説明

容器

【課題】1枚の合成樹脂フィルムから成るシートを折曲して形成された容器本体を備える容器を提供する。
【解決手段】合成樹脂フィルムから成る矩形状の本体シートの各縁部の内側に帯状壁5を介して平行に延びる山折線と、該山折線の内側に襠壁6を介して平行に延びる谷折線を設け、本体シートの中央部に底壁7が設けられている。本体シートは、コーナ部8のシート縁部を含んで谷折線に沿って谷折り状に折曲すると共に山折線に沿って山折り状に折曲することにより、前記襠壁6の両端部に位置して折曲されたシート縁部に折込み状のギャザー部13を備える折曲偏平体を構成し、前記ギャザー部13をサンドイッチ状に固着した固着部14を形成することにより、前記底壁7の下方移動を介して前記固着部14以外の部分における襠壁6と帯状壁7を下方に展開した立体容器15aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚の合成樹脂フィルムから成るシートを折曲することにより形成された容器本体を備える容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食料品等の内容物を包装する容器として種々の形態の容器が提供されているが、例えば、合成樹脂フィルムから成るシートにより形成される容器は、製袋機により袋として製袋されるのが一般的である。
【0003】
このような袋は、通常、2枚のシートを袋の側縁の部分で溶着シールし、溶着線に沿ってシートを溶断することにより製袋されるため、溶着不良による欠陥シールが生じやすく、その場合、不良品として廃棄しなければならない。しかも、このような袋は、偏平袋であるため、容積が小さく、十分な量の内容物を充填するための容器には適していない。
【0004】
そこで、必要な容量を確保するため、袋底部を立体的に保持するスタンディングパウチが提供されている。しかしながら、立体的に展開したとき袋底部の溶着シール個所に応力が集中するので、シール性の確保のために厚いシート素材を使用する必要があり、高コストを招来する。
【0005】
ところで、合成樹脂シートを折曲することにより形成されたトレー状の容器が提案されている。しかしながら、トレーを形成するシート素材を予め所定形状に裁断する必要があるため、コストに問題がある。しかも、折曲されたシートをトレー状に立体化して保持した状態で、所定個所を溶着するため、複雑な機械設備を必要とする問題があり、量産に不向きであり、コスト面にも問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−29177号公報
【特許文献2】特開2010−260621号公報
【特許文献3】特開2010−189031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、1枚の合成樹脂フィルムから成るシートを複雑な形状に裁断する必要がなく、例えば、正方形や長方形のような矩形のままから折曲することにより形成できる容器の提供を課題とする。
【0008】
折曲されたシートにより容器を形成するためには、シートの所要部分を溶着等により固着する必要がある。この点に関して、本発明は、溶着シールを容易に行うことができるようにするため、シートの折曲により形成された折曲偏平体を偏平状態のままで溶着可能とすることを課題とする。
【0009】
容器に充填される内容物が液体やゲル状物のような流動体の場合、万一、溶着不良個所が発生すると、内容物を漏出する危険がある。このため、本発明は、内容物を収容する部位から可及的に離れた部位に溶着個所を設けることを課題とする。
【0010】
更に、使用済みの容器を廃棄する際には、できるだけ体積を小さくすることが可能となるように構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明が上記課題を解決するための手段として構成したところは、シート縁部を有する1枚の合成樹脂フィルムから成る矩形状の本体シートを折曲することにより形成された容器本体であり、各縁部の内側に帯状壁を介して平行に延びる山折線と、該山折線の内側に襠壁を介して平行に延びる谷折線が設けられ、本体シートの中央部に前記谷折線により囲まれた底壁が設けられ、本体シートのコーナに臨んで交差する谷折線とシート縁部により囲まれたコーナ部が形成されており、前記コーナ部のシート縁部を含んで本体シートを谷折線に沿って谷折り状に折曲すると共に山折線に沿って山折り状に折曲することにより、前記襠壁の両端部に位置して折曲されたシート縁部により上側縁部と中間縁部と下側縁部を折込み状に形成したギャザー部を備える折曲偏平体を構成し、前記コーナ部における前記ギャザー部の上側縁部と中間縁部と下側縁部をサンドイッチ状に固着した固着部を形成することにより、前記底壁の下方移動を介して前記固着部以外の部分における襠壁と帯状壁を下方に展開した立体容器を形成するように構成して成る点にある。
【0012】
本発明の実施形態は、前記容器本体に合成樹脂フィルムから成る蓋シートを重ね合わせ、前記蓋シートを前記容器本体のシート縁部に沿って溶着した溶着シール部を形成することにより、密閉容器を構成しており、前記溶着シール部により、前記サンドイッチ状の固着部を形成している。
【0013】
本発明の別の実施形態は、前記折曲偏平体に合成樹脂フィルムから成る蓋シートを重ね合わせ、前記蓋シートを前記折曲偏平体のシート縁部に対して、該シート縁部に形成された注入口を除いて、該シート縁部に沿って溶着することにより溶着シール部を形成し、前記溶着シール部により、前記サンドイッチ状の固着部を形成しており、前記注入口から折曲偏平体に収容物を装填して前記襠壁と帯状壁を展開させることにより立体容器を形成し、該注入口を溶着することにより密閉容器を形成するように構成している。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、前記蓋シートは、下層シートと上層シートを有する複数層シートのラミネートシートから構成され、下層シートは、容器本体のシート縁部の内側に位置する環状破断部を形成し、上層シートは、前記環状破断部の内側に位置して下層シートに剥離不能に固着された強着部と、前記環状破断部の外側に位置して下層シートに剥離可能に固着された弱着部を備えており、前記弱着部を介して上層シートを下層シートから剥離したとき、環状破断部の破断を介して下層シートの中央部を上層シートに追従させ、該下層シートの中央部に開口部を形成するように構成している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1枚の合成樹脂フィルムから成る本体シート1を折曲することにより容器本体15を形成するものであるから、低コストで提供できる利点がある。
【0016】
特に、本発明によれば、本体シート1の山折線3a、3bを山折り状に折曲すると共に谷折線4a、4bを谷折り状に折曲することにより折曲偏平体9を形成し、コーナ部8のギャザー部13に溶着等による固着部14を形成する構成であるから、底壁7と襠壁6と帯状壁5を下方に展開した立体容器15aを簡単容易に形成することができるという効果がある。そして、溶着等による固着部14は、内容物が装填された個所から離れた立体容器15aのフランジ16に位置して形成されるので、内容物の漏出の危険がない密閉シール性に優れた密閉容器15bを提供することが可能となる。
【0017】
しかも、ユーザが内容物を消費した後、密閉容器15bを廃棄する際には、元の折曲偏平体9のように嵩の小さい偏平状として廃棄できるので、例えば、廃棄が禁止された野外での使用後に廃棄物としての容器を持ち帰る際にも、体積を小さくできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る容器本体を形成するための本体シートの1例を示しており、(A)は本体シートの折曲前の状態を示す斜視図、(B)は本体シートの折曲中の状態を示す斜視図である。
【図2】本体シートを折曲することにより形成した折曲偏平体の1例を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)はコーナ部のギャザー部を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に関して、折曲偏平体に溶着等による固着部を形成した偏平な容器本体を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に関して、底壁と襠壁と帯状壁を展開した立体容器を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に関して、立体容器を蓋シートで密閉することにより形成した密閉容器を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に関して、立体容器の形成工程と密閉容器の形成工程を示しており、(A)は容器本体を立体化する工程を示す断面図、(B)は立体容器を蓋シートにより密閉シールする工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示しており、(A)は折曲偏平体を立体化することにより形成した立体容器と蓋シートを示す斜視図、(B)は立体容器を蓋シートで密閉することにより形成した密閉容器を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示しており、(A)は折曲偏平体を示す斜視図、(B)は折曲偏平体に蓋シートを設けることにより形成された注入口を備える偏平容器を示す斜視図、(C)は偏平容器に内容物を装填した後に封口シールすることにより形成した密閉容器を示す斜視図である。
【図9】本発明の付加実施形態を示しており、(A)は蓋シートの上層シートを剥離することにより下層シートに開口部を形成した状態を示す斜視図、(B)は要部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0020】
<第1実施形態>
図1ないし図6に基づいて本発明の第1実施形態を説明する。
【0021】
(容器本体を形成するための本体シート)
本発明は、1枚の合成樹脂フィルムから成る矩形状の本体シートにより容器本体を形成するものであり、本体シート1は、図1(A)に破線で示すように、周囲にそれぞれ相互に平行する第1シート縁部2a、2aと第2シート縁部2b、2bを備えている。
【0022】
本体シート1は、後述の溶着を可能とする熱可塑性の合成樹脂フィルムから成り、1層構造の単一フィルムでも、複数層構造の複合ラミネートフィルムでも良いが、気密性及び水密性に優れたガスバリヤ性の高いフィルムを使用することが好ましく、しかも、折曲加工を容易とする柔軟性なフィルムが好ましい。
【0023】
本体シート1は、それぞれ、図1(A)に鎖線で示すように、第1シート縁部2a、2aに平行な第1山折線3a、3a及び第1谷折線4a、4aと、第2シート縁部2b、2bに平行な第2山折線3b、3b及び第2谷折線4b、4bが設けられる。これらの山折線及び谷折線は、実際に本体シート1に罫線等のラインを示して形成する必要はなく、設計上、本体シート1の折曲のための折曲予定線として想定されたものであることを諒解されたい。
【0024】
第1山折線3a、3aは、第1シート縁部2a、2aの内側に帯状壁5を介して平行に延び、第1谷折線4a、4aは、第1山折線3a、3aの内側に襠壁6を介して平行に延びる。同様に、第2山折線3b、3bは、第2シート縁部2b、2bの内側に帯状壁5を介して平行に延び、第2谷折線4b、4bは、第2山折線3b、3bの内側に襠壁6を介して平行に延びる。
【0025】
これにより、本体シート1は、中央部に、前記第1谷折線4a、4a及び第2谷折線4b、4bにより囲まれた底壁7を形成し、周囲の各コーナに、該コーナに臨んで交差する第1谷折線3a及び第2谷折線3bと第1シート縁部2a及び第2シート縁部2bにより囲まれたコーナ部8を形成する。
【0026】
(本体シートの折曲工程と折曲偏平体)
本体シート1は、谷折線4a、4bに沿って谷折り状に折曲され、山折線3a、3bに沿って山折り状に折曲され、これにより、図2(A)に示すような折曲偏平体9が形成される。このような折曲は、本体シート1のシート縁部2a、2bに平行な全長にわたり行われる。
【0027】
具体的には、図1(B)に示すように、第1谷折線4a、4aを谷折り状に折曲し、第1山折線3a、3aを山折り状に折曲する。これにより、山折線3aと谷折線4aに沿って折曲された帯状壁5と底壁7の間に襠壁6が折り込まれ、該襠壁6の両端部に位置する第2シート縁部2b、2bも同様に折り込まれる。
【0028】
次いで、この状態から前記と同様に、第2谷折線4b、4bを谷折り状に折曲し、第2山折線3b、3bを山折り状に折曲すると、該山折線3bと谷折線4bに沿って襠壁6が折り込まれると共に、該襠壁6の両端部に位置する第1シート縁部2a、2aが折り込まれることにより、図2(A)に示すような折曲偏平体9が形成される。
【0029】
図2(B)に示すように、折曲偏平体9は、各コーナ部8に臨む第1シート縁部2aと第2シート縁部2bのそれぞれを上記襠壁6の両端部に位置して折り込まれた状態とされるので、各コーナ部8における第1シート縁部2a及び第2シート縁部2bには、上側縁部10(帯状壁5の延長端部)と、中間縁部11(襠壁6の延長端部)と、下側縁部12(底壁7の延長端部)をほぼZ形に折り込まれて重ね合わせられたギャザー部13が形成される。
【0030】
(折曲偏平体の溶着工程と容器本体)
上述のように、折曲偏平体9は、各コーナ部8の両側部に位置してギャザー部13を形成しているので、これらのギャザー部13を構成する上側縁部10と中間縁部11と下側縁部12をサンドイッチ状に固着する固着部14を設けることにより、図3に示すような容器本体15が形成される。
【0031】
前記ギャザー部13の固着部14は、偏平なシート状とされた折曲偏平体9に対して超音波溶着や高周波溶着その他の溶着を行うことにより容易に形成することができ、これにより各ギャザー部13において折曲重合された上側縁部10と中間縁部11と下側縁部12が一体結合される。
【0032】
上記のようにして形成された容器本体15は、図4に示すように、底壁7を下方に向けて移動させると、前記固着部14によりギャザー部13の展開を阻止した状態で、それ以外の部分における襠壁6と帯状壁5を下方に展開することにより、上部を開口する立体容器15aを形成し、該開口の周囲に前記シート縁部2a、2bにより構成されたフランジ16を配置する。
【0033】
図示のように、立体容器15aは、下方に展開された襠壁6からフランジ16に向けて帯状壁5を傾斜させた状態で連設するトレーを形成し、コーナ部8の内側部分を下向き傾斜させることによりコーナ壁8aを備える。
【0034】
図示実施形態の場合、容器本体15を展開することにより形成された立体容器15aは、浅底のトレーを図示しているが、山折線3a、3b及び谷折線4a、4bの配置等により帯状壁5と襠壁6の幅を適宜設計することにより、深底の立体容器15aを形成することも可能である。
【0035】
(蓋シートの溶着工程と密閉容器)
前記立体容器15aは、内容物を収容した後、図5に示すように、合成樹脂フィルムから成る蓋シート17を上部開口に重ね合わせ、該蓋シート17を前記フランジ16に沿って溶着し、溶着シール部18を形成することにより、密閉容器15bを構成する。
【0036】
蓋シート17を構成する合成樹脂フィルムは、溶着を可能とする熱可塑性フィルムから成り、1層構造の単一フィルムでも、複数構造の複合ラミネートフィルムでも良いが、気密性及び水密性に優れたガスバリヤ性の高いフィルムを使用することが好ましい。
【0037】
(装置の実施例)
図6は、折曲偏平体9から容器本体15を形成すると共に、該容器本体15を展開することにより立体容器15aを形成し、蓋シート17を溶着することにより密閉容器15bを形成するための工程を示している。
【0038】
1枚の本体シート1を折曲することにより折曲偏平体9を形成する工程は、図示省略しているが、例えば、山折線3a、3b及び谷折線4a、4bに沿う定規手段や、折曲のためのエアー吸引式のフィンガー手段等を備えた折曲成形装置により実施することができる。
【0039】
そこで、折曲偏平体9は、図6(A)に示すような下枠19aと上枠19bを備えた展開装置19に保持され、その状態から図示鎖線で示すように展開することにより立体容器15bを形成する。
【0040】
この際、下枠19aと上枠19bに電極20a、20bを付設しておけば、上述のように折曲偏平体9のギャザー部13に超音波溶着又は高周波溶着等の溶着を施すことにより上記固着部14を形成することができる。
【0041】
容器本体15の展開は、図示の矢印P1で示すように上方からエアー等による圧力を加えても良く、反対に、矢印P2で示すように下方からエアーを吸引しても良い。何れの場合でも、これにより、図示鎖線で示すように、容器本体15が展開され、立体容器15bを形成するので、この状態で立体容器15bに内容物を装填すれば良い。
【0042】
内容物を装填した後、立体容器15bは、図6(B)に示すように、蓋シート17を重ね合わせられ、相互に電極を構成する下枠21aと上枠21bを備えた施蓋装置21に保持され、この状態で超音波溶着又は高周波溶着等の溶着を施すことにより上記の溶着シール部18を形成され、密閉容器15bを構成する。
【0043】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態を示している。
【0044】
上記第1実施形態においては、折曲偏平体9を形成した状態でギャザー部13に溶着による固着部14を形成して容器本体15を構成し、該容器本体15を展開することにより立体容器15aを構成した後、蓋シート17を重ね合わせ溶着シール部18により密閉することにより密閉容器15bを構成している。従って、ギャザー部13は、固着部14と溶着シール部18により二重に溶着される。
【0045】
これに対して、図7に示す第2実施形態は、図7(A)に示すように、折曲偏平体9のギャザー部13に上記のような固着部14を形成せず、折曲偏平体9のギャザー部13を図示省略した保持装置により保持した状態で底壁7と襠壁6と帯状壁5を展開させ、立体容器15aを形成した状態で、内容物を装填した後、蓋シート17を重ね合わせ、上記と同様の溶着シール部18を形成することにより、図7(B)に示すように、密閉容器15bを形成する。
【0046】
従って、前記溶着シール部18を形成したとき、結果的に、ギャザー部13の固着部14aを同時に形成することができるので、上記第1実施形態のように、予め固着部14を設ける必要がないという利点がある。
【0047】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態を示している。
【0048】
上記第1実施形態及び第2実施形態においては、立体容器15bに内容物を装填した後に、蓋シート17を溶着することにより密閉容器15bを形成するように構成しているが、本発明は、図8に示す第3実施形態のように、折曲偏平体9に蓋シート17を設けた後、内容物を装填することにより立体容器15aを形成し、その後、封口シールを施すことにより密閉容器15bを形成するように構成しても良い。
【0049】
第3実施形態の場合、図8(A)に示すように、折曲偏平体9は、ギャザー部13に上記のような固着部14を形成せず、該折曲偏平体9に蓋シート17を重ね合わせた後、該折曲偏平体9の3辺を構成するシート縁部2a、2bに対して、図8(B)に示すように、溶着シール部18aを設けられ、注入口22を備えた偏平容器15cを形成される。この溶着シール部18aにより、3辺のシート縁部2a、2bのギャザー部13には、結果的に、固着部14bが形成される。
【0050】
この状態で、図示矢印Fで示すように、注入口22から内容物を装填すると同時にエアー等で圧力を加えると、上述のように底壁7と襠壁6と帯状壁5を展開することにより偏平容器9aが膨張されるので、その後、前記注入口22に封口シール部18bを形成することにより、密閉容器15bが形成される。この場合も、封口シールされたシート縁部のギャザー部13には、結果的に、固着部14bが形成される。
【0051】
<付加実施形態>
図9は、上記第1、第2、第3実施形態の蓋シート17に関する付加実施形態を示している。
【0052】
付加実施形態の場合、蓋シート17は、下層シート23と上層シート24を有する複数層シートのラミネートシートから構成されており、下層シート23は、容器本体15のシート縁部2a、2bの内側に位置してミシン目その他から成る環状破断部25を形成し、上層シート24は、前記環状破断部25の内側に位置して下層シート23に剥離不能に固着された接着剤等から成る強着部26aと、前記環状破断部25の外側に位置して下層シート23に剥離可能に固着された接着剤等から成る弱着部26bを備えている。
【0053】
蓋シート17は、上層シート24の周縁から張り出した下層シート23の周縁部23aを容器本体15のフランジ16に溶着することにより溶着シール部18を形成し、内容物を装填した容器本体15を密閉することにより、密閉容器15bを形成する。
【0054】
そこで、密閉容器15bを開封する際は、ユーザが上層シート24の周縁部24aを摘んで持ち上げると、弱着部26bが剥離する反面、下層シート23の中央部が強着部26aを介して上層シート24に追従して引き上げられるので、環状破断部25が破断され、図示のように、密閉容器15bを好適に開口させる。
【0055】
図例のように、下層シート23は、複数フィルムによるラミネートフィルムにより構成することが可能であり、これにより、下層シート23の周縁部23aにより容器本体15のフランジ16を保形できる利点がある。
【符号の説明】
【0056】
1 本体シート
2a、2b シート縁部
3a、3b 山折線
4a、4b 谷折線
5 帯状壁
6 襠壁
7 底壁
8 コーナ部
9 折曲偏平体
10 上側縁部
11 中間縁部
12 下側縁部
13 ギャザー部
14、14a、14b 固着部
15 容器本体
15a 立体容器
15b 密閉容器
15c 偏平容器
16 フランジ
17 蓋シート
18、18a、18b 溶着シール部
22 注入口
23 下層シート
24 上層シート
25 環状破断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート縁部(2a,2b)を有する1枚の合成樹脂フィルムから成る矩形状の本体シート(1)を折曲することにより形成された容器本体(15)であり、
各縁部の内側に帯状壁(5)を介して平行に延びる山折線(3a,3b)と、該山折線の内側に襠壁(6)を介して平行に延びる谷折線(4a,4b)が設けられ、本体シートの中央部に前記谷折線により囲まれた底壁(7)が設けられ、本体シートのコーナに臨んで交差する谷折線とシート縁部により囲まれたコーナ部(8)が形成されており、
前記コーナ部(8)のシート縁部(2a,2b)を含んで本体シート(1)を谷折線(4a,4b)に沿って谷折り状に折曲すると共に山折線(3a,3b)に沿って山折り状に折曲することにより、前記襠壁(6)の両端部に位置して折曲されたシート縁部(2a,2b)により上側縁部(10)と中間縁部(11)と下側縁部(12)を折込み状に形成したギャザー部(13)を備える折曲偏平体(9)を構成し、
前記コーナ部(8)における前記ギャザー部(13)の上側縁部(10)と中間縁部(11)と下側縁部(12)をサンドイッチ状に固着した固着部(14)を形成することにより、前記底壁(7)の下方移動を介して前記固着部(14)以外の部分における襠壁(6)と帯状壁(7)を下方に展開した立体容器(15a)を形成するように構成して成ることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器本体(15)に合成樹脂フィルムから成る蓋シート(17)を重ね合わせ、前記蓋シート(17)を前記容器本体(15)のシート縁部(2a,2b)に沿って溶着した溶着シール部(18)を形成することにより、密閉容器(15b)を構成しており、
前記溶着シール部(18)により、前記サンドイッチ状の固着部(14)を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記折曲偏平体(9)に合成樹脂フィルムから成る蓋シート(17)を重ね合わせ、前記蓋シート(17)を前記折曲偏平体(9)のシート縁部(2a,2b)に対して、該シート縁部に形成された注入口(22)を除いて、該シート縁部に沿って溶着することにより溶着シール部(18a)を形成し、
前記溶着シール部(18a)により、前記サンドイッチ状の固着部(14)を形成しており、
前記注入口(22)から折曲偏平体(9)に収容物を装填して前記襠壁(6)と帯状壁(5)を展開させることにより立体容器(15a)を形成し、該注入口(22)を溶着(18b)することにより密閉容器(15b)を形成するように構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記蓋シート(17)は、下層シート(23)と上層シート(24)を有する複数層シートのラミネートシートから構成され、
下層シート(23)は、容器本体(15a)のシート縁部(2a,2b)の内側に位置する環状破断部(25)を形成し、
上層シート(24)は、前記環状破断部(25)の内側に位置して下層シート(23)に剥離不能に固着された強着部(26a)と、前記環状破断部(25)の外側に位置して下層シート(23)に剥離可能に固着された弱着部(26b)を備えており、
前記弱着部(26b)を介して上層シート(24)を下層シート(23)から剥離したとき、環状破断部(25)の破断を介して下層シート(23)の中央部を上層シート(24)に追従させ、該下層シート(23)の中央部に開口部を形成するように構成して成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246039(P2012−246039A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121149(P2011−121149)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(592173043)
【Fターム(参考)】