説明

容器移動装置

【課題】台車に積み上げられた多数の容器のみを積み上げられた状態のままで台車から搬送装置上に極めて簡単に移動する。
【解決手段】台車1を搬送装置9に向かって案内移動させる傾斜案内通路3の先端には移動用ローラー5が設けられ、傾斜案内通路3上を移動する台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端を超えて落下した場合、移動用ローラー5が容器11の底面に突き当たって容器11の底面を搬送装置9の搬送面よりも僅か上方に押し上げて支持し、この状態で台車1上の容器11のみを搬送装置9の方に押すと、容器11の底面が移動用ローラー5で回転支持されながら容器11のみが搬送装置9の搬送面の上に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば何段にも積み重ねられた多数の容器を積載された台車から容器のみを搬送装置の上に移動させる容器移動装置に関し、更に詳しくは、例えばコンビニエンスストアなどに物品を納品するために使用されたトレーのような容器を多数回収して台車上に積み上げた後、容器を例えば洗浄場所などに移動するために容器のみを台車から搬送装置上に移動するために使用される容器移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに菓子パンやおにぎりなどの物品を大量に納品する場合には、物品を多数収容することができる例えば図2に示すようなトレー、パレット、コンテナなどと呼ばれる容器11を使用するが、このような容器は、物品を納入した使用後、各店から回収され、何段にも積み重ねられて、トラックなどに積載され、例えば洗浄などのために搬送装置の所まで運搬された後、積み重ねられた状態のままトラックから降ろされ、台車に積載される。
【0003】
このようにトラックから降ろされ台車に積載された容器は、例えば10段、20段のように高く何段にも積み重ねられた状態で台車に積載される。例えば、図4の右寄りの部分には、一番下に描かれた台車1の上に多数の容器11が何段にも積み重ねられた状態で積載されている様子が図示されているが、このように何段にも積み重ねられて台車に積載された多数の容器は、容器のみが積み重ねられた状態のままで台車から搬送装置上に移動または載せられる。そして、このように搬送装置上に移動させられた多数の容器は、搬送装置により、例えば洗浄設備などのある場所に搬送され、洗浄などされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−60931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、台車上に積載された多数の容器のみを積み重ねられた状態のままで搬送装置上に移動することは、例えば容器を一個一個台車から取り出して搬送装置上に載せるような手作業に比較して効率的であり、作業時間を大幅に短縮できるが、このように何段にも積み重ねられた多数の容器のみを台車から搬送装置上に移動させるには、従来、例えば積み重ねられた多数の容器を大きな機械的吊り手などで全体的に抱え込みながら台車から吊り上げるように持ち上げて搬送装置上に移動するというような大がかりな装置が必要であり、非経済的、非効率的であると共に、この大がかりな装置のために大きなスペースも必要であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、台車に積み上げられた多数の容器のみを積み上げられた状態のままで台車から搬送装置上に極めて簡単に移動することができる容器移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載の容器移動装置は、容器を積載された台車から容器のみを搬送装置の上に移動させる容器移動装置であって、先端が搬送装置の近くまで延出して設けられ、台車を搬送装置に向かって移動させるように案内する案内通路と、この案内通路の先端の近傍に設けられ、容器が載せられる搬送装置の搬送面よりも僅か上方に突出し、容器が搬送装置に向かって移動する場合に容器の底面に下方から突き当たって容器を支持する移動用ローラーであって、案内通路上を移動する台車の前輪が案内通路の先端を超えて下降した場合、移動用ローラーが容器の底面に突き当たって容器の底面が搬送装置の搬送面よりも僅か上方に位置するように容器を押し上げて支持し、この状態で台車上の容器のみを搬送装置の方に押すと、容器の底面が移動用ローラーで回転支持されながら容器のみが搬送装置の搬送面の上に載る移動用ローラーとを有することを要旨とする。
【0008】
請求項1記載の容器移動装置では、台車を搬送装置に向かって案内移動させる案内通路の先端の近傍に移動用ローラーが設けられ、案内通路上を移動する台車の前輪が案内通路の先端を超えて落下した場合、移動用ローラーが容器の底面に突き当たって容器の底面を搬送装置の搬送面よりも僅か上方に押し上げて支持し、この状態で台車上の容器のみを搬送装置の方に押すと、容器の底面が移動用ローラーで回転支持されながら容器のみが搬送装置の搬送面の上に移動するため、従来のように大がかりな装置を使用することなく、容器のみを手などで押すという極めて簡単な操作で簡単に容器のみを搬送装置上に移動でき、効率化、経済化を図ることができる。
【0009】
請求項2記載の容器移動装置は、前記移動用ローラーが、台車が搬送装置に向かって案内通路上を移動しつつ台車の先端が案内通路の先端まで移動した場合、容器を載せる台車の基台の底部が移動用ローラーに当たらないように移動用ローラーは台車の底部の最下部よりも僅か下方に位置するように設けられ、案内通路が、台車の前輪が案内通路の先端を超えた場合に台車の前輪が下降するように案内通路の先端と搬送装置との間に台車の前輪が入る程度の空所が設けられており、台車が、容器を載せる基台の底部の少なくとも前寄りの部分に移動用ローラーが貫通する底穴が形成され、台車が搬送装置に向かって案内通路を移動している場合において台車の前輪が案内通路の先端を超えて下降した場合、台車の基台は底穴を移動用ローラーが貫通して前輪とともに下降するも、台車の基台上に載っている容器は、その底面が底穴を貫通した移動用ローラーで押し上げられるように支持され、容器の前部の底面は台車の基台から離れて搬送装置の搬送面よりも僅か上方になるように支持されることを要旨とする。
【0010】
請求項2記載の容器移動装置では、台車の先端が案内通路の先端まで移動した場合、台車の基台の底部が移動用ローラーに当たらないように移動用ローラーは台車の底部の最下部よりも僅か下方に位置し、台車の前輪が案内通路の先端を超えた場合に台車の前輪が下降するように案内通路の先端と搬送装置との間に台車の前輪が入る程度の空所が設けられ、台車は、前寄りの部分に移動用ローラーが貫通する底穴が形成され、台車の前輪が案内通路の先端を超えて下降した場合、台車の基台は底穴を移動用ローラーが貫通して前輪とともに下降するも、台車の基台上の容器は底面が底穴を貫通した移動用ローラーで押し上げられるように支持され、容器の前部の底面は台車から離れて搬送装置の搬送面よりも僅か上方になるように支持されるため、台車の前輪が案内通路の先端を超えて落下した場合、移動用ローラーが容器の底面に突き当たって容器の底面を搬送装置の搬送面よりも僅か上方に押し上げて支持し、この状態で台車上の容器のみを搬送装置の方に押すと、容器の底面が移動用ローラーで回転支持されながら容器のみが搬送装置の搬送面の上に移動し、従来のように大がかりな装置を使用することなく、容器のみを手などで押すという極めて簡単な操作で簡単に容器のみを搬送装置上に移動でき、効率化、経済化を図ることができる。
【0011】
請求項3記載の容器移動装置は、前記移動用ローラーが、案内通路を移動してきた台車の前輪が移動用ローラーの近くに来た場合において台車の前輪が移動用ローラーに当たらないように台車の基台の下のほぼ中央側に位置するように設けられ、台車が案内通路を移動する場合に、台車が前記中央側の位置に設けられた移動用ローラーに当たらないように台車を案内するための案内部材が案内通路の両側に設けられていることを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の容器移動装置では、台車の前輪が移動用ローラーの近くに来た場合において台車の前輪が移動用ローラーに当たらないように移動用ローラーは台車の基台の下のほぼ中央側に位置し、台車が案内通路を移動する場合に、台車が前記中央側の位置に設けられた移動用ローラーに当たらないように台車を案内するための案内部材が案内通路の両側に設けられているため、台車は案内通路からはずれることなく、また前輪が移動用ローラーにあたることなく、案内通路上を移動することができる。
【0013】
請求項4記載の容器移動装置は、前記案内通路が、台車を低い位置から比較的上方にある搬送装置の搬送面に向かって移動させるように傾斜して形成されることを要旨とする。
【0014】
請求項4記載の容器移動装置では、案内通路は傾斜して形成されているため、低い位置にある台車を比較的上方にある搬送装置の搬送面に向かって容易に移動できる。
【0015】
また、前記移動用ローラーが細長い円筒形のローラーであると台車の底穴を突き抜けて、容器の底面に当たった場合、容器の底面を適確に押し上げ支持することができる。
【0016】
また、前記搬送装置が、移動用ローラーで底面が支持された台車上の容器が搬送装置の方に押されて搬送装置の搬送面上に至った場合に、搬送面上を円滑に移動し得るように容器の移動方向に細長い円筒形の搬送ローラーを複数平行に配列して構成される場合には、搬送装置の上に押されてきた容器の移動方向に細長い円筒形の搬送ローラーを複数平行に配列して構成されるため、容器は少ない抵抗で搬送面上を円滑に移動することができる。
【0017】
また、前記移動用ローラーが、案内通路の先端上に取り付けられるかまたは案内通路の先端以外の別の固定部に取り付けられている場合には、移動用ローラーが案内通路の先端上または案内通路の先端以外の別の固定部に取り付けられているため、移動用ローラーは確実に固定され、台車の底穴を突く抜けて容器の底面を確実に押し上げて支持することができる。
【0018】
請求項5記載の容器移動装置では、前記案内通路と搬送装置が、案内通路の先端を超えて下降した台車の前輪が案内通路の先端と搬送装置との間に入り得る程度に間隔をあけて配設されていることを要旨とする。
【0019】
請求項5記載の容器移動装置では、案内通路の先端と搬送装置との間は台車の前輪が入り得る程度に間隔をあけて配設されているため、台車の前輪が案内通路の先端を超えた場合、台車の前輪は確実に下降または落下することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、台車を搬送装置に向けて案内移動させる案内通路の先端の近傍に移動用ローラーが設けられ、案内通路上を移動する台車の前輪が案内通路の先端を超えて落下した場合、移動用ローラーが容器の底面に突き当たって容器の底面を搬送装置の搬送面よりも僅か上方に押し上げて支持し、この状態で台車上の容器のみを搬送装置の方に押すと、容器の底面が移動用ローラーで回転支持されながら容器のみが搬送装置の搬送面の上に移動するので、従来のように大がかりな装置を使用することなく、容器のみを手などで押すという極めて簡単な操作で簡単に容器のみを搬送装置上に移動でき、効率化、経済化を図ることができる。
【0021】
また、本発明によれば、台車の前輪が移動用ローラーの近くに来た場合において台車の前輪が移動用ローラーに当たらないように移動用ローラーは台車の基台の下のほぼ中央側に設けられ、台車が案内通路を移動する場合に、台車が前記中央側の位置に設けられた移動用ローラーに当たらないように台車を案内するための案内部材が案内通路の両側に設けられているので、台車は案内通路からはずれることなく、また前輪が移動用ローラーに当たることなく、案内通路上を確実に移動することができる。
【0022】
更に、本発明によれば、案内通路は傾斜して形成されているので、低い床上の低い位置にある台車を比較的上方にある搬送装置の搬送面に向かって容易に移動させることができる。
【0023】
本発明によれば、案内通路の先端と搬送装置との間は台車の前輪が入り得る程度に間隔をあけて配設されているので、台車の前輪が案内通路の先端を超えた場合、台車の前輪は確実に下降または落下することができ、これにより移動用ローラーが容器の底面に突き当たって底面を回転支持し、容器のみを簡単に移動し得るようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係わる容器移動装置を台車および搬送装置とともに示す斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態の容器移動装置に使用される容器を示す斜視図である。
【図3】搬送装置とこの搬送装置の一端側の側部に図1に示す実施形態の容器移動装置が複数設置された様子を示す平面図である。
【図4】図1に示す実施形態の容器移動装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図5】図1に示す実施形態の容器移動装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図6】図1に示す実施形態の容器移動装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図7】図6に示す容器移動装置の使用状態における台車と傾斜案内通路との関係を示す斜視図である。
【図8】図1に示す実施形態の容器移動装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図9】図1に示す実施形態の容器移動装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図10】図1に示す実施形態の容器移動装置の使用状態の一例を示す説明図である。
【図11】図1に示す実施形態の容器移動装置において台車上に多数の容器を何段にも積み重ねた状態で移動させる一連の動作の中の一状態を示す説明図である。
【図12】図1に示す実施形態の容器移動装置において台車上に多数の容器を何段にも積み重ねた状態で移動させる一連の動作の中の一状態を示す説明図である。
【図13】図1に示す実施形態の容器移動装置において台車上に多数の容器を何段にも積み重ねた状態で移動させる一連の動作の中の一状態を示す説明図である。
【図14】図1に示す実施形態の容器移動装置において台車上に多数の容器を何段にも積み重ねた状態で移動させる一連の動作の中の一状態を示す説明図である。
【図15】図1に示す実施形態の容器移動装置において台車上に多数の容器を何段にも積み重ねた状態で移動させる一連の動作の中の一状態を示す説明図である。
【図16】図1に示す実施形態の容器移動装置において台車上に多数の容器を何段にも積み重ねた状態で移動させる一連の動作の中の一状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係わる容器移動装置を台車および搬送装置とともに示す斜視図である。同図において、1は台車、3は傾斜案内通路、5は移動用ローラー、7a、7bは案内部材、9は搬送装置である。
【0027】
台車1は、図2に示すようなトレー、パレット、コンテナなどと呼ばれる矩形の容器11を載せるように形成された4辺からなる矩形の基台を有し、この基台の底面下の4隅には前輪1aおよび後輪1bからなる4個の車輪が取り付けられている。なお、この台車1は、背景技術で説明したが、図4の右寄りの部分の一番下に描いた台車1で示すように、この台車1の上に多数の容器11が何段にも積み重ねられた状態で積載されるものである。
【0028】
また、台車1上に載せられた容器11を支える台車1の基部の底部は、例えば底板などで全面的に塞がっているのでなく、図1から分かるように、少なくとも4辺に平行に沿った細長い部分、4隅を斜めに仕切った部分、4辺のうちの長い方の対向する2辺を中央で連結する部分のみに底板が設けられているが、少なくとも図1において傾斜案内通路3に面している前側寄りの一部には、底板は設けられてなく、底穴1cが形成されている。なお、この底穴1cは、後述する図7などから分かるように、移動用ローラー5がこの底穴1cを貫通して上方に突出し、これにより移動用ローラー5が台車1上の容器11の底面に突き当たって容器11を支持するためのものである。
【0029】
更に、台車1の4辺のうち、傾斜案内通路3に面している前側の一辺を除く3辺は、縁部が垂直に例えば5cm程度僅かに立ち上がった立ち上り部が設けられ、この立ち上がり部は台車1上に載せた容器11がこの3辺から落ちないように防止しているものであるが、傾斜案内通路3に面している前側の一辺は、このような垂直の立ち上がり部がないように構成されている。これは、後述するように、台車1上に載せた容器11をこの立ち上がり部のない辺を通して搬送装置9の方に移動し得るようにしているものであり、この辺を立ち上りのない前辺1dと称することにする。
【0030】
傾斜案内通路3は、台車1を搬送装置9に向かって移動するように案内するためのものであり、台車1が存在している低い床面から少し高いところに位置する搬送装置9の搬送面、すなわち搬送装置9は複数の細長い円筒形の搬送ローラー9aで構成されているが、この複数の搬送ローラー9aの上面に対応する搬送装置9の搬送面まで台車1を案内しながら移動させるように傾斜して構成されているが、低い床面にある台車1は、人手などにより押されながら、この傾斜案内通路3の上を登るように移動して、搬送装置9に近づき、最終的には台車1上に載っている多数の容器11のみを搬送装置9の搬送面上に移動させるようになっている。
【0031】
また、傾斜案内通路3は、傾斜案内通路3の先端と搬送装置9との間に台車1の前輪1aが入る程度の空所が設けられ、台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端を超えた場合に台車1の前輪1aが空所内に下降または落下するようになっている。
【0032】
また、傾斜案内通路3上を搬送装置9に向かう台車1の登高移動において、台車1が傾斜案内通路3上からずれたり、落ちないように台車1を案内するための一対の案内部材7a、7bが傾斜案内通路3の両側に取り付けられている。なお、案内部材7a、7bの一端側、すなわち図1において傾斜案内通路3が低く下って台車1に近くなっている部分寄りの一端側は、広がって、台車1が案内部材7a、7bの間に入り易いようになっている。
【0033】
移動用ローラー5は、1本の細長い円筒形のローラーで構成され、搬送装置9に近づいた傾斜案内通路3の先端上にブラケットなどにより取り付けられている。この移動用ローラー5は、台車1が搬送装置9に向かって傾斜案内通路3上を移動しつつ台車1の先端が傾斜案内通路3の先端まで移動した場合、容器11を載せる台車1の基台の底部が移動用ローラー5に当たらないように移動用ローラー5は台車1の底部の最下部よりも僅か下方に位置するように設けられるとともに、移動用ローラー5は搬送装置9の複数の搬送ローラー9aからなる搬送面よりも僅かに上方に突出し、この移動用ローラー5上を移動してくる容器11が搬送装置9の搬送面に衝突しないようになっている。なお、移動用ローラー5は、本実施形態のように傾斜案内通路3の先端上に取り付けられている必要はなく、例えば長いブラケットなどを用いて台車1が存在する低い床面などの別の固定部に取り付けたり、または傾斜案内通路3の先端の側面などに取り付けられてもよいものである。なお、移動用ローラー5は1本の細長い円筒形のローラーで構成される必要はなく、短筒状の小さなローラーを複数用いて構成されてもよい。
【0034】
搬送装置9は、図1に示すように、複数の細長い円筒形の搬送ローラー9aを平行に配列して構成されているが、この複数の搬送ローラー9aの各々の長手方向は、円の頂点を構成する一本の線状に形成されているため、傾斜案内通路3の方から搬送装置9上に移動してくる容器11に対する抵抗が少なく、容器11が搬送ローラー9a上を抵抗なく円滑に移動し得るようになっている。なお、搬送装置9と傾斜案内通路3は、後述する図6、図7から分かるように、傾斜案内通路3の先端を超えて下方に落下または降下した台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端と搬送装置9との間に入り得る程度の空所を設けて配設されている。また、搬送装置9は、傾斜案内通路3に近い一方の側と反対の他方の側には搬送装置9の長手方向に沿ってストッパ9cが取り付けられ、このストッパ9cにより傾斜案内通路3から搬送装置9の上を押されて移動してきた容器11がこの他方の側から落下しないようになっている。
【0035】
搬送装置9は、更に詳しくは、図3に示すように、長く形成され、その伸びた図示しない先には、すなわち図3において矢印100で示す方向に伸びた先には、例えば何段にも積み重ねられて搬送装置9上を矢印100の方向に搬送されてくる多数の容器11を一個一個にばらす段ばらし処理部、この段ばらしされた容器11を洗浄する洗浄部、この洗浄された容器11に付着した水分を除去する脱水部、容器11を乾燥させる乾燥部などが設けられている。そして、この搬送装置9の他方の端部の一方の側部には、図1で説明した傾斜案内通路3、移動用ローラー5、案内部材7a、7bからなる容器導入部が複数、本実施形態で4個設置され、この複数の容器導入部から容器11を何段にも積み重ねた台車1が搬送装置9に向けて運搬され、容器11のみが搬送装置9上に移動させられるようになっている。このように搬送装置9上に移動、すなわち載せられた容器11は、搬送装置9上を図3の矢印100で示す方向に搬送され、上述した段ばらし処理部、洗浄部、脱水部k、乾燥部などに送られるようになっている。また、搬送装置9の端部の一方の側部に設けられた傾斜案内通路3、移動用ローラー5、案内部材7a、7bからなる4個の容器導入部と反対側の側部には、前記ストッパ9cが設けられている。
【0036】
更に、移動用ローラー5は、容器1が載せられる搬送装置9の搬送面よりも僅か上方に突出し、容器1が台車1から離れて搬送装置9に向かって移動する場合に容器1の底面を支持するようになっている。すなわち、傾斜案内通路3上を移動する台車1の前輪が傾斜案内通路3の先端を超えて下降または落下した場合に、移動用ローラー5が台車1の底穴1cを貫通して容器11の底面に突き当たり容器11の底面が搬送装置9の搬送面よりも僅か上方に位置するように移動用ローラー5が容器11をその底面から押し上げ、容器11の前部の底面が台車1の基台から離れて搬送装置9の搬送面よりも僅か上方になるように支持し、この状態で台車1上の容器11のみを搬送装置5の方に押すと、容器11の底面が移動用ローラー5で回転支持されながら容器11のみが台車1の立ち上りのない前辺1dを通過しながら搬送装置9の搬送面の上に載るようになっている。
【0037】
更に、移動用ローラー5は、傾斜案内通路3を移動してきた台車1の前輪1aが移動用ローラー5の近くに来た場合において台車1の前輪1aが移動用ローラー5に当たらないように台車1の基台の下のほぼ中央側に位置するように設けられるとともに、また台車1が傾斜案内通路3を移動する場合に、台車1が移動用ローラー5を上記中央側の位置に設定し、この位置からずれないように台車1を案内するための前記案内部材7a、7bが傾斜案内通路3の両側に設けられている。
【0038】
以上のように構成される容器移動装置においては、例えば図4の右寄りの部分に示すように、台車1の上に多数の容器11を何段にも積み重ねて堆積した後、この台車1を傾斜案内通路3の上へ手などで押しながら図4の矢印103で示す方向に傾斜案内通路3上を移動させ、最終的には図4の左寄りの部分に点線で示すように、多数の容器11のみが何段にも積み重ねられた状態で搬送装置9の上に移動させられる。以降、容器11は、搬送装置9に載って搬送されながら、例えば上述したように段ばらし処理部、洗浄部、脱水部、乾燥部などに順次至り、それぞれの処理を施される。また、上述のように容器11のみが搬送装置9上に移動させられた状態では、台車1は、図16に示すように、その前輪1aが傾斜案内通路3の先端と搬送装置9との落ち込んで停止するとともに、移動用ローラー5は台車1の底穴1cを突き抜け、その頂部が僅かに上部に露出している。なお、図4では、傾斜案内通路3上の案内部材7a、7bは、移動用ローラー5の存在を明確に示すために点線で図示されている。
【0039】
図5は、上述したように、台車1が傾斜案内通路3の途中まで移動した状態を示しているが、台車1上に積載された容器11は下方の一部のみが図示され、上方の容器11は省略されている。また、案内部材7a、7bも図示が省略されている。
【0040】
図6は、図5に示したように傾斜案内通路3の途中まで移動した台車1が更に移動した結果、台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端を超えて降下または落下し、台車1が前傾姿勢になった状態を示している。この状態では、傾斜案内通路3の先端上に設けられている移動用ローラー5は、台車1の底穴1cを突き抜けて容器11の前寄りの底面に当たり、容器11を持ち上げるように下方から支持している。このため、容器11は台車1のように前傾姿勢にならず、ほぼ水平な状態に維持され、このほぼ水平な状態に維持された容器11の前部の底面は搬送装置9の搬送面よりも僅か上方に位置している。なお、図6でも、下方の容器11のみが図示され、上方の容器11は省略され、また案内部材7a、7bは二点鎖線で図示されている。
【0041】
図7は、図6に示したように台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端から落下した状態を詳細に示す斜視図である。この図7から、移動用ローラー5が台車1の底穴1cを突き抜けて露出していることがよく分かる。
【0042】
図8は、図6、図7に示したように台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端から落下し、容器11の底面が移動用ローラー5で支持された状態において容器11のみを手などで矢印105で示す方向に押すことにより容器11の前部が台車1の立ち上りのない前辺1dを通過して、搬送装置9の上に少し移動して載った状態を示す図である。
【0043】
図9は、図8に示したように容器11の前部が搬送装置9の上に少し移動して載った状態から更に容器11のみを矢印107で示す方向に押すことにより容器11が半分程度まで搬送装置9の上に載った状態を示している。なお、図8の状態から図9の状態までにおける容器11の搬送装置9上の移動においては、搬送装置9が図1で示したように複数の細長い円筒形の搬送ローラー9aを複数平行に配列して構成されているものであるため、容器11の底面と搬送装置9の各搬送ローラー9aとの接触は線接触となって、抵抗が極めて少なくなり、容器11は、搬送装置9上を容易に移動することができる。
【0044】
図10は、図9に示したように容器11が半分程度まで搬送装置9の上に載った状態から更に容器11を押すことにより、容器11全体を搬送装置9上に完全に載せた状態を示している。このように容器11全体が搬送装置9上に載った後は、容器11は、搬送装置9上を搬送され、例えば上述したように段ばらし処理部、洗浄部、脱水部、乾燥部などに順次至り、それぞれの処理を施される。
【0045】
図11乃至図16は、台車1上に多数の容器11を何段にも積み重ねた状態で移動させた一連の動作を順番に示した図5乃至図10にほぼ対応する図である。その動作は、図4乃至図10で説明したものと同じであるので、その説明は省略する。
【0046】
なお、上記実施形態では、台車1を搬送装置9に向けて案内移動するのに傾斜案内通路3を使用しているが、本発明は、このように台車の案内通路が傾斜している必要はなく、平坦であってもよいものである。すなわち、案内通路は、その先端と搬送装置9との間に空所があって、台車1の前輪1aが傾斜案内通路3の先端を超えた場合において台車1の前輪1aが降下または落下するようになっていれば、傾斜してなく、平坦でもよいものである。これは、例えば台車1が存在している低い床面が搬送装置9の前で窪んでいたり、穴があいていたりしても可能であるし、または台車1がトラックなどから容器11を積載される場所から搬送装置9までの間に床面よりも一段と高い平坦な通路を設け、一段と高い平坦な通路上を台車1が移動するようにしてもよいし、または搬送装置9の前だけ一段と高い平坦な通路を設けるなどでもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 台車
1a 前輪
1b 後輪
1c 底穴
3 傾斜案内通路
5 移動用ローラー
7a、7b 案内部材
9 搬送装置
9a 搬送ローラー
9c ストッパ
11 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を積載された台車から容器のみを搬送装置の上に移動させる容器移動装置であって、
先端が搬送装置の近くまで延出して設けられ、台車を搬送装置に向かって移動させるように案内する案内通路と、
この案内通路の先端の近傍に設けられ、容器が載せられる搬送装置の搬送面よりも僅か上方に突出し、容器が搬送装置に向かって移動する場合に容器の底面に下方から突き当たって容器を支持する移動用ローラーであって、案内通路上を移動する台車の前輪が案内通路の先端を超えて下降した場合、移動用ローラーが容器の底面に突き当たって容器の底面が搬送装置の搬送面よりも僅か上方に位置するように容器を押し上げて支持し、この状態で台車上の容器のみを搬送装置の方に押すと、容器の底面が移動用ローラーで回転支持されながら容器のみが搬送装置の搬送面の上に載る移動用ローラーと
を有することを特徴とする容器移動装置。
【請求項2】
前記移動用ローラーは、台車が搬送装置に向かって案内通路上を移動しつつ台車の先端が案内通路の先端まで移動した場合、容器を載せる台車の基台の底部が移動用ローラーに当たらないように移動用ローラーは台車の底部の最下部よりも僅か下方に位置するように設けられ、
案内通路は、台車の前輪が案内通路の先端を超えた場合に台車の前輪が下降するように案内通路の先端と搬送装置との間に台車の前輪が入る程度の空所が設けられており、
台車は、容器を載せる基台の底部の少なくとも前寄りの部分に移動用ローラーが貫通する底穴が形成され、台車が搬送装置に向かって案内通路を移動している場合において台車の前輪が案内通路の先端を超えて下降した場合、台車の基台は底穴を移動用ローラーが貫通して前輪とともに下降するも、台車の基台上に載っている容器は、その底面が底穴を貫通した移動用ローラーで押し上げられるように支持され、容器の前部の底面は台車の基台から離れて搬送装置の搬送面よりも僅か上方になるように支持されることを特徴とする請求項1記載の容器移動装置。
【請求項3】
前記移動用ローラーは、案内通路を移動してきた台車の前輪が移動用ローラーの近くに来た場合において台車の前輪が移動用ローラーに当たらないように台車の基台の下のほぼ中央側に位置するように設けられ、
台車が案内通路を移動する場合に、台車が前記中央側の位置に設けられた移動用ローラーに当たらないように台車を案内するための案内部材が案内通路の両側に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の容器移動装置。
【請求項4】
前記案内通路は、台車を低い位置から比較的上方にある搬送装置の搬送面に向かって移動させるように傾斜して形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器移動装置。
【請求項5】
前記案内通路と搬送装置は、案内通路の先端を超えて下降した台車の前輪が案内通路の先端と搬送装置との間に入り得る程度に間隔をあけて配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の容器移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−93657(P2011−93657A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248952(P2009−248952)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(396013329)株式会社クレオ (12)