説明

容器方向規制装置

【課題】搬送体に設けられた容器グリッパによって容器のネック部を保持して容器を搬送する容器搬送装置において、断面形状が長方形や楕円形等の異形容器を方向規制する場合に、薄肉容器でも、容器の潰れ、容器の傷付きを発生させずに、確実に容器の方向規制をする。
【解決手段】容器搬送装置1の所定の搬送領域V1で、容器Pが容器グリッパ20から落下しないで回転自在な状態になるように容器グリッパ20の容器保持に緩みを持たせるグリップ保持緩み手段と、容器Pを搬送中に前記グリップ保持緩み手段によって前記回転自在にした状態で方向が一定の向きになるよう方向規制する容器方向規制手段15とを設けて、容器Pを搬送中に方向規制するように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器グリッパによって容器のネック部を保持して容器を搬送する容器搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器搬送装置で断面形状が長方形や楕円形等の異形容器を搬送する際に、容器の方向を一定方向に揃える工夫がなされてきた。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−73598号公報(図2)
【0004】
近年、PETボトルのような容器では、容器コスト削減等のために薄肉化の傾向にあり、薄肉容器になると、容器が変形しやすく、断面形状が長方形や楕円形等の異形容器の場合で、容器を一定の方向に揃える際に、従来技術では容器が潰れてしまうことがあるため、容器が潰れないようにする要求が高まっている。また、容器を搬送中に電子線照射して殺菌する電子線殺菌装置においては、電子線照射する容器面を一定の方向とする必要があり、容器の方向規制を確実に行えるようにする要求、また、容器の方向規制に際して容器の表面に傷が付かないようにする要求が出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1によれば、充填機の入口スターホイールの外周に、異形容器の代表寸法に近い直径の軟質材から成る円板状の方向規制ガイドを設けて、該方向規制ガイドに容器を接触させて押し圧力と摩擦力によって容器の方向規制をするとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、容器がネック部を保持されたまま前記円板状の方向規制ガイドにより押し付けられるため、容器の方向規制が確実性に欠け、薄肉容器の場合には、容器が傷付き、また、変形回復出来ない程に潰れてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、搬送体に設けられた容器グリッパによって容器のネック部を保持して容器を搬送する容器搬送装置において、断面形状が長方形や楕円形等の異形容器を方向規制する場合に、薄肉容器でも、容器の潰れ、容器の傷付きを発生させずに、確実に容器の方向規制ができる容器方向規制装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の容器方向規制装置は、搬送体に設けられた容器グリッパによって容器のネック部を保持して容器を搬送する容器搬送装置において、該容器搬送装置の所定の搬送領域(以下容器方向規制領域と称する)で、容器が前記容器グリッパから落下しないで回転自在な状態になるように前記容器グリッパの容器保持に緩みを持たせるグリップ保持緩み手段と、容器を搬送中に前記グリップ保持緩み手段によって前記回転自在にした状態で方向が一定の向きになるよう方向規制する容器方向規制手段とを設けて、容器を搬送中に方向規制するように構成したことを特徴とする。
【0008】
(2)第2の手段の容器方向規制装置は、前記第1の手段の容器方向規制装置において、該容器方向規制装置を、容器の中味が空の状態で容器の方向規制をするようにしたことを特徴とする。
【0009】
(3)第3の手段の容器方向規制装置は、前記第1および第2の手段の容器方向規制装置において、前記グリップ保持緩み手段を、前記容器方向規制領域で前記容器グリッパのグリッパ開閉機構部がカムと係合するようにして、該カムを前記容器方向規制領域では前記容器グリッパが容器回転自在の状態となるように作用し、前記容器方向規制領域以外では前記容器グリッパが容器保持の状態となるように作用するカム軌跡として構成したことを特徴とする。
【0010】
(4)第4の手段の容器方向規制装置は、前記第1および第2の手段の容器方向規制装置において、前記グリップ保持緩み手段を、前記容器方向規制領域で前記容器グリッパのグリッパ開閉機構部が往復動式プッシャーと係合するようにして、該往復動式プッシャーを前記容器方向規制領域では前記容器グリッパが容器回転自在の状態となるように作用し、前記容器方向規制領域以外では前記容器グリッパが容器保持の状態となるように作用する作動制御で構成したことを特徴とする。
【0011】
(5)第5の手段の容器方向規制装置は、前記第1から第4の手段の容器方向規制装置において、前記容器方向規制手段を、前記容器方向規制領域で容器が搬送される際に、該容器が所定の方向となっていない場合には、容器が接触して方向修正(方向規制)されるようなガイド形状の容器方向規制ガイドで構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係わる本発明は、容器搬送装置の所定の容器方向規制領域で、容器が前記容器グリッパから落下しないで回転自在な状態になるように前記容器グリッパの容器保持に緩みを持たせるグリップ保持緩み手段と、容器を搬送中に前記グリップ保持緩み手段によって前記回転自在にした状態で方向が一定の向きになるよう方向規制する容器方向規制手段とを設けて、容器を搬送中に方向規制するように構成したことにより、方向規制される容器に無理な力が作用することを防止でき、薄肉容器でも、容器方向規制の際に容器の潰れ、容器の傷付きを発生させずに確実に容器を方向規制できるという効果を有する。
【0013】
請求項2に係わる本発明は、前記請求項1に記載する容器方向規制装置において、該容器方向規制装置を、容器の中味が空の状態で容器の方向規制をするようにしたので、容器の方向規制が効率よく容易に行えるという効果を有する。
【0014】
請求項3に係わる本発明は、前記請求項1および2に記載する容器方向規制装置において、前記グリップ保持緩み手段を、前記容器方向規制領域で前記容器グリッパのグリッパ開閉機構部がカムと係合するようにして、該カムを前記容器方向規制領域では前記容器グリッパが容器回転自在の状態となるように作用し、前記容器方向規制領域以外では前記容器グリッパが容器保持の状態となるように作用するカム軌跡として構成したことにより、容器の方向規制を簡素な装置で行えるという効果を有する。
【0015】
請求項4に係わる本発明は、前記請求項1および2に記載する容器方向規制装置において、前記グリップ保持緩み手段を、前記容器方向規制領域で前記容器グリッパのグリッパ開閉機構部がカムではなくて往復動式プッシャーと係合するようにして、該往復動式プッシャーを前記容器方向規制領域では前記容器グリッパが容器回転自在の状態となるように作用し、前記容器方向規制領域以外では前記容器グリッパが容器保持の状態となるように作用する作動制御で構成したことにより、所謂カム軌跡を変更しなければならない場合において、カムを変更するのではなく、往復動式プッシャーを作動制御する制御装置のプログラム変更のみで容易に変更することができ、また、装置をコンパクトにできるという効果を有する。
【0016】
請求項5に係わる本発明は、前記請求項1から4に記載する容器方向規制装置において、前記容器方向規制手段を、前記容器方向規制領域で容器が搬送される際に、該容器が所定の方向となっていない場合には、容器が接触して方向修正(方向規制)されるようなガイド形状の容器方向規制ガイドで構成したことにより、容器の方向規制を簡素な装置で効率良く行えるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる容器方向規制装置を取り入れた充填ラインを摸式的に示した平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる容器方向規制装置の平面図で、部分切断図としてある。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2に示す容器グリッパの詳細平面図で、容器保持の状態を示す図である。
【図5】容器グリッパの図4に相当する図で、グリップ保持緩みを説明する図である。
【図6】容器がスターホイールのポケットに受け渡された状態を説明する図で、(a)は正規方向の容器がスターホイールのポケットに正常に収納された状態を示し、(b)は正規方向でない容器がスターホイールのポケットに押し込まれて潰れた状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係わる容器方向規制装置の平面図で、部分切断図としてあり、図2に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
(発明の第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる容器方向規制装置を取り入れた充填ラインを摸式的に示した平面図である。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係わる容器方向規制装置の平面図で、部分切断図としてある。
図3は、図2のA−A断面図である。
図4は、図2に示す容器グリッパの詳細平面図で、容器保持の状態を示す図である。
図5は、容器グリッパの図4に相当する図で、グリップ保持緩みを説明する図である。
図6は、容器がスターホイールのポケットに受け渡された状態を説明する図で、(a)は正規方向の容器がスターホイールのポケットに正常に収納された状態を示し、(b)は正規方向でない容器がスターホイールのポケットに押し込まれて潰れた状態を示す図である。
【0020】
図1において、後述するネック部Pnを有し、胴部の断面形状が異形で長方形(図示は長方形の角部を面取りした形状としている)の容器Pが、上流の矢印F1方向からネック搬送装置C1でネック部Pnを保持されながら搬送されて、図示S点で容器転送装置(容器搬送装置。以下容器搬送装置を称する)1の後述する容器グリッパ20に受け渡され、搬送中に容器方向規制装置15で方向規制された後、矢印1f方向に搬送されて図示T点で充填装置2の図示しない容器グリッパに受け渡され、矢印2f方向の回転搬送中に充填装置2から液体を充填された後、矢印3f方向に回転する容器転送装置3に受け渡され、次いで、容器Pに図示しないキャップを締めるキャッパ4に受け渡され、矢印4f方向の回転中にキャップ締めされた後に、矢印5f方向に回転する容器転送装置5で転送されて、後工程の矢印F2方向へコンベヤC2により搬出されるようになっている。
【0021】
なお、ここでは、容器Pは、ネック搬送装置C1からキャッパ4までは、容器Pのネック部Pnを保持されて搬送され、容器転送装置5ではネック部Pnは保持されずにスターホイール5sのポケット5pに容器Pの胴部を収納され、容器Pの底部を搬送板5b上に載置されながら搬送されるようになっており、さらに、コンベヤC2上では容器Pの底部を載置されながら搬送されるようになっている。
【0022】
前記容器搬送装置1は、図2および図3に示すように、図示しない駆動装置で回転駆動される回転軸1cに固定された円板1aにドーナッツ形状の円板(搬送体。以下搬送体と称する)1bが固定され、該搬送体1bに容器Pのネック部Pnを保持する容器グリッパ20がブラケット29を介して円周等分に設けられている。
また、前記容器搬送装置1のS点からT点に向けての搬送中間部の容器方向規制領域V1に、容器Pの方向規制をする容器方向規制装置15が設けられている。
【0023】
前記容器方向規制装置15は、カム10と前記容器グリッパ20の後述するグリッパ開閉機構部のローラ24との係合によって、前記容器グリッパ20から容器Pが落下しないで回転自在な状態になるように前記容器グリッパ20の容器保持に緩みを持たせるグリップ保持緩み手段と、グリップ保持緩み状態の容器Pの方向規制をする容器方向規制ガイド15aと容器方向規制ガイド15bから成る容器方向規制手段とにより構成されている。
なお、前記容器方向規制ガイド15aと容器方向規制ガイド15bは、図2に示すように、容器方向規制領域V1の入口部では間隔が拡げられる等容器の方向修正に適した形状となっており、それぞれ図示しない固定のブラケットに取付けられている。
また、前記カム10は、容器グリッパ20が前記グリッパ保持緩み状態、容器保持状態になるようなカム軌跡となっており、固定の支持台11に取付けられている。
【0024】
さらに、前記容器搬送装置1には、図示S点で上流から搬送されてくる容器Pのネック部Pnが前記容器グリッパ20に受け渡されるように、後述するグリップアーム21aとグリップアーム21bを開閉させるカム1dが固定の支持台1eに設けられている。同様に、図示T点にも容器Pのネック部Pnが容器搬送装置1から充填装置2へ受け渡されるように、グリップアーム21aとグリップアーム21bを開閉させるカムが設けられているが、重複する内容となるので、図示および詳細説明を省略する。
【0025】
前記容器グリッパ20は、図3、図4および図5に示すように、前記ブラケット29に設けられた図示しない軸受に軸支された1対の軸22aおよび軸22bにそれぞれグリップアーム21aおよびグリップアーム21bが固定されており、該グリップアーム21aおよびグリップアーム21bのグリップ部21agおよびグリップ部21bgが前記1対の軸22aおよび軸22bとともに閉方向に揺動回転することにより、ネック部Pn(容器Pの鍔部Ptの上方)を保持できるようになっているとともに、前記グリップアーム21aおよびグリップアーム21bが、他端のばね受け部21ahおよびばね受け部21bhがばね27によって前記一対の軸22aおよび軸22bの軸心を支点として押し広げられることにより、前記グリップ部21agとグリップ部21bgが閉方向に揺動回転してネック部Pnを保持するようになっている。
【0026】
さらに、前記グリップアーム21aおよびグリップアーム21bには、互いに噛合う半月状のギヤ23aおよびギヤ23bが取付けられており、レバー26に設けられた軸25の周りを回転するローラ24が前記カム10に係合することによって、前記軸22aに取付けられた前記レバー26の揺動回転に伴い、前記ばね27の作用に抗して前記グリップ部21agとグリップ部21bgを開方向に揺動回転させるグリッパ開閉機構部となっていて、前記カム10のカム軌跡により前記揺動回転量が規制されるようになっている。
【0027】
次に、本発明の第1の実施の形態に係わる容器方向規制装置15の作用を説明する。
なお、図5において、グリップアーム21aおよびグリップアーム21bが実線で示されているのは、容器グリッパ20から容器Pが落下しないで回転自在な状態になるように前記容器グリッパ20の前記グリップ保持に緩みを持たせた状態を示し、二点鎖線で示したグリップアームwaおよびグリップアームwbは、S点およびT点で容器Pの受け渡しをする際にグリッパ開とした状態を示している。
【0028】
容器Pがネック搬送装置C1から容器搬送装置1にS点で受け渡される際、容器グリッパ20は図2に示すS点の手前のR点でローラ24とカム1dとの係合によりグリップアーム21aおよびグリップアーム21bが開の状態となり、S点での受け渡し後、容器グリッパ20はネック部Pnをグリップ保持するように閉の状態となる。
ここでは、容器Pの断面の長手方向が、容器搬送装置1の搬送経路円1pに対して接線方向である状態を正規方向としているが、正規方向から外れて図示P1の二点鎖線のような状態である場合には、容器Pの方向修正、即ち方向規制が必要となる。
【0029】
容器Pは、容器方向規制領域V1部に搬送されてくると、容器グリッパ20の開閉機構部のローラ24がカム10と係合することによって、カム10のカム軌跡により、軸25、レバー26、軸22a、ギヤ23aおよびギヤ23bを介して、グリップアーム21aおよびグリップアーム21bが図5の実線で示す状態となって、グリップ保持緩み状態となる。
ここで、図示のように方向が正規方向から外れた容器P1は、搬送体1bの搬送により矢印1f方向に進むと、容器P1の胴部が1対の容器方向規制ガイド15aおよび容器方向規制ガイド15bに接触して、図示P2のように容器の方向が搬送円1pの接線方向に修正され、容器方向規制がなされる。
なお、容器Pが正規方向である場合には、容器Pは前記容器方向規制ガイド15aおよび容器方向規制ガイド15bに接触することなく搬送される。
【0030】
容器Pが容器方向規制領域V1を通過した後は、前記カム10のカム軌跡により前記グリップアーム21aおよびグリップアーム21bが、図4に示すように、ネック部Pnを保持するようになり、容器Pは、グリップ保持状態で搬送され、T点の手前でグリッパ開となり、T点で充填装置2の図示しない容器グリッパへ正規方向のまま受け渡される。
なお、容器Pがキャッパ4から容器転送装置5に受け渡される際は、容器Pが正規方向でない状態の場合は、図6(b)のPdで示すように、容器Pがスターホイール5sのポケット5pに押し込まれて潰れてしまう恐れがあるが、容器Pが正規方向の場合は、図6(a)に示すように、容器Pが前記ポケット5pに正常に収納されて、潰れ或いは傷付きが生じることはない。
【0031】
なお、前記説明では、容器方向規制装置15を容器搬送装置1に設けた場合を説明したが、この場合には容器Pは充填前の中味が空の状態であるので、容器重量が小さいため、容器方向規制を効率良く確実に行うことができる。
なお、容器方向規制装置を容器転送装置3に設けてもよいが、この場合には容器Pが充填後の中味入り容器で、重量が大きいため、容器方向規制を確実に行うには搬送速度を下げる必要が生じる恐れがある。
【0032】
また、前記説明では、容器方向規制装置15を、円周回転する容器搬送装置1に設けた場合を説明したが、容器方向規制装置を楕円周回転する容器搬送装置に設けてもよく、さらに、容器方向規制装置を直線搬送の容器搬送装置に設けてもよく、本発明による容器方向規制装置を設ける対象の容器搬送装置の形態に限りは無い。
【0033】
(発明の第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図7に基づいて説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係わる容器方向規制装置の平面図で、部分切断図としてあり、図2に相当する図である。
図7において、図2と同じ構造のものは同じ記号を付してあり、重複する説明は省略するが、容器搬送装置1tの容器方向規制装置15tは、容器方向規制領域V2部で容器グリッパ20のグリッパ開閉機構部のローラ24と往復動式プッシャー装置30との係合によって、前記容器グリッパ20から容器Pが落下しないで容器回転自在の状態にするグリップ保持緩み手段と、グリップ保持緩み状態の容器Pを方向規制する容器方向規制ガイド15aと容器方向規制ガイド15bから成る容器方向規制手段により構成されている。
【0034】
前記往復動式プッシャー装置30は、前記ローラ24と係合するプッシャー31がロッド32を介してサーボシリンダ33の作動によって往復動されるようになっており、前記プッシャー31の往復動によりローラ24、軸25、レバー26、軸22a、ギヤ23aおよびギヤ23bを介して前記グリップアーム21aおよびグリップアーム21bが、それぞれ軸22aおよび軸22bを支点として揺動回転することによって、ネック部Pnを保持又は保持緩み、或いは開とするような構成になっている。
なお、前記サーボシリンダ33は、図示しない制御装置からの指令により往復動の移動量および移動速度が作動制御されるようになっており、図示しない固定の支持台に設けられている。
【0035】
前記往復動式プッシャー装置30と同様の往復動式プッシャー装置が、上流のネック搬送装置C1から容器Pが受け渡されるS点近辺にも設けられており、容器Pのネック部Pnを受け渡され、かつ、前記容器グリッパ20のグリップアーム21aおよびグリップアーム21bによりネック部Pnが保持されるようになっている。
さらに、前記説明と同様の往復動式プッシャー装置が、容器Pを充填装置2に受け渡すT点近辺にも設けられているが、重複する内容であり、図示および詳細な説明は省略する。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態に係わる容器方向規制装置15tの作用を説明する。
容器Pがネック搬送装置C1から容器搬送装置1tにS点で受け渡される際、容器グリッパ20はS点の手前のR点で前記プッシャー装置の作動制御によりグリップアーム21aおよびグリップアーム21bが開の状態となり、S点で受け渡された後、容器グリッパ20はネック部Pnを保持するように閉の状態となる。
【0037】
容器Pが方向規制領域V2部に搬送されてくると、容器グリッパ20のグリッパ開閉機構部のローラ24が往復動式プッシャー装置30のプッシャー31と係合することにより、レバー26等を介してグリップアーム21aおよびグリップアーム21bが図5の実線で示す状態となって、グリッパ保持緩み状態となる。
該グリップ保持緩み状態になった容器P1が搬送体1bの搬送により矢印1f方向に進むと、容器P1の胴部が1対の容器方向規制ガイド15aおよび容器方向規制ガイド15bに接触して、図示P2のように容器の方向が搬送円1pの接線方向に修正され、容器方向規制がなされる。
なお、容器Pが正規方向である場合には、容器Pは前記容器方向規制ガイド15aおよび容器方向規制ガイド15bに接触することなく搬送される。
【0038】
容器Pが容器方向規制領域V2を通過した後は、図示しない制御装置からの指令による前記サーボシリンダ33の作動により、前記グリップアーム21aおよびグリップアーム21bが、図4に示すように、ネック部Pnを保持するようになり、容器Pは、グリップ保持状態で搬送され、T点の前方でグリッパ開となり、T点で充填装置2の図示しない容器グリッパへ正規方向のまま受け渡される。
【0039】
前記本発明の第1の実施の形態では、前記グリップ保持緩みを容器グリッパのグリップ開閉機構部とカムとの係合によって行っているため、カム軌跡を変更したい場合にカムを変更しなければならないが、本発明の第2の実施の形態は、前記グリップ保持緩みを容器グリッパのグリップ開閉機構部と往復動式プッシャーとの係合によって行っているため、所謂カム軌跡を変更しなければならない場合において、カムを変更することなく、往復動式プッシャーを作動制御する制御装置のプログラム変更のみで容易に変更することができ、また、装置をコンパクトにできる。
【符号の説明】
【0040】
1、1t 容器搬送装置(容器転送装置)
2 充填装置
3 容器転送装置
4 キャッパ
5 容器転送装置
10 カム
15、15t 容器方向規制装置
15a、15b 容器方向規制ガイド
20 容器グリッパ
21a、21b グリップアーム
22a、22b 軸
23a、23b ギヤ
24 ローラ
26 レバー
30 往復動式プッシャー装置
31 プッシャー
33 サーボシリンダ
P 容器
Pn (容器Pの)ネック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送体に設けられた容器グリッパによって容器のネック部を保持して容器を搬送する容器搬送装置において、該容器搬送装置の所定の搬送領域(以下容器方向規制領域と称する)で、容器が前記容器グリッパから落下しないで回転自在な状態になるように前記容器グリッパの容器保持に緩みを持たせるグリップ保持緩み手段と、容器を搬送中に前記グリップ保持緩み手段によって前記回転自在にした状態で方向が一定の向きになるよう方向規制する容器方向規制手段とを設けて、容器を搬送中に方向規制するように構成したことを特徴とする容器方向規制装置。
【請求項2】
請求項1に記載する容器方向規制装置において、該容器方向規制装置を、容器の中味が空の状態で容器の方向規制をするようにしたことを特徴とする容器方向規制装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する容器方向規制装置において、前記グリップ保持緩み手段を、前記容器方向規制領域で前記容器グリッパのグリッパ開閉機構部がカムと係合するようにして、該カムを前記容器方向規制領域では前記容器グリッパが容器回転自在の状態となるように作用し、前記容器方向規制領域以外では前記容器グリッパが容器保持の状態となるように作用するカム軌跡として構成したことを特徴とする容器方向規制装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載する容器方向規制装置において、前記グリップ保持緩み手段を、前記容器方向規制領域で前記容器グリッパのグリッパ開閉機構部が往復動式プッシャーと係合するようにして、該往復動式プッシャーを前記容器方向規制領域では前記容器グリッパが容器回転自在の状態となるように作用し、前記容器方向規制領域以外では前記容器グリッパが容器保持の状態となるように作用する作動制御で構成したことを特徴とする容器方向規制装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか一項に記載する容器方向規制装置において、前記容器方向規制手段を、前記容器方向規制領域で容器が搬送される際に、該容器が所定の方向となっていない場合には、容器が接触して方向修正(方向規制)されるようなガイド形状の容器方向規制ガイドで構成したことを特徴とする容器方向規制装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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