説明

容器詰コーヒー飲料

【課題】容器詰コーヒー飲料において、保存温度が常温を超える場合であっても、コーヒー飲料に含まれるクロロゲン酸類の血圧降下作用を維持する。
【解決手段】コーヒー飲料40が個別充填包装容器(缶容器1A)に充填密封された容器詰コーヒー飲料100Aであって、該容器内に、クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体として細孔半径0.7nm以下の細孔の容量が細孔容積全体の10%以上の多孔質吸着体が封入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶、PETボトル等に充填密封されたコーヒー飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー飲料には、血圧降下作用、抗酸化作用を発揮するクロロゲン酸類と、その血圧降下作用を阻害するヒドロキシヒドロキノンが含有されている。そこで、コーヒー飲料中のヒドロキシヒドロキノンを活性炭で選択的に吸着除去することにより、コーヒー飲料中のクロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量を0.1質量%未満に低減させ、コーヒー飲料に血圧降下作用をもたせることが提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】WO2005/072533A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、コーヒー飲料中のクロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量を低減させても、それを保存する温度環境によって、ヒドロキシヒドロキノンが増加したり、クロロゲン酸類が減少したりすることにより、クロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量が増加する。この現象は、活性炭でヒドロキシヒドロキノン含有量を低減させたコーヒー飲料を、酸素非透過性容器に保存した場合にも生じる。
【0005】
具体的には、ヒドロキシヒドロキノン含有量を低減させたコーヒー飲料を室温で保存すると、クロロゲン酸類の含有量は低減しないが、温度50℃で保存するとヒドロキシヒドロキノンが増加し、クロロゲン酸類が低減することにより、クロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量が増加して血圧効果作用が低下する。このため、コーヒー飲料が缶コーヒー等の容器詰飲料として提供される場合には、輸送中や倉庫内での温度上昇によってヒドロキシヒドロキノンの増加とクロロゲン酸類の減少が生じ、血圧降下作用が低下することが問題となり、特に、コーヒー飲料がホットベンダーで提供される場合には、血圧降下作用の低下が顕著となる。
【0006】
これに対し、本発明は、容器詰コーヒー飲料の保存温度が常温を超える場合であっても、コーヒー飲料において、クロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量を低く抑制し、クロロゲン酸類の血圧降下作用が最大限発揮されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、コーヒー飲料を個別充填包装容器に充填密封する場合に、その容器内に特定の細孔径分布を有する多孔質吸着体を封入しておくと、その多孔質吸着体がクロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去すること、そのためコーヒー飲料の保存温度が流通又は保管時に上昇しても、コーヒー飲料におけるクロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量を低く抑えることができ、クロロゲン酸類の血圧降下作用を維持できること、さらに、そのような多孔質吸着体の封入態様を特定のものとすることにより、コーヒー飲料を飲む前に多孔質吸着体を除去することが不要となり、従前通り容器から直接的にコーヒー飲料を飲めることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、コーヒー飲料が個別充填包装容器に充填密封された容器詰コーヒー飲料であって、該容器内に、クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体として細孔半径0.7nm以下の細孔の容量が細孔容積全体の10%以上の多孔質吸着体が封入されている容器詰コーヒー飲料を提供する。
【0009】
特に、多孔質吸着体が、通液性材料によって少なくとも容器口部から画されている態様や、粉粒状の多孔質吸着体を固定したシート状通液性材料や柱状又は板状に成型された多孔質吸着体が、容器内に掛止されている態様を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器詰コーヒー飲料によれば、その容器内に、クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体が封入されているので、流通又は保管時にコーヒー飲料の保存温度が常温を超えても、特に、ホットベンダーによって50℃以上で数週間以上保存されても、コーヒー飲料中のクロロゲン酸類の血圧降下作用を最大限維持することができる。
【0011】
さらに、本発明の容器詰コーヒー飲料において、多孔質吸着体が、通液性材料によって少なくとも容器口部から画されて封入されている態様、粉粒状の多孔質吸着体を固定したシート状通液性材料が容器内に掛止されている態様、柱状又は板状に成型された多孔質吸着体が容器内に掛止されている態様によれば、多孔質吸着体がコーヒー飲料中に分散しても容器口部から漏れ出ることはない。したがって、コーヒー飲料を飲む前に、容器内に封入されている多孔質吸着体を除去する操作は不要であり、従前の容器詰コーヒー飲料と同様に、容器から直接的にコーヒー飲料を飲むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の容器詰コーヒー飲料は、コーヒー飲料を個別充填包装容器に充填密封したもので、その容器内に、コーヒー飲料の他に、クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体を封入したものである。
【0013】
ここで、個別充填包装容器としては、DI缶等の2ピース缶、溶接缶等の3ピース缶、リシール缶等の金属容器、ガラス瓶、PETボトル、パウチ袋、ガゼット袋等の包装袋、カップ状容器、所謂牛乳パック等のような紙パック容器等を挙げることができる。
【0014】
コーヒー飲料としては、コーヒー抽出液100gあたり、焙煎コーヒー豆を、生豆換算で1g以上、好ましくは2.5g以上、さらに好ましくは5g以上使用して常法により抽出したコーヒー豆抽出物を主原料とし、それに必要により、糖分、乳成分、抗酸化剤、pH調整剤、乳化剤、香料等を添加して調製したものを使用することができる。このうち、糖分としては、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブトウ糖液、糖アルコール等を使用することができ、乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、練乳等を使用することができる。
【0015】
なお、コーヒー飲料に用いるコーヒー豆の種類に特に制限はなく、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン等を使用することができ、コーヒー豆種としては、アラビア種、ロブスタ種等を用いることができる。また、コーヒー豆の焙煎方法、焙煎温度、焙煎環境等特に制限はないが、好ましい焙煎温度は100〜300℃、特に150〜250℃であり、好ましい焙煎方法としては、直火式、熱風式、半熱風式、回転ドラムを有する方式等がある。風味の点からは、焙煎後、1時間以内に0〜100℃、特に10〜60℃に冷却することが好ましい。
【0016】
コーヒー液の抽出方法も、ボイリング式、エスプエッソ式、サイホン式、ドリップ式等常法によることができ、例えば、焙煎コーヒー豆又はその粉砕物を、水〜熱水(0〜100℃)を用いて10秒〜30分で抽出することができる。
【0017】
また、血圧降下作用の点から、コーヒー飲料としては、クロロゲン酸類を0.01〜1質量%含有するものが好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%、特に0.1〜1質量%含有するものが好ましい。
【0018】
さらに、血圧降下作用の点から、容器詰コーヒー飲料が生産ラインで製造された後、一般ユーザーが飲む時点で、クロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量が、0.1質量%未満となるように、好ましくは0.08質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.03質量%以下となるようにする。ヒドロキシヒドロキノン含有量は0.00%でもよい。このようにクロロゲン酸含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量を一般ユーザーが飲む時点で上記質量%とするためには、個別充填包装容器に密封充填する前の時点においても、この含有量の比を上記の範囲とすることが好ましい。さらにコーヒー飲料が個別充填包装容器に充填密封された後60℃以上の高温下に置かれる場合には、密封充填前の時点で、0.05質量%以下が好ましく、0.03質量%以下にすることがより好ましい。
【0019】
通常、抽出直後のコーヒー液において、クロロゲン酸類含有量に対するヒドロキシヒドロキノン含有量は1%程度であるから、密封充填の時点でこれを0.05質量%以下にするには、抽出直後のコーヒー液を、クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体によって処理しておくことが好ましい。かかる処理をしない場合には、充填する容器内に多量の多孔質吸着体を入れておくことが必要となる場合がある。
【0020】
クロロゲン酸類としては、(i)3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸等のモノカフェオイルキナ酸、(ii)3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸等のフェルラキナ酸、(iii)3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸等のジカフェオイルキナ酸等を挙げることができ、本発明のコーヒー飲料はこれらの1種又は2種以上を含有することができる。
【0021】
クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体としては、活性炭、逆相担体等を挙げることができ、なかでも、細孔半径について、0.7nm以下の細孔の容量が細孔容積全体の10%以上、更には30%以上、特に50%以上であり、細孔容量が0.5cm3/g以上、更には0.6cm3/g以上の活性炭が好ましい。ここで細孔半径は、文献(Colloid and Interface Sc.,26,46(1968))記載のMP法により測定される値である。0.7nm以下の細孔の容量が細孔容積全体の10%未満であると、ヒドロキシヒドロキノンの他にクロロゲン酸類も吸着されやすい。また、細孔容量が0.5cm3/g未満でもヒドロキシヒドロキノンが吸着されにくい。
【0022】
このような細孔半径を有する多孔質吸着体としては、市販品を使用することができ、例えば、活性炭としては、EHSS、WH2C8(日本エンバイロシステムズ)、白鷺WH2c(日本エンバイロケミカルズ)、太閤CW(二村化学)、クラレコールGW(クラレケミカル)等を使用することができる。また、逆相担体としては、YMC・ODS−A(YMC)、C18(GLサイエンス)等を使用することができる。これらは、必要に応じて、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
多孔質吸着体の成形態様は、粉粒体、所定形状の成型体等とすることができ、さらに、粉粒体の多孔質吸着体を不織布等に固定したシート状としてもよい。
【0024】
多孔質吸着体の個別充填包装容器への封入態様は、容器詰コーヒー飲料を開封して容器口部からコーヒー飲料を注出する際に、多孔質吸着体が不要に容器口部から漏れ出ないようにする。このためには、例えば、不織布、織布、メッシュ、多孔フィルム、連通孔を備えるスポンジ等の通液性材料によって、容器内に封入した多孔質吸着体が少なくとも容器口部から画されるようにする。より具体的には、容器内に粉粒状の多孔質吸着体を封入した場合に、容器口部形成域(キャップを外すことにより、あるいは容器表面の一部を破断することにより容器口部となる部分)の近傍にシート状の通液性材料を張ることにより、容器内に封入した多孔質吸着体が、容器口部の開口後に容器口部から漏出することを防止したり、袋状に成形した通液性材料に粉粒状の多孔質吸着体を収容し、それを容器内に掛止することにより多孔質吸着体が容器口部から漏出することを防止したり、シート状通液性材料に粉粒状の多孔質吸着体を固定し、そのシート状通液性材料を容器内に掛止することにより多孔質吸着体の漏出を防止したりする。
【0025】
また、多孔質吸着体としては、柱状、板状等の所定形状に成型したものを使用してもよく、そのような成型体を容器内に掛止することにより多孔質吸着体の漏出を防止してもよい。この場合には、必ずしも通液性材料は使用しなくてもよいが、流通時の振動等により容器内で多孔質吸着体の成型体が崩れた場合に、その破断片が容器口部から導出することを防止するため、容器口部形成域の近傍にシート状の通液性材料を張ったり、多孔質吸着体の成型体を通液性材料で覆ったりすることが好ましい。
【0026】
多孔質吸着体の個別充填包装容器への封入量は、容器の内容積、多孔質吸着体の種類、細孔半径の大きさ、容器への封入態様によって、適宜定めることができる。例えば、細孔半径0.7nm以下の細孔の容量が細孔容積全体の10%以上の活性炭を、ペレット状(固まり状)としたもの、又は粉粒状の活性炭を袋状の通液性材料に収容したもの、又は粉粒状の活性炭を不織布等の通液性材料に固定した活性炭シートを、内容積200〜250mLの容器内でコーヒー飲料に浸漬させ、封入する場合、コーヒー飲料200gに対して、活性炭0.4g〜1.0gを分散させることが好ましい。
【0027】
次に、本発明の容器詰コーヒー飲料を、図面を参照しつつ、より具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0028】
図1(a)に示す容器詰コーヒー飲料100Aは、DI缶等の缶容器1Aにコーヒー飲料40を充填密封したものであって、缶容器1Aの缶蓋の容器口部形成域2近傍にシート状通液性材料20を張り、容器口部形成域2と反対側の缶内に粒状活性炭30を分散させたものである。シート状通液性材料20を容器口部形成域2近傍に張る方法としては、容器詰コーヒー飲料100Aの製造工程において、缶胴3内に粒状活性炭30とコーヒー飲料40を充填した後、予め缶蓋4の内面周縁部にシート状通液性材料20をエポキシ樹脂等により貼着しておく。
【0029】
図1(b)に示すように、この容器詰コーヒー飲料100Aでは、容器口部の開口機構が、缶蓋4上のプルタブ5を引き起こすことにより、スコア線に囲まれた舌片状の容器口部形成域2が押し下げられて開口するものであるため、シート状通液性材料20を張る位置は、押し下げられた舌片状部分がシート状通液性材料20とぶつからないように缶蓋4の内表面から離しておく。
【0030】
シート状通液性材料20としては、粉漏れ防止の点からPET,PBT、PP等の合成繊維、パルプ繊維などを素材とした、生地の目の開孔寸法20〜50μmの織物、編物、網、不織布等が好ましい。
【0031】
この容器詰コーヒー飲料100Aによれば、缶内に広く粒状活性炭30を分散させるので、活性炭のヒドロキシヒドロキノンの吸着効率を高めることができ、かつ、容器口部形成域2を開けてコーヒー飲料40を飲む際に、粒状活性炭30がコーヒー飲料40に混ざって漏れ出ることもない。
【0032】
このように容器口部形成域2の近傍にシート状通液性材料20を張り、容器内で活性炭を分散させる方法は、個別充填包装容器として、缶容器以外に、ペットボトル等を使用した場合にも用いることができる。
【0033】
図2に示す容器詰コーヒー飲料100Bは、DI缶等の缶容器1Aにコーヒー飲料40を充填密封したものであって、缶底7近傍の缶胴3内面にリブ6を突出させ、そのリブ6と缶底7との間に活性炭収容袋31を嵌め込み、掛止させたものである。ここで、活性炭収容袋31は、シート状通液性材料を袋状に成形し、その中に粒状活性炭30を充填し、シールしたものである。活性炭収容袋31が、缶底7とリブ6との間から外れないようにするため、袋の外周に保形性のある外枠を設けて缶底7とリブ6との間に固定したり、又は袋の外周に弾性部材で形成された外枠を設けて缶底7とリブ6との間に弾発的に保持させることが好ましい。
【0034】
また、このように活性炭収容袋31を缶底7とリブ6との間に嵌め込む方法としては、容器詰コーヒー飲料100Bの製造工程において、缶胴3の底部に活性炭収容袋31を置いた後、しごき加工によりリブ6を内側に突出させる。
【0035】
この容器詰コーヒー飲料100Bの変形態様としては、活性炭収容袋31に代えて、缶底7にちょうど嵌る大きさに打ち抜いた活性炭シートを嵌め込んでもよく、そのような大きさに成形した活性炭成型体を嵌め込んでもよい。
【0036】
図3に示す容器詰コーヒー飲料100Cは、図2の容器詰コーヒー飲料100Bと同様に、缶胴3内面に突出させたリブ6の缶底7側に目の粗いメッシュ状又はすのこ状の通液性材料21を嵌め込み、その缶底7側に活性炭収容袋31を配置したものである。
【0037】
この容器詰コーヒー飲料100Cによれば、活性炭収容袋31の大きさが缶底7にちょうど嵌る大きさではなくとも、メッシュ状又はすのこ状の通液性材料21により、活性炭収容袋31が容器口部側に移動することが妨げられるので、コーヒー飲料40を飲む際に活性炭収容袋31が、飲み口となる容器口部を塞ぐことを確実に防止することができる。
【0038】
この容器詰コーヒー飲料100Cの変形態様としては、活性炭収容袋31に代えて活性炭シートあるいは活性炭成型体を缶底7に配置してもよい。
【0039】
缶底7側にメッシュ状又はすのこ状の通液性材料21を配置する方法としては、エポキシ樹脂等による接着などが考えられる。
【0040】
図4に示す容器詰コーヒー飲料100Dは、缶容器1Aの缶胴3内部をメッシュ状又はすのこ状の通液性材料21で長手方向に、容器口部形成域2を含む領域と容器口部形成域2を含まない領域の二室に区切り、容器口部形成域2を含まない方の室に活性炭収容袋31を入れたものである。活性炭収容袋31に代えて、活性炭シートあるいは活性炭成型体を入れてもよい。
【0041】
この場合、缶胴内部を長手方向に二室に区切るメッシュ状又はすのこ状の通液性材料21としては、PET,PBT、PP等の合成繊維によるメッシュ状又は合成樹脂製のすのこ状のものが好ましく、また、その取り付け方は、エポキシ樹脂等によって接着するほか、保形性のある外枠を設けて缶内部の係止部に係止する方法等が好ましい。
【0042】
図5に示す容器詰コーヒー飲料100Eは、缶容器1Aの缶胴3内部に、筒状に成形した活性炭シート32を入れ、コーヒー飲料40中に浸漬したものである。この場合、筒状に成形した活性炭シートの径は缶胴3の内径よりも若干小さい程度とし、活性炭シート32を缶胴3の内壁に沿って起立させることが好ましい。活性炭シート32としては、コーヒー飲料に浸漬した状態でも缶容器1A内で折れ曲がることなく、缶胴3の内壁に沿って起立した状態を維持できる剛直なもので、曲げに対して弾性を有するものが好ましく、例えば、活性炭をウレタンフォームにエポキシ樹脂などで吸着させた物などを使用することが好ましい。
【0043】
この容器詰コーヒー飲料100Eの変形態様としては、筒状に成形した活性炭シート32に代えて、平板状の活性炭シートを筒状に丸めて容器内に挿入し、容器内で活性炭シートが巻き戻され、缶胴3の内壁に沿って起立するようにしてもよい。
【0044】
このように活性炭シートを筒状に成形し、あるいは筒状に丸めて容器内に挿入し、缶胴3の内壁に沿って活性炭シートを起立させる手法によれば、缶容器1A自体は従前のものをそのまま使用しつつ、コーヒー飲料40中に活性炭を封入することが可能となる。
【0045】
また、このように活性炭シートを容器内壁に沿わせて起立させる方法は、缶容器に限らず、瓶、PETボトル、パウチ袋、ガゼット袋等の包装袋、カップ状容器、牛乳パック等の他の容器でも適用することができる。
【0046】
例えば、図6(a)に示すように、活性炭シート32を筒状に丸め、容器口部2’からPETボトル1Bに挿入すると、PETボトル1B内では、同図(b)に示すように、活性炭シート32は内壁に沿って広がる。そこで、コーヒー飲料40を充填してキャップ8を嵌め、密封し、容器詰コーヒー飲料100Fとする。これを開封し、PETボトル1Bを傾けてコーヒー飲料40を容器口部2’から注出するとき、PETボトル1Bの内径が容器口部2’に向かって細くなっているため、同図(c)に示すように、活性炭シート32は容器口部近傍の容器内壁にひっかかり、容器口部2’の方向にそれ以上は移動しない。したがって、活性炭シート32がコーヒー飲料40の注出の妨げになることはない。
【実施例】
【0047】
実施例1、比較例1(容器詰コーヒー飲料の製造)
ペーパーフィルター(山中産業(株)、ティーロードエルパックPER−25)から三方シール袋を作製し(大きさ:一辺30mmの矩形)、その中に微粉状活性炭(日本エンバイドシステムズ(株)、EHSS)を0.2g、0.4g、又は0.6g充填してシールして活性炭収容袋を作製した。
【0048】
一方、コーヒー飲料として、コーヒー抽出液を次のように得た。
【0049】
焙煎コーヒー豆の粉砕物から熱水(90〜100℃)を用いて抽出し、それを活性炭処理してクロロゲン酸類に対するヒドロキシヒドロキノンの比(HHQ/CGA)を5/10000以下にし、そのpHを重曹を用いて6.4に調整した(ミルク入りコーヒーのpHを想定)。
【0050】
得られたコーヒー抽出液200mLを直ちに2ピース缶の缶胴に、活性炭収容袋と共に入れ、缶蓋を閉めレトルト殺菌(128℃、11分)を行い、実施例1の容器詰コーヒー飲料とした。
【0051】
比較例1として、缶容器に活性炭収容袋を入れない以外は、実施例1と同様にして容器詰コーヒー飲料を製造した。
【0052】
実施例2、比較例2(容器詰コーヒー飲料の製造)
微粉状活性炭(日本エンバイドシステムズ(株)、EHSS)に代えて粒状活性炭(日本エンバイドシステムズ(株)、WH2C8)を使用し、実施例1と同様に容器詰コーヒー飲料を製造した。
【0053】
評価(保存テスト)
20℃又は60℃で所定期間保存し、コーヒー抽出液中に含まれるクロロゲン酸類とヒドロキシヒドロキノンの定量を、WO2005/072533A1の実施例に記載の方法によりHPLCで行った(分析機器:島津製作所、カラム Inertsil ODS-2 内径4.6mm、サンプル注入量10μL、流量 1.0mL/min、クロロゲン酸類の検出 UV325nm、ヒドロキシヒドロキノンの検出 UV290nm、溶離液A 0.05M酢酸3%アセトニトリル溶液、溶離液B 0.05M酢酸100%アセトニトリル溶液)。
【0054】
結果を図7(実施例1)、図8(実施例2)のグラフに示す。
【0055】
これらのグラフから、実施例1、2の容器詰コーヒー飲料によれば、20℃で保存した場合にも、60℃で保存した場合にも、クロロゲン酸類に対するヒドロキシヒドロキノンの含有量を増加させないようにすることができる。従って、十分な血圧降下作用を得るのに必要な0.03質量%以下にすることが可能になる。特に、活性炭収容袋に充填した活性炭量が0.4g以上であると、保存期間2週間でクロロゲン酸類に対するヒドロキシヒドロキノンの含有量を0.03質量%以下にでき、それを保存期間4週間後にも維持できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、缶、PETボトル等に充填密封された容器詰コーヒー飲料に血圧降下作用を付与するものであり、容器詰コーヒー飲料の販売促進に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の容器詰コーヒー飲料100Aの密封状態(a)と開口状態(b)の断面図である。
【図2】本発明の容器詰コーヒー飲料100Bの断面図である。
【図3】本発明の容器詰コーヒー飲料100Cの断面図である。
【図4】本発明の容器詰コーヒー飲料100Dの断面図である。
【図5】本発明の容器詰コーヒー飲料100Eの断面図である。
【図6】本発明の容器詰コーヒー飲料100Fにおける活性炭シートの作用の説明図である。
【図7】実施例1、比較例1の結果のグラフである。
【図8】実施例2、比較例2の結果のブラフである。
【符号の説明】
【0058】
1A 缶容器
1B PETボトル
2 容器口部形成域
2’ 容器口部
3 缶胴
4 缶蓋
5 プルタブ
6 リブ
7 缶底
8 キャップ
20 シート状通液性材料
21 メッシュ状又はすのこ状の通液性材料
30 粒状活性炭
31 活性炭収容袋
32 活性炭シート
40 コーヒー飲料
100A、100B、100C、100D、100E、100F 容器詰コーヒー飲料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー飲料が個別充填包装容器に充填密封された容器詰コーヒー飲料であって、該容器内に、クロロゲン酸類に対してヒドロキシヒドロキノンを選択的に吸着除去する多孔質吸着体として細孔半径0.7nm以下の細孔の容量が細孔容積全体の10%以上の多孔質吸着体が封入されている容器詰コーヒー飲料。
【請求項2】
個別充填包装容器が、缶、PETボトル又は包装袋であって、前記多孔質吸着体が活性炭である請求項1記載の容器詰コーヒー飲料。
【請求項3】
多孔質吸着体が、通液性材料によって少なくとも容器口部から画されている請求項1又は2記載の容器詰コーヒー飲料。
【請求項4】
シート状通液性材料が容器内の容器口部形成域近傍に張られ、該シート状通液性材料の容器口部形成域と反対側で、粉粒状または塊状の多孔質吸着体がコーヒー飲料中に分散している請求項3記載の容器詰コーヒー飲料。
【請求項5】
粉粒状の多孔質吸着体が袋状通液性材料に収容され、その袋状通液性材料が容器内に掛止されている請求項3記載の容器詰コーヒー飲料。
【請求項6】
粉粒状の多孔質吸着体がシート状通液性材料に固定され、そのシート状通液性材料が、容器内に掛止されている請求項3記載の容器詰コーヒー飲料。
【請求項7】
柱状又は板状に成型された多孔質吸着体が、容器内に掛止されている請求項1又は2記載の容器詰コーヒー飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−43237(P2008−43237A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220674(P2006−220674)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】