説明

容器搬送装置

【課題】容器が容器台に乗り移る時には摩擦抵抗が小さいために容器台の中心に乗りやすく、容器を自転させる時には摩擦抵抗が大きいために容器に回転を確実に伝えることができる容器台(壜台)を備えた容器搬送装置を提供する。
【解決手段】容器1の底部1aを真空吸着して容器1を支持する容器台20をメインロータ10に複数配置した容器搬送装置において、容器台20は、容器1を載置する容器台本体21と、容器台本体21の上面に装着され容器台本体20の外周より内側に配置されたリング状のゴム材31と、リング状のゴム材31の内周より内側に配置された吸着カップ22とを備え、容器台20は、容器1をスターホイールから受け取って支持するとき、容器1の底面外周部をリング状のゴム材31で支持し、容器1の底面中央部を吸着カップ22で真空吸着し、容器台20は、リング状のゴム材31を介して容器台20の回転を容器1に伝えて容器を自転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器搬送装置に係り、特にガラス壜等の容器の底部を真空吸着して容器を支持する容器台(壜台)を備え、円形軌道に沿って容器を搬送する容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の底部を真空吸着して容器を支持する容器台(壜台)を備え、円形軌道に沿って容器を搬送しつつ容器を自転させ、自転している容器をカメラで撮像することにより容器の全周を光学的に検査する検査機が知られている。このような検査機には、容器の底部を容器台(壜台)で支持するとともに容器の口部(又は頭部)をヘッド等のトップホールド機構で支持して円形軌道上を搬送するロータリ型検査機や容器の底部のみを容器台(壜台)で保持して円形軌道上を搬送するロータリ型検査機等がある。
このような検査機においては、容器台(壜台)は、通常、全体が樹脂や金属等で形成されている。トップホールド機構がある場合には、容器台と容器との間で滑りが生じても落下や飛び出しは発生しにくい。また、容器台と容器の間で滑らないように容器形状に合わせ背もたれ肘掛をつけた容器台を用いる場合もある。
【0003】
また、空ペットボトル検査機においては、容器台(壜台)により空のペットボトルの底面を吸着して保持し、ペットボトルを円形軌道に沿って低速で搬送してペットボトルの側面を検査する検査機がある。この検査機は、低速搬送であるためにトップホールド機構を持たなくて済み、部品点数を大幅に減らすことができるので装置コストを低減することができ、また検査エリアに障害物が無いために容器側面全体を検査することができる等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−2240号公報
【特許文献2】特開2009−161270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、単位時間あたりの検査処理数量を増加したいという要求が強くなっており、装置を高速化することが必要になってきた。このように装置を高速化した場合、容器の底部を吸着して保持する容器台(壜台)について種々の工夫が必要になってきた。本発明者らは、円形軌道に沿って容器を搬送するメインロータを備えたロータリ型搬送装置において、空ペットボトルのように軽い容器ではなく1L壜のように重くて壜径が大きい容器について、容器の底面を吸着した状態で円形軌道の沿って高速で搬送するとともに高速で自転させる実験を繰り返し行った。その結果、従来のように、容器台(壜台)の全体が樹脂や金属で形成されている場合、容器を高速で自転させるために容器台を高速で回転させると、容器台と容器間で滑りが生じ、容器の落下や飛び出しが発生することが判明した。一方、容器台(壜台)の全体をゴム材で形成した場合、容器台を高速で回転させても、容器台と容器間には滑りを生ずることがなく、容器の落下や飛び出しがないことを見出した。ところが、ゴム製の容器台を備えたメインロータに容器を受け渡すために、スターホイールからメインロータの容器台に容器を乗り移させる必要があるが、乗り移り時の抵抗が大きすぎて容器が容器台(壜台)の中心に乗らない場合があることが判明した。
【0006】
上述した実験から、本発明者らは、1L壜のように重くて壜径が大きい容器を高速で搬送しかつ高速で自転させるために容器台に必要な要素は、容器が容器台に乗り移る時には摩擦抵抗が小さいために容器台の中心に乗りやすく、容器を自転させる時には摩擦抵抗が大きいために容器台から容器に回転を確実に伝えることができる二律背反的な要素であることを見出したものである。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、容器が容器台に乗り移る時には摩擦抵抗が小さいために容器台の中心に乗りやすく、容器を自転させる時には摩擦抵抗が大きいために容器に回転を確実に伝えることができる容器台(壜台)を備えた容器搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の容器搬送装置は、容器をスターホイールから受け取って容器の底部を真空吸着して容器を支持する容器台をメインロータの円周上に複数配置し、前記容器台の回転によって容器を自転させながら前記メインロータの回転によって容器を円形軌道に沿って搬送する容器搬送装置において、前記容器台は、容器を載置する容器台本体と、該容器台本体の上面に装着され容器台本体の外周より内側に配置されたリング状のゴム材と、該リング状のゴム材の内周より内側に配置された吸着カップとを備え、前記容器台は、容器を前記スターホイールから受け取って支持するとき、容器の底面外周部を前記リング状のゴム材で支持し、容器の底面中央部を前記吸着カップで真空吸着し、前記容器台は、前記リング状のゴム材を介して容器台の回転を容器に伝えて容器を自転させることを特徴とする。
【0009】
本発明は、容器が容器台の中心に乗ったとき容器の底面と接する部分を摩擦抵抗の大きい材質であるゴム材を用い、その他の部分は摩擦抵抗の小さい材質である樹脂や金属を用いている。すなわち、容器台は、樹脂や金属等の摩擦抵抗の小さい材料からなる容器台本体に摩擦抵抗の大きいリング状のゴム材を埋め込んでいる。したがって、本発明によれば、容器が容器台に乗り移る時には、摩擦抵抗が小さいために容器台の中心に乗りやすく、容器を自転させるときには容器台の摩擦抵抗が大きいために容器台から容器に回転を確実に伝えることができる。そのため、容器を円形軌道に沿って高速で搬送しつつ容器を高速で自転させることができる。
【0010】
本発明の1態様によれば、前記容器台が容器を支持するとき、前記ゴム材の内周側および外周側にある前記容器台本体は容器と非接触であることを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記容器台本体は、樹脂又は金属からなることを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記ゴム材は、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムのいずれかからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の1態様によれば、前記ゴム材は、容器の底部の直径をDとしたときに、ゴム材の外径はD+(8mm〜21mm)であり、ゴム材の内径はD−(7mm〜20mm)であることを特徴とする。
本発明の容器台においては、容器の底部(底面)の直径をDとすると、ゴム材の外径d1は、容器の底部(底面)を載置しても外側に少し余裕がある寸法である必要があるので、Dよりやや大きく、d1=D+(8mm〜21mm)に設定されている。またゴム材の内径d2は、ナーリングを有した容器1の底面外周部が載置される寸法であればよいので、d2=D−(7mm〜20mm)に設定されている。
【0012】
本発明の1態様によれば、前記ゴム材の上面は、前記容器台本体の上面より0.2mm〜0.4mm下がっていることを特徴とする。
本発明によれば、容器は容器台の容器台本体の外周側から容器台本体内に乗り移るとき、容器台本体に埋め込まれたゴム材のゴム面は、容器台本体の上面からわずかに下がっているので、容器の底面はゴム材のゴム面に軽く接触するか又は接触することなく、容器が容器台本体上を滑って容器台本体内に乗り移る。
【0013】
本発明の1態様によれば、前記ゴム材は、上面に複数の溝を有していることを特徴とする。
本発明によれば、容器台本体に埋め込んだゴム材の表面には格子状や放射状の溝を形成し、乗り移り時の抵抗を減らすとともに容器の底面外周部に形成されたナーリングが溝に食い込むことで容器台の回転を容器に伝えるようにしている。
【0014】
本発明の容器検査装置は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の容器搬送装置と、前記容器搬送装置によって搬送されている容器を照明する照明と容器を撮像するカメラとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)本発明によれば、容器の底面外周部が容器台に接触する部分をリング状のゴム材で構成し、リング状のゴム材の外周側の部材および内周側の部材を樹脂または金属で構成したため、容器がスターホイールからメインロータの容器台に乗り移る際には摩擦抵抗が小さいために容器は容器台(壜台)の中心に乗りやすく、検査時に容器を自転させる時には摩擦抵抗が大きいために容器台の回転を容器に確実に伝えることができる。
(2)本発明によれば、容器台に容器の底面外周部を支持するゴム材を設けるとともに、容器底面の中央部を吸着する吸着カップを設けたため、容器台以外のトップホールド機構等の容器保持機構を無くすことができ、部品点数を大幅に減らすことができるので装置コストを低減することができる。
(3)本発明によれば、容器台のみで容器を保持することができるので、容器形状に合わせ背もたれ肘掛けをつける必要がなく、容器台を各種の容器に兼用することができ、型替え部品を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係る容器搬送装置が設置された容器検査装置を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の容器搬送装置を構成するメインロータを示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の容器台(壜台)の詳細構造を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の容器台の平面図である。
【図5】図5は、容器台の溝の形状を示す模式図である。
【図6】図6は、容器台の容器台本体の上面とゴム材との関係を示す要部拡大図である。
【図7】図7は、容器を搬入スターホイールからメインロータの容器台に受け渡す工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る容器搬送装置の実施形態を図1乃至図7を参照して説明する。図1乃至図7において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る容器搬送装置が設置された容器検査装置を示す平面図である。図1に示すように、ガラス壜等の容器の外観を検査する容器検査装置は、検査対象となる容器1を搬入する搬入コンベア2と、搬入コンベア2から容器1を受け取って容器検査部に搬入する搬入スターホイール3と、搬入スターホイール3から受け取った容器1の検査を行う容器検査部であるメインロータ10と、検査を終了した容器1を搬出する搬出スターホイール5と、容器1を装置外に搬出する第1搬出コンベア6a及び第2搬出コンベア6bとを備えている。検査対象となる容器1は、1L壜のような重くて壜径が大きいものである。容器1には飲料等の液体が充填されている。
【0018】
搬入コンベア2は搬入スターホイール3に隣接して配置され、第1搬出コンベア6a及び第2搬出コンベア6bは搬出スターホイール5に隣接して配置されている。また、搬入スターホイール3に隣接するとともに搬入コンベア2に平行して、スクリュー7が設けられている。検査対象となる容器1は、搬入コンベア2により矢印A方向から装置内に搬入され、スクリュー7により一定の間隔が形成されて搬入スターホイール3に順次受け渡される。その後、容器1は、搬入スターホイール3によりメインロータ10に受け渡され、メインロータ10にて円形軌道に沿って搬送されている間に照明(図示せず)により照明されつつ複数のCCDカメラ(図示せず)により撮像され、順次容器1の検査が行われる。そして、検査を終了した容器1は搬出スターホイール5に受け渡され、メインロータ10において不良品と判定された容器1は第1搬出コンベア6aにより排出され、良品と判定された容器1は第2搬出コンベア6bにより次工程に搬送される。
【0019】
図2は、本発明の容器搬送装置を構成するメインロータ10を示す断面図である。メインロータ10は、容器1を容器台(壜台)20により保持し容器台20を回転させることにより容器1を自転させつつ、メインロータ10自身の回転により容器1を円形軌道に沿って搬送するものである。図2に示すように、メインロータ10は、架台11に固定されるとともに複数の軸受12を内蔵した軸受ハウジング13と、軸受12により回転自在に支持される回転軸14と、回転軸14の上端に取り付けられ回転軸14と一体回転する円盤状のホイール15と、ホイール15の外周部に周方向に等間隔で設けられる複数の容器台20とを備えている。回転軸14の下端にはギア16が固定されており、このギア16に駆動モータの回転が伝達されることにより回転軸14及びホイール15が回転駆動されるようになっている。また、メインロータ10は、容器台20による容器1の保持及びその保持の解除を切り替えるための切替弁17を備えている。
【0020】
図3は、容器台(壜台)20の詳細構造を示す断面図である。図3に示すように、容器台20は、容器1を載置して容器1を保持するための容器台本体21と、容器台本体21の中央部に配置された吸着カップ22と、吸着カップ22を保持するとともに吸着カップ22を上下動させるためのヘッド23と、容器台本体21を支持するとともにヘッド23を収容する概略円筒状のハウジング24を備えている。ハウジング24は回転軸25に固定されており、回転軸25は軸受26を内蔵した軸受ハウジング27によって回転可能に支持されている。そして、軸受ハウジング27はホイール15に固定されている。
【0021】
前記ヘッド23は回転軸25の上端に上下動可能に装着されており、ヘッド23とハウジング24との間にはヘッド23を下方に付勢するためのスプリング28が設けられている。回転軸25にはプーリ29が取り付けられており、プーリ29はホイール15の回転経路に沿って設けられたベルト(図示せず)と係合可能になっている。これにより、ベルトの走行に伴ってプーリ29および回転軸25が回転駆動され、容器台20の全体が軸線Axの回りに回転される。また、ヘッド23の下方には空気導入室S1が形成されており、ヘッド23の上方には減圧室S2が形成されている。
【0022】
図3に示すように構成された容器台20によれば、減圧室S2が切替弁17(図2参照)を介して真空ポンプ(図示せず)に接続されると、減圧室S2の圧力が低下し、一方、空気導入室S1は外部と連通しているので、大気圧に維持される。そのため、減圧室S2と空気導入室S1との圧力差によりヘッド23がスプリング28の付勢力に抗して上方に移動し、吸着カップ22が上昇して容器台本体21上の容器1の底部(底面)1aに当接する。同時に、ヘッド23内の連通路23aを介して吸着カップ22内が負圧になり、容器1を真空吸着する。
一方、減圧室S2が真空ポンプに連通していないときには、スプリング28によってヘッド23が下方に付勢されるので、吸着カップ22は容器台本体21内に収容されている。
【0023】
図3に示すように、容器1が載置される容器台20の容器台本体21には、リング状のゴム材31が埋め込まれている。容器台20の容器台本体21はポリアセタール樹脂等の樹脂材又はSUS等の金属からなっている。容量1Lのガラス壜のように容器1の直径が大きい場合には、容器台本体21の直径も大きくなるので、容器台20の慣性モーメントを減らすために容器台本体21はポリアセタール樹脂等の樹脂材が好ましい。ドリンク壜などのように容器の直径が小さい場合には、容器台本体21の直径も小さくて済むので、容器台本体21はSUS等の金属であってもよい。また、ゴム材31は、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等からなっている。
【0024】
図4は、容器台20の平面図である。図4に示すように、容器台20の容器台本体21に埋め込まれたリング状のゴム材31の上面には、多数の溝31gが格子状に形成されている。格子状の溝31gの縦横のピッチPは等しく、このピッチPは、5mm〜7mmに設定されている。なお、一実施形態においては、溝31gの縦横のピッチPは6mmに設定されている。容器台20の中央部には吸着カップ22が配置されている。
図5は、溝31gの形状を示す模式図である。図5に示すように、溝31gはV溝からなっており、溝深さhは0.8mm〜1.2mmに設定されている。なお、一実施形態においては、溝深さは1mmに設定されている。
図6は、容器台20の容器台本体21の上面とゴム材31との関係を示す要部拡大図である。図6に示すように、ゴム材31のゴム面31aは容器台本体21の上面21aよりわずかに下がっている。すなわち、ゴム材31のゴム面31aは容器台本体21の上面21aより寸法L=0.2mm〜0.4mm、好ましくは、L=0.3mm下がっている。
【0025】
図3乃至図6に示すように構成された容器台20においては、図6に示すように容器1のナーリングのある底部(底面)の直径(外径)をDとすると、ゴム材31の外径d1は、容器1の底部(底面)を載置しても外側に少し余裕がある寸法である必要があるので、Dよりやや大きく、例えば、d1=D+(8mm〜21mm)に設定されている。またゴム材31の内径d2は、ナーリングを有した容器1の底面外周部が載置される寸法であればよいので、d2=D−(7mm〜20mm)に設定されている。
【0026】
図7は、容器1を搬入スターホイール3からメインロータ10の容器台20に受け渡す工程を模式的に示す図である。図7においては、容器の1例としてガラス壜の場合を説明する。ガラス壜の底面外周部には、壜の強度を増すためのナーリング加工と呼ばれる加工が施されて凹凸部(以下、ナーリングと称す)が形成されている。ガラス壜の底部(底面)は中央が周辺よりも少し高くなっているため、ガラス壜を容器台の上面(支持面)に載置したときには、ナーリングがある底面外周部のみが容器台の上面に接触し、底面外周部よりも高い部分は接触しない。
【0027】
図7に示すように、容器1は容器台20の容器台本体21の外周側から容器台本体21内に乗り移る。このとき、容器台本体21に埋め込まれたゴム材31のゴム面31aは、容器台本体21の上面からわずかに下がっているので、容器1の底面1aはゴム材31のゴム面31aに軽く接触するか又は接触することなく、容器1の前面側が容器台本体21の外側リング部21R1上を滑って容器台本体21内に乗り移る。乗り移る際に、容器1の底面1aがゴム材31のゴム面31aに接触したとしても、ゴム材31には格子状の溝31gが形成されているため、乗り移り時の抵抗は少ない。次に、容器1の前面側が容器台本体21の内側リング部21R2上を滑り、容器1の後部側が外側リング部21R1上を滑って容器1の半分以上が容器台本体21上に乗り移る。その後、容器1のナーリングの部分である底面外周部がゴム材31のゴム面31aに接触して、容器1の底面外周部の内側にある部分が外側リング部21R1および内側リング部21R2に対して非接触になり、容器1は容器台20に乗り移って容器台20のゴム材31のみにより支持される。その後、吸着カップ22が上昇して容器1の底面1aを吸着する。容器1をメインロータ10の容器台20から搬出スターホイール5に受け渡すときには、容器1は、上述とは逆に内側リング部21R2側から外側リング部21R1上を滑って搬出スターホイール5に受け渡される。
【0028】
本発明は、容器1が容器台20の中心に乗ったとき容器1の底面と接する部分を摩擦抵抗の大きい材質であるゴム材31を用い、その他の部分は摩擦抵抗の小さい材質である樹脂や金属を用いている。すなわち、容器台20は、樹脂や金属等の摩擦抵抗の小さい材料からなる容器台本体21に摩擦抵抗の大きいリング状のゴム材31を埋め込んでいる。容器台本体21に埋め込んだゴム材31の表面には格子状や放射状の溝31gを形成し、乗り移り時の抵抗を減らすとともに容器1の底面外周部に形成されたナーリングが溝31gに食い込むことで容器台20の回転を容器1に伝えるようにしている。このように、ゴム材31の表面形状を平坦な面でなく格子状等にし容器1の底面と接触する面積を少なくして摩擦抵抗を減らすことでスムーズな乗り移りを確保するとともに、容器1の回転(自転)時には容器1の底部を吸着カップ22で吸着するため、格子状の溝31gが形成されたゴム材31が凹みやすく容器1はゴム材31が凹んだ分だけ基準面よりも下がり容器1とゴム材31との接触面積も増加し容器1の滑りを防止することができる。
【0029】
したがって、本発明によれば、容器1が容器台20に乗り移る時には、摩擦抵抗が小さいために容器台20の中心に乗りやすく、容器1を自転させるときには容器台20の摩擦抵抗が大きいために容器1に容器台20の回転を確実に伝えることができる。そのため、容器1を円形軌道に沿って高速で搬送しつつ容器1を高速で自転させることができる。また、容器1の大きさに応じて吸着カップ22の大きさを変更する必要がなく、また容器1の容量が200ml〜1000mlの間で変更されても、容器1の直径が40mm〜72mmの間で変わった場合でも容器台20の型替えをする必要がない。
【0030】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器
1a 底部
2 搬入コンベア
3 搬入スターホイール
5 搬出スターホイール
6a,6b 搬出コンベア
7 スクリュー
8 ガイドレール
10 メインロータ
11 架台
12 軸受
13 軸受ハウジング
14 回転軸
15 ホイール
15a 壜台取付孔
16 ギア
17 切替弁
20 容器台(壜台)
21 容器台本体
21a 上面
22 吸着カップ
23 ヘッド
23a 連通路
24 ハウジング
25 回転軸
26 軸受
27 軸受ハウジング
28 スプリング
29 プーリ
31 ゴム材
31a ゴム面
31g 溝
Ax 軸線
S1 空気導入室
S2 減圧室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器をスターホイールから受け取って容器の底部を真空吸着して容器を支持する容器台をメインロータの円周上に複数配置し、前記容器台の回転によって容器を自転させながら前記メインロータの回転によって容器を円形軌道に沿って搬送する容器搬送装置において、
前記容器台は、容器を載置する容器台本体と、該容器台本体の上面に装着され容器台本体の外周より内側に配置されたリング状のゴム材と、該リング状のゴム材の内周より内側に配置された吸着カップとを備え、
前記容器台は、容器を前記スターホイールから受け取って支持するとき、容器の底面外周部を前記リング状のゴム材で支持し、容器の底面中央部を前記吸着カップで真空吸着し、
前記容器台は、前記リング状のゴム材を介して容器台の回転を容器に伝えて容器を自転させることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項2】
前記容器台が容器を支持するとき、前記ゴム材の内周側および外周側にある前記容器台本体は容器と非接触であることを特徴とする請求項1記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記容器台本体は、樹脂又は金属からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記ゴム材は、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムのいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の容器搬送装置。
【請求項5】
前記ゴム材は、容器の底部の直径をDとしたときに、ゴム材の外径はD+(8mm〜21mm)であり、ゴム材の内径はD−(7mm〜20mm)であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の容器搬送装置。
【請求項6】
前記ゴム材の上面は、前記容器台本体の上面より0.2mm〜0.4mm下がっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の容器搬送装置。
【請求項7】
前記ゴム材は、上面に複数の溝を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の容器搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の容器搬送装置と、
前記容器搬送装置によって搬送されている容器を照明する照明と容器を撮像するカメラとを備えたことを特徴とする容器検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−126697(P2011−126697A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288929(P2009−288929)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】