説明

容器

【課題】横向きにしたり振ったりした場合にも、内容物が漏れ出したりすることがなく、かつ、内容物を容易かつ確実に供給することが可能な容器、さらには、固形物を含む液体から固形物を分離して供給できる容器を提供する。
【解決手段】(a)容器本体1と、(b)容器本体1内の内容物を供給するための内容物供給ノズル12を備えた中蓋11と、(c)中蓋11と当接して、中蓋11を容器本体1の開口部2に押圧する中蓋押圧部23とを有する外蓋本体24と、中蓋11の内容物供給ノズル12の先端開口部13を封止する封止部25を備え、折り取ることにより封止部を、内容物供給ノズル12の先端開口部13から取り除いて、封止部25による先端開口部13の封止状態を解除できるように構成された封止部付きブリッジ部30とを有する外蓋21とを備えた構成とする。
中蓋11には内容物(混合体)を通過させてろ過するフィルタ14を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、容器に関し、詳しくは、固形物を含む液体や固形物を含まない液体などを内容物として収容し、かつ、収容した内容物を供給することができるように構成された、臨床検査用の検査キットや化粧品の収納容器などの用途に用いることが可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、便中の毒素検査のための検査キットとして、例えば、図9,図10,図11(a),(b)に示すような検査キットが用いられている。
【0003】
この検査キットは、図9,図10,図11(a),(b)に示すように、検体を収容し、希釈液で希釈するための容器として機能するとともに、一方側の蓋(すなわち、下記のフィルタ側の蓋)としても機能するキャップ・容器51と、一端側のフィルタ保持部55aには検体を希釈液で薄めた希釈混合液52をろ過するためのフィルタ53が配設され、他端側にはフィルタ53によりろ過された希釈混合液52を滴下するためのノズル部54が設けられた滴下用チューブ55と、滴下用チューブ55のノズル部54側の蓋として機能するノズル側キャップ56とを備えている。
【0004】
そして、この検査キットを使用するにあたっては、図10に示すように、キャップ・容器51に検体を希釈液で薄めた希釈混合液52が収容された状態で、図11(a)に示すように、滴下用チューブ55のフィルタ53が配設された側をキャップ・容器51の開口部に挿入し、さらに、図11(b)に示すように、滴下用チューブ55をいっぱいにまで押し込んで、希釈混合液52を、フィルタ53を通過させることによりろ過して、滴下用チューブ55内に充填する。
【0005】
その後、図12に示すように、滴下用チューブ55の胴体部分55bを指で押して撓ませる(たわませる)ことにより、滴下用チューブ55内のろ過された希釈混合液52を、試験液を含浸させたプレート61上に滴下して、毒素の有無(あるいは多少)を検査する。
【0006】
上述のようにして検査キットを用いることにより、便中の毒素検査を効率よく行うことが可能になる。
【0007】
しかしながら、上記従来の検査キットを用いる場合、滴下用チューブ55のフィルタ53が配設された側をキャップ・容器51の開口部に挿入し、滴下用チューブ55を一杯にまで押し込んで、希釈混合液52を、フィルタ53を通過させてろ過する際に大きな力を必要とし、例えば女性などの非力な取扱作業者が操作する場合には、確実に操作することが必ずしも容易ではないという問題点がある。
【0008】
また、上述の検査キットの場合、希釈混合液52を、フィルタ53を通過させることによりろ過して、滴下用チューブ55内に充填した状態において、滴下用チューブ55のノズル54の先端が封止されておらず、開放状態であるため、保存することが困難であるという問題点がある。
また、滴下用チューブ55のノズル54が封止されていないため、検査キットを振ったり、横向きにしたりすると内部の希釈混合液52が漏れ出すおそれがあるため、希釈混合液52を十分に混合しにくく、検査に支障をきたしたり、衛生上の問題を生じたりするおそれがある。
【0009】
さらに、滴下用チューブ55の胴体部分55bを指で押さえてたわませることにより滴下用チューブ55内の希釈混合液52を滴下させる際に、フィルタ保持部55aが邪魔になって操作がしにくく、取扱作業者が、特に手の大きい男性であるような場合には、確実に操作することが必ずしも容易ではないという問題点がある。
【0010】
また、フィルタ保持部55aの構造や、滴下用チューブ55のノズル側キャップ56との係合部55cの構造などが複雑で、製造コストを低減することが容易ではないという問題点がある。
【0011】
また、その他の従来の検体採取器具セットとして、図13(a)に示すように、検体採取部61を先端に備えた採取部支持スティック部62と、採取部支持スティック部62の基端側を支持したキャップ63と、有底で筒状となっていて先端の口元部がキャップ63で閉塞される容器64と、容器64内の底部に収容された保存培地65と、延長筒部66を有する検体採取器具セットが提案されている。すなわち、この検体採取器具セットは、検体採取部の使用前においては、該検体採取部61が容器64内の空間部に存在し、検体採取部61が検体を採取した後においては、図13(b)に示すように、延長筒部66を取り除くことにより、該検体採取部61が保存培地65内に挿入されるように構成されている(特許文献1)。
【0012】
そして、この検体採取器具セットによれば、保存培地65を収容した容器64内の非汚染性を利用し、検体採取部61を容器64内に入れて汚染を防ぎ、しかも検体採取部61に検体を採取する前は保存培地65に触れず、検体を採取した後は検体採取部61を保存培地65内に挿入することができるため、検体採取部61や保存培地65の汚染を防止することが可能になる。
【0013】
しかしながら、この検体採取器具セットは、検体採取後に、検体採取部に付着した検体を直接に保存培地に挿入して保存するものであり、液体を取り扱う用途には不向きである。
【0014】
さらに、取り扱う物質が固形物を含む液体である場合において、固形物を除去した状態で供給することが必要になるような用途(例えば、便などの固形物を含む検体に希釈液を加えた液体を、ろ過して固形物を含まない状態で供給して検体中の毒素の有無や濃度などを検査するような用途)にも適用することができないのが実情である。
【特許文献1】特開2000−342591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、固形物を含む液体や固形物を含まない液体を内容物として収容することが可能で、横向きにしたり振ったりした場合にも、内容物が漏れ出したりすることがなく、かつ、内容物を容易かつ確実に供給することが可能な容器、さらには、固形物を含む液体から固形物を分離した状態で供給することが可能な容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)の容器は、
(a)内容物の出し入れを行う開口部を備えた容器本体と、
(b)前記容器本体の開口部に取り付けられる中蓋であって、先端に開口部(以下「先端開口部」)を有する内容物供給ノズルを備えた中蓋と、
(c)前記容器本体と係合して、前記中蓋を前記容器本体の開口部に固定する外蓋であって、
前記容器本体と係合する係合部と、前記中蓋と当接して、前記中蓋を前記容器本体の開口部に押圧する中蓋押圧部とを有する外蓋本体と、
前記中蓋の前記内容物供給ノズルの先端開口部を封止する封止部を備え、折り取ることにより前記封止部を、前記内容物供給ノズルの先端開口部から取り除いて、前記封止部による前記内容物供給ノズルの先端開口部の封止状態を解除することができるように構成された封止部付きブリッジ部と
を有する外蓋と
を備えていることを特徴としている。
【0017】
また、請求項2の容器は、請求項1記載の容器の構成において、前記外蓋に配設された封止部付きブリッジ部には、折り取ることを容易にするための予備加工が施されていることを特徴としている。
【0018】
また、請求項3の容器は、請求項2記載の容器の構成において、前記封止部付きブリッジ部を折り取ることを容易にするための予備加工として、前記封止部付きブリッジ部の幅方向中央部において前記外蓋本体につながった接続部と、前記接続部の両端側の前記外蓋本体につながっていない部分に配設された突起部とを備えた構造を設ける加工が施されており、前記突起部を支点として前記接続部に応力が加わるように前記封止部付きブリッジ部を変形させることにより、封止部付きブリッジ部が前記接続部において切断されるように構成されていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項4の容器は、請求項1〜3のいずれかに記載の容器の構成において、前記中蓋には内容物を通過させてろ過するフィルタが配設されており、前記フィルタによりろ過された内容物が前記内容物供給ノズルから供給されるように構成されていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項5の容器は、請求項1〜4のいずれかに記載の容器の構成において、前記容器本体が透明または半透明で、内容物の量を目視で確認できるように構成されていることを特徴としている。
【0021】
また、請求項6の容器は、請求項1〜5のいずれかに記載の容器の構成において、前記容器本体が可撓性を有する材料を用いて形成されており、押圧して変形させることにより、内容物を前記内容物供給ノズルから供給することができるように構成されていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項7の容器は、請求項1〜6のいずれかに記載の容器の構成において、前記容器本体に収容される内容物が、固形物を含む検体と希釈液の混合体であることを特徴としている。
【0023】
また、請求項8の容器は、請求項7記載の容器の構成において、前記検体が便であって、便中の毒素検出の用途に用いられるものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本願発明(請求項1)の容器は、(a)内容物の出し入れを行う開口部を備えた容器本体と、(b)容器本体の開口部に取り付けられる中蓋であって、先端開口部を有する内容物供給ノズルを備えた中蓋と、(c)容器本体と係合して、中蓋を容器本体の開口部に固定する外蓋であって、容器本体と係合する係合部と、中蓋と当接して、中蓋を容器本体の開口部に押圧する中蓋押圧部とを有する外蓋本体と、中蓋の内容物供給ノズルの先端開口部を封止する封止部を備え、折り取ることにより封止部を、内容物供給ノズルの先端開口部から取り除いて、封止部による内容物供給ノズルの先端開口部の封止状態を解除することができるように構成された封止部付きブリッジ部とを有する外蓋とを備えているので、固形物を含む液体や固形物を含まない液体などの種々の内容物を収容することが可能で、横向きにしたり振ったりした場合にも、内容物が漏れ出したりすることがなく、かつ、内容物を容易かつ確実に供給することが可能な容器を提供することが可能になる。
すなわち、容器本体の開口部に取り付けられる中蓋と、中蓋の内容物供給ノズルの先端開口部を封止する封止部を有する封止部付きブリッジ部を備えた外蓋とにより、容器本体の開口部が封止されるため、容器本体内に内容物を収容した状態で、容器本体を密閉することが可能になり、保存性を確保し、内容物の漏れ出しを防止することが可能になるとともに、封止部付きブリッジ部を折り取ることにより、封止部を、内容物供給ノズルの先端開口部から取り除いて、封止部による内容物供給ノズルの先端開口部の封止状態を解除することにより、容器本体内に収容された内容物を、内容物供給ノズルの先端開口部から容易かつ確実に供給することが可能になる。
なお、封止部付きブリッジ部を折り取った後も、中蓋が外蓋本体により、容器本体に確実に接続固定された状態が保持されるため、例えば、容器本体を強く押圧することが必要になった場合や、不用意に容器本体に圧力を加えてしまった場合などにおいても、中蓋が容器本体から外れてしまうことがなく、容器本体内に収容された内容物が、内容物供給ノズルの先端開口部以外から外部に漏れ出すことを防止して、取扱作業者への付着や周囲環境の汚染を確実に防止することができる。
なお、本願発明の容器において、封止部付きブリッジ部は工具や治具などを用いることなく折り取ることができるように構成されているが、例えば、はさみやナイフなどの工具や治具を用いて切り取ることも可能である。
【0025】
また、請求項2の容器のように、請求項1記載の容器の構成において、外蓋に配設された封止部付きブリッジ部に、折り取ることを容易にするための予備加工を施すようにした場合、予備加工を施した部分において、封止部付きブリッジ部を容易かつ確実に折り取って、封止部付きブリッジ部に設けられた封止部により封止されていた内容物供給ノズルの先端開口部の封止状態を解除し、容器本体内に収容されていた内容物を内容物供給ノズルの先端開口部から確実に供給することが可能になる。
【0026】
また、請求項3の容器のように、請求項2記載の容器の構成において、封止部付きブリッジ部を折り取ることを容易にするための予備加工として、ブリッジの幅方向中央部において外蓋本体につながった接続部と、接続部の両端側の外蓋本体につながっていない部分に配設された突起部とを備えた構造を設ける加工を施すことにより、突起部を支点として接続部に応力が加わるように封止部付きブリッジ部を変形させることにより、封止部付きブリッジ部を接続部において容易かつ確実に切断することが可能になり、本願発明をより実効あらしめることが可能になる。
なお、封止部付きブリッジ部に設ける接続部や突起部の形状に特別の制約はないが、接続部が切断されるまでに、突起部が潰れてしまって、封止部付きブリッジ部を折り取ることができなくならないようにするためには、突起部にある程度の強度を持たせることが可能な形状とすることが望ましい。
【0027】
また、請求項4の容器のように、請求項1〜3のいずれかに記載の容器の構成において、中蓋に内容物を通過させてろ過するフィルタを配設し、フィルタによりろ過された内容物が内容物供給ノズルから供給されるようにした場合、内容物が固形物を含み、該固形物が除去された状態で内容物が供給されることが望ましい用途に確実に対応することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0028】
また、請求項5の容器のように、請求項1〜4のいずれかに記載の容器の構成において、容器本体を透明または半透明の材料で構成した場合、内容物の量を目視で確認することが可能になり、本体容器への内容物の収容、本体容器からの内容物の供給の作業性を向上させることが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0029】
また、請求項6の容器のように、請求項1〜5のいずれかに記載の容器の構成において、容器本体を、可撓性を有する材料を用いて形成するようにした場合、容器本体内に収容された内容物を供給する(外部に排出する)際に、容器本体を押圧して変形させることにより、内容物を内容物供給ノズルから容易かつ確実に供給することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0030】
また、本願発明の容器は、請求項7のように、容器本体に収容される内容物が、固形物を含む検体と希釈液の混合体である場合に適用することが可能であり、特に、請求項4のように、中蓋に内容物を通過させてろ過するフィルタを配設した構成とした場合には、固形物が除去された状態で内容物(検体中の固形物が除去された混合体)を供給することが可能になり、特に有意義である。
【0031】
また、本願発明の容器は、請求項8のように、便中の毒素検出の用途に用いられる容器として、好適に用いることが可能であり、検体である便と希釈液の混合体を確実に収容することが可能になるとともに、ろ過され、検体中の固形物が除去された状態で内容物(混合体)を確実に供給することが可能になり、便中の毒素検出を効率よく行うことが可能になる。
すなわち、内容物を密閉保存することが可能で、かつ、横向きにしたり振ったりした場合にも、内容物が漏れ出したりすることがなく、かつ、固形物を分離した状態で内容物(混合体)を供給することが可能であることから、便中の毒素検出の用途に用いられる容器として、特に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0033】
この実施例1では、便(検体)中の毒素検出の用途に用いられる容器、すなわち、固形物を含む検体(便)と希釈液の混合体を収容し、かつ、固形物がろ過された状態で検査に供給することが可能な容器を例にとって説明する。
【0034】
図1は本願発明の一実施例にかかる容器の構成を示す分解図(要部断面図)、図2は図1に示す容器を組み合わせた状態を示す図、図3(a)は本願発明の一実施例にかかる容器の要部を示す正面図、図3(b)は本願発明の一実施例にかかる容器の要部を示す側面図である。
【0035】
この実施例の容器Aは、図1および図2に示すように、内容物の出し入れを行う開口部2と、螺合部(ネジ部)3を備えた容器本体1と、容器本体1の開口部2に取り付けられて、容器本体1の開口部2を封止する機能を果たすとともに、容器本体1内の内容物を供給するための微細な先端開口部13を有する内容物供給ノズル12を備えた中蓋11と、容器本体1と係合して、中蓋11を容器本体1の開口部2に固定する外蓋21を備えている。
【0036】
また、外蓋21は、容器本体1と係合(螺合)する係合部(ネジ部)22と、中蓋11と当接して、中蓋11を容器本体1の開口部2に押圧する中蓋押圧部23とを有する外蓋本体24と、中蓋11の内容物供給ノズル12の先端開口部13と嵌合して先端開口部13を封止する突起状の封止部25と、折り取りの際に力を作用させるための把手部26を備えた封止部付きブリッジ部30を備えている。
【0037】
そして、この封止部付きブリッジ部30は、折り取ることにより封止部25を、内容物供給ノズル12の先端開口部13から取り除いて、封止部25による内容物供給ノズル12の先端開口部13の封止状態を解除することができるように構成されている。
【0038】
また、外蓋21に配設された封止部付きブリッジ部30には、折り取ることを容易にするための予備加工が施されており、予備加工としては、図3(a)に示すように、封止部付きブリッジ部30の幅方向中央部において外蓋本体24につながった接続部27と、接続部27の両端側の、外蓋本体24につながっていない部分に、外蓋本体24に対向するように配設された一対の逆台形状の突起部28(28a,28b)とを備えた構造を設ける加工が施されている。この構成においては、突起部28(28a,28b)を支点として接続部27に応力が加わるように封止部付きブリッジ部30を変形させることにより、大きな力を必要とせずに、封止部付きブリッジ部30を接続部27において切断することができるように構成されている。
【0039】
また、この実施例の容器Aにおいては、中蓋11に、内容物を通過させてろ過するフィルタ14が配設されており、フィルタ14によりろ過された内容物が内容物供給ノズル12から供給されるように構成されている。なお、フィルタ14としては、例えば、プラスチックフィルタなどを用いることが可能であり、その種類に特別の制約はない。
【0040】
また、この実施例では、容器本体1は、透明または半透明で、かつ可撓性を備えた材料(この実施例では低密度ポリエチレン)から形成されており、内容物の量を目視で確認することができるとともに、容器本体1を押圧して変形させる(例えば、容器本体1の胴部1aを軽く押さえる)ことにより、内容物を、内容物供給ノズル12の先端開口部13から供給することができるように構成されている。
【0041】
次に、この容器の使用方法について説明する。
【0042】
(1)まず、図4に示すように、容器本体1に検体(便)31を採取し、希釈液32で希釈する。
【0043】
(2)それから、図5に示すように、検体31と希釈液32の混合体33が収容された容器本体1の開口部2に、フィルタ14を備えた中蓋11を取り付ける。
【0044】
(3)次に、図6に示すように、容器本体1に外蓋21を取り付け、中蓋11により、容器本体1の開口部2を封止する。なお、このとき、中蓋11の内容物供給ノズル12の先端開口部13が、封止部付きブリッジ部30の突起状の封止部25と嵌合して封止される。
この状態で検体31と希釈液32の混合体(内容物)33は容器A内に密封された状態となるので、容器Aを横にしたり、振ったりすることが可能で、混合体(内容物)33を十分に混合することが可能になるとともに、ある程度の期間、安定して保存することが可能になる。
【0045】
(4)そして、検査(毒素検査)を行うにあたっては、図7に示すように、封止部付きブリッジ部30の把手部26に、図7の矢印Xで示す方向(封止部付きブリッジ部30の幅方向に平行な方向)に力を加えて封止部付きブリッジ部30を折り取ることにより、封止部25を、内容物供給ノズル12の先端開口部13から取り除いて、封止部25による内容物供給ノズル12の先端開口部13の封止状態を解除する(図8参照)。
このとき、一方の突起部28(28a)を支点として接続部27に力が加わるため、大きな力を必要とせずに、封止部付きブリッジ部30を接続部27において確実に切断することができる。
【0046】
(5)それから、容器本体1を押圧して変形させる(例えば、容器本体1の胴部1aを軽く押さえる)ことにより、内容物を、フィルタ14を通過させて、固形物を含まない状態で、内容物供給ノズル12の先端開口部13から検査キット(図示せず)に供給する。これにより、検体(便)中の毒素の有無、あるいは濃度(量)の検出を効率よくしかも確実に行うことが可能になる。
【0047】
なお、上記(4)の工程で、封止部付きブリッジ部30を折り取った状態においても、中蓋11が外蓋本体24により、容器本体1に確実に接続固定された状態が保持されるため、例えば、容器本体1を強く押圧することが必要な場合や、不用意に容器本体1に圧力を加えてしまった場合などにおいても、中蓋11が容器本体1から外れることがなく、容器本体1内に収容された内容物が、内容物供給ノズル12の先端開口部13以外から外部に漏れ出すことを防止して、取扱作業者への付着や周囲環境の汚染を確実に防止して、高い安全性を確保することができる。
【0048】
上記実施例1では、予備加工として、図3(a)に示すように、封止部付きブリッジ部30の幅方向中央部において外蓋本体24につながった接続部27と、接続部27の両端側の外蓋本体24につながっていない部分に、外蓋本体24に対向するように配設された一対の逆台形状の突起部28(28a,28b)とを備えた構造を設ける加工を施すようにしているが、予備加工の具体的な態様に特別の制約はなく、例えば、接続部27の厚みを薄くする、切断したい部分に複数個の微細穴を設けておく、突起部28(28a,28b)に相当する突起部を、封止部付きブリッジ部30の幅方向端面側からも突出するように大きく形成して、封止部付きブリッジ部30を変形させたときに、接続部27により大きな応力が確実にかかるようにするなどの変形を加えることが可能である。
【0049】
なお、上記実施例1では、便(検体)中の毒素検出の用途に用いられる容器、すなわち、固形物を含む検体(便)と希釈液の混合体を収容し、かつ、固形物がろ過された状態で検査に供給することが可能な容器を例にとって説明したが、本願発明の容器は、例えば、一回で使用すべき分量の化粧品を収納した、いわゆる使い切りの化粧品の収納容器としても使用することが可能である。なお、その場合、特に固形物を除去する必要がないときには、中蓋にフィルタを設けていない中蓋を用いることが可能である。
また、本願発明の容器は、さらに他の内容物を収容する場合にも広く適用することが可能である。
【0050】
本願発明はさらにその他の点においても、上記実施例に限定されるものではなく、容器本体、中蓋、外蓋の構成材料の種類や具体的な構造、外蓋を構成する外蓋本体や封止部付きブリッジ部の具体的な構造、中蓋に配設されるフィルタの性状、収容される内容物の種類、内容物が固形物を含む検体と希釈液の混合体である場合における検体と希釈液の種類などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明の容器は、(a)容器本体と、(b)容器本体内の内容物を供給するための内容物供給ノズルを備えた中蓋と、(c)中蓋と当接して、中蓋を容器本体の開口部に押圧する中蓋押圧部とを有する外蓋本体と、中蓋の内容物供給ノズルの先端開口部を封止する封止部を備え、折り取ることにより封止部を、内容物供給ノズルの先端開口部から取り除いて、封止部による内容物供給ノズルの先端開口部の封止状態を解除することができるように構成された封止部付きブリッジ部とを有する外蓋とを備えているので、液体や固形物を含む液体などの種々の物質を内容物として収容することが可能で、横向きにしたり振ったりした場合にも、内容物が漏れ出したりすることがなく、かつ、内容物を容易かつ確実に供給することが可能な容器を提供することができる。
【0052】
また、中蓋に内容物を通過させてろ過するフィルタを配設し、内容物供給ノズルからフィルタによりろ過された内容物が供給されるようにした場合、内容物が固形物を含み、該固形物が除去された状態で内容物が供給されることが望ましい場合に、確実に対応することができる。
【0053】
したがって、本願発明は、便(検体)中の毒素検出の用途に用いられる、容器に収容される内容物として、固形物を含む検体(例えば便)と希釈液の混合体を収容するための容器や、使い切りの化粧品の収納容器などとして、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本願発明の一実施例にかかる、容器本体、中蓋、および外蓋を備えた容器の構成を示す分解図(要部断面図)である。
【図2】本願発明の一実施例にかかる容器の構成を示す図であって、容器本体、中蓋、および外蓋を組み合わせた状態を示す図である。
【図3】(a)は本願発明の一実施例にかかる容器の要部を示す正面図、(b)は本願発明の一実施例にかかる容器の要部を示す側面図である。
【図4】本願発明の一実施例にかかる容器を用いる方法の一工程を示す図である。
【図5】本願発明の一実施例にかかる容器を用いる方法の他の工程を示す図である。
【図6】本願発明の一実施例にかかる容器を用いる方法のさらに他の工程を示す図である。
【図7】本願発明の一実施例にかかる容器を用いる方法のさらに他の工程を示す図である。
【図8】本願発明の一実施例にかかる容器を用いる方法のさらに他の工程を示す図である。
【図9】便中の毒素検査のための検査キットとして用いられている従来の容器を示す図である。
【図10】図9に示す従来の容器の使用方法を説明する図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ図9に示す従来の容器を使用する方法の一工程を示す図である。
【図12】図9に示す従来の容器を使用する方法の他の工程を示す図である。
【図13】(a),(b)は従来の他の容器(検体採取器具セット)の構成を示す図であり、(a)は検体を採取する前の状態を示す図、(b)は検体を採取した後、検体採取部を保存培地内に挿入した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
A 容器
1 容器本体
1a 容器本体の胴部
2 容器本体の開口部
3 容器本体の螺合部(ネジ部)
11 中蓋
12 内容物供給ノズル
13 内容物供給ノズルの先端開口部
14 フィルタ
21 外蓋
22 外蓋の係合部(ネジ部)
23 外蓋の中蓋押圧部
24 外蓋本体
25 突起状の封止部
26 折り取り用の把手部
27 接続部
28(28a,28b) 突起部
30 封止部付きブリッジ部
31 検体(便)
32 希釈液
33 混合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内容物の出し入れを行う開口部を備えた容器本体と、
(b)前記容器本体の開口部に取り付けられる中蓋であって、先端に開口部(以下「先端開口部」)を有する内容物供給ノズルを備えた中蓋と、
(c)前記容器本体と係合して、前記中蓋を前記容器本体の開口部に固定する外蓋であって、
前記容器本体と係合する係合部と、前記中蓋と当接して、前記中蓋を前記容器本体の開口部に押圧する中蓋押圧部とを有する外蓋本体と、
前記中蓋の前記内容物供給ノズルの先端開口部を封止する封止部を備え、折り取ることにより前記封止部を、前記内容物供給ノズルの先端開口部から取り除いて、前記封止部による前記内容物供給ノズルの先端開口部の封止状態を解除することができるように構成された封止部付きブリッジ部と
を有する外蓋と
を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記外蓋に配設された封止部付きブリッジ部には、折り取ることを容易にするための予備加工が施されていることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記封止部付きブリッジ部を折り取ることを容易にするための予備加工として、前記封止部付きブリッジ部の幅方向中央部において前記外蓋本体につながった接続部と、前記接続部の両端側の前記外蓋本体につながっていない部分に配設された突起部とを備えた構造を設ける加工が施されており、前記突起部を支点として前記接続部に応力が加わるように前記封止部付きブリッジ部を変形させることにより、封止部付きブリッジ部が前記接続部において切断されるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記中蓋には内容物を通過させてろ過するフィルタが配設されており、前記フィルタによりろ過された内容物が前記内容物供給ノズルから供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記容器本体が透明または半透明で、内容物の量を目視で確認できるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記容器本体が可撓性を有する材料を用いて形成されており、押圧して変形させることにより、内容物を前記内容物供給ノズルから供給することができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記容器本体に収容される内容物が、固形物を含む検体と希釈液の混合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
前記検体が便であって、便中の毒素検出の用途に用いられるものであることを特徴とする請求項7記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−315721(P2006−315721A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140266(P2005−140266)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500016039)有限会社シン・コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】