説明

容積測定計算機式断層写真法撮像用のタイル構成可能な多面検出器

【課題】視差の影響を最小にする。
【解決手段】システム(10)は、焦点スポット(15)から対象(22)へ向けてX線のコーン・ビーム(16)を投射するように配置されたX線投射線源(14)と、回転式ガントリ(12)に配置されて、対象(22)によって減弱されたX線を受光する検出器モジュール(20)とを含んでいる。検出器モジュール(22)の各々が、焦点スポット(15)に対して変化する角度に配向されるように構築された複数の面(58)を形成されて含む上面(56)を有するモジュール・フレーム(52)と、複数の面(58)に配置されて、対象(23)によって減弱されたX線を受光してX線(16)を電気信号へ変換する複数のサブモジュール(60)とを含んでおり、各々のサブモジュール(60)は、当該サブモジュール(60)が装着されているそれぞれの面(58)に基づいて焦点スポット(15)に対して一つの角度で配向されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の各実施形態は一般的には、診断撮像用の放射線写真法検出器に関し、さらに具体的には、最小の画像データ劣化で増加したスライス取得を提供する多面構造を有する計算機式断層写真法(CT)検出器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムでは、X線源が患者又は手荷物のような被検体又は物体へ向けてファン(扇形)形状のビームを放出する。以下では、「被検体」及び「対象」「物体」等の用語は、撮像されることが可能な任意の物体を含むものとする。ビームは被検体によって減弱された後に放射線検出器のアレイに入射する。検出器アレイにおいて受光される減弱後のビーム放射線の強度は典型的には、被検体によるX線ビームの減弱量に依存する。検出器アレイの各々の検出器素子が、各々の検出器素子によって受光される減弱後のビームを示す別個の電気信号を発生する。これらの電気信号はデータ処理システムへ伝送されて解析され、ここから最終的に画像を形成する。
【0003】
一般的には、X線源及び検出器アレイは、撮像平面内で被検体を中心としてガントリの周りで回転する。X線源は典型的には、焦点においてX線ビームを放出するX線管を含んでいる。X線検出器は典型的には、検出器において受光されるX線ビームをコリメートして患者からの散乱線を拒絶するコリメータと、コリメータに隣接して設けられてX線を光エネルギへ変換するシンチレータと、隣接するシンチレータから光エネルギを受け取ってここから電気信号を発生するフォトダイオードとを含んでいる。
【0004】
典型的には、シンチレータ・アレイの各々のシンチレータがX線を光エネルギへ変換する。各々のシンチレータは、隣接するフォトダイオードに光エネルギを放出する。各々のフォトダイオードが光エネルギを検出して対応する電気信号を発生する。次いで、フォトダイオードの出力はデータ処理システムへ伝送されて画像再構成を施される。
【0005】
過去10年間に、容積測定CT又はコーンビームCT(VCT)技術の発達によって、CT検出器において用いられるスライスの数(Z軸)は急速に増加した。実際に、VCTに用いられる検出器は、患者の曝射面積を拡大することにより患者走査において益々広い照射範囲を可能にしている。かかる照射範囲に対処するために、CT検出器の幅がZ軸(すなわち患者の長手方向)に拡大されている。現行の最新型CTシステムのX線検出器は、シリコン・フォトダイオードの二次元アレイに結合されたシンチレート性ピクセルの二次元アレイで構成されており、典型的なアレイは64スライスの取得を提供することが可能になるような寸法を有する(すなわちGEスキャナの場合にはアイソセンタでのアレイ寸法が40mm)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7620143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、心撮像の必要性に対する関心が次第に高まっており、1回転の範囲内での心臓の撮像が要件となっている。1回転で心臓を撮像するためには、検出器アレイ寸法をアイソセンタにおいて約160mmとしてハーフ・スキャンで器官全体をカバーする必要があり、このことは、ここでの例では256スライス型の検出器と等価である。しかしながら、Z軸での検出器の照射範囲を64スライスを超えて256スライスまで拡大すると検出器の性能の低下を招き得る。すなわち、検出器ピクセルの性能、特にZ軸に沿って検出器の中心線から相対的に遠距離に位置するピクセルの性能が、かかるピクセルがコーン・ビームからX線を受光するときになす角度のため低下する。Z軸に沿った一つの位置では、X線の一次ビームはZ方向に隣り合う2個のピクセルを横断し、スライス間の著しいクロストーク、ピクセルでのビーム・ハードニングによるスペクトル非線形性、スライス・プロファイルの劣化、及び変調伝達関数(MTF)の劣化を誘発し、この問題は集合的に「視差(parallax)」として公知である。スライス数の増加によって生ずるこの視差は、再構成されたCT画像に存在するアーティファクトを招く場合があり、これにより256スライス以上の検出器によって提供される画質に著しい欠点を呈する。
【0008】
従って、256スライスまでのデータ取得に対処することによりVCT心撮像を提供するCT検出器を設計することが望ましい。また、かかるCT検出器が、患者の心臓領域の高品質画像再構成を提供するようにかかる検出器における視差の影響を最小にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、最小の画像データ劣化で増加したスライス取得を提供するCT画像取得装置に関するものである。多面構造を有する検出器モジュールが提供され、モジュールの複数の面が、X線源焦点スポットに対して変化する角度で配向されるように構築される。検出器サブモジュールが、対象によって減弱されたX線を受光してX線を電気信号へ変換する傾斜付き面に配置されており、検出器サブモジュールの焦点スポットに対するこの傾斜が、画像データ劣化を最小にするのに役立つ。
【0010】
本発明の一観点によれば、CTシステムが、走査対象を収容する開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに配置されて、当該X線投射線源の焦点スポットから対象へ向けてX線のコーン・ビームを投射するX線投射線源と、回転式ガントリに配置されて、対象によって減弱されたX線を受光するように構成されている複数の検出器モジュールとを含んでいる。複数の検出器モジュールの各々が、焦点スポットに対して変化する角度に配向されるように構築された複数の面を形成されて含む上面を有するモジュール・フレームと、上述の複数の面に配置されて、対象によって減弱されたX線を受光してX線を電気信号へ変換する複数のサブモジュールとをさらに含んでおり、各々のサブモジュールは、当該サブモジュールが装着されているそれぞれの面に基づいて焦点スポットに対して一つの角度で配向されている。CTシステムはまた、複数のサブモジュールに接続されて、ここから電気信号を受け取るデータ取得システム(DAS)を含んでいる。
【0011】
本発明のもう一つの観点によれば、CT走査手順時に対象によって減弱されたX線を受光する検出器モジュールが、複数の面を階段型構成で形成されて含む非平面状の上面を有するモジュール・フレームを含んでおり、複数の面は検出器のZ軸に沿って整列されている。検出器モジュールはまた、上述の複数の面に配置されて、対象によって減弱されたX線を受光してX線を電気信号へ変換する複数のサブモジュールと、複数のサブモジュールに接続されて、ここから電気信号を受け取るデータ取得システム(DAS)とを含んでいる。
【0012】
本発明のさらにもう一つの観点によれば、CTシステムが、走査対象を収容する開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに配置されて、当該X線投射線源の焦点スポットから対象へ向けてX線のコーン・ビームを投射するX線投射線源と、回転式ガントリに配置されて、対象によって減弱されたX線を受光する複数の検出器モジュールとを含んでいる。複数の検出器モジュールの各々が、Z軸に沿って整列された複数のサブモジュールを含む多面検出器モジュールを含んでおり、複数のサブモジュールの各々が、Z軸に沿った多面検出器モジュールでの当該サブモジュールの位置に基づいてX線投射線源の焦点スポットに対して最適な角度で配向されている。
【0013】
他の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、発明を実施するために現状で思量される好ましい各実施形態を示す。
【図1】CTイメージング・システムの見取り図である。
【図2】図1に示すシステムのブロック概略図である。
【図3】CTシステム検出器アレイの一実施形態の遠近図である。
【図4】本発明の一実施形態による検出器モジュールの遠近図である。
【図5】本発明の一実施形態による図4の検出器モジュールと共に用いられる検出器サブモジュールの遠近図である。
【図6】非侵襲型小包検査システムと共に用いられるCTシステムの見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の動作環境を256スライス型計算機式断層写真法(CT)システムに関して説明する。しかしながら、以下で詳細に説明するように、本発明は、64スライス乃至256スライス、及び64スライス乃至256スライス以外の他のマルチ・スライス型構成での利用にも同等に適用可能である。また、本発明をX線の検出及び変換に関して説明する。しかしながら、当業者はさらに、本発明が他の高周波電磁エネルギの検出及び変換にも同等に適用可能であることを認められよう。本発明を「第三世代」CTスキャナに関して説明するが、本発明は他のCTシステムでも同等に適用可能である。
【0016】
図1及び図2には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム10が、「第三世代」CTスキャナに典型的なガントリ12を含むものとして示されている。ガントリ12はX線源14を有し、X線源14は、線源14の焦点スポット15からガントリ12の反対側に位置する検出器アセンブリ18へ向けてX線ビームを投射する。ここで図2を参照すると、検出器アセンブリ18は、複数の検出器モジュール20及びデータ取得システム(DAS)32によって形成されている。複数の検出器モジュール20は、患者22を透過する投射X線16を感知し、DAS32は後続の処理のためにデータをディジタル信号へ変換する。各々の検出器モジュール20が、入射X線ビームの強度を表わし従って患者22を透過した減弱後のビームを表わすアナログ電気信号を発生する。X線投影データを取得するための1回の走査の間に、ガントリ12及びガントリ12に装着されている構成部品は回転中心24の周りを回転する。
【0017】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって制御される。制御機構26は、X線制御器28とガントリ・モータ制御器30とを含んでおり、X線制御器28はX線源14に電力信号及びタイミング信号を供給し、ガントリ・モータ制御器30はガントリ12の回転速度及び位置を制御する。画像再構成器34が、標本化されてディジタル化されたX線データをDAS32から受け取って高速再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として印加され、コンピュータ36は大容量記憶装置38に画像を記憶させる。
【0018】
コンピュータ36はまた、キーボード、マウス、音声作動式コントローラ、又は他の任意の適当な入力装置のような何らかの形態の操作者インタフェイスを有するコンソール40を介して、操作者から命令及び走査用パラメータを受け取る。付設されている表示器42によって、操作者は、再構成された画像及びコンピュータ36からのその他のデータを観測することができる。操作者が供給した命令及びパラメータはコンピュータ36によって用いられて、DAS32、X線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に制御信号及び情報を供給する。加えて、コンピュータ36は、電動テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を動作させて、患者22及びガントリ12を配置する。具体的には、テーブル46は患者22を図1のガントリ開口48を通して全体として又は部分的に移動させる。
【0019】
図3に示すように、検出器アセンブリ18は、コリメート用ブレード又はプレート19を間に配置したレール17を含んでいる。プレート19は、X線ビームが例えば検出器アセンブリ18に配置された図4の検出器モジュール20に入射する前にX線16をコリメートするように配置されている。本発明の一実施形態によれば、以下に詳細に説明するように、検出器アセンブリ18は57個の検出器モジュール20を含んでおり、各々の検出器モジュール20がピクセル素子の256×16のアレイ寸法を有する。結果として、検出器アセンブリ18は256列の横列及び912列の縦列(16×57個の検出器)を有し、ガントリ12の各回の回転によって256枚の同時スライスのデータを収集することを可能にしている。
【0020】
図4には、本発明の実施形態の一例による検出器モジュール20の構成が示されている。検出器モジュール20は、DAS32を収容するための開口を内部に有するモジュール・フレーム52を含んでいる。モジュール・フレーム52の上面56は階段型構成を有するように構築され、従って複数の面58を上部に含んでいる。各面58は、Z軸60に沿ってモジュール・フレーム52に沿って縦に整列されている。本発明の一実施形態によれば、8個の面58がモジュール・フレーム52の上面56に形成される。
【0021】
図4に示すように、モジュール・フレーム52の上面56に形成された各々の面58は、患者又は対象を通して減弱したX線を受光して処理する検出器サブモジュール60を収容するような寸法を有して構成される。単一のサブモジュール60のみが検出器モジュール20に含まれているものとして図示されているが、サブモジュール60は、複数のサブモジュール60が検出器モジュール20に含まれるように(例えば8個のサブモジュール60)、モジュール・フレーム52の各々の/全ての面58に載置され得ることが認められる。
【0022】
本発明の一実施形態によるサブモジュール60の詳細図を図5に示す。サブモジュール60は、シンチレート性パック・アレイ64として構成されている多数のシンチレータ検出器素子又はピクセル62を含んでいる。一実施形態によれば、シンチレート性パック・アレイ64は、各々のシンチレート性パック・アレイ64が32スライスを含むように検出器素子62の32×16アレイで構成されている。シンチレート性パック・アレイ64は、複数のダイオード素子又はピクセル68で形成される背面照射型ダイオード・アレイ66(すなわちダイオードの32×16アレイ)の上に配置される。検出器素子62は背面照射型ダイオード・アレイ66に光学的に結合され、次に背面照射型ダイオード・アレイ66は、ダイオード・アレイ66の面及びDAS32(図4)に取り付けられる軟質(フレックス)回路70に電気的に結合される。一実施形態の動作時には、検出器素子62の内部に入射するX線がフォトンを発生し、フォトンがパック・アレイ64を横断して、これによりアナログ信号を発生して、この信号が背面照射型ダイオード・アレイ66の内部のダイオード68において検出される。発生されるアナログ信号は背面照射型ダイオード・アレイ66から軟質回路70を通ってDAS32まで運ばれて、ここでアナログ信号がディジタル信号へ変換される。
【0023】
本発明の各実施形態によれば、サブモジュール60の寸法は、性能及び拡張性について最適化するように変化させられ得る。サブモジュールは、例えば長さ20mmの寸法(すなわちZ軸に沿って20mm)を有し得る。但し、サブモジュール60は、各々の面58の寸法のような検出器モジュール20の正確な構成に依存して、長さ10mmから長さ40mmまでであってよいことが認められる。さらに、サブモジュール60はシンチレータ・アレイ64及びフォトダイオード・アレイ66を含むものとして示されているが、サブモジュール60のかかる要素/材料は、テルル化カドミウム(CdTe)又はテルル化カドミウム亜鉛(CZT)のようにX線を電気信号に直接的へ変換する直接変換物質に置き換えられ得ることが認められる。
【0024】
図4に戻り、8個の面58がZ軸に沿ってモジュール・フレーム52に沿って縦に整列されており、このようにしてCT撮像時に取得され得るスライスの数の増加を可能にしていることが分かる。本発明の一実施形態によれば、検出器モジュール20は8個のサブモジュール60を含むことができ、各々のサブモジュール60がそれぞれの面58に配置されるので、各々のサブモジュール60における検出器素子62の各々の32×16アレイの和は、検出器モジュール20については検出器素子62の256×16のアレイ寸法になる。結果として、検出器モジュール20は、ガントリ12(図1)の各回の回転で収集される256枚の同時スライスのデータを提供する。但し、検出器モジュール20に含まれるサブモジュール60の数は所望に応じて変化させられ得るため、検出器モジュール20のサブモジュール60はタイル構成可能(tileable)であり、有利である。すなわち、本発明の一実施形態によれば、例えば4個のサブモジュール60のみが検出器モジュール20に含まれていてもよい。4個のサブモジュール60のみが検出器モジュール20に含まれている実施形態では、サブモジュール60はZ軸に沿って検出器モジュールの中心線72に関して対称な態様で面58に配置される。従って、20mmの長さを有する寸法のサブモジュール60の場合には、Z軸でのサブモジュール60の設置数増加(populating)及び設置数減少(depopulating)に基づいて、検出器モジュール20を20mm〜160mmの長さを有するように構築し得ることが認められる。
【0025】
256スライス型検出器を形成する8個のサブモジュール60のように相対的に多数のサブモジュール60を検出器モジュール20に含めるときに、検出器モジュール20の長さがZ方向に増大するにつれて(すなわちサブモジュール60の数に基づく検出器素子/ピクセル62のアレイの長さ)、検出器モジュール20によって取得されるCTデータの品質が低下し得ることが認められる。すなわち、Z軸における検出器素子/ピクセル62の性能が、X線16が受光されるときのコーン角のため低下する。Z軸に沿った幾つかの位置では、一次X線ビーム16がZ方向に隣り合う2個のピクセル62に交差するため、Z軸に沿って一つのスライスから隣接するスライスへの一次ビーム16の著しいX線クロストーク、ピクセルでのビーム・ハードニングによるスペクトル非線形性、スライス・プロファイルの劣化、及び変調伝達関数(MTF)の劣化が生じ、この品質の問題を集合的に「視差」と呼ぶ。検出器モジュール20において経験されるこの視差は、再構成されるCT画像に著しいアーティファクトを生じ得る。
【0026】
従って、検出器モジュール20は、視差の影響を回避するために、各々のサブモジュール60がX線ビーム焦点スポット15に関して何らかの角度で配置されるように構成される。焦点スポット15に対して所望の角度でサブモジュール60を配置するために、モジュール・フレーム52の上面56の各々の面58が、焦点スポット15に対して所与の角度74で配向される。各々の面58がなす角度74は、サブモジュール60のスライスが視差現象によって最小限に影響される(すなわちスライス間のX線クロストーク、スペクトル非線形性、スライス・プロファイルの劣化、及びMTF劣化を最小にする)ように個別に最適化され、焦点スポット15に関する各々の面58の角度は、所望の性能及び改善すべき特定の画質パラメータの関数として変化させられ決定される。本発明の各実施形態によれば、各々の面58が焦点スポット15に対して配向される角度74は、上面56に平らに載置されている面58と、焦点スポット15に対して垂直(すなわち焦点スポット15から放出されてそれぞれの面58に配置されたサブモジュール60によって受光されるX線ビーム16に対して垂直)になるように傾斜されている面58との間に含まれる角度の範囲内に収まるように変化し得る。一般的には、焦点スポット15に対する特定の面58の角度74は、面58が検出器モジュール20の中心線72から離隔するほど増大する。従って、モジュール・フレーム52の最も外側の面58は、モジュール・フレーム52において中心線72に隣接しており上面56において殆ど平らに配向され得る中央の面58よりも焦点スポット15に対して大きい角度で配向され得る。次いで、サブモジュール60は、当該サブモジュール60に対応する面58によって形成される所望の角度で配置されるように面58に配置されて、接着材、ねじ、又は他の任意の許容される固定方法等を介して固定される。
【0027】
このように、モジュール・フレーム52の傾斜付き面58による焦点スポット15に対するサブモジュール60の傾斜は、Z軸での焦点スポットの移動に不感である検出器モジュール20を提供する。視差現象は検出器モジュール20において最小となり、これにより最も外側のサブモジュール60のクロストーク、スペクトル線形性、及びスライス・プロファイルを、最も内側のサブモジュール60と一致させると共に、既存の64スライス型検出器モジュール・アーキテクチャに典型的に関連するVCT仕様と同様のものにすることができる。上述のように、焦点スポットに関する各々の面の角度は、所望の性能及び改善すべき特定の画質パラメータの関数として変化させられ決定される。
【0028】
図6を参照すると、小包/手荷物検査システム100が、小包又は手荷物を通過させ得る開口104を内部に有する回転式ガントリ102を含んでいる。回転式ガントリ102は、高周波電磁エネルギ源106と、図4及び図5に示されるものと同様の検出器モジュール20を有する検出器アセンブリ108とを収容している。また、コンベヤ・システム110が設けられており、コンベヤ・システム110は、構造114によって支持されており走査のために小包又は手荷物116を自動的に且つ連続的に開口104に通すコンベヤ・ベルト112を含んでいる。対象116をコンベヤ・ベルト112によって開口104に送り込み、次いで撮像データを取得し、コンベヤ・ベルト112によって開口104から小包116を除去することを、制御された連続的な態様で行なう。結果として、郵便物検査官、手荷物積み降ろし員及び他の警備人員が、爆発物、刃物、銃及び密輸品等について小包116の内容を非侵襲的に検査することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、小包/手荷物検査システム100に検出器モジュール20(図4)を組み入れると、小包116の走査時間が短縮される。すなわち、検出器モジュール20(図4)は、当該検出器モジュール20によって256スライスを取得することができるので、システム100がガントリ102の単一の回転でさらに大きな容積の小包を走査することを可能にする。このように、小包/手荷物検査システム100による小包116のさらに効率的な走査が、検出器モジュール20(図4)をシステム100に組み入れることにより達成される。
【0030】
従って、本発明の一実施形態によれば、CTシステムが、走査対象を収容する開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに配置されて、当該X線投射線源の焦点スポットから対象へ向けてX線のコーン・ビームを投射するX線投射線源と、回転式ガントリに配置されて、対象によって減弱されたX線を受光するように構成されている複数の検出器モジュールとを含んでいる。複数の検出器モジュールの各々が、焦点スポットに対して変化する角度に配向されるように構築された複数の面を形成されて含む上面を有するモジュール・フレームと、上述の複数の面に配置されて、対象によって減弱されたX線を受光してX線を電気信号へ変換する複数のサブモジュールとをさらに含んでおり、各々のサブモジュールは、当該サブモジュールが装着されているそれぞれの面に基づいて焦点スポットに対して一つの角度で配向されている。CTシステムはまた、複数のサブモジュールに接続されて、ここから電気信号を受け取るデータ取得システム(DAS)を含んでいる。
【0031】
本発明のもう一つの実施形態によれば、CT走査手順時に対象によって減弱されたX線を受光する検出器モジュールが、複数の面を階段型構成で形成されて含む非平面状の上面を有するモジュール・フレームを含んでおり、複数の面は検出器のZ軸に沿って整列されている。検出器モジュールはまた、上述の複数の面に配置されて、対象によって減弱されたX線を受光してX線を電気信号へ変換する複数のサブモジュールと、複数のサブモジュールに接続されて、ここから電気信号を受け取るデータ取得システム(DAS)とを含んでいる。
【0032】
本発明のさらにもう一つの実施形態によれば、CTシステムが、走査対象を収容する開口を有する回転式ガントリと、回転式ガントリに配置されて、当該X線投射線源の焦点スポットから対象へ向けてX線のコーン・ビームを投射するX線投射線源と、回転式ガントリに配置されて、対象によって減弱されたX線を受光する複数の検出器モジュールとを含んでいる。複数の検出器モジュールの各々が、Z軸に沿って整列された複数のサブモジュールを含む多面検出器モジュールを含んでおり、複数のサブモジュールの各々が、Z軸に沿った多面検出器モジュールでの当該サブモジュールの位置に基づいてX線投射線源の焦点スポットに対して最適な角度で配向されている。
【0033】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が本発明を実施することを可能にするように実例を用いている。本発明の特許付与可能な範囲は特許請求の範囲によって画定され、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0034】
10 計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム
12 ガントリ
14 X線源
15 焦点スポット
16 投射X線
17 レール
18 検出器アセンブリ
19 コリメート用ブレード又はプレート
20 検出器モジュール
22 患者
24 回転中心
26 制御機構
28 X線制御器
30 ガントリ・モータ制御器
32 データ取得システム(DAS)
34 画像再構成器
36 コンピュータ
38 大容量記憶装置
40 コンソール
42 表示器
44 テーブル・モータ制御器
46 電動テーブル
48 ガントリ開口
52 モジュール・フレーム
56 上面
58 面
60 検出器サブモジュール
60 Z軸
62 検出器素子又はピクセル
64 シンチレート性パック・アレイ
66 背面照射型ダイオード・アレイ
68 ダイオード素子又はピクセル
70 軟質回路
72 中心線
74 角度
100 小包/手荷物検査システム
102 回転式ガントリ
104 開口
106 高周波電磁エネルギ源
108 検出器アセンブリ
110 コンベヤ・システム
112 コンベヤ・ベルト
114 構造
116 小包又は手荷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査対象(22)を収容する開口(48)を有する回転式ガントリ(12)と、
該回転式ガントリ(12)に配置されて、当該X線投射線源(14)の焦点スポット(15)から前記対象(22)へ向けてX線のコーン・ビーム(16)を投射するX線投射線源(14)と、
前記回転式ガントリ(12)に配置されて、前記対象(22)により減弱されたX線を受光するように構成されている複数の検出器モジュール(20)と
を備えた計算機式断層写真法(CT)システム(10)であって、前記複数の検出器モジュール(20)の各々が、
前記焦点スポット(15)に対して変化する角度で配向されるように構築された複数の面(58)を形成されて含む上面(56)を有するモジュール・フレーム(52)と、
前記複数の面(58)に配置されて、前記対象(22)により減弱された前記X線を受光して該X線(16)を電気信号へ変換する複数のサブモジュール(60)であって、各々のサブモジュール(60)は、当該サブモジュール(60)が装着されているそれぞれの面(58)に基づいて前記焦点スポット(15)に対して一つの角度で配向されている、複数のサブモジュール(60)と、
該複数のサブモジュール(60)に接続されて、ここから前記電気信号を受け取るデータ取得システム(DAS)(32)と
を含んでいる、計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項2】
前記複数の面(58)は、前記対象(22)の前記計算機式断層写真法(CT)システム(10)を通した移動の方向であるZ軸(60)に沿って整列されている、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項3】
前記モジュール・フレーム(52)の前記上面(56)は、前記複数のサブモジュール(60)の最も外側のサブモジュールが前記複数のサブモジュール(60)の最も中央のサブモジュールに対して異なる高さに配置されるような階段型構成を有するように構築されている、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項4】
前記複数の面(58)の各々の前記焦点スポット(15)に対する前記角度は、前記モジュール・フレーム(52)の前記上面(56)に平らに載置されていることと、前記焦点スポット(15)に対して垂直になるように傾斜されていることとの間にわたる、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項5】
前記複数の面(58)は8個の面を含んでいる、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項6】
前記複数のサブモジュール(60)は、当該複数のサブモジュール(60)が前記複数の面(58)における面(58)の数よりも少ない又は等しい数のサブモジュール(60)を含むように、前記モジュール・フレーム(52)の前記面(58)に選択的に追加可能であるタイル構成可能なサブモジュール(60)を含んでいる、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項7】
前記複数のサブモジュール(60)の各々が、
前記対象(22)を通して減弱されたX線(16)を受光するように構成された複数のシンチレータ・ピクセル(62)を有するシンチレータ・アレイ(64)と、
該シンチレータ・アレイ(64)に光学的に結合されて、対応するシンチレータ・ピクセル(62)からの光出力を検出するように構成されている複数のフォトダイオード(68)を含んでいるフォトダイオード・アレイ(66)と、
該フォトダイオード・アレイ(66)に接続されて、ここから電気信号を受け取って該電気信号を前記DAS(32)に伝達する軟質回路(70)と
を含んでいる、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項8】
前記軟質回路(70)は、前記サブモジュールを前記モジュール・フレーム(52)に締付け固定するように構成されている、請求項7に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項9】
前記複数のサブモジュール(60)の各々は、当該複数のサブモジュール(60)の各々が32枚の画像データ・スライスを取得するように構成されるように、シンチレータ・ピクセル(62)の32×16アレイを含んでいる、請求項7に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。
【請求項10】
前記検出器モジュール(20)は、前記X線源(14)の前記回転式ガントリ(12)の周りでの単一の回転の間に256枚の画像データ・スライスを取得するように構成されている、請求項1に記載の計算機式断層写真法(CT)システム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81264(P2012−81264A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215820(P2011−215820)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】