説明

容器受渡し機構およびこれを備えた計量装置

【課題】 磁石によって容器を保持する各ユニット間において、容器の受渡しをスムーズに行うことが可能な容器受渡し機構およびこれを備えた計量装置を提供する。
【解決手段】 計量装置10は、受渡し部16aにおいて、つば部分C1に接触して容器Cを支持する第1支持部としての円弧部分44、受渡し部16a側に容器Cを引き付ける第1磁石としての磁石45を有している。容器Cの受渡し位置においては、受渡し位置に固定配置された磁力低減部材51が、旋回移動してきた容器Cのつば部分C2と受渡し部16aの磁石45との間の隙間に入り込むことで、磁石45からつば部分C2への磁力を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユニット間において容器の受渡しを行う容器受渡し機構およびこれを備えた計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を旋回移動させながら保持する計量テーブルを備えた回転計量機において、旋回移動する容器が遠心力によって計量テーブルの外へ飛び出さないように金属製の容器を磁石によって引き付けて保持する例が開示されている(特許文献1の第7図参照)。
【特許文献1】実用新案登録2509184号公報(平成8年6月11日登録)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の容器保持装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された容器保持装置では、旋回移動している容器が遠心力によって計量テーブル外へ飛び出さないように磁力によって保持することが開示されているものの、容器を旋回させながら計量した後、容器の搬送方向における下流側へ容器を受け渡す際の構成については何ら開示されていない。よって、このような磁石によって金属製の容器を計量テーブル上で保持することができたとしても、計量テーブルから次工程へ容器をスムーズに受け渡す際には磁石による保持を、容器に接触して強制的に解除したりする必要がある。
【0004】
本発明の課題は、磁石によって容器を保持する各ユニット間において、容器の受渡しをスムーズに行うことが可能な容器受渡し機構およびこれを備えた計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る容器受渡し機構は、第1ユニットにおいて容器を保持している第1状態から、第1ユニットに隣接する第2ユニットにおいて容器を保持している第2状態へと移行させる容器受渡し機構であって、第1磁石と、第1支持部と、磁力低減部材とを備えている。第1磁石は、第1ユニットに設けられ、容器の磁力受け部を引き付ける。第1支持部は、第1ユニットに設けられ、磁力受け部と第1磁石とが所定間隔を空けて近接するように、容器の被接触支持部に対して接触して容器を支持する。磁力低減部材は、第1状態から第2状態へと移行させる際に、所定間隔に入って第1磁石の容器の磁力受け部に対する磁力を弱める。
【0006】
ここでは、容器の受渡し側である第1ユニットと受け取り側である第2ユニットとの間において容器の受渡しを行う容器受渡し機構において、容器と非接触で容器を吸引する磁力を発する第1磁石と、この第1磁石によって吸引される容器の磁力受け部と第1磁石との間に所定間隔の隙間が空くように容器を支持する第1支持部とを第1ユニットに備えており、容器の受け渡し時には磁力低減部材が上記隙間に入りこんで第1磁石による容器への吸引力を弱めている。
【0007】
すなわち、容器の受渡し側である第1ユニットにおいては、受け取った容器を第1磁石による磁力によって容器を保持しながら、容器の受け取り側である第2ユニットへ容器を受け渡す受渡し位置へ容器を移動させる。そして、受渡し位置まで移動してきた容器は、第1磁石と容器の磁力受け部との間に磁力低減部材が入り込むことによって第1ユニットからの磁力(吸引力)が小さくなることから第1ユニットから第2ユニットに対してスムーズに受け渡される。
【0008】
これにより、例えば、第1ユニットにおいて容器に対して遠心力や振動等が加えられる状況下においても、第2ユニットに対する受け渡し位置までは、第1ユニットの第1支持部と容器の被接触支持部との間における摩擦力と、第1磁石による磁力とによって容器を安定して保持することができる。そして、容器の受渡し位置においてはその吸引力を低減あるいは解除することにより、容器の受け取り側である第2ユニットに対する容器の受け渡しをスムーズに行うことが可能になる。よって、強制的に容器の保持を解除する機構を用いた場合等と比較して、容器に対して大きなダメージを与えることなく容器の受渡しを行うことができる。
【0009】
第2の発明に係る容器受渡し機構は、第1の発明に係る容器受渡し機構であって、第2ユニットに設けられており、第1状態から第2状態へと移行する際に、磁力低減部材によって低減された容器の磁力受け部に対する第1磁石による磁力よりも大きな磁力によって容器の磁力受け部を第2ユニット側へ引き付ける第2磁石をさらに備えている。
ここでは、容器を受け取る側の第2ユニットにおいて、容器の受け渡しを行う際に上記磁力低減部材によって低減された磁力よりも強い磁力を発する第2磁石を設けている。
【0010】
これにより、磁力低減部材によって第1ユニット側への吸引力が落ちている状態で第2ユニット側からそれよりも強い磁力を発することで、第2ユニット側への容器の受渡しをスムーズに行うことが可能になる。
第3の発明に係る容器受渡し機構は、第2の発明に係る容器受渡し機構であって、第2ユニットに設けられており、磁力受け部と第2磁石とが所定間隔を空けて近接するように容器の被接触支持部を支持する第2支持部をさらに備えている。
【0011】
ここでは、容器を受け取る側の第2支持部においても、容器の磁力受け部と第2磁石とが所定間隔を空けて近接するように支持する。
これにより、第2ユニットにおいても容器を安定して保持しながら搬送方向における下流側へと容器を搬送することができる。
第4の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、磁力低減部材は、容器の受渡し位置の近傍に固定して配置されている。
【0012】
ここでは、第1ユニットから第2ユニットに対して容器を受け渡す受渡し位置の近傍に磁力低減部材を固定配置している。
これにより、第1ユニットにおいて容器を受け渡し位置まで移動させると磁力低減部材が第1ユニットの第1磁石と容器の磁力受け部との間に入り込んで第1ユニット側へ容器を引き付ける磁力を低減させるため、受渡し位置まで搬送された容器に対する磁力だけを低減してスムーズな容器の受渡しを行うことが可能になる。また、受渡し位置に1つ磁力低減部材を設けることで、第1ユニットにおいて複数の容器を保持している場合でも複数の磁力低減部材を第1ユニットに設ける必要がないため、コストダウンが図れる。
【0013】
第5の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、第1ユニットは、容器を旋回移動させながら保持している。
ここでは、第1ユニットにおいて容器を旋回させながら保持している。
これにより、容器に対して遠心力が働く状況下においても、第2ユニットに対する容器の受け渡し位置までは容器を第1磁石による磁力で吸引しておき、受渡し位置においてはその磁力(吸引力)を低減あるいは解除することができる。この結果、第1ユニットにおいては容器を確実に保持するとともに、第1ユニットから第2ユニットに対する容器に受渡し位置においては受渡しをスムーズに行うことができる。
【0014】
第6の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、第2ユニットは、受け取った容器を旋回移動させる。
ここでは、容器の受け取り部分を旋回させている第2ユニットに対して第1ユニットが容器を受け渡す。
これにより、第2ユニットは容器を旋回させながらスムーズに搬送方向における下流側へと送ることができる。また、第1ユニットにおいても容器を旋回しながら保持している場合には、第1ユニットから第2ユニットに対して容器を常に移動させながら受渡しを行うことができるため、搬送方向下流側へ効率よく容器を搬送することができる。
【0015】
第7の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、第1支持部は、容器の被接触支持部を鉛直方向において支持している。
ここでは、第1ユニットにおいて容器の被接触支持部を鉛直方向から(例えば、下から)支持している。
【0016】
これにより、例えば、第1支持部において保持している容器を旋回移動させる場合でも、第1支持部と被接触支持部との間における摩擦力と、第1磁石による磁力とによって、容器にかかる遠心力に対抗して容器を安定して保持することができる。また、第2ユニットに対する容器の受渡し時には、磁力低減部材によって容器を引き付ける磁力が低減された後は水平方向に容器の移動を遮るものがないため、スムーズに容器を第2ユニットに対して引き渡すことができる。
【0017】
第8の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、第1磁石は、容器の磁力受け部を鉛直方向において引き付ける。
ここでは、容器の磁力受け部に対して第1磁石が鉛直方向(上下方向)に磁力を発生して容器(磁力受け部)を第1ユニットに対して引き付けている。
これにより、例えば、第1支持部材が被接触支持部を下から支持している場合には、第1磁石が磁力受け部を下向きに引き付けることで、第1支持部材と被接触支持部との間における摩擦力を増大させることができる。この結果、容器を旋回移動させている場合でも、容器にかかる遠心力に対抗して容器を安定して保持することができる。また、第1ユニットから第2ユニットへの容器の受渡し位置において磁力低減部材によって磁力が低減された場合には、第1ユニットから第2ユニットに対して容器の受渡しをよりスムーズに行うことができる。
【0018】
第9の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第8の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、磁力受け部は、容器の外周部に形成された金属製のフランジ部である。
ここでは、磁力受け部として、容器の外周部に形成された金属製のフランジ部を用いている。
【0019】
これにより、第1磁石から発せられる磁力を、容器の外周部に形成された金属製のフランジ部において受けることで、容器を第1ユニット側で保持することができる。
第10の発明に係る容器受渡し機構は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構であって、被接触支持部は、容器の外周に形成された樹脂製のフランジ部である。
【0020】
ここでは、被接触支持部として、容器の外周部に形成された樹脂製のフランジ部を用いている。
これにより、容器の外周部に形成された樹脂製のフランジ部を第1ユニットの第1支持部において支持することで、第1支持部と被接触支持部との間における摩擦力と、第1磁石と磁力受け部との間における磁力とによって容器を第1ユニット側へ保持することができる。よって、容器を旋回移動させながら保持する場合でも、第2ユニットへの受渡し位置まで安定して容器を保持することができる。
【0021】
第11の発明に係る計量装置は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る容器受渡し機構と、容器に入れられた被計量物の重量を測定する計量部と、被計量物が入れられた容器を複数貯留するストック部と、被計量物を容器から排出する排出部と、計量部とストック部と排出部との間にそれぞれ配置された受渡し部と、を備えている。そして、容器受渡し機構は、計量部とストック部と排出部との間における少なくとも1箇所に配置されている。
【0022】
ここでは、計量部、ストック部、排出部を備えた計量装置において、各部間における少なくとも1箇所には、上記容器受渡し機構が設けられている。
これにより、例えば、ストック部から排出部に対する容器の受渡しを、容器受渡し機構を介して行うことができるため、各部間における容器の受け渡しをスムーズに行うことができる。また、例えば、計量部、ストック部、排出部、受渡し部がそれぞれ容器を旋回させながら保持している場合でも、第1ユニットの第1支持部と容器の被接触部との間における摩擦力、第1ユニットの第1磁石と容器の磁力受け部との間における吸引力(磁力)とによって、容器に付与される遠心力に対抗することができる。よって、容器に対して遠心力が付与されている状況においても、受渡し時までは容器を安定して保持することができる。
【0023】
なお、本発明の容器受渡し機構を計量装置に適用した場合には、例えば、計量部とストック部との間において容器の受渡しを行う場合には、計量部が第1ユニット、計量部とストック部との間に設けられた受渡し部が第2ユニットとなり、続いて上記受渡し部が第1ユニット、ストック部が第2ユニットとなって、容器の受渡しが行われる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の容器受渡し機構によれば、例えば、第1ユニットにおいて容器に対して遠心力や振動等が加えられる状況下においても安定して容器を保持するとともに、容器の受け取り側である第2ユニットに対する容器の受け渡しを容器に対して大きなダメージを与えることなくスムーズに行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係る容器受渡し機構を備えた計量装置について、図1〜図16を用いて説明すれば以下の通りである。
[計量装置全体の構成]
本発明の一実施形態に係る計量装置10は、上部に開口を有する容器Cに入れられた食品等の被計量物の計量を行い、複数蓄えられた容器Cの中から所望の容器Cを取り出して、容器Cから被計量物を排出させる計量装置である。また、計量装置10は、図1および図2に示すように、主要な構成として、供給部12、計量部13、ストック部14、排出部15、受渡し部16a〜16c、排出シュート17、操作部18および旋回機構19を備えている。
【0026】
容器Cは、上部が開口したコップ状の容器であって、外周部に樹脂製のつば部分(被接触支持部)C1と金属製のつば部分(磁力受け部)C2とを有している(図16参照)。また、容器Cは、計量部13、ストック部14、排出部15において常に移動しながら計量装置10内を循環している。このため、本実施形態の計量装置10では、移動中の容器Cに対して被計量物の供給、計量、ストック、排出という各工程が行われる。また、容器Cは、以下で説明する計量部13、ストック部14、排出部15の位置部に埋め込まれた磁石の磁力によって各部13〜15において金属製のつば部分C2を引き付けられる。なお、各部間における容器Cの受渡しについては、後段にて詳述する。
【0027】
供給部12は、計量装置10によって計量される被計量物を移動中の容器C内へ投入する(図3参照)。
計量部13は、複数の計量器25a〜25e(図5参照)を有しており、被計量物が入れられてない空の容器Cおよび被計量物が入れられた容器Cの計量を行う。
ストック部14は、被計量物が入れられた複数の容器Cを蓄える(図6参照)。
【0028】
排出部15は、ストック部14において立体的に蓄えられている複数の容器Cの中から取り出された所望の容器Cを、供給部12の方向へ移動させながら反転させる(図10(a)〜図10(f)参照)。これにより、容器Cに入れられている被計量物を所望の場所に排出することができる。
受渡し部16a〜16cは、図2に示すように、計量部13とストック部14との間、ストック部14と排出部15との間、排出部15と計量部13との間に設けられており、各部間で容器Cの受け渡しを行う。
【0029】
排出シュート17は、図9に示すように、上部と下部とが開口した漏斗形状の部材であって、下部開口17aを有しており、排出部15の近傍に配置されている。また、排出シュート17は、排出部15において反転させた容器Cから排出される被計量物を下部開口17aから排出する。
操作部18は、ユーザによって運転速度等の設定値が入力され、運転等に関する各種情報を表示する。なお、本実施形態では、この計量装置10の全体の動作を制御する制御部20が操作部18の内部に備えられている。
【0030】
なお、これらの主要な構成については、後段においてそれぞれ詳しく説明する。
また、本実施形態の計量装置10には、容器Cの移動経路に沿って、図2に示すように、供給計量ゾーンR1、容器受渡しゾーンR2、ストックゾーンR3、容器受渡しゾーンR4、排出ゾーンR5および容器受渡しゾーンR6が形成される。そして、容器Cは、この各ゾーンR1からR6の順に移動して計量装置10内を循環している。なお、図2に示す1点鎖線は、循環する容器Cの中心位置の軌跡を示している。
【0031】
供給計量ゾーンR1は、計量部13において、被計量物の容器Cへの供給と容器Cおよび被計量物の計量が行われる部分である。ここでは、まず空の容器Cの計量を行う。そして、その容器Cに対して被計量物を投入するとともに、被計量物が入った容器Cの計量を行う。容器受渡しゾーンR2は、受渡し部16aにおいて計量部13から計量済みの容器Cを受け取って、ストック部14へ引き渡す部分である。ストックゾーンR3は、受渡し部16aから容器Cを受け取って、ストック部14において容器Cを立体的に蓄える部分である。ここでは、計量済みの複数の容器Cを立体的に蓄えており、ストック部14内でこれらの複数の容器Cを循環させる。容器受渡しゾーンR4は、ストック部14において蓄えられた複数の容器Cの中から制御部20によって選択された容器Cを受け取って、排出部15に対して引き渡す部分である。排出ゾーンR5は、受渡し部16bから受け取った容器Cを旋回させながら反転させて、排出シュート17の下部開口17aを排出目標位置として被計量物を排出する部分である。容器受渡しゾーンR6は、被計量物が排出されて空になった容器C、あるいは被計量物が排出されずにそのまま搬送されてきた容器Cを排出部15から受け取って、再び計量部13へ引き渡す部分である。
【0032】
本実施形態の計量装置10では、以上のような各ゾーンR1〜R6を経て、容器Cを計量装置10内で循環させている。
なお、後段にて説明する「上流側」、「下流側」とは、上述した容器Cの循環方向を基準にした上流側、下流側を示すものとする。
[供給部の構成]
供給部12は、図1および図2に示すように、計量部13が旋回させている容器Cに対して被計量物を投入するために計量部13における容器Cの旋回軌道の上部に配置された振動フィーダである。そして、供給部12は、図3に示すように、トラフ21とモータボックス22とを備えており、トラフ21の下に設けられたシュート24に被計量物を投入する。
【0033】
トラフ21には、容器Cに投入される被計量物が載置される。そして、モータボックス22内の駆動モータが回転することによって、トラフ21を、図3に示すX方向へはゆっくり、Y方向へはX方向よりも速く移動させる。これにより、トラフ21上に載置された被計量物をシュート24側へ少しずつ連続して搬送することができる。
被計量物は、トラフ21からシュート24に落とされ、シュート24から計量部13が旋回させている容器C内に投入される。つまり、供給部12は、計量部13によって回転軸A1を中心に旋回している容器Cに対して被計量物を投入する。これにより、容器Cを停止させて被計量物を容器Cへ投入する場合と比較して高速化が図れる。
【0034】
シュート24は、上部と下部とが開口したステンレス製の部品であって、トラフ21から投入された被計量物を集めて、計量部13において旋回している容器Cの真上から被計量物を落下させる。
[計量部の構成]
計量部13は、容器Cに入れられた被計量物の計量を行う装置であって、図2に示すように、排出部15の下流側で、かつストック部14の上流側に配置されている。また、計量部13は、図4および図5に示すように、5つの計量器25a〜25eと各計量器25a〜25eに対応して設けられたホルダー28を備えている。そして、計量部13は、これらの計量器25a〜25e等を、後述する旋回機構19からの回転駆動力を伝達された回転軸A1を中心に旋回させる。これにより、計量部13は、容器Cの搬送部としても機能する。なお、回転軸A1を回転させる旋回機構19については後段にて詳述する。
【0035】
計量器25a〜25eは、図4に示すように、円形ボックス26内にロードセル27を有している。そして、ホルダー28によって保持された容器Cの計量を旋回しながら行う。これにより、ストック部14の方へ容器Cを旋回させながら計量が行われるため、計量からストックまでの工程を高速化できる。また、移動しながらの計量であっても、計量部13とストック部14との間に設けられた受渡し部16aにおける受け渡し位置まで旋回するまでの時間を、計量を行うための時間として充分に確保できる。
【0036】
ホルダー28は、容器Cのつば部分C1を下から支持するU字型の部材28aと、容器Cのつば部分C2を磁力によって引き付ける磁石(第1磁石、第2磁石)29が埋め込まれた背面部28bと、容器Cの底面に平行な底板28cと、を有している。そして、容器Cの外周に形成されたつば部分C1を下方からU字型の部材28aが接触して支持するとともに、背面部28bに埋め込まれた磁石29からの磁力が容器Cのつば部分C2を非接触の状態で引き付けることで、つば部分C1とU字型の部材28aとの間の摩擦力、つば部分C2と背面部28b(磁石29)との間の吸引力によって旋回移動する容器Cを遠心力に反して安定して保持している。以下に示すホルダー31,35についても同様である。
【0037】
計量は、容器Cと計量器25a〜25eとが、相対的に停止している状態で行われる。すなわち、容器Cと計量器25a〜25eとは同じ速度で移動しながら計量が行われる。これにより、容器Cを移動させながらであっても、容器Cの移動を停止させて計量する場合と同様に正確な計量を行うことができる。
また、計量部13は、排出部15において被計量物が排出されて空になった容器Cを受渡し部16cから受け取り、空の容器Cを計量しながら供給部12が備えているシュート24の下部開口24aの直下まで移動させる。このように、計量部13では、計量から排出までの工程を終えた容器Cを受け取って、再び計量から排出までの工程に送り込んでいる。このため、容器Cを計量装置10内で循環させることができる。
【0038】
[ストック部の構成]
ストック部14は、計量部13において計量された複数の容器Cを蓄える装置であって、図2に示すように、計量部13の下流側であって排出部15の直上流側に配置されている。このため、ストック部14は、制御部20(図1参照)によって選択された容器Cを即座に排出部15へ引き渡すことができる。また、ストック部14は、図6および図7に示すように、鉛直方向に5つの容器Cを保持することが可能な5つの蓄積部30を備えている。そして、これらの蓄積部30は、回転軸A2を中心に周方向に等間隔で配置されている。
【0039】
蓄積部30は、5つの容器Cを鉛直方向において保持するために、鉛直方向に並ぶ5つのホルダー31を有している。ホルダー31は、図15に示すように、計量部13のホルダー28と同様の構成(U字型の部材31a、背面部31b、底板31c)を備えている。そして、ホルダー31においても、U字型の部材31aによって容器Cのつば部分C1を下方から接触して支持するとともに、背面部31bに埋め込まれた磁石(第1磁石、第2磁石)29の磁力によって容器Cの金属製のつば部分C2が引き付けられる。このため、ホルダー31でも、つば部分C1とU字型の部材31aとの間の摩擦力、つば部分C2と背面部31b(磁石29)との間の吸引力によって旋回移動する容器Cを遠心力に反して安定して保持している。
【0040】
また、ストック部14は、回転軸A2を中心に蓄積部30を旋回させる。これにより、ストック部14は、計量部13と同様に、容器Cの搬送部としての機能を有する。また、常に容器Cを水平方向で旋回させながら蓄えているため、制御部20によって容器Cの選択が行われると、選択された容器Cを即座にストック部14から受渡し部16bへ引き渡すことができる。
【0041】
さらに、ストック部14は、蓄積部30を鉛直方向に移動させる機構34を有している。
機構34は、ねじ溝が形成されている軸32と、軸32の下部に配置され軸32を回転させるモータ(図示せず)と、蓄積部30と軸32とを接続する接続部材33とを備えている。この機構34では、5本の軸32の下部にそれぞれに取り付けられたモータによって軸32を正転反転させることで、この軸32に取り付けられた接続部材33を昇降させる。詳細には、軸32を回転させるモータは、通常、回転軸A2の回転速度と同期するように軸32を常時回転させている。これにより、回転軸A2の周りを回転しながら軸32を相対的に無回転状態とすることができる。ここで、鉛直方向に容器Cを移動させる際には、この常時回転させているモータの回転速度を増減させることで、回転軸A2に対して相対的に軸32を正転させたり反転させたりする。これにより、接続部材33とともに蓄積部30に保持された容器Cを鉛直方向に移動させることができる。
【0042】
また、ストック部14において、鉛直方向に容器Cを移動させる機構34を備えることで、ストック部14において立体的に複数の容器Cを蓄えることができる。さらに、受渡し部16aから水平移動してきた容器Cを鉛直方向に蓄えていき、鉛直方向に蓄えた容器Cを水平方向に移動させて受渡し部16bに引き渡すことで、容器Cの移動方向と容器Cを蓄えていく方向とを交差させることができる。5つの蓄積部30は、運転開始時には図6に示す3F〜7Fの間に位置している。そして、制御部20からの容器Cの選択要求に応じて、5段の容器Cを保持しながら1F〜9Fの間で鉛直方向に移動する。なお、図6に示す1F〜9Fの表示は、容器Cが鉛直方向において位置している階層を示すものである。
【0043】
また、本実施形態の計量装置10では、鉛直方向に5つの容器Cを保持している蓄積部30において、運転開始時の蓄積部30の中央部分に相当する5F部分の高さにおいて容器Cの受け取りと引き渡しとを行う。これにより、どの階層で保持されている容器Cを取り出す場合でも、蓄積部30の鉛直方向の移動距離を、5Fを中心とする上下2階層以内に抑えることができる。
【0044】
また、ストック部14は、容器Cの受け取りと引き渡しとを同じ階層(高さ)で行う。つまり、図6に示すように、受渡し部16aからは5Fの階層で容器Cを受け取り、受渡し部16bに対しては同じく5Fの階層で容器Cを引き渡す。このように、容器Cの受け取りと引き渡しとを同じ高さで行うことにより、容器Cが排出された後、そのまま回転軸A2を中心に蓄積部30を旋回させるだけでその位置に新たな容器Cを追加補充できる。
【0045】
[排出部の構成]
排出部15は、容器Cに入れられた状態で搬送されてきた被計量物を容器Cから排出するための装置である。そして、図2に示すように、ストック部14の下流側であって、計量部13の上流側に配置されている。また、排出部15は、図8および図9に示すように、5つのホルダー35と、5本のシャフト36と、傾斜板37と、回転軸A3と、反転機構(反転部)38とを備えている。
【0046】
ホルダー35は、図15に示すように、容器Cを保持するために、計量部13のホルダー28、ストック部14のホルダー31と同様の構成(U字型の部材35a、背面部35b、底板35c)を備えている。そして、ホルダー35においても、U字型の部材35aによって容器Cのつば部分C1を下方から接触して支持するとともに、背面部35bに埋め込まれた磁石(第1磁石、第2磁石)29の磁力によって容器Cの金属製のつば部分C2が引き付けられる。このため、ホルダー35でも同様に、つば部分C1とU字型の部材35aとの間の摩擦力、つば部分C2と背面部35bとの間の吸引力によって旋回移動する容器Cを遠心力に反して安定して保持している。また、ホルダー35は、回転軸A3を中心として周方向に等間隔で5つ配置されており、回転軸A3の周りを旋回する。
【0047】
シャフト36は、その上端部にホルダー35がそれぞれに取り付けられており、鉛直方向に伸びる内部が空洞の金属製の円筒である。このシャフト36の内部には、ホルダー35を反転させるための反転機構38を構成するカムやギア等の部品が備えられている。
傾斜板37は、図10(a)〜図10(f)に示すように、回転軸A3を中心として並列に旋回している5本のシャフト36の下部にそれぞれ取り付けられた誘導部39を、傾斜板37の傾斜面に沿って持ち上げる。これにより、シャフト36の上端部に取り付けられたホルダー35とともにホルダー35に保持された容器Cを鉛直方向に移動させることができる。
【0048】
反転機構38は、容器Cから被計量物Pを排出するために、シャフト36の内部に設けられた反転機構38のカムやギアを駆動させることで、容器Cを保持しているホルダーを180度回転させる。また、反転機構38は、排出シュート17内の所望の排出位置、すなわち下部開口17aに向かって被計量物Pが排出されるように、制御部20(図1参照)において容器Cを回転させるタイミングが制御される。なお、反転機構38によって開口が下向きになるように反転させられた容器Cは、つば部分C1をホルダー35のU字型の部材35aで下から支えられることで保持される。
【0049】
回転軸A3は、ホルダー35とともに容器Cを旋回させる。これにより、排出部15は、計量部13およびストック部14と同様に、後述する旋回機構19から回転駆動力が伝達されて、容器Cの搬送部としての機能を有する。そして、回転軸A3は、後述する旋回機構19が備えている回転モータM1からの回転駆動力により、他の回転軸A1,A2,A4と同期しながら回転する。
【0050】
本実施形態の計量装置10では、排出部15が回転軸A3を中心として容器Cを旋回させながら被計量物Pを容器Cから排出させている。このため、容器C内の被計量物Pは、遠心力が加えられた状態で容器Cから排出される。よって、容器Cから排出された被計量物に遠心力と重力とがかかった状態で、回転軸A3を中心とする旋回軌道の接線方向に配置された排出シュート17の中心部に設けられた下部開口17a付近に被計量物Pを自由落下させることができる。
【0051】
[受渡し部の構成]
受渡し部16a〜16cは、図2に示すように、計量部13とストック部14との間、ストック部14と排出部15との間、排出部15と計量部13との間にそれぞれ配置されている。そして、受渡し部16a〜16cが配置されている高さは、すべて図6に示す5Fの階層に相当する位置である。
【0052】
受渡し部16aは、計量部13とストック部14との間に設けられており、計量済みの容器Cを計量部13から受け取ってストック部14へ引き渡す。受渡し部16bは、ストック部14と排出部15との間に設けられており、制御部20(図1参照)において選択されて、図6の5F位置に移動してきた所望の容器Cをストック部14から受け取って、排出部15へ引き渡す。受渡し部16cは、排出部15と計量部13との間に設けられており、排出部15において被計量物を排出した空の容器Cを排出部15から受け取って計量部13へ引き渡す。このように、受渡し部16a〜16cが計量、ストック、排出等の各工程間における容器Cの受け渡しを行うことで、容器Cを計量装置10内で循環させることができる。
【0053】
また、受渡し部16a〜16cは、図11(a)および図11(b)に示すように、それぞれが上板41と下板42と磁石45と支持部46と回転軸A4とを備えている。上板41は、容器Cの外周面に沿った円弧部分(第1支持部)44を3つ有しており、この円弧部分44において容器Cのつば部分C1を下方から接触支持しながら容器Cを3つ保持する。下板42は、容器Cの底面に平行な板部材であって、容器Cの下方に容器Cとは非接触の状態で配置されている。磁石45は、上板41に固定された支持部46において保持されており、容器Cの金属製のつば部分C2とは非接触の状態で磁力によって容器Cを鉛直下向きに引き付ける。つまり、容器Cを支持する円弧部分44では、磁石45と容器Cの金属製のつば部分C2との間に所定の隙間(所定の間隔)X(図13参照)が空くように容器Cを支持している。3本の回転軸A4は、後述する旋回機構19から回転駆動力が伝達されて、それぞれの受渡し部16a〜16cが同期するように受渡し部16a〜16cを回転させる。これにより、受渡し部16a〜16cは、各部間において容器Cの受け渡しを行う機能とともに、容器Cの搬送部としての機能も有する。なお、受渡し部16a〜16cの回転方向は、計量部13、ストック部14、排出部15の回転方向とは反対の方向である。これにより、各受渡し部16a〜16cと計量部13等が隣接する容器Cの受け渡しを行う側においては、同じ方向に容器Cを移動させることになる。よって、容器Cの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0054】
ここで、各部13,14,15と受渡し部16a〜16cとの間において容器Cの受け渡しをスムーズに行うための部材として、図14(a)および図14(b)に示す磁力低減部材51が設けられている。この磁力低減部材51は、図12(a)および図12(b)に示すように、各部13,14,15と受渡し部16a〜16cとの間における容器Cの受渡し位置であって、容器Cの受け取りと引き渡しとが行われる図6に示す5Fの階層に相当する高さ位置に、固定配置されている。また、磁力低減部材51は、図14(a)および図14(b)に示すように、立板51a、天板51b、取付板51cを有するコの字型の金属製の部材であって、図12(a)、図12(b)および図13に示すように、容器Cの受渡し位置において、容器Cを引き付けている磁石45と引き付けられている容器Cのつば部分C2との間の隙間Xにそのコの字型の上部分(天板51a,立板51bの上部)が入り込んで、磁石45と容器Cのつば部分C2とが対向するのを遮る邪魔板となる。このとき、金属製の磁力低減部材51が、磁石45からの磁力により吸引されている容器Cのつば部分C2との間の磁力を短絡させる働きをし、さらに、ヨーク(継鉄)として機能して磁石45からの磁力が容器Cのつば部分C2とは反対の方向へ向かうため、磁石45から容器Cに対する磁力を低減することができる。なお、この磁力低減部材51を用いた容器Cの受渡しについては後段にて詳述する。
【0055】
[旋回機構の構成]
本実施形態の計量装置10が備えている旋回機構19は、上述した計量部13、ストック部14、排出部15および受渡し部16a〜16cに対して回転駆動力を与える機構であって、図1に示すように、計量装置10の下部に配置されている。そして、旋回機構19は、図17に示すように、回転モータM1、伝達部52を備えている。
【0056】
伝達部52は、計量部13を回転させる回転軸A1、ストック部14を回転させる回転軸A2、排出部15を回転させる回転軸A3、受渡し部を回転させる回転軸A4に対して、ギアやプーリ、図示しないベルトを介して回転モータM1の回転駆動力を伝達する。そして、計量部13、ストック部14、排出部15が同期するように回転軸A1〜A4を回転させる。このように容器Cの受け渡しを行う各部が同期させた状態で回転しているため、隣接する各部が同じ速度で容器Cを旋回させていることになる。このため、各部において保持された容器Cの受け渡しをスムーズに行うことができる。
【0057】
なお、回転軸A4は、上述したように、計量部13、ストック部14、排出部15とは反対方向に回転する受渡し部16a〜16cを回転させる軸である。このため、本実施形態の計量装置10では、回転軸A4については、伝達部52において回転方向を逆回転に変換して回転駆動力を伝達している。
[各部13〜15と受渡し部16a〜16cとの間における容器の受渡し]
本実施形態の計量装置10における、計量部13(第1ユニット)と受渡し部16a(第2ユニット)、受渡し部16a(第1ユニット)とストック部14(第2ユニット)、ストック部14(第1ユニット)と受渡し部16b(第2ユニット)、受渡し部16b(第1ユニット)と排出部15(第2ユニット)、排出部15(第1ユニット)と受渡し部16c(第2ユニット)、受渡し部16c(第1ユニット)と計量部13(第2ユニット)の間における円滑な容器Cの受け渡しについて、図12(a)、図12(b)および図13を用いて説明すれば以下の通りである。
【0058】
ここでは、図12(a)および図12(b)に示すように、受渡し部16aからストック部14のホルダー31に対して容器Cの受け渡しを行う場合を例に挙げて説明する。
受渡し部16aにおいて計量部13から受け取られた容器Cは、旋回移動しながら図12(a)および図12(b)に示すストック部14への受渡し位置まで搬送される。
ここで、受渡し部16aにおいて容器Cがストック部14への受渡し位置まで旋回移動すると、受渡し位置に固定配置された磁力低減部材51が、磁石45と容器Cの金属製のつば部分C2との間の隙間X(図13参照)に入り込む。このとき、磁石45から発せられる磁力は、容器Cのつば部分C2との間の隙間Xに入り込んだ磁力低減部材51によってつば部分C2の方向については遮られるとともに、つば部分C2に対する方向とは反対の方向に向かうようになる。この結果、磁石45からの容器Cのつば部分C2に対する磁力は大幅に低減される。これと同時に、容器Cを受け取る側のホルダー31においては、低減された磁石45からの磁力よりも大きい磁力を発する磁石29が埋め込まれた背面部31bの方へ容器Cのつば部分C2が引き付けられる。つまり、この場合には、受渡し部16aの磁石45が受渡し位置において磁力が低減される第1磁石となり、ストック部14のホルダー31の背面部31bに埋め込まれている磁石29が容器Cを受け渡すための吸引力の源である第2磁石となる。この結果、より強い磁力によってホルダー31側へ引き付けられた容器Cは、受渡し部16a側のつば部分C1を接触支持している受渡し部16aの円弧部分44上を滑りながらホルダー31のU字型の部材31a上へと移動する。そして、ホルダー31において、U字型の部材31aによって容器Cのつば部分C1が接触支持されるとともに、容器Cのつば部分C2がホルダー31側の背面部31bに埋め込まれた磁石29によって非接触状態で引き付けられて保持される。また、この場合には、受渡し部16aの円弧部分44が第1支持部となり、ストック部14のホルダー31のU字型の部材31aが第2支持部となる。
【0059】
なお、容器Cは、受渡し部16aの円弧部分44において鉛直方向における下方から接触支持されているだけであり、水平方向には容器Cの移動を妨げるものはないため、磁石45から容器Cの金属製のつば部分C2への磁力が低減されると、ホルダー31の側へスムーズに移動する。
このように、ストック部14のホルダー31において受け取られた容器Cは、ホルダー31においてU字型の部材31aによる接触支持と背面部31bの磁石29による吸引力(磁力)によって安定して保持されながら、制御部20に選択されるまでストック部14の中で旋回移動する。
【0060】
ここで説明した受渡し部16aからストック部14のホルダー31への容器Cの受け渡しは、計量部13と受渡し部16a、ストック部14と受渡し部16b、受渡し部16bと排出部15、排出部15と受渡し部16c、受渡し部16cと計量部13の間においても同様に行われる。
[計量装置の特徴]
(1)
本実施形態の計量装置10では、例えば、受渡し部16aを第1ユニット、ストック部14(ホルダー31)を第2ユニットとすると、図12(a)および図12(b)に示すように、受渡し部16aにおいて、つば部分C1に接触して容器Cを支持する第1支持部としての円弧部分44、受渡し部16a側に容器Cを引き付ける第1磁石としての磁石45を有している。これにより、旋回移動させている容器Cにかかる遠心力に対して、円弧部分44とつば部分C1との摩擦力と磁石45とつば部分C2との間における磁力とを組み合わせて対抗することで、容器Cを安定して保持しながら受渡し位置まで搬送することができる。
【0061】
そして、容器Cの受渡し位置においては、受渡し位置に固定配置された磁力低減部材51が、旋回移動してきた容器Cのつば部分C2と受渡し部16aの磁石45との間の隙間Xに入り込んでヨーク(継鉄)として機能する。これにより、磁石45の磁力を容器Cとは反対の方向へ集中させることができる。この結果、磁石45からつば部分C2への磁力が低減して、受渡し部16aにおける容器Cの吸引力が大幅に小さくなるため、ストック部14のホルダー31に対して、容器Cに大きな負荷をかけることなくスムーズに引き渡すことができる。
【0062】
(2)
本実施形態の計量装置10では、例えば、受渡し部16aを第1ユニット、ストック部14(ホルダー31)を第2ユニットとすると、容器Cの受渡し位置において容器Cを受け取るストック部14のホルダー31側へ、非接触状態で容器Cを引き付けるための磁力を発する磁石(第2磁石)29が埋め込まれた背面部31bを、ホルダー31に有している。
【0063】
これにより、容器Cの受渡し位置において磁力低減部材51によって受渡し部16a側への吸引力が弱くなった容器Cを、スムーズにホルダー31側で受け取ることができる。
(3)
本実施形態の計量装置10では、例えば、受渡し部16aを第1ユニット、ストック部14(ホルダー31)を第2ユニットとすると、容器Cを受け取る側のホルダー31において、磁石29が埋め込まれた背面部31bと容器Cのつば部分C2との間に所定の隙間Xが空くように容器Cのつば部分C1を接触支持するU字型の部材31aを有している。
【0064】
これにより、受け取り側のホルダー31においても、容器Cのつば部分C1とU字型の部材31aとの間における摩擦力と、容器Cのつば部分C2と背面部31bとの間における吸引とによって容器Cを安定して保持することができる。
さらに、ホルダー31において容器Cを受け取った後、容器Cを旋回移動させて受渡し部16bへの受渡し位置においては、背面部31bと容器Cのつば部分C2との間の所定の隙間Xに磁力低減部材51の一部(立板51a,天板51bの上部)が入り込むことで、今度はホルダー31が第1ユニットとして機能する。
【0065】
(4)
本実施形態の計量装置10では、磁力低減部材51が、容器Cの受渡し位置の近傍に固定して配置されている。
これにより、受渡し位置まで旋回移動してきた容器Cに対する磁力だけを低減して、受渡し位置における容器Cの移動をスムーズに行うことができる。
【0066】
また、各部13〜16cにおいて受渡し位置で上記所定の隙間Xに挿入される磁力低減部材51を搭載している場合と比較して、必要最小限の数の磁力低減部材51を用意するだけで済むため、部品点数を削減してコストダウンが図れる。
(5)
本実施形態の計量装置10では、各部13〜16cが容器Cを旋回移動させながら保持搬送している。
【0067】
これにより、高速で運転するほど容器Cに大きな遠心力がかかることになるが、容器Cは、摩擦力と磁力とによって保持されているため、容器Cを受渡し位置まで安定して搬送することができる。
(6)
本実施形態の計量装置10では、容器Cに接触して支持する第1支持部としてのU字型の部材28a,31a,35aや円弧部分44において、容器Cを鉛直方向における下方から支持している。
【0068】
これにより、容器Cのつば部分C1との間で容器Cの自重による摩擦力を発生させて、旋回移動している容器Cにかかる遠心力に対抗することができる。
また、水平方向からは容器Cを支持するものがないため、磁力低減部材51によって吸引される力が低下した容器Cをスムーズに受け取り側の第2ユニットへ引き渡すことができる。
【0069】
(7)
本実施形態の計量装置10では、例えば、受渡し部16aを第1ユニット、ストック部14(ホルダー31)を第2ユニットとすると、容器Cを磁力によって引き付ける第1磁石としての磁石45において、容器Cを鉛直下向きに引き付けている。
これにより、鉛直方向の下方から容器Cを接触支持している円弧部分44における容器Cのつば部分C1との間の摩擦力を大きくして、受渡し位置までの旋回移動中はより安定して容器Cを保持することができる。
【0070】
(8)
本実施形態の計量装置10では、旋回移動している容器Cを磁力で引き付けるために容器Cに形成された磁力受け部として、容器Cの外周部に形成された金属製のつば部分C2を用いている。
これにより、つば部分C2の鉛直方向下方に配置された磁石45によって鉛直方向下向きに容器Cを引き付けて容器Cを保持することができる。また、このとき鉛直下向きに容器Cを引き付けているため、容器Cのつば部分C1と円弧部分44との間における摩擦力を大きくして、旋回移動させている容器Cに対して遠心力がかかる場合でも安定した容器Cの保持が可能になる。
【0071】
(9)
本実施形態の計量装置10では、旋回移動している容器Cを摩擦力で安定保持するために容器Cに形成された被接触支持部として、容器Cの外周部に形成された樹脂製のつば部分C1を用いている。
これにより、円弧部分44との間における摩擦力を大きくして、旋回移動している容器Cに対して遠心力がかかる場合でも、安定して容器Cを保持することができる。
【0072】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、図12(a)および図12(b)に示すように、受渡し部16aを受け渡し側の第1ユニット、ストック部14(ホルダー31)を受け取り側の第2ユニットとして容器Cの受渡しを行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、図12(a)および図12(b)に示す受渡しが完了した後は、今度はストック部14が受け渡し側の第1ユニット、受渡し部16bが受け取り側の第2ユニットとして容器Cの受け渡しが行われる。その他、受渡し部16bと排出部15、排出部15と受渡し部16c、受渡し部16cと計量部13、計量部13と受渡し部16aというそれぞれの間における容器Cの受け渡しについても、同様に本発明が適用される。
【0074】
(B)
上記実施形態では、本発明の容器受渡し機構を、計量装置10に対しても適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の計量措置10a〜10dを複数組み合わせて構成される、図18に示すような組合せ計量装置60に対して適用することも可能である。このような組合せ計量装置60においても、各部間における容器Cの受渡しに本発明を適用することで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(C)
上記実施形態では、各部13〜15および各受渡し部16a〜16cにおける容器Cを保持する位置に、容器Cを引き付ける磁石29,45を搭載している例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、計量部13については、磁石による吸引力が計量の精度に悪影響を及ぼす可能性があるため、計量部13のホルダー28については、磁力による容器Cの保持を行わない構成であってもよい。このような構成によれば、計量部13において高精度な計量を行いつつ、他の受渡し位置では円滑な容器Cの受け渡しを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の容器受渡し機構は、旋回中の容器を安定して保持するとともに、受渡し位置では磁力による吸引力を軽減してスムーズに容器を受け渡すことができるという効果を奏することから、容器を移動させながら容器の受渡しを行う各種装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る計量装置を示す正面図。
【図2】図1の計量装置を示す平面図。
【図3】図1の計量装置が備えている供給部を示す側面図。
【図4】図1の計量装置が備えている計量部を示す側面視における一部断面図。
【図5】図4の計量部を示す平面図。
【図6】図1の計量装置が備えているストック部を示す側面図。
【図7】図6のストック部を示す平面図。
【図8】図1の計量装置が備えている排出部を示す側面図。
【図9】図8の排出部を示す平面図。
【図10】(a)〜(f)は、図8および図9に示す排出部による排出方法を示す図。
【図11】(a)は受渡し部を示す平面図。
【0078】
(b)は受渡し部を示す側面図。
【図12】(a)は受渡し部からホルダーへ容器を受け渡す際の状態を説明するための平面図。 (b)は受渡し部からホルダーへ容器を受け渡す際の状態を説明するための側面図。
【図13】図12(b)に示すA部分の拡大図。
【図14】(a)は、図12(a)等に示す容器の受渡し位置に配置された磁力低減部材を示す平面図。(b)は、その側面図。
【図15】計量部、ストック部、排出部におけるホルダーを示す斜視図。
【図16】図1の計量装置内を循環する容器を示す斜視図。
【図17】旋回機構を示す側面図。
【図18】本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0079】
10 計量装置
12 供給部
13 計量部(第1ユニット、第2ユニット)
14 ストック部(第1ユニット、第2ユニット)
15 排出部(第1ユニット、第2ユニット)
16a〜16c 受渡し部(第1ユニット、第2ユニット)
17 排出シュート
17a 下部開口
19 旋回機構
20 制御部
25a〜25e 計量器(計量部)
28 ホルダー
28a U字型の部材(第1支持部、第2支持部)
28b 背面部(第1磁石、第2磁石)
28c 底板部
29 磁石(第1磁石、第2磁石)
31 ホルダー
31a U字型の部材(第1支持部、第2支持部)
31b 背面部(第1磁石、第2磁石)
31c 底板部
35 ホルダー
35a U字型の部材(第1支持部、第2支持部)
35b 背面部
35c 底板部
38 反転機構
41 上板
42 下板
44 円弧部分(第1支持部、第2支持部)
45 磁石(第1磁石、第2磁石)
46 支持部
51 磁力低減部材
60 組合せ計量装置
C 容器
C1 つば部分(被接触支持部、フランジ部)
C2 つば部分(磁力受け部、フランジ部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユニットにおいて容器を保持している第1状態から、前記第1ユニットに隣接する第2ユニットにおいて前記容器を保持している第2状態へと移行させる容器受渡し機構であって、
前記第1ユニットに設けられ、前記容器の磁力受け部を引き付ける第1磁石と、
前記第1ユニットに設けられ、前記磁力受け部と前記第1磁石とが所定間隔を空けて近接するように、前記容器の被接触支持部に対して接触して前記容器を支持する第1支持部と、
前記第1状態から前記第2状態へと移行させる際に、前記所定間隔に入って前記第1磁石の前記磁力受け部に対する磁力を弱める磁力低減部材と、
を備えている容器受渡し機構。
【請求項2】
前記第2ユニットに設けられており、前記第1状態から前記第2状態へと移行する際に、前記磁力低減部材によって低減された前記容器の磁力受け部に対する前記第1磁石による磁力よりも大きな磁力によって前記容器の前記磁力受け部を前記第2ユニット側へ引き付ける第2磁石をさらに備えている、
請求項1に記載の容器受渡し機構。
【請求項3】
前記第2ユニットに設けられており、前記磁力受け部と前記第2磁石とが所定間隔を空けて近接するように前記容器の前記被接触支持部を支持する第2支持部をさらに備えている、
請求項2に記載の容器受渡し機構。
【請求項4】
前記磁力低減部材は、前記容器の受渡し位置の近傍に固定して配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に係る容器受渡し機構。
【請求項5】
前記第1ユニットは、前記容器を旋回移動させながら保持している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の容器受渡し機構。
【請求項6】
前記第2ユニットは、受け取った前記容器を旋回移動させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の容器受渡し機構。
【請求項7】
前記第1支持部は、前記容器の前記被接触支持部を鉛直方向において支持している、
請求項1から6のいずれか1項に記載の容器受渡し機構。
【請求項8】
前記第1磁石は、前記容器の前記磁力受け部を鉛直方向において引き付ける、
請求項1から7のいずれか1項に記載の容器受渡し機構。
【請求項9】
前記磁力受け部は、前記容器の外周部に形成された金属製のフランジ部である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の容器受渡し機構。
【請求項10】
前記被接触支持部は、前記容器の外周に形成された樹脂製のフランジ部である、
請求項1から9にいずれか1項に記載の容器受渡し機構。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに係る容器受渡し機構と、
前記容器に入れられた被計量物の重量を測定する計量部と、
前記被計量物が入れられた前記容器を複数貯留するストック部と、
前記被計量物を前記容器から排出する排出部と、
前記計量部と前記ストック部と前記排出部との間にそれぞれ配置された受渡し部と、
を備え、
前記容器受渡し機構は、前記計量部と前記ストック部と前記排出部との間における少なくとも1箇所に配置されている、
計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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