説明

容器

【課題】意外性、変化の妙味に富んだ効果と共に、温度変化に応じて現れる絵柄から、コンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードを読み取ることにより、コンテンツ情報を提供可能とする容器を提供する。
【解決手段】容器(コップ)10は、容器基材11に、非変色性インキ12及び熱変色性インキ13を用いて、様相の異なるカラーコード情報20を含む絵柄14のコードイメージを印刷し、温度変化に応じて熱変色後、カラーコード情報20を付与する絵柄14が現れる。クライアント端末110は、読み取ったカラーコード情報20のデコード処理を行い、デコード情報をデコーダサーバ120に送信し、再生されたコンテンツ情報40を取得し、コンテンツ情報40を基に、コンテンツサーバ130にアクセスし、コンテンツデータを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字又は絵柄が印刷される印刷層を有する容器に係り、特に、容器表面に所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードが付与される容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱変色性インキを使用して、温度変化によって色彩、図柄模様等が変化する食器、玩具、印刷物等が存在する(例えば、特許文献1)。これらは、非変色性インキ(通常のインキ)によって特定の文字や図形を印刷し、その上に、温度に応じて色が変化をする熱変色性インキで非変色性印刷層を隠蔽したものであり、図形や色変化の妙味、意外性を付与している。
【0003】
一方、雑誌、カタログなどの印刷物に、掲載商品の詳細な情報を利用者に提示するWebサイトのURLの情報を符号化データに変換された2次元バーコード(例えばQRコード)を作成し、直接、印刷物に掲載することにより、利用者は、カメラ付携帯電話等で2次元バーコードを読み取り、携帯電話の通信機能によってサーバに送り出され、簡単に必要な情報の入力を行なうことを可能としていた(例えば、特許文献2)。
【0004】
更に、近年、複数の色彩又は濃淡で表現されたセルを用いてデータをコードでエンコーディングし、そのエンコーディングされたコードをコンピュータと周辺装置を用いてデコーディングする方法が開示されている(例えば、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】実開平1−121474号公報
【特許文献2】特開2004−80585号公報
【特許文献3】特開2001−319200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術の熱変色性インキを使用したものは、図形模様や色変化の妙味、驚き、楽しさ等の効果はあるが、それと共に、利用者にのみ有用なコンテンツ情報を提供するものはなかった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、意外性、変化の妙味に富んだ効果と共に、温度変化に応じて現れる絵柄から、コンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードを読み取ることにより、コンテンツ情報を提供可能とする容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために本発明は、使用前後に温度差が発生する容器であって、前記容器の外側表面に、文字及び/又は絵柄を熱変色性インキで印刷する、温度変化により、可逆的に色が変化する熱変色性印刷層と、文字及び/又は絵柄を非変色性インキで印刷する非変色性印刷層と、を備え、前記熱変色性印刷層及び/又は前記非変色性印刷層に、所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードが付与され、前記機械で判読可能なコードは常温では隠蔽され、温度変化に応じて可逆的に現れることを特徴とする容器である。
【0009】
また、前記機械で判読可能なコードは、色彩又は濃淡によって情報をコード化した機械で判読可能なコードを機械的に識別可能な読取機能を備えたクライアント端末で読み取られ、前記クライアント端末、及び/又は、ネットワークを介して接続されるデコーダサーバを介して、読み取った前記機械で判読可能なコードのデコード処理を行われ、デコード処理結果から前記コンテンツ情報に再生されることが望ましい。
また、前記クライアント端末は、再生された前記コンテンツ情報を基に、ネットワークを介して、コンテンツ提供サーバにアクセスし、コンテンツデータを取得することが望ましい。
【0010】
本発明による容器は、使用前後に温度差が発生する容器であって、容器の外側表面に、文字及び/又は絵柄を熱変色性インキで印刷する、温度変化により、可逆的に色が変化する熱変色性印刷層と、文字及び/又は絵柄を非変色性インキで印刷する非変色性印刷層と、を備え、熱変色性印刷層及び/又は非変色性印刷層に、所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードが付与され、機械で判読可能なコードは常温では隠蔽され、温度変化に応じて可逆的に現れる。
【0011】
「熱変色性インキ」は、温度変化により、可逆的に色が変化するインキであり、大きく分けて、氷水で冷やしたり寒い戸外に出たりすると色が変化するタイプ、体温や息の暖かさで色が変化するタイプ、熱い湯やドライヤーなどで温めると色が変化するタイプ等がある。例えば、−30℃〜+60℃の範囲で任意の温度で変色させられ、色の変化は、(1)有色⇔無色(2)有色A⇔有色Bがある。
「非変色性インキ」は、一般的なインキであり、温度範囲−30℃〜60℃ではその色彩のまま変色しない性状を有するものである。
「機械で判読可能なコード」は、所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化したコードである。
「コンテンツ情報」は、文字、数字、記号等であり、コンテンツ提供サーバのURL情報、コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、ネットワークを特定する識別情報、属性情報の少なくとも一つを含む。
【0012】
本発明では、容器は、温度変化に応じて、非変色性インキよる絵柄と、熱変色性インキによる絵柄とを、可逆的に複数の異なる様相を視覚的に実現させ、図柄模様や色変化の妙味、驚き、楽しさ等の提供に加えて、更に、容器表面上に所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードを印刷することにより、コンテンツ配信サイトへの誘導をするコンテンツ情報を提供することを可能とし、容器の商品性を高めるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、意外性、変化の妙味に富んだ効果と共に、温度変化に応じて現れる絵柄から、コンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードを読み取ることにより、コンテンツ情報を提供可能とする容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明に容器10等の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0015】
図1、図2は、本実施の形態に係る容器10の常温(熱変化前)及び熱変化後の外観斜視図である。図1は、容器10の一例であり、図1に示すように、容器10は、例えば、陶器製のコップであり、コップ外表面に熱変化後に絵柄14が浮き出る様相を示す。常温時、容器(コップ)10の外表面には、絵柄14が隠蔽されている。お湯を注ぐ等の温度変化により、熱変化後、コップ外表面に絵柄14が浮き出る。絵柄14は、所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコード(以降、「カラーコード情報」と称す)を付与している。カラーコード情報20は、5×5、5×8の複数のブロックのセルからなり、各セル15は、色彩(又は濃淡)を判断する、RGB(Red、Green、Blue)モデル、HSV(Hue
angle、Saturation、Value)モデル、CMY(Cyan、Magenta、Yellow)モデル、HLS(Hue angle、Lightness、Saturation)モデル中の少なくともいずれか一つの方式に基づいて印刷され、赤色、緑色、青色、黒色の4色のいずれかからなる(カラーコード情報20については、図6を用いて後述する)。
【0016】
また、図2に示すように、容器(コップ)10外表面に熱変化後に絵柄14が変わる様相を示す。常温時、容器(コップ)10の外表面には、絵柄14−1が表示されている。熱湯を注ぐ等の温度変化により、熱変化後、コップ外表面に絵柄14−2が現れる。熱変化後に現れる絵柄14−2は、所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードであるカラーコード情報20を付与している。
【0017】
図3は、容器(コップ)10の胴部外表面の拡大断面図である。図3に示すように、例えば、容器(コップ)10の陶器等の容器基材11の外表面上に非変色性印刷層15を形成するとともに、非変色性印刷層15の表面を隠蔽する熱変色性印刷層16を形成する。
【0018】
図4は、図1に示す容器(コップ)10の外表面に、熱変化後、絵柄14が浮き出る印刷手順を示す外観斜視図及び断面図である。図4に示すように、容器(コップ)10の陶器等の材質からなる容器基材11に、絵柄14(カラーコード情報20を付与する)を非変色性インキ12で印刷し非変色性印刷層15を形成し(ステップS401)、次に、容器基材11に印刷した背景色と常温時同じ色から温度変化に応じて変色後無色(透明)になる熱変色性インキ13で、印刷した絵柄14を隠蔽する形で、重ね刷りを行い、熱変色性印刷層16を形成する(ステップS402)。
【0019】
ここで、非熱変色性インキは、天然樹脂、合成樹脂の別を問わず、一般的な温度範囲−30℃〜60℃では最初の色彩のまま変色しない性状を有するものである。
また、熱変色性インキは、温度変化により、可逆的に色が変化するインキであり、大きく分けて、氷水で冷やしたり寒い戸外に出たりすると色が変化するタイプ、体温や息の暖かさで色が変化するタイプ、熱い湯やドライヤーなどで温めると色が変化するタイプ等がある。例えば、−30℃〜+60℃の範囲で任意の温度で変色させられ、色の変化は、(1)有色⇔無色(2)有色A⇔有色Bがある。
【0020】
図5は、図2の容器(コップ)10の外表面に熱変化後絵柄14が変わる印刷手順を示す外観斜視図及び断面図である。図5に示すように、容器(コップ)10の容器基材11に、絵柄14−1(カラーコード情報20を付与する)を非変色性インキ12で印刷し非変色性印刷層15を形成し(ステップS501)、次に、絵柄14−1の変化部分である絵柄14−2を、常温時有色から、熱変化後、無色(透明)になる1以上の熱変色性インキ13で印刷し、熱変色性印刷層16を形成する(ステップS502)。
【0021】
また、容器基材11に、非変色性インキ12及び有色A→有色Bの熱変色性インキ13で絵柄14を描き、熱変化後に、熱変色性インキ13を用いた部分の色彩又は濃淡を変化させてもよい。
【0022】
次に、図6を参照しながら、本実施例における所定のコンテンツ情報40を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードであるカラーコード情報20について説明する。カラーコード情報20のエンコーディング及びデコーディング方法については、コンピュータ分野において広く行われている事項であり、本発明で規定するところではない、例えば、特願2000−397172号には、多様なカラーまたは濃淡で表現されたセルの配列を用いてデータをコードでエンコーディングし、そのエンコーディングされたコードをコンピュータと周辺装置を用いてデコーディングする方法が示されている。本実施例のカラーコード情報は、この特願2000−397172号に記されたような機械で判読できるコードを使用することができる。
【0023】
図6は、コンテンツ情報を機械で判読可能にイメージで形成されたカラーコード情報20の構成を示す図である。図6は、カラーコード情報20の一例であり、カラーコード情報20は少なくとも二つの領域、データ領域21とパリティ領域22から構成され、各領域には少なくとも一つのセルを有する。データ領域21は、情報の内容によって色彩または濃淡がエンコーディングされて表示される少なくとも一つのデータセルで形成され、パリティ領域22は、データ領域21に表示されたセルの認識エラー検査のためのパリティセルで形成される。
【0024】
また、カラーコード情報20には参照領域及び制御領域(図示せず)が、必要に応じて、更に含まれる。参照領域は、データ領域21に形成されたデータセル31の色彩または濃淡を判断するための基準色彩または基準濃淡を提供する少なくとも一つの参照セルで形成される。制御領域はデータ領域21に表示された情報を用いて提供される命令やサービスを表示する少なくとも一つの制御セルで形成される。
【0025】
データ領域21は文字などがイメージでエンコーディングされた一つ以上のデータセル31で構成される。データセル31はその各々が一つの文字のような情報を示すように構成され、また多数個のデータセルセットが一つまたはそれ以上の情報を示すように構成することもできる。例えば、文字“A”を赤色セル一つで表現したり赤色と緑色の二つのセルで表現できる。
データ領域21に含まれるコンテンツ情報(目的情報)40は文字、数字、記号よりなされ、文字、数字、記号、コンテンツ提供サーバのURL情報、コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、ネットワークを特定する識別情報、属性情報など、使用者の必要によって多様になりうる。
【0026】
パリティ領域22は、コンテンツ情報40の内容に対応して色彩または濃淡がデータセル31に適合して表現されているかどうかを判別するのに使われる。パリティ領域22はデータセルに表示された色彩または濃淡に対応して規定されたコード値によってパリティデータを求め、パリティデータに対応する色彩または濃淡でパリティセルを形成し、パリティセルがコードイメージ内に多様に位置する。例えば、同じ列にあるセルに対するパリティ情報を有する行パリティセル32−1、・・・、32−4が最右側列に表示されると同時に同じ行にあるセルに対するパリティ情報を有する列パリティセル33−1、・・・、33−4が最下側行に表示された例を示す。そして、列パリティセルと行パリティセルに対するパリティ情報を有するポジションセル34を含む。
【0027】
各領域に表示されるセル15のカラーはRGB(Red Green Blue)カラーモデル、HSV(Hue Saturation Value)カラーモデル、CMY(Cyan、Magenta、Yellow)モデル、HLS(Hue
angle、Lightness、Saturation)モデル中で少なくともいずれか一つの方式に基づいてカラーが赤色、緑色、青色、黒色で表示される。また、白黒濃淡(グレースケール)によってコードを形成する場合にも参照領域に表示された黒色及び/または白色を基準として各セルの情報を正確に認識することができる。尚、各セルの中心部から40%を占める色彩または濃淡で認識可能とする。
【0028】
少なくともデータ領域21、パリティ領域22を含むカラーコード情報20は、マトリックス状のコードイメージからなり、例えば、5×5ブロック、5×8ブロックのセルからなる。
【0029】
次に、本発明に係る容器10作製時のカラーコード情報20のエンコード処理を実施するエンコーディングシステム100の一例を説明する。図7は、本発明に係る容器(コップ)10の絵柄14に付与されるカラーコード情報20のエンコード処理を実施するエンコーディングシステム100を示す図である。図7に示すように、エンコーディングシステム100は、コンピュータ101、プリンタ102、容器10等からなる。コンピュータ101は、パーソナルコンピュータ等であり、エンコーディング手段103を有し、目的情報としてコンテンツ情報(例えば、URL情報)を入力し、エンコーディングによってカラーコード情報20を含む絵柄14のコードイメージを生成し、プリンタ102でコードイメージを容器(コップ)10の印刷媒体に印刷する。
【0030】
次に、図8を参照しながら、エンコーディング手段103によるエンコード処理について詳しく説明する。図8は、コンテンツ情報40をカラーコード情報20のコードイメージでエンコード処理を行うフローチャートの一例である。
予め、数字、記号を含む認識できる各文字と、色彩または濃淡(またはグレーレベル)が対応付けられたコード変換テーブルを設定しておく。
【0031】
コンピュータ101の制御部は、コードイメージに変換する目的情報を入力する(ステップS801)。目的情報は、コンテンツ情報40、又はコンテンツ情報40に関連付けられる情報である。コンテンツ情報40は、例えば、コンテンツデータ、サービスを提供するコンテンツサーバ130のURL情報である。
【0032】
コンピュータ101の制御部は、予め設定したコード変換表を用いて目的情報をエンコーディングし、目的情報に含まれた文字や数字に対応するコード値を求め、そのコード値により決まる色彩や濃淡によってデータセルに表示されるイメージを決定し、目的情報の文字を配列した順序によりイメージ化されたデータセル31を配列してデータ領域21を生成する(ステップS802)。
コンピュータ101の制御部は、データ領域21に表示されたカラーや濃淡のコード値を用いてパリティ値を求め、そのパリティ値に対応するカラーや濃淡を設定してパリティ領域22で生成する(ステップS803)。
【0033】
コンピュータ101の制御部は、所定のレイアウトによってデータ領域21及びパリティ領域22(及び、必要に応じて、参照領域及び制御領域)よりなるコードイメージであるカラーコード情報20を生成する(ステップS804)。
コンピュータ101の制御部は、プリンタ102でカラーコード情報20を含む絵柄14のコードイメージを容器10の印刷媒体に、非変色性インキ12及び/又は熱変色性インキ13で印刷する(ステップS805)。
【0034】
次に、本発明に係る完成後に現れる容器10に印刷されたカラーコード情報のデコード処理を実施するデコーディングシステムの一例を説明する。図9は、本発明に係る完成後に現れる容器10に印刷されたカラーコード情報のデコード処理を実施するデコーディングシステム200を示す図である。
【0035】
図9に示すように、デコーディングシステム200は、クライアント端末110、デコーダサーバ120、コンテンツサーバ130、容器10、ネットワーク109等からなる。
【0036】
デコーディングシステム200は、ネットワーク109を介して、クライアント端末110、デコーダサーバ120、コンテンツサーバ130が接続される。尚、デコーディングシステム200は、WWW(World Wide Web)技術を用いて実現した構成図である。
【0037】
クライアント140は、容器10の使用者であり、クライアント端末110を有する。クライアント端末110は、携帯型端末、パーソナルコンピュータ等であり、撮像手段、カラーコード情報読取手段111、デコーディング手段112、Webブラウザを有する。クライアント端末110は、例えば、カメラ付携帯電話等の撮像機能を有する携帯型端末であり、カメラにより、容器10の表面に現れるカラーコード情報20を撮像し、カラーコード情報読取手段111によりカラーコード情報20を読み取り、デコーディング手段112により読み取ったカラーコード情報20のデコード処理を行う。クライアント端末110は、デコード情報42をデコーダサーバ120に送信し、デコーダサーバ120から返信されたコンテンツ情報40を用いて、コンテンツサーバ130にアクセスし、撮影したカラーコード情報20に応じたコンテンツデータ41を提供するWebページを表示、閲覧する。
【0038】
デコーダサーバ120はパーソナルコンピュータ等であり、コンテンツ特定手段122を有する。コンテンツ特定手段122は、受信したデコード情報42からコンテンツ情報40を特定する。
【0039】
コンテンツサーバ130はパーソナルコンピュータ等であり、コンテンツ提供手段131を有し、クライアント端末110からのURL情報によるアクセス要求に伴い、該当するコンテンツデータやサービスを提供する。
【0040】
次に、図10を参照しながら、本実施の形態によるコードイメージからなるカラーコード情報のデコード処理を説明する。図10は、本実施の形態によるコードイメージからなるカラーコード情報のデコード処理の処理手順を示すフローチャートの一例である。
【0041】
クライアント140がクライアント端末110の撮像機能(カメラ)を用いて容器(コップ)10の表面上の、お湯を注ぐ等の温度変化に応じた熱変色後の絵柄14のカラーコード情報20を撮影することにより、クライアント端末110の制御部は、カラーコード情報読取手段111により、データ領域とパリティ領域(及び、もし存在すれば、参照領域と制御領域)で形成されたコードイメージであるカラーコード情報20を入力する(ステップS1001)。
尚、カラーコード情報20は、認識された赤色、緑色、青色、黒色以外の色彩のセルについては、読み飛ばす。例えば、本実施の形態の図1、2等に示すカラーコード情報20内の黄色は読み飛ばされる。
【0042】
クライアント端末110は、取得したコードイメージであるカラーコード情報20のデコード処理を行い(ステップS1002)、デコード情報42(例えば、10桁の数値等)をデコーダサーバ120に送信する(ステップS1003)。
デコーダサーバ120は、デコード情報42を受信し(ステップS1004)、入力したデコード情報42から、記憶部に定義、格納されるテーブル等を用いて、対応付けられる元来のコンテンツ情報40を抽出、特定するコンテンツ特定処理を行う(ステップS1005)。
デコーダサーバ120は、抽出したコンテンツ情報40をクライアント端末110に返信する(ステップS1006)。
【0043】
クライアント端末110は、コンテンツ情報40を表示する(ステップS1007)。
コンテンツ情報40がコンテンツサーバ130のURL、コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、IPアドレス等のネットワークを特定する識別情報である場合、クライアント端末110は、URLに示されるアドレスにアクセスする(ステップS1008)。
コンテンツサーバ130は、クライアント端末110からのURLによるアクセス要求に伴い、該当するコンテンツデータ41やサービスを提供する(ステップS1009)。
クライアント端末110は、コンテンツデータ41やサービス等を取得する(ステップS1010)。
【0044】
デコーディング手段112によるデコード処理は、コードイメージからコード変換表で定義された通りに元来の目的情報を抽出し、更に、コードイメージに含まれた形態、カラー、パターン、文字を検索する処理、歪んだイメージを補正する処理等を有する。ここで、RGB(Red、Green、Blue)モデル、HSV(Hue angle、Saturation、Value)モデル、CMY(Cyan、Magenta、Yellow)モデル、HLS(Hue
angle、Lightness、Saturation)モデル中で一つ以上の方法を使用してカラーを判別することができる。データ領域21、パリティ領域22または制御領域にあるセルの色彩を検出した後、基準色彩との色差を検出して各セルに対するコード値に変換する。パリティ領域22から求めたコード値、即ち、パリティデータによってコードイメージの各列と行に対するパリティのエラー有無を検査する。求めた各セルのコード値がコード変換表によって数字、記号を含む認識できる文字からなる元来の目的情報に変換される。
【0045】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、容器(コップ)10は、容器基材11に、非変色性インキ12及び熱変色性インキ13を用いて、カラーコード情報20を含む絵柄14のコードイメージを印刷し、温度変化に応じて熱変色後、カラーコード情報20を付与する絵柄14が現れる。クライアント端末(カメラ付携帯電話)110は、カメラを用いて、カラーコード情報20を読み取り、カラーコード情報20のデコード処理を行う。クライアント端末110は、ネットワーク109を介して、デコーダサーバ110にデコード情報を送り、デコーダサーバ110は、受信したデコード情報42からコンテンツ情報40を抽出、特定し、クライアント端末110に返信する。クライアント端末110は、再生されたコンテンツ情報40を基に、ネットワーク109を介して、コンテンツサーバ130にアクセスし、コンテンツデータを取得する。
【0046】
これにより、容器は、温度変化に応じて、非変色性インキよる絵柄と、熱変色性インキによる絵柄とから、可逆的に複数の異なる様相を視覚的に実現させ、図柄模様や色変化の妙味、驚き、楽しさ等を提供することに加えて、更に、容器表面上に所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードを印刷することにより、コンテンツ配信サイトへの誘導をするコンテンツ情報を提供することを可能とし、容器の商品性を高めるという効果を奏する。
また、コンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードであるカラーコード情報を容器に付加していることにより、デジタルカメラを備えた機器で読取可能とし、容易に利用者にのみ有用なコンテンツデータを入手・利用することができる。
【0047】
尚、本実施の形態では、クライアント端末110側でデコード処理を行い、デコード情報をデコーダサーバ120に送り、デコーダサーバ120側で受信したデコード情報からコンテンツ情報を特定したが、これに限らない。デコーダサーバ側でカラーコード情報のデコード処理及びコンテンツ特定処理を実施してもよい。また、クライアント端末側でカラーコード情報のデコード処理及びコンテンツ特定処理を実施してもよい。
【0048】
図11は、デコーダサーバ側でカラーコード情報のデコード処理及びコンテンツ特定処理を実施するデコーディングシステム300を示す図である。
図11に示すように、デコーディングシステム300では、クライアント端末110は、カメラにより、容器10の表面に現れるカラーコード情報20を撮像し、カラーコード情報読取手段111によりカラーコード情報20を読み取り、カラーコード情報20をデコーダサーバ120に送信し、デコーダサーバ120は、デコーディング手段121、コンテンツ特定手段122により、受信したカラーコード情報のデコード処理を行い、デコード情報からコンテンツ情報を特定する。デコーダサーバ120は、特定したコンテンツ情報40を用いて、直接、コンテンツ提供サーバ130にアクセスし、コンテンツ提供サーバ130を介して、コンテンツデータ41をクライアント端末110へ配信する。また、デコーダサーバ120は、特定したコンテンツ情報40を、クライアント端末にコンテンツ情報40を返信し、クライアント端末110からアクセスしてもよい。
【0049】
図12は、クライアント端末側でカラーコード情報のデコード処理及びコンテンツ特定処理を実施するデコーディングシステム400を示す図である。
図12に示すように、デコーディングシステム400では、クライアント端末110は、カメラにより、容器10の表面に現れるカラーコード情報20を撮像し、カラーコード情報読取手段111によりカラーコード情報20を読み取り、デコーディング手段112により、カラーコード情報20のデコード処理を行い、解読したデコード情報からコンテンツ情報を特定し、特定したコンテンツ情報40を用いて、コンテンツサーバ130にアクセスし、コンテンツデータを取得する。また、直接、特定したコンテンツ情報(例えば、記録媒体上の識別情報)を用いて、記録媒体140(例えば、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード(CFカード)、フロッピー(登録商標)ディスク、PCカード、CD−ROM等)からコンテンツデータを読み込んでもよい。
【0050】
更に、本実施の形態では、お湯を注ぐ等の温度上昇による熱変色性インキが変色するケースを説明したが、これに限らず、冷水を注ぐ等の温度下降による熱変色性インキが変色するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、クライアント端末110としてカメラ付携帯電話を使用したが、クライアント端末110として、パーソナルコンピュータを使用し、撮像手段としてデジタルカメラを用いてもよい。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る容器10等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施の形態に係る容器10の常温(変化前)及び熱変化後の外観斜視図
【図2】本実施の形態に係る容器10の常温(変化前)及び熱変化後の外観斜視図
【図3】容器(コップ)10の胴部外表面の拡大断面図
【図4】容器(コップ)10の外表面に、熱変化後、絵柄14が浮き出る印刷手順を示す外観斜視図及び断面図
【図5】容器(コップ)10の外表面に熱変化後絵柄14が変わる印刷手順を示す外観斜視図及び断面図
【図6】コンテンツ情報を機械で判読可能にイメージで形成されたカラーコード情報20の構成を示す図
【図7】本発明に係る容器(コップ)10の絵柄14に付与されるカラーコード情報20のエンコード処理を実施するエンコーディングシステム100を示す図
【図8】コンテンツ情報40をカラーコード情報20のコードイメージでエンコード処理を行うフローチャート
【図9】本発明に係る完成後に現れる容器10に印刷されたカラーコード情報のデコード処理をクライアント端末側で行い、デコーダサーバ側でコンテンツ特定処理を行うデコーディングシステム200を示す図
【図10】本実施の形態によるコードイメージからなるカラーコード情報のデコード処理の処理手順を示すフローチャート
【図11】本発明に係る容器10に印刷されたカラーコード情報のデコード処理及びコンテンツ特定処理をデコーダサーバ側で実施するデコーディングシステム300を示す図
【図12】本発明に係る容器10に印刷されたカラーコード情報のデコード処理及びコンテンツ特定処理をクライアント端末側で実施するデコーディングシステム400を示す図
【符号の説明】
【0053】
10………容器
11………容器基材
12………非変色性インキ
13………熱変色性インキ
14、14−1、14−2………絵柄
15………非変色性印刷層
16………熱変色性印刷層
20………カラーコード情報
21………データ領域
22………パリティ領域
31………データセル
40………コンテンツ情報(URL)
32−1、32−4………行パリティセル
33−1、33−4………列パリティセル
34………ポジションセル
100………エンコーディングシステム
101………コンピュータ
102………プリンタ
103………エンコーディング手段
109………ネットワーク
110………クライアント端末
111………カラーコード情報読取手段
112、121………デコーディング手段
113、122………コンテンツ特定手段
120………デコーダサーバ
130………コンテンツサーバ
131………コンテンツ提供手段
200、300、400………デコーディングシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用前後に温度差が発生する容器であって、
前記容器の外側表面に、文字及び/又は絵柄を熱変色性インキで印刷する、温度変化により、可逆的に色が変化する熱変色性印刷層と、
文字及び/又は絵柄を非変色性インキで印刷する非変色性印刷層と、
を備え、
前記熱変色性印刷層及び/又は前記非変色性印刷層に、所定のコンテンツ情報を色彩又は濃淡に対応してコード化した機械で判読可能なコードが付与され、前記機械で判読可能なコードは常温では隠蔽され、温度変化に応じて可逆的に現れることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記機械で判読可能なコードは、色彩又は濃淡によって情報をコード化した機械で判読可能なコードを機械的に識別可能な読取機能を備えたクライアント端末で読み取られ、前記クライアント端末、及び/又は、ネットワークを介して接続されるデコーダサーバを介して、読み取った前記機械で判読可能なコードのデコード処理を行われ、デコード処理結果から前記コンテンツ情報に再生されることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記クライアント端末は、再生された前記コンテンツ情報を基に、ネットワークを介して、コンテンツ提供サーバ、又は記録媒体にアクセスし、コンテンツデータを取得することを特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記コンテンツ情報は、前記コンテンツ提供サーバのURL情報、前記コンテンツ提供サーバ内のコンテンツを特定する識別情報、ネットワークを特定する識別情報、属性情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−328420(P2007−328420A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157354(P2006−157354)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】