説明

容量検出が改善された補償型マイクロ/ナノ共振器及びその製造方法

【課題】共振器の出力特性に対する浮遊容量の効果が削減又は排除可能であるとともに、容易に実施可能である共振器を提供する。
【解決手段】共振器は、静電力によって起動可能な振動素子1と、振動素子1の第1励起電極2及び第2励起電極3と、を備え、AC信号生成器は、第1励起電極2及び第2励起電極3に接続され、同じ振幅で且つ逆位相の第1信号及び第2信号を第1励起電極2及び第2励起電極3へ送出する。第1DC電圧源8は、第3電極4に接続され、第2DC電圧源9は、第4電極5に接続され、追加電極6は、振動素子1に電気的に接続される。振動素子1の振動を表す信号は、振動素子1のアンカリングポイントによって形成される追加電極6によって提供され、且つ、第3DC電圧によってバイアスされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子と、振動素子の第1及び第2励起電極とを備える共振器に関する。
【0002】
本発明はまた、発振器と、第1及び第2電極によって励起されたこのような共振器の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
小型化に向けた競争を継続できるように、超小型電子回路は、新たな機能を集積しなければならないと同時に、回路の表面積を縮小する。主要な研究分野の1つは、チップ内の共振デバイスの集積である。実際、時間ベース(時間基準)、ガス相化学センサ、分子力センサ又は質量分析計などの多数の分野では、集積回路が少なくとも1つの電気機械的発振器を備えることは興味深い。設計者は、追加離散コンポーネントである発振器を、(共振マイクロシステムに基づいた)集積電気機械的発振器と置き換えることに取り組んでいる。この発振器を集積することによって、デバイスの表面積又は容積の利得に加えて、消費されるエネルギーの利得や性能の改善が得られることが期待される。
【0004】
従来、共振器は、固定位置周辺で、所与の周波数に運動が設定されている振動素子を備える。この運動は、共振周波数で最大であり、この周波数外では略ゼロである。共振器はまた、振動素子の運動に必要な力を印加する励起電極を備える。共振器はまた、振動素子の位置に影響され、かつ振動を表す電気信号(共振時に最大であり、これ以外では略ゼロの信号)を生成する検出電極を備える。
【0005】
共振器は、デバイス及びこの製造技術を表す特定の数量によって特徴付けられる。共振器は、振動素子の幾何学的パラメータと、振動素子を構成する材料とに依存する共振周波数fによって特徴付けられる。共振器はまた、共振器内のエネルギー損失と関連した品質係数Qによって特徴付けられる(損失が小さいほど、品質係数は高い)。
【0006】
振動素子の運動の容量検出の場合、共振器(振動素子及び固定部分)の挙動は、並列接続されたRLC回路及び浮遊容量CPAによってモデリング可能である。振動素子が共振周波数で移動すると、容量値及びインダクタンス値は互いに相殺し、運動抵抗と称され、かつRと記される抵抗のみがRLC回路に残る。この運動抵抗によって共振器の電気機械的性能を特徴付けることができる(所与の励起電圧で共振器がより多くの電流を生成するという意味では、運動抵抗が小さいほど、共振器の性能はより良好になる)。
【0007】
使用される機械的構造にかかわらず、容量結合Cpaは常に励起電極と検出電極との間にある。この浮遊結合は、一般に「バックグラウンド信号」と称される電気信号、即ちiと記されるバックグラウンド浮遊電流を誘導する。この浮遊信号は、共振器によって使用される周波数範囲全体にわたって存在する。この浮遊信号は、共振器から発生する共振電気信号、つまりiと記される運動電流に重畳される。
【0008】
場合によっては、浮遊信号は部分的又は全体的に共振信号をマスクすることができる。一般に、浮遊結合容量が大きすぎることの重大な影響は、4つの要素によって表される:
(i)機械的共振ピークに対してオフセットされた反共振ピークが存在する、
(ii)バックグラウンド信号に対する共振信号の相対的利得が低下する、
(iii)共振時の位相変化は(iv)に伴って縮小される、
(iv)バックグラウンド信号が増加する。
このことによって、利得位相変化が減るにつれて難しくなるこのような共振器の振動の容量検出から閉ループ発振器が得られる。このすべては、容量検出信号からの形態及び情報は浮遊容量CPAによって修正又は消去されるということに起因する。補助的に、振幅の大きなバックグラウンド信号(高強度信号)を有するということは、信号を増幅する電子回路の飽和をもたらす可能性がある。
【0009】
異なる測定構成が、容量検出共振器を使用する場合の浮遊信号の影響を制限するために提案されてきた。Palaniapan et al.(「Micromechanical resonator with ultra−high quality factor」,Electronics Letters,vol.43,n°20,September2007)が、浮遊容量CPAの効果を減衰する差分検出構造を提案した。
【0010】
図1に示すように、共振器は、振動素子1と、第1及び第2励起電極2及び3と、第3及び第4検出電極4及び5と、振動素子1と相互接続される追加電極6とを備える。共振器はまた、単一信号を逆位相の2つの信号に変換する変換ユニット15を備え、このユニット15は、第1及び第2励起電極2及び3に接続される。この変換ユニット15は同一振幅であるが逆位相の電圧を第1及び第2励起電極2及び3に印加する。
【0011】
同様のセットアップが、振動素子1の振動を表す信号を得るために、検出電極4及び5のレベルで行われる。第3及び第4電極4及び5は、異なる別の変換ユニット16に接続され、この変換ユニット16は、第3及び第4電極4及び5からの信号の減算を表す信号を出力する。バイアス電圧Vが、振動素子1と電気的に相互接続される追加電極6に印加される。
【0012】
この測定構成は、完全に理論的な共振器の特徴に関して、浮遊容量CPAの効果の減衰に対する解を提供する。浮遊コンポーネントの排除を達成するために、このアーキテクチャは、実際、全く同じ長さの4つの電極と、全く同じ寸法の4つの電極/共振器空隙とを備えなければならない。テストプローブ及び/又は接続ラインはまた、すべてのポイントで同一でなければならない。このようなアーキテクチャが技術的観点からも実施的観点からも製造不可能である限り、出力信号の特徴に対する浮遊容量の効果に含まれる問題は著しいままである。
【0013】
同一の製造的問題はまた、円筒形形状の共振器の直径に沿って相互に接続される2つの電極グループを使用する、Xie et alによる刊行物から生じる(1.52−GHz Micromechanical Extensional Wine−Glass Mode Ring Resonators,IEEE transactions on ultrasonics,ferroelectrics,and frequency control,vol.55,n°4,April 2008)。寄生振動モードを排除又は削減するための異なるアプローチが提案されているが、浮遊成分の削減を達成するためには、形状及び必要寸法の観点から完全な構造を有することが常に必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Palaniapan et al.(「Micromechanical resonator with ultra−high quality factor」,Electronics Letters,vol.43,n°20,September2007)
【非特許文献2】1.52−GHz Micromechanical Extensional Wine−Glass Mode Ring Resonators,IEEE transactions on ultrasonics,ferroelectrics,and frequency control,vol.55,n°4,April 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、共振器の出力特性に対する浮遊容量の効果が削減又は排除可能であるとともに、容易に実施可能である共振器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の共振器は、添付の特許請求の範囲によって、より具体的には以下を備えることによって特徴付けられる:
−振動素子と、
−各々が、振動素子に少なくとも部分的に対向する主面を有する、振動素子の第1及び第2励起電極と、
−振動素子が一方の励起電極に移動し、他方の励起電極から離れるように、励起電極によって振動素子を振動させるAC成分を有する信号を各励起電極に印加する手段と、AC成分は、第1及び第2励起電極間で逆位相であり、
−励起電極の容量影響が相殺するようなポイントで、振動素子に電気的に接続された追加電極と、
−振動素子と励起電極との間にDC電圧差を印加する手段と、
−追加電極によって提供された振動素子の振動を表す信号と、
−第1DC電圧源に接続された第3バイアス電極。
【0017】
本発明のさらなる目的は、容易に実施可能であり、動作的観点から対称的な共振器が製造の非対称性と関係なく得られることを保証する方法を提供することである。
【0018】
本発明の方法は、以下を備えることを特徴とする:
−励起電極の各々にAC成分を有する励起信号を印加し、AC成分が第1及び第2励起電極間で逆位相であり、
−以下の式の値が低下するように、振動素子を移動させる第3電極に第1バイアスDC電圧を印加し、
[(C02+CPA2)・VIN2+(C03+CPA3)・VIN3
PA2及びCPA3は、各々、励起電極に関連した第1及び第2浮遊容量の電気容量値であり、
IN2及びVIN3は、各々が第1励起電極及び第2励起電極に印加されたAC成分であり、
02及びC03は、各々、第1励起電極及び第2励起電極の時間関数としての名目容量値であり、
−振動素子と励起電極との間にDC電圧差を印加し、
−追加電極の出力信号を測定する。
【0019】
他の利点及び特徴は、非制限的例として与えられ、かつ添付の図面に表されている本発明の具体的実施形態に関する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来技術の共振器を概略的に示す図。
【図2】本発明の共振器を概略的に示す図。
【図3】共振器の異なる実施形態と、振動素子の異なる振動モードとを概略的に示す図。
【図4】共振器の異なる実施形態と、振動素子の異なる振動モードとを概略的に示す図。
【図5】共振器の異なる実施形態と、振動素子の異なる振動モードとを概略的に示す図。
【図6】本発明の共振器によって得られる発振器を概略的に示す図。
【図7】本発明の共振器によって得られる発振器の実施形態を概略的に示す図。
【図8】共振器によって得られる発振器の別の実施形態を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2に示すように、共振器は、振動素子1と、振動素子1から一定距離に配置された複数の電極とを備える。振動素子は、導電性又は半導電性材料、例えば、ドープ半導体から形成され、静電力によって起動可能である。振動素子は、支持基板内又は支持基板上に形成されるアンカリングポイントを介して基板に固定される。共振器は、マイクロメータ又はナノメータサイズであるため、従来のマイクロエレクトロニクス工業技術によって製造可能である。
【0022】
励起電極の第1セットが、少なくとも1対の励起電極、ここでは振動素子1の第1及び第2励起電極2及び3によって形成される。実施形態に応じて、第1及び第2励起電極は互いに対向しても、しなくてもよいが、励起電極は常に、少なくとも部分的に振動素子1に対向する。変形例では、複数の第1励起電極及び/又は複数の第2励起電極(図2の電極3)を備えることが可能である。
【0023】
共振器は、少なくとも1つの第3バイアス電極4を備える。図2の例示的目的では、第2セットのバイアス電極が、ここでは第3及び第4電極4及び5によって形成される。第3及び第4バイアス電極4及び5は、少なくとも部分的に振動素子に対向しており、共振器の出力で使用可能な振動素子に非ゼロ電流を生成する目的を果たす。各電極はまた、(誘導された運動に起因して)空隙を修正することによって励起電極の静電力を等化し易いように、主要軸に直交する方向に、各電極が課す静電力を介して振動素子を移動させる目的を果たす。各バイアス電極は別個の電圧源と関連付けられる。
【0024】
共振器はまた、振動素子1に電気的に接続され、かつ共振器からの出力で振動素子1(VOUTa及びVOUTb)の振動を表す電気信号を提供する追加電極6、又は1セットの追加電極6a、6b(図3)を備える。追加電極6は、励起電極の容量影響が等化されることによって、励起の異なる性質に関して相殺されるようなポイントにある。追加電極と、金属トラック及び/又は接続ワイヤなどのこの電気接続は、励起電極の容量影響が等化されて、相殺されるように配置される。第1励起電極の影響は、第2励起電極の影響と一致する。
【0025】
第1及び第2励起電極間に対称平面があれば、追加電極は、この対称軸に配置され、この電気接続は、第1及び第2励起電極からの同等又は等しい影響を有するように、この軸に従う。
【0026】
例えば、同数の第1及び第2励起電極、同一の電極配置、又は同一の対向表面がないために対称平面が存在しない場合、追加電極の位置は、追加電極6への容量影響を補償するように、画定済みの対称平面に対してオフセットされる。
【0027】
一般に、追加電極6は、振動素子に配置された導電手段によって、出力信号を出力可能な任意の適切な手段で製造される。
【0028】
具体的な実施形態では、共振器の出力信号VOUT、即ち振動素子1の振動を表す信号が、振動素子1の機械的アンカリングポイントの1つによって測定される。この機械的アンカリングポイントは、追加電極6を形成し、導電性でなければならない。追加電極は、アンカリングポイントか、対称平面にあるアンカリングポイントのうちの1つか、対称平面にアンカリングポイントがない場合には対称平面の近くにあるアンカリングポイントのうちの1つである。
【0029】
アンカリングポイントを追加電極6として使用することは、構造を簡略可能にし、信号VOUTの出力を容易にする。出力信号を送信するためのアンカリングポイントからの電気接続は、アンカリングポイントがある場合には対称軸に沿って配向され、そうでなければ、第1及び第2励起電極の容量影響を補償するように配向されることが好ましい。追加電極は、低下されたバックグラウンド信号を有するように、励起電極から最も離れたアンカリングポイントによって形成されることが好適である。
【0030】
振動素子1は、例えばプレートタイプ、ディスクタイプ、埋め込み−埋め込み(embedded−embedded)タイプ、又は埋め込みフリービーム(embedded−free beam)タイプである。共振器及びこのアーキテクチャの振動モード、即ち少なくとも振動素子1及び励起電極2、3の振動モードは、振動素子が第1励起電極2の方に移動すると同時に第2励起電極3から離れるものである。振動素子1が励起電極の一方の方へ一定距離だけ移動すると、もう一方の励起電極から同じ距離だけ離れることが好適である。
【0031】
振動素子の振動は、振動素子1を励起電極2、3によって振動させる任意の手段7によって達成され、振動素子1が励起電極の一方の方に移動すると、もう一方の励起電極から離れる。このタイプの振動は、例えば、振動素子1の2つの異なる位置において同一振幅であるが逆位相の力(又は構成に応じた圧力)を印加することによって取得可能である。従来、振動素子の振動は、アンカリングポイントに対して正確に励起電極2、3を配置することによって達成される。
【0032】
図2から7に示す例示的目的について、振動は、逆位相の2つの信号を生成するデバイス7、ここでは第1及び第2励起電極2及び3に接続された電力スプリッタによって達成可能である。信号を生成するデバイスはそれぞれ、同一振幅かつ逆位相の第1及び第2信号を第1及び第2電極2及び3へ送出する。従来、逆位相かつ同一振幅の信号を生成するデバイスは完全ではないが、(電気アセンブリを介して)共振器が補償可能な位相差が存在することもある。換言すると、励起電極に課された信号は、図2から7のように逆位相のAC成分を備えるが、DC成分(図示せず)を備えることもある。
【0033】
2つの信号を生成するデバイスは、例えば、入力端子と、少なくとも第1及び第2出力端子7a及び7bとを有する方向性結合器又は電力スプリッタ7である。第1及び第2出力端子7a及び7bはそれぞれ、第1及び第2励起電極2及び3に接続される。オリジナル励起信号VINが電力スプリッタ7の入力端子に印加され、電圧VIN2及びVIN3に分割される。電力スプリッタ7が完全な場合、第1出力端子7a、ひいては第1励起電極2の電圧VIN2は、第2出力端子7b、ひいては第2励起電極3の電圧VIN3と逆方向である(VIN2=−VIN3)。出力時に、電力スプリッタ7は、第1及び第2励起信号をそれぞれ第1及び第2励起電極2及び3へ送出する。第1及び第2励起信号は逆位相である、即ちこれらの位相差は180°に等しい。第1及び第2信号は同一振幅を示す。
【0034】
第1及び第2励起電極2及び3は、容量的に振動素子1を起動する目的を果たし、この素子は固定位置付近で振動する。振動素子は、図3のプレートタイプの振動素子のラーメ(lame)モードか、図4のディスクタイプの振動素子のワイングラスモードか、図5の埋め込みビームの屈曲モードで振動することが好適である。上記モードに応じて振動するプレート又はディスクタイプの振動素子に関して、第1及び第2励起電極は、相互に対向しておらず、好適には相互に直交する。埋め込み−埋め込みタイプ又は埋め込みフリービームタイプの振動素子に関して、第1及び第2励起電極は、振動素子の両側に配置され、好ましくは相互に対向する。
【0035】
バイアス電極、ここでは第3及び第4電極4及び5の各々は、バイアス電圧印加端子を備える。第1バイアスDC電圧VP1は第3電極4に印加され、第2バイアスDC電圧VP2は第4電極5に印加される。従って、第1DC電圧源8は第3電極4に接続され、第2DC電圧源9は第4電極5に接続される。1つ又は複数のバイアス電極は、電流を振動素子で生成可能にし、構造を上記のように移動可能にする。
【0036】
振動素子で誘導されたこの電流は、次いで追加電極6によって測定され、共振ピークを検出する目的を果たす。
【0037】
集積回路への共振器の集積を容易にするために、出力信号は、出力信号の全部又は一部を分離する成形回路10によって修正可能である。成形回路10は、好適には、集積回路に、又は同時に、回路10による出力信号の解析を容易にする共振器として形成され、これにより、共振器をコンパクトに保つことができる。成形回路10は、好適には、振動素子1によって送出された信号VOUTのAC成分を追加電極6によって提供するだけである。
【0038】
成形回路10は、バイアスティーか、追加電極6に接続されたアクティブ回路であってもよい。成形回路10は、次いで共振器の出力信号VOUTを送出する。アクティブ回路は、例えば、フィードバック接続抵抗器を含む演算増幅器である。
【0039】
発振器を閉ループで形成することができる図6及び7の好適な実施形態では、閉ループ制御回路の等価トランスインピーダンスは、共振器の運動抵抗のインピーダンスと等しいか、略等しい。フィードバック接続抵抗器13を備える演算増幅器を含む図7の具体的な実施形態では、使用される抵抗器13は、共振器の運動抵抗と等しいか、略等しい値を有する。
【0040】
成形回路10は、DC電圧Vを、このDC成分を示す出力信号VOUTなしで、かつ、ゼロ出力信号10をもたらす回路10を通過する振動信号なしで、共振器に印加可能にする。
【0041】
得られたアーキテクチャが対称的である理想的な場合、振動素子1の表面と、検出電極2及び3並びに他の2つの電極4及び5の各々との間の容量は同じ値である。これらはすべて、振動素子1が静止時に存在する、「静的容量」と称される名目容量に等しい。第3DC電圧Vがゼロでない場合、振動素子1に印加される動的静電励起力は以下の一般式である:
【数1】

ここで、
:励起電極と振動素子との間の電圧差のDC成分、
in(t):AC励起信号、
S:(表面がすべての表面と一致すると)振動素子の表面と励起電極のうちの1つとの間の対向表面、
g:(空隙がすべての表面と一致すると)振動素子の表面と励起電極のうちの1つとの間の空隙、
ε:電極と振動素子との間の媒体の誘電定数、である。
【0042】
第1及び第2励起電極から生じる動的力は、励起電極の各々によって受信された信号の逆位相から、正負の符号は逆である。
【0043】
振動素子を作動させるのに必要な静電力を印加できるように励起電極2、3と振動素子1との間に存在し、かつ励起信号VINに対して線形性のある電圧差の非ゼロDC成分Vを有することが重要であることが分かる。電圧差のDC成分を表すこの電圧差Vは、励起電極と振動素子との間になければならず、また振動素子1を振動させる手段7からのAC成分に追加されなければらない。
【0044】
追加電極6は振動素子1に電気的に接続されるため、具体的な第1実施形態では、所定のDC電圧で励起電極に対して共振器をバイアスすることが可能である。追加電極は、振動素子によって生成された電気信号(即ち、電流)を回収し続ける。
【0045】
別の具体的な実施形態では、同一の追加DC電圧Vb’は、第1及び第2励起信号に加えて第1及び第2励起電極2及び3に印加されるのに対して、振動素子は、要素6によってVb’とは異なるDC電圧にバイアスされる。励起電極2及び3に印加された電圧は、次いで、DC成分及びAC成分を含む。
【0046】
これら2つの実施形態は、必要な電圧差を、励起電極と振動素子1との間に印加可能にするが、電圧差が、励起電極2、3に印加された電圧、及び振動素子1に印加された電圧から部分的に生じるように、これらの実施形態を組み合わせることも可能である。
【0047】
一般に、異なる電極、ここでは、第1〜第4電極2〜5によって共振器に誘導された電流が合計される。以下の式は、対称アーキテクチャの2つの励起電極及び2つのバイアス電極で表された特定の構造を示す。共振器が一方の励起電極に移動すると、もう一方の励起電極から離れ、同じことがバイアス電極にも当てはまる。
【0048】
電極4及び5からの電流は以下の形態である:
【数2】

及びiはそれぞれ、第3及び第4電極4及び5によって誘導された電流であり、
P1及びVP2はそれぞれ、第3及び第4電極に印加されたバイアス電圧であり、
dc(t)/dtは、静止値(rest value)付近の誘導電気容量の変化を時間関数として表しており、
は、(電極4及び5について同一とみなされる)時間関数である、静止時の名目容量の値である。
【0049】
この電流は2つの成分、即ち、VP1とVP2との差の関数である「運動成分」と称される第1成分と、Cの値に依存する「基本成分」と称される第2成分とを表す。
【0050】
電極2及び3から生じる電流は以下の形態である:
【数3】

ここで、
及びiはそれぞれ、第1及び第2電極2及び3によって誘導された電流であり、
IN2及びVIN3はそれぞれ、第1及び第2電極2及び3に印加された信号であり、
02及びC03はそれぞれ、時間関数としての、静止時の第1及び第2電極2及び3の名目容量の値であり、
PA2及びCPA3はそれぞれ、第1及び第2電極2及び3に関連した浮遊結合の値であり、
OUTは出力信号である。
【0051】
上記の場合のように、電流は、VIN2及びVIN3の和に依存する「運動成分」と称される成分と、名目容量及び浮遊容量の値に依存する「バックグラウンド成分」と称される成分とを含む。
【0052】
電力スプリッタ7が完全な場合、信号VIN2及びVIN3は逆位相であり、和はゼロ又はごくわずかになり、「バックグラウンド成分」のみが残る。
【0053】
追加電極6を介して流れる全出力電流iは、励起電極(ここでは第1及び第2電極2及び3)、バイアス電極(ここでは第3及び第4電極4及び5)、並びに浮遊容量によって誘導された電流の和である。全出力電流iは、上記の3つの電流の和に等しい第1近似、即ち以下の通りである:
【数4】

【0054】
そして、この電流は、検出電極から生じる共振に関連した成分と、浮遊容量に関連した成分とを含む。
【0055】
電力スプリッタ7が完全である、即ち、例えばVin(t)=VIN2=−VIN3及び略対称構造によって完全に逆位相の2つの信号を送出する具体的な場合、第1及び第2電極に関連した容量は、浮遊容量のように等しい(C02=C03)。電流i及びiの和は、浮遊成分の和に相当し、以下の形態である:
【数5】

PA2及びiPA3はそれぞれ、第1及び第2浮遊容量CPA2及びCPA3によって誘導された電流であり、
PA2及びCPA3はそれぞれ、第1及び第2浮遊容量の電気容量値であり、
dVin(t)/dtは、励起信号の変化を時間関数として表す。
【0056】
一般に、第1及び第2浮遊容量(「バックグラウンド」成分)によって誘導された電流の和は、ゼロではなく、正又は負の値であり、「運動」成分より極めて小さい。和iPA2+iPA3が正であれば、周波数応答は、周波数スペクトルの共振ピークの後に配置された反共振ピークを示し、これは、理論的には、並列接続された浮遊容量CPAを有するRLC回路の伝達関数に相当する(容量タイプの寄生挙動)。和が負の場合、周波数応答は、周波数スペクトルの共振ピークの前に配置された反共振ピークを示し、これは、理論的には、並列接続された実質的に負の浮遊容量CPAを有するRLC回路の伝達関数に相当する(誘導タイプの寄生挙動)。一般に、少なくとも励起電極と同数の浮遊容量がある。
【0057】
共振器のアーキテクチャが対称的である理想的な場合には、システムは平衡を保たれ、振動素子1と、第1〜第4電極2〜5とによって形成された容量は同一である。バックグラウンドに関連した電流は消失し、共振電流のみが残る。
【0058】
しかしながら、実際は、共振器のアーキテクチャは非対称であり、それは、第1〜第4電極と振動素子とによって形成された容量の少なくとも1つが他とは異なる値を示し、及び/又は励起電圧が逆位相であるが、完全には同じ振幅ではないためである。
【0059】
提案されたアーキテクチャ、即ち測定構成は、とりわけ好適には、非対称デバイスの使用に対する解決策を提供する。このアーキテクチャによって、製造方法及び/又は非理想手段(non−idealness of means)7から生じる対称性からのずれは、第1及び第2バイアスDC電圧VP1及びVP2と、第3DC電圧Vとによって補償可能である。実際、使用される製造方法に固有の変化に続いて、共振器のアーキテクチャは、しばしば非対称であり、4つの電極の静的容量は同一ではなく、このことは、空隙又は対向表面のオフセットから生じる可能性がある。このことはまた、完全に同一ではないとされる2つの浮遊容量と、電圧VIN3とは逆符号の完全には等しくない電圧VIN2についても当てはまる。
【0060】
第1及び第2バイアスDC電圧VP1及びVP2と第3DC電圧Vの値の変調は、構造を再対称化可能にする。このように、既存の寸法的ずれと、上記のように理想的に配向されておらず、また浮遊容量や、同一の振幅でも、180°に完全に等しい位相差でもない電極2及び3に印加された励起電圧を生成するような、例えば測定ピーク、スプライシング又は接続ワイヤなどの器具に関連したずれの電気的補償によって、バックグラウンド信号効果を排除するのに適した非対称アーキテクチャを取得することが可能である。
【0061】
実際、対称とされる共振器は、空隙差、対向表面差及び励起電圧Vinの差を補償可能にするチューニングステップの後にのみ得られる。このチューニングステップについてさらに説明する。電圧がバイアス電極に印加されると、振動素子の静止位置を動かす力が生成される。バイアス電極、例えば第3及び第4バイアス電極4及び5は、これによって、静止時に振動素子1を第1及び第2励起電極2及び3から分離する距離を変調可能にする。1つ又は複数のバイアス電極は、振動素子1の非ゼロ誘導電流を保証し、振動素子1と励起電極2、3の少なくとも1つとの間の間隙を変調するという2つの機能を有する。
【0062】
バイアス電圧がバイアス電極の1つに印加される前に共振器が対称又は略対称である場合、励起電極によって画定された2つの振動方向に同一の連続した力を印加することによってこの対称性を保持することが好適である。振動素子の2つの表面に対向する1つ以上の表面を示す同一電極を使用することも考案可能である。
【0063】
具体的な実施形態では、(例えば成形回路に印加された)第3DC電圧Vは、第1又は第2バイアス電圧VP1又はVP2のように固定される。残りの電圧VP2やVP1は次いで、所定の基準に対して修正される。所定の基準は例えば、反共振ピークの完全な排除であっても良いし、共振時の一定の振幅位相変化値に達するものであっても良い。例示的目的で、第3DC電圧V及び第1バイアス電圧VP1は固定され、第2バイアス電圧VP2は次いで所定の基準に対して修正される。静的状態で第3電極4に印加された静電力は、第3DC電圧Vと第1バイアス電圧VP1の差の二乗(V−VP1に比例する。この静電力は、振動素子1の静的平衡位置を、第3電極4の表面に直交する方向に移動させ、このことは、振動素子1を第1検出電極2及び第3電極4から分離する有効距離を修正することと同じである。同様に、第2バイアス電圧VP2は、第4電極5の表面に直交する方向に振動素子1の静的平衡位置を修正する。
【0064】
共振器の位相は、従って、この構造によって容易にチューニング可能である。上記のように、和(iPA1+iPA2)の符号に従って、共振器の容量周波数応答は、容量性質(浮遊並列容量の影響)又は誘導性質(疑似インダクタンスの影響、換言すると、実質的に負の浮遊並列容量)のいずれかのバックグラウンド信号を含む。共振器が容量又は誘導的に動作可能であるということは、入力の位相差を、システムの出力に対して調整可能にする。この調整は、積V(VP1−VP2)の符号を変化させることによって、例えば、電圧Vの符号を変化させるか、一定の差(VP1−VP2)によって差(V−VP1)を調整することによって、広範囲で生じ得る。
【0065】
電圧VP1及びVP2の印加は、共振器を移動可能にし、この剛性の修正をもたらす。この剛性が共振周波数を策定する役割を果たす限り、電圧VP1及びVP2の変調は、デバイスの共振周波数を変調可能にする。
【0066】
別の実施形態では、空隙距離は2つの直交方向、即ち、第1検出電極2及び第3電極4を接続する方向と、第2検出電極3及び第4電極5を接続する方向に補正される。第3DC電圧Vの値は固定され、第1及び第2電圧VP1及びVP2の値は変動させられる。これらの電圧の変動時に、第1及び第2バイアス電圧VP1及びVP2間の一定の電圧差を維持するという選択が可能である。電圧差の値は、一定の所与の等価運動抵抗値を得るように選択される。自己発振器がこの共振器から構築される場合、共振器の運動抵抗は実際、最大抵抗運動閾値より小さくなければならず、利得は閾値より高くなければならず、位相変化もまた閾値より高くなければならない。第3DC電圧Vと、第1及び第2バイアス電圧VP1及びVP2間の電圧差とを調整することによって、次いで、一方では第3DC電圧Vと第1バイアス電圧VP1間、他方では第3DC電圧Vと第2バイアス電圧VP2間の電圧差にチューニングが行われる。自己振動条件を満たす所望の利得位相変化が、これによって得られる。
【0067】
このアーキテクチャによって、運動抵抗Rmの算出が修正される点にさらに注目されたい。この場合、運動抵抗Rmは、第1及び第2バイアス電圧VP1及びVP2間の電圧差と、成形回路10に印加された第3DC電圧Vとの積による逆数に比例する
【数6】

であり、これは、バイアス電圧Vのみがあるために
【数7】

である従来技術とは異なる。抵抗は、従って、3つのバイアス電圧VP1、VP2及びVの関数である。これは、第3DC電圧Vと2つのバイアス電圧VP1及びVP2との間に関係がない限り、大きな利点を表す。従って、使用される異なる電圧の値を適切に変調することによって、小さな値の運動抵抗Rmを得ることができる。
【0068】
所定の運動抵抗によって作用することが望ましい場合、第3DC電圧Vの値を低下させ、第1及び第2バイアス電圧VP1及びVP2間の電圧差によってこの低下を補償することが好適である。第3DC電圧Vの低下は、共振器を、良好な位相雑音を維持し、強すぎる励起ゆえに電極の1つに共振器が張り付かないようにするために必要な線形機械的レジームでのみ動作可能にする。
【0069】
示されたアーキテクチャでは、浮遊電流の和の符号は、共振器の容量周波数応答への影響を有する。この電流の和の符号に応じて、バックグラウンド信号の性質は容量性(正の符号)又は誘導性(負の符号)のいずれかである。いずれの場合も、このことは、浮遊並列容量の影響から生じるが、すべてはそれぞれの値に依存する。
【0070】
一般に、対称アーキテクチャ、即ち、浮遊容量の影響を排除可能なアーキテクチャは、示された異なる電極に対して振動素子1の位置を移動させるという効果を有する第1〜第3DC電圧を印加することによって得られる。振動素子の位置のこの修正は、キャパシタの値を、第1及び第2電極C02及びC03の名目容量の値を変更するように修正可能にし、また式[(C02+CPA2)・VIN2+(C03+CPA3)・VIN3]を0に向かわせることができるようにする。この式は、励起電極に関連したバックグラウンド電流成分を表す。DC電圧VP1及びVP2によってC2及びC3の値を変調することによって、電力スプリッタ7、ひいてはVIN2及びVIN3に関連した欠陥を削減することができる。
【0071】
図6の具体的な実施形態では、共振器は、発振器を形成するように集積される。追加要素は、利得及び位相に関してバルクハウゼン条件に従うように回路に追加されなければならない。発振器は、手段7に接続された利得位相差チューニング回路11を備える。共振器から発振器を得るのに欠かせない位相調整は、上記のように、このタイプの共振器による達成が容易であり、発振器を得るのに必要な位相条件は、積V(VP1−VP2)の符号を調整してから、差(V−VP1)の値を一定の差(VP1−VP2)で調整することによって、容易に得られる。
【0072】
発振器は、共振器の自己振動をトリガするのに必要な利得位相差を提供する閉ループ制御回路10、11及び7を備える。閉ループ制御回路は、出力時に同一振幅かつ逆位相の2つの電圧を送出する。閉ループ制御回路は例えば、電力分割器又はスプリッタと関連した増幅器によって形成可能である。
【0073】
このアーキテクチャが、とりわけ励起電極に対して等しい空隙を得るために、共振器のより良好な機械的平衡をなすので、本実施形態は特に好適である。
【0074】
図7の具体的な実施形態では、追加電極6は、成形回路10の一部を形成する増幅器12の第1入力に接続される。運動抵抗Rmの値に少なくとも等しい抵抗値を有する抵抗器13が、フィードバックで、即ち、出力端子と、追加電極6に接続された入力端子との間に接続される。第3バイアスDC電圧Vbは、増幅器12の第2入力に印加される。出力端子は、逆位相かつ同一振幅の信号を提供するように、第1及び第2励起電極に接続される。示された実施形態では、このことは、出力端子と、励起電極の一方との間の直接接続によって達成されるが、他の励起電極は、インバータ14によって増幅器の出力端子に接続される。この場合、インバータ14及び増幅器12の関連は、手段7及び成形回路10を形成する。
【0075】
図8の具体的な実施形態では、複数の対の対向電極は同一の信号を受ける。電極3及び電極5は、従って、同一の信号を受信する。電極2及び4にも同様のことが当てはまる。励起信号VINTが手段7の入力に印加され、出力の各々がバイアスされる。振動素子は電極の第1グループの方に移動し、同時に電極の第2グループから離れる。本実施形態では、同一電圧が2つの対向電極に印加されるため、非対称に関する問題を補償することはできない。前述の実施形態では、バイアス電極は実際、共振器の静止位置決めが修正可能なように、励起電極から離れていた。
【0076】
第1励起電極グループと第2励起電極グループがある。各グループは同一の励起信号を受信する。第1及び第2励起グループはAC成分及びDC成分を受信可能である。第1及び第2電極グループ間のAC成分は逆位相であり、このことが、バックグラウンド電流のレベルを、前述の式が0に近づくように低下可能にする。これによって、バックグラウンド信号が低下した電極グループを使用する構造を得ることが簡単になる。
【0077】
例示目的として、電極の第1セットが電圧VP1によってバイアスされ、電極の第2セットが電圧VP2によってバイアスされる。逆位相のAC成分は、従って、各々が、VP1又はVP2によって提供されたDC成分を有する2セットの電極に印加される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−振動素子(1)と、
−各々が、前記振動素子に少なくとも部分的に対向する主面を有する、前記振動素子(1)の第1及び第2励起電極(2,3)と、
−前記振動素子(1)が一方の前記励起電極(2)に移動し、他方の前記励起電極(3)から離れるように、前記励起電極(2,3)によって前記振動素子(1)を振動させるAC成分を有する信号を各励起電極に印加する手段と、
−前記振動素子(1)に電気的に接続された追加電極(6)と、
−前記振動素子(1)と前記励起電極(2,3)との間にDC電圧差を印加する手段と、
−前記追加電極(6)を介して提供された前記振動素子(1)の振動を表す信号(VOUT)と、を備え、
前記追加電極(6)は、前記励起電極の容量影響が相殺し、前記AC成分が前記第1及び第2励起電極(2,3)間で逆位相であり、且つ第1DC電圧源に接続された第3バイアス電極(4,5)を備える、ようなポイントで、前記振動素子(1)に電気的に接続される、ことを特徴とする共振器。
【請求項2】
前記振動素子(1)の振動を表す前記信号は、前記追加電極(6)に接続された成形回路(10)を介して提供される、ことを特徴とする請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
第3バイアス源は、前記振動素子(1)と前記励起電極(2,3)との間にDC電圧差(V)を印加する前記成形回路(10)に接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の共振器。
【請求項4】
前記成形回路(10)は、バイアスティーである、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の共振器。
【請求項5】
前記成形回路(10)は、フィードバック接続抵抗器を備える増幅器であり、
前記抵抗器は、前記振動素子(1)の運動抵抗と少なくとも等しい値を有する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の共振器。
【請求項6】
複数の第1励起電極(2)と、及び/又は複数の第2励起電極(3)と、を備え、
前記複数の第1励起電極(2)及び複数の第2励起電極(3)は、それぞれ、第1平面及び第2平面にある、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の共振器。
【請求項7】
前記第1励起電極(2)と前記第2励起電極(3)との間の対称平面を含み、
前記追加電極(6)は、前記対称平面に沿って配置される、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の共振器。
【請求項8】
前記追加電極は、前記振動素子(1)のアンカリングポイントの1つによって形成される、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の共振器。
【請求項9】
複数のバイアス電極(4,5)を備える、ことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の共振器。
【請求項10】
一方では前記励起電極(2,3)に接続され、他方では前記追加電極(6)に接続された閉ループ制御回路(10,11,7)を備える、ことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の共振器を備える発振器。
【請求項11】
第1電極(2)及び第2電極(3)によって励起された振動素子(1)を備える共振器の製造方法であって、
−前記励起電極(2,3)の各々にAC成分を有する励起信号を印加し、前記AC成分は、前記第1励起電極(2)と前記第2励起電極(3)の間で逆位相であり、
−以下の式の値を低下させるように、前記振動素子(1)を移動させる第3電極(4)に第1バイアスDC電圧(VP1)を印加し、
[(C02+CPA2)・VIN2+(C03+CPA3)・VIN3
PA2及びCPA3は、各々、前記励起電極に関連した第1及び第2浮遊容量の電気容量値であり、
IN2及びVIN3は、各々が前記第1励起電極(2)及び前記第2励起電極(3)に印加されたAC成分であり、
02及びC03は、各々、前記第1励起電極(2)及び前記第2励起電極(3)の時間関数としての名目容量値であり、
−前記振動素子(1)と前記励起電極(2,3)との間にDC電圧差(V)を印加し、
−前記追加電極(6)の出力信号(VOUT)を測定することを含む、ことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−125017(P2011−125017A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−274265(P2010−274265)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】