説明

容器用キャップの移送装置および検査装置

【課題】キャップを掻き込み用スターホイールに送り込む際に速度制御を自由に行うことができ、キャップの推進力を適切に調整することができる容器用キャップの移送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】真空源に接続された円弧状溝34hを有した固定側部材34と、固定側部材34の上方に配置され、複数の貫通孔33hを有するとともに固定側部材34に摺接しながら回転するターンテーブル板33とを備え、ターンテーブル板33の回転により、ターンテーブル板33の貫通孔33hが固定側部材34の円弧状溝34hに断続的に連通し、貫通孔33hが円弧状溝34hに連通している間にターンテーブル板33上の容器用キャップ1を吸着して円弧状軌道に沿って移送し、貫通孔33hと円弧状溝34hの連通を断つことにより容器用キャップ1をスターホイール4の凹部に受け渡すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトル(PETボトル)等の容器の口部を密封するためのキャップをスターホイールに移送するための容器用キャップの移送装置に関するものである。また、本発明は上記容器用キャップの移送装置を備えた容器用キャップの検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清涼飲料などを充填するために軽量のプラスチックボトルであるペットボトル(PETボトル)が多用されている。ペットボトルの口部はキャップにより密封されている。清涼飲料の容器用キャップはPETボトルの普及にともない、アルミ製キャップから樹脂製キャップに主流が変わってきている。樹脂製キャップは樹脂成形により製作されるため、成形上いろいろな検査が求められている。またキャップには文字や模様が印刷されている。そのため、樹脂製キャップは、製作後に変形の有無、印刷時等に生じた汚れの有無、異物付着の有無、ウィング部の異常(ショートウィングと呼ばれる)の有無、キャップ側面の一部の欠落(ブリッジ切れと呼ばれる)等の外観検査を行う必要がある。
【0003】
従来から、樹脂製キャップを撮像して外観検査を行うキャップの検査装置が知られている。このキャップの検査装置においては、検査用スターホイールによりキャップを保持して所定の円形軌道に沿って搬送しつつ、照明と撮像装置によってキャップの外観を撮像して検査を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−139552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したキャップの検査装置は、装置の導入部に掻き込み用スターホイールを備え、このスターホイールによって検査対象のキャップを掻き込み検査用スターホイールに移送するようにしている。この場合、掻き込み用スターホイールによってキャップを掻き込む際に、スターホイールへ送り込むための推進力を外部からキャップに与える必要があり、スロープ状のシュート上を自重で滑り落とすかエアブローで行っている。すなわち、キャップを掻き込み用スターホイールに送り込むために、スロープ状のシュート上をキャップの自重により滑り落とすことでキャップに推進力を与えるスロープシュート方式を用いるか、あるいはノズルより圧縮エアを噴出してキャップに当てることでキャップに推進力を与えるエアブロー方式を用いている。
【0006】
しかしながら、上記スロープシュート方式を用いる場合には、キャップの自重により推進力を得るため、キャップの送り込み速度を所望の速度に制御できないという問題点がある。
また、上記エアブロー方式を用いる場合には、キャップの推進力は圧縮エアの風圧・風量に依存するため、風圧・風量を過不足無く制御することが難しく、エアが不足した場合、掻き込み用スターホイールの搬送速度に追いつけず検査処理能力が上がらなくなり、また、噛み込みの原因となる。逆に、エアが過剰な場合、キャップを浮き上がらせ飛ばしてしまうことやキャップの変形・傷付き等の発生原因になる。さらに、掻き込み用スターホイールに導入された後のキャップにもエアが当たってしまうため、掻き込み用スターホイールにおいてもキャップの浮き上がりが発生するという問題もある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、キャップを掻き込み用スターホイールに送り込む際に速度制御を自由に行うことができ、キャップの推進力を適切に調整することができ、かつ装置の運転開始時や運転停止時にキャップに過大な負荷や不安定な推進力が加わることがない容器用キャップの移送装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、上記容器用キャップの移送装置を備えることにより、キャップ検査部にキャップを高速でかつ安定して供給することができ、単位時間あたりのキャップの検査処理数量を増加することができる容器用キャップの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の容器用キャップの移送装置は、複数の容器用キャップを外周部に設けられた複数の凹部で支持して搬送するスターホイールの上流側に設置され、容器用キャップを保持して前記スターホイールに移送するための容器用キャップ移送装置において、真空源に接続された円弧状溝を有した固定側部材と、前記固定側部材の上方に配置され、所定の円周上に沿って複数の貫通孔を有するとともに固定側部材に摺接しながら回転するターンテーブル板とを備え、前記ターンテーブル板の回転により、前記ターンテーブル板の貫通孔が前記固定側部材の円弧状溝に断続的に連通し、前記貫通孔が前記円弧状溝に連通している間に前記ターンテーブル板上の容器用キャップを吸着して円弧状軌道に沿って移送し、前記貫通孔と前記円弧状溝の連通を断つことにより容器用キャップを前記スターホイールの凹部に受け渡すようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ターンテーブル板が固定側部材に摺接しながら回転すると、ターンテーブル板の貫通孔が固定側部材の円弧状溝に対向した位置にある間は真空源からの負圧が円弧状溝を介して貫通孔に供給され、容器用キャップは貫通孔により吸着保持されてターンテーブル板の回転に伴い円弧状軌道に沿って移送される。そして、ターンテーブル板の貫通孔が固定側部材の円弧状溝からずれると、真空源からの負圧が遮断されて吸着孔による容器用キャップの吸着保持が解除され、容器用キャップはスターホイールの凹部に受け渡される。
【0011】
また、本発明の容器用キャップの移送装置は、複数の容器用キャップを外周部に設けられた複数の凹部で支持して搬送するスターホイールの上流側に設置され、容器用キャップを保持して前記スターホイールに移送するための容器用キャップ移送装置において、真空源に接続された空間を有した固定側部材と、前記固定側部材の上方に配置され、複数の貫通孔を有するとともに固定側部材に摺接しながら回転するターンテーブル板とを備え、前記ターンテーブル板の回転により、前記ターンテーブル板の貫通孔が前記固定側部材の空間に連通し、前記貫通孔が前記空間に連通している間に前記ターンテーブル板上の容器用キャップを吸着して移送し、容器用キャップを前記スターホイールの凹部に受け渡すようにしたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、ターンテーブル板が固定側部材に摺接しながら回転すると、ターンテーブル板の貫通孔が固定側部材の空間に対向した位置にある間は真空源からの負圧が空間を介して貫通孔に供給され、容器用キャップは貫通孔により吸着保持されてターンテーブル板の回転に伴い移送される。そして、ターンテーブル板の回転によって、容器用キャップはスターホイールの凹部に受け渡される。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記ターンテーブル板を回転させるモータは、可変速モータからなることを特徴とする。
本発明によれば、ターンテーブル板を回転させるモータの回転速度を調整することにより、ターンテーブル板からスターホイールへの容器用キャップの乗り移り(受け渡し)をスムーズに行うことができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記ターンテーブル板と前記スターホイールは、容器用キャップの乗り移りピッチ円直径上で同一速度に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、ターンテーブル板とスターホイールとが容器用キャップの乗り移りピッチ円直径上で同一速度であるため、ターンテーブル板からスターホイールへの容器用キャップの乗り移り(受け渡し)をスムーズに行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記ターンテーブル板の速度は、前記スターホイールの速度より容器用キャップの乗り移りピッチ円直径上で速くなるように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、ターンテーブル板の速度がスターホイールの速度より容器用キャップの乗り移りピッチ円直径上でやや速くなるように設定されているため、ターンテーブル板からスターホイールへの容器用キャップの乗り移り(受け渡し)時に、容器用キャップをスターホイールの凹部(ポケット)に強制的に押し込むように受け渡すことができる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記ターンテーブル板上の容器用キャップを前記スターホイールの前記凹部に案内するガイド部材を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、ターンテーブル上に供給された容器用キャップは、ターンテーブル板によって天面が支持されるとともにガイド部材により側面が案内されてスターホイールに向かって進行する。そして、容器用キャップは、貫通孔により天面が真空吸着され、ターンテーブル板の回転によりガイド部材により案内されてスターホイールに向かって進行する。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記ターンテーブル板の上流に、ターンテーブル板に容器用キャップを供給するためのシュートまたはエアブローを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、容器用キャップはシュートまたはエアブローにより連続的にターンテーブル板上に供給される。
【0018】
本発明の容器用キャップの検査装置は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の容器用キャップの移送装置と、前記スターホイールの下流側に配置され該スターホイールから容器用キャップを受け取って容器用キャップを円形軌道に沿って搬送する検査用スターホイールと、前記検査用スターホイールにより搬送される容器用キャップに照明して撮像するための照明および撮像装置とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、容器用キャップの移送装置を備えることにより、キャップ検査部にキャップを高速でかつ安定して供給することができ、単位時間あたりのキャップの検査処理数量を増加することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)容器用キャップを真空吸着して円弧状軌道に沿って移送するターンテーブルにより、容器用キャップをスターホイールに送り込むようにしたため、キャップをスターホイールに送り込む際の速度制御が可能になり、スターホイールでキャップを掻き込む際の推進力を適切に調整することができる。
【0020】
(2)容器用キャップをスターホイールに送り込む際に、ターンテーブルによってキャップを真空吸着して移送し、キャップがスターホイールの凹部(ポケット)に嵌り込んだときに真空吸着を解除するようにしたため、スターホイールの搬送速度に合わせてキャップをタイミングよくターンテーブルからスターホイールに受け渡すことができる。したがって、キャップの噛み込みやキャップの浮上がり等のトラブルが発生することがない。
【0021】
(3)従来の装置では停止から運転開始する際に先頭のキャップに負荷が集中された状態で掻き込みを行うため、先頭のキャップに傷が付いてしまうことが多かったが、本発明ではターンテーブル上に真空吸着されたキャップで負荷を受け止めることができ、キャップの傷付きを無くすことができる。
【0022】
(4)従来の装置では運転停止させる際等のキャップ供給状況の変化によりキャップの推進力が不安定になることがあったが、本発明ではキャップの供給状況変化に影響されずにキャップの推進力を制御することができる。
(5)本発明の容器用キャップの検査装置によれば、容器用キャップの移送装置を備えることにより、キャップ検査部にキャップを高速でかつ安定して供給することができ、単位時間あたりのキャップの検査処理数量を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の容器用キャップの検査装置の一例である樹脂製キャップの外観検査機の全体構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の送り込み用ターンテーブルを示す断面図である。
【図3】図3は、ロータリバルブの固定側部材を示す平面図である。
【図4】図4は、ロータリバルブの回転側部材であるターンテーブル板を示す平面図である。
【図5】図5は、樹脂製キャップがシュートから送り込み用ターンテーブルを介して掻き込み用スターホイールに移送されるまでの移送工程を説明する図である。
【図6】図6は、キャップを送り込み用ターンテーブルから掻き込み用スターホイールに受け渡す(乗り移らせる)状態を拡大して示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る容器用キャップの移送装置を備えた容器用キャップの検査装置の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。なお、図1乃至図6において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の容器用キャップの検査装置の一例である樹脂製キャップの外観検査機の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、樹脂製キャップの外観検査機は、樹脂製キャップ1を搬入するシュート2と、シュート2からキャップ1を受け取ってキャップ1を真空吸着して円弧状軌道に沿って移送するための送り込み用ターンテーブル3と、送り込み用ターンテーブル3からキャップ1を掻き込んで凹部(ポケット)4aに保持してキャップ1を円形軌道に沿って搬送する掻き込み用スターホイール4と、掻き込み用スターホイール4からキャップ1を受け取ってキャップ1を円形軌道に沿って搬送する検査用スターホイール5を備えている。さらに、樹脂製キャップの外観検査機は、検査用スターホイール5からキャップ1を受け取ってキャップ1を搬送する搬送用コンベア6を備えている。
【0025】
図1に示すように構成された樹脂製キャップの外観検査機において、キャップ1はシュート2によって連続的に送り込み用ターンテーブル3に供給され、送り込み用ターンテーブル3によって真空吸着されて掻き込み用スターホイール4に移送される。掻き込み用スターホイール4は、キャップ1を凹部(ポケット)4aに掻き込み凹部4aにより保持しつつ検査用スターホイール5に搬送する。キャップ1は、検査用スターホイール5により円形軌道に沿って搬送されている間に、内面検査、スカート検査、外面検査、インナーリング検査が行われる。キャップ1は検査後に検査用スターホイール5から搬送用コンベア6に受け渡される。そして、キャップ1は、搬送用コンベア6により直線搬送されている間に、内側面検査、外側面検査が行われる。上記各種の検査を行う各検査ステーションには、照明と、CCDカメラからなる撮像装置が配置されており、キャップ1の各部位を撮像し、得られた画像から欠陥の有無を検出する。搬送用コンベア6の下流側には、搬送用コンベア6を挟むようにエアブロー排出装置7と排出シュート8が設置されており、上記検査によって欠陥が検出された不良品はエアブロー排出装置7から噴出するエアブローにより排出シュート8に排出される。なお、エアブロー排出装置7および排出シュート8を検査項目に対応した個数設置することにより、不良品を不良要因毎に対応した排出シュート8に仕分け排出するようにしてもよい。
【0026】
図2は、本発明の送り込み用ターンテーブル3を示す断面図である。図2に示すように、送り込み用ターンテーブル3は、装置のフレームFに固定された軸受ハウジング31と、軸受ハウジング31に収容された軸受31b,31bに回転自在に支持される主軸32と、主軸32の上端に固定され主軸32と一体に回転するターンテーブル板33と、軸受ハウジング31に固定されるとともにターンテーブル板33の下面に接触するように配置された固定側部材34とを備えている。ターンテーブル板33の下面と固定側部材34の上面との間にはスラストニードルベアリング35が介装されている。主軸32はギヤモータ36に連結されている。ギヤモータ36はインバータ制御の可変速モータからなり、ターンテーブル板33の回転速度が調整可能になっている。
【0027】
ターンテーブル板33には、キャップ1を負圧で吸着(真空吸着)するための多数の吸着孔33hが形成されており、これら吸着孔33hはターンテーブル板33の軸心を中心とする所定の円周上に配置されている。吸着孔33hはターンテーブル板33を貫通する貫通孔からなっている。固定側部材34には、所定の角度で円弧状に伸びている円弧状溝34gが形成されており、ターンテーブル板33と固定側部材34とはロータリバルブRVを構成している。固定側部材34の円弧状溝34gは真空源としての真空ポンプ(図示せず)に接続されている。真空ポンプは固定して設置されているため、固定側(真空ポンプ側)から回転側(ターンテーブル板33)に負圧を供給するためにロータリバルブRVが用いられている。ターンテーブル板33が固定側部材34に摺接しつつ回転すると、ターンテーブル板33の吸着孔33hが固定側部材34の円弧状溝34gに連通され、真空ポンプに接続された円弧状溝34gの負圧が吸着孔33hに供給され、ターンテーブル板33の上面に樹脂製キャップ1が真空吸着されるようになっている。
【0028】
図3は、ロータリバルブRVの固定側部材34を示す平面図である。図3に示すように、固定側部材34には、所定の角度で円弧状に延びている真空用の円弧状溝34gが形成されている。円弧状溝34gは、固定側部材34に固定された管継手38を介して真空ポンプに接続されている。
【0029】
図4は、ロータリバルブRVの回転側部材であるターンテーブル板33を示す平面図である。図4に示すように、ターンテーブル板33は円板状の部材からなり、ターンテーブル板33には、近接する2つの同心円に沿って多数の吸着孔33hが形成されている。なお、ターンテーブル板33の中心部の4個の貫通孔は、ターンテーブル板33を主軸32に固定するためのボルト挿通孔である。
【0030】
図2乃至図4に示すように構成された送り込み用ターンテーブル3によれば、モータ36を駆動すると、主軸32が回転駆動される。主軸32の回転に伴い、ターンテーブル板33が固定側部材34に摺接しながら回転すると、ターンテーブル板33の吸着孔33hが固定側部材34の円弧状溝34gに対向した位置にある間は真空ポンプからの負圧が円弧状溝34gを介して吸着孔33hに供給され、樹脂製キャップ1が吸着孔33hにより吸着保持される。吸着孔33hにより吸着されたキャップ1は、ターンテーブル板33の回転に伴い円弧状軌道に沿って移送される。そして、ターンテーブル板33の吸着孔33hが固定側部材34の円弧状溝34gからずれると、真空ポンプからの負圧が遮断されて吸着孔33hによる樹脂製キャップ1の吸着保持が解除される。その直後に、ターンテーブル板33の吸着孔33hが固定側部材34から外れ、吸着孔33hが大気開放され、樹脂製キャップ1は吸着孔33hより完全に離脱する。
【0031】
次に、樹脂製キャップ1がシュート2から送り込み用ターンテーブル3を介して掻き込み用スターホイール4に移送されるまでの移送工程について図5を参照して説明する。送り込み用ターンテーブル3と掻き込み用スターホイール4は、乗り移りピッチ円直径(PCD)上で同一速度に設定されるか、あるいは送り込み用ターンテーブル3の速度の方が掻き込み用スターホイール4の速度より乗り移りピッチ円直径(PCD)上でやや速くなるように設定されている。
【0032】
図5に示すように、キャップ1はシュート2によって連続的に送り込み用ターンテーブル3に供給される。このとき、キャップ1はシュート2の傾斜による自重で滑り落ちるが、シュート2は送り込み用ターンテーブル3の直上流が水平区間になっており、キャップ1はシュート2の水平区間で減速して滑らかに送り込み用ターンテーブル3上に乗り移る。キャップ1は、天面を下にし開口部を上にした状態で供給される。送り込み用ターンテーブル3の上方には、並列する直線ガイド部材11,11と、直線ガイド部材11,11に連なる並列する円弧状ガイド部材12,12とが配設されている。送り込み用ターンテーブル3上に供給されたキャップ1は、ターンテーブル板33によって天面が支持されるとともに直線ガイド部材11,11により側面が案内されて掻き込み用スターホイール4に向かって進行する。そして、キャップ1が直線ガイド部材11の終端から円弧状ガイド部材12の入口端にさしかかる箇処において、キャップ1は吸着孔33hにより天面が真空吸着される。図5においては、吸着孔33hにより真空吸着されているキャップ1は斜線(ハッチング)を用いて図示されている。斜線(ハッチング)を用いて図示された5つのキャップ1に対応した部分に円弧状溝34g(図2および図3参照)がある。
【0033】
吸着孔33hにより真空吸着されたキャップ1は、ターンテーブル板33の回転により円弧状ガイド部材12,12により案内されて掻き込み用スターホイール4に向かって進行する。そして、図5において、斜線(ハッチング)を用いて図示されたキャップ1のうち、先頭のキャップ1のように掻き込み用スターホイール4の凹部(ポケット)4aに嵌り込んだ直後に、吸着孔33hによるキャップ1の吸着保持が解除される。その後、キャップ1は掻き込み用スターホイール4により搬送される。掻き込み用スターホイール4の外周側には、概略円輪状のガイド部材15が配置されており、キャップ1は、掻き込み用スターホイール4の凹部(ポケット)4aとガイド部材15とにより挟持されて検査用スターホイール5に搬送される。
【0034】
図6は、キャップ1を送り込み用ターンテーブル3から掻き込み用スターホイール4に受け渡す(乗り移らせる)状態を拡大して示す要部拡大図である。
図6に示すように、キャップ1はガイド部材11,12により案内されて送り込み用ターンテーブル3から掻き込み用スターホイール4に受け渡される。このとき、掻き込み用スターホイール4の凹部(ポケット)4a間の歯先が隣接するキャップ1の間に入り込み、この入り込んだ歯先が後続のキャップ1をせき止めている間に凹部(ポケット)4aに入った先のキャップ1がスターホイールの回転で加速されて下流側に連れていかれる。これにより、先のキャップ1と後続のキャップ1との間には定間隔が形成される。
【0035】
本発明によれば、シュート2からキャップ1を受け取ってキャップ1を真空吸着して円弧状軌道に沿って移送するための送り込み用ターンテーブル3を設け、キャップ1を送り込み用ターンテーブル3により掻き込み用スターホイール4に移送するようにしたため、キャップ1を掻き込み用スターホイール4に送り込む際の速度制御が可能になり、掻き込み用スターホイール4でキャップ1を掻き込む際の推進力を適切に調整することができる。
【0036】
また、本発明によれば、キャップ1を掻き込み用スターホイール4に送り込む際に、送り込み用ターンテーブル3によってキャップ1を真空吸着して移送し、キャップ1が掻き込み用スターホイール4の凹部(ポケット)4aに嵌り込んだときに真空吸着を解除するようにしたため、掻き込み用スターホイール4の搬送速度に合わせてキャップ1をタイミングよく送り込み用ターンテーブル3から掻き込み用スターホイール4に受け渡すことができる。したがって、キャップの噛み込みやキャップの浮上がり等のトラブルが発生することがない。なお、掻き込み用スターホイール4の凹部(ポケット)4aに入ったキャップ1は、送り込み用ターンテーブル3による真空吸引がまだ残っていても、強制的に横滑りで下流側に連れていかれるので、真空解除のタイミングがずれても問題はない。
【0037】
従来の装置では停止から運転開始する際に先頭のキャップに負荷が集中された状態で掻き込みを行うため、先頭のキャップに傷が付いてしまうことが多かったが、本発明では送り込み用ターンテーブル3上に真空吸着されたキャップ1で負荷を受け止めることができ、キャップ1の傷付きを無くすことができる。
また、従来の装置では運転停止させる際等のキャップ供給状況の変化によりキャップの推進力が不安定になることがあったが、本発明ではキャップの供給状況変化に影響されずにキャップの推進力を制御することができる。
【0038】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 樹脂製キャップ
2 シュート
3 送り込み用ターンテーブル
4 掻き込み用スターホイール
4a 凹部(ポケット)
5 検査用スターホイール
6 搬送用コンベア
7 エアブロー排出装置
8 排出シュート
11 直線ガイド部材
12 円弧状ガイド部材
15 ガイド部材
31 軸受ハウジング
31b 軸受
32 主軸
33 ターンテーブル板
33h 吸着孔
34 固定側部材
34h 円弧状溝
34n 切欠き
35 スラストニードルベアリング
36 ギヤモータ
38 管継手
RV ロータリバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器用キャップを外周部に設けられた複数の凹部で支持して搬送するスターホイールの上流側に設置され、容器用キャップを保持して前記スターホイールに移送するための容器用キャップ移送装置において、
真空源に接続された円弧状溝を有した固定側部材と、
前記固定側部材の上方に配置され、複数の貫通孔を有するとともに固定側部材に摺接しながら回転するターンテーブル板とを備え、
前記ターンテーブル板の回転により、前記ターンテーブル板の貫通孔が前記固定側部材の円弧状溝に断続的に連通し、前記貫通孔が前記円弧状溝に連通している間に前記ターンテーブル板上の容器用キャップを吸着して円弧状軌道に沿って移送し、前記貫通孔と前記円弧状溝の連通を断つことにより容器用キャップを前記スターホイールの凹部に受け渡すようにしたことを特徴とする容器用キャップの移送装置。
【請求項2】
複数の容器用キャップを外周部に設けられた複数の凹部で支持して搬送するスターホイールの上流側に設置され、容器用キャップを保持して前記スターホイールに移送するための容器用キャップ移送装置において、
真空源に接続された空間を有した固定側部材と、
前記固定側部材の上方に配置され、複数の貫通孔を有するとともに固定側部材に摺接しながら回転するターンテーブル板とを備え、
前記ターンテーブル板の回転により、前記ターンテーブル板の貫通孔が前記固定側部材の空間に連通し、前記貫通孔が前記空間に連通している間に前記ターンテーブル板上の容器用キャップを吸着して移送し、容器用キャップを前記スターホイールの凹部に受け渡すようにしたことを特徴とする容器用キャップの移送装置。
【請求項3】
前記ターンテーブル板を回転させるモータは、可変速モータからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器用キャップの移送装置。
【請求項4】
前記ターンテーブル板と前記スターホイールは、容器用キャップの乗り移りピッチ円直径上で同一速度に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器用キャップの移送装置。
【請求項5】
前記ターンテーブル板の速度は、前記スターホイールの速度より容器用キャップの乗り移りピッチ円直径上で速くなるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器用キャップの移送装置。
【請求項6】
前記ターンテーブル板上の容器用キャップを前記スターホイールの前記凹部に案内するガイド部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器用キャップの移送装置。
【請求項7】
前記ターンテーブル板の上流に、ターンテーブル板に容器用キャップを供給するためのシュートまたはエアブローを備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の容器用キャップの移送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の容器用キャップの移送装置と、前記スターホイールの下流側に配置され該スターホイールから容器用キャップを受け取って容器用キャップを円形軌道に沿って搬送する検査用スターホイールと、前記検査用スターホイールにより搬送される容器用キャップに照明して撮像するための照明および撮像装置とを備えたことを特徴とする容器用キャップの検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−25516(P2012−25516A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164486(P2010−164486)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】