説明

容器

【課題】保温・保冷が可能な容器の利便性を向上すること。
【解決手段】容器1aの本体内部に発熱抵抗体13や熱交換素子によって構成される温度制御手段と蓄電素子12とを持たせ、温度制御手段に対する通電を制御部11aによって制御する。さらに、太陽光発電や電磁誘導、超音波、マイクロ波などによって蓄電素子12を充電することで、商用電源を必要とせず、どこでも好きな時に保温対象物の保温(加熱)や保冷(冷却)を行なうことができる可搬型・携帯型で繰り返し使用可能な容器を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の保温や保冷を行なう容器に関し、特に可搬もしくは携帯可能な容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の保温可能な容器としては、一般的な電気ポットや、商用電力で動作する食品保温器がある(例えば特許文献1参照。)。また屋外など商用電力が利用できない場所で保温する容器としては、化学的な発熱反応を利用したお燗機能付きの酒用容器などが販売されている。
【0003】
一方、保冷機能を有する容器としては、容器内部に冷媒を封止して、保冷する直前まで、冷凍庫などで十分に冷やしておくビールジョッキなどが知られている。
【0004】
さらに、食品飲料の保冷・保温に限らず、例えば保温機能を持たせた植木鉢なども考案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−317187号公報
【特許文献2】特開平5−316878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、商用電力を利用する従来の技術では、屋外等のように商用電力が得られない場所で保温する事ができなかった。加えて商用電力を利用する構成では、コンセントなどによって直接接続して電源を供給するため、容器を洗浄可能にする防水構造にすることができなかった。
【0007】
また、化学的な発熱反応を利用したお燗機能つきの酒用容器は保温に必要なエネルギーを化学エネルギーとして蓄積しており、屋外で制約なく使用することができる。しかし、前述の化学反応が不可逆反応であるため、使い捨て型であり、途中で保温をやめたり、保温温度を調節したり、繰り返し使用することができなかった。
【0008】
さらに、冷媒を封止したビールジョッキは予め冷やして使うものであり、外出先で必要な時に保冷を開始したり、温度を調節することはできなかった。
【0009】
そのため、従来の技術では例えば、マグカップに注いだコーヒーを積極的に保温したり、冷たい飲料を積極的に保冷するといったことや、繰り返し再使用したり、屋外でピクニックに出かけたときに、現地でのみ保温、保冷効果を発揮させるといったことは実現できなかった。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、可搬型もしくは携帯型であって、いつでもどこでも好きな時に容器内のもの(内容物)を保温または保冷することが可能で、かつ、電力を補うことで繰り返し再使用
でき、自由に洗浄可能な容器、さらには容器内に保温保冷対象物を入れると通常の容器では熱すぎるか冷たすぎて容器を手で触ることのできない状態でも、容器を手で触ることを可能にする容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る容器は、電力を蓄える蓄電手段と、前記蓄電手段が蓄えた電力を用いて内容物の温度を制御する温度制御手段と、前記温度制御手段への通電を制御する通電制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明に係る容器は、請求項1に記載の発明において、前記蓄電手段は充電可能であり、前記蓄電手段に電力を充電する充電手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明に係る容器は、請求項2に記載の発明において、前記蓄電手段は、二次電池および/またはキャパシタであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明に係る容器は、請求項2または3に記載の発明において、前記充電手段は受電コイルを有し、容器外部の給電コイルから印加された交流磁界によって前記受電コイルに生じた誘導電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明に係る容器は、請求項2または3に記載の発明において、前記充電手段は圧電素子を有し、容器外部から外来した超音波振動を前記圧電素子によって電力に変換して前記蓄電手段に充電すること特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明に係る容器は、請求項2または3に記載の発明において、前記充電手段は発電素子を有し、容器外部から外来したマイクロ波を前記発電素子によって電力に変換して前記蓄電手段に充電することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明に係る容器は、請求項2または3に記載の発明において、前記充電手段は太陽電池であり、容器に当たる光を電力に変換して前記蓄電手段に充電することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明に係る容器は、請求項2または3に記載の発明において、前記充電手段は燃料電池であり、生成した電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明に係る容器は、請求項2または3に記載の発明において、前記充電手段は外部の電源と直接接続して前記蓄電手段に充電する電力を取得することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明に係る容器は、請求項1〜9のいずれか一つに記載の発明において、前記温度制御手段は、発熱抵抗体、または容器内壁と容器外壁との間で熱交換を行う熱交換素子であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11の発明に係る容器は、請求項10に記載の発明において、前記熱交換素子は前記熱交換の方向を切り替え可能であり、前記通電制御手段は前記熱交換の方向をさらに制御することを特徴とする。
【0022】
また、請求項12の発明に係る容器は、請求項11に記載の発明において、前記熱交換素子はペルチェ効果を利用した素子であることを特徴とする。
【0023】
また、請求項13の発明に係る容器は、請求項1〜12のいずれか一つに記載の発明において、前記内容物の温度を取得する温度取得手段をさらに備え、前記通電制御手段は前記温度取得手段が取得した温度を用いて前記通電を制御することを特徴とする。
【0024】
また、請求項14の発明に係る容器は、請求項1〜13のいずれか一つに記載の発明において、容器内壁と容器外壁との間に断熱構造を備え、前記断熱構造は前記温度制御手段による温度制御以外の熱の移動を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば容器は、内部に蓄電素子と制御部および温度制御手段を内蔵することで可搬もしくは携帯可能な構造とし、制御部に利用者が操作できるスイッチを搭載することで、何時でも好きな時に保温・保冷の機能を発現し、かつ不要な放電を防ぐこと保温・保冷機能を持続可能な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0026】
また、請求項2の発明によれば容器は、蓄電素子に充放電可能な素子を用い、充電電力は外部から供給するので、利用時には商用電力に頼ることなく、何時でも何処でも繰り返し再使用可能な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0027】
また、請求項3の発明によれば容器は、蓄電素子として二次電池もしくはキャパシタを使用し機能を実現するので、繰り返し再使用が可能を容器を得ることができるという効果を奏する。
【0028】
また、請求項4の発明によれば容器は、給電コイルと給電回路とからなる給電部を用いて、容器の外部から交流の磁界を容器本体内部にある受電コイルに印加することで、コイルに交流の誘導電力を発生させ、誘導電力を蓄電素子に充電するもので、外見上は通常の容器となんら変わることがなく、また、通常の容器のごとく、洗浄やつけおき洗いを可能とした容器を得ることができるという効果を奏する。
【0029】
また、請求項5の発明によれば容器は、外来する超音波を容器に具備した圧電素子により電力に変換し、充電回路により適切に蓄電素子を充電するもので、超音波洗浄器等で容器を洗浄中に、同時に蓄電素子を充電し、容器の繰り返しの再使用を実現するとともに、充電電力の供給及び洗浄可能とした容器を得ることができるという効果を奏する。
【0030】
また、請求項6の発明によれば容器は、電子レンジ等で内容物を加熱すると同時に、レクチナに代表されるマイクロ波の受電素子を用いて検波電力を発生させ充電回路により蓄電素子を適切に充電するものである。これにより、電子レンジ等で加熱対象物を加熱中に、同時に蓄電素子を充電し、繰り返しの再使用を可能とする容器を得ることができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項7の発明によれば容器は、太陽電池をもちいることで、容器に光が照射されれば充電電力が発生でき、容器の繰り返しの使用が可能であるとともに、洗浄が可能な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0032】
また、請求項8の発明によれば容器は、燃料電池を用いることで、容器に光が照射されれば充電電力が発生でき、容器の繰り返しの使用が可能な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0033】
また、請求項9の発明によれば容器は、外部電源と接続することで充電し、容器の繰り返しの使用が可能な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0034】
また、請求項10の発明によれば容器は、発熱抵抗体から発生する熱を容器内壁を介して前記容器の中身に伝えることで保温せしめる、もしくは容器内壁と容器外壁との間で熱交換素子により積極的な熱の移動をおこなうことで保温または保冷せしめる容器を得ることができるという効果を奏する。
【0035】
また、請求項11の発明によれば容器は、蓄電素子から前記熱交換素子へ供給する電力の方向を制御部により切り替えることで記容器の保温と保冷機能を自在に切り替えることが可能な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0036】
また、請求項12の発明によれば容器は、熱交換素子としてペルチェ素子を使用することで、容器の内壁側と外壁側とで積極的な熱のやり取りが実現でき、可動部を排して静粛な容器を得ることができるという効果を奏する。
【0037】
また、請求項13の発明によれば容器は、容器に入れた内容物の温度を測ることで、適正な温度を保ち、更に、暖めすぎや冷やしすぎによる無駄な電力消費を抑え、蓄電素子のエネルギーを有効活用する容器を得ることができるという効果を奏する。
【0038】
また、請求項14の発明によれば容器は、容器内壁と容器外壁との間に発生する意図しない熱の移動を低減することで、発熱抵抗体や熱交換素子による保温や保冷の効果を高め、かつ保温や保冷の時間を伸長した容器を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る容器の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例】
【0040】
図1は、本発明に係る容器の最も基本的な構成について説明する説明図である。同図に示すように、容器1aは、その容器本体内部、すなわち外壁と内壁との間や容器下部などに制御部11a、蓄電素子12、発熱抵抗体13を有する。
【0041】
制御部11aは、スイッチ等のユーザーインターフェースを有する。ユーザーは、この制御部11aの操作によって蓄電素子12から発熱抵抗体13への通電を開始し、発熱抵抗体を発熱させることで容器内の保温対象物を保温(加熱)することができる。
【0042】
制御部11aは、マイコンと電力制御素子により実現可能である。また、マイコンのかわりにロジックゲートやオペアンプなどの個別部品を用いても同等の機能を実現できる。電力制御素子はパワーMOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体素子やメカニカルリレーを使うことができる。
【0043】
さらに、蓄電素子12から発熱抵抗体13への通電タイマー機能など、既存の技術を制御部11aに付加することもできる。
【0044】
蓄電素子12としては、アルカリマンガン電池など既存の電池を使うことができ、保温対象物の保温温度や保温時間などの実際の仕様によって、電池を直列に接続すればよい。
【0045】
図2は、内容物を保温と保冷が可能な容器の構成例について説明する説明図である。同図に示した容器1bは、容器本体内部にペルチェ素子などの熱交換素子14、蓄電素子12、制御部11bを有する。
【0046】
熱交換素子14は、容器内部の内容物(保温・保冷対象物)と容器外壁17との間で熱の交換ができるように配置される。例えば熱交換素子14の熱交換面の一つを容器内壁16と熱結合し、別な熱交換面を容器外壁17と熱結合することで熱伝導路15を形成する。
【0047】
熱交換素子の駆動エネルギーは蓄電素子12から供給するが、ユーザーが好きなときに保温や保冷を開始し、好きなときに動作を止める機能が必要であり、これを制御部11bにて実現する。
【0048】
制御部11bの構成はユーザーインターフェースとしてのスイッチや表示機構とマイコン、更に、パワーMOSFETなどの電力制御素子により実現することができる。本図に示した容器の構造は、保温や保冷を実現する構成要素をすべて容器本体内部に収納することができるので、容器自体を完全に防水構造とすることができ、食器のごとく洗浄することが可能である。
【0049】
図3は、図2に示した制御部11bの構成例であり、熱交換素子にペルチェ素子のように流す電流の向きをかえることで、吸熱面と廃熱面を制御可能な素子を用いた場合に、保温と保冷を切り替える一手法を説明する図である。
【0050】
制御部11bでは、蓄電素子12の電力を熱交換素子14の駆動に適した電圧や電流に変換するコンバータを用いて駆動出力を生成し、これを極性切り替えスイッチを通じて熱交換素子14に供給する。保温と保冷の切り替えは極性切り替えスイッチにより熱交換素子14に流れる電流の方向を制御することで実現できる。このスイッチは機械的なスイッチ機構は勿論のこと、マイコンやロジック回路により駆動する半導体電力素子であってもよい。
【0051】
図4は、図2に示した容器に、保温・保冷対象物(内容物)の温度を測る温度センサをさらに持たせた構成について説明する説明図である。同図に示した容器1cは、温度センサ18を容器内壁16に熱結合を保ちつつ配置することで、保温保冷対象物の温度が把握でき、制御部11cにおいて目標温度への温度制御を実現するものである。
【0052】
また、かかる制御をおこなうことで暖めすぎや冷やしすぎを防ぐことができるので、無駄な電力消費を抑えることができる。これにより、保温・保冷時間の伸長や装置の小型化を実現する効果も期待できる。
【0053】
温度センサ18は、複数配置することもできる。保冷と保温動作の切り替えに連動して、測温部位を保温保冷対象物の上部にしたり、底部にしたりすれば、より快適な制御を実現できる。
【0054】
さらに、温度センサの位置を容器内壁16ではなく容器外壁17に配置することで、例えば容器内部には熱湯を入れた状態で保温動作にし、温度制御で摂氏40の制御をかければ、ユーザーは容器を握っても全く熱くないため、保温と安全性を実現した容器を実現することができる。
【0055】
このように、容器本体内部に発熱抵抗体や熱交換素子によって構成される温度制御手段と蓄電素子とを持たせ、温度制御手段に対する通電を制御することで、商用電源を必要とせず、どこでも好きな時に保温対象物の保温(加熱)や保冷(冷却)を行なうことができる。
【0056】
また、熱交換の方向を制御可能な素子を温度制御手段として用いることで、保温と保冷とを切り替えることが可能な容器を得ることができる。
【0057】
さらに、保温・保冷に必要な構成要素を容器本体内部に全て格納できるので、通常の容器と同様に洗浄することができる。
【0058】
ここで、かかる容器を繰り返し使用可能として容器の利便性をさらに向上するためには、蓄電素子12として充電可能な素子(キャパシタや二次電池)を使用する必要がある。そこで、以下に蓄電素子12を充電する各種構成について説明を行なう。
【0059】
図5は、外部から充電電力を供給する方法を示している。同図に示した容器1dは、商用電力からACアダプタ21により充電電力を生成し、コネクタ19に接続した接続ケーブル20により充電電力を実際に供給する。この構成により、蓄電池を繰り返し使うことができ、容器の利便性が向上する。
【0060】
図6−1および図6−2に示した容器1eは、太陽電池によって充電電力を得る構成を有する。図6−1の外観図に示したように、容器1eは、容器本体内部の容器外壁17側表面に太陽電池である発電素子22を有する。
【0061】
発電素子22は、光を当てることで電力を発生し、発生した電力を蓄電素子12に与えることで、商用電源に頼ることなく何処でも保温保冷容器を使うことが可能となる。また、保温保冷の構成要素は容器本体内部に全て納めることができるので、防水構造であり、通常の食器のように洗浄することができる。
【0062】
図7は、誘導電圧による充電を行なう容器1fの概要構成を説明する説明図である。同図に示した容器1fは、容器本体内部に受電コイル24を有し、交流磁界をこの受電コイル24に通すことで誘導電圧を発生させ、得られた誘導電圧を充電回路23を通じて蓄電素子12にあたえ、過充電を保護しつつ充電するものである。
【0063】
交流磁界は、充電ユニット27によって生成する。充電ユニット27は、その内部に給電コイル25および給電回路26を有する。給電コイル25は給電回路26により駆動するが、その動力源は、商用電力や自動車のシガーライターソケットなどでよい。
【0064】
給電回路26は、20KHzから1MHz程度の交流電流を給電コイル25に流すことで給電コイル25から交流の磁界を発生させるが、これは既知のスイッチング回路、例えばE級コンバータやハーフブリッジ回路やフルブリッジ回路を使うことで効率よく磁界を生成することが可能である。
【0065】
勿論、定電流回路で給電コイル25を駆動し、前記定電流回路の電流設定値としてサイン波などの交流信号を入力してもよい。上記の交流磁界を用いた非接触給電では、蓄電池が満充電になったり、容器が無い状態では、積極的に給電コイルの駆動を制限する必要がある。この手段についても既知の技術により、実現可能である。
【0066】
このように交流磁界を用いた非接触給電による充電をおこなうことで、保温保冷を実現する全ての構成要素は容器本体内部に格納できるため、容器は通常の食器のように防水構造であり洗浄することができる。特に交流磁界によるエネルギー伝送を用いたことで、外観のデザインや図柄には制約がないため、付加価値の高い容器を実現することができる。
【0067】
図8−1および図8−2は、超音波による充電を行なう容器1gの概要構成を説明する説明図である。図8−1に示すように、容器1gは圧電素子29等の機械振動を電気エネルギーに変換するトランスデューサーを備え、外部から到来する超音波エネルギーを充電エネルギーに変換する。
【0068】
圧電素子29から発生する電力は充電回路28を通じて蓄電素子12に充電することで、過充電を保護したり、インピーダンス変換をおこなうことで効率よく充電することが可能となる。
【0069】
具体的には、図8−2に示した充電時のイメージ図のごとく、超音波発生ユニット30を使い、容器1gを超音波伝送溶媒31の中に浸した状態で超音波発生ユニット30を動作させれば、容器内部の蓄電素子12を充電することができる。
【0070】
ここで、超音波発生ユニット30として超音波洗浄器を、超音波伝送溶媒31として洗浄液を用いれば、容器1gを洗浄するのと同時に蓄電素子12を充電できるので、さらに、利便性を向上することができる。
【0071】
図9−1および図9−2は、マイクロ波による充電を行なう容器1hの概要構成を説明する説明図である。図9−1に示すように、容器1hはマイクロ波を集電し整流する受電素子33を本体に備え、容器外部から到来するマイクロ波エネルギーを充電電力に変換するものである。
【0072】
受電素子33としては、例えばレクチナを使うことができる。受電素子33に発生した充電電力は充電回路34を通じて蓄電素子12へ充電することで、蓄電池の過充電を防ぎつつ、効率よく充電することができる。
【0073】
具体的には、図9−2に示した充電時のイメージ図のごとく、容器に保温対象物を入れ、電子レンジのようなマイクロ波発生器35によってマイクロ波を照射すれば、保温対象物の加熱と容器内の蓄電池の充電を同時に行うことができる。
【0074】
また、非接触で充電エネルギーを受電できるので、容器は防水構造となり、通常の容器のごとく洗浄が可能である。
【0075】
図10は、燃料電池によって充電電力を得る構成について説明する説明図である。同図に示した容器1iは、容器本体内部に燃料電池41と燃料タンク39、および外部から燃料タンク39に燃料を補給する燃料注入口38、更に前記燃料タンク39から燃料電池41への燃料供給量を制御するバルブ40を有する。
【0076】
かかる構成により、容器1iの内部で蓄電素子12の充電電力を発生することができ、何時でも何処でも保温・保冷を行なうことができる。燃料電池41には、ダイレクトメタノール型やPEFC、ボロンハイドレートなどの常温程度で動作するものであれば使用可能である。
【0077】
また、燃料電池41からは二酸化炭素などのガスや水などの液体が排出され、外部からは酸素を含む気体を取り込む必要があるので、熱交換素子14の給廃熱に使用する換気ファン37の給排気口36を通じて給排気してもよい。
【0078】
上述してきたように、本発明に係る容器は、容器本体内部に発熱抵抗体や熱交換素子によって構成される温度制御手段と蓄電素子とを持たせ、温度制御手段に対する通電を制御することで、商用電源を必要とせず、どこでも好きな時に保温対象物の保温(加熱)や保冷(冷却)を行なうことができる可搬型・携帯型の容器を得ることができる。
【0079】
さらに、充電可能な蓄電素子を太陽光発電や電磁誘導、超音波、マイクロ波などによって充電することで、保温・保冷を繰り返し行なうことが可能となる。
【0080】
なお、本実施例に示した構成はあくまで一例であり、適宜変更して実施することができるものである。例えば、図11に示した構成では、容器の保温保冷機能を高めるために、容器本体内部に断熱構造体を持たせている。
【0081】
具体的には、容器1jは、容器外壁17と容器内壁16との間を断熱構造体50によって断熱し、容器の下部に断熱構造体51を設けて下方向の断熱をおこなっている。
【0082】
このように、保温保冷対象物と容器外側との熱の移動を、熱交換素子や発熱抵抗体のみに制限することで、より効率よく保温保冷の効果を高めることができる。同時に、蓄電素子による動作時間の伸長や、蓄電素子の小型化を実現できる。
【0083】
断熱構造体50,51としては熱の伝達3要素である熱伝導、放射、対流を妨げるものを使用する。例えば、発泡スチロールなどの樹脂や、真空断熱構造などが使える。断熱構造体自体は、既存の技術をもちいることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかる容器は、内容物の保温や保冷に有効であり、特に可搬もしくは携帯可能な容器な容器における温度制御に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係る容器の基本構成について説明する説明図である。
【図2】保温と保冷が可能な容器の構成について説明する説明図である。
【図3】図2に示した制御部11bについて説明する説明図である。
【図4】温度センサを備えた容器について説明する説明図である。
【図5】外部電源で充電する容器について説明する説明図である。
【図6−1】太陽光発電で充電する容器の外観図である。
【図6−2】太陽光発電で充電する容器の構成について説明する説明図である。
【図7】電磁誘導で充電する容器について説明する説明図である。
【図8−1】超音波で充電する容器について説明する説明図である。
【図8−2】超音波による充電の具体例を説明する説明図である。
【図9−1】マイクロ波で充電する容器について説明する説明図である。
【図9−2】マイクロ波による充電の具体例を説明する説明図である。
【図10】燃料電池で充電する容器について説明する説明図である。
【図11】断熱構造を備えた場合の容器の構成について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1a〜1j 容器
11a〜11j 制御部
12 蓄電素子
13 発熱抵抗体
14 熱交換素子
15 熱伝導路
16 容器内壁
17 容器外壁
18 温度センサ
19 コネクタ
20 接続ケーブル
21 ACアダプタ
22 発電素子
23 充電回路
24 受電コイル
25 給電コイル
26 給電回路
27 充電ユニット
28 充電回路
29 圧電素子
30 超音波発生ユニット
31 超音波伝送溶媒
33 受電素子
34 充電回路
35 マイクロ波発生器
36 換気ファン給排気口
37 換気ファン
38 燃料注入口
39 燃料タンク
40 バルブ
41 燃料電池
50,51 断熱構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄える蓄電手段と、
前記蓄電手段が蓄えた電力を用いて内容物の温度を制御する温度制御手段と、
前記温度制御手段への通電を制御する通電制御手段と、
を備えたことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記蓄電手段は充電可能であり、前記蓄電手段に電力を充電する充電手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記蓄電手段は、二次電池および/またはキャパシタであることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記充電手段は受電コイルを有し、容器外部の給電コイルから印加された交流磁界によって前記受電コイルに生じた誘導電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする請求項2または3に記載の容器。
【請求項5】
前記充電手段は圧電素子を有し、容器外部から外来した超音波振動を前記圧電素子によって電力に変換して前記蓄電手段に充電すること特徴とする請求項2または3に記載の容器。
【請求項6】
前記充電手段は発電素子を有し、容器外部から外来したマイクロ波を前記発電素子によって電力に変換して前記蓄電手段に充電することを特徴とする請求項2または3に記載の容器。
【請求項7】
前記充電手段は太陽電池であり、容器に当たる光を電力に変換して前記蓄電手段に充電することを特徴とする請求項2または3に記載の容器。
【請求項8】
前記充電手段は燃料電池であり、生成した電力を前記蓄電手段に充電することを特徴とする請求項2または3に記載の容器。
【請求項9】
前記充電手段は外部の電源と直接接続して前記蓄電手段に充電する電力を取得することを特徴とする請求項2または3に記載の容器。
【請求項10】
前記温度制御手段は、発熱抵抗体、または容器内壁と容器外壁との間で熱交換を行う熱交換素子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の容器。
【請求項11】
前記熱交換素子は前記熱交換の方向を切り替え可能であり、前記通電制御手段は前記熱交換の方向をさらに制御することを特徴とする請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記熱交換素子はペルチェ効果を利用した素子であることを特徴とする請求項11に記載の容器。
【請求項13】
前記内容物の温度を取得する温度取得手段をさらに備え、前記通電制御手段は前記温度取得手段が取得した温度を用いて前記通電を制御することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の容器。
【請求項14】
容器内壁と容器外壁との間に断熱構造を備え、前記断熱構造は前記温度制御手段による温度制御以外の熱の移動を抑制することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−312932(P2007−312932A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144515(P2006−144515)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】