一高レベルの上面を有しており、仲介部材4は受部材6への至近位置まで並走移動し、受渡し部材7は、仲介部材4が至近位置で、押上げ部材により容器の底面が整形部材の上面よりも若干上方にもたらされたときに、容器Pを受部材6へ移動せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアのリテーナにより支持搬送される容器を、製品としてあるいは次工程のために取り出して受部材へ受渡す装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、フランジ付き容器を該フランジで支持する支持孔が形成されたリテーナを走行方向に複数配列して取りつけられたコンベア走行体をコンベア装置を、間欠的に走行させ、その停止時に、容器を下方から突き上げるようにリテーナからもち上げて、この容器を別の取出し手段により、所定位置まで移送することが行われている(特許文献、非特許文献発見できず)。
【0003】
取出し手段としては、例えば、容器の底面がリテーナよりも十分に上方にもち上げられたとき、該リテーナに至近している受部材へ向け容器をプッシャ等で押し出すように構成されている。
【特許文献1】該当なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の公知装置では、コンベア装置は間欠走行する形式で容器の取り出しはコンベア装置の停止時にのみ行うことが可能である。したがって、走行中は取出しが不可であり、これがロス時間となること、停止前後の減速・加速時間を要しロス時間をさらに大きくすること、又、高速で運転しようとすると、減速・加速による慣性力が大きくなって、容器の位置・姿勢が不安定となることに起因して、低能率なものとなっていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、コンベアを停止することなく定速連続走行中に容器を取出しそして受渡しのできる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器取出し受渡し装置は、フランジ付き容器を該フランジで支持する支持孔が形成されたリテーナを走行方向に複数配列して取りつけたコンベア走行体を有するコンベア装置と、上記リテーナから容器をもち上げる押上げ装置と、コンベア装置の上方位置に設けられた受部材へ、取り出された容器を受渡す受渡し装置とを有する。
【0007】
かかる容器取出し受渡し装置において、本発明では、コンベア装置はコンベア走行体が定速で連続走行し、押上げ装置は、リテーナと同期して同速で並走してその並走中に容器をリテーナから押し上げるように上昇した後に降下し、しかる後にリテーナの走行方向と逆方向に移動して原位置へ戻る押上げ体を有し、受渡し装置は、上記押上げ体と同時期に同期して同方向に同一速度で並走しかつその後に原位置へ戻る仲介部材と、この並走中に並走速度と異なる速度で移動して容器を上記受部材へ受け渡す受渡し部材とを有し、上記仲介部材は上記受部材の上面と同一高さもしくは若干高いレベルの上面を有しており、かつ、上記仲介部材は上記受部材に近接もしくは当接する至近位置まで並走移動し、上記受渡し部材は、仲介部材が上記至近位置で、押上げ体により容器の底面が上記仲介部材の上面よりも若干上方にもたらされたときに、該容器を受部材へ移動せしめることを特徴としている。
【0008】
このような構成の本発明にあっては、フランジにてリテーナの支持孔の縁部によって支持されている容器は、定速連続搬送中に、所定位置で同速で並走する押上げ体により押し上げられて上記リテーナによる支持位置より上方にもち上げられる。容器は上昇して該容器の底面が仲介部材の上面の位置に達すると、受渡し部材が上記押上げ部材とは異なる速度で該容器に側方から当接し、該容器を仲介部材の上面でスライド移動させる。この移動によって、上記仲介部材が受部材に至近する際に、容器は仲介部材の上面位置から受部材の上面へと受渡される。一方、押上げ体は、上記仲介部材の上面での容器の上記スライド移動の開始時には、容器よりも下方へ降下し原位置へ戻る。又、仲介部材も、容器の受部材への受渡し後に、原位置へ戻る。
【0009】
かかる本発明において、仲介部材は、容器の最大外径よりも若干大きい内径の整形孔が上下に貫通して形成された整形部材とすることができる。このような整形孔が形成された整形部材の場合には、上記容器は、押上げ体による上昇中に、同速で並走する整形部材の整形孔を通過する。該整形孔は、容器に該容器よりも大径の蓋部材がシールされているときに、該蓋部材の突出周縁を容器に沿って下方へカーリング整形する。
【0010】
上記整形部材の整形孔は、該整形部材の上面での内径が容器の最大外径よりも若干大きく、整形部材の下面に向けて内径が増大するテーパ孔となっていることが好ましい。こうすることにより、容器の案内が円滑に行える。
【0011】
本発明において、受渡し部材は、容器の側面を押す押し部材として形成できる。
【0012】
本発明は、上述の仲介部材なしでも実施可能である。この場合、受渡し装置は、上記押上げ体と同時期に同期して同方向に同一速度で並走しかつこの並走時に上下動可能であり、降下位置で、押上げ体により容器が上記リテーナによる支持位置よりも上方にもたらされたときに、該容器を把持し、しかる後、上昇しながら受部材に向け移動して該容器を受部材へ移動せしめるように構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のごとく、定速で連続走行するコンベア走行体に取りつけられたリテーナに並走しながら、押上げ体で容器をリテーナからもち上げると共に受渡し部材で該容器を受部材へ受渡しすることとしたので、コンベアの停止によるロス時間がなく、又、定速状態なので容器には慣性力も作用せず、安定した位置・姿勢のもとで、確実に受部材への受渡しが遂行される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1(A)において、符号1はコンベア装置のコンベアチェーン(図示せず)に、その走行方向Aに定間隔で複数取りつけられたリテーナである。該リテーナ1は、板状をなしていて、紙面に直角な幅方向に長く延びており、容器PをそのフランジP1にて支持する支持孔2が上記幅方向で定間隔で複数形成されている。コンベアチェーンに取りつけられた上記リテーナ1は上記走行方向Aに定速で連続走行している。又、上記容器Pは、例えば、内容物(図示せず)が充填された後に蓋部材P2が容器の開口部にシールされて製品となった最終状態で上記リテーナ1により搬送されている。
【0016】
上記リテーナ1の走行面の下方には押上げ体3が、そして上記走行面の上方には仲介部材4が、同時の所定時期に上記リテーナ1と同速かつ支持孔2と対応する位置を保って上記方向Aに走行するように配設されている。上記押上げ体3は上記支持孔2と対応した数だけ設けられ、又、仲介部材4にはその数だけ後述の整形孔5が形成されている。上記押上げ体3と仲介部材4は上記所定時期の方向Aへの走行後、逆方向に原位置へ戻る。その際、押上げ体3は、方向Aでの走行中に、上昇して所定時間上昇位置を保った後にそして下降する駆動も受ける。かくして、押上げ体3と仲介部材4は周期的な移動を行う。
【0017】
上記押上げ体3は、ロッド3Aの上端にプレート3Bが取りつけられており、上昇時に容器Pを該容器Pの底面でもち上げるに適した形、大きさとなっている。このロッド3Aは、上昇の際には、上記プレート3Bが容器Pの底面から下方に離間した下方位置から該容器Pの底面を上記仲介部材4の上面もしくはそれより若干上方の位置へもたらす上方位置までストローク運動する。
【0018】
一方、上記仲介部材4は板状をなし上記リテーナ1の支持孔2と対応する位置に複数の整形孔5が形成されている。整形孔5は、仲介部材4の上面側の開口5Aが上記容器PのフランジP1の外径よりも若干大きい程度の内径となっており、該開口5Aから下方に向け拡径するテーパ部5Bを有している。該仲介部材4は、上記方向Aでの最前位置で、前方に配設されている受部材6に至近するように前後に往復動する。この仲介部材4は容器Pを受部材6へ受渡す際の仲介の機能と、容器Pの蓋部材を上記整形孔5でカーリングする整形部材としての機能とを有する。上記受部材6は、図示の実施形態の場合、静止位置にあって板状をなしその上面が上記仲介部材4の上面と一致したレベルにある。しかし、受部材はこれに限らず、例えば、紙面に直角方向に走行する他のコンベア装置とすることも可能である。
【0019】
上記仲介部材4の上方位置には、板状の受渡し部材7が配設されている。該受渡し部材6は上記押上げ体3が上昇位置にある間にリテーナ1そして押上げ体3の前進速度よりも大きい前進速度Bで前進し(図1(B)参照)、しかる後に後退して原位置へ戻る。この仲介部材4の前端縁には、容器Pの側面を安定して押すのに適した円弧縁7Aが、一つのリテーナ1により支持される容器Pの数だけ該容器Pの位置に対応して形成されている。
【0020】
かくして、本実施形態では、押上げ体3が押上げ装置を、仲介部材4と受渡し部材7とが受渡し装置を構成する。
【0021】
かかる構成の本実施形態装置では、容器Pのリテーナ1からの取出しそして受部材6への受渡しは次の要領で行われる。
【0022】
(1)図1(A)に見られるごとく、内容物を収容せる容器Pがリテーナ1で支持され定速で連続的に搬送されている。この容器PのフランジP1には、内容物の充填後に蓋部材P2がシールされてフランジP1の外周から半径方向に張り出している。このとき、下方位置にある押上げ体3、そして仲介部材4は、一つのリテーナ1と同期して同速(速度A)で前進する。
【0023】
(2)上記仲介部材4と押上げ体3がリテーナ1と同速で並走している間に、該押上げ体3は上昇し容器Pを該容器Pの底面でもち上げることにより、リテーナ1の支持孔2から容器Pを取り出して仲介部材4の整形孔5を通って容器Pの底面が上記仲介部材4の上面位置もしくはそれよりも若干上方位置にくるように該容器Pをもち上げる。この整形孔5の通過時に、容器Pはその蓋部材P2の張り出し部分が整形孔5の円周縁により下方へカーリング(整形)され、又、容器自体も受渡しに備えて位置の修正を受ける。
【0024】
(3)容器Pの底面が上記仲介部材4の上面のレベルまでもち上げられると、受渡し部材7が上記仲介部材4よりも大きい速度で前進して上記仲介部材4で上記容器Pを前方へ押し出す(図1(B)参照)。かかる動作が進行して、仲介部材4が最前進位置まで達して受部材6に至近したときには、上記容器Pは仲介部材4から上記受部材6へ受渡されている(図1(C)参照)。その際、上記容器Pが仲介部材4上を移動し始めたときには、上記押上げ体3は下降を始め、容器Pの受部材6への受渡し完了時にはリテーナ1の支持孔2をも通過して下方位置に戻っている。
【0025】
(4)このように容器の取出しを終えた押上げ体3、受渡しを終えた仲介部材4と受渡し部材7とは、次の容器の取出しそして受渡しに備えて原位置へ戻る。
【0026】
本実施形態において、容器Pの蓋部材P2について整形を行う必要がないときには、仲介部材は整形孔が形成されていることを要しない。したがって仲介部材は図1の仲介部材4の前方半分(図において左側半分)だけの形状をなす部材とすることができる。すなわち、仲介部材は、容器の前方でのみ位置し、容器との対向後縁に容器の形に沿った略半円の縁が形成されている。又、容器は断面形状が円形のみとは限らない。したがって、上記仲介部材の後縁は容器の形状に適合して定められ、例えば、容器の断面形状が四角形の場合には、上記仲介部材の後縁は角形U字状でも、あるいは、単純化して単なる直線状の縁部として形成してもよい。
【0027】
本発明において、受渡し部材7は上記の押し部材を有する形態に限定されない。例えば、図2のごとく、リテーナ1の上方位置に把持部材8を設け、これにより容器Pを把持してこれを受部材の位置へ移動させることもできる。この場合、図1における仲介部材4は不要である。図2の例では、上下動そして横移動する部材9から延出するバー部材9Aに容器Pの把持可能な形の一対のフィンガ状の把持部材8をスライド自在に設け、これによって容器を把持し、受部材へ受渡す。この場合、押上げ体3によってリテーナ1から少しでも持ち上げられたときに、上記把持部材8で容器Pを把持してこれを上方へ取り出した後に横方向に移動して受部材へ受け渡すことも、あるいは容器Pが完全にリテーナよりも上の位置まで上昇したときに把持部材8によってこれを把持して横方向に移動して受渡すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態を示す作動原理図で、(A)は容器の取出し前の状態、(B)は容器の取出し後で受渡し開始時の状態、(C)は受渡し完了時の状態である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 リテーナ
2 支持孔
3 押上げ体
4 仲介部材
5 整形孔
6 受部材
7 受渡し部材
8 把持部材
P 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ付き容器を該フランジで支持する支持孔が形成されたリテーナを走行方向に複数配列して取りつけたコンベア走行体を有するコンベア装置と、上記リテーナから容器をもち上げる押上げ装置と、コンベア装置の上方位置に設けられた受部材へ、取り出された容器を受渡す受渡し装置とを有する容器取出し受渡し装置において、コンベア装置はコンベア走行体が定速で連続走行し、押上げ装置は、リテーナと同期して同速で並走してその並走中に容器をリテーナから押し上げるように上昇した後に降下し、しかる後にリテーナの走行方向と逆方向に移動して原位置へ戻る押上げ体を有し、受渡し装置は、上記押上げ体と同時期に同期して同方向に同一速度で並走しかつその後に原位置へ戻る仲介部材と、この並走中に並走速度と異なる速度で移動して容器を上記受部材へ受け渡す受渡し部材とを有し、上記仲介部材は上記受部材の上面と同一高さもしくは若干高いレベルの上面を有しており、かつ、上記仲介部材は上記受部材に近接もしくは当接する至近位置まで並走移動し、上記受渡し部材は、仲介部材が上記至近位置で、押上げ体により容器の底面が上記仲介部材の上面よりも若干上方にもたらされたときに、該容器を受部材へ移動せしめることを特徴とする容器取出し受渡し装置。
【請求項2】
仲介部材は、容器の最大外径よりも若干大きい内径の整形孔が上下に貫通して形成された整形部材であることとする請求項1に記載の容器取出し受渡し装置。
【請求項3】
整形部材の整形孔は、該整形部材の上面での内径が容器の最大外径よりも若干大きく、整形部材の下面に向けて内径が増大するテーパ孔となっていることとする請求項2に記載の容器取出し受渡し装置。
【請求項4】
受渡し部材は容器の側面を押す押し部材であることとする請求項1に記載の容器取出し受渡し装置。
【請求項5】
フランジ付き容器を該フランジで支持する支持孔が形成されたリテーナを走行方向に複数配列して取りつけたコンベア走行体を有するコンベア装置と、上記リテーナから容器をもち上げる押上げ装置と、コンベア装置の上方位置に設けられた受部材へ、取り出された容器を受渡す受渡し装置とを有する容器取出し受渡し装置において、コンベア装置はコンベア走行体が定速で連続走行し、押上げ装置は、リテーナと同期して同速で並走してその並走中に容器をリテーナから押し上げるように上昇した後に降下し、しかる後にリテーナの走行方向と逆方向に移動して原位置へ戻る押上げ体を有し、受渡し装置は、上記押上げ体と同時期に同期して同方向に同一速度で並走しかつこの並走時に上下動可能であり、降下位置で、押上げ体により容器が上記リテーナによる支持位置よりも上方にもたらされたときに、該容器を把持し、しかる後、上昇しながら受部材に向け移動して該容器を受部材へ移動せしめることを特徴とする容器取出し受渡し装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−131334(P2006−131334A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321751(P2004−321751)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【出願人】(393027121)株式会社ファブリカトヤマ (27)
【Fターム(参考)】