説明

容器用キャップの検査装置

【課題】検査用スターホイールから排出される際に先行するキャップと後続のキャップとの間に定間隔を維持しつつ排出することができ、この定間隔を維持した状態で、キャップを直線搬送している間にキャップを検査することができる容器用キャップの検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の容器用キャップ1を複数のポケット5aで支持して所定の円形軌道上を搬送する検査用スターホイール5と、検査用スターホイール5によって搬送される容器用キャップ1を照明とカメラとにより撮像する第1の検査ステーションと、検査用スターホイール5から検査用キャップを受け取って容器用キャップ1を真空吸着して直線経路上を搬送するバキュームコンベヤ10と、バキュームコンベヤ10によって搬送される容器用キャップ1を照明とカメラとにより撮像する第2の検査ステーションとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル(PETボトル)等の容器の口部を密封するためのキャップを撮像して外観検査を行うための容器用キャップの検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料などを充填するために軽量のプラスチックボトルであるペットボトル(PETボトル)が多用されている。ペットボトルの口部はキャップにより密封されている。清涼飲料の容器用キャップはPETボトルの普及にともない、アルミ製キャップから樹脂製キャップに主流が変わってきている。樹脂製キャップは樹脂成形により製作されるため、成形上いろいろな検査が求められている。またキャップには文字や模様が印刷されている。そのため、樹脂製キャップは、製作後に変形の有無、印刷時等に生じた汚れの有無、異物付着の有無、ウィング部の異常(ショートウィングと呼ばれる)の有無等の外観検査を行う必要がある。
【0003】
従来から、樹脂製キャップを撮像して外観検査を行うキャップの検査装置が知られている。このキャップの検査装置においては、検査用スターホイールによりキャップを保持して所定の円形軌道に沿って搬送しつつ、照明と撮像装置によってキャップの外観を撮像して検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−27609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のキャップの検査装置においては、検査用スターホイールのポケット(凹部)によって樹脂製キャップの外側面を保持した状態で、検査用スターホイールの回転によって樹脂製キャップを円形軌道に沿って搬送している間に、変形の有無、汚れの有無等の各種検査を行っている。ところが、搬送中にスターホイールのポケット(凹部)と接触しているキャップの外側面の部分については、撮像することができないため、キャップの外側面の検査を行うことができないという問題点がある。
【0006】
そのため、従来にあっては、樹脂製キャップの外側面を検査するための検査装置を別途設置する必要があった。この検査装置は、樹脂製キャップを直線搬送するコンベヤと、コンベヤの一側に設置され隣接するキャップ間に定間隔を形成するためのスクリュー等からなる定間隔形成装置と、キャップの外側面を検査する検査ステーションとを備え、コンベヤによって直線搬送している間にキャップ間に定間隔を形成した後に、キャップの外側面を撮像することにより検査をしている。
【0007】
本発明者らは、検査用スターホイールを備え樹脂製キャップを円形軌道に沿って搬送しつつ検査する検査装置と、コンベヤを備え樹脂製キャップを直線搬送しつつ検査する検査装置とを一体化することを着想するとともにこの着想を具体化する過程で以下の知見を得たものである。
すなわち、検査用スターホイールで検査が終了し、検査用スターホイールから排出される前の段階では樹脂製キャップ間には、既に定間隔が形成されているが、検査用スターホイールから排出されるときにキャップがスターホイールにより押し出されてコンベヤ上をスリップすると、先行するキャップと後続のキャップ間の間隔が不規則になってしまう。そのため、検査用スターホイールの下流側にスクリュー等からなる定間隔形成装置を設置してキャップ間に定間隔を形成した後にキャップの外側面を撮像する必要がある。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、検査用スターホイールにおいて所定の検査を行った後に検査用スターホイールから排出される際に先行するキャップと後続のキャップとの間に定間隔を維持しつつ排出することができ、この定間隔を維持した状態で、キャップを直線搬送している間にキャップを検査することができる容器用キャップの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の容器用キャップの検査装置は、複数の容器用キャップを外周部に設けられた複数のポケットで支持して所定の円形軌道上を搬送する検査用スターホイールと、前記検査用スターホイールの円形軌道に沿って配置され、前記検査用スターホイールによって搬送される容器用キャップを照明とカメラとにより撮像する第1の検査ステーションと、前記検査用スターホイールから容器用キャップを受け取って該容器用キャップを真空吸着して直線経路上を搬送するバキュームコンベヤと、前記バキュームコンベヤの直線搬送経路に沿って配置され、前記バキュームコンベヤによって搬送される容器用キャップを照明とカメラとにより撮像する第2の検査ステーションとを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、容器用キャップは、検査用スターホイールにより円形軌道に沿って搬送されている間に、複数の検査ステーションで内面検査やインナーリング検査等が行われ、検査後にバキュームコンベヤに乗り移る。キャップがバキュームコンベヤ上に乗り移った後は、キャップはバキュームコンベヤにより真空吸着されるため、先行するキャップと後続のキャップとの間隔は、検査用スターホイールで形成されている定間隔を維持することができる。したがって、キャップがバキュームコンベヤにより真空吸着されつつ搬送され、検査ステーションの位置に到達する際には、先行するキャップと後続のキャップとの間に定間隔が維持されているため、検査ステーションにおけるキャップの検査を精密に行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記第2の検査ステーションは、前記容器用キャップの外側面を撮像することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記バキュームコンベヤのコンベヤベルトは、並列する2本の無端状のタイミングベルトと、前記2本のタイミングベルトの歯面の背面の平らな面に接合された平ベルトとからなることを特徴とする。
本発明によれば、バキュームコンベヤのコンベヤベルトがタイミングベルトから構成されているため、タイミングプーリからなる駆動プーリとの間で滑りが生ずることがなく、コンベヤベルトの搬送速度を精度良く制御することができる。したがって、コンベヤベルトの搬送速度を検査用スターホイールの搬送速度に正確に同期させることができ、容器用キャップがバキュームコンベヤに乗り移る際にキャップをスムーズに乗り移させることができる。そして、コンベヤベルトの搬送面は平ベルトにより構成されているため、平ベルトに滑りの良い材質のものを用いることにより、キャップの良好な乗り移り性を確保することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記平ベルトに容器用キャップを真空吸着するための吸着孔を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、平ベルトに形成された吸着孔により容器用キャップを真空吸着することができるため、キャップ間の定間隔を維持することができる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記平ベルトは、内部に細かな孔が多数開いた多孔質の材料からなることを特徴とする。
本発明によれば、平ベルトが多孔質材料からなるため、多孔質材料の内部に形成された細かな孔を介して容器用キャップを真空吸着することができるため、キャップ間の定間隔を維持することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記2本のタイミングベルトと前記平ベルトとは接着によって接合されていることを特徴とする。
本発明によれば、コンベヤベルトは、並列する2本の歯付ベルトであるタイミングベルトと、タイミングベルトの歯面の背面に接合された1本の平ベルトとから構成されており、タイミングベルトの歯面の背面は平らな面になっているため、タイミングベルトと平ベルトとは接着によって強固に接合することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記検査用スターホイールと前記バキュームコンベヤとの接続部にガイド部材を配置し、前記ガイド部材は、前記検査用スターホイールの円形軌道に沿った円弧状の案内面と前記バキュームコンベヤの直線搬送経路に沿った直線状の案内面とを有することを特徴する。
本発明によれば、容器用キャップは、検査用スターホイールのポケットに保持されつつガイド部材の円弧状の案内面に案内されて進行している間に、バキュームコンベヤ上に乗り移る。容器用キャップが円弧状の案内面の位置から直線状の案内面の位置に進行すると、直線状の案内面の前半部において、検査用スターホイールのポケット(凹部)によるキャップの保持が解除され始める。そして、キャップが案内面の後半部に進行すると、キャップは検査用スターホイールのポケット(凹部)から解放され、キャップはバキュームコンベヤのみにより真空吸着されて搬送される。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記検査用スターホイールと前記バキュームコンベヤとは、検査用スターホイールのピッチ円直径とバキュームコンベヤの中心線とが交わる交点において同一速度に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、容器用キャップがバキュームコンベヤ上に乗り移ってバキュームコンベヤにより真空吸着された段階では、容器用キャップは検査用スターホイールのポケット(凹部)にも保持されているが、検査用スターホイールとバキュームコンベヤとは、検査用スターホイールのピッチ円直径(PCD)とバキュームコンベヤの中心線(CL)とが交わる交点において同一速度に設定されているため、容器用キャップはバキュームコンベヤ上にスムーズに乗り移る。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)検査用スターホイールにおいて所定の検査を行った後に検査用スターホイールから排出される際に先行する容器用キャップと後続の容器用キャップとの間に定間隔を維持しつつ排出することができ、この定間隔を維持した状態で、容器用キャップを直線搬送している間にキャップを検査することができる。
(2)バキュームコンベヤのコンベヤベルトがタイミングベルトから構成されているため、高速搬送時でもタイミングプーリからなる駆動プーリとの間で滑りが生ずることがなく、コンベヤベルトの搬送速度を精度良く制御することができる。したがって、コンベヤベルトの搬送速度を検査用スターホイールの搬送速度に正確に同期させることができ、キャップがバキュームコンベヤに乗り移る際に容器用キャップをスムーズに乗り移させることができる。そして、コンベヤベルトの搬送面は平ベルトにより構成されているため、平ベルトに滑りの良い材質のものを用いることにより、容器用キャップの良好な乗り移り性を確保することができる。
(3)貼り合わせる前のタイミングベルトと平ベルトは、それぞれに要求される機能に適した素材や形状を選定することができるので、高機能なコンベヤを構成することが可能である。例えば、搬送トルクを向上するために、タイミングベルトに動力伝達用のタイミングベルトを使用することができ、駆動時の滑らかさを考慮してタイミングベルトにピッチの細かなタイミングベルトを使用することが可能である。また、食品衛生や滑り性に配慮した布張りのウレタン系ベルトを使用することもできる。一方、平ベルトは、駆動プーリと係合することはないため駆動プーリとの滑りは問題にしなくてよいので、キャップの乗り移り性を重視して滑りの良い材質のものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の容器用キャップの検査装置の一例である樹脂製キャップの外観検査機の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は、バキュームコンベヤの詳細構造を示す図であり、バキュームコンベヤの側面図である。
【図3】図3は、バキュームコンベヤの詳細構造を示す図であり、バキュームコンベヤの平面図である。
【図4】図4は、コンベヤベルトおよび駆動プーリを搬送面の背面側から見た斜視図である。
【図5】図5は図2のV−V線断面図である。
【図6】図6は、検査用スターホイールとバキュームコンベヤとの接続部を拡大して示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る容器用キャップの検査装置の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。なお、図1乃至図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の容器用キャップの検査装置の一例である樹脂製キャップの外観検査機の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、樹脂製キャップの外観検査機は、樹脂製キャップ1を搬入するシュート2と、シュート2からキャップ1を受け取ってキャップ1を真空吸着して円弧状軌道に沿って移送するための送り込み用ターンテーブル3と、送り込み用ターンテーブル3からキャップ1を掻き込んでポケット(凹部)4aに保持してキャップ1を円形軌道に沿って搬送する掻き込み用スターホイール4と、掻き込み用スターホイール4からキャップ1を受け取ってキャップ1を円形軌道に沿って搬送する検査用スターホイール5を備えている。検査用スターホイール5の円形軌道に沿って第1の検査ステーションS1,S2,S3,S4が配置されている。各検査ステーションS1〜S4には、照明と、1台または複数台のCCDカメラとが配置されている。
【0020】
また、樹脂製キャップの外観検査機は、検査用スターホイール5からキャップ1を受け取ってキャップ1を真空吸着して直線搬送するバキュームコンベヤ10を備えている。バキュームコンベヤ10の直線搬送経路に沿って第2の検査ステーションS5,S6が配置されている。各検査ステーションS5,S6には、照明と、1台または複数台のCCDカメラとが配置されている。
【0021】
図1に示すように構成された樹脂製キャップの外観検査機において、キャップ1はシュート2によって連続的に送り込み用ターンテーブル3に供給され、送り込み用ターンテーブル3によって真空吸着されて掻き込み用スターホイール4に移送される。掻き込み用スターホイール4は、キャップ1をポケット(凹部)4aに掻き込みポケット(凹部)4aにより保持しつつ検査用スターホイール5に搬送する。キャップ1は、検査用スターホイール5により円形軌道に沿って搬送されている間に、検査ステーションS1で内面検査、検査ステーションS2でスカート検査、検査ステーションS3で外面検査、検査ステーションS4でインナーリング検査がそれぞれ行われる。キャップ1は検査後に検査用スターホイール5からバキュームコンベヤ10に受け渡される。
【0022】
キャップ1は、バキュームコンベヤ10により真空吸着されて直線搬送されている間に、検査ステーションS5で内側面検査、検査ステーションS6で外側面検査がそれぞれ行われる。上記各種の検査を行う各検査ステーションS1〜S6では、照明とCCDカメラとによってキャップ1の各部位を撮像し、得られた画像から欠陥の有無を検出する。バキュームコンベヤ10の下流側には、バキュームコンベヤ10を挟むようにエアブロー排出装置7と排出シュート8が設置されており、上記検査によって欠陥が検出された不良品はエアブロー排出装置7から噴出するエアブローにより排出シュート8に排出される。なお、エアブロー排出装置7および排出シュート8を検査項目に対応した個数設置することにより、不良品を不良要因毎に対応した排出シュート8に仕分け排出するようにしてもよい。
【0023】
図2および図3は、バキュームコンベヤ10の詳細構造を示す図であり、図2はバキュームコンベヤ10の側面図、図3はバキュームコンベヤ10の平面図である。
図2および図3に示すように、バキュームコンベヤ10は、無端状のコンベヤベルト11を備え、コンベヤベルト11の上面がキャップ1を真空吸着して搬送する搬送面CSを構成している。コンベヤベルト11の中央部には、3列の真空吸着用の孔(吸着孔)13hが形成されている。また、コンベヤベルト11の搬送面CSの背面側に沿って、真空ダクト20が配置されている。図2では図示を省略しているが、コンベヤベルト11の前方端には駆動プーリとしてのタイミングプーリが配置され、コンベヤベルト11の後方端には従動プーリとしてのタイミングプーリが配置されている。
【0024】
図4は、コンベヤベルト11および駆動プーリを搬送面CSの背面側から見た斜視図である。図4に示すように、コンベヤベルト11は、並列する2本の歯付ベルトであるタイミングベルト12,12と、タイミングベルト12,12の歯面12g,12gの背面に接合された1本の平ベルト13とから構成されている。タイミングベルト12の歯面12gの背面は平らな面になっているため、タイミングベルト12と平ベルト13とは接着によって強固に接合することができる。平ベルト13には、3列の真空吸着用の孔(吸着孔)13hが形成されており、平ベルト13の上面がキャップ1を真空吸着して搬送する搬送面CSになっている。
【0025】
貼り合わせる前のタイミングベルト12と平ベルト13は、それぞれに要求される機能に適した素材や形状を選定することができるので、高機能なコンベヤを構成することが可能である。例えば、搬送トルクを向上するために、タイミングベルト12に動力伝達用のタイミングベルトを使用することができ、駆動時の滑らかさを考慮してタイミングベルト12にピッチの細かなタイミングベルトを使用することが可能である。また、食品衛生や滑り性に配慮した布張りのウレタン系ベルトを使用することもできる。
一方、平ベルト13は、駆動プーリと係合することはないため駆動プーリとの滑りは問題にしなくてよいので、キャップ1の乗り移り性を重視して滑りの良い材質のもの、例えば、樹脂系のベルトやフッ素系の表面処理をしたゴムを使用することができる。樹脂系のベルトの一例としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)の架橋ポリマーからなるベルトがある。また、樹脂系ベルトには二層ベルトもあり、二層ベルトは、例えば、心材がポリエチレンテレフタラート(PET)で表面が食品用熱可塑性プラスチックの一種であるポリオレフィンからなる。また、キャップ1を吸着孔ではなく面で吸着することを意図して、平ベルト13に、内部に細かな孔が多数開いたスポンジ等の多孔質材料を用いることもできる。
【0026】
図4に示すように、コンベヤベルト11のタイミングベルト12,12には、駆動プーリとしてのタイミングプーリ14,14が噛み合うようになっている。そして、タイミングプーリ14,14は駆動軸15に固定されている。駆動軸15は、モータ(図示せず)に連結されており、駆動軸15を回転駆動することにより、タイミングプーリ14,14に噛み合っているタイミングベルト12,12が走行し、タイミングベルト12,12と一体に平ベルト13が走行するようになっている。なお、従動プーリ側も同様にタイミングプーリから構成されている。
【0027】
図5は図2のV−V線断面図である。図5に示すように、コンベヤベルト11の平ベルト13の裏面側には真空ダクト20が設置されている。真空ダクト20は吸引ブロワ等の真空源(図示せず)に接続されており、真空ダクト20内の真空チャンバ20cに負圧が形成されるようになっている。真空ダクト20の上面には、平ベルト13の吸着孔13hに対応して3列の長孔20hが形成されており、平ベルト13が真空ダクト20の上面に摺接して走行する際に長孔20hから平ベルト13の吸着孔13hに負圧が供給され、樹脂製キャップ1の天面が吸着孔13hにより真空吸着される。図2に示すように、真空ダクト20は、コンベヤベルト11の搬送面CSに沿って延びている。
【0028】
図6は、検査用スターホイール5とバキュームコンベヤ10との接続部を拡大して示す要部拡大図である。
図6に示すように、検査用スターホイール5の外周側には、ガイド部材21が配置されている。ガイド部材21は、上流側では検査用スターホイール5の円形軌道に沿った円弧状の案内面S1を有し、下流側ではバキュームコンベヤ10の直線搬送経路に沿った直線状の案内面S2を有している。図6に示すように、検査ステーションS4においてインナーリング検査が終了したキャップ1は、検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aに保持されつつ、ガイド部材21の円弧状の案内面S1により案内されて進行する。キャップ1は、検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aに保持されつつガイド部材21の円弧状の案内面S1に案内されて進行している間に、バキュームコンベヤ10上に乗り移る。キャップ1がバキュームコンベヤ10上に乗り移ってバキュームコンベヤ10により真空吸着された段階では、キャップ1は検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aにも保持されているが、検査用スターホイール5とバキュームコンベヤ10とは、検査用スターホイール5のピッチ円直径(PCD)とバキュームコンベヤ10の中心線(CL)とが交わる交点Pにおいて同一速度に設定されているため、キャップ1はバキュームコンベヤ10上にスムーズに乗り移る。その後、キャップ1は、外側面が検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aに保持され、天面がバキュームコンベヤ10により真空吸着され、かつ外側面が円弧状の案内面S1に案内されて進行する。
【0029】
キャップ1が円弧状の案内面S1の位置から直線状の案内面S2の位置に進行すると、直線状の案内面S2の前半部において、検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aによるキャップ1の保持が解除され始める。そして、キャップ1が案内面S2の後半部に進行すると、キャップ1は検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aから解放され、キャップ1はバキュームコンベヤ10のみにより真空吸着されて搬送される。
【0030】
本発明によれば、バキュームコンベヤ10のコンベヤベルト11がタイミングベルト12から構成されているため、タイミングプーリからなる駆動プーリとの間で滑りが生ずることがなく、コンベヤベルト11の搬送速度を精度良く制御することができる。したがって、コンベヤベルト11の搬送速度を検査用スターホイール5の搬送速度に正確に同期させることができ、キャップ1がバキュームコンベヤ10に乗り移る際にキャップ1をスムーズに乗り移させることができる。コンベヤベルト11の搬送面CSは平ベルト13により構成されているため(図4および図5参照)、平ベルト13に滑りの良い材質のものを用いることにより、キャップ1の良好な乗り移り性を確保することができる。そして、キャップ1がバキュームコンベヤ10上に乗り移った後、キャップ1は検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aにより保持されるとともにバキュームコンベヤ10により真空吸着されて進行し、その後、キャップ1は検査用スターホイール5のポケット(凹部)5aから解放されてキャップ1のみにより真空吸着されて進行する。
【0031】
このように、キャップ1がバキュームコンベヤ10上に乗り移った後は、キャップ1はバキュームコンベヤ10により真空吸着されるため、先行するキャップ1と後続のキャップ1との間隔は、検査用スターホイール5で形成されている定間隔を維持することができる。したがって、キャップ1がバキュームコンベヤ10により真空吸着されつつ搬送され、検査ステーションS5,S6(図1参照)の位置に到達する際には、先行するキャップ1と後続のキャップ1との間に定間隔が維持されているため、検査ステーションS5におけるキャップ1の内側面検査、検査ステーションS6におけるキャップ1の外側面検査を精密に行うことができる。特に、図1に示すように、検査ステーションS6においては、バキュームコンベヤ10の両側に互いに離間して配置された4つのCCDカメラ6によりキャップ1の外側面の全周を撮影する必要があるため、撮影対象のキャップ1の前後にあるキャップ1によって撮影対象のキャップ1の撮影が妨げられないことが重要となる。本発明においては、相隣接するキャップ1の間に定間隔が維持されているため、撮影対象のキャップ1の外側面のみを4つのCCDカメラ6により撮影することができる。なお、検査ステーションS6には、リング状の照明9が配置されており、照明9により撮影対象のキャップ1の外側面を照明するようになっている。
【0032】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1 樹脂製キャップ
2 シュート
3 送り込み用ターンテーブル
4 掻き込み用スターホイール
4a ポケット(凹部)
5 検査用スターホイール
5a ポケット(凹部)
6 CCDカメラ
7 エアブロー排出装置
8 排出シュート
9 照明
10 バキュームコンベヤ
11 コンベヤベルト
12 タイミングベルト
12g 歯面
13 平ベルト
13h 孔(吸着孔)
14 タイミングプーリ
15 駆動軸
20 真空ダクト
20c 真空チャンバ
20h 長孔
CS 搬送面
S1〜S6 検査ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器用キャップを外周部に設けられた複数のポケットで支持して所定の円形軌道上を搬送する検査用スターホイールと、
前記検査用スターホイールの円形軌道に沿って配置され、前記検査用スターホイールによって搬送される容器用キャップを照明とカメラとにより撮像する第1の検査ステーションと、
前記検査用スターホイールから容器用キャップを受け取って該容器用キャップを真空吸着して直線経路上を搬送するバキュームコンベヤと、
前記バキュームコンベヤの直線搬送経路に沿って配置され、前記バキュームコンベヤによって搬送される容器用キャップを照明とカメラとにより撮像する第2の検査ステーションとを備えたことを特徴とする容器用キャップの検査装置。
【請求項2】
前記第2の検査ステーションは、前記容器用キャップの外側面を撮像することを特徴とする請求項1記載の容器用キャップの検査装置。
【請求項3】
前記バキュームコンベヤのコンベヤベルトは、並列する2本の無端状のタイミングベルトと、前記2本のタイミングベルトの歯面の背面の平らな面に接合された平ベルトとからなることを特徴とする請求項1記載の容器用キャップの検査装置。
【請求項4】
前記平ベルトに容器用キャップを真空吸着するための吸着孔を形成したことを特徴とする請求項3記載の容器用キャップの検査装置。
【請求項5】
前記平ベルトは、内部に細かな孔が多数開いた多孔質の材料からなることを特徴とする請求項3記載の容器用キャップの検査装置。
【請求項6】
前記2本のタイミングベルトと前記平ベルトとは接着によって接合されていることを特徴とする請求項3記載の容器用キャップの検査装置。
【請求項7】
前記検査用スターホイールと前記バキュームコンベヤとの接続部にガイド部材を配置し、前記ガイド部材は、前記検査用スターホイールの円形軌道に沿った円弧状の案内面と前記バキュームコンベヤの直線搬送経路に沿った直線状の案内面とを有することを特徴する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の容器用キャップの検査装置。
【請求項8】
前記検査用スターホイールと前記バキュームコンベヤとは、検査用スターホイールのピッチ円直径とバキュームコンベヤの中心線とが交わる交点において同一速度に設定されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の容器用キャップの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78120(P2012−78120A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221189(P2010−221189)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】