容量性圧力センサー
【課題】圧力変換器内の、改良された電極と、電極のための取り付け具とを提供する。
【解決手段】圧力変換器アッセンブリは、第1の本体と、第2の本体と、ダイアフラムと、電極とを有する。第1の本体とダイアフラムとは、第1のチャンバを、また、第2の本体とダイアフラムとは、第2のチャンバを形成している。電極は、第1のチャンバ内に配置されている。電極とダイアフラムとの間のキャパシタンスは、チャンバの間の圧力差を表す。電極は、ハブから吊り下げられ、スポーク取り付けされている。幾つかの実施形態では、電極は、完全に金属である。電極は、導電性フィルムが形成されたセラミック製ディスクを有しても良い。このディスクは、セラミック製のロッドを備えたハウジングに結合されている。変換器はまた、温度の変化に応じたねじりを減少するために、ハウジングに接続された、熱係数の低い膨張部材を有する。
【解決手段】圧力変換器アッセンブリは、第1の本体と、第2の本体と、ダイアフラムと、電極とを有する。第1の本体とダイアフラムとは、第1のチャンバを、また、第2の本体とダイアフラムとは、第2のチャンバを形成している。電極は、第1のチャンバ内に配置されている。電極とダイアフラムとの間のキャパシタンスは、チャンバの間の圧力差を表す。電極は、ハブから吊り下げられ、スポーク取り付けされている。幾つかの実施形態では、電極は、完全に金属である。電極は、導電性フィルムが形成されたセラミック製ディスクを有しても良い。このディスクは、セラミック製のロッドを備えたハウジングに結合されている。変換器はまた、温度の変化に応じたねじりを減少するために、ハウジングに接続された、熱係数の低い膨張部材を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性圧力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、組み立てられた、先行技術の容量性圧力変換機アッセンブリ100の部分的な側方からの断面図を示す。図2は、変換器アッセンブリ100の側方からの分解断面図を示す。説明を容易にするために、図1、図2は、本発明で開示された他の図と同様に、一定の比例に縮小して示されてはいない。特許文献1は、変換器アッセンブリ100の一般形態である容量性圧力変換器アッセンブリを開示している。
【0003】
簡単に言うと、変換器アッセンブリ100は、第1のシールされた内部チャンバ110と第2のシールされた内部チャンバ112とを規定している本体を具備する。チャンバ110,112は、比較的薄くかつ可とう性を有する導電性ダイアフラム120によって、互いから隔離されている。後述されるように、ダイアフラム120は、これがチャンバ110とチャンバ112との圧力差に応じて収縮するか反らされるように、装着されている。変換器アッセンブリ100は、ダイアフラムの収縮量を示すパラメータを与える。従って、このパラメータは、圧力差を間接的に示す。変換器アッセンブリ100によって与えられ、圧力差を示すパラメータは、ダイアフラム120と電極130との間の電気容量(electrical capacitance)である。
【0004】
変換器アッセンブリ100は、P_xカバー140と、P_X本体150とを具備する(以下に説明されるように、用語“P_x”は、不明の圧力のことである)。図3の(A)は、P_x本体150の上面図を示す。P_x本体150は、管状形状を有し、中央の内部アパーチャ152を規定している(図3の(A)に示され、図2の線153によって示されている)。P_x本体150の上面は、段をつけられて、アパーチャ152の周囲で延びた肩部154を提供している。P_x本体150はまた、下面156を有する。P_xカバー140は、円形の金属シートであり、これには、中央アパーチャ144を規定する圧力管142が設けられている。P_xカバー140は、P_x本体150の下面156に堅く取り付けられている(例えば溶接によって)。ダイアフラム120は、通常は、薄くて、円形で、可とう性を有し、導電性材料で形成されたシートである(例えばステンレススチール)。上述されたように、図1、図2は、一定の比例に縮小して示されておらず、また、ダイアフラム120は、通常は、変換器アッセンブリ100の他の構成部品と比較して示されているよりもかなり薄い。ダイアフラム120は、図1に示されるように、P_本体150の肩部154と接触している。ダイアフラム120の外周は、通常は、ダイアフラム120の外周をP_x本体150の肩部154に堅く保持するように、P_x本体150に溶接されている。
【0005】
P_xカバー140、P_x本体150、及びダイアフラム120は、シールされた内部チャンバ110を共に規定している。P_xカバー140はチャンバ110の底部を規定し、P_x本体150はチャンバの側壁を規定し、ダイアフラム120はチャンバの上部を規定している。管142中の流体は、アパーチャ144と、中央アパーチャ152とを通ってチャンバ110中へと流れ得る。かくして、管142中の流体は、ダイアフラム120の下面と連通している。
【0006】
変換器アッセンブリ100はまた、P_r本体160とP_rカバー170とを具備する(上述されるように、用語“P_r”は、参照圧力のことである)。図3の(B)は、P_r本体160の上面図を示す。P_r本体160は、管状形状を有し、中央アパーチャ162を規定している(図3の(B)に示され、図2の線263によって示されている)。P_r本体160の上面は、段を付けられて、下肩部164と上肩部166とを提供している。下肩部164は、アパーチャ162の周囲で延び、上肩部166は、下肩部164の周囲で延びている。P_r本体160はまた、肩部164,166の反対側に下面168を有する。P_r本体160の下面168は、ダイアフラム120の外周の上面に堅く取り付けられている(例えば溶接によって)。P_rカバー170は、円形の金属製シートであり、これには、中央アパーチャ174を規定する圧力管172が設けられている。P_rカバー170は、このP_rカバー170の外周がP_r本体160の上肩部166と接するように、P_r本体160に(例えば溶接によって)堅く取り付けられている。
【0007】
P_rカバー170、P_r本体160、ダイアフラム120は、シールされた内部チャンバ112を共に規定している。ダイアフラム120はチャンバの底部を規定し、P_r本体160はチャンバの側壁を規定し、P_rカバー170は、チャンバ112の上部を規定している。管172内の流体は、アパーチャ174と、中央アパーチャ162とを通って、チャンバ112中に流れ得る。よって、管172内の流体は、ダイアフラム120の上面と連通している。後述されるように、電極130は、チャンバ112内に収容されるが、これの中の流体の流れを邪魔することはない。
【0008】
電極130は、通常は、非導電性(もしくは絶縁)セラミックブロックで組み立てられ、円筒形形状を有している。図3の(C)は、電極130の底面図を示す。電極130の下面は、段をつけられており、中央面135と、この中央面135の外周で延びた肩部136とを有する。電極130はまた、アパーチャ132を規定している(図3の(C)に示され、図2の線133によって示されている)。電極130は、中央面135上に(例えば電気メッキによって)溶着された、比較的薄いコンダクター134を更に有する。コンダクター134は、明白に、図2、図3の(C)に示されているが、説明を容易にするために、図1には示されていない。電極130は、図1に示されるように、P_rカバー170とP_r本体160の下肩部164と間で締め付けられている。電極130のアパーチャ132(図3の(C)に示されている)は、流体が、ダイアフラム120の上面と圧力管172との間を、電極130を通って、自由に流れるのを可能にしている。電極130をP_r本体160に締め付けることにより、コンダクター134はダイアフラム120と離れたところに保持されている。電極130は、通常は、コンダクター134とダイアフラム120との間の空間が比較的小さくなるように(例えば、およそ0.0002メーター程度)位置されている。
【0009】
コンダクター134とダイアフラム120とは、コンデンサー138の複数の互いに平行な板を形成している。よく知られているように、C=Ae/dの式において、Cは、2つの平行な板の間のキャパシタンスであり、Aは、複数の板の間の共用領域であり、eは、複数の板の間の、材料に基づいた定数であり(真空状態ではe=1)、dは、複数の板の間の距離である。そして、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスは、ダイアフラム120とコンダクター134との間の距離の関数である。ダイアフラム120が、チャンバ110とチャンバ112との間の圧力差の変化に応じて上もしくは下に伸縮するのにつれて、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスもまた、変化する。電極130(及びコンダクター134)が、好ましくは、ハウジングに対して静止した状態に保持されるので、電極130は、“参照電極(reference electrode)”として言及され得る。いつかの任意の瞬間に、コンデンサー138によって与えられたキャパシタンスは、チャンバ110とチャンバ112との間の、瞬間の圧力差を示す。公知の電気回路(例えば、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスの関数である共振周波数によって特徴付けられる“タンク(tank)”回路)が、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスを測定して、圧力差を示す電気信号を与えるために、使用され得る。
【0010】
変換器アッセンブリ100は、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスの測定を可能にする導電性フィードスルー180を有する。このフィードスルー180の一端部182は、電極130と接している。フィードスルー180は、このフィードスルー180の他端部184が変換器アッセンブリ100の外に出るように、P_rカバー170のアパーチャを通って延びている。フィードスルー180が延びるように通っている、P_rカバー170のアパーチャは、チャンバ112内の圧力を保持し、並びにフィードスルー180をP_rカバー170から電気的に絶縁するために、例えば溶融されたガラスのプラグ185によって、シールされている。フィードスルー180は、コンダクター134に電気的に接続されている。電極130は、通常は、コンダクター134(電極130の下面の)と、電極130の上面と接触しているフィードスルー180の端部182との間の電気接続を可能にするように、電気めっきされた貫通孔(図示されず)を有する。そして、フィードスルー180は、コンデンサー138の一方の板に(例えばコンダクター134)電気接続を与える。ダイアフラム120がP_r本体160に溶接されていることから、このP_r本体160は、コンデンサー138の他方の板(例えばダイアフラム120)に電気接続を与える。そして、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスは、P_r本体160とフィードスルー180の端部184との間の測定回路(図示されず)を電気的に接続することによって、測定され得る。実際に、変換器アッセンブリ100の本体は、通常は、アースされており、そして、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスは、単に、フィードスルー180の端部184への測定回路を電気的に接続することによって、測定され得る。
【0011】
コンダクター134は、通常は、電極130の下面に円形の“リング状”構成を成すように配置されている(図3の(C)に示されるように)。更に、いくつかの先行技術の変換器アッセンブリは、電極130に配置された1以上のコンダクターと、これらコンダクターに電気的に接続するための対応した数のフィードスルーとを、有する。このような変換器は、少なくとも2つのコンデンサーを提供する。第1のコンデンサーは、ダイアフラム120と、電極130の一方のコンダクターとによって形成され、第2のコンデンサーは、ダイアフラム120と電極130の他方のコンダクターとによって形成されている。公知のように、複数のコンデンサーが、このようなやり方で提供され、変換器のためにより正確な温度調節を効果的に与えるように使用され得る。
【0012】
変換器アッセンブリ100は、運転中、絶対圧力変換器として、通常は使用される。このように、通常は、チャンバ112は、最初に、真空ポンプ(図示されず)を圧力管172に適用することによって空にされる。チャンバ112が空にされた後、管172は、チャンバ112内の真空を維持するために、シールされるか“ピンチオフ(pinched off)”される。これによって、チャンバ112内の“参照”圧力(reference pressure)が生じる。真空は、適切な参照圧力であるが、参照圧力として他の圧力を利用することもまた知られている。チャンバ112内の圧力が既知の圧力であるか参照圧力であることから、チャンバ112を構成するのに使用された構成部材(即ちP_r本体160とP_rカバー170)は、P_r構成部品(即ち“参照圧力”構成部品)と呼ばれている。参照圧力がチャンバ112内に確立されると、圧力管142が、流体の圧力測定を可能にするように、流体源(図示されず)に接続される。このように圧力管142を接続することによって、圧力が測定される流体は、チャンバ110(及びダイアフラム120の下面)へ運ばれる。チャンバ110内の圧力が不明であるか、測定される必要があることから、チャンバ110を構成するために使用される構成部品(即ちP_xカバー140とP_x本体150)は、P_x構成部品(即ち“不明圧力”構成部品)と呼ばれている。ダイアフラム120の中心は、チャンバ110とチャンバ112との間の圧力差に応じて、上もしくは下に伸縮する。変換器アッセンブリ100は、ダイアフラムの湾曲量の測定を可能にし、かくして、チャンバ112内の既知の圧力に対して、チャンバ110内の圧力測定を可能にする。
変換器アッセンブリ100は、言うまでもなく、差別的な圧力の変換器としても使用され得る。この場合は、圧力管142は、第1の流体源(図示されず)に接続され、圧力管172は、第2の流体源(図示されず)に接続される。かくして、変換器アッセンブリ100は、2つの流体の圧力の間の差を測定可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許4,823,603号
【発明の概要】
【0014】
変換器アッセンブリ100の1つの問題点は、コンダクター134とダイアフラム120との間の、ゼロ圧力差の名目上の間隔(zero pressure differential nominal spacing)に関係する。チャンバ110とチャンバ112との間の特別な参照圧力差、例えばゼロ圧力差のための、ダイアフラム120とコンダクター134との間の参照距離は、“名目上の距離”もしくは“名目上のギャップ”と呼ばれ得る。変換器アッセンブリ100の運転中に、ダイアフラム120は、言うまでもなく上もしくは下に伸縮し、かくして、ダイアフラム120とコンダクター134との間の間隔が変えられ得る。しかしながら、変換器アッセンブリ100に一貫して正確な圧力示数を与えるために、ダイアフラム120とコンダクター134との間に一定の名目上の距離を与えることが重要である。そして、特別な圧力差のために、ダイアフラム120とコンダクター134との間の名目上の距離が確実に常に同じであるようにすることが重要である。多数の変換器アッセンブリ100を製造する際には、あらゆるユニットのコンダクター134とダイアフラム120との間に、同じ名目上の距離を一貫して与えることが重要である。更に、変換器アッセンブリ100の任意の1つのユニットにおいて、確実に、名目上の距離が一定であり長時間に渡って変化することがないようにさせることが、重要である。
【0015】
ダイアフラムと電極との間の名目上のギャップは、例えば25乃至400ミクロンの範囲内で、非常に小さくてよい。センサーは、複数の異なった材料で形成され得、これら材料の各々は、製造もしくは使用中の温度の変化に応じて夫々異なって反応し得る。名目上のギャップや他の誤差が小さいことから、温度の変化による小さな変化は、名目上のギャップに大きな影響を与え得る。例えば、金属製ハウジングが第1の率で軸方向に広がる場合(例えばダイアフラムの板に直交した方向)、セラミック製の電極130は、第2の率で軸方向に広がり、名目上のギャップは、変化し得る。
【0016】
先行技術の変換器アッセンブリ100は、一貫した通常距離を維持するための、弾性部材192を有する。弾性部材192は、P_rカバー170と電極130の上部との間で圧迫される。P_r本体160の下肩部164は、電極130の肩部136を支持している。P_rカバー170がP_r本体160に溶接されているので、弾性部材192は、電極130を押し下げるばね力を与え、この電極130を、P_r本体160に対して、所定の位置に保持する。弾性部材192は、“波型座金(wave washer)”(例えば、1以上の位置でリングの板に直交した方向に湾曲された、金属製のO−リングタイプの座金)を使用し得る。弾性部材192は、電極130を安定した位置に保持するように、比較的大きいばね力(例えば、およそ100ポンド程度)を与える。
【0017】
変換器アッセンブリ100は、電極130を安定的に保持するが、コンダクター134とダイアフラム120との間の名目上の距離は、例えば機械的もしくは熱衝撃に対応して、長時間に渡って少しずつ変化し得る。当業者は、圧縮によって所定位置に保持されている、電極130のような部材が、長時間に渡って少しの動作(時として“クリープ”と言及される)を見せ得ることを、理解されるだろう。このようなクリープは、時として、名目上の距離を変え得るので、変換器アッセンブリ100の精度に悪い影響を与える。過圧状況はまた、電極130の望ましくない運動を生じ得る。変換器アッセンブリ100の通常運転中、ダイアフラム120は、電極130に接触しない。しかしながら、チャンバ110内の、変換器アッセンブリ100の名目上の動作範囲を超えた大きな圧力(即ち過圧)は、ダイアフラム120を電極130と接触させ、弾性部材192を僅かに圧迫する。過圧状況が解消され、ダイアフラム120が名目上の動作位置に戻ると、弾性部材192は、再び広がり、電極130を正しい位置に戻すが、時として、電極130の新しい位置が、過圧が生じる前の最初の位置と僅かに異なることがある。このような位置上の変化は、名目上の距離の変化を生じることがあり、変換器アッセンブリ100の精度に悪い影響を与える。
【0018】
本発明は、圧力変換器内の、改良された電極と、電極のための取り付け具(mounting)とを提供する。一般に、電極と取り付け具とのデザインは、電極の安定性を向上させるものである。
本発明の一態様では、圧力変換器は、1つのチャンバ内に、ハブ−スポーク取り付け具を有する。ハブ−スポークの構成は、ダイアフラムと面平行に延びている。参照電極は、ハブ−スポーク取り付け具のハブから吊り下げられ、ダイアフラムの近くに位置付けられている。ハブ−スポーク取り付け具は、参照電極の安定性と、名目上のギャップの均一性とを向上させる。ハブと、かくして参照電極とは、圧力変換器の本体が様々の力に晒されているときも、実質的に静止した状態に保たれる。1つの利点は、ハブ−スポーク取り付け具が、大気圧中の変動(fluctuation)のような圧力変換器の本体にかかる圧力から、電極を隔離する点である。更に、取り付け具は、参照電極を位置付けるための弾性部材を不要にする。また、取り付け具は、過圧状況に対する圧力変換器の対応を、改良する。スポークは、ハブの安定性を更に向上させるために、凹角の溝を有し得る。
【0019】
本発明の他の態様では、圧力変換器は、導電性の支持部を備えた、改良された参照電極を有する。電極は、好ましくは、全体が金属で形成されている。電極は、誘電部材によって、電極取り付け具に堅く取り付けられている。第1の利点は、電極をセラミックを使用せずに形成することによって、浮遊キャパシタンスの影響を減じることができる点である。第2の利点は、電極がハウジングと同じ熱膨張係数を有することにより、変換器がより熱的に安定する点である。また、誘電接合部は、機械的なファスナより安定性が高く、長時間に渡って、電極の固定位置を維持する。好ましくは、スペーサが、電極とダイアフラムとの間の名目上のギャップを設定し得る。好ましい実施形態では、電極は、第1の電極を第2の電極から絶縁する誘電本体を備えた、2重電極である。
【0020】
本発明の他の態様では、変換器は、ガラスや、金属ではんだ付けもしくは蝋付けされたセラミックあるいはガラスセラミックのような接合部材によってハウジングに保持されて機械的な支持を与える支持柱に設けられたディスク部分を備えた電極を、有する。支持柱は、好ましくは、セラミックで形成され、電極とは分かれた部品として形成されたロッド、もしくは、単一及びモノリシックなディスク−柱の一部として形成された柱部分であり得る。柱とハウジングとの間の接合部は、非常に高い強度を有する圧縮タイプの接合部を形成している。この接合部の部材は、好ましくは、低い剛性を有する。かくして、1つの利点は、接合部が、幾つかの熱膨張による型ずれに対応する点である。この接合部は、圧力変換器が温度の変化にさらされているときに、弾性的かつ予測可能な方法で、ハウジングと柱との間の接合部におけるひずみを減じ得る。また、他の利点は、非常に高い剛性を有するセラミックの柱が、熱によって引き起こされるひずみがディスクに到達するのを更に防ぐという点である。本発明の更なる他の態様では、セラミックの電極は、ディスク部分の一面に溝を有する。この溝は、温度の変換が原因の熱膨張によって柱部分とディスク部分との間に引き起こされるストレスを、緩和する。
【0021】
本発明の他の態様では、圧力変換器は、ハウジングに対して低い熱膨張係数(TCE)を有する部材を具備する。ハウジングは、好ましくは、金属で形成され、電極に接合されたセラミックのロッドによって、セラミックの参照電極を支持している。低TCE部材は、参照電極のロッドがハウジングに接合されているところの近くで、ハウジングに接続されている。低TCE部材は、圧力変換器が製造中もしくは使用中に温度の変化に晒されているとき、熱の影響によるハウジングの反りを防ぐように働く。低TCE部材は、ロッドが内部に保持されるハウジング内の開口の内側もしくは反対側に堅く接続され得る。あるいは、ハウジングは、ハブ−スポークもしくは同様の取り付け具を有し得る。また、低TCE部材は、スポークに、電極とダイアフラムとから離れてこれと面する側で、溶接され得る。
【0022】
本発明の、更なる他の目的と利点とは、本発明の実施形態を説明している以下の説明から、当業者には容易に明らかになるだろう。理解されるように、本発明では、他の及び異なった実施形態も可能であり、幾つかの内容が、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の点から改良可能である。従って、図面並びに説明は、請求項に示された本出願の範囲内の、これに限定されない単なる説明として見なされるのが良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、先行技術の組み立てられた変換機のアッセンブリの、部分的な側方からの断面図を示す。
【図2】図2は、図1のAに示されたアッセンブリの、分解された側方からの断面図を示す。
【図3】図3の(A)は、図1、図2に示された、P_x本体の上面図を示し、(B)は、図1、図2に示された、P_r本体の上面図を示し、(C)は、図1、図2に示された、電極の底面図を示す。
【図4】図4の(A)は、本発明に係わって構成された容量性圧力変換器アッセンブリの、部分的な側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示されたアッセンブリの、部分的に露出された上面図を示す。
【図5】図5は、本発明に係わって構成された容量性圧力変換器の側方からの断面図を示す。
【図6】図6の(A)、(B)は、夫々に、図4の(A)、(B)、図5に示されたアッセンブリで使用される、改良されたP_r本体の好ましい実施形態の、上面図、斜視図を示し、(C)、(D)は、夫々に、(A)に示されたP_r本体の、(A)の線4C−4C、線4D−4Dに沿って切り取られた側面図を示す。
【図7】図7の(A)、(B)は、夫々に、図4の(A)、(B)に示された電極の好ましい実施形態の、側方からの断面図、底面の断面図を示す。
【図8】図8の(A)は、名目上の作動位置においてスポークが凹角の溝を有さない、P_r本体の、側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示された、熱適用後のP_r本体の、側方からの断面図を示す。
【図9】図9の(A)乃至(D)は、本発明に係わって構成されたP_r本体の他の実施形態の上面図を示す。
【図10】図10の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器アッセンブリの側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示された容量性圧力変換器アッセンブリの分解図を示す。
【図11】図11は、本発明の好ましい実施形態に係わって構成された電極の上面図を示す。
【図12】図12の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された、2重の電極を有する容量性圧力変換器アッセンブリの、側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示された容量性圧力変換器アッセンブリの分解図を示す。
【図13】図13は、本発明の好ましい実施形態に係わって構成された外側電極の上面図を示す。
【図14】図14の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の、部分的に露出された上面図を示し、(B)は、図14の容量性圧力変換器アッセンブリの、線12B−12Bに沿って切り取られた側方からの断面図を示す。
【図15】図15の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の、部分的に露出された上面図を示し、(B)は、(A)の容量性圧力変換器アッセンブリの、線13B−13Bに沿って切り取られた側方からの断面図を示す。
【図16】図16は、本発明の他の実施形態に係わる圧力変換器を製造するために使用される取り付け具内に示された容量性圧力変換器の、部分的な断面図である。
【図17】図17は、図16の線15―15に沿って切り取られた図を示す。
【図18】図18は、図16の線16−16に沿って切り取られた図を示す。
【図19】図19は、本発明の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図20】図20Aは、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図21】図21は、熱ストレスによる電極のそりを示している、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図22】図22は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図23】図23は、本発明の他の実施形態に係わる低いTCE部材を備えたハウジング部材の平面図を示す。
【図24】図24は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図25】図25は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図26】図26は、熱ストレスによる力を示している、図25に示された実施形態に係わる圧力変換器の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的及び性質をより十分に理解するために、同じ参照符号が同じかもしくは類似した部品を示し、このディメンションが参考としてのみ示されている添付図面を参照した、以下の詳細な説明が、参照されるのがよい。
図4の(A)は、本発明に係わって構成された、組み立てられた変換器アッセンブリ200の部分的な断面図を示す。図4の(B)は、図4の(A)に示された変換器アッセンブリの、部分的に露出された上面図を示す。図5は、変換器アッセンブリ200の側方からの断面図を示す。好ましい実施形態において、変換器アッセンブリ200を組み立てるのに使用される幾つかの構成部品が、先行技術の変換器アッセンブリ100で使用される構成部品と同じであるか、これに類似している。特に、変換器アッセンブリ200は、P_xカバー140と、ダイアフラム120と、P_rカバー170との、先行技術の変換器アッセンブリ100で使用される構成部品に類似した構成部品を、有している。しかしながら、アッセンブリ200は、先行技術のアッセンブリ100で使用される構成部品であるP_r本体160と電極130と比較して改良された、P_r本体260と電極230とを、有している。アッセンブリ200は、弾力的な部材192を使用する必要がない。
【0025】
図6の(A),(B)は、夫々に、改良されたP_r本体260の好ましい実施形態の上面図、斜視図である。図6の(C)は、P_r本体260の、図6の(A)の線4C−4Cに沿って切り取られた断面図を示す。図6の(D)は、P_r本体260の、図6の(A)の線4D−4Dに沿って切り取られた断面図を示す。図6の(A)乃至(D)に示されるように、P_r本体260は、外側管状ケースもしくはシェル262と、1以上のスポーク264と、中央ハブ266とを有する。管状ケース262は、図6の(C)、(D)に示されるように、中央軸261に沿って延びている。ケース262は、P_r本体260内の内側キャビティもしくはアパーチャを形成する内面263を有する。好ましい実施形態において、スポーク264は、内面263からケース262の中央へ向かって、軸261にほぼ直行した方向に延びている。他の実施形態において、スポーク264は、内面263からケース262の中央へ、軸261に直交しない方向へ、延び得る。スポーク264は、中央ハブ266を支持している。中央軸261は、中央ハブ266と交わっている。各スポーク264の一端部は、ケース262の内面263に接し、他端部は、中央ハブ266と接し、支持している。後で詳述されるように、P_r本体260の1つの利点は、中央ハブ266が、ケース262に対して、実質的に静止しているか、動かないという点である。
【0026】
図4の(A)、(B)、図5を参照すると、ケース262の上面が、P_rカバー170を支持するように、好ましくは段を付けられて肩部267を形成している。好ましい実施形態において、P_rカバー170は、P_rカバー170とケース262の上部との間に気密シールを形成するように、肩部267に結合されている。ケース262はまた、下面268を形成している。好ましい実施形態において、ダイアフラム120は、ダイアフラム120とケース262の底部との間に気密シールを共に形成するように、下面268に結合されている。従って、P_rカバー170、P_r本体260、ダイアフラム120は、内側がシールされたチャンバ112を共に規定している(先行技術のアッセンブリ100においては、圧力管172が、チャンバ112内に所望の名目上の圧力を与えるようにシールされ得る)。
【0027】
P_xカバー140の上面は、P_xカバー140とダイアフラム120とが内側チャンバ110を共に形成するように、好ましくは、ダイアフラム120に(例えば溶接によって)取り着けられている(ダイアフラム120の、チャンバ112と反対側で)。図1、図2は、P_xカバー140、P_xカバー150、ダイアフラム120によって形成されたチャンバ110を示しているが、アッセンブリ200は、P_x本体150の必要をなくし、これなしでチャンバ110を形成している。他の実施形態では、アッセンブリ200は、P_x本体150を有することができ、図1、図2に示されたものと同じもしくは類似した形状のチャンバ110を形成し得る。しかしながら、アッセンブリ200の好ましい実施形態において、P_x本体150は、なくされている。当業者は、図4の(A)に示されたP_xカバー140が、図1に示されたP_xカバー140と同じではなくともこれに類似していることを、理解されるだろう。特に、図4の(A)に示されたP_xカバー140の上面は、傾斜されるか、ベベル傾斜されているので(図1に示されるように平面ではない)、ダイアフラム120がP_xカバー140の上面の外周に取り付けられることによって(例えば溶接によって)、チャンバ110が、P_xカバー140とダイアフラム120との間に形成される。当業者は、図1及び図4の(A)に示されたP_xカバー140間の差が、チャンバ110が形成される方法と同様に、本発明にとって重要ではないことを、理解されるだろう。
【0028】
中央ハブ266は、ねじ205もしくは他のタイプのファスナを受けるように好ましくは構成された(例えばねじが形成された)中央アパーチャ265を規定している(図4の(B)に示されている)。このねじ205もしくは他のファスナは、電極230を、P_r本体260の中央ハブ266に対して保持している。図7の(A)は、中央ハブ266に取着された電極230の好ましい実施形態の、側方からの断面図を示す。図7の(B)は、図7の(A)の線5B−5Bに沿って切り取られた電極230の図を示す。電極230は、例えば円筒形もしくはディスク形状の、電気絶縁材料(好ましくはセラミック)から成るブロック232と、このブロック232の下面234に従来の形で配置された1以上のコンダクター235とを、有する。この実施形態において、絶縁性ブロック232は、中央ハブ266の中央アパーチャ265に適合するように構成された中央アパーチャ210を規定している。図4の(A),図5に示されるように、ねじ205は、ハブ266と絶縁性ブロック232とを共に保持している。絶縁性ブロック232はまた、好ましくは、ねじ205の皿もみ(countersinking)もしくは端ぐり(counterboring)を可能にするように、ボア孔210より大きく、これに接続された凹部208を、規定している(図7の(A)に示されるように)。このようにねじ205の皿もみもしくは端ぐりを行うことは、ねじ205の所定の部分が、電気コンダクター235とダイアフラム120との間の空間に入り込むのを防ぐために、望ましい。他の実施形態において、リベットもしくは接着剤が、ねじ205の代わりに使用され得る。更に他の実施形態において、ねじ(もしくはボルト)205の一端部は、アパーチャ265を通って延び、ナット(示されず)は、一端部上に貫通され、ねじ205と共働してハブ266とブロック232とを共に保持する。この実施形態において、中央アパーチャ265は、貫通されていてもされていなくてもよい。
【0029】
この電極230が、中央ハブ266に固定されていると(例えばねじ205によって)、絶縁体232の下面234は、ダイアフラム120と間隔をあけるように設けられ、かくして、ダイアフラム120と1以上のコンダクター235(図7の(B)に示された)とは、1以上のコンデンサー240を形成し得る。1以上のスペーサ206が、コンダクター235とダイアフラム120との間の空間を調節するために、絶縁性ブロック232の上部と中央ハブ266の底部との間に配置され得る。これらスペーサ206は、ねじ205の通路を与えるように中央アパーチャを規定する“リング”タイプの座金として好ましくは構成されている。好ましい実施形態において、これらスペーサ206は、0.004と0.007インチの間の厚さであり、ステンレススチールで形成され、2つ以下の数量で使用されている。
【0030】
コンダクター235は、図7の(B)に示されるように、比較的薄いリングとして配置され得る。あるいは、1以上の他のタイプのコンダクターが、絶縁性ブロック232の下面234上に配置され得、かくして、コンダクターとダイアフラム120とによって形成されたコンデンサーが、ダイアフラム120とコンダクターとの間の距離を示す。
変換器アッセンブリ200の好ましい実施形態において、絶縁性ブロック232は、絶縁性ブロック232の中央部のみをハブ266に取り付けることによって装着され得る。絶縁性ブロック232の外周は、ギャップ209がケース262と絶縁性ブロック232との間に形成されるように(図4の(A)と図5に示されるように)、P_r本体260のケース262から離れて位置され、これと接触していない。これは、セラミック電極130の全体的な外周がP_r本体(及び弾性部材192)によって支持されていた先行技術の変換器アッセンブリ100とは対照的である。後述されるように、本発明は、電極230の安定性を改良する。
【0031】
スポーク264、中央ハブ266、電極230全体は、内チャンバ112内に配置されている。しかしながら、これら構成部品は、ダイアフラム120とP_rカバー170との間の流圧が連通するのを邪魔しない。上述されるように、電極230は、中央ハブ266に装着され、ギャップ209(図5に示されている)が、ケース262と電極230との間に形成されている。このギャップ209は、流体が、電極230の回りを流れるようにし、かくして、先行技術の電極130のアパーチャ132(図3の(C)に示されている)を必要なくする。従って、電極230は、先行技術の電極130を作るよりも単純かつ安価である。また、スポーク264は、隣接するスポーク間に大きなアパーチャが設けられていることから、チャンバ112内の流体の流れを邪魔することがない(例えば、隣接した複数のスポークは、連続的な円形の平面シートでなく、中央ハブ266を支持するように使用されているので、この中央ハブ266の支持部は、チャンバ112内の流体の流れを邪魔しない)。
【0032】
変換器アッセンブリ200は、コンダクター235に電気的に接続するための、導電性フィードスルー280を有する。フィードスルー280の一方の端部282は、絶縁性ブロック232の上面と接触している。フィードスルー280は、スポーク(図4の(B)に示されている)間の空間と、P_rカバー170内のアパーチャとを通って、延びている。フィードスルー280の他方の端部284は、変換器アッセンブリ200の外にある。先行技術の変換器アッセンブリ100と同様に、フィードスルー280が延びるように通るP_rカバー170のアパーチャは、チャンバ112内の圧力を維持し、フィードスルー280をP_rカバー本体170から電気的に絶縁するために、シールされている(例えばガラスのプラグによって)。フィードスルー280の下端部282は、従来の方法で、コンダクター235に電気的に接続されている(例えば、絶縁性ブロック232のエッジを通ってもしくはこれの周囲で、端部282からコンダクター235まで延びている、電気めっきされたアパーチャによって)。フィードスルー280は、コンデンサー240の一方の板(例えばコンダクター235)に電気的に接続されている。P_r本体260は、コンデンサー240の他方の板(例えばダイアフラム120)に電気的に接続されている。付加的なフィードスルーは、好ましくは、絶縁性ブロック232の表面235に配置された各付加的なコンダクターのために設けられている。フィードスルー280は、好ましくは、電極230に構造的な支持を与えることなく、電極230に接触している。むしろ、電極230のための構造的な支持は、P_r本体260の中央ハブ266によって与えられている。
【0033】
上述されたように、P_r本体260の1つの利点は、中央ハブ266が、ケース262に対して実質的に静止しているか動かないように維持される傾向がある点である。従って、スポーク264は、中央ハブ266の安定した取付けを可能にする。中央ハブ266が、ケース262に対して実質的に静止しているか動かないように維持されていることから、電極230は、ダイアフラム120の名目上の位置に対してほぼ静止した状態に維持される。かくして、アッセンブリ200は、電極230とダイアフラム120との間のほぼ一定の距離を与える。
【0034】
中央ハブ266がケース262に対して実質的に静止された状態に維持される1つの理由は、アッセンブリ200内のばね力をなくすか減少させることと関係している。上述されたように、先行技術の変換器アッセンブリ100は、電極130の位置を維持するために、弾性部材192を圧迫することによって得られるばね力を利用していた。従って、先行技術の変換器アッセンブリ100の電極130は、長時間に渡って“クリープ”もしくは動作の影響を受けていた。改良された変換器アッセンブリ200は、中央ハブ266の位置を固定するために、このような弾性部材ではなく、スポーク264を使用しており、かくして、ハブ266は、安定した取り付けプラットホームを形成し得る。また、アッセンブリ200は、電極230を、中央ハブ266の安定した取り付けプラットフォームに対して固定的に保持するために、ねじ205(もしくはリベットもしくは接着剤、もしくは溶接結合もしくは他のタイプのファスナ)のようなファスナを使用している。電極230は、中央ハブ266の、安定かつ静止しているという特性により、静止した状態に維持される。
【0035】
スポーク264は、好ましくは、剛性を有する部材で形成されている。名目上の(nominal)状態で(例えばアッセンブリ200の名目上の作動温度で)、スポーク264は、好ましくは、任意の圧力もしくは圧縮を受けない。先行技術のアッセンブリ100は、比較的大量な、保持されたもしくは潜在的なエネルギー(弾性部材192の圧縮によって生じる)によって特徴付けられている。もう一方で、改良された変換器アッセンブリ200内に保持されたエネルギー量は、0であるか0に非常に近い。アッセンブリ200内に保持されるエネルギーがなくされるか減らされることによって、中央ハブ266、電極230を含んだアッセンブリ200の全構成部品は、長時間静止及び安定された状態に維持される傾向がある。
【0036】
中央ハブ266は、アッセンブリ200が名目上の動作の状況にある間、静止状態を維持する傾向があるが、幾つかの実施形態において、ハブ266は、アッセンブリ200が機械的もしくは熱の衝撃あるいはストレスを受けたとき、幾つかの運動を経験し得る。例えば、加熱もしくは冷却アッセンブリ200は、スポーク264の熱膨張もしくは熱収縮を生じる。このような熱膨張もしくは熱収縮は、各スポークを、圧縮もしくは張力の影響下に置く。このようにスポーク264にかかる圧縮もしくは張力は、中央ハブ266を、多少変位させ得る。図8の(A)は、ケース262、スポーク264、並びに中央ハブ266を示した、名目上の動作位置にあるP_r本体260の、側方からの断面図を表している。図8の(B)は、図8の(A)に示されたP_r本体260の、熱が適用された後の、側方からの断面図を示す。この熱は、スポーク264の熱膨張を生じ、この結果、中央ハブ266を上方へ変位(もしくはボーリング)させている。
【0037】
熱のもしくは機械的な衝撃あるいはストレスによって発生されるこのような変位を減じるために、アッセンブリ200の好ましい実施形態では、スポーク264が、凹角の溝269を有している。図6の(A)、(B)、(D)に示された実施形態では、各スポーク264は、夫々に2つの凹角の溝269を有している。図4の(B)では、複数のスポーク264のうち1つは、2つの凹角の溝を有するように示されている。説明し易いように、図4の(B)の、複数のスポーク264のうち2つは、凹角の溝を有さないように示されているが、当業者は、これらの各スポークも好ましくは凹角の溝を有するということを、理解されることだろう。凹角の溝269は、スポーク264が、圧縮もしくは張力を受けているときにも、中央ハブ266の安定した位置を維持できるようにする。即ち、凹角の溝269は、各スポーク264が、圧縮もしくは張力に晒されているときに変形し得るようにする。各スポーク264には、好ましくは、適合しているもしくは相補的な凹角の溝269が設けられている(例えば、一方のスポークの凹角の溝は他方のスポークの凹角の溝と適合している)。全てのスポーク264に、相補的な凹角の溝269が設けられているので、一方のスポークの変形は、他方のスポーク264に生じる変形に適合もしくはこれを補完する。全てのスポーク264に生じる相補的な変形が、中央ハブ266を、熱のもしくは機械的な衝撃もしくはストレスの影響下でも名目上の動作位置で安定されるように維持する。
【0038】
図6の(A)、(B)、(D)に示された実施形態では、各スポーク264には、2つの相補的な矩形の凹角の溝269が設けられている。当業者は、他の実施形態では、他のタイプの凹角の溝が使用され得ることを、理解されるだろう。例えば、凹角の溝の形状は、重要ではなく、これらは、矩形以外の、例えば半円形もしくは三角形のような他の形状によっても特徴付けられ得る。更に、1つのスポークにつき2つの凹角の溝という数に限らず、他の数の溝を設けてもよい。好ましい実施形態において、各スポークは、少なくとも2つの凹角の溝を有している。当業者は、限定された部材の解析(finite element analysis)が、本発明で使用され得る他パターンの凹角の溝を計算するために使用され得ることを、理解するだろう。
【0039】
図6の(A)乃至(D)に示された、P_r本体260の好ましい実施形態は、3つのスポークを有している。各スポークは、まっすぐで、P_r本体260の中央軸261に実質的に直交した方向に延びている。しかしながら、当業者は、他のパターンのスポークが、本発明で使用され得ることを、理解されるだろう。図9の(A)、(B)、(C)及び(D)は、スポーク264の他の構成を示している。図9の(A)は、3つのスポークを有し、これらスポーク264の各々は、直線ではなく湾曲されている構成を示している。図9の(B)、(C)、(D)は、夫々に、4つのスポークを有する構成、2つのスポークを有する構成、1つのスポークを有する構成を示している。P_r本体260は、好ましくは、2つ以上のスポーク264を有するが、1つのスポークを有する実施形態(例えば図9の(D)に示されている)もまた、本発明の範囲内である。図9の(A)、(B)、(C)に示されている全ての構成では、複数のスポークの夫々に、好ましくは、凹角の溝が設けられている(図示されず)。
【0040】
熱のもしくは機械的な衝撃あるいはストレスが生じている際の安定性を改良するのに加えて、P_r本体260のスポークのデザインはまた、超過圧力が生じている際の安定性をも改良する。例えば、図4の(A)、(B)、図5を参照すると、超過圧力が生じることにより、ダイアフラム120が電極230と接触し、これを変位させ得る。スポーク264は、弾力的に上方へ収縮し、電極230のこのような変位を可能にする。しかしながら、超過圧力が解消されると、スポーク264は、最初の作動位置に戻り、かくして、電極230も、所望の最初の作動位置に戻る。凹角の溝の有無に関係なく、P_r本体260のスポークのデザインは、超過圧力が生じている際の性能を向上させる。先行技術のアッセンブリ100の弾性部材192は、超過圧力の状態に従って、電極130のレシート(reseating)(もしくは移動)を生じる可能性があった。しかしながら、P_r本体260のスポーク264は、超過圧力の状態に従って、電極230を、所望の最初の名目上の作動位置に常に戻そうとする。
【0041】
P_r本体260(ケース262、スポーク264、中央ハブ266を含む)は、好ましくは、モノリシックな(例えば単体)金属の構造物である。P_r本体を形成するための1つの好ましい方法は、押出し成形である。モノリシックな構造物が好ましいが、当業者は、P_r本体260が、あるいは、別々の部品から形成され得ることを、理解されるだろう。
【0042】
好ましい実施形態において、P_xカバー140、P_r本体260、P_rカバー170、ハブ266、スポーク264、スペーサ206は全て、同じ金属(例えばインコネル、ニッケル、クロム合金)で形成されている。絶縁性ブロック232は、好ましくは、アルミナもしくはフォステライト(Fosterite)(例えば、ケイ酸マグネシウム)で形成されている。
【0043】
1.金属製電極(Metal electrode)
図10の(A)は、本発明に係わって構成された他の容量性圧力変換器アッセンブリ400の、部分的な側面図を示す。図10の(B)は、アッセンブリ400の分解図を示す。アッセンブリ200(例えば図4の(A)、(B)、図5に示されている)と同様に、アッセンブリ400は、P_r本体260、P_rカバー170、P_xカバー140、及びダイアフラム120を具備する。アッセンブリ400はまた、P_r本体260のハブ266によって支持された電極を有する。しかしながら、アッセンブリ400は、電極230を用いるよりむしろ、異なったタイプの電極430を有する。図11は、電極430の上面図を示す。電極430は、全体が金属でできている(即ち、電極130もしくは230とは異なり、電極430は、絶縁性の、即ちセラミックの部分を有していない)。電極430は、ディスク形状の導電性の板431と、円筒形状の導電性支持ロッド432とを有している。ロッド432は、板431と接続されており、図10の(A)、(B)に示されるように、電極430と共に逆T字形を成すことによって特徴付けられる。ロッド432は、板431に溶接あるいは取り付けられている。または、ロッド432と板431とは、1つのモノリシックな金属性構造物として形成され得る。電極430は、ロッド431がハブ266によって規定された中央アパーチャ265を通って延びるように、アッセンブリ400に装着されている。例えばガラスのような絶縁導電性部材452が、ハブ266に対してロッド432を固定的に保持するために使用されている。
【0044】
アッセンブリ400は、幾つかの利点を有する。第1に、電極をセラミックを使用せずに形成することによって、浮遊キャパシタンスの影響を減じ、アッセンブリ400の性能を向上させる。導電性の板が絶縁セラミックディスクに配置されている電極130(図1に示されている)のような、先行技術の電極においては、セラミックを使用していることにより、金属性のハウジング部品と導電性の板との間に、ダイアフラムと導電性の板との間で測定されるキャパシタンスに望ましくない影響を与える、比較的大きい浮遊キャパシタンスを生じ易かった。即ち、高い誘電率が原因で、セラミックは、周囲の金属ハウジングと導電性の板とを実際よりも互いに近づいているように見せてしまい、かくして浮遊キャパシタンスが比較的大きくなる“拡大影響(magnifying effect)”を生じさせる。これら浮遊キャパシタンスは、圧力変換器の感度を減じる。セラミックを使用せずに電極を形成することにより、この“拡大影響”をなくし、かくして、アッセンブリ400が、ダイアフラムと導電性の板431との間の距離のより精度の高い測定を行えるようにする。
【0045】
第2に、セラミックを使用せずに電極を形成することによって、変換器アッセンブリ400の熱的安定性を向上させる。セラミックと金属の熱膨張係数は異なっている。かくして、先行技術のアッセンブリ100を加熱すると、P_r本体は、電極130のセラミックより早く、縦方向に(全ての他の方向と同様に)膨張する。そして、アッセンブリ100を加熱すると、コンダクター134とダイアフラム120との間の距離が増す。アッセンブリ100のダイアフラム120とコンダクター134との間の距離が温度の変化に対応して変化し得ることから、アッセンブリ100は、熱的に不安定である(即ち、ダイアフラム120と電極との間の距離は、チャンバ110とチャンバ112との圧力の差にのみ対応して変化するのが理想的である)。アッセンブリ100とは対照的に、アッセンブリ400では、電極430は、セラミックを使用しておらず、完全な金属製である。このことにより、電極430の熱膨張係数は、P_r本体260の熱膨張係数と適合し、かくして、アッセンブリ400の熱的安定性が向上される(即ち、ダイアフラム120と板431の下面との間の距離は、温度の変化に左右されない)。好ましい実施形態において、P_r本体260と電極430とは、共に、同じ材料(例えばインコネル)で形成されている。
【0046】
第3に、誘電プラグ452が、機械ねじもしくは他の機械的なファスナよりも確実に、電極430を保持している。ねじ及び他の機械的なファスナは、緩んだり、移動したり、あるいは、長時間に渡って変化する可能性があるが、誘電プラグ452は、極めて長時間に渡って安定した及び一定の位置に電極430を保持し、かくして、この電極430をハブ266に対して一定の位置に保持し得る。幾つかの実施形態では、アッセンブリ400のハブ266は、ねじタイプのファスナを収容するように貫通され得る。しかしながら、このようなねじが形成された孔(thread)は、アッセンブリ400では不要である。
【0047】
第4に、電極430がアッセンブリ400に、このアッセンブリ400の内側の位置で(即ちハブ266で)取り付けられていることから、誘電部材452は、気密シールを形成する必要がない。これは、アッセンブリに電極を締め付ける誘電部材が、アッセンブリの周囲とこれの内部チャンバとの間に気密シールを形成している先行技術のアッセンブリ(例えば、米国特許5,442,962号に説明されているような)とは対照的である。このような先行技術のアッセンブリでは、気密シールを形成する必要があることによって、誘電部材の選択を概して余儀なくし、通常は、ガラス合金のシールが使用されている。ガラス合金のシールは、これらが、(1)選択が限られており、かくして特性(熱膨張係数のような)も限られてくること、(2)比較的高価であること、(3)錆び得ること(鉄を含むので)、から不利である。ガラス合金のシールはまた、溶解するのが難しい。このような特性により、電極を保持するためにガラス合金のシールを使用している先行技術のアッセンブリでは、電極を正確に位置付けることが難しく、また、製造費用がかさむ。アッセンブリ400の誘電プラグ452が気密シールを形成する必要がないことから、プラグ452を形成するのに使用される材料は、主として、使用の容易さと、電極430を安定した位置に保持する能力とから選択され得、気密シールを形成する必要を考慮して行う必要がない。誘電プラグ452を形成するのに好ましい材料は、特に、Northeast Electronics of Milford、Connecticutから販売されているもののようなドープ処理されたガラス、もしくは、Ceramaseal、a division of CeramTec Corporation of New Lebanon、New Yorkから販売されているもののようなセラミックである。
【0048】
上述されたような、P_r本体260、P_rカバー170、P_xカバー140、ダイアフラム120、及び電極430に加えて、変換器アッセンブリ400は、スペーサ450、導電性フィードスルー480、ガラスプラグ485、導電性ワイヤー486を、付加的に有する。フィードスルー480は、P_rカバー170内に設けられたアパーチャを通って延びている導電性のピンである。フィードスルー480の一端部484は、アッセンブリ400の外側にあり、多端部482は、アッセンブリ400の内側にある。ガラスプラグ485は、フィードスルー480を、P_rカバー170に対して所定の位置に保持し、このフィードスルー480をP_rカバー170から電気的に絶縁している。導電性ワイヤー486は、ロッド432の上端部と、フィードスルー480の内端部482とに物理的に接続されており、かくして、フィードスルー480は導電性の板431に電気的に接続されている。他の実施形態では、導電性ワイヤー486は、ばねであってもよい。そして、外側の回路が、フィードスルー480の外側端部484に接続されることによって、板431に電気的に接続され得る(即ち、ダイアフラム120と板431との間に形成されたコンデンサーのキャパシタンスを測定するために)。
【0049】
誘電部材452(電極430を所定位置に保持する)とは異なり、ガラスプラグ485は、気密シールを形成している。しかしながら、フィードスルー480は、電極430のために求められるような高精度で位置される必要がないので、プラグ485を形成するのは比較的容易である。
スペーサ450は、環状形状を有し、P_r本体260の下面268とダイアフラム120の上面との間に配置されている。スペーサ450は、通常は、本体260の下面268と、ダイアフラム120とに溶接されている。P_rカバー170、P_r本体260、スペーサ450、ダイアフラム120は、シールされた内部チャンバ112を、共に規定している。P_xカバー140とダイアフラム120とは、内部チャンバ110を、共に規定している。
【0050】
導電性の板431とダイアフラム120とは、センサーコンデンサー438を共に形成している。導電性の板431の下面は、好ましくは、これがP_r本体260の下面268と同平面にされるように配置されている。板431の下面とP_r本体260の下面268とが同平面にあるとき、ダイアフラム120と板431との間の名目上のギャップは、スペーサ450の厚さによって、全体に決定される。スペーサ450の厚さの好ましい値は、約0.001インチから約0.020インチの間である。スペーサ450を形成するのに好ましい材料は、例えば、アンバー(Invar)、コバール(Koval)、インコネル(Inconel)である。
【0051】
電極430をP_r本体260に取り付けるための1つの好ましい方法は、(1)板431の下面を平面(例えば平面テーブル)上に位置させ、(2)ロッド432がハブ266を通って延び、これの中心に位置付けられるように、P_r本体260の下面268を同じ平面上に位置させ、(3)電極430とP_r本体260とがこのように位置されている間に、誘電プラグ452を形成すること、である。誘電プラグ452は、誘電部材をハブ266とロッド432との間に位置し、この誘電部材を溶解させるためにアッセンブリを加熱し、この後、この誘電部材を冷却及び凝固可能にすることによって、形成され得る。
【0052】
図10の(A)、(B)に示されるように、スポーク264は、管状ケースの内面263もしくはP_r本体260の側壁262から延びている。この、スポーク264がこれから延びている内面263は、好ましくは垂直で、即ち中央軸261と平行である。ケース262の内面263と外面との両方が、好ましくは、実質的に垂直で、即ち、中央軸261に平行である。一般に、気圧の(barometric)圧力の影響が、容量性圧力変換器ハウジングの、P_rカバー170のような支持が弱い部分に最も強く表われ、非常に低い圧力で動作する変換器内で増幅される。電極が比較的薄くて水平なカバー(例えば前に参照した米国特許5、442、962号に説明されているような)に取り付けられている先行技術のアッセンブリでは、気圧の圧力の変化は、ダイアフラムと電極との間の名目上のギャップを、望ましくなく変えることがある。アッセンブリ400のP_r本体260の垂直ケース262は、好ましくは、比較的薄く(例えば0.25インチ)、更に、スポーク264によって支持されており、かくして、多くのでこぼこを有し、丈夫で、比較的気圧の圧力の変化に影響されない(即ち、これは、気圧の圧力の変化に対応して、際立って伸縮もしくは湾曲することはない)。従って、アッセンブリ400のP_r本体260は、電極430を、容量性圧力変換器の外部にかかる気圧の圧力の影響から隔離する。電極430が取り付けられたハブ266は、ハウジングの内側にあり、好ましくは、P_rカバー170よりも強くて気圧の圧力変化の影響を受けにくいハウジングの垂直部分に取り付けられていることから、電極430は、外部の圧力の変化から隔離され、アッセンブリ400の安定性は、向上される。更に安定性を増すために、容量性圧力変換器400はまた、アッセンブリ200について上述されたようなタイプの溝269(例えば図6の(B)に示されている)のような凹角の溝を、スポーク264内に有し得る。他の実施形態では、電極430は、ハブとスポークとから成るタイプの電極の取り付け部の変形部から吊り下げられ得る。例えば、電極の取り付け部は、P_rケース262からチャンバ112の中心部へ中へ延び、改良された電極430が絶縁材料のプラグを備えた取り付け部に接続されるアパーチャを規定する、電極取り付け部であり得る。
【0053】
図12の(A)、(B)は、夫々に、本発明に係わって構成された容量性圧力変換器アッセンブリ500の他の実施形態の、側方からの断面図、分解図を示す。アッセンブリ500は、アッセンブリ400と非常に類似している。しかしながら、アッセンブリ500は、1つの電極430のみを有するのではなく(アッセンブリ400の場合のように)、2つの電極、即ち、第1の電極430と第2の電極530とを有する。第1の電極430、第2の電極530は、夫々に、図12の(A)、(B)に示されるように、好ましくは、内部の電極、外部の電極として配置されている。図13は、第2の電極530の上面図を示す。
【0054】
第2の電極530は、環状かつ平面の導電性の板531と、導電性のカップ形状の水平支持部533と、導電性の管状支持部532とを有する。電極430と同様に、第2の電極530は、好ましくは全体が金属製である。板531、水平支持部533、管状支持部532は、共に、1つの導電性のモノリシックな構造に形成され得る。あるいは、これら構性部品は、別々に形成され、互いに溶接もしくは結合されることもできる。
アッセンブリ500では、第2の電極530は、第1の電極430を囲んでいる。第2の電極の導電性の板531の下面は、第1の電極の導電性の板431の下面と同平面で、かつこれを囲んでいる。管状支持部532は、第1の電極の支持部432を、軸261に沿って、囲んでおり、またこれと同軸上に延びている。ロッド432と同様に、管状支持部532は、ハブ266の中央アパーチャ265を通って延びている。
【0055】
第2の電極に加えて、アッセンブリ500は、誘電材料でできた2つの支持部552,554と、第2の導電性のフィードスルー580と、第2のガラスプラグ585と、第2の導電性ワイヤー586とを有する。第2のフィードスルー580は、P_rカバー170内の第2のアパーチャを通って延びている。第2のガラスプラグ585は、フィードスルー580を、カバー170に対して保持し、また、このフィードスルー580を、カバー170から電気的に絶縁している。ワイヤー586は、管状支持部532の上端部を、アッセンブリ500の内側の、フィードスルー580の端部に電気的に接続している。誘電部材554が、管状支持部532をハブ266に取り付け、また、電極530を、ハブ266から電気的に絶縁している。誘電部材552は、支持ロッド432を、管状支持部532の内側に取り付けており、また、第1の電極430を、第2の電極530から電気的に絶縁している。アッセンブリ400の誘電部材452と同様に、誘電部材552,554は、気密シールを形成する必要がない。電極430と電極530とをハブ266に取り付けるための好ましい方法は、(1)板431の下面を平面上(例えば平面テーブル)に位置し、(2)導電性の板531の下面を、これが板431を囲み、ロッド432が管状支持部532を通って延びるように、同じ平面上に位置し、(3)ロッド432と管状支持部532とが、ハブ266を通って延び、これの中心に位置付けられるように、P_r本体260の下面を、同じ平面上に位置し、(4)電極430、530がこのように位置付けられている間に、誘電プラグ552,554を形成する、という方法である。誘電プラグ552,554は、アッセンブリ400のプラグ452の場合と類似した方法で形成され得る。
【0056】
ダイアフラム120と板431とは、第1のコンデンサー438を形成し、ダイアフラム120と板531とは、第2のコンデンサー538を形成している。かくして、アッセンブリ500は、シールされた内部チャンバ110と内部チャンバ112の間の圧力差を感知するように使用され得る、2つのコンデンサーを提供している。2つのコンデンサーは、好ましくは、円形板431の領域と同等の環状板531の領域を設けることによって、バランスを保たれる。
図14の(A)、(B)は、夫々に、変換器アッセンブリ500の他の実施形態の、部分的に露出された上面図、側方からの断面図を示す。この実施形態では、同軸のシールドが各フィードスルーに設けられている。また、第2の電極530は、比較的丸い、比較的環状ではない形を有している。即ち、導電性の板531とカップ形状の水平支持部533との間の接合部は、角張っているというより丸い。
【0057】
図15の(A)、(B)は、夫々に、変換器アッセンブリ500の更なる他の実施形態の、部分的に露出された上面図、側方からの断面図を示す。この実施形態では、P_xカバー140ではなく、このP_xカバー140よりも厚くてよりでこぼこの多いP_x本体540が、設けられている。この実施形態は、小型変換器を提供する場合に、特に適している。例えば、この実施形態では、P_r本体260の直径は、直径が1.00インチより小さくなるように形成され得る。
【0058】
2.弾性的な接合部及び溝を備えたセラミック製電極
図16は、装置の製造に使用される取り付け具(fixture)612上に示された、本発明の他の態様に係わって構成された他の圧力センサーの一部分610を、示す。図17にも示されるように、幾つかの実施形態で、ハウジング部分614は、好ましくは、複数のスポーク616を備えたハブ617として構成されている(例えば、米国特許5、965、821号で説明されているように)。ハブは、接合部622によってハブ617内に保持された支持ロッド620を保持する開口618を、有する。接合部622は、リードホウケイ酸塩ガラス(lead borosilicate)のような、ガラス質のもしくは失透ガラスで形成されているか、金属で蝋付けもしくははんだ付けされたセラミックあるいはガラスセラミックであり得る。ロッド620は、好ましくは、96%のアルミナもしくはケイ酸マンガン(フォルステライト)のような、セラミックで形成されている。ハウジングの部分614は、好ましくは、ニッケル、クロム、及び鉄の合金であるインコネルのような金属で形成されている。
【0059】
金属のフィルムのような1以上のコンダクター630が下面に形成されたセラミックのディスクから成る電極628は、ロッド620の他端部に配置されている。電極628は、ほぼT字形状の断面を備えたユニットを形成するようにロッド620に接続された、別々の部品であってもよい。図18により詳しく示されているように、電極628は、好ましくは、ディスクがロッドに接続されるのと反対側の、ダイアフラム640が設けられるところに面している(図19を参照)ディスクの下面に形成された、2つの同軸の導電性のリング630を有する。
【0060】
図16に示されている製造用の取り付け具612は、ダイアフラム640がハウジング部分614に溶接もしくは接続されているときに、電極628に設けられたコンダクター630とダイアフラム640との間の距離dを設定及び維持するのを助ける。取り付け具612は、電極628とダイアフラム640との間の距離dを規定する隆起部634を備えた面を有している。この距離は、例えば、25乃至400ミクロンのように、極めて短くてもよい。電極628と、接合部622を備えたロッド620とは、電極が取り付け具612上に配置されている状態で、ハウジング614内に位置される。続いて、接合材が、電極628の下面とハウジング614の下面とが所望の距離dだけ離れて位置されることを確実にするように、ロッド620を開口618内に接合するために、溶融及び冷却される。これにより、電極628の下面は、アッセンブリが冷却された後、組み立てられたアッセンブリにおいて、ダイアフラム640から距離dだけもしくは関連した距離d’だけ離れるように確実に位置される。製造もしくは使用中にセンサー600が感知する温度が変化する際、ガラス接合部622は、ロッド620とハウジング614との間に弾性的な接合を与え、高い剛性を有するロッド620と共に、ハウジング614から電極628に達する温度の変化によって生じるひずみを防ぐように働く。
【0061】
ロッド620は、電極628に機械的な支持を与えるように、開口618内に堅く保持されているが、電気的な接続を与える必要はない。即ち、ロッド620は、導電性である必要がない(導電性であってもよいが)。コンダクター630への電気的な接続は、好ましくは、複数のスポーク616間に与えられる付加的なリード636によって、与えられる。
【0062】
比較的仕上げられた形状に近い圧力センサー600を示している、図19を参照すると、ダイアフラム640は、ハウジング部分614に溶接されており、また、この他側では、第2のハウジング部材642に溶接されており、また、他のハウジング部材644は、装置のハウジングを規定するように、図16に示されたハウジング部分614の上部に溶接され得る。あるいは、ハウジング部分614と部材644とは、一体的に形成され得る。ハウジング部材644はまた、参照圧力を確立し得るように、開口648を有する。開口646が、流体が感知チャンバに入るのを可能にし、ダイアフラム640を電極628に対して動かす。
【0063】
回路637が、ダイアフラム640と電極628とに信号を与える。例えば、回路637は、電極628とダイアフラム640との間のキャパシタンスの関数である共振周波数によって特徴付けられるタンク回路を、有することができる。キャパシタンスは、ダイアフラム640が動く際に、ダイアフラム640の他側の圧力に対する開口646からの圧力の変化に応じて、変化する。代表的には、非ゼロ信号が、電極に与えられ、ハウジングとダイアフラムとは、アースされる(grounded)。
【0064】
図20を参照すると、電極ディスクと支持柱(support post)とは、2つの別々な部品としてではなく、柱部分652とディスク部分654とを備えた、1つのモノリシックなT字形状の部品650として形成され得る。柱部分652は、ガラス、金属もしくはセラミックでできた接合部653によって、ハウジング616に堅く接合されている。接合部653は、ガラスでできている場合、リードホウケイ酸塩ガラスのようなセラミックに接着する、ガラス質もしくは失透ガラスで形成されてもよい。ほぼ円形の溝655は、柱部分652とディスク部分654とが結合されるところで、柱部分652の基部の周りのディスク部分654の上面に、形成されている。この溝は、内径657、外径659、深さ663で規定されている。溝の幅は、外径659と内径657との間の差によって規定されている。溝655の内径657は、柱部分652がディスク部分654と結合されているところの柱部分652の直径と、ほぼ等しい。溝655は、好ましくは、ディスク部分654の厚さ664の半分にほぼ等しい深さ663を有する。この溝655は、接合部の歪みを緩和して、ディスク部分654を平らに保つように機能する。
【0065】
上述されたように、温度の変化は、センサーの精度に、概して不利に影響する。これは、ハウジングが金属で、電極(並びに/もしくは電極の支持部)がセラミックであり、これらが実質的に夫々異なった熱膨張係数を有する場合に、特に当てはまる。感知コンデンサー内のギャップのサイズは、感知される圧力と装置が晒される温度との両方の関数であり得る。2重の電極を有するデザインは、不明の圧力を感知する際に温度の影響をなくすために、“平面排除(planar rejection)”の原則に従っている。2重の電極を有するデザインでは、代表的には、測定されるキャパシタンスは、第1のコンデンサーと第2のコンデンサーとの間の差別的なキャパシタンスである。両電極が平面上にあるのみならず、平面排除の概念に基づいて、温度の影響によって生じる所定のギャップは、両コンデンサーに同じ影響を与えるので、この影響は、差別的な測定では無効にされる。あるいは、様々の温度及び圧力の状況に対する第1のコンデンサー及び第2のコンデンサーの反応は、事前に測定並びに記録され得る。2重の電極を有するデザインの、第1の電極と第2の電極とが平面で維持されている場合に限り、これら公知の特徴は、第1のコンデンサーと第2のコンデンサーとの測定されるキャパシタンスを相互に関連させ、信号に与えられている温度の影響を測定し、これらの影響を正確な圧力のリーディング(reading)を得られるように調節するために、利用され得る。このように平面上にある2つの電極を使用することで、所定の温度に関係した歪みが、補われるか“排除される(reject)”ことから、このデザインの特徴は、“平面排除”であると言及されている。2重の電極を有するデザインは、安定した状態で平面排除を行うのには有効であるが(関連する差が予測でき、事前に特徴付けられ得るとき)、一時的な状況では、非平面へ変化することと、また前述された影響の組み合わせとにより、このような温度補正の方法の効果が損なわれる。
【0066】
圧力変換器は、製造中に、特に接合部653を形成するために、例えば450℃を含む範囲のかなりの高温に晒され得る。このような高温下で接合部653の形成することによって、電極とダイアフラムとの間の最初のギャップは、設定される。圧力変換器が冷却を行うと、圧力変換器の所定の部分は縮小し、ギャップも変化する。変換器の所定の部分が予測できる範囲で公知の位置まで縮小する場合に限って、冷却による影響を考慮して最初のギャップを適当に設定することによって、接合部653が形成される際に、冷却された圧力変換器内に所望のギャップが得られる。しかしながら、変換器の一部分が冷却中に歪んでしまうような場合には、所望のギャップが得られない。製造中の、限られた範囲内での歪みと他の一時的な影響とは、ギャップの制御にとって重要である。また、圧力変換器は、作動中に温度の変化に晒され得る。しかしながら、こうした変化の範囲は、一般に、製造用の温度の変化する範囲よりかなり限定されているか、この範囲内にある。従って、製造中に、圧力変換器の温度に対する反応がモニターされ、制御され、補われる場合は、作動中の、圧力変換器の温度に対する反応は、予測可能になるだろう。
【0067】
変換器600は、製造中もしくは作動中に、温度の変化に晒されると、溝655は、ディスク部分654の形と、圧力変換器600の所定の部分の相対的位置とに、一時的な変化を減じる。図21は、本発明に係わるセラミック柱を有する、変換器の他の実施形態601を示す。更に、図21は、溝655のような溝を有さない電極ディスク650の、温度の変化に応じた反りを示す。圧力変換器601が加熱されると、金属のハウジング644がセラミック電極654よりも早く膨張するので、ダイアフラム640と電極654の下面との間のギャップは、大きくなる。また、センサー601が加熱されると、柱部分652は、ディスク部分654よりも早く熱くなる。柱部分652は、接合部653によって、ハウジング644に物理的に接触され、主として熱伝導によって加熱される。ディスク部分654は、ハウジング644の側からの熱放射と、柱652からの熱伝導との両方によって加熱される。柱部分652は、加熱されると、ディスク654より早く膨張し、主として、ディスク654に、矢印661で示された外方向へ圧力をかける。ストレスに応じて、ディスク654は、この外エッジが矢印662で示されているように下に動くように、曲がる。かくして、図18のような、2重の電極を有するデザインでは、外側電極は、内側電極に対してダイアフラム640に近づくように動く。圧力変換器610が冷却されると、逆の影響が生じる。即ち、柱部分652は、冷えると、ディスク654よりも早く収縮し、ディスク654を、この中央の周囲に内方へ向かって引っ張る(pull)。ストレスに応じて、ディスク654は、この外エッジが上に動くように曲がる。このひずみは、圧力変換器601の平面排除を無効にし、観測される(observed)キャパシタンスと、圧力測定とに歪みを生じさせる。圧力変換器は、一時的な状況では、温度の影響により非平面にされるが、この変換器が均一に加熱されると、この影響はなくなる。
【0068】
溝655は、この問題を多少とも解決する。一時的な状況では、溝655は、ディスク部分654が、柱部分652から径方向内方もしくは外方へ歪むのを減じ、キャパシタンスを歪めさせる反りの影響を減じるかなくす。溝の、様々の好ましい位置及びディメンションは、限定された部材の解析によって決定され得る。例えば、1.6インチの直径と0.2インチの厚さとを有する電極及び、0.25インチの直径を有する柱の場合、溝655は、好ましくは、0.1インチの深さと0.1インチの幅とを有する。
【0069】
ディスク部分654は、好ましくは円形であるが、矩形もしくは幾つかの他の形状でもよい。ロッド652は、導電性の通路を形成するように金属化されるか、ニッケル、鉄、及びコバルトの合金であるコバールのような、膨張率が低い合金で形成され得る。ハウジング614とダイアフラム640とは、代表的には、夫々、インコネル、ステンレススチールのような金属であり、他の構性部品は、代表的には、セラミックもしくはガラスである。
【0070】
3.低い熱膨張係数を有するプラグ
図22は、本発明の他の態様に係わる容量性圧力センサー701(図24に示されている)の一部分700を示す。センサー701は、第1のハウジング部材714と第2のハウジング部材716との間に溶接されたダイアフラム712を有する。ハウジング部材716は、流体をチャンバ719中に受けるための開口718を有する。
ダイアフラム712の、流体が受けられる側とは他側に、電極720がある。電極720は、導電性材料で形成されるか、更に好ましくは、導電性フィルム726がダイアフラム712に面するように設けられた面を有する、セラミックディスクのような導電性ディスクを有し得る。電極720は、好ましくは、セラミックで形成されてハウジング部材714内の開口724まで延びた支持柱722に、接続されている。
【0071】
図23を参照すると、ハウジング部材714が、好ましくは、ハブ728と、複数のスポーク730とを有している。しかしながら、ハウジング部材714は、ハブ728の代わりにアパーチャを備えた、実質的に堅い電極取り付け部材を有していても良い。ロッド722は、ハブ728の中心にある開口724中に延びている。ロッド722は、ファスナ、接着剤もしくは他の接合部材によって、ハブ728に取付けられ得る。電気リード732が、複数のスポーク730の間を、電極720まで延び、導電性のフィルムに電気信号を与える。あるいは、リード732は、ロッド722もしくは固形電極取り付け部材内のアパーチャを通って、延びていてもよい。
【0072】
図22に示された、本発明の本態様の第1の実施形態では、低い熱膨張係数を有する(TCE)プラグ736が、開口724内のハウジング部分714に堅く保持されている。プラグ736は、好ましくは、ハウジングに応じて、低い熱膨張係数を有する。プラグ736は、好ましくは、ロッド722より低いもしくはこれに等しい熱膨張係数を有する。プラグ736は、種々の構成を有し得る。ここで示されるように、プラグ736は、ハウジング部材714内に静止する肩部を形成するように、比較的直径の大きな部分と比較的直径の小さい部分とを有する。プラグ736は、ガラスででき、溶接された縮小可能な適合部(glassed welded shrink fit)もしくは、プラグを所定位置に堅く保持するための幾つかの他の保持方法によって、ハウジング部材714に堅く接続され得る。
【0073】
簡単に言うと、プラグ736は、代表的な製造及び作動状況において、より正確なギャップ制御を可能にする。センサーが加熱もしくは冷却されるとき、圧力変換器が晒される圧力が変化する際にも、低い熱膨張係数を有するプラグ736は、ハウジング714に対して安定した状態に保持されることが、判った。代表的には、センサーが冷却されるとき、プラグ736は、ハウジングが、線738で示されるように径方向内方へ動くのを防ぎ、柱722がハウジング714に接続されているところで作られたモーメントに対応するモーメントを作る。
【0074】
本発明の付加的な実施形態701,702が、図24、図25に示されている。図26は、プラグ753のような低TCEプラグがない場合の温度の変化による影響を示すように線が引かれた、圧力変換器702の一部分703を示す。示されているように、製造中、ギャップは、例えば電極720とロッド722とを製造用の取り付け具上に設け、柱722をハウジング714中に挿入し、これをハウジング714に、450℃までの範囲の温度で接着して堅く取り付けることによって、設けられ得る。製造プロセス後に、圧力変換器が冷却されると、ハウジング715及び、電極744及び柱742をモノリシックに有するT字形状のアッセンブリ741のような、圧力変換器の一部が縮小する。ハウジング715、電極744、及び柱742は、冷却されると、夫々の熱膨張係数及び特性に応じて、夫々異なった比率で縮小し得る。特に、ハウジング715が金属で、電極744、柱742がセラミックである場合、比較的高い熱膨張係数を有するハウジング715は、冷却されると、代表的には、電極744及び柱742より早く縮小し得る。代表的には、ハウジング715は、柱742の周囲で、矢印770で示された方向に沿って、内方へ縮小する。ハウジング715は、アパーチャの直径が柱742の直径より小さい位置まで、縮小するように傾斜されている。ハウジング715がアパーチャの直径が柱742の直径と等しい位置まで縮小すると、柱742が設けられていることによって更なる縮小が妨げられる。このような縮小は、柱742の剛性によって、ハウジング部材715に、これが柱742を保持しているところで、矢印772で示された方向に沿って外方への圧力をかける。ひずみに応じて、ハウジング部材715は曲がる。このハウジング715の上部は、下へ曲がり、外壁は、ダイアフラムに近い部分の周囲で、矢印774で示されているように外方へ曲がる。圧力変換器702は安定した状態で常態に戻り得るが、これらの変化は、電極744の位置を変化させ、仕上げられた圧力変換器702内の名目上のギャップのサイズを変え、不正確な圧力の測定を生じる可能性がある。
【0075】
プラグ753のような低ICE部材は、このような変化を防ぐ。プラグ753は、ハウジング715もしくは柱742より低い熱膨張係数を有する。プラグ753は、これらのどちらか一方よりも縮小するのが遅い。プラグ753は、ハウジング715が方向770に内方へ縮小するのを防ぐ。特に、プラグ753は、矢印776によって示された方向に、外方へ力を与え、ハウジング715が内方へ曲がるのを防ぐ。プラグ753は、ハウジングの反りが減じることによって、電極744の位置付けを容易にし、仕上げられた変換器702の名目上のギャップの正確さを向上させる。製造プロセス中の、温度の変化によりギャップが受ける影響は、作動中の温度の変化による影響と相関関係にあり、これを予測可能にする。このようにして、製造パラメータ及び作動パラメータ両方のような、影響を制御することによって、センサーの精度が向上される。
【0076】
図23を参照すると、本発明の他の実施形態では、低TCE材料でできたストリップ740がスポーク730に堅く接続されている。ストリップ740は、実質的にスポーク730に沿って延び得、これらスポークに溶接され得る。金属は、例えばコバールでよい。ストリップ740は、好ましくは、金属で形成されており、かくして、バイメタルのスポークを形成している。これらストリップ740は、図22、図24、図25、図26のプラグと同じ目的のために働く。
【0077】
従って、ハウジング部材714は、環状部分と、ダイアフラム712に基本的に面平行に配置された部分(ハブ728、スポーク730のような)とを有する。低いTCEを備えた部材(好ましくは、ハウジング部材714のTCEより低く、また好ましくは、ディスク720を形成するのに使用される誘電材料のTCEより低い)は、ハウジング部材714の一部分の、ダイアフラム120から離れてこれに面している側にある。
【0078】
図22、図23の所定の部材が再び使用されている、図24を参照すると、他の実施形態701は、柱部分742とディスク部分744とをモノリシックに有する単一部材741の下側に金属のフィルムとして形成された電極を、有する。柱部分742は、ハウジング714の開口750内で、ガラスシール748と共にハウジング714に堅く接続されている。ディスク部分744は、柱部分742がディスク部分744と接触しているところに形成された溝746を、有する。柱部分742の外径に似た内径を有する溝746は、ディスク部分744を平らに保持するのを助けるように、ひずみ緩和チャネルとして働く。
【0079】
プラグ752は、開口750の上端部にあり、上述されたように低TCE材料でできている。示されるように、プラグ752は、これの軸に沿って孔が設けられた(座金のように)、円筒形状の環形に成形されており、ハウジング714の肩部754で静止している。プラグ752は、ガラスの接合部もしくは他の接合機構によって固定され得る。圧力を設定し真空に引くのを可能にするための開口756、電極へ電気的に接続するための取り付け具758、開口756を密封した後に水素のような所定の分子を空気中から取り除くためのゲッターキャニスター760を含む、いくつかの付加的な公知の部材が、ここでは示されている。
【0080】
図25は、本発明に係わって構成された圧力センサーの付加的な実施形態702を示す。圧力センサー702は、電極取り付け部分を装置のハウジング中に設け、図22、図24のハウジング部材714と共に示された別個のカバーを不要にする第1の単一ハウジング部材715を、有する。電極741は、柱部分742とディスク部分744とを有する。電極741の柱部分742は、主として、第1の単一ハウジング部材715に接合されている。好ましくは、柱部分742は、ハウジング部材715の下面の凹部中へ延びている。電極741は、ディスク部分744のひずみを減じるために、任意で溝を有し得る(例えば、図24に示された溝714のような)。柱部分は、ガラスプラグ748によって、ハウジング部材715に取付けられ得る。低TCEプラグ753は、温度の変化による、センサー702の一部分の相対的な位置付けの一時的な変化を減じる。低TCEプラグ753は、電極741の柱部分742を保持している凹部とは反対側で、ダイアフラム712から離れた側の、ハウジング部材715の上面に、位置付けられている。好ましくは、低TCEプラグ753は、円形もしくは環状である。低TCEプラグ753は、電極741の柱部分742のためのプラグ748に類似した、ガラスプラグ755によって、ハウジング部材715に取付けられ得る。低TCEプラグ753は、上述されたように、ハウジング715の径方向内方への運動に対応している。第1のハウジング部材715は、電極741に位置された各コンデンサーごとにフィードスルー758を備えている。フィードスルー758は、ガラスもしくは他の絶縁部材759によって、ハウジング715から絶縁されている。電極を接合するためのガラスプラグ748,755,759と、低TCE部材と、フィードスルーとは、製造プロセス中、同時に形成され得る。
【0081】
低TCEプラグ736、752、753と、ストリップ740とは、例えば、アルミナもしくはケイ酸マンガン(フォステライト(Fosterite))のようなセラミック、あるいは、鉄、ニッケル、及びコバルトでできた合金(コバール)のような低TCE金属で、形成され得る。これらの材料のTCEの値は、アルミナ(74)、ケイ酸マンガン(100)、コバール(50−60)である(全てのTCEの値は、10−7/℃で表される)。インコネル等の、ハウジングのために効果的な材料は、TCEの値131を有する。低TCE部材を有する圧力センサーは、10 milli Torr範囲より小さい圧力で、作動し得る。プラグ736、752、753もしくはストリップ740は、これらの特別の実質的な機能として、軸方向の膨張を減じ得る。
【0082】
1.本発明で説明された実施形態によって、添付請求項によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、改良が成されることは、明らかである。上述された装置は、本明細書に含まれる本発明の範囲を逸脱することなく、所定の変更が成され得ることから、上述された説明に含まれるか、添付図面に示されている全ての内容は、説明のための非限定的な意味で捉えられるべきである。本明細書に開示された容量性圧力変換器は、左右対称の円形であると説明されているが、本発明は、この左右対称の円形に限定されない。本明細書で説明された種々の形状は、本発明の範囲を逸脱することなく、変更され得る。導電性の板は、夫々異なった形状を有し、これらの外形は、互いに合致する必要がない。電極は、ハウジングに対して、もしくは互いに、同軸的に配置される必要がない。例えば、2つの半円形の電極が、並んで配置され得る。導電性の板がフィードスルーを介して回路に電気的に接続されるのを可能にする導電性のワイヤーは、導電性の板に直接的に接触し、電極の導電性の支持部を介さずに、複数のスポーク間の空間を通ることができる。本発明の所定の態様では、誘電プラグが電極を取り付けるための好ましい方法として説明されているが、電極はまた、例えば接着剤によってもハブに接合され得る。また、導電性の板は、P_r本体の下面と同一平面上にある必要がない。例えば、P_r本体は、P_r本体とモノリシックな構成にされたスペーサを有することができる。他の任意のデザインの特別な例が本明細書で説明されているが、これらの例は、例として提供されているだけで、完全なものではない。
【符号の説明】
【0083】
200…変換器アッセンブリ、230…電極、260…P_r本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性圧力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、組み立てられた、先行技術の容量性圧力変換機アッセンブリ100の部分的な側方からの断面図を示す。図2は、変換器アッセンブリ100の側方からの分解断面図を示す。説明を容易にするために、図1、図2は、本発明で開示された他の図と同様に、一定の比例に縮小して示されてはいない。特許文献1は、変換器アッセンブリ100の一般形態である容量性圧力変換器アッセンブリを開示している。
【0003】
簡単に言うと、変換器アッセンブリ100は、第1のシールされた内部チャンバ110と第2のシールされた内部チャンバ112とを規定している本体を具備する。チャンバ110,112は、比較的薄くかつ可とう性を有する導電性ダイアフラム120によって、互いから隔離されている。後述されるように、ダイアフラム120は、これがチャンバ110とチャンバ112との圧力差に応じて収縮するか反らされるように、装着されている。変換器アッセンブリ100は、ダイアフラムの収縮量を示すパラメータを与える。従って、このパラメータは、圧力差を間接的に示す。変換器アッセンブリ100によって与えられ、圧力差を示すパラメータは、ダイアフラム120と電極130との間の電気容量(electrical capacitance)である。
【0004】
変換器アッセンブリ100は、P_xカバー140と、P_X本体150とを具備する(以下に説明されるように、用語“P_x”は、不明の圧力のことである)。図3の(A)は、P_x本体150の上面図を示す。P_x本体150は、管状形状を有し、中央の内部アパーチャ152を規定している(図3の(A)に示され、図2の線153によって示されている)。P_x本体150の上面は、段をつけられて、アパーチャ152の周囲で延びた肩部154を提供している。P_x本体150はまた、下面156を有する。P_xカバー140は、円形の金属シートであり、これには、中央アパーチャ144を規定する圧力管142が設けられている。P_xカバー140は、P_x本体150の下面156に堅く取り付けられている(例えば溶接によって)。ダイアフラム120は、通常は、薄くて、円形で、可とう性を有し、導電性材料で形成されたシートである(例えばステンレススチール)。上述されたように、図1、図2は、一定の比例に縮小して示されておらず、また、ダイアフラム120は、通常は、変換器アッセンブリ100の他の構成部品と比較して示されているよりもかなり薄い。ダイアフラム120は、図1に示されるように、P_本体150の肩部154と接触している。ダイアフラム120の外周は、通常は、ダイアフラム120の外周をP_x本体150の肩部154に堅く保持するように、P_x本体150に溶接されている。
【0005】
P_xカバー140、P_x本体150、及びダイアフラム120は、シールされた内部チャンバ110を共に規定している。P_xカバー140はチャンバ110の底部を規定し、P_x本体150はチャンバの側壁を規定し、ダイアフラム120はチャンバの上部を規定している。管142中の流体は、アパーチャ144と、中央アパーチャ152とを通ってチャンバ110中へと流れ得る。かくして、管142中の流体は、ダイアフラム120の下面と連通している。
【0006】
変換器アッセンブリ100はまた、P_r本体160とP_rカバー170とを具備する(上述されるように、用語“P_r”は、参照圧力のことである)。図3の(B)は、P_r本体160の上面図を示す。P_r本体160は、管状形状を有し、中央アパーチャ162を規定している(図3の(B)に示され、図2の線263によって示されている)。P_r本体160の上面は、段を付けられて、下肩部164と上肩部166とを提供している。下肩部164は、アパーチャ162の周囲で延び、上肩部166は、下肩部164の周囲で延びている。P_r本体160はまた、肩部164,166の反対側に下面168を有する。P_r本体160の下面168は、ダイアフラム120の外周の上面に堅く取り付けられている(例えば溶接によって)。P_rカバー170は、円形の金属製シートであり、これには、中央アパーチャ174を規定する圧力管172が設けられている。P_rカバー170は、このP_rカバー170の外周がP_r本体160の上肩部166と接するように、P_r本体160に(例えば溶接によって)堅く取り付けられている。
【0007】
P_rカバー170、P_r本体160、ダイアフラム120は、シールされた内部チャンバ112を共に規定している。ダイアフラム120はチャンバの底部を規定し、P_r本体160はチャンバの側壁を規定し、P_rカバー170は、チャンバ112の上部を規定している。管172内の流体は、アパーチャ174と、中央アパーチャ162とを通って、チャンバ112中に流れ得る。よって、管172内の流体は、ダイアフラム120の上面と連通している。後述されるように、電極130は、チャンバ112内に収容されるが、これの中の流体の流れを邪魔することはない。
【0008】
電極130は、通常は、非導電性(もしくは絶縁)セラミックブロックで組み立てられ、円筒形形状を有している。図3の(C)は、電極130の底面図を示す。電極130の下面は、段をつけられており、中央面135と、この中央面135の外周で延びた肩部136とを有する。電極130はまた、アパーチャ132を規定している(図3の(C)に示され、図2の線133によって示されている)。電極130は、中央面135上に(例えば電気メッキによって)溶着された、比較的薄いコンダクター134を更に有する。コンダクター134は、明白に、図2、図3の(C)に示されているが、説明を容易にするために、図1には示されていない。電極130は、図1に示されるように、P_rカバー170とP_r本体160の下肩部164と間で締め付けられている。電極130のアパーチャ132(図3の(C)に示されている)は、流体が、ダイアフラム120の上面と圧力管172との間を、電極130を通って、自由に流れるのを可能にしている。電極130をP_r本体160に締め付けることにより、コンダクター134はダイアフラム120と離れたところに保持されている。電極130は、通常は、コンダクター134とダイアフラム120との間の空間が比較的小さくなるように(例えば、およそ0.0002メーター程度)位置されている。
【0009】
コンダクター134とダイアフラム120とは、コンデンサー138の複数の互いに平行な板を形成している。よく知られているように、C=Ae/dの式において、Cは、2つの平行な板の間のキャパシタンスであり、Aは、複数の板の間の共用領域であり、eは、複数の板の間の、材料に基づいた定数であり(真空状態ではe=1)、dは、複数の板の間の距離である。そして、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスは、ダイアフラム120とコンダクター134との間の距離の関数である。ダイアフラム120が、チャンバ110とチャンバ112との間の圧力差の変化に応じて上もしくは下に伸縮するのにつれて、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスもまた、変化する。電極130(及びコンダクター134)が、好ましくは、ハウジングに対して静止した状態に保持されるので、電極130は、“参照電極(reference electrode)”として言及され得る。いつかの任意の瞬間に、コンデンサー138によって与えられたキャパシタンスは、チャンバ110とチャンバ112との間の、瞬間の圧力差を示す。公知の電気回路(例えば、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスの関数である共振周波数によって特徴付けられる“タンク(tank)”回路)が、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスを測定して、圧力差を示す電気信号を与えるために、使用され得る。
【0010】
変換器アッセンブリ100は、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスの測定を可能にする導電性フィードスルー180を有する。このフィードスルー180の一端部182は、電極130と接している。フィードスルー180は、このフィードスルー180の他端部184が変換器アッセンブリ100の外に出るように、P_rカバー170のアパーチャを通って延びている。フィードスルー180が延びるように通っている、P_rカバー170のアパーチャは、チャンバ112内の圧力を保持し、並びにフィードスルー180をP_rカバー170から電気的に絶縁するために、例えば溶融されたガラスのプラグ185によって、シールされている。フィードスルー180は、コンダクター134に電気的に接続されている。電極130は、通常は、コンダクター134(電極130の下面の)と、電極130の上面と接触しているフィードスルー180の端部182との間の電気接続を可能にするように、電気めっきされた貫通孔(図示されず)を有する。そして、フィードスルー180は、コンデンサー138の一方の板に(例えばコンダクター134)電気接続を与える。ダイアフラム120がP_r本体160に溶接されていることから、このP_r本体160は、コンデンサー138の他方の板(例えばダイアフラム120)に電気接続を与える。そして、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスは、P_r本体160とフィードスルー180の端部184との間の測定回路(図示されず)を電気的に接続することによって、測定され得る。実際に、変換器アッセンブリ100の本体は、通常は、アースされており、そして、コンデンサー138によって与えられるキャパシタンスは、単に、フィードスルー180の端部184への測定回路を電気的に接続することによって、測定され得る。
【0011】
コンダクター134は、通常は、電極130の下面に円形の“リング状”構成を成すように配置されている(図3の(C)に示されるように)。更に、いくつかの先行技術の変換器アッセンブリは、電極130に配置された1以上のコンダクターと、これらコンダクターに電気的に接続するための対応した数のフィードスルーとを、有する。このような変換器は、少なくとも2つのコンデンサーを提供する。第1のコンデンサーは、ダイアフラム120と、電極130の一方のコンダクターとによって形成され、第2のコンデンサーは、ダイアフラム120と電極130の他方のコンダクターとによって形成されている。公知のように、複数のコンデンサーが、このようなやり方で提供され、変換器のためにより正確な温度調節を効果的に与えるように使用され得る。
【0012】
変換器アッセンブリ100は、運転中、絶対圧力変換器として、通常は使用される。このように、通常は、チャンバ112は、最初に、真空ポンプ(図示されず)を圧力管172に適用することによって空にされる。チャンバ112が空にされた後、管172は、チャンバ112内の真空を維持するために、シールされるか“ピンチオフ(pinched off)”される。これによって、チャンバ112内の“参照”圧力(reference pressure)が生じる。真空は、適切な参照圧力であるが、参照圧力として他の圧力を利用することもまた知られている。チャンバ112内の圧力が既知の圧力であるか参照圧力であることから、チャンバ112を構成するのに使用された構成部材(即ちP_r本体160とP_rカバー170)は、P_r構成部品(即ち“参照圧力”構成部品)と呼ばれている。参照圧力がチャンバ112内に確立されると、圧力管142が、流体の圧力測定を可能にするように、流体源(図示されず)に接続される。このように圧力管142を接続することによって、圧力が測定される流体は、チャンバ110(及びダイアフラム120の下面)へ運ばれる。チャンバ110内の圧力が不明であるか、測定される必要があることから、チャンバ110を構成するために使用される構成部品(即ちP_xカバー140とP_x本体150)は、P_x構成部品(即ち“不明圧力”構成部品)と呼ばれている。ダイアフラム120の中心は、チャンバ110とチャンバ112との間の圧力差に応じて、上もしくは下に伸縮する。変換器アッセンブリ100は、ダイアフラムの湾曲量の測定を可能にし、かくして、チャンバ112内の既知の圧力に対して、チャンバ110内の圧力測定を可能にする。
変換器アッセンブリ100は、言うまでもなく、差別的な圧力の変換器としても使用され得る。この場合は、圧力管142は、第1の流体源(図示されず)に接続され、圧力管172は、第2の流体源(図示されず)に接続される。かくして、変換器アッセンブリ100は、2つの流体の圧力の間の差を測定可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許4,823,603号
【発明の概要】
【0014】
変換器アッセンブリ100の1つの問題点は、コンダクター134とダイアフラム120との間の、ゼロ圧力差の名目上の間隔(zero pressure differential nominal spacing)に関係する。チャンバ110とチャンバ112との間の特別な参照圧力差、例えばゼロ圧力差のための、ダイアフラム120とコンダクター134との間の参照距離は、“名目上の距離”もしくは“名目上のギャップ”と呼ばれ得る。変換器アッセンブリ100の運転中に、ダイアフラム120は、言うまでもなく上もしくは下に伸縮し、かくして、ダイアフラム120とコンダクター134との間の間隔が変えられ得る。しかしながら、変換器アッセンブリ100に一貫して正確な圧力示数を与えるために、ダイアフラム120とコンダクター134との間に一定の名目上の距離を与えることが重要である。そして、特別な圧力差のために、ダイアフラム120とコンダクター134との間の名目上の距離が確実に常に同じであるようにすることが重要である。多数の変換器アッセンブリ100を製造する際には、あらゆるユニットのコンダクター134とダイアフラム120との間に、同じ名目上の距離を一貫して与えることが重要である。更に、変換器アッセンブリ100の任意の1つのユニットにおいて、確実に、名目上の距離が一定であり長時間に渡って変化することがないようにさせることが、重要である。
【0015】
ダイアフラムと電極との間の名目上のギャップは、例えば25乃至400ミクロンの範囲内で、非常に小さくてよい。センサーは、複数の異なった材料で形成され得、これら材料の各々は、製造もしくは使用中の温度の変化に応じて夫々異なって反応し得る。名目上のギャップや他の誤差が小さいことから、温度の変化による小さな変化は、名目上のギャップに大きな影響を与え得る。例えば、金属製ハウジングが第1の率で軸方向に広がる場合(例えばダイアフラムの板に直交した方向)、セラミック製の電極130は、第2の率で軸方向に広がり、名目上のギャップは、変化し得る。
【0016】
先行技術の変換器アッセンブリ100は、一貫した通常距離を維持するための、弾性部材192を有する。弾性部材192は、P_rカバー170と電極130の上部との間で圧迫される。P_r本体160の下肩部164は、電極130の肩部136を支持している。P_rカバー170がP_r本体160に溶接されているので、弾性部材192は、電極130を押し下げるばね力を与え、この電極130を、P_r本体160に対して、所定の位置に保持する。弾性部材192は、“波型座金(wave washer)”(例えば、1以上の位置でリングの板に直交した方向に湾曲された、金属製のO−リングタイプの座金)を使用し得る。弾性部材192は、電極130を安定した位置に保持するように、比較的大きいばね力(例えば、およそ100ポンド程度)を与える。
【0017】
変換器アッセンブリ100は、電極130を安定的に保持するが、コンダクター134とダイアフラム120との間の名目上の距離は、例えば機械的もしくは熱衝撃に対応して、長時間に渡って少しずつ変化し得る。当業者は、圧縮によって所定位置に保持されている、電極130のような部材が、長時間に渡って少しの動作(時として“クリープ”と言及される)を見せ得ることを、理解されるだろう。このようなクリープは、時として、名目上の距離を変え得るので、変換器アッセンブリ100の精度に悪い影響を与える。過圧状況はまた、電極130の望ましくない運動を生じ得る。変換器アッセンブリ100の通常運転中、ダイアフラム120は、電極130に接触しない。しかしながら、チャンバ110内の、変換器アッセンブリ100の名目上の動作範囲を超えた大きな圧力(即ち過圧)は、ダイアフラム120を電極130と接触させ、弾性部材192を僅かに圧迫する。過圧状況が解消され、ダイアフラム120が名目上の動作位置に戻ると、弾性部材192は、再び広がり、電極130を正しい位置に戻すが、時として、電極130の新しい位置が、過圧が生じる前の最初の位置と僅かに異なることがある。このような位置上の変化は、名目上の距離の変化を生じることがあり、変換器アッセンブリ100の精度に悪い影響を与える。
【0018】
本発明は、圧力変換器内の、改良された電極と、電極のための取り付け具(mounting)とを提供する。一般に、電極と取り付け具とのデザインは、電極の安定性を向上させるものである。
本発明の一態様では、圧力変換器は、1つのチャンバ内に、ハブ−スポーク取り付け具を有する。ハブ−スポークの構成は、ダイアフラムと面平行に延びている。参照電極は、ハブ−スポーク取り付け具のハブから吊り下げられ、ダイアフラムの近くに位置付けられている。ハブ−スポーク取り付け具は、参照電極の安定性と、名目上のギャップの均一性とを向上させる。ハブと、かくして参照電極とは、圧力変換器の本体が様々の力に晒されているときも、実質的に静止した状態に保たれる。1つの利点は、ハブ−スポーク取り付け具が、大気圧中の変動(fluctuation)のような圧力変換器の本体にかかる圧力から、電極を隔離する点である。更に、取り付け具は、参照電極を位置付けるための弾性部材を不要にする。また、取り付け具は、過圧状況に対する圧力変換器の対応を、改良する。スポークは、ハブの安定性を更に向上させるために、凹角の溝を有し得る。
【0019】
本発明の他の態様では、圧力変換器は、導電性の支持部を備えた、改良された参照電極を有する。電極は、好ましくは、全体が金属で形成されている。電極は、誘電部材によって、電極取り付け具に堅く取り付けられている。第1の利点は、電極をセラミックを使用せずに形成することによって、浮遊キャパシタンスの影響を減じることができる点である。第2の利点は、電極がハウジングと同じ熱膨張係数を有することにより、変換器がより熱的に安定する点である。また、誘電接合部は、機械的なファスナより安定性が高く、長時間に渡って、電極の固定位置を維持する。好ましくは、スペーサが、電極とダイアフラムとの間の名目上のギャップを設定し得る。好ましい実施形態では、電極は、第1の電極を第2の電極から絶縁する誘電本体を備えた、2重電極である。
【0020】
本発明の他の態様では、変換器は、ガラスや、金属ではんだ付けもしくは蝋付けされたセラミックあるいはガラスセラミックのような接合部材によってハウジングに保持されて機械的な支持を与える支持柱に設けられたディスク部分を備えた電極を、有する。支持柱は、好ましくは、セラミックで形成され、電極とは分かれた部品として形成されたロッド、もしくは、単一及びモノリシックなディスク−柱の一部として形成された柱部分であり得る。柱とハウジングとの間の接合部は、非常に高い強度を有する圧縮タイプの接合部を形成している。この接合部の部材は、好ましくは、低い剛性を有する。かくして、1つの利点は、接合部が、幾つかの熱膨張による型ずれに対応する点である。この接合部は、圧力変換器が温度の変化にさらされているときに、弾性的かつ予測可能な方法で、ハウジングと柱との間の接合部におけるひずみを減じ得る。また、他の利点は、非常に高い剛性を有するセラミックの柱が、熱によって引き起こされるひずみがディスクに到達するのを更に防ぐという点である。本発明の更なる他の態様では、セラミックの電極は、ディスク部分の一面に溝を有する。この溝は、温度の変換が原因の熱膨張によって柱部分とディスク部分との間に引き起こされるストレスを、緩和する。
【0021】
本発明の他の態様では、圧力変換器は、ハウジングに対して低い熱膨張係数(TCE)を有する部材を具備する。ハウジングは、好ましくは、金属で形成され、電極に接合されたセラミックのロッドによって、セラミックの参照電極を支持している。低TCE部材は、参照電極のロッドがハウジングに接合されているところの近くで、ハウジングに接続されている。低TCE部材は、圧力変換器が製造中もしくは使用中に温度の変化に晒されているとき、熱の影響によるハウジングの反りを防ぐように働く。低TCE部材は、ロッドが内部に保持されるハウジング内の開口の内側もしくは反対側に堅く接続され得る。あるいは、ハウジングは、ハブ−スポークもしくは同様の取り付け具を有し得る。また、低TCE部材は、スポークに、電極とダイアフラムとから離れてこれと面する側で、溶接され得る。
【0022】
本発明の、更なる他の目的と利点とは、本発明の実施形態を説明している以下の説明から、当業者には容易に明らかになるだろう。理解されるように、本発明では、他の及び異なった実施形態も可能であり、幾つかの内容が、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の点から改良可能である。従って、図面並びに説明は、請求項に示された本出願の範囲内の、これに限定されない単なる説明として見なされるのが良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、先行技術の組み立てられた変換機のアッセンブリの、部分的な側方からの断面図を示す。
【図2】図2は、図1のAに示されたアッセンブリの、分解された側方からの断面図を示す。
【図3】図3の(A)は、図1、図2に示された、P_x本体の上面図を示し、(B)は、図1、図2に示された、P_r本体の上面図を示し、(C)は、図1、図2に示された、電極の底面図を示す。
【図4】図4の(A)は、本発明に係わって構成された容量性圧力変換器アッセンブリの、部分的な側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示されたアッセンブリの、部分的に露出された上面図を示す。
【図5】図5は、本発明に係わって構成された容量性圧力変換器の側方からの断面図を示す。
【図6】図6の(A)、(B)は、夫々に、図4の(A)、(B)、図5に示されたアッセンブリで使用される、改良されたP_r本体の好ましい実施形態の、上面図、斜視図を示し、(C)、(D)は、夫々に、(A)に示されたP_r本体の、(A)の線4C−4C、線4D−4Dに沿って切り取られた側面図を示す。
【図7】図7の(A)、(B)は、夫々に、図4の(A)、(B)に示された電極の好ましい実施形態の、側方からの断面図、底面の断面図を示す。
【図8】図8の(A)は、名目上の作動位置においてスポークが凹角の溝を有さない、P_r本体の、側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示された、熱適用後のP_r本体の、側方からの断面図を示す。
【図9】図9の(A)乃至(D)は、本発明に係わって構成されたP_r本体の他の実施形態の上面図を示す。
【図10】図10の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器アッセンブリの側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示された容量性圧力変換器アッセンブリの分解図を示す。
【図11】図11は、本発明の好ましい実施形態に係わって構成された電極の上面図を示す。
【図12】図12の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された、2重の電極を有する容量性圧力変換器アッセンブリの、側方からの断面図を示し、(B)は、(A)に示された容量性圧力変換器アッセンブリの分解図を示す。
【図13】図13は、本発明の好ましい実施形態に係わって構成された外側電極の上面図を示す。
【図14】図14の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の、部分的に露出された上面図を示し、(B)は、図14の容量性圧力変換器アッセンブリの、線12B−12Bに沿って切り取られた側方からの断面図を示す。
【図15】図15の(A)は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の、部分的に露出された上面図を示し、(B)は、(A)の容量性圧力変換器アッセンブリの、線13B−13Bに沿って切り取られた側方からの断面図を示す。
【図16】図16は、本発明の他の実施形態に係わる圧力変換器を製造するために使用される取り付け具内に示された容量性圧力変換器の、部分的な断面図である。
【図17】図17は、図16の線15―15に沿って切り取られた図を示す。
【図18】図18は、図16の線16−16に沿って切り取られた図を示す。
【図19】図19は、本発明の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図20】図20Aは、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図21】図21は、熱ストレスによる電極のそりを示している、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図22】図22は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図23】図23は、本発明の他の実施形態に係わる低いTCE部材を備えたハウジング部材の平面図を示す。
【図24】図24は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図25】図25は、本発明の他の実施形態に係わって構成された容量性圧力変換器の断面図を示す。
【図26】図26は、熱ストレスによる力を示している、図25に示された実施形態に係わる圧力変換器の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的及び性質をより十分に理解するために、同じ参照符号が同じかもしくは類似した部品を示し、このディメンションが参考としてのみ示されている添付図面を参照した、以下の詳細な説明が、参照されるのがよい。
図4の(A)は、本発明に係わって構成された、組み立てられた変換器アッセンブリ200の部分的な断面図を示す。図4の(B)は、図4の(A)に示された変換器アッセンブリの、部分的に露出された上面図を示す。図5は、変換器アッセンブリ200の側方からの断面図を示す。好ましい実施形態において、変換器アッセンブリ200を組み立てるのに使用される幾つかの構成部品が、先行技術の変換器アッセンブリ100で使用される構成部品と同じであるか、これに類似している。特に、変換器アッセンブリ200は、P_xカバー140と、ダイアフラム120と、P_rカバー170との、先行技術の変換器アッセンブリ100で使用される構成部品に類似した構成部品を、有している。しかしながら、アッセンブリ200は、先行技術のアッセンブリ100で使用される構成部品であるP_r本体160と電極130と比較して改良された、P_r本体260と電極230とを、有している。アッセンブリ200は、弾力的な部材192を使用する必要がない。
【0025】
図6の(A),(B)は、夫々に、改良されたP_r本体260の好ましい実施形態の上面図、斜視図である。図6の(C)は、P_r本体260の、図6の(A)の線4C−4Cに沿って切り取られた断面図を示す。図6の(D)は、P_r本体260の、図6の(A)の線4D−4Dに沿って切り取られた断面図を示す。図6の(A)乃至(D)に示されるように、P_r本体260は、外側管状ケースもしくはシェル262と、1以上のスポーク264と、中央ハブ266とを有する。管状ケース262は、図6の(C)、(D)に示されるように、中央軸261に沿って延びている。ケース262は、P_r本体260内の内側キャビティもしくはアパーチャを形成する内面263を有する。好ましい実施形態において、スポーク264は、内面263からケース262の中央へ向かって、軸261にほぼ直行した方向に延びている。他の実施形態において、スポーク264は、内面263からケース262の中央へ、軸261に直交しない方向へ、延び得る。スポーク264は、中央ハブ266を支持している。中央軸261は、中央ハブ266と交わっている。各スポーク264の一端部は、ケース262の内面263に接し、他端部は、中央ハブ266と接し、支持している。後で詳述されるように、P_r本体260の1つの利点は、中央ハブ266が、ケース262に対して、実質的に静止しているか、動かないという点である。
【0026】
図4の(A)、(B)、図5を参照すると、ケース262の上面が、P_rカバー170を支持するように、好ましくは段を付けられて肩部267を形成している。好ましい実施形態において、P_rカバー170は、P_rカバー170とケース262の上部との間に気密シールを形成するように、肩部267に結合されている。ケース262はまた、下面268を形成している。好ましい実施形態において、ダイアフラム120は、ダイアフラム120とケース262の底部との間に気密シールを共に形成するように、下面268に結合されている。従って、P_rカバー170、P_r本体260、ダイアフラム120は、内側がシールされたチャンバ112を共に規定している(先行技術のアッセンブリ100においては、圧力管172が、チャンバ112内に所望の名目上の圧力を与えるようにシールされ得る)。
【0027】
P_xカバー140の上面は、P_xカバー140とダイアフラム120とが内側チャンバ110を共に形成するように、好ましくは、ダイアフラム120に(例えば溶接によって)取り着けられている(ダイアフラム120の、チャンバ112と反対側で)。図1、図2は、P_xカバー140、P_xカバー150、ダイアフラム120によって形成されたチャンバ110を示しているが、アッセンブリ200は、P_x本体150の必要をなくし、これなしでチャンバ110を形成している。他の実施形態では、アッセンブリ200は、P_x本体150を有することができ、図1、図2に示されたものと同じもしくは類似した形状のチャンバ110を形成し得る。しかしながら、アッセンブリ200の好ましい実施形態において、P_x本体150は、なくされている。当業者は、図4の(A)に示されたP_xカバー140が、図1に示されたP_xカバー140と同じではなくともこれに類似していることを、理解されるだろう。特に、図4の(A)に示されたP_xカバー140の上面は、傾斜されるか、ベベル傾斜されているので(図1に示されるように平面ではない)、ダイアフラム120がP_xカバー140の上面の外周に取り付けられることによって(例えば溶接によって)、チャンバ110が、P_xカバー140とダイアフラム120との間に形成される。当業者は、図1及び図4の(A)に示されたP_xカバー140間の差が、チャンバ110が形成される方法と同様に、本発明にとって重要ではないことを、理解されるだろう。
【0028】
中央ハブ266は、ねじ205もしくは他のタイプのファスナを受けるように好ましくは構成された(例えばねじが形成された)中央アパーチャ265を規定している(図4の(B)に示されている)。このねじ205もしくは他のファスナは、電極230を、P_r本体260の中央ハブ266に対して保持している。図7の(A)は、中央ハブ266に取着された電極230の好ましい実施形態の、側方からの断面図を示す。図7の(B)は、図7の(A)の線5B−5Bに沿って切り取られた電極230の図を示す。電極230は、例えば円筒形もしくはディスク形状の、電気絶縁材料(好ましくはセラミック)から成るブロック232と、このブロック232の下面234に従来の形で配置された1以上のコンダクター235とを、有する。この実施形態において、絶縁性ブロック232は、中央ハブ266の中央アパーチャ265に適合するように構成された中央アパーチャ210を規定している。図4の(A),図5に示されるように、ねじ205は、ハブ266と絶縁性ブロック232とを共に保持している。絶縁性ブロック232はまた、好ましくは、ねじ205の皿もみ(countersinking)もしくは端ぐり(counterboring)を可能にするように、ボア孔210より大きく、これに接続された凹部208を、規定している(図7の(A)に示されるように)。このようにねじ205の皿もみもしくは端ぐりを行うことは、ねじ205の所定の部分が、電気コンダクター235とダイアフラム120との間の空間に入り込むのを防ぐために、望ましい。他の実施形態において、リベットもしくは接着剤が、ねじ205の代わりに使用され得る。更に他の実施形態において、ねじ(もしくはボルト)205の一端部は、アパーチャ265を通って延び、ナット(示されず)は、一端部上に貫通され、ねじ205と共働してハブ266とブロック232とを共に保持する。この実施形態において、中央アパーチャ265は、貫通されていてもされていなくてもよい。
【0029】
この電極230が、中央ハブ266に固定されていると(例えばねじ205によって)、絶縁体232の下面234は、ダイアフラム120と間隔をあけるように設けられ、かくして、ダイアフラム120と1以上のコンダクター235(図7の(B)に示された)とは、1以上のコンデンサー240を形成し得る。1以上のスペーサ206が、コンダクター235とダイアフラム120との間の空間を調節するために、絶縁性ブロック232の上部と中央ハブ266の底部との間に配置され得る。これらスペーサ206は、ねじ205の通路を与えるように中央アパーチャを規定する“リング”タイプの座金として好ましくは構成されている。好ましい実施形態において、これらスペーサ206は、0.004と0.007インチの間の厚さであり、ステンレススチールで形成され、2つ以下の数量で使用されている。
【0030】
コンダクター235は、図7の(B)に示されるように、比較的薄いリングとして配置され得る。あるいは、1以上の他のタイプのコンダクターが、絶縁性ブロック232の下面234上に配置され得、かくして、コンダクターとダイアフラム120とによって形成されたコンデンサーが、ダイアフラム120とコンダクターとの間の距離を示す。
変換器アッセンブリ200の好ましい実施形態において、絶縁性ブロック232は、絶縁性ブロック232の中央部のみをハブ266に取り付けることによって装着され得る。絶縁性ブロック232の外周は、ギャップ209がケース262と絶縁性ブロック232との間に形成されるように(図4の(A)と図5に示されるように)、P_r本体260のケース262から離れて位置され、これと接触していない。これは、セラミック電極130の全体的な外周がP_r本体(及び弾性部材192)によって支持されていた先行技術の変換器アッセンブリ100とは対照的である。後述されるように、本発明は、電極230の安定性を改良する。
【0031】
スポーク264、中央ハブ266、電極230全体は、内チャンバ112内に配置されている。しかしながら、これら構成部品は、ダイアフラム120とP_rカバー170との間の流圧が連通するのを邪魔しない。上述されるように、電極230は、中央ハブ266に装着され、ギャップ209(図5に示されている)が、ケース262と電極230との間に形成されている。このギャップ209は、流体が、電極230の回りを流れるようにし、かくして、先行技術の電極130のアパーチャ132(図3の(C)に示されている)を必要なくする。従って、電極230は、先行技術の電極130を作るよりも単純かつ安価である。また、スポーク264は、隣接するスポーク間に大きなアパーチャが設けられていることから、チャンバ112内の流体の流れを邪魔することがない(例えば、隣接した複数のスポークは、連続的な円形の平面シートでなく、中央ハブ266を支持するように使用されているので、この中央ハブ266の支持部は、チャンバ112内の流体の流れを邪魔しない)。
【0032】
変換器アッセンブリ200は、コンダクター235に電気的に接続するための、導電性フィードスルー280を有する。フィードスルー280の一方の端部282は、絶縁性ブロック232の上面と接触している。フィードスルー280は、スポーク(図4の(B)に示されている)間の空間と、P_rカバー170内のアパーチャとを通って、延びている。フィードスルー280の他方の端部284は、変換器アッセンブリ200の外にある。先行技術の変換器アッセンブリ100と同様に、フィードスルー280が延びるように通るP_rカバー170のアパーチャは、チャンバ112内の圧力を維持し、フィードスルー280をP_rカバー本体170から電気的に絶縁するために、シールされている(例えばガラスのプラグによって)。フィードスルー280の下端部282は、従来の方法で、コンダクター235に電気的に接続されている(例えば、絶縁性ブロック232のエッジを通ってもしくはこれの周囲で、端部282からコンダクター235まで延びている、電気めっきされたアパーチャによって)。フィードスルー280は、コンデンサー240の一方の板(例えばコンダクター235)に電気的に接続されている。P_r本体260は、コンデンサー240の他方の板(例えばダイアフラム120)に電気的に接続されている。付加的なフィードスルーは、好ましくは、絶縁性ブロック232の表面235に配置された各付加的なコンダクターのために設けられている。フィードスルー280は、好ましくは、電極230に構造的な支持を与えることなく、電極230に接触している。むしろ、電極230のための構造的な支持は、P_r本体260の中央ハブ266によって与えられている。
【0033】
上述されたように、P_r本体260の1つの利点は、中央ハブ266が、ケース262に対して実質的に静止しているか動かないように維持される傾向がある点である。従って、スポーク264は、中央ハブ266の安定した取付けを可能にする。中央ハブ266が、ケース262に対して実質的に静止しているか動かないように維持されていることから、電極230は、ダイアフラム120の名目上の位置に対してほぼ静止した状態に維持される。かくして、アッセンブリ200は、電極230とダイアフラム120との間のほぼ一定の距離を与える。
【0034】
中央ハブ266がケース262に対して実質的に静止された状態に維持される1つの理由は、アッセンブリ200内のばね力をなくすか減少させることと関係している。上述されたように、先行技術の変換器アッセンブリ100は、電極130の位置を維持するために、弾性部材192を圧迫することによって得られるばね力を利用していた。従って、先行技術の変換器アッセンブリ100の電極130は、長時間に渡って“クリープ”もしくは動作の影響を受けていた。改良された変換器アッセンブリ200は、中央ハブ266の位置を固定するために、このような弾性部材ではなく、スポーク264を使用しており、かくして、ハブ266は、安定した取り付けプラットホームを形成し得る。また、アッセンブリ200は、電極230を、中央ハブ266の安定した取り付けプラットフォームに対して固定的に保持するために、ねじ205(もしくはリベットもしくは接着剤、もしくは溶接結合もしくは他のタイプのファスナ)のようなファスナを使用している。電極230は、中央ハブ266の、安定かつ静止しているという特性により、静止した状態に維持される。
【0035】
スポーク264は、好ましくは、剛性を有する部材で形成されている。名目上の(nominal)状態で(例えばアッセンブリ200の名目上の作動温度で)、スポーク264は、好ましくは、任意の圧力もしくは圧縮を受けない。先行技術のアッセンブリ100は、比較的大量な、保持されたもしくは潜在的なエネルギー(弾性部材192の圧縮によって生じる)によって特徴付けられている。もう一方で、改良された変換器アッセンブリ200内に保持されたエネルギー量は、0であるか0に非常に近い。アッセンブリ200内に保持されるエネルギーがなくされるか減らされることによって、中央ハブ266、電極230を含んだアッセンブリ200の全構成部品は、長時間静止及び安定された状態に維持される傾向がある。
【0036】
中央ハブ266は、アッセンブリ200が名目上の動作の状況にある間、静止状態を維持する傾向があるが、幾つかの実施形態において、ハブ266は、アッセンブリ200が機械的もしくは熱の衝撃あるいはストレスを受けたとき、幾つかの運動を経験し得る。例えば、加熱もしくは冷却アッセンブリ200は、スポーク264の熱膨張もしくは熱収縮を生じる。このような熱膨張もしくは熱収縮は、各スポークを、圧縮もしくは張力の影響下に置く。このようにスポーク264にかかる圧縮もしくは張力は、中央ハブ266を、多少変位させ得る。図8の(A)は、ケース262、スポーク264、並びに中央ハブ266を示した、名目上の動作位置にあるP_r本体260の、側方からの断面図を表している。図8の(B)は、図8の(A)に示されたP_r本体260の、熱が適用された後の、側方からの断面図を示す。この熱は、スポーク264の熱膨張を生じ、この結果、中央ハブ266を上方へ変位(もしくはボーリング)させている。
【0037】
熱のもしくは機械的な衝撃あるいはストレスによって発生されるこのような変位を減じるために、アッセンブリ200の好ましい実施形態では、スポーク264が、凹角の溝269を有している。図6の(A)、(B)、(D)に示された実施形態では、各スポーク264は、夫々に2つの凹角の溝269を有している。図4の(B)では、複数のスポーク264のうち1つは、2つの凹角の溝を有するように示されている。説明し易いように、図4の(B)の、複数のスポーク264のうち2つは、凹角の溝を有さないように示されているが、当業者は、これらの各スポークも好ましくは凹角の溝を有するということを、理解されることだろう。凹角の溝269は、スポーク264が、圧縮もしくは張力を受けているときにも、中央ハブ266の安定した位置を維持できるようにする。即ち、凹角の溝269は、各スポーク264が、圧縮もしくは張力に晒されているときに変形し得るようにする。各スポーク264には、好ましくは、適合しているもしくは相補的な凹角の溝269が設けられている(例えば、一方のスポークの凹角の溝は他方のスポークの凹角の溝と適合している)。全てのスポーク264に、相補的な凹角の溝269が設けられているので、一方のスポークの変形は、他方のスポーク264に生じる変形に適合もしくはこれを補完する。全てのスポーク264に生じる相補的な変形が、中央ハブ266を、熱のもしくは機械的な衝撃もしくはストレスの影響下でも名目上の動作位置で安定されるように維持する。
【0038】
図6の(A)、(B)、(D)に示された実施形態では、各スポーク264には、2つの相補的な矩形の凹角の溝269が設けられている。当業者は、他の実施形態では、他のタイプの凹角の溝が使用され得ることを、理解されるだろう。例えば、凹角の溝の形状は、重要ではなく、これらは、矩形以外の、例えば半円形もしくは三角形のような他の形状によっても特徴付けられ得る。更に、1つのスポークにつき2つの凹角の溝という数に限らず、他の数の溝を設けてもよい。好ましい実施形態において、各スポークは、少なくとも2つの凹角の溝を有している。当業者は、限定された部材の解析(finite element analysis)が、本発明で使用され得る他パターンの凹角の溝を計算するために使用され得ることを、理解するだろう。
【0039】
図6の(A)乃至(D)に示された、P_r本体260の好ましい実施形態は、3つのスポークを有している。各スポークは、まっすぐで、P_r本体260の中央軸261に実質的に直交した方向に延びている。しかしながら、当業者は、他のパターンのスポークが、本発明で使用され得ることを、理解されるだろう。図9の(A)、(B)、(C)及び(D)は、スポーク264の他の構成を示している。図9の(A)は、3つのスポークを有し、これらスポーク264の各々は、直線ではなく湾曲されている構成を示している。図9の(B)、(C)、(D)は、夫々に、4つのスポークを有する構成、2つのスポークを有する構成、1つのスポークを有する構成を示している。P_r本体260は、好ましくは、2つ以上のスポーク264を有するが、1つのスポークを有する実施形態(例えば図9の(D)に示されている)もまた、本発明の範囲内である。図9の(A)、(B)、(C)に示されている全ての構成では、複数のスポークの夫々に、好ましくは、凹角の溝が設けられている(図示されず)。
【0040】
熱のもしくは機械的な衝撃あるいはストレスが生じている際の安定性を改良するのに加えて、P_r本体260のスポークのデザインはまた、超過圧力が生じている際の安定性をも改良する。例えば、図4の(A)、(B)、図5を参照すると、超過圧力が生じることにより、ダイアフラム120が電極230と接触し、これを変位させ得る。スポーク264は、弾力的に上方へ収縮し、電極230のこのような変位を可能にする。しかしながら、超過圧力が解消されると、スポーク264は、最初の作動位置に戻り、かくして、電極230も、所望の最初の作動位置に戻る。凹角の溝の有無に関係なく、P_r本体260のスポークのデザインは、超過圧力が生じている際の性能を向上させる。先行技術のアッセンブリ100の弾性部材192は、超過圧力の状態に従って、電極130のレシート(reseating)(もしくは移動)を生じる可能性があった。しかしながら、P_r本体260のスポーク264は、超過圧力の状態に従って、電極230を、所望の最初の名目上の作動位置に常に戻そうとする。
【0041】
P_r本体260(ケース262、スポーク264、中央ハブ266を含む)は、好ましくは、モノリシックな(例えば単体)金属の構造物である。P_r本体を形成するための1つの好ましい方法は、押出し成形である。モノリシックな構造物が好ましいが、当業者は、P_r本体260が、あるいは、別々の部品から形成され得ることを、理解されるだろう。
【0042】
好ましい実施形態において、P_xカバー140、P_r本体260、P_rカバー170、ハブ266、スポーク264、スペーサ206は全て、同じ金属(例えばインコネル、ニッケル、クロム合金)で形成されている。絶縁性ブロック232は、好ましくは、アルミナもしくはフォステライト(Fosterite)(例えば、ケイ酸マグネシウム)で形成されている。
【0043】
1.金属製電極(Metal electrode)
図10の(A)は、本発明に係わって構成された他の容量性圧力変換器アッセンブリ400の、部分的な側面図を示す。図10の(B)は、アッセンブリ400の分解図を示す。アッセンブリ200(例えば図4の(A)、(B)、図5に示されている)と同様に、アッセンブリ400は、P_r本体260、P_rカバー170、P_xカバー140、及びダイアフラム120を具備する。アッセンブリ400はまた、P_r本体260のハブ266によって支持された電極を有する。しかしながら、アッセンブリ400は、電極230を用いるよりむしろ、異なったタイプの電極430を有する。図11は、電極430の上面図を示す。電極430は、全体が金属でできている(即ち、電極130もしくは230とは異なり、電極430は、絶縁性の、即ちセラミックの部分を有していない)。電極430は、ディスク形状の導電性の板431と、円筒形状の導電性支持ロッド432とを有している。ロッド432は、板431と接続されており、図10の(A)、(B)に示されるように、電極430と共に逆T字形を成すことによって特徴付けられる。ロッド432は、板431に溶接あるいは取り付けられている。または、ロッド432と板431とは、1つのモノリシックな金属性構造物として形成され得る。電極430は、ロッド431がハブ266によって規定された中央アパーチャ265を通って延びるように、アッセンブリ400に装着されている。例えばガラスのような絶縁導電性部材452が、ハブ266に対してロッド432を固定的に保持するために使用されている。
【0044】
アッセンブリ400は、幾つかの利点を有する。第1に、電極をセラミックを使用せずに形成することによって、浮遊キャパシタンスの影響を減じ、アッセンブリ400の性能を向上させる。導電性の板が絶縁セラミックディスクに配置されている電極130(図1に示されている)のような、先行技術の電極においては、セラミックを使用していることにより、金属性のハウジング部品と導電性の板との間に、ダイアフラムと導電性の板との間で測定されるキャパシタンスに望ましくない影響を与える、比較的大きい浮遊キャパシタンスを生じ易かった。即ち、高い誘電率が原因で、セラミックは、周囲の金属ハウジングと導電性の板とを実際よりも互いに近づいているように見せてしまい、かくして浮遊キャパシタンスが比較的大きくなる“拡大影響(magnifying effect)”を生じさせる。これら浮遊キャパシタンスは、圧力変換器の感度を減じる。セラミックを使用せずに電極を形成することにより、この“拡大影響”をなくし、かくして、アッセンブリ400が、ダイアフラムと導電性の板431との間の距離のより精度の高い測定を行えるようにする。
【0045】
第2に、セラミックを使用せずに電極を形成することによって、変換器アッセンブリ400の熱的安定性を向上させる。セラミックと金属の熱膨張係数は異なっている。かくして、先行技術のアッセンブリ100を加熱すると、P_r本体は、電極130のセラミックより早く、縦方向に(全ての他の方向と同様に)膨張する。そして、アッセンブリ100を加熱すると、コンダクター134とダイアフラム120との間の距離が増す。アッセンブリ100のダイアフラム120とコンダクター134との間の距離が温度の変化に対応して変化し得ることから、アッセンブリ100は、熱的に不安定である(即ち、ダイアフラム120と電極との間の距離は、チャンバ110とチャンバ112との圧力の差にのみ対応して変化するのが理想的である)。アッセンブリ100とは対照的に、アッセンブリ400では、電極430は、セラミックを使用しておらず、完全な金属製である。このことにより、電極430の熱膨張係数は、P_r本体260の熱膨張係数と適合し、かくして、アッセンブリ400の熱的安定性が向上される(即ち、ダイアフラム120と板431の下面との間の距離は、温度の変化に左右されない)。好ましい実施形態において、P_r本体260と電極430とは、共に、同じ材料(例えばインコネル)で形成されている。
【0046】
第3に、誘電プラグ452が、機械ねじもしくは他の機械的なファスナよりも確実に、電極430を保持している。ねじ及び他の機械的なファスナは、緩んだり、移動したり、あるいは、長時間に渡って変化する可能性があるが、誘電プラグ452は、極めて長時間に渡って安定した及び一定の位置に電極430を保持し、かくして、この電極430をハブ266に対して一定の位置に保持し得る。幾つかの実施形態では、アッセンブリ400のハブ266は、ねじタイプのファスナを収容するように貫通され得る。しかしながら、このようなねじが形成された孔(thread)は、アッセンブリ400では不要である。
【0047】
第4に、電極430がアッセンブリ400に、このアッセンブリ400の内側の位置で(即ちハブ266で)取り付けられていることから、誘電部材452は、気密シールを形成する必要がない。これは、アッセンブリに電極を締め付ける誘電部材が、アッセンブリの周囲とこれの内部チャンバとの間に気密シールを形成している先行技術のアッセンブリ(例えば、米国特許5,442,962号に説明されているような)とは対照的である。このような先行技術のアッセンブリでは、気密シールを形成する必要があることによって、誘電部材の選択を概して余儀なくし、通常は、ガラス合金のシールが使用されている。ガラス合金のシールは、これらが、(1)選択が限られており、かくして特性(熱膨張係数のような)も限られてくること、(2)比較的高価であること、(3)錆び得ること(鉄を含むので)、から不利である。ガラス合金のシールはまた、溶解するのが難しい。このような特性により、電極を保持するためにガラス合金のシールを使用している先行技術のアッセンブリでは、電極を正確に位置付けることが難しく、また、製造費用がかさむ。アッセンブリ400の誘電プラグ452が気密シールを形成する必要がないことから、プラグ452を形成するのに使用される材料は、主として、使用の容易さと、電極430を安定した位置に保持する能力とから選択され得、気密シールを形成する必要を考慮して行う必要がない。誘電プラグ452を形成するのに好ましい材料は、特に、Northeast Electronics of Milford、Connecticutから販売されているもののようなドープ処理されたガラス、もしくは、Ceramaseal、a division of CeramTec Corporation of New Lebanon、New Yorkから販売されているもののようなセラミックである。
【0048】
上述されたような、P_r本体260、P_rカバー170、P_xカバー140、ダイアフラム120、及び電極430に加えて、変換器アッセンブリ400は、スペーサ450、導電性フィードスルー480、ガラスプラグ485、導電性ワイヤー486を、付加的に有する。フィードスルー480は、P_rカバー170内に設けられたアパーチャを通って延びている導電性のピンである。フィードスルー480の一端部484は、アッセンブリ400の外側にあり、多端部482は、アッセンブリ400の内側にある。ガラスプラグ485は、フィードスルー480を、P_rカバー170に対して所定の位置に保持し、このフィードスルー480をP_rカバー170から電気的に絶縁している。導電性ワイヤー486は、ロッド432の上端部と、フィードスルー480の内端部482とに物理的に接続されており、かくして、フィードスルー480は導電性の板431に電気的に接続されている。他の実施形態では、導電性ワイヤー486は、ばねであってもよい。そして、外側の回路が、フィードスルー480の外側端部484に接続されることによって、板431に電気的に接続され得る(即ち、ダイアフラム120と板431との間に形成されたコンデンサーのキャパシタンスを測定するために)。
【0049】
誘電部材452(電極430を所定位置に保持する)とは異なり、ガラスプラグ485は、気密シールを形成している。しかしながら、フィードスルー480は、電極430のために求められるような高精度で位置される必要がないので、プラグ485を形成するのは比較的容易である。
スペーサ450は、環状形状を有し、P_r本体260の下面268とダイアフラム120の上面との間に配置されている。スペーサ450は、通常は、本体260の下面268と、ダイアフラム120とに溶接されている。P_rカバー170、P_r本体260、スペーサ450、ダイアフラム120は、シールされた内部チャンバ112を、共に規定している。P_xカバー140とダイアフラム120とは、内部チャンバ110を、共に規定している。
【0050】
導電性の板431とダイアフラム120とは、センサーコンデンサー438を共に形成している。導電性の板431の下面は、好ましくは、これがP_r本体260の下面268と同平面にされるように配置されている。板431の下面とP_r本体260の下面268とが同平面にあるとき、ダイアフラム120と板431との間の名目上のギャップは、スペーサ450の厚さによって、全体に決定される。スペーサ450の厚さの好ましい値は、約0.001インチから約0.020インチの間である。スペーサ450を形成するのに好ましい材料は、例えば、アンバー(Invar)、コバール(Koval)、インコネル(Inconel)である。
【0051】
電極430をP_r本体260に取り付けるための1つの好ましい方法は、(1)板431の下面を平面(例えば平面テーブル)上に位置させ、(2)ロッド432がハブ266を通って延び、これの中心に位置付けられるように、P_r本体260の下面268を同じ平面上に位置させ、(3)電極430とP_r本体260とがこのように位置されている間に、誘電プラグ452を形成すること、である。誘電プラグ452は、誘電部材をハブ266とロッド432との間に位置し、この誘電部材を溶解させるためにアッセンブリを加熱し、この後、この誘電部材を冷却及び凝固可能にすることによって、形成され得る。
【0052】
図10の(A)、(B)に示されるように、スポーク264は、管状ケースの内面263もしくはP_r本体260の側壁262から延びている。この、スポーク264がこれから延びている内面263は、好ましくは垂直で、即ち中央軸261と平行である。ケース262の内面263と外面との両方が、好ましくは、実質的に垂直で、即ち、中央軸261に平行である。一般に、気圧の(barometric)圧力の影響が、容量性圧力変換器ハウジングの、P_rカバー170のような支持が弱い部分に最も強く表われ、非常に低い圧力で動作する変換器内で増幅される。電極が比較的薄くて水平なカバー(例えば前に参照した米国特許5、442、962号に説明されているような)に取り付けられている先行技術のアッセンブリでは、気圧の圧力の変化は、ダイアフラムと電極との間の名目上のギャップを、望ましくなく変えることがある。アッセンブリ400のP_r本体260の垂直ケース262は、好ましくは、比較的薄く(例えば0.25インチ)、更に、スポーク264によって支持されており、かくして、多くのでこぼこを有し、丈夫で、比較的気圧の圧力の変化に影響されない(即ち、これは、気圧の圧力の変化に対応して、際立って伸縮もしくは湾曲することはない)。従って、アッセンブリ400のP_r本体260は、電極430を、容量性圧力変換器の外部にかかる気圧の圧力の影響から隔離する。電極430が取り付けられたハブ266は、ハウジングの内側にあり、好ましくは、P_rカバー170よりも強くて気圧の圧力変化の影響を受けにくいハウジングの垂直部分に取り付けられていることから、電極430は、外部の圧力の変化から隔離され、アッセンブリ400の安定性は、向上される。更に安定性を増すために、容量性圧力変換器400はまた、アッセンブリ200について上述されたようなタイプの溝269(例えば図6の(B)に示されている)のような凹角の溝を、スポーク264内に有し得る。他の実施形態では、電極430は、ハブとスポークとから成るタイプの電極の取り付け部の変形部から吊り下げられ得る。例えば、電極の取り付け部は、P_rケース262からチャンバ112の中心部へ中へ延び、改良された電極430が絶縁材料のプラグを備えた取り付け部に接続されるアパーチャを規定する、電極取り付け部であり得る。
【0053】
図12の(A)、(B)は、夫々に、本発明に係わって構成された容量性圧力変換器アッセンブリ500の他の実施形態の、側方からの断面図、分解図を示す。アッセンブリ500は、アッセンブリ400と非常に類似している。しかしながら、アッセンブリ500は、1つの電極430のみを有するのではなく(アッセンブリ400の場合のように)、2つの電極、即ち、第1の電極430と第2の電極530とを有する。第1の電極430、第2の電極530は、夫々に、図12の(A)、(B)に示されるように、好ましくは、内部の電極、外部の電極として配置されている。図13は、第2の電極530の上面図を示す。
【0054】
第2の電極530は、環状かつ平面の導電性の板531と、導電性のカップ形状の水平支持部533と、導電性の管状支持部532とを有する。電極430と同様に、第2の電極530は、好ましくは全体が金属製である。板531、水平支持部533、管状支持部532は、共に、1つの導電性のモノリシックな構造に形成され得る。あるいは、これら構性部品は、別々に形成され、互いに溶接もしくは結合されることもできる。
アッセンブリ500では、第2の電極530は、第1の電極430を囲んでいる。第2の電極の導電性の板531の下面は、第1の電極の導電性の板431の下面と同平面で、かつこれを囲んでいる。管状支持部532は、第1の電極の支持部432を、軸261に沿って、囲んでおり、またこれと同軸上に延びている。ロッド432と同様に、管状支持部532は、ハブ266の中央アパーチャ265を通って延びている。
【0055】
第2の電極に加えて、アッセンブリ500は、誘電材料でできた2つの支持部552,554と、第2の導電性のフィードスルー580と、第2のガラスプラグ585と、第2の導電性ワイヤー586とを有する。第2のフィードスルー580は、P_rカバー170内の第2のアパーチャを通って延びている。第2のガラスプラグ585は、フィードスルー580を、カバー170に対して保持し、また、このフィードスルー580を、カバー170から電気的に絶縁している。ワイヤー586は、管状支持部532の上端部を、アッセンブリ500の内側の、フィードスルー580の端部に電気的に接続している。誘電部材554が、管状支持部532をハブ266に取り付け、また、電極530を、ハブ266から電気的に絶縁している。誘電部材552は、支持ロッド432を、管状支持部532の内側に取り付けており、また、第1の電極430を、第2の電極530から電気的に絶縁している。アッセンブリ400の誘電部材452と同様に、誘電部材552,554は、気密シールを形成する必要がない。電極430と電極530とをハブ266に取り付けるための好ましい方法は、(1)板431の下面を平面上(例えば平面テーブル)に位置し、(2)導電性の板531の下面を、これが板431を囲み、ロッド432が管状支持部532を通って延びるように、同じ平面上に位置し、(3)ロッド432と管状支持部532とが、ハブ266を通って延び、これの中心に位置付けられるように、P_r本体260の下面を、同じ平面上に位置し、(4)電極430、530がこのように位置付けられている間に、誘電プラグ552,554を形成する、という方法である。誘電プラグ552,554は、アッセンブリ400のプラグ452の場合と類似した方法で形成され得る。
【0056】
ダイアフラム120と板431とは、第1のコンデンサー438を形成し、ダイアフラム120と板531とは、第2のコンデンサー538を形成している。かくして、アッセンブリ500は、シールされた内部チャンバ110と内部チャンバ112の間の圧力差を感知するように使用され得る、2つのコンデンサーを提供している。2つのコンデンサーは、好ましくは、円形板431の領域と同等の環状板531の領域を設けることによって、バランスを保たれる。
図14の(A)、(B)は、夫々に、変換器アッセンブリ500の他の実施形態の、部分的に露出された上面図、側方からの断面図を示す。この実施形態では、同軸のシールドが各フィードスルーに設けられている。また、第2の電極530は、比較的丸い、比較的環状ではない形を有している。即ち、導電性の板531とカップ形状の水平支持部533との間の接合部は、角張っているというより丸い。
【0057】
図15の(A)、(B)は、夫々に、変換器アッセンブリ500の更なる他の実施形態の、部分的に露出された上面図、側方からの断面図を示す。この実施形態では、P_xカバー140ではなく、このP_xカバー140よりも厚くてよりでこぼこの多いP_x本体540が、設けられている。この実施形態は、小型変換器を提供する場合に、特に適している。例えば、この実施形態では、P_r本体260の直径は、直径が1.00インチより小さくなるように形成され得る。
【0058】
2.弾性的な接合部及び溝を備えたセラミック製電極
図16は、装置の製造に使用される取り付け具(fixture)612上に示された、本発明の他の態様に係わって構成された他の圧力センサーの一部分610を、示す。図17にも示されるように、幾つかの実施形態で、ハウジング部分614は、好ましくは、複数のスポーク616を備えたハブ617として構成されている(例えば、米国特許5、965、821号で説明されているように)。ハブは、接合部622によってハブ617内に保持された支持ロッド620を保持する開口618を、有する。接合部622は、リードホウケイ酸塩ガラス(lead borosilicate)のような、ガラス質のもしくは失透ガラスで形成されているか、金属で蝋付けもしくははんだ付けされたセラミックあるいはガラスセラミックであり得る。ロッド620は、好ましくは、96%のアルミナもしくはケイ酸マンガン(フォルステライト)のような、セラミックで形成されている。ハウジングの部分614は、好ましくは、ニッケル、クロム、及び鉄の合金であるインコネルのような金属で形成されている。
【0059】
金属のフィルムのような1以上のコンダクター630が下面に形成されたセラミックのディスクから成る電極628は、ロッド620の他端部に配置されている。電極628は、ほぼT字形状の断面を備えたユニットを形成するようにロッド620に接続された、別々の部品であってもよい。図18により詳しく示されているように、電極628は、好ましくは、ディスクがロッドに接続されるのと反対側の、ダイアフラム640が設けられるところに面している(図19を参照)ディスクの下面に形成された、2つの同軸の導電性のリング630を有する。
【0060】
図16に示されている製造用の取り付け具612は、ダイアフラム640がハウジング部分614に溶接もしくは接続されているときに、電極628に設けられたコンダクター630とダイアフラム640との間の距離dを設定及び維持するのを助ける。取り付け具612は、電極628とダイアフラム640との間の距離dを規定する隆起部634を備えた面を有している。この距離は、例えば、25乃至400ミクロンのように、極めて短くてもよい。電極628と、接合部622を備えたロッド620とは、電極が取り付け具612上に配置されている状態で、ハウジング614内に位置される。続いて、接合材が、電極628の下面とハウジング614の下面とが所望の距離dだけ離れて位置されることを確実にするように、ロッド620を開口618内に接合するために、溶融及び冷却される。これにより、電極628の下面は、アッセンブリが冷却された後、組み立てられたアッセンブリにおいて、ダイアフラム640から距離dだけもしくは関連した距離d’だけ離れるように確実に位置される。製造もしくは使用中にセンサー600が感知する温度が変化する際、ガラス接合部622は、ロッド620とハウジング614との間に弾性的な接合を与え、高い剛性を有するロッド620と共に、ハウジング614から電極628に達する温度の変化によって生じるひずみを防ぐように働く。
【0061】
ロッド620は、電極628に機械的な支持を与えるように、開口618内に堅く保持されているが、電気的な接続を与える必要はない。即ち、ロッド620は、導電性である必要がない(導電性であってもよいが)。コンダクター630への電気的な接続は、好ましくは、複数のスポーク616間に与えられる付加的なリード636によって、与えられる。
【0062】
比較的仕上げられた形状に近い圧力センサー600を示している、図19を参照すると、ダイアフラム640は、ハウジング部分614に溶接されており、また、この他側では、第2のハウジング部材642に溶接されており、また、他のハウジング部材644は、装置のハウジングを規定するように、図16に示されたハウジング部分614の上部に溶接され得る。あるいは、ハウジング部分614と部材644とは、一体的に形成され得る。ハウジング部材644はまた、参照圧力を確立し得るように、開口648を有する。開口646が、流体が感知チャンバに入るのを可能にし、ダイアフラム640を電極628に対して動かす。
【0063】
回路637が、ダイアフラム640と電極628とに信号を与える。例えば、回路637は、電極628とダイアフラム640との間のキャパシタンスの関数である共振周波数によって特徴付けられるタンク回路を、有することができる。キャパシタンスは、ダイアフラム640が動く際に、ダイアフラム640の他側の圧力に対する開口646からの圧力の変化に応じて、変化する。代表的には、非ゼロ信号が、電極に与えられ、ハウジングとダイアフラムとは、アースされる(grounded)。
【0064】
図20を参照すると、電極ディスクと支持柱(support post)とは、2つの別々な部品としてではなく、柱部分652とディスク部分654とを備えた、1つのモノリシックなT字形状の部品650として形成され得る。柱部分652は、ガラス、金属もしくはセラミックでできた接合部653によって、ハウジング616に堅く接合されている。接合部653は、ガラスでできている場合、リードホウケイ酸塩ガラスのようなセラミックに接着する、ガラス質もしくは失透ガラスで形成されてもよい。ほぼ円形の溝655は、柱部分652とディスク部分654とが結合されるところで、柱部分652の基部の周りのディスク部分654の上面に、形成されている。この溝は、内径657、外径659、深さ663で規定されている。溝の幅は、外径659と内径657との間の差によって規定されている。溝655の内径657は、柱部分652がディスク部分654と結合されているところの柱部分652の直径と、ほぼ等しい。溝655は、好ましくは、ディスク部分654の厚さ664の半分にほぼ等しい深さ663を有する。この溝655は、接合部の歪みを緩和して、ディスク部分654を平らに保つように機能する。
【0065】
上述されたように、温度の変化は、センサーの精度に、概して不利に影響する。これは、ハウジングが金属で、電極(並びに/もしくは電極の支持部)がセラミックであり、これらが実質的に夫々異なった熱膨張係数を有する場合に、特に当てはまる。感知コンデンサー内のギャップのサイズは、感知される圧力と装置が晒される温度との両方の関数であり得る。2重の電極を有するデザインは、不明の圧力を感知する際に温度の影響をなくすために、“平面排除(planar rejection)”の原則に従っている。2重の電極を有するデザインでは、代表的には、測定されるキャパシタンスは、第1のコンデンサーと第2のコンデンサーとの間の差別的なキャパシタンスである。両電極が平面上にあるのみならず、平面排除の概念に基づいて、温度の影響によって生じる所定のギャップは、両コンデンサーに同じ影響を与えるので、この影響は、差別的な測定では無効にされる。あるいは、様々の温度及び圧力の状況に対する第1のコンデンサー及び第2のコンデンサーの反応は、事前に測定並びに記録され得る。2重の電極を有するデザインの、第1の電極と第2の電極とが平面で維持されている場合に限り、これら公知の特徴は、第1のコンデンサーと第2のコンデンサーとの測定されるキャパシタンスを相互に関連させ、信号に与えられている温度の影響を測定し、これらの影響を正確な圧力のリーディング(reading)を得られるように調節するために、利用され得る。このように平面上にある2つの電極を使用することで、所定の温度に関係した歪みが、補われるか“排除される(reject)”ことから、このデザインの特徴は、“平面排除”であると言及されている。2重の電極を有するデザインは、安定した状態で平面排除を行うのには有効であるが(関連する差が予測でき、事前に特徴付けられ得るとき)、一時的な状況では、非平面へ変化することと、また前述された影響の組み合わせとにより、このような温度補正の方法の効果が損なわれる。
【0066】
圧力変換器は、製造中に、特に接合部653を形成するために、例えば450℃を含む範囲のかなりの高温に晒され得る。このような高温下で接合部653の形成することによって、電極とダイアフラムとの間の最初のギャップは、設定される。圧力変換器が冷却を行うと、圧力変換器の所定の部分は縮小し、ギャップも変化する。変換器の所定の部分が予測できる範囲で公知の位置まで縮小する場合に限って、冷却による影響を考慮して最初のギャップを適当に設定することによって、接合部653が形成される際に、冷却された圧力変換器内に所望のギャップが得られる。しかしながら、変換器の一部分が冷却中に歪んでしまうような場合には、所望のギャップが得られない。製造中の、限られた範囲内での歪みと他の一時的な影響とは、ギャップの制御にとって重要である。また、圧力変換器は、作動中に温度の変化に晒され得る。しかしながら、こうした変化の範囲は、一般に、製造用の温度の変化する範囲よりかなり限定されているか、この範囲内にある。従って、製造中に、圧力変換器の温度に対する反応がモニターされ、制御され、補われる場合は、作動中の、圧力変換器の温度に対する反応は、予測可能になるだろう。
【0067】
変換器600は、製造中もしくは作動中に、温度の変化に晒されると、溝655は、ディスク部分654の形と、圧力変換器600の所定の部分の相対的位置とに、一時的な変化を減じる。図21は、本発明に係わるセラミック柱を有する、変換器の他の実施形態601を示す。更に、図21は、溝655のような溝を有さない電極ディスク650の、温度の変化に応じた反りを示す。圧力変換器601が加熱されると、金属のハウジング644がセラミック電極654よりも早く膨張するので、ダイアフラム640と電極654の下面との間のギャップは、大きくなる。また、センサー601が加熱されると、柱部分652は、ディスク部分654よりも早く熱くなる。柱部分652は、接合部653によって、ハウジング644に物理的に接触され、主として熱伝導によって加熱される。ディスク部分654は、ハウジング644の側からの熱放射と、柱652からの熱伝導との両方によって加熱される。柱部分652は、加熱されると、ディスク654より早く膨張し、主として、ディスク654に、矢印661で示された外方向へ圧力をかける。ストレスに応じて、ディスク654は、この外エッジが矢印662で示されているように下に動くように、曲がる。かくして、図18のような、2重の電極を有するデザインでは、外側電極は、内側電極に対してダイアフラム640に近づくように動く。圧力変換器610が冷却されると、逆の影響が生じる。即ち、柱部分652は、冷えると、ディスク654よりも早く収縮し、ディスク654を、この中央の周囲に内方へ向かって引っ張る(pull)。ストレスに応じて、ディスク654は、この外エッジが上に動くように曲がる。このひずみは、圧力変換器601の平面排除を無効にし、観測される(observed)キャパシタンスと、圧力測定とに歪みを生じさせる。圧力変換器は、一時的な状況では、温度の影響により非平面にされるが、この変換器が均一に加熱されると、この影響はなくなる。
【0068】
溝655は、この問題を多少とも解決する。一時的な状況では、溝655は、ディスク部分654が、柱部分652から径方向内方もしくは外方へ歪むのを減じ、キャパシタンスを歪めさせる反りの影響を減じるかなくす。溝の、様々の好ましい位置及びディメンションは、限定された部材の解析によって決定され得る。例えば、1.6インチの直径と0.2インチの厚さとを有する電極及び、0.25インチの直径を有する柱の場合、溝655は、好ましくは、0.1インチの深さと0.1インチの幅とを有する。
【0069】
ディスク部分654は、好ましくは円形であるが、矩形もしくは幾つかの他の形状でもよい。ロッド652は、導電性の通路を形成するように金属化されるか、ニッケル、鉄、及びコバルトの合金であるコバールのような、膨張率が低い合金で形成され得る。ハウジング614とダイアフラム640とは、代表的には、夫々、インコネル、ステンレススチールのような金属であり、他の構性部品は、代表的には、セラミックもしくはガラスである。
【0070】
3.低い熱膨張係数を有するプラグ
図22は、本発明の他の態様に係わる容量性圧力センサー701(図24に示されている)の一部分700を示す。センサー701は、第1のハウジング部材714と第2のハウジング部材716との間に溶接されたダイアフラム712を有する。ハウジング部材716は、流体をチャンバ719中に受けるための開口718を有する。
ダイアフラム712の、流体が受けられる側とは他側に、電極720がある。電極720は、導電性材料で形成されるか、更に好ましくは、導電性フィルム726がダイアフラム712に面するように設けられた面を有する、セラミックディスクのような導電性ディスクを有し得る。電極720は、好ましくは、セラミックで形成されてハウジング部材714内の開口724まで延びた支持柱722に、接続されている。
【0071】
図23を参照すると、ハウジング部材714が、好ましくは、ハブ728と、複数のスポーク730とを有している。しかしながら、ハウジング部材714は、ハブ728の代わりにアパーチャを備えた、実質的に堅い電極取り付け部材を有していても良い。ロッド722は、ハブ728の中心にある開口724中に延びている。ロッド722は、ファスナ、接着剤もしくは他の接合部材によって、ハブ728に取付けられ得る。電気リード732が、複数のスポーク730の間を、電極720まで延び、導電性のフィルムに電気信号を与える。あるいは、リード732は、ロッド722もしくは固形電極取り付け部材内のアパーチャを通って、延びていてもよい。
【0072】
図22に示された、本発明の本態様の第1の実施形態では、低い熱膨張係数を有する(TCE)プラグ736が、開口724内のハウジング部分714に堅く保持されている。プラグ736は、好ましくは、ハウジングに応じて、低い熱膨張係数を有する。プラグ736は、好ましくは、ロッド722より低いもしくはこれに等しい熱膨張係数を有する。プラグ736は、種々の構成を有し得る。ここで示されるように、プラグ736は、ハウジング部材714内に静止する肩部を形成するように、比較的直径の大きな部分と比較的直径の小さい部分とを有する。プラグ736は、ガラスででき、溶接された縮小可能な適合部(glassed welded shrink fit)もしくは、プラグを所定位置に堅く保持するための幾つかの他の保持方法によって、ハウジング部材714に堅く接続され得る。
【0073】
簡単に言うと、プラグ736は、代表的な製造及び作動状況において、より正確なギャップ制御を可能にする。センサーが加熱もしくは冷却されるとき、圧力変換器が晒される圧力が変化する際にも、低い熱膨張係数を有するプラグ736は、ハウジング714に対して安定した状態に保持されることが、判った。代表的には、センサーが冷却されるとき、プラグ736は、ハウジングが、線738で示されるように径方向内方へ動くのを防ぎ、柱722がハウジング714に接続されているところで作られたモーメントに対応するモーメントを作る。
【0074】
本発明の付加的な実施形態701,702が、図24、図25に示されている。図26は、プラグ753のような低TCEプラグがない場合の温度の変化による影響を示すように線が引かれた、圧力変換器702の一部分703を示す。示されているように、製造中、ギャップは、例えば電極720とロッド722とを製造用の取り付け具上に設け、柱722をハウジング714中に挿入し、これをハウジング714に、450℃までの範囲の温度で接着して堅く取り付けることによって、設けられ得る。製造プロセス後に、圧力変換器が冷却されると、ハウジング715及び、電極744及び柱742をモノリシックに有するT字形状のアッセンブリ741のような、圧力変換器の一部が縮小する。ハウジング715、電極744、及び柱742は、冷却されると、夫々の熱膨張係数及び特性に応じて、夫々異なった比率で縮小し得る。特に、ハウジング715が金属で、電極744、柱742がセラミックである場合、比較的高い熱膨張係数を有するハウジング715は、冷却されると、代表的には、電極744及び柱742より早く縮小し得る。代表的には、ハウジング715は、柱742の周囲で、矢印770で示された方向に沿って、内方へ縮小する。ハウジング715は、アパーチャの直径が柱742の直径より小さい位置まで、縮小するように傾斜されている。ハウジング715がアパーチャの直径が柱742の直径と等しい位置まで縮小すると、柱742が設けられていることによって更なる縮小が妨げられる。このような縮小は、柱742の剛性によって、ハウジング部材715に、これが柱742を保持しているところで、矢印772で示された方向に沿って外方への圧力をかける。ひずみに応じて、ハウジング部材715は曲がる。このハウジング715の上部は、下へ曲がり、外壁は、ダイアフラムに近い部分の周囲で、矢印774で示されているように外方へ曲がる。圧力変換器702は安定した状態で常態に戻り得るが、これらの変化は、電極744の位置を変化させ、仕上げられた圧力変換器702内の名目上のギャップのサイズを変え、不正確な圧力の測定を生じる可能性がある。
【0075】
プラグ753のような低ICE部材は、このような変化を防ぐ。プラグ753は、ハウジング715もしくは柱742より低い熱膨張係数を有する。プラグ753は、これらのどちらか一方よりも縮小するのが遅い。プラグ753は、ハウジング715が方向770に内方へ縮小するのを防ぐ。特に、プラグ753は、矢印776によって示された方向に、外方へ力を与え、ハウジング715が内方へ曲がるのを防ぐ。プラグ753は、ハウジングの反りが減じることによって、電極744の位置付けを容易にし、仕上げられた変換器702の名目上のギャップの正確さを向上させる。製造プロセス中の、温度の変化によりギャップが受ける影響は、作動中の温度の変化による影響と相関関係にあり、これを予測可能にする。このようにして、製造パラメータ及び作動パラメータ両方のような、影響を制御することによって、センサーの精度が向上される。
【0076】
図23を参照すると、本発明の他の実施形態では、低TCE材料でできたストリップ740がスポーク730に堅く接続されている。ストリップ740は、実質的にスポーク730に沿って延び得、これらスポークに溶接され得る。金属は、例えばコバールでよい。ストリップ740は、好ましくは、金属で形成されており、かくして、バイメタルのスポークを形成している。これらストリップ740は、図22、図24、図25、図26のプラグと同じ目的のために働く。
【0077】
従って、ハウジング部材714は、環状部分と、ダイアフラム712に基本的に面平行に配置された部分(ハブ728、スポーク730のような)とを有する。低いTCEを備えた部材(好ましくは、ハウジング部材714のTCEより低く、また好ましくは、ディスク720を形成するのに使用される誘電材料のTCEより低い)は、ハウジング部材714の一部分の、ダイアフラム120から離れてこれに面している側にある。
【0078】
図22、図23の所定の部材が再び使用されている、図24を参照すると、他の実施形態701は、柱部分742とディスク部分744とをモノリシックに有する単一部材741の下側に金属のフィルムとして形成された電極を、有する。柱部分742は、ハウジング714の開口750内で、ガラスシール748と共にハウジング714に堅く接続されている。ディスク部分744は、柱部分742がディスク部分744と接触しているところに形成された溝746を、有する。柱部分742の外径に似た内径を有する溝746は、ディスク部分744を平らに保持するのを助けるように、ひずみ緩和チャネルとして働く。
【0079】
プラグ752は、開口750の上端部にあり、上述されたように低TCE材料でできている。示されるように、プラグ752は、これの軸に沿って孔が設けられた(座金のように)、円筒形状の環形に成形されており、ハウジング714の肩部754で静止している。プラグ752は、ガラスの接合部もしくは他の接合機構によって固定され得る。圧力を設定し真空に引くのを可能にするための開口756、電極へ電気的に接続するための取り付け具758、開口756を密封した後に水素のような所定の分子を空気中から取り除くためのゲッターキャニスター760を含む、いくつかの付加的な公知の部材が、ここでは示されている。
【0080】
図25は、本発明に係わって構成された圧力センサーの付加的な実施形態702を示す。圧力センサー702は、電極取り付け部分を装置のハウジング中に設け、図22、図24のハウジング部材714と共に示された別個のカバーを不要にする第1の単一ハウジング部材715を、有する。電極741は、柱部分742とディスク部分744とを有する。電極741の柱部分742は、主として、第1の単一ハウジング部材715に接合されている。好ましくは、柱部分742は、ハウジング部材715の下面の凹部中へ延びている。電極741は、ディスク部分744のひずみを減じるために、任意で溝を有し得る(例えば、図24に示された溝714のような)。柱部分は、ガラスプラグ748によって、ハウジング部材715に取付けられ得る。低TCEプラグ753は、温度の変化による、センサー702の一部分の相対的な位置付けの一時的な変化を減じる。低TCEプラグ753は、電極741の柱部分742を保持している凹部とは反対側で、ダイアフラム712から離れた側の、ハウジング部材715の上面に、位置付けられている。好ましくは、低TCEプラグ753は、円形もしくは環状である。低TCEプラグ753は、電極741の柱部分742のためのプラグ748に類似した、ガラスプラグ755によって、ハウジング部材715に取付けられ得る。低TCEプラグ753は、上述されたように、ハウジング715の径方向内方への運動に対応している。第1のハウジング部材715は、電極741に位置された各コンデンサーごとにフィードスルー758を備えている。フィードスルー758は、ガラスもしくは他の絶縁部材759によって、ハウジング715から絶縁されている。電極を接合するためのガラスプラグ748,755,759と、低TCE部材と、フィードスルーとは、製造プロセス中、同時に形成され得る。
【0081】
低TCEプラグ736、752、753と、ストリップ740とは、例えば、アルミナもしくはケイ酸マンガン(フォステライト(Fosterite))のようなセラミック、あるいは、鉄、ニッケル、及びコバルトでできた合金(コバール)のような低TCE金属で、形成され得る。これらの材料のTCEの値は、アルミナ(74)、ケイ酸マンガン(100)、コバール(50−60)である(全てのTCEの値は、10−7/℃で表される)。インコネル等の、ハウジングのために効果的な材料は、TCEの値131を有する。低TCE部材を有する圧力センサーは、10 milli Torr範囲より小さい圧力で、作動し得る。プラグ736、752、753もしくはストリップ740は、これらの特別の実質的な機能として、軸方向の膨張を減じ得る。
【0082】
1.本発明で説明された実施形態によって、添付請求項によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、改良が成されることは、明らかである。上述された装置は、本明細書に含まれる本発明の範囲を逸脱することなく、所定の変更が成され得ることから、上述された説明に含まれるか、添付図面に示されている全ての内容は、説明のための非限定的な意味で捉えられるべきである。本明細書に開示された容量性圧力変換器は、左右対称の円形であると説明されているが、本発明は、この左右対称の円形に限定されない。本明細書で説明された種々の形状は、本発明の範囲を逸脱することなく、変更され得る。導電性の板は、夫々異なった形状を有し、これらの外形は、互いに合致する必要がない。電極は、ハウジングに対して、もしくは互いに、同軸的に配置される必要がない。例えば、2つの半円形の電極が、並んで配置され得る。導電性の板がフィードスルーを介して回路に電気的に接続されるのを可能にする導電性のワイヤーは、導電性の板に直接的に接触し、電極の導電性の支持部を介さずに、複数のスポーク間の空間を通ることができる。本発明の所定の態様では、誘電プラグが電極を取り付けるための好ましい方法として説明されているが、電極はまた、例えば接着剤によってもハブに接合され得る。また、導電性の板は、P_r本体の下面と同一平面上にある必要がない。例えば、P_r本体は、P_r本体とモノリシックな構成にされたスペーサを有することができる。他の任意のデザインの特別な例が本明細書で説明されているが、これらの例は、例として提供されているだけで、完全なものではない。
【符号の説明】
【0083】
200…変換器アッセンブリ、230…電極、260…P_r本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)内側キャビティを規定し、第1の熱膨張係数を有するハウジング部材と、
(B)このハウジング部材中に設けられ、内側キャビティを第1のチャンバと第2のチャンバとに分けており、一部が、第2のチャンバ内の圧力より大きい第1のチャンバ内の圧力に対応して第1の方向に曲がり、かつ第1のチャンバ内の圧力より大きい第2のチャンバ内の圧力に対応して第1の方向とは逆の第2の方向に曲がるダイアフラムと、
(C)前記第1のチャンバ内に配置され、前記ハウジング部材に接合され、コンダクターを備え、第1の熱膨張係数と異なる第2の熱膨張係数を有する電極と、
(D)前記電極がハウジング部材に接合されているところの近くで、ハウジング部材に堅く接続され、前記第1及び第2の熱膨張係数より低い第3の熱膨張係数を有する、低熱膨張係数の部材、とを具備する、圧力変換器アッセンブリ。
【請求項1】
(A)内側キャビティを規定し、第1の熱膨張係数を有するハウジング部材と、
(B)このハウジング部材中に設けられ、内側キャビティを第1のチャンバと第2のチャンバとに分けており、一部が、第2のチャンバ内の圧力より大きい第1のチャンバ内の圧力に対応して第1の方向に曲がり、かつ第1のチャンバ内の圧力より大きい第2のチャンバ内の圧力に対応して第1の方向とは逆の第2の方向に曲がるダイアフラムと、
(C)前記第1のチャンバ内に配置され、前記ハウジング部材に接合され、コンダクターを備え、第1の熱膨張係数と異なる第2の熱膨張係数を有する電極と、
(D)前記電極がハウジング部材に接合されているところの近くで、ハウジング部材に堅く接続され、前記第1及び第2の熱膨張係数より低い第3の熱膨張係数を有する、低熱膨張係数の部材、とを具備する、圧力変換器アッセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−7758(P2013−7758A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−196496(P2012−196496)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2001−528659(P2001−528659)の分割
【原出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【分割の表示】特願2001−528659(P2001−528659)の分割
【原出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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