説明

容器移送装置

【課題】外部から遮断されたチャンバー14内に配置された容器移送装置1において、異なる径の容器4A、4Bに兼用するための型替えを、チャンバー14内の無菌環境を破壊せずに行う。
【解決手段】無菌チャンバー14内に回転ホイール80が配置され、その外側に、大径の第1容器4Aの胴部4aを案内する第1ガイド(固定ガイド)84と、第1容器4Aよりも小径の第2容器4Bの胴部4aを案内する第2ガイド(昇降ガイド)86と、第2ガイド86を昇降させる昇降手段94とを備えており、昇降手段は、チャンバー14の底面16を貫通して外部に設置されたシリンダ94を備えている。第1容器4Aを移送する際には、第2ガイド86を退避させ、第2容器4Bを移送するときには、第2ガイド86を第2容器4Bを案内する位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転式の容器移送装置に係り、特に、回転ホイールによって回転移送される容器の外側に配置されて容器の外面側を案内する外周ガイドを、複数種類のサイズの容器に兼用できるようにした容器移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部の雰囲気から遮断されたチャンバー内にフィラやキャッパ等の容器処理装置を配置した充填キャッピングシステムは従来から広く用いられている。このような充填キャッピングシステムでPET容器に充填やキャッピングを行う場合に、異なるサイズや形状の容器に兼用するために、型替えを行う部材の数を少なくする目的で、PET容器のネック部を把持して搬送するネック搬送が行われている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載されているように、PET容器をネック搬送する場合は、フィラやキャッパ等の処理装置を、これら各処理装置の中間に配置したホイールを介して連結し、PET容器に形成されているフランジの下方と上方とを交互に持ち替えて受け渡しながら搬送している。
【0003】
前記充填キャッピングシステムでは、キャッパにおいては、PET容器のフランジの下側を把持してキャッピングを行った後、排出ホイールへ受け渡すようにしている。キャッパでキャップが装着されたPET容器は、キャップが邪魔になってフランジの上方側を把持することができないので、キャッパの排出ホイールでは、容器の底部を支持するプレートと、容器の胴部を保持する回転ホイール側のガイドと、回転搬送される容器の外面側をガイドする外周ガイドによってPET容器を保持するようにしている。このような構成では、処理される容器の胴径が異なる場合には、その径に応じたガイド幅(回転ホイール側のガイドと外側ガイドとの間隔)に調節する必要があり、しかも、この充填キャッピングシステムが外部の雰囲気と遮断されたチャンバー内に設置している場合には、このチャンバー内の無菌雰囲気を壊さずに調節を行う必要があった。
【0004】
また、特許文献2には、無菌雰囲気内に設置された搬送コンベヤのガイドを外部から調節する技術が記載されている。この特許文献2に記載された構成は、ガイドの取付軸を、無菌チャンバーの側壁を貫通して配置し、無菌チャンバーの外側からガイドの幅を調節可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4221767号公報
【特許文献2】特開平9−142420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献2に記載された発明の構成では、ガイドを支持する取付軸を無菌チャンバーの壁面を貫通して取り付ける必要があるので、ガイドのレイアウトに制限がある等の問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、容器を移送する回転ホイールと、この回転ホイールの外側に配置され、回転ホイールによって移送される第1容器の胴部を案内する円弧状の第1ガイドと、この第1ガイドの上方または下方に配置されるとともに、前記第1容器よりも小径の胴部を有する第2容器の胴部を案内する円弧状の第2ガイドと、この第2ガイドを昇降させる昇降手段とを備え、前記第1容器を移送する際には、前記第2ガイドを上昇もしくは下降させて第1容器と干渉しない位置に退避させ、前記第2容器を移送する際には、前記第2ガイドを、第2容器を案内する位置に移動させることを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記回転ホイールが、外部と遮断されたチャンバー内に配置されるとともに、前記昇降手段は、前記チャンバーの底面を貫通して配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器移送装置は、回転ホイールの外側に、第1容器の胴部を案内する第1ガイドと、第1容器よりも小径の第2容器を案内する第2ガイドと、第2ガイドを昇降させる昇降手段を設けて、第1容器を移送するときには第2ガイドを第1容器に干渉しない位置に退避させるようにしたので、移送される容器の外側を案内するガイドの切り換えを容易に行うことができる。また、第2ガイドを昇降させる昇降手段を外部と遮断されたチャンバーの底面を貫通して配置したので、チャンバー内の雰囲気を破壊することなく外側ガイドの切り換えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の一実施例に係る容器移送装置を備えた充填キャッピングラインの平面図である。(実施例1)
【図2】図2は前記容器移送装置の縦断面図であり、図(a)は第1容器を移送する状態を示す全体図、図(b)は第2容器を移送する場合を示す要部の断面図である。
【図3】図3は回転ホイールの外側に配置された外周ガイドを示すもので、図(a)はネックガイド、図(b)は第2ガイド、図(c)は第1ガイドをそれぞれ示す平面図である。
【図4】図4は容器のサイズに応じて外周ガイドを調節した状態を説明する縦断面図であり、図(a)は大径の第1容器をガイドしている状態を、そして図(b)は小径の第2容器をガイドしている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
回転ホイールに設けられた支持部材によって容器の内周側を支持して回転搬送する。回転ホイールの外周側には、移送される第1容器の胴部の外面側を案内する円弧状の固定第1ガイドと、この第1容器よりも胴部の径が小さい第2容器の胴部の外面側を案内する円弧状の第2ガイドとを備えており、第2ガイドは昇降手段によって昇降できるようになっている。第1容器を移送する際には、昇降手段によって第2ガイドを上昇または下降させて、第1容器に干渉しない位置、例えば、胴部よりも径の細い肩部(胴部と上方のネック部とを接続する傾斜部)の外周側の位置に退避させ、第2容器を移送する際には、第2ガイドをこの第2容器を案内する位置に移動させる。このような構成にしたことにより、胴部の径の異なる容器に兼用する際に、簡単な操作によって切り換えが可能であるという目的を達成する。また、この容器移送装置は外部から遮断された無菌チャンバー内に設置されており、この昇降手段は、チャンバーの底面を貫通してこのチャンバーの下方に駆動部が設置されているので、チャンバー内の雰囲気を破壊することなく切り換えを行うという目的を達成する。
【実施例1】
【0012】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。この容器移送装置(全体として符号1で示す)は、外部の雰囲気から遮断された無菌チャンバー内に設置されている充填キャッピングシステムの一部を構成しており、図1(無菌チャンバーの図示は省略)に示すように、上流側のフィラ(図示せず)で液体が充填された後、キャッパ2に送られてキャッピングが行われた容器4(図2参照)を受け取る中間ホイール1として用いられている。キャッパ2から容器4を受け取った中間ホイール1は、この容器4を下流側のリジェクトホイール6に受け渡す。何らかのトラブル等によってこの充填キャッピングシステムから除外すべき容器4は、このリジェクトホイール6からリジェクトコンベヤ8にリジェクトされる。また、正常な容器4は、このリジェクトホイール6から出口側の排出ホイール10に受け渡されて回転搬送され、排出コンベヤ12上に排出されて次の工程に送られる。なお、この実施例に係る容器移送装置(中間ホイール1)は、容器としてPET容器4を移送するものであり、特に、胴部4aが大径で長い大型の第1容器4A(図2(a)の容器参照)と、第1容器4Aよりも胴部4aの径が小さく長さも短い小型の第2容器4B(図2(b)の容器参照)とに兼用される。
【0013】
次に、図2により中間ホイール1の構成について説明する。この中間ホイール1は、PET容器4を保持して回転移送する部分は、無菌チャンバー14(底面16よりも上方の部分が無菌チャンバー14の室内である)内に配置され、前記回転移送する部分を駆動する駆動機構および後に説明する各部を昇降させる昇降機構は無菌チャンバー14の外部の下側に設置されている。無菌チャンバー14の底面16に形成された円形孔16a内を、上下に貫通して円筒状の筒体18が固定されている。この円筒状の固定筒体18の内部に、上下のベアリング20、22を介して、直立した下部回転筒体24が回転自在に支持されている。この下部回転筒体24の、固定筒体18の上方へ伸びている上端部に拡大された大径部24aが形成され、この拡大された大径部24aの上面に、上部回転筒体26の下端に形成されているフランジ部26aが固定されており、上部回転筒体26と下部回転筒体24は軸線を一致させて上下に連結されている。
【0014】
下部回転筒体24の下端部24bは、前記固定筒体18の下端部18aから下方へ伸びており、この突出している下端部24bの外周に大径の駆動ギヤ28が固定され、図示しない駆動源のギヤに噛み合って駆動力が伝達されるようになっている。この駆動ギヤ28の回転により下部回転筒体24および連結されている上部回転筒体26が一体的に回転する。
【0015】
前記上部回転筒体26の下端に形成されたフランジ部26aの外周に、水平な回転円板30が固定されており、この回転円板30上に複数本の直立した支持ロッド32が固定されている。これら支持ロッド32の上端に、水平な取付プレート34を介して環状のネック支持部材36が取り付けられている。環状のネック支持部材36は、この中間ホイール1によって搬送される各PET容器4のネック部4bに係合するように、円周方向等間隔で係合凹部(図示せず)が形成されている。この実施例では、ネック支持部材36の各凹部が、PET容器4のネック部4bに装着されたキャップ4cに係合して保持するようになっている。
【0016】
上部回転筒体26の上部側の外周に外側筒体38が嵌合され、キー40により回転方向に連結されるとともに、相対的に昇降できるようになっている。外側筒体38の下端部と上部回転筒体26の下端部寄りの外面との間に蛇腹41が取り付けられて、外側筒体38と上部回転筒体26との摺動部を覆っている。この外側筒体38の上端にトッププレート42が固定されている。また、外側筒体38の外周側に水平な円形プレート44が固定されている。この円形プレート44の外周部に、複数本の垂直な昇降支持ロッド46が下方を向けて固定されている。これら昇降支持ロッド46の下端部に環状の支持プレート48が取り付けられている。この環状支持プレート48の外周部に、PET容器4の底面を支持する底面プレート50が取り付けられている。また、環状支持プレート48上には、底面プレート50上に載置される各PET容器4に対応して、PET容器4の胴部4aを支持する固定支持部材52が取り付けられている。固定支持部材52は、短い支柱54上に水平な取付板56を介して取り付けられており、PET容器4を支持する面がこの中間ホイール1の半径方向外方側を向いている。
【0017】
環状の支持プレート48上の、各固定支持部材52と円周方向の位置を一致させて、PET容器4の胴部4aを支持する揺動支持部材58が配置されている。この揺動支持部材58は、環状支持プレート48の内周側に直立して固定された短い支柱60上に、水平な支点ピン62を介して揺動可能に支持されている。この揺動支持部材58は、中間ホイール1の軸線を中心とする半径方向の線上で、前記支点ピン62を中心に上下に揺動するようになっており、先端(揺動端)側にPET容器4の胴部4aを支持する支持部58aが設けられている。この揺動支持部材58と下方の環状支持プレート48との間に引っ張りばね64が設けられており、揺動支持部材58は常時下方へ向けて引き付けられている。前記揺動支持部材58は、固定支持部材52を取り付けている取付板56に当たることにより下降限を規制されており、この位置で停止したときにほぼ水平な状態でPET容器4の胴部4aを支持するようになっている(図2(b)参照)。環状支持プレート48上に取り付けられている底面プレート50、固定支持部材52および揺動支持部材58は、以下に説明するように、移送するPET容器4のサイズに応じて昇降させるようになっている。
【0018】
揺動支持部材58の先端の胴部支持部58aは、水平な状態になったときに、PET容器4を支持する面が前記固定支持部材52のPET容器4を支持する面よりも半径方向外方側に位置している。従って、固定支持部材52が支持するサイズの胴径の大きいPET容器(第1容器4A)に対しては、揺動支持部材58が水平な状態の時には干渉してしまう。また、この揺動支持部材58が支持するサイズの小型のPET容器(第2容器4B)に対しては、固定支持部材58のPET容器4を支持する面がPET容器4の胴部4aから離れており支持することはできない。
【0019】
揺動支持部材58が水平な状態になったときの、ほぼ中央部の下方に、この揺動支持部材58を前記引っ張りばね64に抗して上方へ揺動させる突き上げピン66が設けられている。この突き上げピン66は、水平な回転円板30の外周部上に直立して固定されており、前記固定支持部材52および揺動支持部材58を取り付けている環状支持プレート48に形成された貫通孔48aを貫通している。図2(a)の右側に示すように、大径でサイズの大きいPET容器4(第1容器4A)を移送するときには、底面プレート50を下降させており、この状態の時には環状の支持プレート48も下降しているので、突き上げピン66が環状支持プレート48の上方に大きく伸びている。この状態では突き上げピン66によって揺動支持部材58が上方へ揺動されている。また、上下に揺動する揺動支持部材58の側部には、この揺動支持部材58の上下動を案内する案内ガイド68が配置されている。
【0020】
上部回転筒体26および下部回転筒体24の内部にねじ軸70が挿通されている。このねじ軸70の上端は、前記外側筒体38の上端に固定されているトッププレート42に連結されている。また、外側筒体38の外周部に水平な円形プレート44が固定されており、これら外側筒体38、トッププレート42および水平な円形プレート44は、上部回転筒体26、下部回転筒体24および水平な回転円板30と一体的に回転するとともに、ねじ軸70の昇降にともなって前記上下の回転筒体24、26と相対的に昇降可能になっている。前記ねじ軸70の下端部は、下部回転筒体24の下端24bから下方へ伸びている。このねじ軸70の下部は、下方のベース72上に直立して配置された筒状カバー74に支持されたナット76に螺合している。このナット76は、図示しないモータによって回転される水平な昇降軸78とウォーム結合(ナット76のウォームホイールと昇降軸78のウォームとが噛み合っている)されている。従って、図示しないモータの駆動により、水平な昇降軸78を介してナット76を回転させると、ねじ軸70が昇降し、このねじ軸70に連結されているトッププレート42、外側筒体38、円形プレート44、昇降支持ロッド46および環状の支持プレート48が一体的に昇降する。
【0021】
なお、前記大径のギヤ28を介して回転される下部回転筒体24、上部回転筒体26、およびこれら上下の回転筒体24、26に連結されている回転円板30、外側筒体38、円形プレート44等により、請求項1に記載した回転ホイール80が構成されている。この回転ホイール80に、回転移送されるPET容器4を内周側から支持するネック支持部材36と、固定支持部材52および揺動支持部材58が設けられている。なお、固定支持部材52と揺動支持部材58は前述のように、PET容器4のサイズに応じていずれか一方が使用される。
【0022】
前記回転ホイール80によって内周側を支持されて回転移送されるPET容器4は、その外面側を回転ホイール80の外周側に配置された外側のガイドによって支持される。この外側のガイドの構成について、図2(a)、図3(a)、(b)、(c)および図4(a)、(b)により説明する。回転ホイール80に支持されて回転移送されるPET容器4は、そのネック部4bを上方に固定されたネックガイド82によって支持され、胴部4aを第1ガイド(固定ガイド84)または第2ガイド(昇降ガイド86)によって支持される。
【0023】
ネックガイド82は、キャッパ2からの受け取り位置A(図1参照)のやや下流側からリジェクトホイール6への引き渡し位置Bのやや上流側に至る位置までの長さの円弧状をしている(図3(a)参照)。ネックガイド82は、PET容器4のネック部4bに当接してガイドするガイド部82aと、このガイド部82aがその内周に取り付けられている取付部82bとから構成されている。ガイド部82aの内周面は、前記回転ホイール80のネック支持部材36と固定支持部材52または揺動支持部材58によって支持されて回転移送されるPET容器4の、ネック部4bまたはキャップ4cの外面の移動経路とほぼ同じかあるいは僅かに大きい径を有している。このネックガイド82は、取付部材88を介して図示しない固定部に固定されている。なお、この実施例では、ネックガイド82が上下2段になっており、キャップ4cの側面とフランジ4dの下面の2箇所を支持しているが(図4(a)、(b)参照)、いずれか一方でもよく、また、ネックガイド82を省略することもできる。
【0024】
PET容器4の胴部4aの外面側を支持する外側のガイドとして、固定ガイド84と昇降ガイド86が設けられており、PET容器4のサイズに応じていずれか一方のガイドを使用する。固定ガイド84は、キャッパ2からの受け取り位置Aのやや下流側からリジェクトホイール6への引き渡し位置Bのやや上流側に至る長さの円弧状をしている(図3(c)参照)。固定ガイド84は、PET容器4の胴部4aに当接してガイドするガイド部84aと、このガイド部84aがその内周に取り付けられた取付部84bとから構成されている。固定ガイド84は、大径のPET容器4(第1容器4A)の外面側を支持するもので、ガイド部84aの内周面が、前記回転ホイール80のネック支持部材36と固定支持部材52または揺動支持部材58によって支持されて回転移送される第1容器4Aの胴部4aの外面の移動経路とほぼ同じかあるいは僅かに大きい径を有している。この固定ガイド84は、取付部材90を介して図示しない固定部に固定されている。
【0025】
昇降ガイド86は、上方のネックガイド82と下方の固定ガイド84の中間に配置されて昇降できるようになっている。無菌チャンバーの底面16には、この底面16に形成された取付孔16bに、取付部材92を介して昇降用シリンダ94が上向きで垂直に固定されている。昇降用シリンダ94のピストンロッド94aの先端(上端)に、ロッド状の昇降部材96が連結されている。このロッド状昇降部材96は、昇降用シリンダ94の作動によって、前記取付部材92上に固定されたガイド筒98に案内されて昇降するようになっている。
【0026】
ロッド状昇降部材96の上端に昇降ガイド86が取り付けられている。昇降ガイド86は、PET容器4の胴部4aに当接してガイドするガイド部86aと、このガイド部86aがその内周に取り付けられた取付部86bとから構成されている(図3(b)参照)。昇降ガイド86は、小径のPET容器4(第2容器4B)の外面側を支持するもので、ガイド部86aの内周面が、前記回転ホイール80のネック支持部材36と固定支持部材52または揺動支持部材58によって支持されて回転移送される第2容器4Bの胴部4aの外面の移動経路とほぼ同じかあるいは僅かに大きい径を有している。昇降ガイド86は、前記長さ(キャッパ2からの受け取り位置Aのやや下流側からリジェクトホイール6への引き渡し位置Bのやや上流側に至る位置までの長さ)に亘って配置されており、安定した状態で昇降できるように複数の昇降用シリンダ94(この実施例では、図3(b)に示すように4箇所の昇降用シリンダ94およびロッド状昇降部材96に連結されている)によって昇降されるようになっている。なお、この実施例では、前記固定ガイド(第1ガイド84)が大径の胴部4aを有するPET容器4(第1容器4A)をガイドし、昇降ガイド(第2ガイド86)は前記大径のPET容器4(4A)よりも小径のPET容器4(第2容器4B)の胴部4aを支持するようになっており、昇降ガイド86のガイド部86aの内径は、固定ガイド84のガイド部84aの内径よりも小さくなっている。
【0027】
以上の構成に係る容器移送装置1を備えた充填キャッピングシステムの作動について説明する。上流側に配置されている図示しないフィラにおいて液体が充填されたPET容器4は、キャッパ2に送られてキャッピングされた後、受け取り位置Aにおいて中間ホイール1(この実施例に係る容器移送装置)に受け渡される。充填およびキャッピングが行われたPET容器4が大径で背の高い第1容器4Aである場合には、図2(a)に示すように、PET容器4を載せる底面プレート50を下降させておく。底面プレート50を下降させると、突き上げピン66が設けられている回転円板30の高さは変わらないので、突き上げピン66が環状の支持プレート48の貫通孔48a内を通って大きく上方へ突出した状態になり、揺動支持部材58を下面側から突き上げて上方へ向けて揺動させた状態にする。移送される第1容器4Aの内周側は、上方のネック支持部材36と下方の固定支持部材52とによって支持する。一方、回転ホイール80の外周側では、昇降シリンダ94の作動によってロッド状昇降部材96を上昇させて、その先端に取り付けられている昇降ガイド(第2ガイド86)を上方まで上昇させておく。昇降ガイド86は、下方の固定ガイド(第1ガイド84)よりも回転ホイール80の中心方向に突出しているので、第1容器4Aの胴部4aの高さに位置しているとこの第1容器4Aに干渉してしまう。そこで、昇降ガイド86を上昇させて胴部4aと上方のネック部4bとの間を接続する傾斜した肩部4eの高さに退避させておく(図4(a)参照)。
【0028】
キャッパ2に設けられているグリッパ(図示せず)によってフランジ4dの下方側をグリップされていた第1容器4Aが、前記状態の中間ホイール1の底面プレート50上に載せられる。この第1容器4Aは底面プレート50上に載せられると、ネック部4bの回転ホイール80の中心方向を向いた面をネック支持部材36に、そして胴部4aを固定支持部材52に支持されて回転移送される。受け取り位置Aから少し下流側に回転移動した位置から円弧状のネックガイド82および固定ガイド84が配置されており、ネックガイド82によって、ネック支持部材36に支持されているキャップ4cの外周側を、固定ガイド84によって、固定支持部材58に支持されている胴部4aの外周側をそれぞれガイドされて回転移送される。回転ホイール80の回転によってリジェクトホイール6への引き渡し位置Bに到達すると、この位置Bでは前記ネックガイド82および固定ガイド84が終了しており、底面プレート50上の第1容器4Aがリジェクトホイール6に引き渡される。
【0029】
リジェクトホイール6の容器保持手段(図示せず)によって保持された第1容器4Aは、排出ホイール10に受け渡されて排出コンベヤ12上に排出され、この排出コンベヤ12によって搬送されて次の工程に送られる。また、何らかの問題の生じた第1容器4Aは、リジェクトホイール6から排出ホイール10まで搬送される前に、リジェクトコンベヤ8にリジェクトされる。
【0030】
この充填キャッピングシステムで充填およびキャッピングが行われるPET容器4が、前記第1容器4Aよりも径が小さく背の低い容器(第2容器4B)の場合には、下方の水平な昇降軸78を介して図示しない駆動手段の駆動を伝達してナット76を回転させ、ねじ軸70を上昇させる。ねじ軸70が上昇すると、その上端に連結されているトッププレート42、その外周部の下方に連結された外側筒体38、円形プレート44および昇降支持ロッド46が上昇する。昇降支持ロッド46の下端には、環状の支持プレート48が固定されており、この支持プレート48が上昇することにより、底面プレート50、固定支持部材52および揺動支持部材58が上昇する。底面プレート50と固定支持部材52は同じ上下の位置関係のまま上昇し、図2(b)に示すように、この底面プレート50上に載せられた第2容器4Bは、胴部4aの底部近くを支持される。また、支持プレート48およびこの支持プレート48上に固定されている揺動支持部材58が上昇すると、突き上げピン66が相対的に下降した状態になり、支持プレート48の下方まで相対的に下降して揺動支持部材58との係合が外れる。突き上げピン66が下降してその係合が外れると、揺動支持部材58は、図2(a)に示すように斜め上方を向いていた状態から下方へ向けて揺動し、最終的には水平な状態で停止する。また、昇降シリンダ94の作動によってロッド状昇降部材96を下降させ、昇降ガイド86を、背の低い第2容器4Bの胴部4bに対応する高さまで下降させる(図4(b)参照)。
【0031】
図2(b)に示す状態で、キャッパ2に設けられたグリッパから第2容器4Bが底面プレート50上に載せられる。この状態では、回転ホイール80側の揺動支持部材58と固定支持部材52がともに胴部4bに対応する高さに位置しているが、固定支持部材52は小径の第2容器4Bからは離れているので、揺動支持部材58と上方のネック支持部材36とによって、移送される第2容器4Bの内側が支持される。その後の回転によって昇降ガイド86の位置に到達すると、この昇降ガイド86と固定ガイド84がともに第2容器4Bの胴部4bに対応する高さに位置しているが、固定ガイド84は大径の第1容器4Aの外径に合わせているので、第2容器4Bには当接することはなく、昇降ガイド86と上方のネックガイド82とにより、移送される第2容器4Bの外面側をガイドする。このように固定支持部材52、揺動支持部材58、底面プレート50等が取り付けられている支持プレート48を昇降させるだけで、大径の第1容器4Aを支持する固定支持部材52と、小径の第2容器4Bを支持する揺動支持部材58とを切り換えることができる。また、移送されるPET容器4の外側をガイドする固定ガイド84と昇降ガイド86も、昇降ガイド86を昇降させるだけで、大径の第1容器4Aの外面側をガイドする固定ガイド84と、小径の第2容器4Bの外面側をガイドする昇降ガイド86を切り換えることができる。しかも、無菌チャンバー14の底面16の下方側に、底面プレート50、揺動支持部材58、固定支持部材52等を昇降させる機構(ねじ軸70とナット76)が配置されるとともに、第2ガイド(昇降ガイド86)を昇降させる昇降手段を構成する昇降用シリンダ94を、チャンバー14の底面16の下方に設置しているので、PET容器4のサイズに応じて切り換える場合に、無菌チャンバー14内の環境を破壊することがない。
【符号の説明】
【0032】
4 容器(PET容器)
4A 第1容器
4B 第2容器
4a 容器の胴部
80 回転ホイール
84 第1ガイド(固定ガイド)
86 第2ガイド(昇降ガイド)
94 昇降手段(昇降用シリンダ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を移送する回転ホイールと、この回転ホイールの外側に配置され、回転ホイールによって移送される第1容器の胴部を案内する円弧状の第1ガイドと、この第1ガイドの上方または下方に配置されるとともに、前記第1容器よりも小径の胴部を有する第2容器の胴部を案内する円弧状の第2ガイドと、この第2ガイドを昇降させる昇降手段とを備え、前記第1容器を移送する際には、前記第2ガイドを上昇もしくは下降させて第1容器と干渉しない位置に退避させ、前記第2容器を移送する際には、前記第2ガイドを第2容器を案内する位置に移動させることを特徴とする容器移送装置
【請求項2】
前記回転ホイールは、外部と遮断されたチャンバー内に配置されるとともに、前記昇降手段は、前記チャンバーの底面を貫通して配置されることを特徴とする請求項1に記載の容器移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91887(P2012−91887A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238569(P2010−238569)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】