説明

容器熱処理装置

【課題】 本発明の課題は、短時間で容器内の飲料温度を上昇させることができる容器熱処理装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の容器熱処理装置1は、樽容器Sを搬送するコンベア3と、コンベア3により搬送される樽容器Sの移動を案内する案内部5と、案内部5に沿って移動する樽容器Sに向けて温水を吹き付ける噴射ノズル9とを備えており、噴射ノズル9は樽容器Sの胴部又は下面に向けて温水を吹き付けて樽容器S内の温度を上昇させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は短時間で容器内の飲料温度を上昇させることができる容器熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内の飲料が冷たい状態で箱詰めされると、次第に容器内の飲料の温度が上昇して容器の外表面に結露が発生するという問題があった。
【0003】
かかる結露を防止するため特許文献1には、搬送されてくる容器の上方に噴射ノズルを備え、容器の上部に温水を吹き付ける方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−322528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に記載の従来技術では、容器の上方に温水を吹き付けるので、温められた液体は比重が軽くなり、冷たい液体は容器内の下方に滞留したままになりやすい。従って、飲料全体の温度が上昇しにくく、容器に向けて温水を吹き付ける時間を長くしなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は、短時間で容器内の飲料温度を上昇させることができる容器熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、容器を搬送するコンベアと、コンベアにより搬送される容器の移動を案内する案内部と、案内部に沿って移動する容器に向けて温水を吹き付ける噴射ノズルとを備え、噴射ノズルは容器の胴部又は下面に向けて温水を吹き付けていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、噴射ノズルは容器の胴部側面略中央よりも下側に温水を吹き付けていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の発明において、案内部は容器に摺接する案内面を有し、案内面はコンベアに対して交差する方向に設けており、容器が自転しつつ搬送されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、案内部は2つの案内部材間に搬送通路を形成しており、搬送通路はコンベアの搬送方向に対して蛇行していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、搬送方向の下流側には容器の上方から容器に向けて空気を吹き付け、容器表面の水滴を除去する空気吹出口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、案内部に沿って移動する容器の胴部又は下面に向けて温水を吹き付けているので、温められた飲料が下方から上方に移動するので、容器内で飲料が対流しやすく、容器内の飲料温度を短期間で上昇させることができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の効果が得られると共に、容器の胴部側面略中央よりも下側に温水を吹き付けるので、例えば容器の下面に温水を吹き付ける場合のように、噴射ノズルの設置の際にコンベアが邪魔になることがなく、設置が簡単である。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2に記載された発明と同様の効果が得られると共に、コンベアに対して案内部が斜めに設けられているので、案内部を移動する容器は自転して、容器内の飲料が攪拌され易く、容器内の熱対流を促進でき、容器内の飲料温度を効果的に上昇させることができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、請求項3に記載された発明と同様の効果が得られると共に、搬送通路は搬送方向に対して蛇行しているので、容器は搬送方向上流側の一方の案内部材に摺接して一方向に回転しつつ搬送されると共に搬送方向下流側の他方の案内部材に摺接して他方向に回転しつつ搬送されるので、一方向の流れと他方向の流れとの繰り返しにより、容器内の飲料がさらに効果的に攪拌されるので、容器内の飲料をさらに短期間に温めることができる。
【0016】
請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載された発明と同様の効果が得られると共に、容器上方から空気を吹き付けることで、容器表面の水滴を吹き飛ばすと共に重力を利用して水滴を落下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は図3に示す容器熱処理装置のA−A断面図、図2は図3に示す容器熱処理装置のB−B断面図であり、図3は本実施の形態に係る容器熱処理装置の全体を示す平面図である。
【0018】
本実施の形態に係る容器熱処理装置1は、ビールを充填した樽容器(容器)Sを温めて、飲料温度を上昇させることで樽容器表面に結露が発生するのを防止するものである。
【0019】
容器熱処理装置1は、図3に示すように樽容器Sを搬送するコンベア3と、コンベア3により搬送される樽容器Sの移動を案内する案内部5とを備えている。案内部5は左右2つの案内部材7、7間に樽容器Sの搬送通路Tを形成していると共に、樽容器Sを受けて案内面5aに沿って移動を案内している。また、案内部材7は搬送方向に対して蛇行して設けられており、樽容器Sは搬送方向上流側の一方の案内部材7aに摺接して正転方向(一方向、図中Cで示す)に回転しつつ搬送されると共に搬送方向下流側の他方の案内部材7bに摺接して逆転方向(他方向、図中Dで示す)に回転しつつ搬送されるようになっている。
【0020】
案内部材7には搬送通路Tを移動する樽容器Sに向けて温水を吹き付ける噴射ノズル9を搬送方向に沿って複数備えており、噴射ノズル9は樽容器Sの胴部側面10に向けて温水を吹き付けるようになっている。また、噴射ノズル9は樽容器Sの両側に配置されており、左右の噴射ノズル9は搬送方向に沿って、それぞれ互い違いになるように配置されている。噴射ノズル9は容器の胴部側面10の上側に対して温水を吹き付ける上側ノズル9aと、樽容器Sの胴部側面10の下側に対して温水を吹き付ける下側ノズル9bとを備えている。尚、噴射ノズル9は搬送方向に対して直交する方向に設けられた枝管11に接続されており、さらに枝管11は搬送方向に沿って配置された配水管13に接続され、配水管13及び枝管11を通って噴射ノズル9に温水が供給されるようになっている。
【0021】
搬送方向の下流側には上方から樽容器Sに向けて空気を吹き付け、樽容器S表面の水滴を除去する空気吹出口15が設けられており、図示しないエアタンクから送られてきた圧縮空気が搬送方向に対して直交する方向に設けられた空気供給管17を通って空気吹出口15から噴出すようになっている。
【0022】
このように、樽容器Sの上方から空気を吹き付けることで、樽容器表面の水滴を吹き飛ばすと共に重力を利用して水滴を落下させることができるようになっている。
【0023】
次に、本実施の形態に係る作用を説明する。ビールの充填工程から搬送されてきた樽容器Sはそれぞれの搬送通路Tに振り分けられ、コンベア3により下流側に向けて搬送される。案内部5に案内されて移動する樽容器Sには、胴部側面10に向けて上側ノズル9a及び下側ノズル9bから温水が吹き付けられ、樽容器S内の飲料温度が上昇する。
【0024】
尚、搬送通路Tは搬送方向に対して蛇行して設けられており、樽容器Sは搬送方向上流側の一方の案内部材7aに摺接して正転方向(図中Cで示す)に回転しつつ搬送されると共に搬送方向下流側の他方の案内部材7bに摺接して逆転方向(図中Dで示す)に回転しつつ搬送される。樽容器Sは搬送方向の下流側において、樽容器S上方の空気吹出口15から樽容器Sに向けて空気が吹き付けられ、樽容器表面の水滴が除去される。水滴が除去された樽容器Sは箱詰め工程へ搬送される。
【0025】
案内部7に沿って移動する樽容器Sの胴部側面10に向けて温水を吹き付けているので、温められた飲料が下方から上方に移動するので、樽容器S内で飲料が対流しやすく、樽容器S内の飲料温度を短期間で上昇させることができる。また、樽容器Sの下面に温水を吹き付ける場合のように、噴射ノズル9の設置の際にコンベア3が邪魔になることがなく、噴射ノズル9の設置が簡単である。
【0026】
また、搬送通路Tは搬送方向に対して蛇行して設けられているので、樽容器Sは搬送方向上流側の一方の案内部材7aに摺接して正転方向に回転しつつ搬送されると共に搬送方向下流側の他方の案内部材に摺接して逆転方向に回転しつつ搬送されるので、正転方向の流れと逆転方向の流れとの繰り返しにより、樽容器S内の飲料がさらに効果的に攪拌されるので、樽容器S内の飲料をさらに短期間に温めることができる。
【0027】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0028】
本実施の形態では、容器としてビールの樽容器Sを用いたが、びん容器、PET容器、缶容器であっても良い。
【0029】
噴射ノズル9は樽容器Sの胴部側面10に温水を吹き付けるようにしたが、樽容器Sの下面に向けて温水を吹き付けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図3に示す容器熱処理装置のA−A断面図である。
【図2】図3に示す容器熱処理装置のB−B断面図である。
【図3】本実施の形態に係る容器熱処理装置の全体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 容器熱処理装置
3 コンベア
5 案内部
5a 案内面
7 案内部材
9 噴射ノズル
15 空気吹出口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送するコンベアと、コンベアにより搬送される容器の移動を案内する案内部と、案内部に沿って移動する容器に向けて温水を吹き付ける噴射ノズルとを備え、噴射ノズルは容器の胴部又は下面に向けて温水を吹き付けていることを特徴とする容器熱処理装置。
【請求項2】
噴射ノズルは容器の胴部側面略中央よりも下側に温水を吹き付けていることを特徴とする請求項1に記載の容器熱処理装置。
【請求項3】
案内部は容器に摺接する案内面を有し、案内面はコンベアに対して交差する方向に設けており、容器が自転しつつ搬送されることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器熱処理装置。
【請求項4】
案内部は2つの案内部材間に搬送通路を形成しており、搬送通路はコンベアの搬送方向に対して蛇行していることを特徴とする請求項3に記載の容器熱処理装置。
【請求項5】
搬送方向の下流側には容器の上方から容器に向けて空気を吹き付け、容器表面の水滴を除去する空気吹出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の容器熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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