説明

容器成形用積層材およびその製造方法

【課題】水性グラビア印刷で印刷した印刷フイルムを積層した容器成形用積層材において、容器成形用積層材を容器に成形した際、低部コーナー部分の印刷濃度が薄くならないようにし、かつ、油性グラビア印刷と同等の印刷スピードで印刷できるようにする。
【解決手段】印刷用フイルムに水性グラビア印刷で印刷を施した印刷フイルムと主層とが熱貼合によって積層されている。印刷用フイルムが未延伸ポリプロピレンフイルム、延伸ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンフイルム、高密度ポリエチレンフイルム又はアモルファスポリエチレンテレフタレートフイルムである。主層が発泡ポリプロピレンシート、ポリプロピレンシート、発泡ポリエチレンシート、ポリエチレンシート、発泡ポリスチレンシート、耐熱発泡ポリスチレンシート、ポリスチレンシート又は耐熱ポリスチレンシートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷されたフイルムと主層を熱貼合により積層した容器成形用積層材に関し、さらに詳しくは、水性グラビア印刷用のインキの顔料濃度を10〜50%としたり、ビヒクルをフイルムと主層の両方に接着する接着成分としたり、スクリーン線数が200線以下、版深が35μm以上の版胴を用いたりして印刷した印刷フイルムと、主層とを熱貼合によって積層する容器成形用積層材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、油性インキの溶剤の持つ印刷作業時の悪臭、健康に対する作業環境、爆発の危険性、印刷物の残留溶剤臭、工場周辺の環境を汚染させる問題、CO2削減に対する問題や、溶剤は全て揮散させるので溶剤資源の無駄使いの問題、さらに、下記の法規制に対応するために、水性グラビア印刷に移行しつつある。(例えば、特許文献1〜3参照)
【0003】
消防法改正(1990年);グラビアインキの指定数量変更
第2石油類(500L)→第一石油類(200L)
大気汚染、悪臭防止法改正;キシレン、トルエン、酢酸エチルイソブタノール
(1994年) 等が追加
労働安全衛生法;トルエンの作業環境濃度の変更100ppm→50ppm
(1995年)
製造物責任法;印刷物残留溶剤量の低減要望
(1995年)
【0004】
しかしながら、水性グラビア印刷に用いる水性グラビアインキは、溶剤として水(70%)‐エタノール(30%)を用いているため、油性グラビアインキの蒸発潜熱より大きいものであった。例えば、油性グラビアインキにおいては、トルエン(40%)‐酢酸エチルエステル(40%)‐イソプロピルアルコール(20%)溶剤の蒸発潜熱(86.9cal/g×0.4)+(88.2×0.4)+(159.2×0.2)=101.9cal/g、メチルエチルケトン(40%)−酢酸エチルエステル(40%)−イソプロピルアルコール(20%)溶剤の蒸発潜熱(105.0×0.4)+(88.2×0.4)+(159.2×0.2)=109.1cal/gであり、水性グラビアインキの溶剤;水(70%)−エタノール(30%)の蒸発潜熱は、(586.9cal/g×0.7)+(199.2×0.3)=470.7cal/gと高いものである。
【0005】
したがって、水性グラビア印刷においては、水性グラビアインキを乾燥させるために、油性グラビアインキに比べて4.3(470.7/109.1〜4.6(470.7/101.9)倍の熱量が必要であった。
【0006】
表1にグラビアインキに用いられる主要溶剤の性質を示す。
【0007】
【表1】

【0008】
このような水性グラビアインキの乾燥に大きな熱量が必要なことの対応策として、乾燥工程での滞留時間を長くすることや、熱風の風量を増加することや、熱風の温度を高くすることが考えられるが、滞留時間を長くすることは印刷スピードが遅くなって好ましくなく、風量を増加することは設備の改造や、また風によってフイルムがバタつくことにもなる。効率的に熱量を与えるには、熱風温度を上げることが最っとも適しているが、フイルムの温度も上がることになり、フイルムの温度が上がるとフイルムに伸びが生じ、各色の印刷ピッチのズレにつながるものであった。
【0009】
なお、特許文献2には、メッシュの線数が200〜400線で版深が10〜17μmの版胴を用い、インキの転移量を少なくしてスピードを落さずに乾燥する方法が開示されている。
【0010】
一方、印刷が施された印刷フイルムを主層に積層した容器成形用積層材は、容器に成形された際、主層の伸びに追従して印刷フイルムも伸びることになり、印刷フイルムの伸びた部分は、インキの量が少なく色が薄くなる。特に、容器の低部コーナーの部分は、色が薄くなって色調が変わるものであり、油性グラビア印刷でも満足するものではなく、水性グラビア印刷においては、さらにインキの量が少なくなるので、色調の変化が極めて顕著となるものであった。
【0011】
ところで、印刷フイルムと主層とを積層する際、主層は一般に厚いので、特に、発泡耐熱ポリスチレンシートや発泡ポリプロピレンシートは剛性があるので、ロールの多いドライラミネート装置にかからず、また、ドライラミネートは強いニップ圧が必要なため、発泡したセルをつぶしてしまうことになるのでドライラミネートが出来なかった。そこで、まず、印刷フイルムと主層と同じ樹脂から成る接着用フイルムとをドライラミネートで貼合し、この接着用フイルムと主層とを熱貼合することにより印刷フイルムと主層とを積層していた。
【0012】
【特許文献1】特許第3249223号公報
【特許文献2】特開2001−30611号公報
【特許文献3】特開2002−96448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
さて、印刷フイルムと主層とを貼合した容器成形用積層材を容器に成形した際、延ばされた部分の印刷の色が薄くならないようにするためには、インキ中の顔料濃度を高くして多くの顔料を転移させて濃く印刷すれば防げる。しかし、油性グラビアインキは顔料を溶剤に溶解させる方式であるので、顔料濃度が高くなると油性グラビアインキの粘度が高くなり、印刷時の適正粘度からはずれることとなる。したがって、油性グラビアインキの顔料濃度を高くすることは困難であった。
【0014】
これに対し、水性グラビアインキは顔料を水に分散させる方式であるので、顔料濃度を高くしても粘度は高くならず、顔料濃度を高くすることが出来る。
【0015】
表2に油性グラビアインキと水性グラビアインキの顔料濃度と粘度との関係を示す。
【0016】
【表2】

粘度はザーンカップNo.3の秒数
カラーは赤、黄、青色
【0017】
ところで、上述したように、水性グラビアインキの溶剤の持つ蒸発潜熱は、油性グラビアインキの溶剤の持つ蒸発潜熱の4.3倍〜4.6倍であるため、その乾燥効率が問題となり、この対応策として、メッシュ線数が200〜400線、版深が10〜17μmの版胴で印刷しインキの転移量を少なくして印刷スピードを落さずに乾燥する方法が提案されている。
【0018】
しかしながら、水性インキの顔料濃度を上げたとしても、インキの転移量が少ないため顔料の絶対量も少なく、その結果、充分に濃い印刷をすることは出来なかった。
【0019】
表3にヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数と版深とインキの転移量との関係を示す。
【0020】
【表3】

【0021】
また、版深が浅いため油性グラビア印刷に使用することが出来ず、同じ図柄で油性グラビア印刷と水性グラビア印刷の両方式による印刷をしたい場合は、夫々版胴を用意しなければならなかった。
【0022】
今、通常の油性グラビア版であるスクリーン線数175線、版深42μmの版胴を用い、油性グラビアインキの顔料濃度10%、水性グラビアインキの顔料濃度15%で夫々印刷したとすると、印刷物への顔料の転移量は、油性グラビアインキにおいて、6.5g×10/100=0.65g/m2、水性グラビアインキにおいて、6.5g×15/100=0.975g/m2となる。したがって、0.975/0.65=1.5と、水性グラビアインキは油性グラビアインキの1.5倍の顔料の転移量となり、その結果、水性グラビア印刷は油性グラビア印刷の1.5倍濃く印刷することが出来る。
【0023】
また、水性グラビアインキの乾燥を効率良くするために、スクリーン線数300線、版深25μmの版胴を用いて水性グラビア印刷をしたとすると、顔料の転移量は2.7g×15/100=0.405g/m2となり、通常の油性グラビア印刷における顔料の転移量0.65g/m2より少なくなり、油性グラビア印刷よりも更に薄くなる。
【0024】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、水性グラビア印刷で印刷した印刷フイルムを積層した容器成形用積層材において、容器成形用積層材を容器に成形した際、低部コーナー部分の印刷濃度が薄くならないように顔料の転移量を多くし、かつ、印刷スピードを落さず油性グラビア印刷と同等の印刷スピードで印刷できるようにすることを目的とする。
【0025】
また、従来、印刷フイルムを主層と熱貼合するために、主層と同じ樹脂からなる接着フイルムを印刷フイルムにドライラミネートし、この接着フイルムを主層と熱貼合していたが、この接着フイルムを不要とすることにより、材料費、加工費等の費用を削減し、安価に提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討した。すなわち、容器成形用積層材を容器に成形し、成形によって延ばされた容器の低部コーナー部分でも印刷が薄くならないようにするためには、印刷フイルムへのインキ顔料の転移量を多くして濃く印刷すれば良く、インキ顔料の転移量を多くするためには、表1に示すように、水性グラビアインキを用いれば粘度も上らず所望のインキ濃度を得ることが出来る。そして、その水性グラビアインキを油性用のグラビア版と同じスクリーン線数200線以下、版深35μm以上の版胴を用いて印刷すれば、ウェットベースで油性グラビア印刷と同じインキの量を転移出来、その結果、油性グラビアインキの顔料濃度と水性グラビアインキの顔料濃度の差だけ濃い印刷が出来る。
【0027】
しかしながら、水性グラビアインキは油性グラビアインキの蒸発潜熱よりも4.3倍〜4.6倍高いため乾燥効率が悪いものであった。そこで、効率的に熱量を与えて乾燥させるために熱風の温度を上げて乾燥させると、水性多色グラビア印刷の各色の印刷ユニットの印刷‐乾燥‐冷却工程中の乾燥工程で与えられた熱量によってフイルムの温度が上がり、冷却工程で冷却不足となり2色目、3色目と段々に熱が蓄積されて温度も段々に上昇する。その結果、フイルムの伸びも段々に大きくなり、すでに印刷した図柄が伸び(1色目が一番大きくなる)、その上に重ねて印刷する版とズレて許容出来ない印刷ズレ(色ズレ)を起こすことが判明した。図4にOPP(20μm)の伸長度の温度依存性を示す。
【0028】
さらに、この印刷ズレを改良すべく鋭意研究した結果、乾燥工程でいくら熱風温度を上げて伸びが生じても、次の冷却工程で十分冷却して、その印刷ユニットで与えた熱量を消去し、各色の印刷時のフイルム温度を略同じ温度まで冷却すれば各色の印刷時の伸びはほぼ同じとなり、図柄の伸びもほぼ同じとなって印刷ズレを起こさないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0029】
すなわち、OPPフイルム(20μm)では、図柄の大きさを5cmとすると、図柄は0.2mm以上ズレると色ズレと判るので、各色の印刷時の伸びの差が0.2/50×100=0.4%の伸びの差まで許容できる。1色目の印刷温度(印刷時のフイルム温度)を25℃とすれば、図4に示す(OPP−20μm)の実線から25℃の伸び約0.3%に、伸びの差0.4%をプラスした0.7%の伸びた時の温度、約43℃まで各印刷時のフイルム温度を冷却すれば許容範囲内となって印刷ズレは起こさないものである。
【0030】
また、従来、冷風と冷却ロールで原反の印刷面からの片面からの瞬間的な冷却であったため、反対面に残る余熱が冷却ロールを離れてから伝熱で全体に伝わり、充分に冷却できなかったことが判明し、さらに、印刷面を従来の冷風と冷却ロールで冷却すると同時に、反対面に冷却用液体を塗布し、その後冷風を吹き付けて気化させ、その蒸発潜熱で冷却することが効果的であることを見出した。
【0031】
一方、印刷フイルムと主層と熱貼合するために主層と同じ樹脂からなる接着フイルムをドライラミネート加工していたが、接着フイルムを省いてドライラミネート工程を省略し、印刷フイルムを直接主層と熱貼合するためには、印刷フイルムと主層の両方に熱接着する接着成分を水性グラビアインキのビヒクルとしてインキ中に含有させ、印刷すると同時に接着成分をコートすればそのまま直接主層と熱貼合出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。さらに、ベタ印刷ではなく未印刷部の残る図柄の場合には、図柄の印刷の上に更にインキのビヒクルと同じ成分をメジウムとして塗布すれば良い。
【0032】
すなわち、容器成形用積層材を容器に成形して、成形によって延ばされた容器低部コーナー部分でも印刷が薄くならないようにするために、印刷用フイルムに水性グラビアインキの顔料濃度を高くし、インキ中のビヒクルを印刷フイルムと主層との両方に接着する接着成分とし、スクリーン線数200線以下、版深35μm以上の版胴で印刷し、乾燥を80℃以上の熱風温度で効率的に熱を与えて乾燥し、熱風によって温度の上ったフイルムを印刷面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反対面は液体を塗布し、その後冷風を吹き付けて気化させ、その蒸発潜熱で冷却して、印刷‐乾燥‐冷却の工程から成る各色の印刷ユニット内で与えた熱量をその印刷ユニット内で消去して印刷スピードを落さずに油性グラビア印刷と同等の120m/秒で印刷した印刷フイルムを印刷面を主層と接するようにして熱貼合するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の容器成形用積層材は、印刷用フイルムに水性グラビア印刷で印刷を施した印刷フイルムと主層とを熱貼合によって積層するものである。印刷を施す印刷用のフイルムとしては、積層材を容器に成形した時に、主層に追従して伸びる必要がある。また、食品に直接接触するので食品安全衛生性が高い必要があり、さらに、主層からの各種添加剤や抗酸化剤、ポリスチレンのダイマー、トリマー等の移行や、異味悪臭を遮断する役割を持つ必要がある。
【0034】
印刷用フイルムとしては、未延伸ポリプロピレンフイルム、延伸ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンフイルム、高密度ポリエチレンフイルム、アモルファスポリエチレンテレフタレートフイルムが挙げられる。
【0035】
印刷用フイルムの厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜50μmがより好ましい。フイルムの厚みが10μmより薄いと、成形加工の際、伸びた部分に極端に薄い部分が出来たり、切れたりする恐れがあり、また100μmより厚いと、コスト的に割高となる。
【0036】
印刷用フイルムへの印刷は水性グラビア印刷で行う。水性グラビア印刷であれば、各種法規制、作業時の悪臭対健康、爆発の危険性、工場周辺の環境汚染、CO2削減、資源の無駄使い等に対応するだけでなく、食品容器として最っとも重要な残留溶剤による溶剤臭がない。
【0037】
水性グラビア印刷に用いる水性グラビアインキは、水(70%)とエタノール(30%)とからなる溶剤に顔料を分散させた分散系であるので、顔料濃度を高くしても粘度が上らず所望の濃度が得られる。しかし、あまり濃度が高いと版カブリの問題が発生するので、図柄の印刷では10〜20%の顔料濃度が好ましく、版カブリが問題にならないベタ印刷では10〜50%の顔料濃度が好ましい。
【0038】
これに対し、油性グラビアインキは溶剤に顔料を溶解する溶解系であるので、濃度が高くなると粘度が上がる。したがって、油性グラビアインキの粘度が印刷の適性粘度からはずれることとなるので、顔料の濃度を高くすることが出来ない。油性インキの白ベタ以外の顔料濃度は8〜10%が限度である。白ベタインキはTiO2の無機顔料のため分散系となり、濃度を上げてもそれ程粘度は上らない。
【0039】
水性グラビアインキには顔料をフイルムに固着させるビヒクルが10〜20%含まれている。水性グラビアインキのビヒクルは樹脂の酸成分(−COOH等)をアミン等で中和して水溶性となっている。
【0040】
ビヒクルは顔料を印刷用フイルムに固着させるものであるので、印刷用フイルムに接着する樹脂が選ばれる。また、ビヒクルに用いられた樹脂が主層にも接着する樹脂であれば、印刷フイルムの印刷面を主層と接するようにして熱を加えれば印刷フイルムと主層とを熱貼合することができる。
【0041】
図柄印刷等で未印刷部が残る場合は、更に印刷面の全面に同じビヒクルを溶解させたメジウムをコートする。しかし、未印刷部が残っても、印刷用フイルムが主層と同材質の樹脂の場合(例えば、ポリエチレンフイルムの印刷用フイルムと発泡ポリエチレンシートの主層の場合)、未印刷部でも同種の樹脂であり熱貼合することが出来るので、メジウムをコートをする必要はない。
【0042】
水性グラビア印刷に用いる版胴は、ヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数が200線以下、版深が35μm以上が好ましく、スクリーン線数175線、版深42μmがより好ましい。以上のような版胴を用いることにより、充分な量の顔料を転移させることができる。
【0043】
印刷されたフイルムは乾燥工程で乾燥される。風量は油性グラビア印刷の乾燥の風量と同様に40〜70m3/minとし、効率的に熱量を加えるため80℃〜150℃の熱風で乾燥させる。熱風の温度は高ければ高い程熱量を与えられ印刷スピードも上げられることが出来るが、温度が高くなるにつれて装置等にうばわれて損失する量も多くなるので印刷スピードに合った適性な熱風温度が必要である。
【0044】
油性グラビア印刷と略同様の120m3/minの印刷スピードであれば、熱風温度は120℃位が適性である。乾燥された印刷フイルムは熱風の熱で温度が上昇して伸びており、そのまま次の色の印刷工程で印刷すると印刷ズレが起るので、略その印刷ユニット内の印刷時の温度まで冷却工程で冷却される。
【0045】
冷却工程においては、乾燥工程で印刷用フイルムに付与された熱量を消去し、各ユニットにおける印刷工程での印刷用フイルム温度を略同一となるようにするものである。冷却はフイルムの印刷面のみ冷却することも出来るが、印刷面と同時に反対面も冷却することが好ましい。フイルムの両面を冷却することにより、効率よく冷却することが出来、印刷速度を落すことなく次の印刷工程においてフイルムの温度を所定の温度まで低下させることが出来る。
【0046】
フイルムの印刷面と反対面とを冷却するには、例えば、印刷面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反対面は冷却用液体を塗布後、冷風を吹き付けて冷却用液体を気化させ、その蒸発潜熱によって冷却することができる。このように冷却用液体を用いて冷却することにより、簡単な構造で効率良く冷却することができる。
【0047】
冷却用液体は、蒸発潜熱で熱を奪うものであるから、蒸発潜熱が大きいこと、沸点が低く蒸気圧が高くて気化しやすいこと、ムラなく塗布するために表面張力が小さいことが求められ、このような冷却用液体は、1種類又は2種類以上の液体を混合した混合液体で調製することができる。例えば、低級アルコールのメタノールやエタノール単独でも良いが、蒸発潜熱を大きくしたい場合には、蒸発潜熱の最も大きい水を主体とし、水とどのような割合でも溶け合い、水に不足している気化し易さと表面張力とを補う補助液体との混合液体を用いることができる。
【0048】
このような補助液体としては、低級アルコール類、エステル類があるが蒸発潜熱、蒸気圧の大きな低級アルコールが好ましく、エタノールでも良いがコストの点からメタノールが最も好ましい。表4にエステル類と低級アルコールの沸点、気化(蒸発)潜熱、蒸気圧、表面張力のデータを示す。
【0049】
【表4】

【0050】
混合液体の上記物性値は、蒸気圧を除いては、水とメタノール、エタノール、酢酸エチルエステルとの間の値となる。蒸気圧はその場の気相に夫々単独で蒸発するので、両方の合算した値となる。混合液体の割合は、水が多くなれば蒸発潜熱は大きいが気化しにくくなり、メタノール、エタノール、酢酸エチルエステルの割合が多くなれば気化しやすくなるが気化熱は小さくなる。例えば、水とメタノールの割合は、水(10〜90%):メタノール(10〜90%)の中から気化速度、蒸発潜熱の程度を考慮して設定することができる。
【0051】
冷却用液体の塗布は、略均一に塗布できる手段であれば特に限定されず、例えば、霧吹き状に吹き付けても、ロールを介して塗布してもよいが、モルトンロール(金属ロールの全面に布を巻いたもの)の布に冷却用液体を浸み込ませて、冷却ロール上の原反にモルトンロールを接触させることにより塗布することが、簡単な装置で均一に塗布できるので好ましい。
【0052】
冷却用液体を塗布した面には、冷風を吹き付けて冷却用液体の気化を促進させる。冷風を吹付けることにより、冷却用液体の塗布面の周囲の気相から冷却用液体の蒸気を取り除かれるので、気化が促進されるものである。この段階で、多少の塗布した冷却用液体が残っていても、その後の搬送ライン上で気化し、同時にフイルムを冷却しながら次の色の印刷時までには完全に気化が終了し、フイルムの温度は前の印刷工程における印刷時の温度まで下がっている。
【0053】
冷却は、冷却すればする程伸びは小さくなるので、冷却する程効果的であるが、第1色目から最終色までの各色の印刷時のフイルム温度が略一定であることが重要である。
【0054】
以上のような水性グラビア印刷を行なう水性グラビア印刷装置としては、各冷却部に、フイルムの印刷面が巻き掛けられる冷却ロールと、印刷面に冷風を吹き付ける印刷面用冷風吹付け手段と、印刷面の反対面に冷却用液体を塗布する冷却用液体塗布手段と、この冷却用液体塗布手段で冷却用液体が塗布された面に冷風を吹付ける気化促進用冷風吹付け手段とを設けたものを用いることができる。
【0055】
冷却用液体塗布手段としては、モルトンロール、スプレー等、冷却用液体を塗布できるものであれば特に限定されない。気化促進用冷風吹付け手段は、塗布面の周囲の気体を取り除けるものであれば特に限定されない。前記冷却ロールと印刷面用冷風吹付け手段とは、従来用いられているものを用いることができる。
【0056】
主層は主として容器の形状を保持する役割を担い、発泡ポリプロピレンシート、ポリプロピレンシート、発泡ポリエチレンシート、ポリエチレンシート、発泡ポリスチレンシート、耐熱発泡ポリスチレンシート、耐熱ポリスチレンシート、ポリスチレンシートが用いられる。
【0057】
主層の厚みは、無発泡シートの場合0.2〜1.0mmが好ましく、0.3〜0.8mmがより好ましい。0.2mm未満では容器としての保形性がなく、1.0mmを超えるとコスト高になる。発泡シートの場合は0.3〜3.0mmが好ましく、0.5〜2.0mmがより好ましい。0.3mm未満では容器の保形性が難しく、3.0mmを超えるとコスト高になる。
【0058】
印刷フイルムと主層とを熱貼合するには、主層を形成する時に印刷フイルムの印刷面を主層と接するようにし、主層の押出し時の熱によって貼合しても、また、予め形成してあった主層に印刷フイルムの印刷面を接するようにし、熱ロールで熱を与えて熱貼合しても良い。
【0059】
本発明による容器成形用積層材の製造方法に用いるグラビア印刷装置の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0060】
図1は水性グラビア印刷装置の全体の概略図、図2は水性グラビア印刷装置の第1印刷ユニット部分の拡大図である。
【0061】
図1及び図2において、100は給紙部で、フイルム1を後続の印刷ユニットへ繰出すものである。200は第1色目の第1印刷ユニット、300は第2色目の第2印刷ユニット、400は第3色目の第3印刷ユニット、500は第4色目の第4印刷ユニット、600は第5色目の第5印刷ユニットとである。
【0062】
第1色目の第1印刷ユニット200は、フイルム1に印刷を施す印刷部210と、印刷されたフイルム1を乾燥させる乾燥部220と、フイルム1を冷却する冷却部230とが設けられている。印刷部210には、版胴211、圧胴212、ファニッシャーロール213が設けられており、乾燥部220には、多数のコロロール221…221が設けられている。
【0063】
冷却部230には、フイルム1の印刷面に当接して冷却する冷却ロール231が設けられ、この冷却ロール231の上流側(フイルム1が搬送されてくる側)の近傍に、フイルム1の印刷面に冷風を吹付ける冷風機232が設けられている。また、冷却ロール231に当接してモルトンロール233が設けられており、このモルトンロール233の表面に設けられた布材には、冷却用液体が含まされている。さらに、冷却ロール231の出口側(フイルムが出て行く側)には、気化促進用の冷風ノズル234が設けられている。この冷風ノズル234と冷風機232は冷風の供給源(図示せず)に連結されており、フイルム1の印刷面と塗布面に冷風を吹付けるようになっている。
【0064】
なお、第2色目の第2印刷ユニット300、第3色目の第3印刷ユニット400、第4色目の第4印刷ユニット500、第5色目の第5印刷ユニット600も、第1色目の第1印刷ユニット200と同様に、版胴311、411、511、611、圧胴312、412、512、612、ファニッシャーロール313、413、513、613、コロロール321、421、521、621、冷却ロール331、431、531、631、冷風機332、432、532、632、ネルトンロール333、433、533、633、冷風ノズル334、434、534、634が設けられている。
【0065】
以上のような水性グラビア印刷装置でグラビア印刷するには、給紙部100からフイルム1を繰出して第1色目の第1印刷ユニット200に送り込む。印刷ユニット200に送られて来たフイルム1は、まず、印刷部210において版胴211と圧胴212に圧着されて第1色(例えば、白ベタ)が印刷される。このフイルム1は乾燥部220において熱風で乾燥させられた後、冷却部230へ送られる。
【0066】
フイルム1は、冷却部230において、まず、冷風機232により印刷面11に冷風が吹付けられた後、続いて冷却ロール231に巻回されて印刷面11側から冷却される。また、冷却ロール231への巻回された状態において、モルトンロール233が圧接しているので、モルトンロール233に蓄えられた冷却用液体が印刷面の反対側の面に塗布される。さらに、冷却ロール231の出口側において、冷風ノズル234からフイルム1の液体塗布面12に冷風が吹付けられる。冷却用液体は気化し易いので、気化によりフイルム1から熱を奪い冷却する。また、冷風ノズル234からの冷風により、気化した冷却用液体をフイルム1の周囲から除去するので、冷却用液体の気化が促進されている。
【0067】
したがって、フイルム1の印刷面11側は、主として、冷風機232からの冷風と、冷却ロール231とにより冷却され、また、フイルム1の液体塗布面12側は、主として、冷却用液体の蒸発潜熱により冷却され、全体として効果的に冷却されている。そして、この冷却により、印刷部210において印刷された際のフイルム1の温度に略同一となるようにしている。
【0068】
そして、第2色目以降の印刷ユニットにおいても、同様な動作を繰り返し、5色からなる水性グラビア印刷をフイルム1に施し、グラビア印刷が完成する。
【0069】
このようにして印刷された印刷フイルムは、その印刷面を主層と接するようにして熱貼合し、容器成形用積層材が作製される。
【実施例】
【0070】
[実施例1]
図1及び図2に示すグラビア印刷装置を用いて印刷フイルムを作製した。
版胴にヘリオの彫刻で彫られた(スタイラス角度130℃、スクリーン線数175線、版深42μm)のグラビアロールを、富士機械(株)製5色のグラビア印刷機(FM−5Sタイプ)にセットし、サカタインクス(株)製水性インキPP1(ウレタン系ビヒクル)を用いて、水(70%)とエタノール(30%)で希釈して白色(顔料濃度30%、粘度ザーンカップNO3で25秒)、黄色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で18秒)、赤色(顔料濃度125、粘度ザーンカップNO3で18秒)、青色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で18秒)、黒色(顔料濃度12%、粘度ザーンカップNO3で33秒)のインキを調製した。
【0071】
印刷フイルム1は、サントックス(株)製、容器成形用OPPフイルムMF−20(厚さ25μm、巾1000mm、2000m巻き、片面コロナ処理)を5色印刷機の給紙部100にセットし、コロナ処理面に印刷しながら印刷スピード120m/min、テンション8.0kg/1000mm巾、白ベタ(第1印刷ユニット200)、黄色(第2印刷ユニット300)、赤色(第3印刷ユニット400)、青色(第4印刷ユニット500)、黒色(第5印刷ユニット600)の順で百合の花柄模様の重ね印刷を行なった。
【0072】
乾燥部220、320、420、520、620での熱風は、第1印刷ユニット200において120℃、60m/minにし、第2印刷ユニット300以降において100℃、60m/minとした。
【0073】
冷却部230、330、430、530、630は既存の冷風機232、332、432、532、632から30℃の冷風を印刷面11側に吹き付け、次いで既存の冷却ロール231、331、431、531、631に30℃の冷却水を通して印刷面11を冷却した。
【0074】
また、同時に水(70%)とメタノール(30%)の混合液体からなる冷却用液体を布に浸み込ませたモルトンロール233、333、433、533、633を冷却ロールに接触させ、フイルムの印刷面11と液体塗布面12に冷却用液体を塗布した。次いで、塗布直後に冷風ノズル234、334、534、634から30℃の冷風を0.8m/minの風量で液体塗布面12に吹き付けて、冷却用液体を気化させて冷却を行った。
【0075】
このようにして印刷を行ない、各所の温度を測定(印刷開始10分後)してその温度の挙動を把握するとともに、1色目から5色目までの各色の印刷時のフイルム温度が略同一の温度になっているかをチェックした。温度の測定は、放射温度計を用いて測定した。また、印刷物を肉眼で観察し、百合の花柄模様の色のはみ出しの有無を調べた(印刷ズレが起きれば色のはみ出しが起こる。)
測定結果を表5に示す。
【0076】
【表5】

【0077】
表5中の測定温度は以下の通りである。また、対応箇所を図2に示す。
a:前印刷ユニットの冷却工程を終了し、当該印刷ユニットへ進入した時のフイルム印刷面の温度(当該ユニットでの印刷時の原反温度)
b:乾燥直後のフイルム印刷面11の温度
c:冷風機通過後のフイルム印刷面11の温度
d:冷却ロールの表面温度
e:モルトンロールの表面温度
f:冷却ノズルの通過直後のフイルムの液体塗布面12の温度
g:冷却ノズル通過後のフイルム印刷面11の温度(fよりは少し進んだ個所におけるフイルム印刷面11の温度)。
※:使用前フイルムの保管温度(室温)
【0078】
次に、第2印刷ユニット300を例にとって説明する。
第1印刷ユニット200の冷却工程を終了して、第2印刷ユニット300へ進入したフイルム1の温度aは33℃まで冷却されており、この温度で印刷される。乾燥工程直後のフイルム温度bは47℃まで上昇しており、次いで印刷面11に冷風(30℃)を吹き付けると印刷面11の温度cは42℃まで下がる。次いで、34℃の冷却ロール331で印刷面11を冷却し、液体塗布面12にモルトンロール333で冷却用液体を塗布し、冷却ノズル334から30℃の冷風0.8m/minを吹き付けると、蒸発潜熱で熱を奪われフイルムの液体塗布面12の温度fは35℃まで下がる。しかし印刷面11の温度gは42℃であり、温度勾配のあることが判る。しかし、冷却工程を終了して第3印刷ユニットへ進入した時のフイルム1の印刷面11の温度aは34℃まで下がっており、この間も塗布した混合液体の蒸発潜熱で冷却が進んで全体を冷却していると考えられる。このように、印刷面11は冷風と冷却ロール、液体塗布面12は混合液体の蒸発潜熱で冷却すると効果的であり、特に冷却用液体はフイルム1の搬送中にも気化を続けて冷却する効果がある。
【0079】
[印刷時のフイルム温度]
印刷時のフイルム温度は表5のaに示されるように1色目から5色目まで略同一である。なお、1色目のaはフイルムの保管温度である。
【0080】
[印刷物の肉眼観察]
白ベタ−黄色−赤色−青色−黒色の順で花柄模様の重ね印刷を行なった印刷物2000mを肉眼で観察したところ、最初から最後まで花柄模様がきれいに印刷されており、色のはみ出しは見られなかった。したがって印刷ズレは発生していなかった。
【0081】
このようにして印刷された印刷フイルムを、主層としてのブタンガスで7倍に発泡させた耐熱発泡ポリスチレンシート(厚み1.0mm)に熱貼合によって積層させた。
【0082】
熱貼合には図3に示す熱貼合装置を用いた。図3において21は耐熱発泡ポリスチレンシートロール、22は印刷フイルムロール、23はヒーター、24は加熱ロール、25はニッププロール、26は容器成形用積層材ロールである。このような熱貼合装置に於いて、耐熱発泡ポリスチレンシートロール21より耐熱発泡ポリスチレンシート27を繰り出すとともに、印刷フイルムロール22より印刷フイルム28を繰り出し、耐熱発泡ポリスチレンシート27はヒーター23で加熱後、加熱ロール24に送られ印刷フイルム28と重ねられ熱貼合され、容器成形用積層材29が形成される。形成された容器成形用積層材29は容器成形用積層材ロール26に巻き取られる。
【0083】
加工速度:40m/min
耐熱発泡ポリスチレンシートの予備過熱:90℃(表面温度)
加熱ロールの温度:120℃
容器成形用積層材の加熱ロール接触距離:50cm(0.75秒接触)
ニップ圧:6kg−cm
【0084】
[実施例2]
実施例1と同一の版胴、同一のグラビアインキ、同一の印刷用フイルムを用い、第1色目の白ベタ印刷(第一印刷ユニット200)を除いた他は、実施例1と同様に百合の花柄模様の重ね印刷を行なった。花柄模様以外の部分は末印刷部となった。
【0085】
この印刷フイルムと、炭酸ガスで3.0倍に発泡させた発泡ポリプロピレンシート(厚み1.0mm)とを熱貼合によって積層して容器成形用積層材を作製した。熱貼合は図3の熱貼合装置を用い、次の条件で熱貼合を行なった。
加工速度:40m/min
ポリプロピレンシートの予備加熱:150℃(表面温度)
加熱ロールの温度:160℃
容器成形用積層材の加熱ロール接触距離:50cm(0.75秒接触)
ニップ圧:6kg−cm
【0086】
[ラミネート強度]
実施例1の容器成形用積層材に於ける印刷フイルムと耐熱発泡ポリスチレンシート間のラミネート強度、実施例2の容器成形用積層材に於ける印刷フイルムと発泡ポリプロピレンシート間のラミネート強度を測定した。結果を表6に示す。
【表6】

【0087】
ラミネート強度の測定方法:
容器成形用積層材を15mm巾に切断し、接着部分を手で剥離し、剥離した部分の双方を定速引張試験機の上下のチャックに固定する。初期チャック間を50mmとし、300mm/minの引張速度で未剥離部分を水平に保ちながらT型剥離を行った。
【0088】
実施例1においては、インキ中のウレタン系ビヒクルと耐熱発泡ポリスチレンシート間のラミネート強度、実施例2においては、印刷部におけるインキ中のウレタン系ビヒクルと発泡ポリプロピレンシート間のラミネート強度、末印刷部における印刷用フイルムであるOPPフイルムと発泡ポリプロピレンシート間のラミネート強度である。未印刷部があっても同種の樹脂であれば強目に熱貼合される。
【0089】
[容器成形試験]
実施例1及び実施例2の容器成形用積層材を用い、口径12cm角、深さ4.5cmの角型容器を成形した。成形にはスピーマー(株)製真空成形機「1600D型」を用いて下記の条件で行った。
【0090】
実施例1;
ヒーター温度(片面):270℃
シート表面温度:140℃
加熱時間:8秒
金型温度:80℃
【0091】
実施例2;
ヒーター温度(片面):350℃
シート表面温度:160℃
加熱時間:8秒
金型温度:80℃
【0092】
実施例1と実施例2で得られた容器はどちらの容器も光沢があり、印刷のゆがみや浮き、デラミによる剥れ等も無く、また、容器の底部コーナー部分においても、印刷が薄くなること無く他の部分と同等であり、美粧性に優れたものであった。さらに、実施例1に於ける白ベタの隠ぺい性も充分なものであった。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による容器成形用積層材の製造方法に用いる水性グラビア印刷装置の一実施形態の全体を示す概略図である。
【図2】本発明による容器成形用積層材の製造方法に用いる水性グラビア印刷装置の一実施形態の第2印刷ユニットを示す概略図である。
【図3】本発明による容器成形用積層材の製造方法に用いる熱貼合装置に一実施形態を示す概略図である。
【図4】OPPフイルムの伸長度の温度依存性を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1:印刷用フイルム
27:耐熱発泡ポリスチレンシート(主層)
28:印刷フイルム
29:容器成形用積層材
100:給紙部
200:第1印刷ユニット
210:印刷部
220:乾燥部
230:冷却部
231:冷却ロール
232:冷風機
233:モルトンロール
234:冷風ノズル
300:第2印刷ユニット
400:第3印刷ユニット
500:第4印刷ユニット
600:第5印刷ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用フイルムに水性グラビア印刷で印刷を施した印刷フイルムと主層とが熱貼合によって積層されたことを特徴とする容器成形用積層材
【請求項2】
印刷用フイルムが未延伸ポリプロピレンフイルム、延伸ポリプロピレンフイルム、ポリエチレンフイルム、高密度ポリエチレンフイルム又はアモルファスポリエチレンテレフタレートフイルムであり、主層が発泡ポリプロピレンシート、ポリプロピレンシート、発泡ポリエチレンシート、ポリエチレンシート、発泡ポリスチレンシート、耐熱発泡ポリスチレンシート、ポリスチレンシート又は耐熱ポリスチレンシートであることを特徴とする請求項1記載の容器成形用積層材
【請求項3】
印刷フイルムが、顔料濃度が10〜50%の水性グラビアインキを用い、ヘリオ彫刻(スタイラス角度130度)によるスクリーン線数が200線以下、版深が35μm以上の版胴により、乾燥温度が80〜150℃で乾燥されて水性グラビア印刷が施されたものであることを特徴とする請求項1記載の容器成形用積層材
【請求項4】
印刷フイルムが、印刷工程‐乾燥工程‐冷却工程からなる印刷ユニットを複数設けたグラビア印刷装置で多色グラビア印刷が施されたものであって、各印刷ユニットにおいて乾燥工程で印刷用フイルムに付与された熱量を冷却工程で冷却して消去し、各ユニットにおける印刷工程での印刷用フイルム温度を略同一となるようにして印刷されたことを特徴とする請求項1記載の容器成形用積層材
【請求項5】
冷却工程における印刷用フイルムの冷却が、印刷面は冷風と冷却ロールにより冷却し、反対面は蒸発潜熱が大きく、蒸気圧が高くて気化し易い性質を有する1種類又は2種以上の冷却用液体を塗布後、冷風を吹き付けて冷却用液体を気化させ、その蒸発潜熱によって冷却することを特徴とする請求項4記載の容器成形用積層材
【請求項6】
水性グラビア印刷に用いた水性グラビアインキのビヒクルが、印刷フイルムと主層とを熱貼合する接着成分から成ることを特徴とする請求項1記載の容器成形用積層材
【請求項7】
印刷フイルムの水性グラビア印刷が施された面に、印刷フイルムと主層とを熱貼合する接着成分がコートされていることを特徴とする請求項6記載の容器成形用積層材
【請求項8】
顔料濃度が10〜50%で、印刷用フイルムと主層の両方に接着する接着成分からなるビヒクルを含有する水性グラビアインキと、スクリーン線数が200線以下、版深が35μm以上の版胴とを用い、複数の印刷ユニットの各印刷ユニットに於て80〜150℃の乾燥温度で乾燥し、次いで印刷面は冷風と冷却ロールで冷却し、反対面は蒸発潜熱が大きく、蒸気圧が高くて気化し易い冷却用液体を塗布するとともに冷風を吹きつけて急速に冷却し、各印刷ユニットの印刷時のフイルムを略同一温度として印刷するもので、未印刷部が残る図柄の場合はさらに印刷面前面に接着成分をコートした印刷フイルムと、主層とを熱貼合により積層することを特徴とする容器成形用積層材の製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−167984(P2006−167984A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360106(P2004−360106)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(594146180)中本パックス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】