説明

容器詰め製品の内容物検査方法

【課題】内容物と培地を混合して微生物を培養することで内容物中の微生物の有無を検査するような容器詰め製品の内容物検査方法について、内容物と培地を混合する際に、外部から微生物を混入させることなく、充分な量の培地を混合することで、微生物の培養による内容物検査の精度を向上させる。
【解決手段】内容物と培地を混合する際に、耐熱性筒体4の筒内に高周波誘導加熱が可能な材質からなる連結具5を装着した状態で、直列的に配置された両方の容器2,3のキャップ2a,3aのスカート部にわたって耐熱性筒体4を装着して、耐熱性筒体4の外側からの高周波誘導加熱により連結具5を加熱殺菌してから、両方の容器2,3の少なくとも一方を押圧することで、連結具5の各挿入部分がそれぞれのキャップ2a,3aの天板部を貫通してそれぞれの容器2,3内に挿入されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル等のような容器の内部に飲料等の内容物を充填してキャップにより密封した容器詰め製品について、容器内の内容物に細菌やカビ等の微生物が混入しているか否かを検査するための方法に関し、特に、そのような容器詰め製品の内容物検査方法において、細菌やカビ等の微生物を外部から混入させることなく、微生物を培養する培地と容器内の内容物とを混合するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトルやボトル型缶のようなボトル型の容器を使用して、略無菌雰囲気内で殺菌済みの容器に殺菌済みの内容物を充填して殺菌済みのキャップで密封する、所謂無菌充填法により飲料等を内容物とする容器詰め製品を製造する場合に、充填・密封後に加熱殺菌の工程を行なわないことから、製造された製品中からランダムに抽出したサンプルによる抜き取り検査によって、容器内に細菌やカビ等の微生物が混入しているか否かを検査している。
【0003】
そのような微生物の有無を検査する容器詰め製品の内容物検査方法について、容器内に内容物が充填・密封された最終製品を、無菌環境下で開封して容器内の内容物に濃縮培地を添加した後、再度密封状態にして10〜60℃で保管してから、容器内の内容物の濁り、炭酸ガスの発生、カビを目視することにより、最終製品内における微生物の存在の有無を確認する、ということが下記の特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2004−229587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような従来公知の容器詰め製品の内容物検査方法では、内容物が充填・密封された状態から容器を一旦開封しているため、無菌環境下での開封とはいっても、開封時に細菌やカビ等の微生物が容器内に入り込む虞が全くないとはいえず、そのような開封時での微生物の混入の可能性により、結果的に、製品の内容物中の微生物を培養してその存在の有無を確認するような内容物検査の精度を低下させることとなる。
【0005】
一方、製品の内容物中の微生物を培養してその存在の有無を確認する場合に、内容物に対する培地の混合割合を増やす(大量の培地を混合する)ことで、僅かな微生物でも確実に培養することができて、内容物検査の精度の向上を図ることができる。これに対して、上記のような従来公知の容器詰め製品の内容物検査方法では、容器内に充填された内容物に対して、内容物が充填された容器内のヘッドスペースの分だけ培地を混合できるだけで、それ以上に大量の培地を混合することはできない。
【0006】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、内容物と培地を混合して微生物を培養することで内容物中の微生物の有無を検査するような容器詰め製品の内容物検査方法について、内容物と培地を混合する際に、外部から微生物を混入させることなく、充分な量の培地を混合することで、微生物の培養による内容物検査の精度を向上させるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するために、内容物と培地を混合して内容物中の微生物を培養することで微生物の有無を検査するような容器詰め製品の内容物検査方法において、内容物が充填されキャップで密封された容器の内部と、培地が充填されキャップで密封された容器の内部とを、それぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入される各挿入部分を備えた連結具を介して連通させることで、内容物と培地を混合するための方法として、両方の容器のキャップのスカート部に嵌挿可能な耐熱性筒体に対し、その筒内に高周波誘導加熱が可能な材質からなる連結具を装着した状態で、キャップ同士が対向するように容器軸線方向に沿って直列的に配置された両方の容器に対して、両方のキャップのスカート部にわたって耐熱性筒体を装着することで、両方の容器のキャップの天板部の間に連結具を配置して、耐熱性筒体の外側からの高周波誘導加熱により連結具を加熱殺菌してから、両方のキャップ同士が近づくよう両方の容器の少なくとも一方を容器軸線方向に押圧することにより、連結具の各挿入部分がそれぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入されるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のような本発明の容器詰め製品の内容物検査方法によれば、内容物が充填された容器の内部と、培地が充填された容器の内部とを、連結具を介して連通させていることで、内容物や培地を外気に曝すことで細菌やカビ等の微生物を混入させるようなことなく、内容物に対して、所望の容量の容器一つ分の培地を充分に混合させることができる。しかも、耐熱性筒体の筒内に設けた連結具を、耐熱性筒体の外側から高周波誘導加熱により殺菌していることで、連結具やキャップの天板部付近に微生物が侵入するのを耐熱性筒体により防止できると共に、連結具に微生物が付着していても、これを充分に殺菌できることから、連結具によるキャップの貫通部分から容器内に微生物が侵入するのを確実に防止することができる。その結果、微生物の培養による内容物検査の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
内容物と培地を混合して微生物を培養することで内容物中の微生物の有無を検査するような容器詰め製品の内容物検査方法について、内容物と培地を混合する際に、外部から微生物を混入させることなく、充分な量の培地を混合することで、微生物の培養による内容物検査の精度を向上させるという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、内容物が充填されキャップで密封された容器の内部と、培地が充填されキャップで密封された容器の内部とを、それぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入される各挿入部分を備えた連結具を介して連通させることで、内容物と培地を混合するための方法として、両方の容器のキャップのスカート部に嵌挿可能な耐熱性筒体に対し、その筒内に高周波誘導加熱が可能な材質からなる連結具を装着した状態で、キャップ同士が対向するように容器軸線方向に沿って直列的に配置された両方の容器に対して、両方のキャップのスカート部にわたって耐熱性筒体を装着することで、両方の容器のキャップの天板部の間に連結具を配置して、耐熱性筒体の外側からの高周波誘導加熱により連結具を加熱殺菌してから、両方のキャップ同士が近づくよう両方の容器の少なくとも一方を容器軸線方向に押圧することにより、連結具の各挿入部分がそれぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入されるようにするということで実現した。
【実施例】
【0010】
本発明の容器詰め製品の内容物検査方法の一実施例について、先ず、本実施例の方法でそれぞれ容器内に充填された内容物と培地を混合する際に使用する装置の一例であるボトル連結装置について説明すると、図1および図2に示すように、ボトル連結装置1では、その基盤10から垂直にアルミ製の支柱11が立設されており、この支柱11には、37KHz の高周波を発生させる高周波出力用トランス12が、支柱11に沿って上下方向に位置の調節が可能なように設置されていて、この高周波出力用トランス12から銅製の高周波誘導コイル13が延設されている。
【0011】
また、装置1の支柱11の前方には、内容物が充填されたボトル容器2と培地が充填されたボトル容器3とを保持するセッティングパイプ6が配置されており、このセッティングパイプ6により、内容物が充填されたボトル容器2と、培地が充填されたボトル容器3とは、一方のボトル容器2が倒立状態で上方に位置し、他方のボトル容器3が正立状態で下方に位置するように、容器軸線方向に沿って上下方向に直列的に配置された状態で保持されている。
【0012】
セッティングパイプ6により倒立状態と正立状態で直列的に保持されているボトル容器2(内容物が充填されたもの)とボトル容器3(培地が充填されたもの)の間には、図3に示すように、両方の容器2,3のキャップ2a,3aのスカート部にわたって耐熱性筒体4が装着され、また、耐熱性筒体4の筒内で両方の容器2,3のキャップ2a,3aの天板部の間に連結具5が配置されている。これに対して、図1に示すように、高周波出力用トランス12は、それから延設される高周波誘導コイル13が耐熱性筒体4の外側に位置して連結具5と対峙するように、支柱11に沿った上下方向の位置が調節されている。
【0013】
さらに、装置1の支柱11の上端には、エアシリンダー14が設置されており、その伸縮ロッド15の先端には加圧パッド16が設けられていて、セッティングパイプ6により正立状態と倒立状態で直列的に保持されている各ボトル容器2,3に対して、倒立状態で上側に位置するボトル容器2の底部を加圧パッド16により約30kgf の力で下方へ押し込むことができるようになっている。
【0014】
なお、本実施例では、各ボトル容器2,3の容器本体は、何れも、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂からなる樹脂製容器であり、また、各ボトル容器2,3のキャップ2a,3aは、何れも、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる樹脂製キャップである。また、耐熱性筒体4は、透明な強化ガラスで形成されており、連結具5は、高周波誘導加熱が可能な鋼材で形成されている。
【0015】
そして、耐熱性筒体4は、筒の内径がキャップ2a,3aのスカート部に嵌挿可能な大きさとなっており、一方、連結具5は、図6(A),(B)に示すように、容器の口部(口頸部)に挿入可能な外径を有する中空筒部51と、中空筒部51の軸線方向中央付近の外面側に形成されるフランジ部52とからなり、フランジ部52の外径は、耐熱性筒体4の筒内に係合可能な大きさとなっている。
【0016】
また、連結具5のフランジ部52には、複数の透孔53が穿たれており、連結具5の中空筒部51の両端部には、切り欠き部54がそれぞれ一ケ所ずつ設けられていて、この切り欠き部54の深さ(中空筒部の軸線方向での長さ)は、対応するそれぞれのキャップ2a,3aの天板部の厚さよりも長くなっている。また、下側のボトル容器3に挿入する中空筒部51の下端側51aは、上側のボトル容器2に挿入する中空筒部51の上端側51bよりも鋭利に形成されている。
【0017】
さらに、ボトル連結装置1には、セッティングパイプ6を支柱11の前方の適正位置に配置するための構造として、装置1の基盤10の上でボルトと長孔とにより前後方向に微調整可能なように平板17が設けられ、この平板17の上に、セッティングパイプ6の外面下方に当接する半円形の内面を備えた固定ストッパーブロック18aが固設され、この固定ストッパーブロック18aの上に、セッティングパイプ6の外面に当接して上方に延びる半円形の内面を備えた固定ストッパー支柱19aが固設され、この固定ストッパー支柱19aの上端に、下方のボトル容器3(培地が充填されたもの)の口頸部に当接するように、先端が半円形で板状の固定ボトルサポート20aが固設されている。
【0018】
また、平板17の上に固定される上記の各部品と対をなすように、半円形の外面を備えた固定ストッパーブロック18aに対して、セッティングパイプ6の外面下方に当接する半円形の内面を備えた移動ストッパーブロック18bが、ピン21を軸として揺動可能なように連結され、この移動ストッパーブロック18bの上に、セッティングパイプ6の外面に当接して上方に延びる半円形の内面を備えた移動ストッパー支柱19bが固設され、この移動ストッパー支柱19bの上端に、下方のボトル容器3(培地が充填されたもの)の口頸部に当接するように、先端が半円形で板状の移動ボトルサポート20bが固設されている。
【0019】
上記のようなボトル連結装置1を使用して実施される本実施例の容器詰め製品の内容物検査方法について以下に説明すると、先ず、耐熱性筒体4の筒内に予め連結具5を装着しておくと共に、一方のボトル容器3(培地が充填されたもの)を正立させて置き、この正立させたボトル容器2のキャップ2aのスカート部に、上方から耐熱性筒体4の下端側を嵌挿してから、他方のボトル容器2(内容物が充填されたもの)を倒立させて持ち、ボトル容器2のキャップ2aに装着された耐熱性筒体4に対して、倒立させたボトル容器2のキャップ2aのスカート部を、上方から耐熱性筒体4の上端側に挿入する。
【0020】
それにより、図3に示すように、倒立状態と正立状態で上下方向に直列的に配置されたボトル容器2(内容物が充填されたもの)とボトル容器3(培地が充填されたもの)とに対して、両方のボトル容器2,3の各キャップ2a,3aのスカート部にわたって嵌挿された状態で耐熱性筒体4が装着され、また、各キャップ2a,3aの天板部の間に挟み込まれた状態で連結具5が配置されることとなる。
【0021】
なお、そのように連結具5が予め装着された耐熱性筒体4を両方のボトル容器2,3の各キャップ2a,3aの間に介装させるに当たって、その前に各キャップ2a,3aの天板部や耐熱性筒体4を予め消毒しておくことが望ましい。消毒の方法については、加熱により蒸散する殺菌剤(過酸化水素水・過酢酸製剤等)を塗布したり、アルコールで拭いたり、アルコールを用いて火炎殺菌する等の適宜の方法が可能である。
【0022】
図3に示すように、両方のボトル容器2,3の間に耐熱性筒体4と連結具5を介装させた状態としてから、図4に示すように、その上からセッティングパイプ6を被せることで、両方のボトル容器2,3の胴部をセッティングパイプ6により保持した状態で、両方のボトル容器2,3は強固に一体化される。このセッティングパイプ6は、一方のボトル容器2の胴部を保持する円筒部と、他方のボトル容器3の胴部を保持する円筒部とが、2本の板で連結されたような形状となるように、合成樹脂等の適宜な材料によって一体的に形成されている。
【0023】
各ボトル容器2,3を一体化しているセッティングパイプ6を、ボトル連結装置1の基盤10上に設けられた平板17の上に載せて、固定ストッパーブロック18aと移動ストッパーブロック18bを開いた状態から閉じることで、各ストッパーブロック18a,18b、各ストッパー支柱19a,19b、及び各ボトルサポート20a,20bにより、装置1の基盤10に対して、平板17により水平方向での位置の微調整が可能な状態で、固定的にセットされることとなる。
【0024】
そのように各ボトル容器2,3を一体化しているセッティングパイプ6をボトル連結装置1に固定的にセットした後で、高周波誘導コイル13が耐熱性筒体4の外側に位置して連結具5と対峙するように高周波出力用トランス12の位置を調節した状態で、高周波出力用トランス12を作動させて、銅製の高周波誘導コイル13に通電させることで、耐熱性筒体4の外側からの高周波誘導加熱により、連結具5を5〜10秒間程度加熱殺菌する。
【0025】
次いで、支柱11の上端に設置されたエアシリンダー14を作動させて加圧パッド16を下方に移動させることで、倒立状態となっている上側のボトル容器2(内容物が充填されたもの)の底部を加圧パッド16によって上方から下方へ押圧すると、上方から押圧されるボトル容器2の圧力で、連結具5の中空筒部51の両端部(51a,51b)は、各ボトル容器2,3のキャップ2a,3aの天板部を貫通して容器口部(口頸部)の内部に挿入されることとなり、その結果、図5に示すような状態となって、連結具5の中空筒部51の筒内を通して各ボトル容器2,3の内部同士が連通される。
【0026】
なお、本実施例では、各ボトル容器2,3のキャップ2a,3aは、何れもポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる樹脂製キャップであるため、高周波誘導加熱により高温となっている連結具5の熱によりキャップ天板部の樹脂が軟化することとなって、連結具5の中空筒部51の端部を軟化したキャップ天板部に容易に貫通させることができる。その際、加圧パッド16により押圧する加圧状態を5〜15秒間程度維持することで、キャップ天板部の軟化していた貫通部分を冷却させて固化させる。
【0027】
そのように連結具5を介して各ボトル容器2,3の内部同士を連通させ、ボトル容器2に充填された内容物をボトル容器3に充填された培地に混合してから、図5に示すような状態のままで、10〜60℃の温度環境で所定の時間だけ保管した後で、容器内の内容物の濁り、炭酸ガスの発生、カビなどを目視することで、ボトル容器2に充填された内容物について、細菌やカビ等の微生物の存在の有無を検査することとなる。
【0028】
上記のような本実施例の容器詰め製品の内容物検査方法によれば、内容物が充填されたボトル容器2の内部と培地が充填されたボトル容器3の内部とを、連結具5を介して連通させていることにより、内容物や培地を外気に曝すことで細菌やカビ等の微生物を混入させるようなことなく、ボトル容器2に充填された内容物に対してボトル容器3に充填された培地を充分に混合させることができる。
【0029】
また、耐熱性筒体4の筒内に設けた連結具5を、耐熱性筒体4の外側から高周波誘導加熱により殺菌していることにより、連結具5やキャップ2a,3aの天板部の付近に細菌等の微生物が侵入するのを耐熱性筒体4により防止できると共に、連結具5に細菌等の微生物が付着していても、これを充分に殺菌できることから、連結具5によるキャップ2a,3aの貫通部分から容器内に細菌等の微生物が侵入するのを確実に防止することができる。
【0030】
なお、本実施例では、連結具5のフランジ部52に複数の透孔53を穿っていることから、高周波誘導加熱により連結具5を加熱殺菌する際に、連結具5の熱容量を少なくして連結具5を素速く昇温させることができると共に、樹脂製のキャップ2a,3aの天板部が溶けて透孔53に流入して固まることで、連結具5を介して両方のボトル容器2,3のキャップ2a,3a同士を強固に結合させることができる。
【0031】
また、本実施例では、連結具5の中空筒部51の両端部について、下側のボトル容器3に挿入する中空筒部51の下端側51aを、上側のボトル容器2に挿入する中空筒部51の上端側51bよりも鋭利に形成していることから、上側のボトル容器2を上方から押圧したときに、上側のボトル容器2よりも先に、下側のボトル容器3で連結具5の中空筒部51がキャップ3aを貫通して挿入されるため、倒立させた上側のボトル容器2のキャップ2aの貫通部分から内容物の液体が溢れ出るような虞はない。
【0032】
また、本実施例では、連結具5の中空筒部51の両端部に切り欠き部54がそれぞれ一ケ所ずつ設けて、この切り欠き部54の深さ(中空筒部の軸線方向での長さ)を、対応するそれぞれのキャップ2a,3aの天板部の厚さよりも長くしていることから、連結具5の中空筒部51の両端部をそれぞれのキャップ2a,3aの天板部に貫通させた際に、それぞれのキャップ2a,3aで、切り欠き部54の所で天板部が切断されずにキャップ側にドアのように開いて残るため、天板部の切断された部分が中空筒体51の通路(筒内)を塞ぐことで各ボトル容器2,3の内部同士の連通を妨げるようなことはない。
【0033】
以上、本発明の容器詰め製品の内容物検査方法の一実施例について説明したが、本発明の方法は、上記のような具体的な実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、容器詰め製品に使用される容器について、上記の実施例では、樹脂製の容器本体とキャップからなるボトル容器であるが、キャップにより密封される容器であれば、金属製のボトル缶や注出口付き袋状容器のような他の容器であっても良く、キャップについても、加熱された連結具の中空筒部による天板部の貫通という点では樹脂製のキャップが好ましいが、天板部を貫通できれば金属製のキャップでも可能である。
【0034】
また、上記の実施例では、内容物が充填された容器が上となり、培地が充填された容器が下となるように、両方の容器を上下方向に直列的に配置しているが、そのような方法に限らず、内容物が充填された容器が下となり、培地が充填された容器が上となるようにしても良いし、両方の容器を上下方向ではなく水平方向に直列的に配置しても良い。また、連結具を介して容器の内部同士を連通させるための装置についても、上記の実施例に示したようなボトル連結装置の具体的な構造に限定されるものではない等、適宜に変更可能なものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の方法を実施するための装置の一例を示す部分断面側面図。
【図2】図1に示した装置のA−A線に沿った部分断面平面図。
【図3】本発明の方法において、内容物が充填された容器と培地が充填された容器とを、両方の容器の間に耐熱性筒体と連結具を介装させた状態で、倒立状態と正立状態で上下方向に直列的に配置した状態を示す部分断面側面図。
【図4】図3に示した状態からセッティングパイプを被せることで両方の容器を強固に一体化した状態を示す部分断面側面図。
【図5】図3に示した状態から一方の容器が押圧されて両方の容器の内部が連結具を介して連通された(内容物と培地が混合された)状態を示す部分断面側面図。
【図6】本発明の方法を実施するために使用する連結具の一例を示す(A)平面図、および(B)縦断面図。
【符号の説明】
【0036】
1 装置(ボトル連結装置)
2 容器(ボトル容器)
2a キャップ
3 容器(ボトル容器)
3a キャップ
4 耐熱性筒体
5 連結具
6 セッティングパイプ
12 高周波出力用トランス
13 高周波誘導コイル
14 エアシリンダー
16 加圧パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物と培地を混合して内容物中の微生物を培養することで微生物の有無を検査するような容器詰め製品の内容物検査方法において、内容物が充填されキャップで密封された容器の内部と、培地が充填されキャップで密封された容器の内部とを、それぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入される各挿入部分を備えた連結具を介して連通させることで、内容物と培地を混合するための方法として、両方の容器のキャップのスカート部に嵌挿可能な耐熱性筒体に対し、その筒内に高周波誘導加熱が可能な材質からなる連結具を装着した状態で、キャップ同士が対向するように容器軸線方向に沿って直列的に配置された両方の容器に対して、両方のキャップのスカート部にわたって耐熱性筒体を装着することで、両方の容器のキャップの天板部の間に連結具を配置して、耐熱性筒体の外側からの高周波誘導加熱により連結具を加熱殺菌してから、両方のキャップ同士が近づくよう両方の容器の少なくとも一方を容器軸線方向に押圧することにより、連結具の各挿入部分がそれぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入されるようにしたことを特徴とする容器詰め製品の内容物検査方法。
【請求項2】
耐熱性筒体の筒内に装着される連結具が、それぞれのキャップの天板部を貫通してそれぞれの容器内に挿入される部分となる中空筒部と、中空筒部の軸線方向中央付近の外面側に形成されるフランジ部とからなり、中空筒部は、ボトル容器の口部に挿入可能な外径を有し、フランジ部は、耐熱性筒体の筒内に係合可能な外径を有することを特徴とする請求項1に記載の容器詰め製品の内容物検査方法。
【請求項3】
一方の容器を正立させた状態で、該容器のキャップに上方から耐熱性筒体の下端側を嵌挿させ、他方の容器を倒立させた状態で、該容器のキャップを上方から耐熱性筒体の上端側に嵌入させて、耐熱性筒体の筒内に装着された連結具を、耐熱性筒体の外側からの高周波誘導加熱により殺菌してから、倒立させた上側の容器の底部を上から下に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰め製品の内容物検査方法。
【請求項4】
連結具の中空筒部の端部で、正立させた下側の容器に挿入される中空筒部の下端側が、倒立させた上側の容器に挿入される中空筒部の上端側よりも鋭利に形成されていて、倒立させた上側の容器の底部を上方から下方に押圧したときに、倒立させた上側の容器よりも先に、正立させた下側の容器で、中空筒部の下端側がキャップの天板部を貫通して容器内に挿入されることを特徴とする請求項3に記載の容器詰め製品の内容物検査方法。
【請求項5】
連結具の中空筒部の両端部のそれぞれに切り欠き部が一ケ所ずつ設けられていて、この切り欠き部の深さが、それぞれの切り欠き部と対向するキャップの天板部の厚さよりも長くなっていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の容器詰め製品の内容物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−300814(P2007−300814A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129965(P2006−129965)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】