説明

容器検査装置及びその容器支持装置

【課題】 容器の外径、高さ等の変化に対する調整を容易に行うことができる容器検査装置を提供する。
【解決手段】 容器検査装置1には、容器支持装置として、容器3をその容器軸線AXcが横に倒された状態で支持する容器回転テーブル12を設ける。テーブル12には、互いに平行なローラ軸線AXrの回りに回転可能なローラ27、28をそれぞれ有し、ローラ軸線と直交する方向に並べて配置された一対のローラ台15と、一対のローラ台15のそれぞれをローラ軸線の間隔が変化するように互いに接近及び離間可能に支持するローラ台支持機構16と、一対のローラ台15のそれぞれをローラ軸線と直交する方向に互いに逆向きに駆動してローラ軸線の間隔を変化させるローラ台駆動機構17と、ローラ27、28をローラ軸線の回りに回転させるローラ回転駆動機構19とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を容器軸線の回りに回転させて検査を実施する容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒部分を有する容器の検査装置として、搬送機構によって搬送される容器を所定の検査位置に取り込み、その容器を鉛直方向の軸線の回りに回転させて容器の開口部等を全周に亘って検査する検査装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−180383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容器を立てた状態で検査する従来の容器検査装置では、容器軸線が検査装置の回転機構による回転中心線と同軸上に位置するように容器を位置決めする必要がある。しかしながら、このような支持形態では容器の外周、開口部の縁等の位置が容器の外径に応じて変化し、それに合わせて容器支持用の各種の部品を調整又は交換し、あるいは検査機器の位置を変化させる必要がある。容器の高さが変化する場合にはそれに合わせて容器の位置を上下方向に変化させて容器の検査対象箇所をカメラ等の検査機器に適した位置に導く必要もある。
【0004】
そこで、本発明は容器の外径、高さ等の変化に対する調整を容易に行うことができる容器検査装置及びその容器検査装置に適した容器支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の容器検査装置は、円筒部分を有する容器(3)を所定の搬送軌道(10)に沿って搬送する搬送手段(11)を備え、前記搬送軌道に沿って設定された少なくとも一つの検査位置(P1〜P6)では前記容器をその容器軸線(AXc)の回りに回転させて検査する容器検査装置であって、前記搬送手段上には、前記容器を前記容器軸線が前記搬送軌道を横断する方向を向くように倒された状態で支持しつつ該容器を前記容器軸線の回りに回転させる容器支持装置(12)が設けられることにより、上述した課題を解決する。
【0006】
本発明の検査装置によれば、容器を横に倒して支持しているので、容器の外径に応じて支持位置を調整するだけで容器の外周、開口縁部等の特定箇所を検査対象機器に対して適正な高さに容易に位置決めすることができる。このように位置決めされた状態で容器に回転を与えるだけで容器の外周、開口部等を全周に亘って検査することができる。容器を横倒し状態で支持しているので、容器軸線の方向に関して容器の位置決め自由度が高く、容器の高さ(容器軸線方向の寸法)に拘わりなく容器の検査対象箇所を容器の軸線方向に関して所望の位置に置くことができる。さらに、容器軸線を搬送軌道を横断する方向に向けているので、容器の開口部、内周及び内外の底面を搬送軌道の側方から適宜に検査でき、容器の外周を搬送軌道の上方あるいは側方から検査することができる。従って、容器を立てた状態で支持する従来の検査装置と同等の、又はそれ以上に多様な検査を支障なく行うことができる。
【0007】
本発明の一形態において、容器支持装置は、前記搬送軌道を横断する方向に延びるローラ軸線(AXr)の回りに回転可能な少なくとも一つのローラ(27、28)をそれぞれ有し、前記容器軸線が前記ローラ軸線の方向を向くように倒された容器を前記ローラ間で支持できるように前記ローラ軸線と直交する方向に並べて配置された一対のローラ台(15)と、前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線の間隔が変化するように互いに接近及び離間可能に支持するローラ台支持機構(16)と、前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線と直交する方向に互いに逆向きに駆動して前記ローラ軸線の間隔を変化させるローラ台駆動機構(17)と、少なくとも一つのローラを前記ローラ軸線の回りに回転させるローラ回転駆動機構(19)とを備えてもよい。
【0008】
この形態によれば、一対のローラ台のローラ間に容器をその容器軸線がローラ軸線の方向を向くように載せ、ローラ回転駆動機構でローラを回転させることにより、容器を容器軸線の回りに回転させることができる。ローラ台駆動機構によりローラ台を駆動してローラ軸線の間隔を変化させることにより、容器の外径に拘わりなく容器の検査対象箇所を所望の高さに位置決めすることができる。ローラ軸線の方向に関しては、適当な位置を基準として容器を位置決めすることにより、容器の高さ(容器軸線方向の寸法)に拘わりなく容器の検査対象箇所を一定の位置に置くことができる。
【0009】
本発明の上記形態において、少なくともいずれか一方のローラ台には、前記ローラを前記ローラ軸線の方向に挟み込むように一対の拘束部材(30、34)が設けられ、いずれか一方の拘束部材(34)は前記ローラ軸線の方向に移動可能であり、前記容器支持装置は、前記一方の拘束部材を前記ローラ軸線の方向に駆動して前記一対の拘束部材の間隔を変化させる拘束部材駆動機構(18)をさらに備えていてもよい。この形態によれば、一方の拘束部材を拘束部材駆動機構で駆動して拘束部材の間隔を容器の高さに応じた値に調整することにより、他方の拘束部材を基準として容器をローラ軸線の方向に位置決めし、それにより容器の一端部をその高さに拘わりなく一定の位置に揃えることができる。
【0010】
前記一対の拘束部材が設けられたローラ台には、前記ローラとして、前記ローラ軸線の方向に関して一定の位置に固定される定置ローラ(27)と、該定置ローラの一方の側に配置されて前記ローラ軸線の方向に移動自在な可動ローラ(28)とが設けられ、前記一方の拘束部材は前記ローラ軸線の方向に前記可動ローラと一体に移動できるように設けられ、他方の拘束部材(30)は前記定置ローラの他方の側にて前記ローラ軸線の方向に一定の位置に固定されてもよい。この形態によれば、容器の高さに応じて可動ローラをローラ軸線の方向に移動させることにより、容器をその高さに拘わりなく拘束部材間において十分なスパンで支持し、容器の安定性をさらに高めることができる。
【0011】
前記一対のローラ台のそれぞれに前記一対の拘束部材が設けられ、前記ローラ軸線方向に関する一対の拘束部材のそれぞれの位置がローラ台間で互いに等しくされてもよい。各ローラ台に拘束部材を設けることにより、ローラ軸線の方向に関して容器をさらに確実に拘束することができる。
【0012】
前記拘束部材駆動機構は、前記ローラ軸線と直交する方向に延びる拘束部材駆動軸(62)と、前記拘束部材駆動軸をその軸線の回りに駆動する拘束部材駆動源(60)と、前記拘束部材駆動軸に対して一体に回転可能かつ前記拘束部材駆動軸に沿って移動自在に設けられ、さらに前記一対のローラ台のそれぞれに対して前記ローラ軸線と直交する方向に一体に移動できるように連結された一対の拘束部材用回転体(64)と、前記一対の拘束部材用回転体のそれぞれの回転運動を前記一方の拘束部材の前記ローラ軸線方向への互いに等しい直線運動にそれぞれ変換する一対の運動変換手段(64、66、67、69、70)とを備えていてもよい。この形態によれば、共通の拘束部材駆動源にて拘束部材駆動源を回転駆動することにより、各ローラ台の拘束部材をローラ軸線の方向に等しく移動させることができる。
【0013】
本発明の上記形態において、前記搬送軌道が周回軌道(10)として構成され、前記一方の拘束部材(34)は他方の拘束部材(30)よりも前記周回軌道の内周側に配置されてもよい。この形態によれば、容器が周回軌道の外周側に配置された他方の拘束部材を基準としてローラ軸線の方向に位置決めされる。周回軌道の外周側には内周側に比してより大きなスペースを確保することができるので検査機器を比較的容易に配置することができる。そして、周回軌道の外周側を基準として容器の位置を揃えることにより、外径又は高さが異なる各種の容器に対して検査機器を所定の位置関係に容易に導くことができ、検査機器の設置に関する構成を簡素化することができる。
【0014】
前記一対の拘束部材が前記ローラと同軸のフランジ状に形成され、前記ローラ回転駆動機構は前記一対の拘束部材を前記ローラとともに前記ローラ軸線の回りに回転させてもよい。拘束部材をローラ軸線と同軸上で回転させることにより容器の回転を妨げることなく容器をローラ軸線の方向に確実に拘束することができる。
【0015】
前記ローラ台駆動機構は、前記ローラ軸線と直交する方向に延び、ねじピッチが互いに等しくかつねじれ方向が互いに逆向きに設定された一対の雄ねじ部(54a、54b)を有するねじ軸(54)と、前記ねじ軸をその軸線の回りに回転させるローラ台駆動源(52)と、前記一対のローラ台のそれぞれに対して前記ローラ軸線と直交する方向に一体に移動できるように連結され、かつ前記ねじ軸の前記一対の雄ねじ部とそれぞれ噛み合う一対のナット(55)とを備えていてもよい。この形態によれば、共通のローラ台駆動源にてねじ軸を回転駆動することにより、各ローラ台をローラ軸線の方向に互いに逆向きに等しい速度で移動させることができる。
【0016】
前記ローラ回転駆動機構は、前記ローラ軸線と直交する方向に延びる回転駆動軸(82)と、前記回転駆動軸をその軸線の回りに駆動する回転駆動源(80)と、前記回転駆動軸に対して一体に回転可能かつ前記回転駆動軸に沿って移動自在に設けられ、さらに前記一対のローラ台のそれぞれに対して前記ローラ軸線と直交する方向に一体に移動できるように連結された一対のローラ用回転体(83)と、前記一対のローラ用回転体のそれぞれの回転運動を前記一対のローラ台のそれぞれのローラに速度及び回転方向が互いに等しくなるように伝達する一対の回転伝達手段(83、84、85、86、87、30、26)とを備えていてもよい。この形態によれば、共通の回転駆動源にて回転駆動軸を回転駆動することにより、各ローラ台のローラを同一方向に等しい速度で回転させることができる。
【0017】
また、本発明の容器支持装置は、円筒部分を有する容器(3)をその容器軸線(AXc)が横に倒された状態で支持する容器支持装置(12)であって、互いに平行なローラ軸線(AXr)の回りに回転可能な少なくとも一つのローラ(27、28)をそれぞれ有し、前記ローラ軸線と直交する方向に並べて配置された一対のローラ台(15)と、前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線の間隔が変化するように互いに接近及び離間可能に支持するローラ台支持機構(16)と、前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線と直交する方向に互いに逆向きに駆動して前記ローラ軸線の間隔を変化させるローラ台駆動機構(17)と、少なくとも一つのローラを前記ローラ軸線の回りに回転させるローラ回転駆動機構(19)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0018】
本発明の容器支持装置によれば、ローラ軸線の方向を容器検査装置の搬送手段による搬送軌道を横断する方向に向けた状態でその容器支持装置を搬送手段上に取り付けることにより、本発明の容器検査装置を実現することができる。
【0019】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
以上に説明したように、本発明によれば、容器を横に倒して支持しているので、容器の外径に応じて支持位置を調整するだけで容器の外周、開口縁部等の特定箇所を検査対象機器に対して適正な高さに容易に位置決めすることができる。このように位置決めされた状態で容器に回転を与えるだけで容器の外周、開口部等を全周に亘って検査することができる。容器を横倒し状態で支持しているので、容器軸線の方向に関して容器の位置決め自由度が高く、容器の高さ(容器軸線方向の寸法)に拘わりなく容器の検査対象箇所を容器の軸線方向に関して所望の位置に置くことができる。さらに、容器軸線を搬送軌道を横断する方向に向けているので、容器の開口部、内周及び内外の底面を搬送軌道の側方から適宜に検査でき、容器の外周を搬送軌道の上方あるいは側方から検査することができる。従って、容器を立てた状態で支持する従来の検査装置と同等の、又はそれ以上に多様な検査を支障なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の一形態に係る容器検査装置の要部の平面図、図2は同装置の正面図、図3は同装置の右側面図である。これらの図に示すように、容器検査装置1は装置本体2と、装置本体2に対して検査対象の容器3を搬入する搬入装置4と、装置本体2から容器3を搬出する搬出装置5とを備えている。容器3は上面がほぼ全面に亘って開口する有底円筒型に形成されている。図3から明らかなように、検査対象の容器3には、直径及び高さが互いに異なる最大容器3A、最小容器3B、及びこれらの中間のサイズの幾つかの種類の容器が存在するが、これらを区別する必要がないときは容器3と表記する。
【0022】
図1及び図3に示すように、装置本体2の前面側には直線型の搬入コンベア6A、及び搬出コンベア6Bが2列ずつ設けられている。容器3は上下に反転された状態で搬入コンベア6Aに載せられて搬入装置4の直下まで搬送される。搬入装置4はいずれかの列の搬入コンベア6Aの終端部まで搬送される容器3を吸着装置7で受け止めて吸着し、その容器3を搬入コンベア6Aから持ち上げ、さらにその容器3を図2に実線で示すように容器軸線が水平方向を向くように姿勢を変化させて装置本体2内の搬入位置Pinまで搬入する。搬出装置5は装置本体2の搬出位置Poutにて容器3を吸着して持ち上げ、その容器3を開口部が下を向くように姿勢を変化させて搬出コンベア6Bの始端部に搬出する。搬入装置4には、吸着時に容器3を搬入コンベア6Aの上流側に逃げないように拘束するストッパ装置8が設けられているが、その詳細は後述する。
【0023】
図1〜図3に示すように、装置本体2には容器検査装置1内で容器3を搬送する手段としてのロータリーテーブル11が設けられている。ロータリーテーブル11は、装置本体2に内蔵された不図示のテーブル駆動装置により鉛直中心線CLv(図3参照)の回りに回転駆動される。ロータリーテーブル11の上面には8個の容器回転テーブル12が周方向に等間隔で設けられている。容器回転テーブル12は本発明の容器支持装置に相当する。
【0024】
容器3は、各容器回転テーブル12に支持されつつロータリーテーブル11により装置本体2内に規定された円形の周回軌道10に沿って搬送される。周回軌道10の周囲には上述した搬入装置Pin及び搬出装置Pout以外に6つの検査位置P1〜P6が設定されている。搬入位置Pin及び搬出装置Poutと検査位置P1〜P6とは周方向に互いに等しいピッチで設けられている。ロータリーテーブル11は、容器回転テーブル12に支持された容器3が搬入位置Pin、検査位置P1〜P6及び搬出位置Poutを順次移動するように一定角度(この例では45°)ずつ図1の時計方向に回転駆動される。
【0025】
図4〜図11に容器回転テーブル12の詳細を示す。図4に示すように、容器回転テーブル12は一対のローラ台15と、一対のローラ台15のそれぞれを互いに接近及び離間できるように支持するローラ台支持機構16と、ローラ台15を駆動するローラ台駆動機構17と、ローラ台15のスライドローラ(可動ローラ)28を駆動するスライドローラ駆動機構(拘束部材駆動機構)18と、ローラ台15の定置ローラ27、及びスライドローラ28を回転駆動するローラ回転駆動機構19とを備えている。なお、図4の左右方向がロータリーテーブル11の半径方向に相当し、かつ図4の左方がロータリーテーブル11の外周側に相当する。以下では図4の左方を容器回転テーブル12の前方、図4の右方を容器回転テーブル12の後方とし、図4の上下方向を容器回転テーブル12の左右方向として説明を続ける。
【0026】
まず、ローラ台15の概要を説明する。ローラ台15は容器回転テーブル12の前後方向に延びるローラ支持軸25をそれぞれ有しており、各ローラ支持軸25にはローラ27、28が設けられている。図5に示すように、容器3はその容器軸線AXcがローラ支持軸25の軸線方向を向くように倒された状態でローラ台15間に置かれて各ローラ台15のローラ27、28により下方から支持される。容器3の開口部3aは容器回転テーブル12の前方(図5において右方)に向けられる。さらに、ローラ27、28に支持された容器3は、各ローラ台15のローラ27、28をローラ軸線AXrの方向に挟み込むように設けられた一対の拘束部材としてのフランジ30、34により容器軸線AXcの方向に拘束される。スライドローラ28がローラ軸線AXrの方向に移動することにより、最大容器3A、最小容器3B及びそれらの中間のサイズの容器のいずれについても、容器3の上端開口部3aを前側のフランジ30に突き当ててその位置を揃えつつ、各種の容器3をフランジ30、34間にて容器軸線AXcの方向に確実に拘束することができる。
【0027】
次に、ローラ台15の詳細を説明する。図6に示すように、各ローラ台15は、前後方向に長い矩形平板状のスライドベース20を備えている。ローラ支持軸25はスライドベース20にサポート21、22及びベアリング23、24を介して回転自在に取り付けられている。ローラ支持軸25の前端はサポート21よりも前方に突出し、その突出部分にはロータ26が設けられている。定置ローラ27及びスライドローラ28はサポート21よりも後方に配置されている。ロータ26は止めねじ29によってローラ支持軸25上の定位置に固定されることによりローラ支持軸25と一体に回転可能である。ロータ26の後端に上述したフランジ30が一体に形成されている。ローラ台15のそれぞれのフランジ30は、ローラ軸線AXrの方向に関して互いに等しい位置に固定されている。定置ローラ27は止めねじ31によってローラ支持軸25上の定位置に固定されることにより、ローラ支持軸25と一体に回転可能である。
【0028】
スライドローラ28はスリーブ32を介してローラ支持軸25のスプライン部25aに嵌め合わされており、かつスライドローラ28とスリーブ32とは止めねじ33によって相互に固定されている。スライドローラ28の後端には上述したフランジ34が一体に形成されている。従って、スライドローラ28はそのフランジ34とともにローラ支持軸25の軸線、すなわちローラ軸線AXrの方向に移動自在であり、かつローラ支持軸25と一体回転可能である。ローラ台15のそれぞれのフランジ34は、ローラ軸線AXrの方向に関して互いに等しい位置に配置される。スライドローラ28を前後方向に円滑に案内するため、ローラ支持軸25の下方にはローラ支持軸25と平行にガイドロッド35が設けられている。ガイドロッド35の前端はスライドベース20にサポート36を介して取り付けられ、ガイドロッド35の後端はサポート22に固定されている。ガイドロッド35にはスライダ37がガイドロッド35の軸線方向に移動自在に取り付けられ、そのスライダ37には連結プレート38が取り付けられている。ローラ支持軸25は連結プレート38を貫いて延びており、その貫通部分にはベアリング39を介してスリーブ32が嵌め合わされている。これにより、スライドローラ28はガイドロッド35に案内されつつローラ支持軸25上を前後に移動することができる。
【0029】
次に、ローラ台支持機構16、ローラ台駆動機構17及びスライドローラ駆動機構18について説明する。図7はローラ台支持機構16の平面図である。ローラ台支持機構16は、ベースプレート40と、容器回転テーブル12の前後方向(図7において上下方向)に間隔を空けた状態でベースプレート40上に配置された一対の直動ガイド41とを備えている。ベースプレート40はロータリーテーブル11にボルト等を利用して固定されて容器回転テーブル12の全体を支持する基台として機能する。なお、ベースプレート40の取り付け方向は、ベースプレート40の前後方向中心線CLaの延長上にロータリーテーブル11の鉛直中心CLvが位置するように定められる。
【0030】
各直動ガイド41はガイドレール42と、そのガイドレール42に沿って移動自在な一対のスライダ43とを備えている。ガイドレール42の長手方向は容器回転テーブル12の左右方向と一致する。図5、図6及び図8に示すように、ガイドレール42とベースプレート40との間にはスペーサ44が配置されている。スペーサ44がボルト45にてベースプレート40に固定され、ガイドレール42がボルト46にてスペーサ44に固定されることにより、ガイドレール42がベースプレート40に固定される。直動ガイド41のスライダ43上にはローラ台15のスライドベース20が搭載され、そのスライドベース20とスライダ43とはボルト47にて相互に固定される。スライドベース20の長手方向はガイドレール42の長手方向と直交する。従って、図7においてベースプレート40の前後方向中心線CLaの右側に位置する一対のスライダ43に一方のローラ台15が、左側に位置する一対のスライダ43に他方のローラ台15がそれぞれ固定される。これにより、ローラ台15のそれぞれは、ローラ軸線AXrの間隔が変化するように互いに接近及び離間可能に支持される。
【0031】
ローラ台駆動機構17は、ローラ台15をガイドレール42に沿って駆動するものであり、ローラ台駆動源としての電動モータ52と、その電動モータ52の出力軸52aとカップリング53を介して同軸に連結されたねじ軸54と、そのねじ軸54の雄ねじ部54a、54bにそれぞれねじ込まれる一対のナット55とを備えている。図9に示すようにナット55はローラ台15のスライドベース20の下面にボルト56を利用してそれぞれ連結されることにより、ローラ台15と一体にねじ軸54の軸線方向に移動する。ナット55にねじ込まれる雄ねじ部54a、54bはベースプレート40の中心線CLaに対して左右対称に設けられ、それらの捩れ方向は互いに逆向きでかつねじピッチは互いに等しい。そして、雄ねじ部54a、54bに対するナット55のねじ込み位置はローラ軸線AXrが中心線CLaに対して互いに等しい距離に位置するように設定されている。従って、モータ52によりねじ軸54を回転させることにより、ローラ台15が中心線CLaを挟んで対称的に開閉駆動されてローラ軸線AXrの間隔が拡大又は縮小する。
【0032】
図5、図6及び図9に示すように、スライドローラ駆動機構18は、拘束部材駆動源としての電動モータ60と、その電動モータ60の出力軸60aとカップリング61を介して同軸に連結された駆動軸(拘束部材駆動軸)62と、その駆動軸62にスリーブ63を介して取り付けられた一対の駆動プーリ64と、一対のローラ台15のそれぞれのスライドベース20の後端にブラケット65を介して回転自在に取り付けられた従動プーリ66(図8参照)と、各駆動プーリ64と各ローラ台15の従動プーリ66との間に巻き掛けられたベルト67とを備えている。図9に示すように、駆動軸62は断面多角形状の駆動部62aを有し、スリーブ63及び駆動プーリ64はその駆動部62aに一体回転可能かつ軸線方向に相対移動可能に設けられている。さらに、スリーブ63はローラ台15上のサポート36にベアリング68を介して回転自在に支持されている。従って、駆動プーリ64はローラ台15とともに左右方向に移動可能であり、かつ左右方向の位置に拘わりなく駆動軸62と一体に回転可能である。
【0033】
図10に示すように、ベルト67はローラ台15の連結プレート38(図6参照)の切欠部38aを貫くように配置されており、そのベルト67の上部67aはベルト押え69及びベルト受け70に挟み込まれた状態で連結プレート38に固定されている。これにより、ベルト67の上部67aとスライドローラ28とが連結プレート38及びスリーブ32を介して相互に連結される。従って、モータ60にて駆動軸62を回転させることにより、その回転が駆動プーリ64を介してベルト67に伝達され、ベルト67の上部67aの直線運動が連結プレート38及びスリーブ32を介してスライドローラ28に伝達されてベルト上部67aとスライドローラ28とが一体的に前後方向に移動する。しかも、一対のローラ台15のそれぞれのスライドローラ28の直線運動の速度及び方向は互いに等しい。この例では、駆動プーリ64が拘束部材用回転体に相当し、その駆動プーリ64、従動プーリ66、ベルト67、ベルト押え69及びベルト受け70により運動変換手段が構成される。
【0034】
次に、ローラ回転駆動機構19について説明する。図4、図6及び図11に示すように、ローラ回転駆動機構19は回転駆動源としての電動モータ80と、その電動モータ80の出力軸80aとカップリング81を介して同軸に連結された駆動軸82と、その駆動軸82に取り付けられた一対の第1ベベルギア83と、それらの第1ベベルギア83と噛み合う一対の第2ベベルギア84と、第2ベベルギア84と同軸の中間ギア85と、中間ギア85と噛み合うドリブンギア86とを備えている。図11に示すように、駆動軸82は断面多角形状の駆動部82aを有し、各第1ベベルギア83はその駆動部82aに一体回転可能かつ軸線方向に相対移動可能に設けられている。さらに、各第1ベベルギア83はベアリング88を介してサポート88に回転自在に支持され、サポート88はローラ台15のスライドベース20に固定されている。従って、第1ベベルギア83は駆動プーリ64はローラ台15とともに左右方向に移動可能であり、かつ左右方向の位置に拘わりなく駆動軸82と一体に回転可能である。
【0035】
図6に示すように、第2ベベルギア84はローラ軸線AXrと平行なギア軸90に同軸かつ一体回転可能に取り付けられており、そのギア軸90はベアリング91を介してローラ台15のサポート21に回転自在に支持されている。中間ギア85は第2ベベルギア84の外周に同軸に嵌め合わされてボルト92により第2ベベルギア84に固定されている。これにより中間ギア85は第2ベベルギア84と同軸上を一体に回転する。一方、ドリブンギア86はローラ支持軸25の前端のロータ26にボルト93を利用して同軸に固定されている。さらに、第1ベベルギア83からドリブンギア86までのギア比はローラ台15間において互いに等しい。従って、モータ80にて駆動軸82を回転させることにより、その回転がベベルギア83、84、中間ギア85及びドリブンギア86を介してロータ26まで伝達され、それにより一対のローラ台15のそれぞれのローラ支持軸25が同一方向へ同一速度で回転し、その回転に伴って定置ローラ27、スライドローラ28及びフランジ30、34も同一方向に互いに等しい速度で一体的に回転する。この例では、第1ベベルギア83がローラ用回転体に相当し、その第1ベベルギア83、第2ベベルギア84、中間ギア85、ドリブンギア86、ロータ26(フランジ30を含む)、及びローラ支持軸25によって回転伝達手段が構成される。
【0036】
図4及び図5に示すように、容器回転テーブル12には、ローラ台駆動機構17のねじ軸54の回転量を検出するためのフォトインタラプタ型の回転検出装置95と、スライドローラ駆動機構18の駆動軸62の回転量を検出するためのフォトインタラプタ型の回転検出装置96と、及びローラ回転駆動機構19の駆動軸82の回転量を検出するためのフォトインタラプタ型の回転検出装置97とが設けられている。容器検査装置1の制御装置は、回転検出装置95の出力に基づいてローラ軸線AXrの間隔を判別するとともに、回転検出装置96の出力に基づいてスライドローラ28の位置を判別し、それらの判別結果に基づいてローラ軸線AXrの間隔及びフランジ30、34の間隔が容器3の外径及び高さに適した値となるようにローラ台駆動機構17のモータ52及びスライドローラ駆動機構18のモータ60の動作を制御する。また、容器3の検査時には回転検出装置97の出力に基づいて容器3の回転量を判別し、容器3がそれぞれの検査位置P1〜P6に適した量だけ回転するようにローラ回転駆動機構19のモータ80の動作を制御する。以下、容器検査装置1の制御装置によって制御される容器回転テーブル12の動作を具体的に説明する。
【0037】
容器3が搬入装置4によって搬入位置Pinに搬入される際、その搬入位置Pinの容器回転テーブル12では、ローラ台駆動機構17によりローラ台15が左右方向に駆動されてローラ軸線AXrの間隔が容器3の外径に適した値に調整される。これに並行して、スライドローラ駆動機構18によりスライドローラ28が前後方向に駆動されることにより、フランジ30、34の間隔が容器3を搬入装置4から受け入れるに十分な値に調整される。容器3がローラ台15間に搭載されると、フランジ30、34の間隔が容器3の高さと略一致するようにスライドローラ28が前進駆動され、それにより容器3の上端が前側のフランジ30に突き当てられて前後方向に位置決めされるとともに、容器3がフランジ30、34の間に挟まれる。以上により搬入位置Pinにおける容器3の支持動作が完了する。このような支持状態は容器回転テーブル12が搬出位置Poutに達するまで維持される。
【0038】
検査位置P1〜P6においては、ローラ回転駆動機構19によりローラ支持軸25が回転駆動され、それによりローラ27、28に支持された容器3が容器軸線AXcの回りに回転する。容器3の回転量はそれぞれの検査位置P1〜P6で実施される検査に適した値に制御される。例えば容器3の全周検査が実施される場合には回転量が最低でも360°に設定される。容器回転テーブル12が搬出位置Poutに移動すると、スライドローラ駆動機構18によりスライドローラ28が後方に駆動されて、フランジ30、34による容器3の拘束が解除される。この後、搬出装置5が容器3を吸着して容器3を容器回転テーブル12から持ち上げ、その吸着した容器3を搬出コンベア6Bに移し替える。但し、検査において不良と判定された容器3は別の不良品コンベア(不図示)に排出される。
【0039】
なお、搬入装置Pinに搬入される容器3の外径及び高さは適宜の方法で判別してよい。例えば、搬入コンベア6Aの列単位に容器3の外径及び高さを統一する場合には、各列に流される容器3の外径及び高さを容器検査装置1の制御装置に予め指示し、搬入装置4がいずれの列から容器3を取り上げたかを搬入装置4から取得し、その取得した列に対応付けられている外径及び高さに適した位置にローラ台15及びスライドローラ28を移動させればよい。容器3に外径及び高さを特定するための情報を記録したバーコード、ICタグ等の指標を設け、搬入位置Pinに容器3が取り込まれる際にその指標から外径及び高さを判別し、その判別結果に応じた位置にローラ台15及びスライドローラ28を移動させてもよい。
【0040】
以上の容器回転テーブル12によれば、ローラ台15間に容器3を水平に倒した状態で搭載しているので搬送中あるいは検査中に容器3が倒れるおそれがなく、容器3の安定性が高い。ローラ台駆動機構17によってローラ台15を駆動してローラ軸線AXrの間隔を変化させることにより、最大容器3Aから最小容器3Bまでの各種の外径の容器3を定置ローラ27、及びスライドローラ28にて下方から安定的に支持することができ、ローラ台15等の構成部品を容器3の外径に応じて交換し、あるいは手作業で位置を調整する必要がない。ローラ軸線AXrの間隔を変化させることにより、ローラ27、28が容器3の外周に接する位置を容器3の周方向に変化させ、それにより容器3の支持位置を上下方向に関して所望の位置に設定することができる。これにより、図11に例示したように、最大容器3A及び最小容器3Bの検査対象位置(図示の例では開口部の下端付近)を一定領域Aに揃えることができる。また、スライドローラ駆動機構18によってスライドローラ28を前後に駆動することにより高さが異なる様々な容器3をフランジ30、34の間に挟み込んで安定的に保持することができる。しかも、フランジ30に容器3の開口端を突き当てることにより、容器3の高さに拘わりなく容器3の開口端を容器軸線AXcの方向に関して同一の位置に揃えることができる。すなわち、図11に示した検査対象領域Aを上下方向のみならず、容器軸線AXcの方向にも一致させることができる。さらに、容器3を回転させることにより検査対象領域Aを監視するだけで容器3の開口端の周囲を全周に亘って検査することができる。
【0041】
フランジ34をスライドローラ28と一体に設けているので、容器3の底側をローラ28の外周面で支持することができる。特に高さ寸法が大きい容器の場合には定置ローラ27とスライドローラ28との間に十分なスパンを確保して容器3の安定性を高めることができる。フランジ30、34をローラ27、28と一体に回転させることにより、容器3の回転を妨げることなく容器3をローラ軸線AXrの方向に拘束することができる。駆動機構17、18及び19のそれぞれが、一対のローラ台15に対して共通の駆動源52、60、80を利用してローラ台15、スライドローラ28、及びローラ支持軸25をそれぞれ駆動するように構成されているので、駆動源の個数を減らして容器支持装置12の構成の簡素化及び駆動源の制御に関する手間を軽減することができる。
【0042】
本形態の容器検査装置1において、検査装置P1〜P6における検査内容は任意に設定してよいが、一例として検査位置P1では容器3の口天面検査が、検査位置P2では容器3の口元のねじ検査が、検査位置P3では容器3の内底面検査が、検査位置P4では容器3の外底面検査が、検査位置P5では容器3の内周面検査が、そして検査位置P6では容器3の外周面検査がそれぞれ実施される。以下、図12〜図17を参照して各検査の概要を説明する。なお、図12〜図17では容器回転テーブル12の図示を省略している。いずれの検査位置P1〜P6においても容器3は容器軸線AXcの回りに回転駆動される。
【0043】
図12は検査位置P1にて実施される容器3の口天面3bの検査の様子を示す。口天面検査では、容器3の口天面3bの下部が照明装置101で照明されつつ、その口天面3bがロータリーテーブル11の外周側に配置された1台のカメラ102にて撮影されることにより、口天面3bの全周の画像が取得される。そして、撮影された画像に基づいて口天面3bの欠陥、汚れ等の有無が検査される。照明装置101及びカメラ102は、最大容器3Aから最小容器3Bに至る全ての容器3に対してそれぞれ一定の位置に固定される。カメラ102の撮影範囲X(撮影画角)も一定である。この撮影範囲Xに全ての容器3の口天面3bが入るように容器3の外径に応じてローラ軸線AXrの間隔が調整される。これにより検査位置P1ではカメラ102の位置を高さ方向に変化させる必要がなくなる。しかも、容器3の高さに拘わりなく口天面3bが容器軸線AXcの方向に一定位置に配置されるので、カメラ102を光軸方向に移動させる必要がなく、焦点調整も不要である。
【0044】
図13は検査位置P2にて実施される容器3のねじ面3cの検査の様子を示す。ねじ面検査では、容器3のねじ面3cが照明装置103及び104によって上下から照明されつつ、そのねじ面3cが容器3の上方に配置された2台のカメラ105にて撮影されることにより、ねじ面3cの全周の画像が取得される。そして、撮影された画像に基づいてねじ面3cの欠陥、汚れ等の有無が検査される。照明装置103、104及びカメラ105は昇降装置106により容器3の外径に応じて上下方向に位置調整される。この検査では、容器3の高さに拘わりなく、ねじ面3cが容器軸線AXcの方向にほぼ一定の位置に配置されるので、照明装置103、104及びカメラ105を容器軸線AXcの方向に移動させる必要がない。また、高さが異なる容器3のねじ面3cをカメラ105の撮影位置に合わせるべく容器回転テーブル12の構成部品を交換し、あるいは手作業で位置を調整する必要もない。
【0045】
図14は検査位置P3にて実施される容器3の内底面3dの検査の様子を示す。内底面検査では、容器3の内底面3dが照明装置108及び109によって容器3の外底面3e側及び開口部3a側からそれぞれ照明されつつ、その内底面3dの下部がロータリーテーブル11の外周側に配置された2台のカメラ110にて撮影されることにより、内底面3dの全周の画像が取得される。そして、撮影された画像に基づいて内底面3dの欠陥、汚れ等の有無が検査される。照明装置108、109は容器3の外径及び高さに拘わりなく一定の位置に固定される。一方、カメラ110は、容器軸線AXcの方向に関して容器3の内底面3dとほぼ一定の距離を保つ必要があるため、スライド装置111により容器3の高さに応じて容器軸線AXcの方向に位置調整される。しかし、容器3の外径に拘わりなく、内底面3dの下部がほぼ同一高さに配置されるのでカメラ110を上下方向に移動させる必要がない。
【0046】
図15は検査位置P4にて実施される容器3の外底面3eの検査の様子を示す。外底面検査では、容器3の外底面3eが照明装置113、114及び115によって容器3の外底面3e側及び開口部3a側からそれぞれ照明されつつ、その外底面3eの下部がロータリーテーブル11の内周側に配置された2台のカメラ116にて撮影されることにより、外底面3eの全周の画像が取得される。そして、撮影された画像に基づいて外底面3eの欠陥、汚れ等の有無が検査される。開口部3a側の照明装置115は容器3の外径及び高さに拘わりなく一定の位置に固定される。一方、外底面3e側の照明装置113、114及びカメラ116は、容器軸線AXcの方向に関して容器3の外底面3eとほぼ一定の距離を保つ必要があるため、スライド装置117により容器3の高さに応じて容器軸線AXcの方向に位置調整される。しかし、容器3の外径に拘わりなく、外底面3eの下部がほぼ同一高さに配置されるので、照明装置113、114及びカメラ116を上下方向に移動させる必要がない。
【0047】
図16は検査位置P5にて実施される容器3の内周面3fの検査の様子を示す。内周面検査では、容器3の内周面3fが照明装置120及び121によって容器3の外周面3g側及び開口部3a側からそれぞれ照明されつつ、その内周面3fの上側がロータリーテーブル11の外周側に配置された4台のカメラ122〜125にて撮影されることにより、内周面3fの全周の画像が取得される。そして、撮影された画像に基づいて内周面3fの欠陥、汚れ等の有無が検査される。照明装置120、121及びカメラ122〜125は、昇降装置126により容器3の外径に応じて上下方向に位置調整される。しかし、容器3の開口部3aの位置が容器3の高さに拘わりなく揃っているので、照明装置121及びカメラ122〜125を容器軸線AXcの方向に移動させる必要はない。照明装置120に関しても、高さ寸法が最大となる最大容器3Aに合わせて照明範囲を設定しておくことにより容器軸線AXcの方向に位置調整する必要はない。
【0048】
図17は検査位置P6にて実施される容器3の外周面3gの検査の様子を示す。外周面検査では、容器3の外周面3gが容器3の上方に配置された照明装置130によって照明されつつ、その外周面3gが容器3の上方に配置された3台のカメラ131〜133にて撮影されることにより、外周面3gの全周の画像が取得される。そして、撮影された画像に基づいて外周面3gの欠陥、汚れ等の有無が検査される。カメラ131〜133は最大容器3Aの外周面3gを3分割して撮影するように設けられ、かつ開口部3a側のカメラ131は最小容器3Bの外周面3gを1台で撮影できるように設けられている。照明装置130及びカメラ131〜133は昇降装置134により容器3の外径に応じて上下方向に位置調整される。しかし、カメラ131〜133を容器軸線AXcの方向に位置調整する必要はない。照明装置130に関しても最大容器3Aに合わせて照明範囲を設定しておくことにより容器軸線AXcの方向に位置調整する必要はない。
【0049】
以上のように、本形態の容器検査装置1によれば、容器軸線AXcをロータリーテーブル11の半径方向に向けているので、容器3の開口部3a側に設けられた口天面3b及びねじ面3c、内底面3d、外底面3e及び内周面3fを周回軌道10の外周側又は内周側から検査でき、また、容器3の外周面3gは周回軌道10の上方から検査することができる。しかも、照明装置、カメラ等の検査機器は移動させる必要がないか、又は一方向にのみ移動させるだけでよく、これらの検査機器を二以上の方向に移動させる必要がない。従って、検査機器を設置するために必要な構成が簡素化される。さらには、容器3の開口部3aを周回軌道10の外周に向けることにより、ロータリーテーブル11の外周側に生じる十分なスペースを利用して検査機器を配置することができ、それらの検査機器の配置に関する制約も少ない。
【0050】
次に、搬入装置4に設けられたストッパ装置8について図18を参照して説明する。ストッパ装置8は搬入コンベア6Aの搬送方向に沿って設けられたベース200と、そのベース200上にサポート201a、201bを介して回転自在に取り付けられた支軸202とを備えている。支軸202にはブッシュ203が支軸202の軸線方向に移動可能に取り付けられている。ブッシュ203と支軸202とは不図示のスライドキーを介して周方向に噛み合い、支軸202の一端にはロータリーアクチュエータ205が連結されている。さらに、ブッシュ203にはストッパピン206が取り付けられている。ロータリアクチュエータ205にて支軸202を回転させることにより、ストッパピン206は搬入コンベア6Aの搬送面上に突出するように水平に倒された位置(図1参照)と、搬入コンベア6Aの搬送面から退避して鉛直方向に立てられた位置(図18)との間で回転する。ブッシュ203はディスク207の環状溝207aと噛み合っており、そのディスク207はエアーシリンダ208のピストンロッド208aと連結軸209を介して同軸に連結されている。従って、エアーシリンダ208の伸縮動作により搬入コンベア6Aの搬送方向に関するストッパピン206の位置を変化させることができる。容器3の搬入時には、エアーシリンダ208によりストッパピン206が容器3の外径に応じた位置に移動し、かつアクチュエータ205によりストッパピン206が容器3の背後で搬送面上に倒される。これにより、吸着装置7とストッパピン206との間に容器3を挟み込んで容器3を吸着装置7で確実に吸着することができる。
【0051】
本発明は以上の形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。容器支持装置において、一対のローラ台のそれぞれは少なくとも一つのローラを有していればよい。例えば、容器3を支持するためのローラとして定置ローラ27のみを設け、スライドローラ28に代えてローラ軸線方向に移動可能なフランジ34のみをローラ軸線上に設け、これをスライドローラ駆動機構18と同様の駆動機構によりローラ軸線方向に駆動してもよい。容器の高さ寸法が一定、あるいは高さが変化してもその差が小さくて容器軸線方向に関するフランジ30、34の間隔調整が不要な場合にはスライドローラ駆動機構18を省略してフランジ34の位置をローラ軸線AXrの方向において固定してもよい。あるいは、フランジ30、34を省略してもよい。容器を容器軸線の方向に挟み込むための拘束部材はフランジ状の部材に限らず、ピンその他の各種の形状としてよく、拘束部材をローラ支持軸からオフセットして、回転不能な状態でローラ台15に設けてもよい。各ローラ台15のローラ支持軸25をローラとして機能させてもよい。フランジ30、34等の拘束部材はいずれか一方のローラ台15のみに設けてもよい。ローラ台15に複数のローラを設ける場合でも、ローラ回転駆動機構により一部のローラのみを回転駆動し、残りのローラは空転させてもよい。
【0052】
本発明のローラ台駆動機構、拘束部材駆動機構及びローラ回転駆動機構は上述したローラ台駆動機構17、スライドローラ駆動機構18及びローラ回転駆動機構19にそれぞれ限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、ローラ台駆動機構17はねじ軸及びナットを利用したものに限らず、ベルト、チェーン等の環状走行体の両側部をローラ台にそれぞれ個別に連結して各ローラ台を互いに逆向きに等しく駆動するものでもよい。拘束部材駆動機構においては、拘束部材用回転体としてピニオンを設け、そのピニオンをラックにより拘束部材の直線運動に変換するように運動変換手段を構成してもよい。あるいは、拘束部材用回転体の回転運動をベベルギア等を用いてローラ軸線方向の回転運動に変換し、その回転運動をねじ機構により拘束部材の直線運動に変換するように運動変換手段を構成してもよい。ローラ回転駆動機構においては、ギア列による運動伝達手段に代えて、又は追加して巻き掛け伝動手段、摩擦車等の各種の回転伝達手段を設けてよい。
【0053】
容器検査装置における検査位置は6箇所に限らず、その数は必要に応じて適宜に増減してよい。上記の形態では全ての検査位置で容器を回転させているが、少なくともいずれか一つの検査位置で容器を回転させて検査を実施する限りは本発明の容器支持装置を有効に利用することができる。搬送手段はロータリーテーブルによるものに限らず、種々の構成の搬送手段を利用してよい。搬送手段による搬送軌道も円形軌道に限らず、楕円形、長円形状、さらには直線部分とカーブ部分とを適宜に組み合わせた周回軌道としてよく、さらには直線又は曲線状の搬送軌道としてもよい。本発明の容器検査装置及び容器支持装置が対象とする容器は少なくともその一部に円筒部分を有していればよい。例えば、容器の開口部が絞り込まれていてもよい。搬送軌道が周回軌道として構成される場合においては、容器の開口部を周回軌道の外周側に向ける例に限らず、容器の底面側が周回軌道の外周側に向けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一形態に係る容器検査装置の要部の平面図。
【図2】本発明の一形態に係る容器検査装置の正面図。
【図3】本発明の一形態に係る容器検査装置の右側面図。
【図4】容器支持装置の一形態に係る容器回転テーブルの平面図。
【図5】容器回転テーブルの左側面図。
【図6】図4のVI−VI線に沿った容器回転テーブルの縦断面図。
【図7】図6のVII−VII線に沿った容器回転テーブルの水平断面図。
【図8】容器回転テーブルの背面図。
【図9】図4のIX−IX線に沿った容器回転テーブルの横断面図。
【図10】図4のX−X線に沿った容器回転テーブルの横断面図。
【図11】図4のXI−XI線に沿った容器回転テーブルの横断面図。
【図12】容器の口天面検査の様子を示す図。
【図13】容器のねじ面検査の様子を示す図。
【図14】容器の内底面検査の様子を示す図。
【図15】容器の外底面検査の様子を示す図。
【図16】容器の内周面検査の様子を示す図。
【図17】容器の外周面検査の様子を示す図。
【図18】搬入装置に設けられたストッパ装置の軸線方向断面図。
【符号の説明】
【0055】
1 容器検査装置
3 容器
4 搬入装置
5 搬出装置
6A 搬入コンベア
6B 搬出コンベア
7 吸着装置
8 ストッパ装置
10 周回軌道(搬送軌道)
11 ロータリーテーブル(搬送手段)
12 容器回転テーブル(容器支持装置)
15 ローラ台
16 ローラ台支持機構
17 ローラ台駆動機構
18 スライドローラ駆動機構(拘束部材駆動機構)
19 ローラ回転駆動機構
25 ローラ支持軸(回転伝達手段)
26 ロータ(回転伝達手段)
27 定置ローラ
28 スライドローラ(可動ローラ)
30 フランジ(拘束部材)
34 フランジ(拘束部材)
52 電動モータ(ローラ台駆動源)
54 ねじ軸
54a、54b 雄ねじ部
55 ナット
60 電動モータ(拘束部材駆動源)
62 駆動軸(拘束部材駆動軸)
64 駆動プーリ(拘束部材用回転体、運動変換手段)
66 従動プーリ(運動変換手段)
67 ベルト(運動変換手段)
69 ベルト押え(運動変換手段)
70 ベルト受け(運動変換手段)
80 電動モータ(回転駆動源)
82 駆動軸(回転駆動軸)
83 第1ベベルギア(ローラ用回転体、回転伝達手段)
84 第2ベベルギア(回転伝達手段)
85 中間ギア(回転伝達手段)
86 ドリブンギア(回転伝達手段)
AXc 容器軸線
AXr ローラ軸線
P1〜P6 検査位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部分を有する容器を所定の搬送軌道に沿って搬送する搬送手段を備え、前記搬送軌道に沿って設定された少なくとも一つの検査位置では前記容器をその容器軸線の回りに回転させて検査する容器検査装置であって、前記搬送手段上には、前記容器を前記容器軸線が前記搬送軌道を横断する方向を向くように倒された状態で支持しつつ該容器を前記容器軸線の回りに回転させる容器支持装置が設けられていることを特徴とする容器検査装置。
【請求項2】
前記容器支持装置は、
前記搬送軌道を横断する方向に延びるローラ軸線の回りに回転可能な少なくとも一つのローラをそれぞれ有し、前記容器軸線が前記ローラ軸線の方向を向くように倒された容器を前記ローラ間で支持できるように前記ローラ軸線と直交する方向に並べて配置された一対のローラ台と、
前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線の間隔が変化するように互いに接近及び離間可能に支持するローラ台支持機構と、
前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線と直交する方向に互いに逆向きに駆動して前記ローラ軸線の間隔を変化させるローラ台駆動機構と、
少なくとも一つのローラを前記ローラ軸線の回りに回転させるローラ回転駆動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の容器検査装置。
【請求項3】
少なくともいずれか一方のローラ台には、前記ローラを前記ローラ軸線の方向に挟み込むように一対の拘束部材が設けられ、いずれか一方の拘束部材は前記ローラ軸線の方向に移動可能であり、前記容器支持装置は、前記一方の拘束部材を前記ローラ軸線の方向に駆動して前記一対の拘束部材の間隔を変化させる拘束部材駆動機構をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の容器検査装置。
【請求項4】
前記一対の拘束部材が設けられたローラ台には、前記ローラとして、前記ローラ軸線の方向に関して一定の位置に固定される定置ローラと、該定置ローラの一方の側に配置されて前記ローラ軸線の方向に移動自在な可動ローラとが設けられ、前記一方の拘束部材は前記ローラ軸線の方向に前記可動ローラと一体に移動できるように設けられ、他方の拘束部材は前記定置ローラの他方の側にて前記ローラ軸線の方向に一定の位置に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の容器検査装置。
【請求項5】
前記一対のローラ台のそれぞれに前記一対の拘束部材が設けられ、前記ローラ軸線方向に関する一対の拘束部材のそれぞれの位置がローラ台間で互いに等しいことを特徴とする請求項4に記載の容器検査装置。
【請求項6】
前記拘束部材駆動機構は、前記ローラ軸線と直交する方向に延びる拘束部材駆動軸と、前記拘束部材駆動軸をその軸線の回りに駆動する拘束部材駆動源と、前記拘束部材駆動軸に対して一体に回転可能かつ前記拘束部材駆動軸に沿って移動自在に設けられ、さらに前記一対のローラ台のそれぞれに対して前記ローラ軸線と直交する方向に一体に移動できるように連結された一対の拘束部材用回転体と、前記一対の拘束部材用回転体のそれぞれの回転運動を前記一方の拘束部材の前記ローラ軸線方向への同一速度及び同一方向の直線運動にそれぞれ変換する一対の運動変換手段と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の容器検査装置。
【請求項7】
前記搬送軌道が周回軌道として構成され、前記一方の拘束部材が他方の拘束部材よりも前記周回軌道の内周側に配置されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の容器検査装置。
【請求項8】
前記一対の拘束部材が前記ローラと同軸のフランジ状に形成され、前記ローラ回転駆動機構は前記一対の拘束部材を前記ローラとともに前記ローラ軸線の回りに回転させることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の容器検査装置。
【請求項9】
前記ローラ台駆動機構は、前記ローラ軸線と直交する方向に延び、ねじピッチが互いに等しくかつねじれ方向が互いに逆向きに設定された一対の雄ねじ部を有するねじ軸と、前記ねじ軸をその軸線の回りに回転させるローラ台駆動源と、前記一対のローラ台のそれぞれに対して前記ローラ軸線と直交する方向に一体に移動できるように連結され、かつ前記ねじ軸の前記一対の雄ねじ部とそれぞれ噛み合う一対のナットと、を備えていることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の容器検査装置。
【請求項10】
前記ローラ回転駆動機構は、前記ローラ軸線と直交する方向に延びる回転駆動軸と、前記回転駆動軸をその軸線の回りに駆動する回転駆動源と、前記回転駆動軸に対して一体に回転可能かつ前記回転駆動軸に沿って移動自在に設けられ、さらに前記一対のローラ台のそれぞれに対して前記ローラ軸線と直交する方向に一体に移動できるように連結された一対のローラ用回転体と、前記一対のローラ用回転体のそれぞれの回転運動を前記一対のローラ台のそれぞれのローラに速度及び回転方向が互いに等しくなるように伝達する一対の回転伝達手段と、を備えていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の容器検査装置。
【請求項11】
円筒部分を有する容器をその容器軸線が横に倒された状態で支持する容器支持装置であって、
互いに平行なローラ軸線の回りに回転可能な少なくとも一つのローラをそれぞれ有し、前記ローラ軸線と直交する方向に並べて配置された一対のローラ台と、
前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線の間隔が変化するように互いに接近及び離間可能に支持するローラ台支持機構と、
前記一対のローラ台のそれぞれを前記ローラ軸線と直交する方向に互いに逆向きに駆動して前記ローラ軸線の間隔を変化させるローラ台駆動機構と、
少なくとも一つのローラを前記ローラ軸線の回りに回転させるローラ回転駆動機構と、
を備えたことを特徴とする容器支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−220618(P2006−220618A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36496(P2005−36496)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(390014661)株式会社キリンテクノシステム (126)
【Fターム(参考)】