説明

容器

【課題】液状化粧品等のハンディタイプの容器として、流体封入袋を付け替えるだけでケーシングやポンプ等を繰り返し使用することができ、流体封入袋へのポンプの接続作業が容易であり、空気との接触による内容物の変質を効果的に防止できる。
【解決手段】容器1は、流体が充填された袋2、垂直貫通孔30を有し袋の上部開口に固定された雌コネクタ3および垂直貫通孔を閉鎖するプラグ4よりなるカートリッジ11と、これを収容するケーシング12と、ケーシングの上端部に取り付けられる蓋5、蓋に設けられたポンプ6およびポンプから下方にのびて垂直貫通孔に挿入される雄コネクタ7よりなる上部ユニットとを備える。雄コネクタは、内部に流体通路71を有し下端付近に連通孔72を有するものであって、垂直貫通孔に挿入されることにより、その下端でプラグが押し下げられて雌コネクタの下端部から外れ、連通孔が袋内に臨ませられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を包装するための容器に関し、より詳細には、液状化粧品等の内容物を所定量ずつ吐出させるポンプを備えたハンディタイプの容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば化粧水、美容液等の液状化粧品を包装するハンディタイプの容器として、液状化粧品が充填される有底筒状のケーシングと、ケーシングの上端部に取り付けられる蓋と、蓋に設けられてケーシング内の化粧品を所定量ずつ吐出させるポンプとを備えたものが一般的に知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
しかしながら、上記の容器の場合、内容物である化粧品を使い切ったら、容器全体が廃棄されてしまうため、環境面で問題があり、また、価格面でも割高になってしまうという問題があった。加えて、上記の容器にあっては、ケーシングに充填された内容物をポンプで最後まで吐出させることができず、ケーシングの底に内容物が残ってしまうおそれがあった。さらに、上記の容器の場合、ケーシングの形状が全ての高さにおいて同一の断面を有する円筒形や角筒形に限定されるため、デザイン性の面でも制約があった。
【0003】
そこで、以上のような問題点を解決する手段として、液状化粧品が封入された袋をケーシング内に収容した後、ポンプの先端に設けた針状の吸液管を袋に刺して使用する容器も提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
この容器によれば、袋内の化粧品を使い切ったら、ケーシングから袋を取り出して新しい化粧品封入袋と付け替えればよく、袋以外の構成部品を繰り返し使用することができるので、廃棄物の減少につながり、また、消費者は、付け替え用の化粧品封入袋のみを購入すれば足りるので、経済的である。しかも、上記の容器にあっては、袋が弾性変形することで内容物を最後までポンプで吐出させることができる上、外観を構成するケーシングの形状の多様化を図ることが可能となる。
【0004】
しかしながら、上述した付け替え式の容器にあっては、化粧品封入袋にポンプの吸液管を刺して接続する作業が難しく、特に、容器をハンディタイプにする場合には、袋も小さなサイズにする必要があることから、更に上記作業が困難になると考えられる。
また、上記の容器の場合、吸液管を袋に刺した際に液状化粧品が飛び散るおそれがある上、袋に亀裂が生じて液状化粧品が漏れるおそれがあった。
さらに、上記の容器では、吸液管を袋に刺す際や吸液管を袋に刺した状態において、袋内に空気が入ることによって内容物が変質するおそれがあり、衛生上好ましくなかった。
【特許文献1】特開2006−44781号公報
【特許文献2】登録実用新案第3001612号公報
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、液状化粧品等の流体を内容物とするハンディタイプの容器として、流体封入袋を付け替えるだけでケーシングやポンプ等の他の構成部品については繰り返し利用することができ、しかも、流体封入袋へのポンプの接続作業が容易であって、その際に内容物が飛散したり漏出するおそれがなく、使い勝手に優れている上、空気との接触による内容物の変質を効果的に防止することができるものを提供することにある。
【0006】
本発明による容器は、内部に流体が充填された袋、垂直貫通孔を有しかつ袋の上部開口に固定された雌コネクタ、および雌コネクタの下端部に係合して垂直貫通孔を閉鎖するプラグよりなるカートリッジと、カートリッジを収容する略有底筒状のケーシングと、ケーシングの上端部に着脱自在に取り付けられる蓋、蓋に設けられた流体吐出用ポンプ、およびポンプから下方にのびかつ雌コネクタの垂直貫通孔に挿入される雄コネクタよりなる上部ユニットとを備え、雄コネクタは、内部に軸方向にのびる流体通路を有し、下端付近に流体通路に通じるように周面に開口した連通孔を有するものであって、雌コネクタの垂直貫通孔に挿入されることにより、その下端でプラグが押し下げられて雌コネクタの下端部から外れるとともに連通孔が袋内に臨ませられるようになっているものである。
【0007】
本発明の容器にあっては、例えば次のような手順(以下、「第1の組立手順」という)で組み立てることができる。即ち、まず、カートリッジの雌コネクタに、上部ユニットの雄コネクタを上方から挿入する。そうすると、雄コネクタの下端でプラグが押し下げられて、プラグが雌コネクタの下端部から外れ、また、雄コネクタの下端付近に形成された連通孔が袋内に臨ませられる。次に、上記作業によって上部ユニットと一体化されたカートリッジをケーシングに収容し、ケーシングの上端部に蓋を取り付ける。こうして、容器の組立が完了し、内容物たる流体をポンプで吐出して使用することができる。
また、容器は、次のような手順(以下、「第2の組立手順」という)によっても組み立てられる。即ち、まず、ケーシング内にカートリッジを収容し、次いで、該カートリッジの雌コネクタに上部ユニットの雄コネクタを上方から挿入し、その後、ケーシングの上端部に蓋を取り付けるようにしてもよい。
袋内の流体を使い切ったら、ケーシングから蓋を取り外して、上部ユニットと一体化されたカートリッジをケーシングから取り出す。次いで、上部ユニットの雄コネクタを、カートリッジの雌コネクタから引き抜いた後、先のいずれかの組立手順に従って、流体が封入された新たなカートリッジに付け替えればよい。
つまり、本発明の容器によれば、流体が封入された袋を主たる構成要素とするカートリッジのみを付け替えれば、ケーシングおよび上部ユニットについては繰り返し使用することができるので、廃棄物の減少につながる上、経済的である。しかも、本発明の容器によれば、カートリッジへの上部ユニットの接続が専ら雌コネクタへの雄コネクタの挿入によって行われるため、その作業が容易であり、また、その際に内容物が飛散したり漏出するおそれがなく、使い勝手に優れており、さらには、袋内への空気の進入も効果的に防止されるため、内容物が変質するおそれがなく、衛生的である。とりわけ、本発明の容器の場合、装置全体の構成が単純であって、カートリッジへの上部ユニットの接続が容易であることから、全体を小型化することが可能となり、液状化粧品等の流体を包装するハンディタイプの容器として好適に使用することができる。
【0008】
本発明による容器の好ましい態様(第1の態様)として、雌コネクタの外周面に第1の外方凸部が形成されているとともに、ケーシングの内周面に、カートリッジをその下端がケーシングの底壁に接する位置またはそれよりも高い位置に保持しうるように第1の外方凸部を受けるカートリッジ保持部が形成されている。
【0009】
上記第1の態様によれば、特に、本発明の容器を第2の手順に従って組み立てる際にメリットがある。即ち、ケーシングにカートリッジを収容した際、該カートリッジは、第1の外方凸部がカートリッジ保持部で受けられることにより、その下端がケーシングの底壁に接する位置またはそれよりも高い位置に保持されるため、雄コネクタを上方から挿入する際に雌コネクタの位置がずれるおそれがなく、挿入作業が容易となる。
また、上記第1の態様によれば、第1の手順に従って容器を組み立てるに際しても、ケーシングへの蓋の取付時にカートリッジの袋が不用意に圧迫されるおそれが無く、安全に作業を進められるというメリットがある。
【0010】
第1の外方凸部は、通常、雌コネクタにおける袋の上部開口よりも上方に突出した部分の外周面に形成され、その形状は、外周面の全周にわたる環状となされる他、周方向に間隔をおいて複数形成されてもよい。
カートリッジ保持部は、通常、ケーシングの内周面に上向きに形成された環状段差よりなるが、ケーシングの内周面に形成された環状の内方凸部または周方向に間隔をおいて形成された複数の内方凸部によって構成することも可能である。
【0011】
上記第1の態様において、より好ましくは、更に、雌コネクタの外周面における第1の外方凸部よりも下方位置に、先端がケーシングの内周面またはカートリッジ保持部の内側面に接する第2の外方凸部が形成されている。
【0012】
上記の場合、第2の外方凸部の先端がケーシングの内周面またはカートリッジ保持部の内側面に接することによって、ケーシング内に収容されたカートリッジの位置ズレがさらに起こりにくくなるため、第2の手順に従って本発明の容器を組み立てる際において、雌コネクタに雄コネクタを挿入する作業が更に容易となり、また、使用時にも、ケーシング内においてカートリッジが安定した状態に保持される。
第2の外方凸部も、通常、雌コネクタにおける袋の上部開口よりも上方に突出した部分の外周面において、第1の外方凸部よりも下方の位置に形成され、また、その形状は、外周面の全周にわたる環状となされるが、周方向に間隔をおいて複数形成されることもある。
なお、第2の外方凸部の先端が接する対象は、ケーシング側の構造に応じて定まり、例えば、カートリッジ保持部がケーシングの内周面に上向きに形成された環状段差よりなる場合には、ケーシングにおける環状段差よりも下方部分の内周面に第2の外方凸部の先端が接することになる。
【0013】
本発明による容器のもう1つの好ましい態様(第2の態様)として、雌コネクタの外周面に、ケーシングの上端面に受けられる外方凸部が形成されているとともに、ケーシングが、その上端面で雌コネクタの外方凸部を受けることにより、カートリッジをその下端がケーシングの底壁に接する位置またはそれよりも高い位置に保持しうるような高さを有している場合がある。
【0014】
上記第2の態様によれば、第1の態様の場合と同様に、本発明の容器を第2の手順に従って組み立てるにあたって雄コネクタを上方から挿入する際に雌コネクタの位置がずれるおそれがなく、挿入作業が容易となり、また、第1の手順に従って容器を組み立てるに際しても、ケーシングへの蓋の取付時にカートリッジの袋が不用意に圧迫されるおそれが無く、安全に作業を進められるというメリットがある。加えて、上記第2の実施態様の場合、ケーシングのサイズをより小さくすることが可能になる。
外方凸部は、通常、雌コネクタにおける袋の上部開口よりも上方に突出した部分の外周面に形成され、その形状は、外周面の全周にわたる環状となされる他、周方向に間隔をおいて複数形成されてもよい。
【0015】
なお、上記第2の態様においては、第1の態様と比べて、雌コネクタの外方凸部とこれを受けるケーシング部分、即ち、ケーシングの上端面との接触面積を大きくとることができるため、それだけでもケーシング内におけるカートリッジの安定度は比較的高いといえる。
但し、第1の態様の場合と同様に、更に、雌コネクタの外周面における外方凸部よりも下方位置に、先端がケーシングの内周面に接する第2の外方凸部を形成するようにしてもよい。この場合、第2の外方凸部の先端がケーシングの内周面に接することによって、ケーシング内に収容されたカートリッジの位置ズレがさらに起こりにくくなるため、第2の手順に従って本発明の容器を組み立てる際において、雌コネクタに雄コネクタを挿入する作業が更に容易となり、また、使用時にも、ケーシング内においてカートリッジがより安定した状態に保持される。
【0016】
本発明による容器において、ケーシングの上端部への蓋の取付手段としては、ネジ手段が好適に用いられる。
ネジ手段は、例えば、ケーシングの上端部に形成された雄ネジと、蓋に形成された雌ネジとで構成されるが、これと逆であってもよい。
【0017】
蓋の取付手段としてネジ手段を用いれば、特に、本発明の容器を第2の手順に従って組み立てる際に、特有の作用効果が奏される。即ち、ケーシングにカートリッジを収容した後、蓋をケーシングの上端部にねじ込めば、それに付随して雄コネクタが雌コネクタに挿入されるため、コネクタどうしの接続に手間がかからず、更に作業性および使い勝手が向上する。
なお、上記の取付手段は、ケーシングの上端部に蓋を着脱自在に取り付けられるものであればよく、ネジ手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜図4には、本発明の第1の実施形態が示されている。この実施形態は、本発明を、液状化粧品を内容物とするハンディタイプの容器に適用したものである。
【0019】
図示の容器(1)は、液状化粧品(図示略)が封入されたカートリッジ(11)と、カートリッジを収容する有底筒状のケーシング(12)と、ケーシング(12)の上部に装着される上部ユニット(13)とを備えている。
カートリッジ(11)は、内部に液状化粧品が充填された袋(2)と、垂直貫通孔(30)を有しかつ袋(2)の上部開口に固定された雌コネクタ(3)と、雌コネクタ(3)の下端部に係合して垂直貫通孔(30)を閉鎖するプラグ(4)とよりなる。
上部ユニット(13)は、ケーシング(12)の上端部に着脱自在に取り付けられる蓋(5)と、蓋(5)に設けられた流体吐出用ポンプ(6)と、ポンプ(6)から下方にのびかつ雌コネクタ(3)の垂直貫通孔(30)に挿入される雄コネクタ(7)とよりなる。
【0020】
袋(2)は、1枚または複数枚のフィルムを貼り合わせることにより形成されたパウチよりなり、この実施形態では、内容物が充填された際にほぼ細長い円筒形をなす自立型の形態を有している(図2参照)。袋(2)の容量は、例えば5〜200ml程度となされる。
【0021】
雌コネクタ(3)は、熱可塑性樹脂製であって、下半部が袋(2)の上部開口に嵌め入れられてヒートシールされる短円筒状の基部(301)と、基部(301)の下端開口を塞ぐように水平に設けられかつ中心部に円形の孔を有する底部(302)と、底部(302)の孔周縁から上方にのびる円筒状上方凸部(303)と、底部(302)の孔周縁から下方にのびる先細り筒状の係止部(304)とを備えている。垂直貫通孔(30)は、底部(302)の孔とこれに連なる上方凸部(303)および係止部(304)の内部とで構成されている。係止部(304)の下端部には、環状内方凸部(305)が形成されている。基部(301)における外周面の上端には、水平環状の第1のフランジ部(第1の外方凸部)(31)が形成されている。また、基部(301)の外周面の高さ中間位置、より詳細には、基部(301)の上半部における外周面の下端に、水平環状の第2のフランジ部(第2の外方凸部)(32)が形成されている。第2のフランジ部(32)の外径は、第1のフランジ部(31)の外径よりもやや小さくなっている。
【0022】
プラグ(4)は、雌コネクタ(3)と一体に成形された下向きキャップ状のものであって、可撓性を有する左右2つの連結部(41)を介して、雌コネクタ(3)の係止部(304)外周面から底部(302)下面にかけての部分に連結されている。プラグ(4)の周壁内面は、底壁に向かって漸次縮径されている。プラグ(4)の周壁の上半部は、雌コネクタ(3)の係止部(304)に嵌め込まれるようになっている。プラグ(4)の周壁外面の高さ中間に環状段差(42)が形成され、この環状段差(42)に雌コネクタ(3)の係止部(304)先端が受けられるようになっている。プラグ(4)の上端部外面には、係止部(304)の環状内方凸部(305)と係合する環状外方凸部(43)が形成されている。また、プラグ(4)の上端部内面には、環状内方凸部(44)が形成されている。
なお、プラグ(4)は、必ずしも雌コネクタ(3)と一体に成形されていることを要せず、連結部なしで雌コネクタから独立したものとすることも可能である。
【0023】
ケーシング(12)は、細長い有底円筒状のものであって、その周壁の上端部に雄ネジ部(123)を有している。なお、ケーシング(12)は、種々の形態をとりうるものであり、例えば、高さ中間において括れた形状のケーシングを使用することも可能である。ケーシング(12)は、通常、合成樹脂によって形成されるが、金属製やガラス製としてもよい。
ケーシング(12)の内周面には、その上端よりもやや下方位置に、上向きの水平環状段差(122)が形成されていて、同段差(122)よりも下方部分の内径が上方部分の内径よりも若干小さくなっている。この段差(122)によって、カートリッジ(11)をその下端がケーシング(12)の底壁(121)にほぼ接する位置に保持しうるように第1のフランジ部(31)を受けるカートリッジ保持部(122)が構成されている。
また、カートリッジ(11)の第1のフランジ部(31)がケーシング(12)のカートリッジ保持部(122)で受けられた状態において、カートリッジ(11)の第2のフランジ部(32)は、ケーシング(12)におけるカートリッジ保持部(122)よりも下方部分の内周面に接するようになっている。
【0024】
蓋(5)は、互いに結合された第1蓋部材(5A)および第2蓋部材(5B)よりなる。
第1蓋部材(5A)は、中心部に円形の孔を有しかつケーシング(12)の上部開口を覆うように配される平面より見てドーナツ形の水平壁部(51)と、水平壁部(51)の外周縁から下方にのびかつケーシング(12)の雄ネジ部(123)にねじ合わせられる雌ネジ部(521)を有する垂下壁部(52)と、水平壁部(51)の内周縁から上方にのびかつ雄ネジ部(531)を有する筒状凸部(53)とを備えている。
第2蓋部材(5B)は、第1蓋部材(5A)の筒状凸部(53)の上方に配される頂壁部(54)と、頂壁部(54)の周縁から下方にのびかつ筒状凸部(53)の雄ネジ部(531)にねじ合わせられる雌ネジ部(551)を有する垂下壁部(55)とを備えている。
なお、この実施形態では、第1蓋部材(5A)と第2蓋部材(5B)とをネジ手段(531)(551)によって結合しているが、両部材を嵌め殺しや接着等の分離不能な手段によって結合することも可能である。
【0025】
ポンプ(6)は、ピストン、バネおよび逆止弁(いずれも図示略)が内装されかつ第2蓋部材(5B)の頂壁部(54)に上下貫通状に固定されたシリンダ(61)と、ピストンに連なってシリンダ(61)から上方にのびる中空状シャフト(図示略)と、シャフトの上端に設けられたプッシュボタン(62)と、プッシュボタン(62)から側方に突出するようにプッシュボタン(62)と一体に形成されかつシャフトと連通させられている吐出口(63)とを備えている。
【0026】
雄コネクタ(7)は、内部に軸方向にのびる流体通路(71)を有しかつ下端付近に流体通路(71)に通じるように周面に開口した連通孔(72)を有する棒状部(73)と、棒状部(73)の下端に連なって設けられかつプラグ(4)に係合する頭部(74)とを備えている。この雄コネクタ(7)は、合成樹脂または金属によって形成されている。
頭部(74)の外周面は、下端に向かって漸次縮径されていて、プラグ(4)の内部に嵌め入れられるようになっている。また、頭部(74)の上端部外面に、プラグ(4)の環状内方凸部(44)が係り止められる環状溝(741)が形成されている。
棒状部(73)には、その下端から上端に向かって、最も径の小さい径小部(731)、2番目に径の小さい中間径部(732)、最も径の大きい径大部(733)が、それぞれテーパ筒状の継ぎ目部分を介して順次形成されている。径大部(733)から中間径部(732)にかけての内部には、ポンプ(6)のシリンダ(61)のうち下方に突出した部分が嵌め入れられている。連通孔(72)は、径小部(731)に周方向に間隔をおいて複数形成されている。
【0027】
ここで、カートリッジ(11)への液状化粧品の充填方法の一例を、図1および図4を参照して説明する。
まず、雄コネクタ(7)と実質的に同一の構造を有する充填ノズルを用意し、同ノズルを雌コネクタ(3)の垂直貫通孔(30)に上方から挿入すると、雌コネクタ(3)の係止部(304)に係合していたプラグ(4)にノズルの頭部(74)が嵌まり込み、次いで、プラグ(4)が下方に押されて雌コネクタ(3)の係止部(304)から外れる。ノズルをさらに深く垂直貫通孔(30)に挿入すると、連通孔(72)が袋(2)内に臨む位置まで移動する。これにより、ノズルの流体通路(71)から連通孔(72)を通じて袋(2)内に液状化粧品を充填することができる。
化粧品の充填完了後、ノズルを上方に引っ張ると、プラグ(4)が、ノズルの頭部(74)とともに上方に移動させられて雌コネクタ(3)の係止部(304)に係合し、雌コネクタ(3)の垂直貫通孔(30)が閉鎖される。さらに、ノズルを引き上げると、その頭部(74)がプラグ(4)から外れる。こうして、液状化粧品を空気と接触することなく袋(2)にスムーズに充填することができ、また、化粧品の充填完了と同時に袋(2)を気密状に封止することができる。
【0028】
次に、図3等を参照して、容器(1)を組み立てる手順および使用済みのカートリッジ(11)を新しいものに付け替える手順の一例を説明する。
まず、図3(a)に示すように、化粧品が封入された状態のカートリッジ(11)(図4参照)を、ケーシング(12)に上方から挿入する。
挿入されたカートリッジ(11)は、第1のフランジ部(31)がケーシング(12)内周面のカートリッジ保持部(122)で受けられることにより、その下端がケーシング(12)の底壁(121)にほぼ接する位置に保持される。また、この状態で、カートリッジ(12)の第2のフランジ部(32)の先端は、ケーシング(12)におけるカートリッジ保持部(122)よりも下方部分の内周面に接している(図3(b)および図1参照)。
次いで、カートリッジ(11)が収容されたケーシング(12)の上端部に、上部ユニット(13)の蓋(5)をねじ嵌めていくと、それに伴って、カートリッジ(11)の雌コネクタ(3)の垂直貫通孔(30)に、上部ユニット(13)の雄コネクタ(7)が上方から挿入される。そうすると、まず、雌コネクタ(3)の係止部(304)に係合していたプラグ(4)に雄コネクタ(7)の頭部(74)が嵌まり込んだ後、プラグ(4)が下方に押されて雌コネクタ(3)の係止部(304)から外れ、連通孔(72)が袋(2)内に臨む位置で雄コネクタ(3)の下降が停まる(図3(c)および図1参照)。
こうして、容器(1)の組立が完了し、ポンプ(6)のプッシュボタン(62)を押すことによって、カートリッジ(11)内の液状化粧品を吐出口(63)から吐出させることが可能となる。
【0029】
一方、カートリッジ(11)内の化粧品を使い切ったら、図3(d)に示すように、ケーシング(12)の上端部から蓋(5)を緩めて外した後、上部ユニット(13)と一体化された使用済みカートリッジ(11)をケーシング(12)から取り出す。
そして、図3(e)に示すように、上部ユニット(13)の雄コネクタ(7)を使用済みカートリッジ(11)の雌コネクタ(3)から引き抜いた後、先の組立手順に従って、新しいカートリッジ(11)に付け替えればよい。
なお、この実施形態の場合、雄コネクタ(7)を雌コネクタ(3)から引き抜く際、雄コネクタ(7)の頭部(74)がプラグ(4)を同伴し、プラグ(4)が雌コネクタ(3)の係止部(304)に係合した後、頭部(74)からプラグ(4)が外れるようになっている。
【0030】
以上の通り、この実施形態の容器(1)によれば、カートリッジ(11)のみを付け替えれば、ケーシング(12)および上部ユニット(13)については繰り返し使用することができるので、廃棄物の減少につながり、また、経済的である。
加えて、上記の容器(1)によれば、カートリッジ(11)への上部ユニット(13)の接続が専ら雌コネクタ(3)への雄コネクタ(7)の挿入によって行われる上、該挿入も、ケーシング(12)の上端部に蓋(5)をねじ込む操作に付随して自動的にかつ確実に行われるため、きわめて作業性に優れており、また、その際に内容物が飛散したり漏出するおそれがなく、使い勝手がよい。さらに、上記の容器(1)によれば、雌コネクタ(3)および雄コネクタ(7)を使用することにより袋(2)内への空気の進入が効果的に防止されるため、内容物である化粧品が変質するおそれがなく、衛生的である。
【0031】
図5には、本発明の第2の実施形態が示されている。この実施形態は、以下の点を除いて、図1〜図4に示した第1の実施形態と実質的に同一である。
即ち、図5の容器(10)においては、上部ユニット(13)の雄コネクタ(7A)として、図1〜図4の雄コネクタ(7)に形成されている頭部(74)を備えていないものが使用されている。そのため、雄コネクタ(74)の棒状部(73)の先端開口は、下端壁(75)によって閉鎖されており、この下端壁(75)によって雌コネクタ(3)の係止部(304)に係合したプラグ(4)が押し下げられるようになっている(図5(a)参照)。
なお、図示は省略したが、棒状部(73)内の流体通路(71)における連通孔(72)付近に、化粧品の逆流を防止する逆止弁を設けるようにしてもよい。
【0032】
この雄コネクタ(7A)を使用した場合、使用済みカートリッジ(11)を付け替えるにあたって同カートリッジ(11)の雌コネクタ(3)から引き抜く際、プラグ(4)を同伴しない(図5(b)参照)。
従って、第2の実施形態の容器(10)によれば、雄コネクタ(7A)の引き抜きに要する力が小さくてすむため、カートリッジ(11)の付け替え作業を更に効率よく行うことができる。
【0033】
図6には、本発明の第3の実施形態が示されている。この実施形態は、以下の点を除いて、図1〜図4に示した第1の実施形態と実質的に同一である。
即ち、図6の容器(100)においては、雌コネクタ(3)の基部(301)における外周面の上端に、ケーシング(12A)の上端面に受けられる水平環状のフランジ部(外方凸部)(31A)が形成されている。
ケーシング(12A)は、その上端面で雌コネクタ(3)のフランジ部(31A)を受けることにより、カートリッジ(11)をその下端がケーシング(12A)の底壁(121)にほぼ接する位置に保持しうるような高さを有している。
この実施形態の容器(100)によれば、図1〜4に示す容器(1)と比べて、カートリッジ(11)の袋(2)のサイズを変えることなく、ケーシング(12)のサイズ(特に外径)を小さくすることができるので、更に携帯し易くなる。
なお、図示は省略したが、この実施形態の容器(100)においても、図1〜4に示す容器(1)と同様に、基部(301)の外周面の高さ中間位置に、先端がケーシング(12A)の内周面に接する第2のフランジ部(外方凸部)を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すものであって、容器の垂直断面図である。
【図2】図1の容器を分解して示す斜視図である。
【図3】図1の容器を組み立てる手順および使用済みのカートリッジを新しいものに付け替える手順を示す垂直断面図である。
【図4】図1の容器において、雌コネクタがプラグによって閉鎖されている状態のカートリッジを拡大して示す部分垂直断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示すものであって、(a)は雌コネクタに雄コネクタが接続された状態の容器を示す部分拡大垂直断面図であり、(b)は雌コネクタから雄コネクタが外れた状態の容器を示す部分拡大垂直断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示すものであって、容器の垂直断面図である。
【符号の説明】
【0035】
(1)(10)(100):容器
(11):カートリッジ
(2):袋
(3):雌コネクタ
(30):垂直貫通孔
(31):第1のフランジ部(第1の外方凸部)
(32):第2のフランジ部(第2の外方凸部)
(31A):フランジ部(外方凸部)
(4):プラグ
(12)(12A):ケーシング
(122):カートリッジ保持部
(123):雄ネジ部
(13):上部ユニット
(5):蓋
(521):雌ネジ部
(6):流体吐出用ポンプ
(7)(7A):雄コネクタ
(71):流体通路
(72):連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体が充填された袋(2)、垂直貫通孔(30)を有しかつ袋(2)の上部開口に固定された雌コネクタ(3)、および雌コネクタ(3)の下端部に係合して垂直貫通孔(30)を閉鎖するプラグ(4)よりなるカートリッジ(11)と、
カートリッジ(11)を収容する略有底筒状のケーシング(12)(12A)と、
ケーシング(12)(12A)の上端部に着脱自在に取り付けられる蓋(5)、蓋(5)に設けられた流体吐出用ポンプ(6)、およびポンプ(6)から下方にのびかつ雌コネクタ(3)の垂直貫通孔(30)に挿入される雄コネクタ(7)(7A)よりなる上部ユニット(13)とを備え、
雄コネクタ(7)(7A)は、内部に軸方向にのびる流体通路(71)を有し、下端付近に流体通路(71)に通じるように周面に開口した連通孔(72)を有するものであって、雌コネクタ(3)の垂直貫通孔(30)に挿入されることにより、その下端でプラグ(4)が押し下げられて雌コネクタ(3)の下端部から外れるとともに連通孔(72)が袋(2)内に臨ませられるようになっていることを特徴とする、容器。
【請求項2】
雌コネクタ(3)の外周面に第1の外方凸部(31)が形成されているとともに、ケーシング(12)の内周面に、カートリッジ(11)をその下端がケーシング(12)の底壁(121)に接する位置またはそれよりも高い位置に保持しうるように第1の外方凸部(31)を受けるカートリッジ保持部(122)が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の容器。
【請求項3】
雌コネクタ(3)の外周面における第1の外方凸部(31)よりも下方位置に、先端がケーシング(12)の内周面またはカートリッジ保持部(122)の内側面に接する第2の外方凸部(32)が形成されていることを特徴とする、請求項2記載の容器。
【請求項4】
雌コネクタ(3)の外周面に、ケーシング(12)の上端面に受けられる外方凸部(31A)が形成されているとともに、ケーシング(12A)が、その上端面で雌コネクタの外方凸部(31A)を受けることにより、カートリッジ(11)をその下端がケーシング(12A)の底壁(121)に接する位置またはそれよりも高い位置に保持しうるような高さを有していることを特徴とする、請求項1記載の容器。
【請求項5】
ケーシング(12)(12A)の上端部への蓋(5)の取付手段がネジ手段であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−166862(P2009−166862A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5872(P2008−5872)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000145987)株式会社昭和丸筒 (28)
【Fターム(参考)】