説明

容積形エネルギー回収装置

【課題】海水淡水化システムや同装置に利用される、容積形エネルギー回収装置において、該装置を構成するエネルギー回収チャンバーに過大な加工精度が要求されず、かつ長尺加工も必要とされることがなく、固体ピストンが存在しないため摺動抵抗による損失が発生することがなく、またエネルギー回収チャンバー内で発生する摩擦損失を低減することができる容積形エネルギー回収装置を提供する。
【解決手段】流動する高圧液体HWの圧力を流動する低圧液体LWに伝達することにより低圧液体LWの圧力を高めて低圧液体LW側にエネルギーを回収する容積形エネルギー回収装置23において、高圧液体HWと低圧液体LWとを導入するエネルギー回収チャンバー21を設け、高圧液体HWおよび低圧液体LWのいずれとも混じらない非混和性の流体NFをエネルギー回収チャンバー21内に入れ、高圧液体HWと低圧液体LWとを非混和性の流体NFで隔てるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から塩分を除去し、海水を淡水化する海水淡水化装置もしくは海水淡水化システムに用いられる、エネルギー回収装置に関するものである。特に本発明は、前記海水淡水化装置・システムの信頼性向上、高効率(省エネ)運行や、淡水の高回収効率を実現することが可能な容積形エネルギー回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜法を用いる海水淡水化プラントは、主として、前処理システム、高圧ポンプ、逆浸透膜カートリッジ、エネルギー回収装置から構成されている。取水された海水は、前処理システムにより一定水質の条件に整えられたのち、高圧ポンプにより加圧され、逆浸透膜カートリッジへと圧送される。逆浸透膜カートリッジ内の高圧海水の一部は、浸透圧に打ち勝って膜を通過し、塩分が除去された淡水として取り出される。その他の海水は、塩分濃度が高くなり濃縮された状態で逆浸透膜カートリッジからリジェクト(濃縮水)として排出される。ここで、海水淡水化プラントにおける最大の運用コスト(電力費)は、前処理後の海水を浸透圧に打ち勝てる圧力即ち逆浸透圧まで上昇させるためのエネルギー、つまり高圧ポンプによる加圧エネルギーに大きく依存する。
【0003】
すなわち、海水淡水化プラントにおける最大の運用コストである電力費の半分以上は、高圧ポンプによる加圧に費やされることが多い。従って、逆浸透膜カートリッジから排出される高塩分濃度で高圧のリジェクトが保有する圧力エネルギーを有効に回収するエネルギー回収装置が重要な役割を果たす。
【0004】
図18は、逆浸透膜法を用いる海水淡水化プラントの構成例を示す模式図である。図18に示すように、取水ポンプ2により取水された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、高圧ライン7を経て逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。一方、逆浸透膜カートリッジ8内の高圧室9の海水の一部は、浸透圧に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として取り出される。その他の海水は、塩分濃度が高くなり濃縮された状態で逆浸透膜カートリッジ8から高圧のリジェクト13として濃縮海水ラインへ排出される。カートリッジ8から排出された高圧のリジェクト(高圧の濃縮水)13は、エネルギー回収装置23に導入される。
【0005】
エネルギー回収装置23は、高塩分濃度の高圧リジェクト13が保有する圧力エネルギーを有効に回収・利用し、システム運行を高効率化する方策(システム)として、容積形エネルギー回収装置を利用している。
なお、容積形エネルギー回収装置の従来の構成例としては、米国特許第5306428号公報(特許文献1)、米国特許第5797429号公報(特許文献2)がある。
【0006】
図19は、従来の容積形エネルギー回収装置の構成例を示す概略図である。容積形エネルギー回収装置23は、主として、方向切換弁20、2つのエネルギー回収チャンバー21、チェック弁モジュール22から構成されている。
前記容積形エネルギー回収装置の機能は、
(1)逆浸透膜カートリッジ8からの高圧リジェクト13を方向切換弁20に導入し、
(2)方向切換弁20の駆動により、各エネルギー回収チャンバー21内に高圧リジェクト13を交互に導入して、
(3)エネルギー回収チャンバー21内のピストンを駆動し、
(4)該ピストンの駆動に伴い給水ライン4からチェック弁モジュール22を介して、エネルギー回収チャンバー21内に導入した海水の昇圧を行い、
(5)前記チェック弁モジュール22を介して、エネルギー回収チャンバー21内にて昇圧した海水を、供給海水バイパスブーストライン24に吐出して、電動モータ26によって駆動されるブースターポンプ27に導入する、
ことである。なお、符号25は、排出ラインである。
【0007】
本容積形エネルギー回収装置を海水淡水化プラントに用いることにより、高圧ポンプにて加圧する前処理後の流体流量を低減することができ、運転に要するエネルギー(流量、圧力)の低減化が可能になり、結果的にシステムの運用効率が高くなる。
【0008】
図20は、エネルギー回収チャンバーの従来の構成例を示す概略図である。図20に示すように、エネルギー回収チャンバー21は、円筒形状のシリンダ131と、シリンダ131内で往復動するピストン133により構成される。前記シリンダ131には、2つの入出力ポート131a,131bが形成されている。また前記ピストン133は、シリンダ131内で軸方向に移動可能に設置されている。
前記エネルギー回収チャンバー21の機能は、
(1)方向切換弁20を通じてチャンバー21内に導入される高圧リジェクト13の圧力により、ピストン133を駆動し、該ピストン133を隔てて取水ポンプ2によりチャンバー21内に導入された海水の増圧を行い、
(2)取水ポンプ2の吐出圧によりピストン133を駆動し、該ピストン133を隔ててチャンバー21内に導入されていたリジェクトを方向切換弁20を経由して排出ライン25に排出する、
ことである。
【0009】
すなわち、エネルギー回収チャンバー21内においては、(1)海水の導入→(2)高圧リジェクトの導入によるピストンの駆動→(3)海水の増圧→(1)海水の導入、というように、(1)→(2)→(3)のサイクルを繰り返して当該流体の導入と導出が行われる。
(1)→(2)→(3)のサイクルは、次のように言い換えることが出来る。即ち、
(イ)図20において、ピストン133がシリンダ131の左端から右端へ移動するときは、海水の導入と濃縮海水(リジェクト)の排出を行う。
(ロ)ピストン133がシリンダ131の右端から左端へ移動するときは、高圧濃縮海水(高圧リジェクト)の導入による海水の増圧を行う。
(ハ)上記(イ)(ロ)を2つのシリンダ131で交互に繰り返すことで、高圧濃縮海水が有する圧力と流量によるエネルギーを、一定の流量の海水を増圧する態様により回収する。
【0010】
上述したような米国特許第5306428号公報(特許文献1)、米国特許第5797429号公報(特許文献2)に代表される、従来の容積形エネルギー回収装置のエネルギー回収チャンバーは、以下に列挙する問題点を有している。
(1)エネルギー回収チャンバーのシリンダの内面に対し、ピストンの外周面が摺動する構成である。特に、大流量を処理する目的で形成される当該チャンバーにおいては、ピストンの摺動面の面積(ピストン直径に比例)とピストンの往復動作範囲(ストローク)が大きくなる。なお、当該チャンバーの寸法例としては、シリンダ内径(≒ピストン外径)が約0.4m、チャンバー長さが約7mである。この例の如く、エネルギー回収チャンバーはサイズが大きく、その構成部材である、ピストンがシリンダ内を摺動するため、ピストンとシリンダの摺動面の面精度および平行度が高く、しかも軸方向に長尺のシリンダ(円筒)を製作する必要があり、製造コストが高い。
(2)海水と濃縮海水の混和をふせぐためには、ピストン側面の漏れを少なくするのが望ましい。しかし、ピストン側面での漏れを少なくする設計(シールの援用、隙間の微小化)は、ピストンの摺動抵抗を大きくする作用があり、エネルギーのロス(損失)が発生する。
(3)海水と濃縮海水の混和をふせぐためには、ピストンを介して海水と濃縮海水が接している時間(すなわちピストンの移動時間)を減らすのが望ましい。このためには、ピストンの移動速度が大きい方が望ましいが、ピストンの摺動によって生じるエネルギーロスが大きくなることに直結する。またピストンの移動速度を速くするとエネルギー回収チャンバー内の流速も上昇し、海水とチャンバー内壁間の摩擦損失も増大する。またピストンの移動時間が短いことは、スルースバルブや逆止弁の駆動周波数が大きくなることを意味し、弁類等の寿命を短くする。
【0011】
【特許文献1】米国特許第5306428号公報
【特許文献2】米国特許第5797429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、海水淡水化システムや同装置に利用される、容積形エネルギー回収装置において、該装置を構成するエネルギー回収チャンバーに過大な加工精度が要求されず、かつ長尺加工も必要とされることがなく、固体ピストンが存在しないため摺動抵抗による損失が発生することがなく、またエネルギー回収チャンバー内で発生する摩擦損失を低減することができる容積形エネルギー回収装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明の一態様は、流動する高圧液体の圧力を流動する低圧液体に伝達することにより該低圧液体の圧力を高めて該低圧液体側にエネルギーを回収する容積形エネルギー回収装置において、前記高圧液体と前記低圧液体とを導入するエネルギー回収チャンバーを設け、前記高圧液体および前記低圧液体のいずれとも混じらない非混和性の流体を前記エネルギー回収チャンバー内に入れ、前記高圧液体と前記低圧液体とを前記非混和性の流体で隔てるようにしたことを特徴とするものである。
本発明によれば、エネルギー回収チャンバーに非混和性の流体を入れておき、非混和性の流体の一方の側に高圧液体を導入し、非混和性の流体の他方の側に低圧液体を導入することにより、高圧液体と低圧液体とは非混和性の流体で隔てられた状態で、高圧液体の圧力を低圧液体に伝達することができ、該低圧液体の圧力を高めて該低圧液体側にエネルギーを回収することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記非混和性の流体は、イオン液体からなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記非混和性の流体は、油からなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記非混和性の流体は、非極性溶媒からなることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記非混和性の流体は、液体金属からなることを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記エネルギー回収チャンバーは、二つの容器と、該二つの容器の下部または底部において該二つの容器を連通する連通部とを備え、前記非混和性の流体は、前記高圧液体ならびに前記低圧液体のいずれよりも比重が大きく、前記二つの容器の下部に存在し、かつ前記連通部も満たし、前記高圧液体は前記二つの容器のうち一方の容器の上部に存在し、前記低圧液体は他方の容器の上部に存在し、エネルギー回収運転中には、前記高圧液体と前記低圧液体は、それぞれの容器の下部で前記非混和性の流体で隔てられ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないようにすることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、エネルギー回収チャンバーには、容器の上部に入出力ポート(開口部)が形成されており、入出力ポートを介して高圧液体と低圧液体が該チャンバーに導入または導出されるようになっている。二つの容器には、該容器の下側の概略半分の容積を満たすように、高圧液体および低圧液体のいずれとも混じらない非混和性の流体が入れられている。高圧液体は、一方の容器の上部に導入されるようになっており、低圧液体は、他方の容器の上部に導入されるようになっている。そして、エネルギー回収チャンバー内において、高圧液体と低圧液体とが非混和性の流体で隔てられた状態で、高圧液体の圧力を低圧液体に伝達することにより、低圧液体の圧力を高めて該低圧液体の側にエネルギーを回収する。このエネルギーの回収運転中、高圧液体と低圧液体は、それぞれの容器の下部で非混和性の流体で仕切られ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないように制御されている。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記エネルギー回収チャンバーは、二つの容器と、該二つの容器の上部において該二つの容器を連通する連通部とを備え、前記非混和性の流体は、前記高圧液体ならびに前記低圧液体のいずれよりも比重が小さく、前記二つの容器の上部に存在し、かつ前記連通部も満たし、前記高圧液体は前記二つの容器のうち一方の容器の下部に存在し、前記低圧液体は他方の容器の下部に存在し、エネルギー回収運転中には、前記高圧液体と前記低圧液体は、それぞれの容器の上部で前記非混和性の流体で隔てられ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないようにすることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、エネルギー回収チャンバーには、容器の下部に入出力ポート(開口部)が形成されており、入出力ポートを介して高圧液体と低圧液体が該チャンバーに導入または導出されるようになっている。二つの容器には、該容器の上側の概略半分の容積を満たすように、高圧液体および低圧液体のいずれとも混じらない非混和性の流体が入れられている。高圧液体は、一方の容器の下部に導入されるようになっており、低圧液体は、他方の容器の下部に導入されるようになっている。そして、エネルギー回収チャンバー内において、高圧液体と低圧液体とが非混和性の流体で隔てられた状態で、高圧液体の圧力を低圧液体に伝達することにより、低圧液体の圧力を高めて該低圧液体の側にエネルギーを回収する。このエネルギーの回収運転中、高圧液体と低圧液体は、それぞれの容器の上部で非混和性の流体で仕切られ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないように制御されている。
【0019】
本発明の海水淡水化装置の一態様は、前記高圧ポンプから排出された高圧の海水を逆浸透膜で膜処理して脱塩水を生成する逆浸透膜カートリッジと、前記逆浸透膜で処理されないで前記逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水の圧力を利用して、供給された海水を加圧する容積形エネルギー回収装置と、前記容積形エネルギー回収装置により加圧された加圧海水を昇圧して前記高圧ポンプから排出された高圧の海水に合流させる加圧装置とを備えた海水淡水化装置であって、前記容積形エネルギー回収装置は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の容積形エネルギー回収装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏する。
(1)固体ピストンが存在しないため、エネルギー回収チャンバーに過大な加工精度は要求されないし、極端な長尺加工も必要としない。したがって、製作コストを低減することができる。
(2)固体ピストンが存在しないため、摺動抵抗による損失が発生することがない。
(3)入口側海水と出口側海水がピストンを介するよりも混和しにくいので、入口側海水と出口側海水が接している時間を極端に短くする必要はない。このため、エネルギー回収チャンバー内の流速が過大となり摩擦損失が大きくなることはない。また、エネルギー回収チャンバーの体積が一定で、流量が一定でも、チャンバーの断面積を変更して流速を下げることによって摩擦損失を減らすことができ、設計に自由度がある。スルースバルブや逆止弁の駆動周波数を小さくすることができ、弁類等の寿命が長くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る海水淡水化用エネルギー回収装置の実施形態について図1乃至図17を参照して説明する。なお、図1乃至図17において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明のエネルギー回収装置が適用される海水淡水化プラント(海水淡水化装置・システム)の構成例を示す模式図である。図1に示すように、取水ポンプ2により取水された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、高圧ライン7を経て逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。尚、高圧ポンプ5は制御弁又はインバータにより流量制御を行うこともできる。一方、逆浸透膜カートリッジ8内の高圧室9の海水中の水分の一部は、浸透圧に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として取り出される。その他の海水は、塩分濃度が高くなり濃縮された状態で逆浸透膜カートリッジ8から高圧のリジェクト(高圧の濃縮水)13として濃縮海水ラインへ排出される。逆浸透膜カートリッジ8から排出された高圧のリジェクト13は、容積形エネルギー回収装置23に導入される。容積形エネルギー回収装置23において、圧力が回収されて圧力エネルギーを失ったリジェクトは、低圧のエネルギー回収リジェクト25として排出される。容積形エネルギー回収装置23により、供給ライン4の海水の一部が昇圧されて、供給海水バイパスブーストライン24へと排出される。
【0022】
供給海水バイパスブーストライン24へ排出された海水は、容積形エネルギー回収装置23により昇圧されているが、逆浸透膜カートリッジ8へと向う海水よりも低い圧力となっている。そこで、本発明のエネルギー回収装置が適用される海水淡水化プラントにおいては、この両者を合流させるために、供給海水バイパスブーストライン24とブースターポンプ吐出ライン19との間に、エネルギー回収ポンプタービン18を設置している。エネルギー回収ポンプタービン18のタービン14内に設置されたタービンインペラは、高圧ポンプ5からの高圧水の保有する圧力エネルギーのごくわずかを取り出すことにより駆動され、タービン14と同軸上に固定されたポンプインペラを回転することにより、供給海水バイパスブーストライン24からブースターポンプ吐出ライン19までのポンプアップが実現される。タービンインペラから排出された高圧水はタービン吐出ライン27に流れ出る。この方法によれば、従来技術(図22参照)で必要であった電動モータ26を省略できるのに加え、ブースターポンプ17の高圧水シールの構造が不要となるなど、構造の大幅な簡素化と低コスト化を実現することができる。
【0023】
図2は、本発明のエネルギー回収装置が適用される海水淡水化プラントの他の構成例を示す模式図である。図2に示すように、取水ポンプ2により取水された海水1は、前処理装置3により所定の水質条件に整えられたのち、電動モータ6により駆動される高圧ポンプ5により加圧され、高圧ライン7を経由して逆浸透膜カートリッジ8へと圧送される。尚、高圧ポンプ5は制御弁又はインバータにより流量制御を行うこともできる。一方、逆浸透膜カートリッジ8内の高圧室9の海水中の水分の一部は、逆浸透圧力に打ち勝って逆浸透膜10を通過し、塩分が除去された脱塩水12として取り出される。その他の海水は、塩分濃度が高くなり濃縮された状態で逆浸透膜カートリッジ8から高圧のリジェクト13として濃縮海水ラインへ排出される。カートリッジ8から排出された高圧のリジェクト13は、容積形エネルギー回収装置23に導入される。容積形エネルギー回収装置23において、圧力が回収されて圧力エネルギーを失ったリジェクトは、低圧のエネルギー回収リジェクト25として排出される。容積形エネルギー回収装置23により、供給ライン4の海水の一部が昇圧されて、供給海水バイパスブーストライン24へと排出される。
【0024】
供給海水バイパスブーストライン24へ排出された海水は、容積形エネルギー回収装置23により昇圧されているが、逆浸透膜カートリッジ8へと向う海水よりも低い圧力となっている。そこで、本発明のエネルギー回収チャンバーが適用される海水淡水化プラントにおいては、この両者を合流させるために、供給海水バイパスブーストライン24と高圧ライン7との間に、エネルギー回収ポンプタービン18を設置している。エネルギー回収ポンプタービン18のタービンインペラは、逆浸透膜カートリッジ8への濃縮海水ライン(リジェクト)13のごく一部をタービン入口ライン28から取り出すことにより駆動される。この結果、タービン14と同軸上に固定されたポンプインペラが回転し、供給海水バイパスブーストライン24から高圧ライン7までのポンプアップが実現される。この方法によれば、従来技術(図22参照)で必要であった電動モータ26やインバータ(外部からのエネルギーを供給しなければならない電気機器及びその配線)を省略できるのに加え、ブースターポンプ17の高圧水シールの構造が不要となるなど、構造の大幅な簡素化と低コスト化を実現することができる。結果として、システム全体としての信頼性の向上に繋がる。さらに、リジェクト水の一部をタービン入口ライン28から排出することにより、供給ライン4から容積型ピストンポンプ23へ吸入される海水量を低減し、結果的に高圧ポンプ5の運転流量を増すことにより高効率な高圧ポンプ5の選定を可能にするものである。また図1に示す態様では、エネルギー回収ポンプタービン18のタービンインペラを駆動するためのエネルギー分だけ、高圧ポンプ5のヘッドを高く設定する必要があったが、図2に示す態様ではその必要もなくなるという利点がある。
【0025】
エネルギー回収ポンプタービン18の制御は、タービン部への流入流量制御により行うが、そのエネルギー源として一定圧力源としての逆浸透膜カートリッジ8を用いて高圧ポンプ5を運転すると得られる高圧濃縮海水がタービン14内へ流下することにより、つまりシステム内の流体力により自己調整的に制御できるため、ブースターポンプ17を電動モータ26により駆動する従来技術(図22参照)に比べて操作性・制御性が容易になるという特徴がある。
【0026】
図3は、図1および図2に示す海水淡水化プラントに適用される本発明の容積形エネルギー回収装置23を示す模式図である。図3に示すように、容積形エネルギー回収装置23は、主として、方向切換弁20、2つのエネルギー回収チャンバー21、チェック弁モジュール22から構成されている。容積形エネルギー回収装置23において、逆浸透膜カートリッジ8からの高圧リジェクト13を方向切換弁20に導入し、方向切換弁20の駆動により、各エネルギー回収チャンバー21内に高圧リジェクト13を交互に導入して、給水ライン4からチェック弁モジュール22を介して、エネルギー回収チャンバー21内に導入した海水の昇圧を行い、チェック弁モジュール22を介して、エネルギー回収チャンバー21にて昇圧した海水を、供給海水バイパスブーストライン24に吐出して、エネルギー回収ポンプタービン18のタービン14によって駆動されるブースターポンプ17に導入する。
【0027】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図である。図4に示すように、エネルギー回収チャンバー21は、二つの筒状の容器31,32と、これら二つの筒状の容器31,32を下部側で連通する連通管33とを備えている。本実施形態では、容器31,32は円筒状または角筒状の容器から構成されており、二つの容器31,32は概略同一の内容積を有している。
前記エネルギー回収チャンバー21には、容器の上端部に2つの入出力ポート(開口部)21a,21bが形成されており、入出力ポート21a,21bを介して濃縮海水(高濃度海水)と海水(原海水)が該チャンバー21に導入または導出されるようになっている。二つの筒状の容器31,32には、該容器31,32の下側の概略半分の容積を満たすように、濃縮海水(高濃度海水)および海水(原海水)のいずれとも混じらない非混和性の流体NFが入れられている。そして、濃縮海水(高濃度海水)は、一方の容器の上部に導入されるようになっており、海水(原海水)は、他方の容器の上部に導入されるようになっている。図4に示す実施形態では、濃縮海水(高濃度海水)は、容器32の上部に導入されるようになっており、海水(原海水)は、容器31の上部に導入されるようになっている。以下、非混和性の流体NFは、適宜、非混和性の液体NFとも云う。
【0028】
すなわち、エネルギー回収チャンバー21内において、高圧の液体である濃縮海水(高濃度海水)HWと低圧の液体である海水(原海水)LWとを非混和性の流体NFで隔てるように構成している。そして、逆浸透膜カートリッジ8から排出された高圧の液体である濃縮海水HWと給水ライン4から供給される海水(原海水)LWをエネルギー回収チャンバー21に導入または導出することにより、濃縮海水HWの圧力を低圧の液体である海水(原海水)LWに伝達することにより、低圧の液体である海水(原海水)LWの圧力を高めて該海水(原海水)LWの側にエネルギーを回収するようにしている。このエネルギーの回収運転中、高圧の液体である濃縮海水HWと低圧の海水LWは、それぞれの容器の下部で非混和性の流体NFで仕切られ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないように制御されている。
【0029】
図4に示すように、容器31,32には、超音波液位センサ37や、電気容量または導電率の変化で液位を計測する液位センサ38が設置されている。これにより、各容器内で非混和性の流体NFが入っている(存在する)ように、容器内の液位が制御される。すなわち、濃縮海水は、容器32内において液面が上下し、また海水(原海水)は、容器31内において液面が上下するだけであって、濃縮海水HWと海水(原海水)LWは非混和性の流体NFで常に隔てられている。
【0030】
次に、図3および図4に示すように構成された容積形エネルギー回収装置の動作を図5および図6を参照して説明する。
(1)リジェクト13(濃縮海水HW)が制御弁20の供給ポートに導入される。
(2)取水海水LWが給水ライン4を通じて、切り替え弁部22に導入される。
(3)制御弁20のスプールの動作にともない、エネルギー回収チャンバー21内の非混和性の流体NFの液面が変化する。
【0031】
動作例
(A)制御弁20の供給ポートPと制御ポートAが連通する方向にスプール302が動作した場合を図5に示す。
濃縮海水HWの圧力が、制御弁20を通じて(Pポート→Aポート)エネルギー回収チャンバー21(図5中の上)内の非混和性の流体NFの制御弁20側の面(図中右側面)に作用する。
エネルギー回収チャンバー21(図5中の上)内の非混和性の流体NFが、同図中の右側の容器32から左側の容器31に流動する。
エネルギー回収チャンバー21(図5中の上)内に、切り替え弁部22を通じて導入された海水が、非混和性の流体NFの動作により増圧され、切り替え弁部22を通じてブースターポンプ17に導入される。
また併行して、制御弁20の制御ポートBと戻りポートRが連通し、給水ライン圧力が切り替え弁部22を通じて、エネルギー回収チャンバー21(図5中の下)の非混和性の流体NFの切り替え弁部22側(図中左側面)に作用する。エネルギー回収チャンバー21(図5中の下)内の非混和性の流体NFが、同図中の左側の容器31から右側の容器32に流動する。
【0032】
非混和性の流体NFの流動速度は、切り替え弁部22通過後の圧力と供給海水バイパスブーストライン24の圧力の差により決まり、かつ、非混和性の流体NFが流動するための条件は、
「切り替え弁部22の通過後の圧力」>「供給海水バイパスブーストライン24」
となる。
なお、非混和性の流体NFの流動速度の設定は、供給海水バイパスブーストライン上にバルブ(図示していない)を設置し、該バルブの開度操作で行う。
次に、エネルギー回収チャンバー21内(図5中の下)の非混和性の流体NFにより隔壁された、切り替え弁部22側の容器31に海水が充填される。
【0033】
(B)制御弁20の供給ポートPと制御ポートBが連通する方向にスプール302が動作した場合を図6に示す。
リジェクト(濃縮海水HW)の圧力が、制御弁20を通じて(Pポート→Bポート)エネルギー回収チャンバー21(図6中の下)の非混和性の流体NFの制御弁20側の面(図中右側面)に作用する。
エネルギー回収チャンバー21(図6中の下)内の非混和性の流体NFが、同図中の右側の容器32から左側の容器31に流動する。
エネルギー回収チャンバー21(図6中の下)内に、切り替え弁部22を通じて導入された海水が非混和性の流体NFの動作により増圧され、切り替え弁部22を通じてブースターポンプ17に導入される。
また併行して、制御弁20の制御ポートAと戻りポートRが連通し、給水ライン圧力が切り替え弁部22を通じて、エネルギー回収チャンバー21(図6中の上)の非混和性の流体NFの切り替え弁部22側(図中左側面)に作用する。エネルギー回収チャンバー21(図6中の上)内の非混和性の流体NFが、同図中の左側の容器31から右側の容器32に流動する。
【0034】
非混和性の流体NFの流動速度は、切り替え弁部22通過後の圧力と供給海水バイパスブーストライン24の圧力の差により決まり、かつ、非混和性の流体NFが流動するための条件は、
「切り替え弁部22の通過後の圧力」>「供給海水バイパスブーストライン24の圧力」
となる。
なお、非混和性の流体NFの流動速度の設定は、供給海水バイパスブーストライン上にバルブ(図示していない)を設置し、該バルブの開度操作で行う。
次に、エネルギー回収チャンバー21内(図6中の上)の非混和性の流体NFにより隔壁された、切り替え弁部22側の容器31に海水が充填される。
上記のように容積形エネルギー回収装置23における(A)、(B)の動作(制御弁)を行うことで、リジェクト(濃縮海水HW)の圧力を利用した取水海水(原海水LW)の増圧が行われる。
【0035】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図である。図7に示す実施形態に係るエネルギー回収チャンバーは、図4に示す実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを上下逆にした形態をしている。すなわち、図7に示すように、エネルギー回収チャンバー21は、二つの筒状の容器31,32と、これら二つの筒状の容器31,32を上部側で連通する連通管33とを備えている。本実施形態では、容器31,32は円筒状または角筒状の容器から構成されており、二つの容器31,32は概略同一の内容積を有している。
前記エネルギー回収チャンバー21には、容器の下端部に2つの入出力ポート(開口部)21a,21bが形成されており、入出力ポート21a,21bを介して濃縮海水(高濃度海水)と海水(原海水)が該チャンバー21に導入または導出されるようになっている。二つの筒状の容器31,32には、該容器31,32の上側の概略半分の容積を満たすように、濃縮海水(高濃度海水)および海水(原海水)のいずれとも混じらない非混和性の流体NFが入れられている。そして、濃縮海水(高濃度海水)は、一方の容器の下部に導入されるようになっており、海水(原海水)は、他方の容器の下部に導入されるようになっている。図7に示す実施形態では、濃縮海水(高濃度海水)は、容器32の下部に導入されるようになっており、海水(原海水)は、容器31の下部に導入されるようになっている。
【0036】
すなわち、エネルギー回収チャンバー21内において、高圧の液体である濃縮海水(高濃度海水)HWと低圧の液体である海水(原海水)LWとを非混和性の流体NFで隔てるように構成している。そして、逆浸透膜カートリッジ8から排出された高圧の液体である濃縮海水HWと給水ライン4から供給される海水(原海水)LWをエネルギー回収チャンバー21に導入または導出することにより、濃縮海水HWの圧力を低圧の液体である海水(原海水)LWに伝達することにより、低圧の液体である海水(原海水)LWの圧力を高めて該海水(原海水)LWの側にエネルギーを回収するようにしている。このエネルギーの回収運転中、高圧の液体である濃縮海水HWと低圧の海水LWは、それぞれの容器の上部で非混和性の流体NFで仕切られ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないように制御されている。
【0037】
容器31,32には、超音波液位センサや、電気容量または導電率の変化で液位を計測する液位センサが設置されている(図示せず)。これにより、各容器内で非混和性の流体NFが入っている(存在する)ように、容器内の液位が制御される。すなわち、濃縮海水は、容器32内において液面が上下し、また海水(原海水)は、容器31内において液面が上下するだけであって、濃縮海水HWと海水(原海水)LWは非混和性の流体NFで常に隔てられている。図7に示すエネルギー回収チャンバー21においては、濃縮海水、海水および非混和性の流体の位置が図4に示すエネルギー回収チャンバー21の場合と異なるが、その動作は同様である。
【0038】
図8は、本発明の第3の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図であり、図8(a)は断面図であり、図8(b)は平面図である。図8(a)に示すように、エネルギー回収チャンバー21は、二つの筒状の容器41,42と、これら二つの筒状の容器41,42を底部側で連通する容器状の連通体43とを備えている。本実施形態では、容器41,42は円筒状の容器から構成されており、底部が開口している。そして、容器41,42の底部を閉塞するとともに、容器41,42を底部側で連通させるために矩形断面を有した容器状の連通体43が設けられている。二つの容器41,42は概略同一の内容積を有している。
前記エネルギー回収チャンバー21には、容器の上端部に2つの入出力ポート(開口部)21a,21bが形成されており、入出力ポート21a,21bを介して濃縮海水(高濃度海水)と海水(原海水)が該チャンバー21に導入または導出されるようになっている。二つの筒状の容器41,42には、該容器41,42の下側の概略半分の容積を満たすように、濃縮海水(高濃度海水)および海水(原海水)のいずれとも混じらない非混和性の流体NFが入れられている。そして、濃縮海水(高濃度海水)は、一方の容器の上部に導入されるようになっており、海水(原海水)は、他方の容器の上部に導入されるようになっている。図8に示す実施形態では、濃縮海水(高濃度海水)HWは、容器42の上部に導入されるようになっており、海水(原海水)LWは、容器41の上部に導入されるようになっている。
【0039】
すなわち、エネルギー回収チャンバー21内において、高圧の液体である濃縮海水(高濃度海水)HWと低圧の液体である海水(原海水)LWとを非混和性の流体NFで隔てるように構成している。そして、逆浸透膜カートリッジ8から排出された高圧の液体である濃縮海水HWと給水ライン4から供給される海水(原海水)をエネルギー回収チャンバー21に導入または導出することにより、濃縮海水HWの圧力を低圧の液体である海水(原海水)LWに伝達することにより、低圧の液体である海水(原海水)LWの圧力を高めて該海水(原海水)LWの側にエネルギーを回収するようにしている。このエネルギーの回収運転中、高圧の液体である濃縮海水HWと低圧の海水LWは、それぞれの容器の下部で非混和性の流体NFで仕切られ、それぞれ、異なる容器側に進入することがない。すなわち、濃縮海水は、容器42内において液面が上下し、また海水(原海水)は、容器41内において液面が上下するだけであって、濃縮海水HWと海水(原海水)LWは非混和性の流体NFで常に隔てられている。
【0040】
図8に示すエネルギー回収チャンバーは、図4に示すエネルギー回収チャンバーの円管状の連通管33を矩形断面を有した容器状の連通体43に代えたものである。これにより、2つの容器41,42間を連通する連通路の流路面積を増加させることができ、連通路の圧力損失を減少させることができる。図8に示すエネルギー回収チャンバーの動作は、図4に示すエネルギー回収チャンバーと同様である。
【0041】
図9は、本発明の第4の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図である。図9に示すように、本実施形態におけるエネルギー回収チャンバーは、図4に示すエネルギー回収チャンバーにフロートを追加したものである。すなわち、容器31,32内には、それぞれフロート35が収容されている。フロート35は、容器31,32内で非混和性の流体NFと濃縮海水HW又は海水(原海水)LWとの界面上に位置している。
図10および図11は、フロートを用いたエネルギー回収チャンバーを備えた容積形エネルギー回収装置の動作を示す図である。図10および図11に示すように、フロートを用いたエネルギー回収チャンバーを備えた容積形エネルギー回収装置の動作は、図5および図6に示す動作と同様である。
【0042】
本発明のエネルギー回収チャンバー21において、フロート35は、非混和性の流体NFがエネルギー回収チャンバーの外部に漏洩・流出する非常事態を避ける安全装置として機能する。
すなわち、フロート35がエネルギー回収チャンバー21の内部端面に接近すること、ないし接触することを近接センサーやタッチセンサー39(図9参照)で検出し、もってエネルギー回収装置の弁等の動作切り替え信号として発信する。また、フロート35がエネルギー回収チャンバー21の内部端面に接近すること、ないし接触することを近接センサーやタッチセンサー39で検出し、もって異常動作とみなし、非常停止等の措置をとる信号出力とする。
また、フロート35は、非混和性の流体NFと海水の有効接触面積を減らし、よって海水と非混和性液体の混合を抑制する。この場合、図12に示すように、容器31,32内のフロート35は平板状であり、その表面と裏面をそれぞれ親水性、疎水性に加工してあることが望ましい。すなわち、フロート35が広い面積の平板状であれば、非混和性の流体NFと濃縮海水又は海水(原海水)との有効接触面積を減らすことができる。
【0043】
次に、非混和性の流体に必要な物性について説明する。
非混和性の流体に必要な物性は、海水と混ざらないことが必須である。付随的な条件としては、なるべく粘性が小さいこと、重力によって海水との位置関係(上下関係)を安定に保つ必要のある装置構成の場合に海水と比重が異なること、取り扱いの容易さの観点から毒性、揮発性および可燃性が無いことが好ましい。
海水と混ざらないという観点では、非混和性の流体として、いわゆる油、精油、液体金属、イオン液体、非極性溶媒が挙げられる。従来のピストン式のエネルギー回収装置とほぼ同等の構成の装置とするという観点では、非混和性の流体として圧縮性の少ない液体を用いるのが望ましい。
【0044】
次に、非混和性の流体として使用可能な油を例示する。
植物性、動物性、鉱物性の油から適切ないかなる油を用いてもよい。一般に、不揮発性であり安全面からも問題の少ない植物油には、非混和性の流体として使用できるものが多い。例えば菜種油、ヒマワリ油、ごま油などである。このほかの油としては、流動パラフィン、シリコーンオイルなどが使用可能である。常温では固体であるパラフィン(石油ワックス)も47〜60℃では液化して水と混ざらないので、融点以上に加熱・保温すれば使用できる。植物に含まれる、油脂に似た物質である精油も水と混じらない点では使用可能であるが、揮発性であるため通常の油よりは非混和性の流体として適用しにくい。
【0045】
次に、非混和性の流体として使用可能な液体金属について説明する。
液体金属は、比重が海水と大きく異なる点では有利である。液体金属として、代表的なものは水銀であるが、毒性の点からは不向きであり、使用時には漏洩や海水への微量な溶解などを防護する手立てが不可欠である。安全性の観点からはガリウムのほうが望ましい。ガリウムは融点29.76℃なので、ガリウムをそれ以上の温度に保つ機構が必要となる。
【0046】
次に、非混和性の流体として使用可能なイオン液体を例示する。
非混和性の流体として使用可能なイオン液体には、以下のものがある。
N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボーレート
1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフォネート
1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロフォスフェート
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボーレート
1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート
1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム テトラフルオロボーレート
1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート
1-ブチルピリジニウム ヘキサフルオロフォスフェート
1-ブチルピリジニウム テトラフルオロボーレート
1-ヘキシルピリジニウム ヘキサフルオロフォスフェート
1-ヘキシルピリジニウム テトラフルオロボーレート
1-ヘキシルピリジニウム トリフルオロメタンスルホネート
1-エチル-3-メチルイミダゾールビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
2-ブチル-3-メチルイミダゾールビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【0047】
次に、非混和性の流体として使用可能な非極性溶媒について説明する。
水は極性の強い物質であり、その反対の性質である非極性物質とは混じりにくい性質がある。このうち非極性溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、リモネン、トルエン、ベンゼン、キシレン等があり、水と混じりにくいことが知られているが、安全性、揮発性などの観点からは使用しにくいものがほとんどであり、使用時には漏洩や海水への微量な溶解などを防護する手立てが不可欠である。
【0048】
次に、非混和性の流体としてガリウムを用いた場合のヒーターと組み合わせた容積形エネルギー回収装置について説明する。
ガリウムは融点29.76℃の金属であり、これ以上の温度では液体となる。これを非混和性の液体として採用した場合、29.76℃以上にガリウムを加温及び/又は保温する機構が必要である。ガリウムの加熱方法としては、エネルギー回収チャンバー内部への投げ込み式ヒーター、エネルギー回収チャンバー外部のヒーター設置、空気で満たされた恒温室、恒温液槽にエネルギー回収チャンバーを漬ける方法、熱交換器の配管をエネルギー回収チャンバー内部あるいは外部に設置する方法、マイクロ波加熱、誘導加熱、超音波加熱、エネルギー回収チャンバー内部への電極の設置による電流印加によるジュール熱加熱、ボイラーからの高温蒸気のエネルギー回収チャンバーへの吹きつけ、火炎によるエネルギー回収チャンバーの直接加熱など、いかなる方法を用いてもよい。
【0049】
図13は、ガリウムを加温及び/又は保温する機構として、投げ込み式ヒーターを設置した例を示す図である。図13に示す例では、ヒーター40は電熱式のヒーターである。図13に示すエネルギー回収チャンバー21は、図4に示すものと同様であり、二つの筒状の容器31,32と、これら二つの筒状の容器31,32を下部側で連通する連通管33とを備えている。ヒーター用のケーブル線は、エネルギー回収チャンバー21に空けられた孔21hから外に引き出される。この孔21hは、水密および絶縁構造である。ガリウムが適切な温度に保たれているか、チャンバーの内部あるいは外部に温度計が設置されているのが望ましい。ガリウムの温度が低下すると、ガリウムは固化しチャンバー内壁に固着するため、その作用を一種のバルブとして用いることができる。しかしながら、チャンバーが大きい場合はガリウムの熱容量も大きくなるため、緊急閉止バルブのような急峻な動作は期待できない。従って、運転前後のメンテナンスの時などに、二種類の海水の混和を防ぐような急ぐ必要の無い作業時などに適用できる。しかしながら、ガリウムを緊急に固化させることが必要な場合は、エネルギー回収チャンバーへの冷水や冷空気の吹きかけ、加熱用の熱交換器に緊急に低温冷媒を流すなどの方法で可能となる。
【0050】
このように、ガリウム等の液体金属を固化させることにより、固化した金属によって前記高圧液体(濃縮海水)と前記低圧液体(原海水)に差圧が生じても流動が生じないようにすることが可能である。
【0051】
このような加熱・冷却方法はガリウムのみならず、常温で固体である金属、その他の物質に大部分適用できる。物質の一例として、パラフィン(融点は47〜60℃)があるが、パラフィンは伝導性が極めて悪いので、誘導加熱、ジュール加熱など電気伝導を前提とした加熱方法は適用できない。
【0052】
次に、二つの容器間に横置き型の細管を多数設けたエネルギー回収チャンバーについて説明する。図14は、二つの容器間に横置き型の細管を多数設けたエネルギー回収チャンバーを示す平面図である。図14に示すように、エネルギー回収チャンバー21は、二つの筒状の容器31,32と、これら二つの筒状の容器31,32を連通する多数の細管53とを備えている。本実施形態では、容器31,32は矩形断面を有した角筒状の容器から構成されており、二つの容器31,32は概略同一の内容積を有している。
前記エネルギー回収チャンバー21には、容器の上端部に2つの入出力ポート(図示せず)が形成されており、入出力ポートを介して濃縮海水(高濃度海水)と海水(原海水)が該チャンバー21に導入または導出されるようになっている。そして、濃縮海水(高濃度海水)は、一方の容器に導入されるようになっており、海水(原海水)は、他方の容器に導入されるようになっている。図14に示す実施形態では、濃縮海水(高濃度海水)は、容器32に導入されるようになっており、海水(原海水)は、容器31に導入されるようになっている。また、二つの筒状の容器31,32を連通する多数の細管53内には、濃縮海水(高濃度海水)および海水(原海水)のいずれとも混じらない非混和性の流体NFが入れられている。非混和性の流体NFは、各細管53内で表面張力で略球形状の形状を保ち、細管53内で濃縮海水HWと海水(原海水)LWとを隔てている。
【0053】
すなわち、エネルギー回収チャンバー21の細管53内において、高圧の液体である濃縮海水(高濃度海水)HWと低圧の液体である海水(原海水)LWとを非混和性の流体NFで隔てるように構成している。そして、逆浸透膜カートリッジ8から排出された高圧の液体である濃縮海水HWと給水ライン4から供給される海水(原海水)をエネルギー回収チャンバー21に導入または導出することにより、濃縮海水HWの圧力を低圧の液体である海水(原海水)LWに伝達することにより、低圧の液体である海水(原海水)LWの圧力を高めて該海水(原海水)LWの側にエネルギーを回収するようにしている。このエネルギーの回収運転中、高圧の液体である濃縮海水HWと低圧の海水LWは、細管53内の非混和性の流体NFで仕切られ、それぞれ、異なる容器側に進入することがない。すなわち、濃縮海水は、細管53内において流動し、また海水(原海水)は、細管53内において流動するだけであって、濃縮海水HWと海水(原海水)LWは非混和性の流体NFで常に隔てられている。非混和性の流体NFは、各細管53内でピストンと同様な機能を果たし、海水(原海水)の昇圧を行う。
【0054】
次に、横置き型の細管を多数設けたエネルギー回収チャンバーが成立するための条件(表面張力等)を説明する。
非混和性の二つ以上の流体が容器や管等に入れられた場合、準静的な状態では比重差によって上下に分離する。しかしながら、流体には表面張力によって表面積を小にしようとする作用があり、容器や管が十分に小さい場合はプラグ状になった流体によってピストンのように他の流体を隔てる状況を実現できる。このような状況が実現できるのは管径が概略5mm以下の場合である。
【0055】
一般に、二種類の非混和性の液体FとFが固体面Sに接触しており、Fの体積がFに比べて十分小さい場合、液体Fは、図15に示すような形状となる。この時、以下の式が成立する。
【数1】

ここで、gは各物質間の表面張力、qは接触角と呼ばれ、それぞれ物性値である。ここでFが水とすると、q>90度の場合、固体は親水性と呼ばれ、q<90度の場合、固体は疎水性と呼ばれる。表面張力に比べ重力の効果が小さい場合、近似的にFの表面は円弧で近似できる。この時、図のa,bは概略で以下のような関係式となる。
【数2】

【数3】

このaが概略で管径以上となるように流体Fの量に関する値であるbと接触角の関係を調整すれば、Fが管のある断面を完全に満たすようになり、水(海水)を隔てることができる。
【0056】
また、表面張力や接触角は物性値であるが、電圧を印加するエレクトロウェッティングという技術を用いると、ある程度制御することが可能となる。このエレクトロウェッティングを用いると、前述した概略管径5mm以下の管に限定されることなく、管径5mm以上の管を用いることができ、装置設計・運用上有利となる。
【0057】
図16(a)および図16(b)は、エレクトロウェッティングを利用した液面制御を示す模式的な概略図であり、図16(a)は、液面制御を行う前の状態を示す図であり、図16(b)は、液面制御を行っている状態を示す図である。図16(a)および図16(b)に示すように、対向する電極61,62の間に、絶縁層63と非混和性の液体NFおよび水が介在している。対向電極61,62の間には、直流電源64が設けられている。
直流電源64を制御して対向電極61,62間に所定の電圧を印加すれば、図16(b)に示すように、非混和性の液体NFの界面を制御することができる。これにより、非混和性の液体NFにより、電極61,62間の空間を満たすことができる。このエレクトロウェッティングを利用すれば、図14に示す細管53の管径が大きくなっても、非混和性の液体NFにより細管53内の管路を塞ぐことができる。
【0058】
次に、装置内面を親水性、疎水性にする場合の処理又は材料を例示する。
装置内面に対し、例えばメトリキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基を導入したり、酸化チタン、酸化亜鉛、リン酸塩等を塗布したり、親水性樹脂材を塗布したり、高分子材を塗布した後にプラズマ照射処理を行ったりすることで親水性にすることができる。一方、有機ケイ素化合物を塗布したり、撥水性プラズマ重合膜を形成させたりすることで、表面を疎水性にすることができる。この他、既知のいかなる親水性表面処理、疎水性表面処理を用いても良い。表面処理の他、材料自体の固有な特性として親水性あるいは疎水性(たとえばガラス)のものでエネルギー回収チャンバーを製作することで親水性あるいは疎水性の内面を得ることができる。
【0059】
図17(a)および図17(b)は、親水性の場合と疎水性の場合の液面形状の違いを示す模式的な概略図である。
親水性あるいは疎水性にする理由は、非混和性液体が海水側と混合し、チャンバーから流出する危険を下げるためにある。図17(a)に示すように、疎水性にすることにより非混和性液体側が液膜となりやすく、逆に液滴となって内面に付着し海水側に残留しにくいと考えられる場合がある。また、図17(b)に示すように、親水性にすることによって、非混和性の液体が液滴となって内面に付着するが、逆に重力あるいは浮力、その他の流動によってそこから移動しやすくなり、元の液体側に戻りやすいとみなせる場合もある。なお、疎水性と撥水性は同義語として取り扱われる。従って、非混和性の液体の性質に基づき、内面を適切に親水性あるいは疎水性にすることによって、海水との混合の危険性を最大限小さくすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明のエネルギー回収装置が適用される海水淡水化プラント(海水淡水化装置・システム)の構成例を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明のエネルギー回収装置が適用される海水淡水化プラントの他の構成例を示す模式図である。
【図3】図3は、図1および図2に示す海水淡水化プラントに適用される本発明の容積形エネルギー回収装置を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図である。
【図5】図5は、図3および図4に示すように構成された容積形エネルギー回収装置の動作を説明する図である。
【図6】図6は、図3および図4に示すように構成された容積形エネルギー回収装置の動作を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図である。
【図8】図8は、本発明の第3の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図であり、図8(a)は断面図であり、図8(b)は平面図である。
【図9】図9は、本発明の第4の実施形態に係るエネルギー回収チャンバーを示す図である。
【図10】図10は、フロートを用いたエネルギー回収チャンバーを備えた容積形エネルギー回収装置の動作を説明する図である。
【図11】図11は、フロートを用いたエネルギー回収チャンバーを備えた容積形エネルギー回収装置の動作を説明する図である。
【図12】図12は、容器内のフロートが平板状である例を示す図である。
【図13】図13は、ガリウムを加温及び/又は保温する機構として、投げ込み式ヒーターを設置した例を示す図である。
【図14】図14は、二つの容器間に横置き型の細管を多数設けたエネルギー回収チャンバーを示す平面図である。
【図15】図15は、二種類の非混和性の液体が固体面に接触しており、一方の液体の体積が他方の液体の体積に比べて十分小さい場合の、一方の液体の形状を示す図である。
【図16】図16(a)および図16(b)は、エレクトロウェッティングを利用した液面制御を示す模式的な概略図である。
【図17】図17(a)および図17(b)は、親水性の場合と疎水性の場合の液面形状の違いを示す模式的な概略図である。
【図18】図18は、逆浸透膜法を用いる海水淡水化プラントの構成例を示す模式図である。
【図19】図19は、従来の容積形エネルギー回収装置の構成例を示す概略図である。
【図20】図20は、エネルギー回収チャンバーの従来の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0061】
1 海水
2 取水ポンプ
3 前処理装置
4 給水ライン
5 高圧ポンプ
6 電導モータ
7 高圧ライン
8 逆浸透膜カートリッジ
9 高圧室
10 逆浸透膜
12 脱塩水
13 高圧のリジェクト
14 タービン
17 ブースターポンプ
18 エネルギー回収ポンプタービン
19 ブースターポンプ吐出ライン
20 方向切換弁
21 エネルギー回収チャンバー
21a,21b 入出力ポート(開口部)
21h 孔
22 チェック弁モジュール
23 容積形エネルギー回収装置
24 供給海水バイパスブーストライン
25 排出ライン
26 電動モータ
27 タービン吐出ライン
28 タービン入口ライン
31 シリンダ
31a,31b 入出力ポート
31,32 容器
33 連通管
35 フロート
40 ヒーター
41,42 容器
43 連通体
53 細管
61,62 対向電極
63 絶縁膜
64 直流電源
302 スプール
NF 非混和性の流体(非混和性の液体)
HW 濃縮海水(高濃度海水)
LW 海水(原海水)
P 供給ポート
A 制御ポート
R 戻りポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動する高圧液体の圧力を流動する低圧液体に伝達することにより該低圧液体の圧力を高めて該低圧液体側にエネルギーを回収する容積形エネルギー回収装置において、
前記高圧液体と前記低圧液体とを導入するエネルギー回収チャンバーを設け、
前記高圧液体および前記低圧液体のいずれとも混じらない非混和性の流体を前記エネルギー回収チャンバー内に入れ、前記高圧液体と前記低圧液体とを前記非混和性の流体で隔てるようにしたことを特徴とする容積形エネルギー回収装置。
【請求項2】
前記非混和性の流体は、イオン液体からなることを特徴とする請求項1記載の容積形エネルギー回収装置。
【請求項3】
前記非混和性の流体は、油からなることを特徴とする請求項1記載の容積形エネルギー回収装置。
【請求項4】
前記非混和性の流体は、非極性溶媒からなることを特徴とする請求項1記載の容積形エネルギー回収装置。
【請求項5】
前記非混和性の流体は、液体金属からなることを特徴とする請求項1記載の容積形エネルギー回収装置。
【請求項6】
前記エネルギー回収チャンバーは、二つの容器と、該二つの容器の下部または底部において該二つの容器を連通する連通部とを備え、
前記非混和性の流体は、前記高圧液体ならびに前記低圧液体のいずれよりも比重が大きく、前記二つの容器の下部に存在し、かつ前記連通部も満たし、
前記高圧液体は前記二つの容器のうち一方の容器の上部に存在し、前記低圧液体は他方の容器の上部に存在し、エネルギー回収運転中には、前記高圧液体と前記低圧液体は、それぞれの容器の下部で前記非混和性の流体で隔てられ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないようにすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の容積形エネルギー回収装置。
【請求項7】
前記エネルギー回収チャンバーは、二つの容器と、該二つの容器の上部において該二つの容器を連通する連通部とを備え、
前記非混和性の流体は、前記高圧液体ならびに前記低圧液体のいずれよりも比重が小さく、前記二つの容器の上部に存在し、かつ前記連通部も満たし、
前記高圧液体は前記二つの容器のうち一方の容器の下部に存在し、前記低圧液体は他方の容器の下部に存在し、エネルギー回収運転中には、前記高圧液体と前記低圧液体は、それぞれの容器の上部で前記非混和性の流体で隔てられ、それぞれ、異なる容器側に進入することがないようにすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の容積形エネルギー回収装置。
【請求項8】
供給された海水を加圧する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプから排出された高圧の海水を逆浸透膜で膜処理して脱塩水を生成する逆浸透膜カートリッジと、
前記逆浸透膜で処理されないで前記逆浸透膜カートリッジから排出された濃縮水の圧力を利用して、供給された海水を加圧する容積形エネルギー回収装置と、
前記容積形エネルギー回収装置により加圧された加圧海水を昇圧して前記高圧ポンプから排出された高圧の海水に合流させる加圧装置とを備えた海水淡水化装置であって、
前記容積形エネルギー回収装置は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の容積形エネルギー回収装置であることを特徴とする海水淡水化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−297671(P2009−297671A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156609(P2008−156609)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】