説明

容器外面の殺菌方法及び容器のリテーナ

【課題】 リテーナに支持される容器のフランジ部裏面も適正に殺菌する。
【解決手段】 リテーナ(3)における容器挿入穴(3a)の縁から容器挿入穴(3a)の中心に向って突出する少なくとも三本の尖頭片(5)によって容器(2)を容器挿入穴(3a)内に保持し、しかる後に殺菌剤を容器(2)の外面に対して供給する。容器(2)の外面に対して供給する殺菌剤は容器挿入穴(3a)を通り抜けながらフランジ部(2a)の下面にも満遍なく行き渡る。従って、容器(2)のフランジ部(2a)の下面を含む容器(2)の全外面を適正に殺菌することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の外面を殺菌する方法及びこの容器のリテーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ状の容器に内容物を無菌充填するには、内容物の充填に先立ち容器をリテーナにより保持しつつ殺菌処理している。リテーナは容器を差し込む丸穴を有し、丸穴内で容器を保持しつつ搬送する。容器はリテーナにより搬送されつつ内面と外面に過酸化水素等の殺菌剤が吹き付けられ内外両面が殺菌され、さらに内外両面に熱風が吹き付けられ過酸化水素等の殺菌剤が乾燥除去される。このように殺菌処理された容器は、その後内容物充填装置、蓋材シール装置等に送られ内容物を充填され、蓋材で開口部をシールされる。これにより容器の無菌充填が完了する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
無菌充填においては容器の内外面の全面を殺菌する必要があるが、図7に示すように、従来のリテーナ1によれば、容器2のフランジ部2aの下面がリテーナ1の上面で塞がれるので、この下面に殺菌剤が付着し難くなり容器2に殺菌不良を生じるおそれがある。
【0004】
また、リテーナとしてセクタ状の保持部材を容器2のフランジ部2aに沿うように一定間隔で配したものが知られているが(例えば、特許文献2参照。)、このリテーナの場合も容器2のフランジ部2aの下面の各所がリテーナの上面で塞がれるので、このフランジ部2aの下面に殺菌剤が付着し難くなり容器2に殺菌不良を生じるおそれがある。
【0005】
さらに、リテーナとしてプレートに丸穴を設け、この丸穴の縁に容器2のフランジ部2aの上面を押し付け、プレートに取り付けたクリップでフランジ部2aをその下面からプレート側に押し付けるようにしたものが知られているが(例えば、特許文献3参照。)、このリテーナの場合はプレートが当る容器2のフランジ部2aの上面全体とクリップが当るフランジ部の下面の一部が塞がれるので、これらの部分に殺菌剤が付着し難くなり容器2に殺菌不良を生じるおそれがある。
【0006】
従来、このような問題点を解決するため、リテーナの下にダクト状の囲いを設け、この囲いからガス状の殺菌剤を容器の底に吹き付けることで、容器をリテーナ上にわずかに浮き上がらせるようにし、これにより容器のフランジ部の下面にも殺菌剤のガスを接触させようとする殺菌方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0007】
【特許文献1】特公昭61−3684号公報
【特許文献2】特開昭59−115220号公報
【特許文献3】特開平6−32331号公報
【特許文献4】特開2002−68142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来における容器の外面を殺菌する方法によれば、図7に示すように、容器2をリテーナ1の単なる丸穴1aに落とし込み、容器2のフランジ部2aを丸穴1aの縁に掛けるだけであるから、殺菌剤がフランジ部2aの下面まで到達しないか、或いはリテーナ1と容器2のフランジ部2aの下面との間で殺菌剤が滞留し結露し、殺菌剤の大きな液滴が生じ、殺菌剤乾燥部を経た後もなお殺菌剤が容器の表面に残留したり、容器2から落下しチャンバー内を汚したりする可能性がある。リテーナとしてセクタ状の保持部材を容器2のフランジ部2aに沿って一定間隔で配した構造のものや、クリップで容器2のフランジ部2aをプレートの丸穴の周りに固定するものであっても同様な問題が生じる。
【0009】
また、ガス状の殺菌剤を容器の底に吹き付けることで、容器をリテーナ上にわずかに浮き上がらせる方式を採用したにしても、殺菌剤の吹き付け後に容器がリテーナ上に落下しフランジ部がリテーナの縁に接触すると、その接触箇所に殺菌剤が多量に付着し残留するという問題がある。また、この殺菌剤で容器を浮上させる方式は、クリップで容器2のフランジ部2aをプレートの丸穴の周りに固定するリテーナには適用することができない。
【0010】
従って、本発明は上記問題点を解決することができる容器外面の殺菌方法及び容器のリテーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するため、請求項1に係る発明は、リテーナ(3)における容器挿入穴(3a)の縁から容器挿入穴(3a)の中心に向って突出する少なくとも三本の尖頭片(5)によって容器(2)を容器挿入穴(3a)内に保持し、しかる後に殺菌剤を容器(2)の外面に対して供給する容器外面の殺菌方法を採用する。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の容器外面の殺菌方法において、尖頭片(5)の尖端(5c)を容器(2)のフランジ部(2a)の下面に当接させる容器外面の殺菌方法を採用する。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の容器外面の殺菌方法において、尖頭片(5)の尖端(5c)を容器(2)の胴部(2b)の外面に当接させる容器外面の殺菌方法を採用する。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、容器挿入穴(3a)の縁から容器挿入穴(3a)の中心に向って突出する少なくとも三本の尖頭片(5)を備え、各尖頭片(5)の尖端(5c)を容器(2)の外面に当てることにより容器(2)を容器挿入穴(3a)内に保持するようにしたリテーナ(3)を採用する。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載のリテーナ(3)において、尖端(5c)が容器(2)のフランジ部(2a)の下面に当接するように尖頭片(5)が形成されたリテーナを採用する。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、請求項4に記載のリテーナ(3)において、尖端(5c)が容器(2)の胴部(2b)の外面に当接するように尖頭片(5)が形成されたリテーナ(3)を採用する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は請求項4に係る発明によれば、容器挿入穴(3a)の縁から容器挿入穴(3a)の中心に向って突出する少なくとも三本の尖頭片(5)によって容器(2)をリテーナ(3)の容器挿入穴(3a)内に浮くように保持するので、容器(2)の外面に対して供給する殺菌剤は容器挿入穴(3a)を通り抜けながらフランジ部(2a)の下面にも満遍なく行き渡る。従って、容器(2)のフランジ部(2a)の下面を含む容器(2)の全外面を適正に殺菌することができる。また、尖頭片(5)の尖端(5c)がフランジ部(2a)の下面等の容器(2)外面に接触する箇所には殺菌剤が凝結しやすく逆に十分な殺菌剤が付着するので、尖頭片(5)の接触箇所も適正に殺菌される。
【0018】
請求項2又は請求項5に係る発明によれば、尖頭片(5)の尖端(5c)が容器(2)のフランジ部(2a)の下面に当接するので、殺菌中容器(2)を安定して保持し殺菌を適正に行うことができる。
【0019】
請求項3又は請求項6に係る発明によれば、尖頭片(5)の尖端(5c)が容器(2)の胴部(2b)の外面に当接するので、容器(2)のフランジ部(2a)の下面を完全に露呈させて殺菌剤を付着させることができ、殺菌効率を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
<実施の形態1>
図1に示すように、無菌充填機は、容器殺菌チャンバー10と、内容物充填チャンバー11とを備える。
【0022】
図2及び図3に示すように、この無菌充填機に供給される容器2は、紙、プラスチック等を材料としてカップ状に形成されており、胴部2bの上端の開口縁にフランジ部2aを有している。胴部2bはテーパが付いた円筒形に形成されるが、角筒形等他の形状であってもよい。
【0023】
図1に示すように、容器殺菌チャンバー10内には容器2を一方向に搬送するコンベア12が配置される。図2及び図3に示すように、コンベア12は水平に張設された無端チェーン4を有し、無端チェーン4にリテーナ3が等間隔で配置され、連結具4aによって連結される。無端チェーン4の駆動により、各リテーナ3は繋がった状態で図1に示す矢印方向に走行可能である。
【0024】
リテーナ3の上部走行路上には、その走行方向に沿って容器供給装置13、容器殺菌装置14、殺菌剤乾燥装置15が順に設けられる。これらの装置は公知の構造であるから詳しく説明しないが、容器供給装置13は入れ子状に積み重ねられた多数の容器2の山から吸盤で容器2を吸着して取り出しコンベア12のリテーナ3に供給するようになっており、容器殺菌装置14は容器2の内面と外面に向って過酸化水素等の殺菌剤ミストを噴霧ノズル14a,8から噴射するようになっており、殺菌剤乾燥装置15は容器2の内面と外面に向って熱風をエアノズル15a,15bから吹き掛けて容器2の表面に付着した殺菌剤を乾燥させるようになっている。
【0025】
容器殺菌チャンバー10内は無菌状態に保たれ、この容器殺菌チャンバー10内でコンベア12の駆動とともにリテーナ3が矢印方向に所定のピッチで間欠走行する。容器供給装置13はリテーナ3が下部走行路から上部走行路に移行したところでリテーナ3に容器2を供給し、容器殺菌装置14はリテーナ3に保持された容器2の内面と外面に向って噴霧ノズル14a,8を接近させ、噴霧ノズル14a,8から殺菌剤ミストを吹き掛け、殺菌剤乾燥装置15はリテーナ3に保持された容器2の内面と外面に向ってエアノズル15a,15bを接近させ、エアノズル15a,15bから熱風を吹き掛けて容器2の表面に付着した殺菌剤を乾燥除去する。
【0026】
図1に示すように、容器殺菌チャンバー10におけるリテーナ3の上部走行路の終端側から内容物充填チャンバー11に向って容器移載通路16が延びている。この容器移載通路16内も無菌状態に保持される。容器移載通路16内には図示しないがチャック機構が設けられ、リテーナ3から図示しない押し上げ機構で持ち上げられた容器2は、フランジ部2aを挟むチャック機構で挟まれて搬送され、内容物充填チャンバー11内で解放され、リテーナ18に入れられる。
【0027】
内容物充填チャンバー11内には、殺菌処理済みの容器2を一方向に搬送するコンベア17が配置される。コンベア17は水平に張設された無端チェーンを有し、無端チェーンに上記リテーナ3とは異なる構造のリテーナ18が等間隔で連結される。このリテーナ18は図7に示したリテーナ1と同様な構成であり、容器2が差し込まれる穴を有し、穴の縁で容器2のフランジ部2aの下面を受け止めるようになっている。無端チェーンの駆動により、各リテーナ18は繋がった状態で図1に示す矢印方向に走行可能である。
【0028】
内容物充填チャンバー11におけるリテーナ18の上部走行路の始端側上方には、容器移載通路16が接続され、容器移載通路16内を移動する吸盤が容器を吸着して始端側のリテーナ18に容器2を移し換えるようになっている。
【0029】
内容物充填チャンバー11内には、リテーナ18の上部走行路の走行方向に沿って内容物充填装置19、蓋材シール装置20、蓋材打抜き装置21が順に設けられる。これらの装置は公知の構造であるから詳しく説明しないが、内容物充填装置19はリテーナ18に保持された容器2内に内容物を充填ノズル19aから充填するようになっており、蓋材シール装置20は蓋材22を巻き取った繰出しロール22aから繰り出して容器2の開口部上に送り、加熱盤20aで蓋材22を容器2のフランジ部2aの上面にヒートシールするようになっており、蓋材打抜き装置21は容器2のフランジ部2aに接着された蓋材22を容器2の開口部に対応した形状に打抜刃21aで打ち抜くようになっている。
【0030】
内容物充填チャンバー11内は無菌状態に保たれ、この内容物充填チャンバー11内でコンベア17の駆動とともにリテーナ18が矢印方向に所定のピッチで間欠走行する。容器移載通路16内の吸盤は、リテーナ18が下部走行路から上部走行路に移行したところでリテーナ18に容器2を供給し、内容物充填装置19はリテーナ18に保持された容器2の開口部に充填ノズル19aを近づけて充填ノズル19aから内容物を容器2内に一定量射出し、蓋材シール装置20は蓋材22を容器2の開口部にあてがってフランジ部2aの上面にヒートシールし、蓋材打抜き装置21は蓋材22を容器2ごとに容器2の開口部に沿った形状に打ち抜く。打ち抜き後の蓋材22の残材は巻取りロール22bとして巻き取られる。
【0031】
内容物充填チャンバー11の後端には容器排出通路23が設けられ、図示しないが容器移載通路16内におけると同様に吸盤を備えたコンベアがこの通路23内に設けられる。コンベアの吸盤は、内容物が充填され開口部が閉じられた容器2を吸着して終端側のリテーナ18から抜き取り、内容物充填チャンバー11外に取り出す。
【0032】
以上のようにして容器2に対する無菌充填が行われるが、容器2の外面を殺菌する段階で容器2のフランジ部2aの下面に殺菌不良や、殺菌剤の残留を生じないようにするため次のようなリテーナを用いた殺菌方法が採用される。
【0033】
図2乃至図4に示すように、各リテーナ3はステンレス鋼板等の板材で形成され、容器挿入穴3aが複数個穿設される。容器挿入穴3aは殺菌剤が容器2の外面との間を通過しやすいように望ましくは容器2のフランジ部2aよりもやや大きい径で穿設される。容器挿入穴3aは容器2のフランジ部2aの外径よりも小さく形成してもよいが、その場合容器2はその外面と容器挿入穴3aとの間に殺菌剤の通る隙間が生じるように容器挿入穴3aに挿入される。
【0034】
リテーナ3の各容器挿入穴3aの縁からは、容器挿入穴3aの中心に向って少なくとも三本の尖頭片5が突出する。尖頭片5は容器挿入穴3aの周囲に望ましくは等角度で配置される。また、この実施の形態では四個設けられているが、五個以上設けることも可能である。
【0035】
各尖頭片5は、リテーナ3に固定される基部5aと、基部5aから略三角形状に突出する突出部5bとを備える。各尖頭片5は基部5aがリテーナ3の下面にスペーサ6を介しボルト7で固定されることによりリテーナ3の容器挿入穴3aの周囲に保持される。突出部5bは基部5aから容器挿入穴3aの中心に向って突出すると同時に上向きに傾斜し、その尖端5cが容器挿入穴3aを含む平面上へと伸びている。容器供給部において容器2が容器挿入穴3aに挿入されると、各尖頭片5の尖端5cが容器2の外面であるフランジ部2aの裏面に略点状に当接し、これにより容器2はリテーナ3の容器挿入穴3a内に浮いた状態で保持される。
【0036】
図1に示すように、リテーナ3の水平走行路上における容器供給装置よりも下流側には容器殺菌装置が設けられるが、この殺菌部は図4に示すように容器2の外面を殺菌するための殺菌剤を噴霧する噴霧ノズル8をリテーナ3の下方に備える。
【0037】
リテーナ3の下方の噴霧ノズル8はその如雨露状の吐出部8aが容器2の底部2cに正対するように配置される。吐出部8aには殺菌剤を噴出する多数の噴出孔(図示せず)が形成される。噴出孔は望ましくは容器2の外面の面積の大きさに応じて配列され、そのため中央部は疎に外周に向うに連れ密に配列される。噴霧ノズル8内には図示しない殺菌剤発生源から例えば過酸化水素のミストが供給され、このミストが吐出部8aの噴出孔から矢印で示すように噴出し、容器2の底部2c、胴部2bの各外面に細かく密な滴となって付着する。また、容器2は尖頭片5によってリテーナ3の容器挿入穴3a内に浮いた状態で保持されるので、容器2の胴部2bの外面に沿って上昇するミストは容器挿入穴3aと容器2のフランジ部2aとの間の隙間を通り抜け、その際フランジ部2aの下面である裏側にも満遍なく行き渡る。これにより、容器2のフランジ部2aの下面を含む容器2の全外面が適正に殺菌される。また、尖頭片5の尖端5cがフランジ部2aの下面に接触した箇所には殺菌剤が凝結しやすく十分な殺菌剤が付着することから、尖頭片5が接触した箇所も適正に殺菌される。
【0038】
次に、上記構成のリテーナの作用について容器外面の殺菌方法とともに説明する。
【0039】
(1)図1乃至図3に示すように、容器殺菌チャンバー10内において無端チェーン4の駆動により、全リテーナ3が繋がった状態で水平面上を走行し、容器供給装置13において容器2がリテーナ3の容器挿入穴3a内に挿入される。
【0040】
(2)図2及び図3に示すように、容器2の胴部2bがリテーナ3の容器挿入穴3a内に入ると、容器挿入穴3aの縁から容器挿入穴3aの中心に向って突出する四本の尖頭片5の各尖端5cが容器2のフランジ部2aの下面に当接する。尖頭片5の尖端5cが容器2のフランジ部2aの下面に当接するので、容器2はリテーナ3に安定して保持される。四本の尖頭片5により、容器2は容器挿入穴3a内に浮くように保持され、容器2のフランジ部2aと容器挿入穴3aとの間には隙間が環状に形成される。
【0041】
(3)図1及び図4に示すように、容器2を保持したリテーナ3が容器供給装置13から容器殺菌装置14に移動すると、リテーナ3の下方の殺菌剤噴霧ノズル8が吐出部8aから容器2の底部2cに向って殺菌剤のミストを噴出する。殺菌剤のミストは吐出部8aの噴出孔から矢印で示すように噴出し、容器2の底部2c、胴部2bの各外面に細かい密な滴となって付着する。
【0042】
また、殺菌剤のミストは容器2の胴部2bの外面に沿って上昇し容器挿入穴3aと容器2のフランジ部2aとの間の隙間を上方に通り抜け、その際フランジ部2aの下面にも満遍なく行き渡り付着する。これにより、容器2のフランジ部2aの下面を含む容器2の全外面が殺菌される。尖頭片5の尖端5cがフランジ部2aの下面に接触した点状の箇所では、殺菌剤が凝結し十分な殺菌剤が付着する。そのため、尖頭片5が接触した箇所も適正に殺菌される。
【0043】
なお、図1に示すリテーナ3の上方の殺菌剤噴霧ノズル14aからも殺菌剤のミストが噴出され、このミストが容器2内に流入しフランジ部2aの上面を含む容器2の内面を殺菌する。
【0044】
(4)リテーナ3が容器殺菌装置14から殺菌済みの容器2を保持しつつ殺菌剤乾燥装置15へ移動し、殺菌剤乾燥装置15のエアノズル15a,15bから熱風が吹き出して容器2に付着した殺菌剤を乾燥除去する。
【0045】
(5)図1に示すように、殺菌処理された容器2は、容器殺菌チャンバー10から内容物充填チャンバー11へと容器移載通路16を通って搬送され、内容物充填チャンバー11内のリテーナ18に供給される。リテーナ18は容器2を矢印方向に搬送し、この搬送される容器2に対して内容物充填装置19が充填ノズル19aから内容物を充填し、蓋材シール装置20が蓋材22を容器2の開口部にあてがって加熱盤20aとリテーナ18とでフランジ部2aを蓋材22と共に挟み込み、フランジ部2aの上面に蓋材22をヒートシールし、蓋材打抜き装置21がその打抜刃21aをリテーナ18に押し付けることで蓋材22を容器2ごとに容器2の開口部に沿った形状に打ち抜く。
【0046】
かくて、内容物の無菌充填が完了した容器2は容器排出通路23から内容物充填チャンバー11の外に取り出される。
【0047】
<実施の形態2>
図5に示すように、この実施の形態2においては、実施の形態1と異なり、尖頭片5がリテーナの上面に固定される。尖頭片5の固定にはボルト7及びナット片9が用いられる。これにより、容器2のフランジ部2aは容器挿入穴3aの上方に高く持ち上げられ、容器2のフランジ部2aと容器挿入穴3aとの間の隙間が大きくなり、殺菌剤のミストがフランジ部2aの裏面に付着しやすくなる。
【0048】
<実施の形態3>
図6に示すように、この実施の形態3においては、実施の形態1,2と異なり、尖頭片5はその尖端5cが容器2の胴部2bの外面に当接するように形成される。これにより、殺菌部において容器2のフランジ部2aの裏面は殺菌剤のミストの流路に完全に露呈し、殺菌剤のミストがフランジ部2aの裏面に満遍なく付着する。
【0049】
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば殺菌剤として過酸化水素のミストを用いるものとして説明したが、他の殺菌剤を用いることも可能であり、またミストではなくガス、スプレー等として容器に供給することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態1に係るリテーナを備えた無菌充填機の正面図である。
【図2】図1中、II部の部分切欠平面図である。
【図3】図2に示すリテーナ及び容器の正面図である。
【図4】図2中、IV−IV線矢視断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2を示す垂直断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3を示す垂直断面図である。
【図7】従来例を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
【0051】
2…容器
2a…フランジ部
2b…胴部
3…リテーナ
3a…容器挿入穴
5…尖頭片
5c…尖端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リテーナにおける容器挿入穴の縁から容器挿入穴の中心に向って突出する少なくとも三本の尖頭片によって容器を容器挿入穴内に保持し、しかる後に殺菌剤を容器の外面に対して供給することを特徴とする容器外面の殺菌方法。
【請求項2】
請求項1に記載の容器外面の殺菌方法において、尖頭片の尖端を容器のフランジ部の下面に当接させることを特徴とする容器外面の殺菌方法。
【請求項3】
請求項1に記載の容器外面の殺菌方法において、尖頭片の尖端を容器の胴部の外面に当接させることを特徴とする容器外面の殺菌方法。
【請求項4】
容器挿入穴の縁から容器挿入穴の中心に向って突出する少なくとも三本の尖頭片を備え、各尖頭片の尖端を容器の外面に当てることにより容器を容器挿入穴内に保持するようにしたことを特徴とするリテーナ。
【請求項5】
請求項4に記載のリテーナにおいて、尖端が容器のフランジ部の下面に当接するように尖頭片が形成されたことを特徴とするリテーナ。
【請求項6】
請求項4に記載のリテーナにおいて、尖端が容器の胴部の外面に当接するように尖頭片が形成されたことを特徴とするリテーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−111337(P2006−111337A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303288(P2004−303288)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】