説明

密度保持性が改善されたボイド含有ポリエステル収縮フィルム

高温への暴露時に優れた密度保持性を示すボイド含有ポリエステル収縮フィルムを開示する。これらのフィルムは、高い収縮率を有し、且つ典型的なリサイクルプロセスにおいて使用される温度及び水分の条件下における加工後に、それらの低い密度を保持する。これらのフィルムは、スリーブラベル及び他の収縮フィルム用途に有用であり、それらは比較的低い密度を有するため、リサイクル操作過程において清涼飲料ボトル、食品容器などから容易に分離できる。また、高い収縮率を有し且つ高温への暴露後に低い密度を有するボイド含有ポリエステル収縮フィルムの製造方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイド含有ポリエステル収縮フィルムに関する。より詳しくは、本発明は、高収縮率を有し且つ収縮後において低密度を保持するボイド含有ポリエステル収縮フィルムに関する。本発明は更に、高収縮率を有し且つ収縮後の密度保持性が良好なボイド含有収縮フィルムの製造方法に関する。これらのフィルムは、包装用ラベルの製造に使用できる。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステルなどのようなポリマーから製造されたフィルムは、プラスチック飲料又は食品容器用のラベルの製造によく使用される。これらのラベルはリサイクルされることが多いので、ラベル材料はリサイクルプロセス流と相容性であること及びこれらの流れを過剰に汚染しないことが望ましい。例えば、ほとんどのリサイクル操作においては、ボトル又は容器がリサイクルの主な対象であり、ラベルは、その印刷インキ及び接着剤のために、一般的に「汚染物質(contaminant)」と見なされる。このため、ラベルは通常は分離して除去される。例えばポリ(エチレンテレフタレート)(PET)ボトルは、典型的には、非収縮性のロール供給ポリプロピレン(PP)ラベルを用いる。典型的なリサイクル操作においては、PETボトルポリマーは収集されて、リユースのために清浄にされ、ポリプロピレンラベルは分離して廃棄される。これらの2種の材料の分離は、フレーク状ボトルとラベルとを水中に懸濁させ且つそれらの密度に基づいて分離する浮沈法(sink/float process)によって容易に達成できる。PETの密度とPPの密度は大きく異なるため、浮沈法はPETとPPとの分離に特に効率的である。例えば、ほとんどのリサイクル操作において使用する水の密度は、水中に汚染物質、苛性アルカリ(水酸化ナトリウム)及び固形分が存在するために、約1.03〜1.05g/ccである。約1.35g/ccの密度を有するPETは、リサイクル処理の間に、底部に沈むであろう。しかし、ポリプロピレンは約0.90g/ccの密度を有するので、頂部に浮き、すくって取り除くことができる。この分離方法が、PPラベルを有するPETボトルのリサイクルを効率的で且つ商業的に受け入れられるものにした。
【0003】
非収縮性PPラベルとは異なり、例えばポリエステル、ポリスチレン及びポリ塩化ビニルのようなポリマーから製造されたほとんどの収縮ラベルは高密度を有し、PETのような他の比較的高密度のポリマーから浮沈法で分離されることができない。例えば、典型的な密度は、ポリエステル収縮ラベルでは約1.30g/cc、ポリスチレンラベルでは約1.05g/cc、PVCラベルでは約1.33g/ccである。これらのラベルが、浮沈工程の前に他の何らかの手段によって、例えば、空気洗浄によって又はボトルからそれらを手ではぎ取ることによって除去しなければ、それらはPETと共に沈んで、最終的には色及びヘイズの汚染を引き起こすであろう。PVCから製造されたラベルに関しては、PVCはPET加工温度において腐蝕性の塩酸を放出するので、この汚染は特に望ましくない。ポリスチレンラベルは、密度が充分に低いのでフレークのほとんどが浮沈タンク中で浮遊する傾向があり、水の濾過によって部分的に分離することができる。しかし、リサイクルされるPETと共に少量のポリスチレンが存在すると、以後のPET加工において、有害なスチレンモノマーの排ガスが発生及び放出される可能性がある。これに対して、ポリエステル収縮ラベルは通常は再加工PETとより相容性であるが、印刷インキ及び接着剤による汚染の問題を依然として生じる。従って、浮沈法によって分離することができるポリエステルラベルがあれば、包装用途には非常に望ましいであろう。
【0004】
ポリエステル収縮ラベルのリサイクルを改善するための1つのアプローチは、それらの密度を、例えば発泡又はボイド形成(voiding)によって、水の密度未満まで機械的に低下させることである。発泡は、密度の低下には有効であるが、得られるフィルムは印刷が困難で、しかも望ましい美観を欠く。これに対して、ボイド含有フィルムは、印刷が容易であり、しかも望ましい不透明な艶消仕上げを有する。ボイドは、ポリエステル中に約5〜約50重量%の有機若しくは無機小粒子又は「包接物(inclusion)」(当業界では「ボイド形成」又は「空洞形成(cavitation)」助剤と称する)を組み込み、そして前記ポリマーを少なくとも一方向への伸張によって配向させることによって得られる。伸張の間に、小さいキャビティ又はボイドが、ボイド形成助剤の周囲に形成される。ボイドがポリエステルフィルム中に取り込まれると、得られるボイド含有フィルムは、ボイド形成されないフィルムよりも低い密度を有し、不透明になり、紙状表面を形成する。この表面はまた、印刷適性の向上という利点を有し;即ち、この表面は、多くのインキを受理することができ、受理能力はボイド形成されていないフィルムよりもかなり大きい。ボイドが形成されたフィルムの典型的な例は特許文献1〜22に記載されている。
【0005】
ボイドが形成されたポリエステルフィルムは1g/cc未満の密度を有するように製造できるが、これらのフィルムは、通常は、収縮後にはこれらの比較的低い密度を有さない。標準収縮条件下(例えば80〜90℃において熱風又はスチーム収縮トンネル中で5〜10秒)では、0.05〜0.15g/ccの密度増加が普通である。この密度増加又は「緻密化(densification)」は、ポリエステルフィルムの収縮過程におけるボイドサイズの縮小によって起こり、ポリマーの粉砕又洗浄に熱水を使用することが多いリサイクルプロセスにおいて継続する可能性がある。例えば、多くのリサイクルプロセスは、ボトル及びラベルをより小さいフレークに粉砕する初期の湿潤又は乾燥粉砕工程と、それに続く、挽き砕かれたPETポリマー及びラベルを一緒にした混合物を85℃の苛性アルカリ浴(苛性アルカリ浴は典型的には1〜2重量%水酸化ナトリウム水溶液からなる)中で10〜15分間洗浄するフレーク洗浄工程を含む。このフレーク洗浄プロセスにおいて、フィルム/フレークは、収縮し続ける可能性があり、水を吸収する傾向があり、そのため、ボイドの一部を水で充填することによってフィルムの密度が更に増加する。このような収縮及び水の吸収はポリマーフィルムの密度を未収縮フィルムの初期密度よりも0.15〜0.30g/ccも増加させ、ポリエステルラベル材料をPETボトルポリマーと共に沈ませる可能性がある。
【0006】
前記問題を改善するための1つの選択肢は、初期フィルム中のボイドの数を増加させてより低い出発密度を与え、それによって収縮によって誘発される緻密化を補償することである。この改善は、フィルムにより多くのボイド形成助剤を添加することによって実現できる。しかし、ボイド形成助剤のレベルを増加させると通常は、フィルムが粗くなり、裂け易くなり、また、許容され得ないほど脆くなる。更に、収縮時の密度の増加は、一般に、存在するボイド形成助剤の量に比例する。従って、出発フィルム密度はボイド形成助剤の増加と共に著しく低下するが、収縮後及びリサイクル過程における密度の増加もより大きく、全体的な正味の利益はほとんどない。従って、ボイド形成助剤レベルの単なる増加は、ほとんどの用途について充分に満足のいくアプローチとはならない。
【0007】
別の選択肢はフィルムのヒートセットである。フィルムのヒートセットは、従来、フィルムを伸張後、フィルムを所定の位置に拘束しながら、約180〜200℃の温度において加熱することを含む。これは、寸法安定性が必要な、PET及び非収縮性ミクロボイド形成PETフィルムにおいてよく用いられる。このヒートセットは、リサイクルプロセスにおけるフィルムの密度増加を妨げるが、収縮も防ぎ、従って、収縮フィルムへの使用には許容できない。
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,426,754号
【特許文献2】米国特許第3,944,699号
【特許文献3】米国特許第4,138,459号
【特許文献4】米国特許第4,582,752号
【特許文献5】米国特許第4,632,869号
【特許文献6】米国特許第4,770,931号
【特許文献7】米国特許第5,176,954号
【特許文献8】米国特許第5,435,955号
【特許文献9】米国特許第5,843,578号
【特許文献10】米国特許第6,004,664号
【特許文献11】米国特許第6,287,680号
【特許文献12】米国特許第6,500,533号
【特許文献13】米国特許第6,720,085号
【特許文献14】米国特許出願公開第2001−0036545号
【特許文献15】米国特許出願公開第2003−0068453号
【特許文献16】米国特許出願公開第2003−0165671号
【特許文献17】米国特許出願公開第2003−0170427号
【特許文献18】特開昭61−037827号公報
【特許文献19】特開昭63−193822号公報
【特許文献20】特開2004−181863号公報
【特許文献21】ヨーロッパ特許第0 581 970 B1号
【特許文献22】ヨーロッパ特許出願第0 214 859 A2号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の欠点を考慮すると、高い収縮率を保持すると同時に、リサイクル処理過程において低密度を保持できるボイド含有ポリエステル収縮フィルムが必要である。また、このフィルムは充分な平滑性、引裂抵抗及び美観を保持するのが望ましい。このようなフィルムは、飲料及び食品包装業界において、リサイクルに適したボイド含有収縮ラベルの製造に有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、高い収縮率を示し且つ、例えばプラスチックのリサイクルプロセスにおいて起こるような収縮の後において低密度を保持するボイド含有ポリエステルフィルムを製造できることを発見した。従って、本発明は、5〜35重量%のボイド形成助剤が内部に分散された配向ポリエステルを含む、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%であり且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下であるボイド含有収縮フィルムを提供する。本発明のボイド含有フィルムは、リサイクルプロセスの最後によく使用される浮沈分離法により適し、その結果、より容易に且つ経済的にリサイクルすることができる。
【0011】
本発明のボイド含有ポリエステル収縮フィルムは、種々の組成のポリエステルを含むことができる。例えば、少なくとも80モルパーセント(本明細書中では「モル%」と略する)の、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン−ジカルボン酸及びイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の二酸の残基及び10〜100モル%の、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基を含む非晶質又は半結晶質ポリエステルを使用できる。所望により、フィルムの性質を変化させるために、追加の改質用酸及びジオールを使用することができる。
【0012】
本発明のフィルムは内部に、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の無機化合物又はそれらの組合せを含むボイド形成助剤が分散されている。使用できる典型的なポリマーとしては、セルロース系ポリマー、澱粉、エステル化澱粉、ポリケトン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネート、オレフィンポリマー及びそれらのコポリエステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明の別の態様において、ボイド形成助剤は、タルク、二酸化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリン、ウォラストナーイト及びマイカからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物を含むことができる。更に別の実施態様において、収縮フィルムは、少なくとも95モル%のテレフタル酸残基;10〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、1〜25モル%のジエチレングリコール残基及び35〜89モル%のエチレングリコール残基を含むポリエステル;並びにセルロースアセテート、ポリプロピレン及びエチレンメチルアクリレートコポリマーを含むボイド形成助剤を含む。フィルムは、1つ又はそれ以上の方向に伸張することができ、また、1層またはそれ以上の層を含むことができる。
【0013】
本発明は更に、(i)少なくとも1種のポリエステル及び5〜35重量%のボイド形成助剤を前記ポリエステルのTg又はそれ以上の温度で混合して、ボイド形成助剤のポリエステル中の均一分散体を形成し;(ii)フィルムを形成し;(iii)前記工程(ii)のフィルムを1つ又はそれ以上の方向に配向させ;そして(iv)前記工程(iii)からのフィルムを75〜110℃の温度においてアニールすることを含む、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%であり且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下であるボイド含有収縮フィルムの製造方法を含む。
【0014】
本発明のボイド含有フィルムは、高い収縮率を有すると共に、リサイクルプロセスにおいて典型的に見られる温度への暴露後にその低密度を保持する。フィルムは、ロール供給ラベル又は従来の収縮スリーブラベルとして使用でき、容易に印刷でき、しかも従来の手段によって継ぎ合わせることができる。本発明のボイド含有ポリエステル収縮フィルムは、ポリマーの混合物から即座に分離できるので、商業廃棄物から容易に回収及びリサイクルできる。本発明の収縮フィルムは、そのリサイクル性と優れた物理的性質との組合せのため、ラベルに又は他の包装用途において特に有用トナーる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明者らは、高い収縮率を示し且つ収縮後において低密度を保持するボイド含有ポリエステルフィルムを製造できることを発見した。従って、本発明は、5〜35重量パーセント(本明細書中では「重量%」と略する)のボイド形成助剤が内部に分散された配向ポリエステルを含む、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%であり且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下であるボイド含有収縮フィルムを提供する。本発明のフィルムは、プラスチックリサイクルプロセスにおいて典型的に起こる収縮の後に低密度を保持する。フィルムは、リサイクルプロセスの最後に典型的に行われる浮沈分離においてうまく機能し、従って、リサイクルに適する。本発明のフィルムは、収縮率が40%又はそれ以上であるため、ラベル用途に特に有用である。
【0016】
特に断らない限り、以下の明細書及び添付した「特許請求の範囲」に記載した数値パラメーター近似値であり、本発明が得ようとする目的の性質によって異なり得る。最低限でも、各数値パラメーターは少なくとも、報告した有効数字の数を考慮して、普通の丸めを適用することによって解釈しなければならない。更に、本明細書の開示及び「特許請求の範囲」において記載した範囲は、端点だけでなく、全範囲を具体的に含むものとする。例えば0〜10と記載する範囲は、0と10との間の全ての整数、例えば1、2、3、4など、0と10との間の全ての分数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113など並びに端点0及び10を開示するものとする。また、化学置換基に関連する範囲、例えば「C1〜C5炭化水素」は、C1炭化水素及びC5炭化水素だけでなく、C2、C3及びC4炭化水素も具体的に含むものとする。
【0017】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターにかかわらず、具体例に記載した数値は、可能な限り正確に報告してある。しかし、数値は、いずれも、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差によって必然的に生じる若干の誤差を本質的に含む。
【0018】
本明細書中で使用する用語「ボイド」、「ミクロボイド」及び「微孔質(microporous)」は同義であるものとし、これらの用語が、物品の製造過程において意図的に生成される、物品の表面より下のポリマー内に含まれる極めて小さい離散ボイド又は気孔を意味することは、当業者にはよく理解されている。同様に、本発明の組成物、ポリマー及び造形品に関連して本明細書中で使用する用語「ボイド形成された(voided)」、「ミクロボイド形成された」、「空洞形成された」及び「ボイド含有」は同義であるものとし、これらは、「極めて小さい離散ボイド又はポアを含むこと」を意味する。本発明のフィルムは、ポリエステル内に分散された「ボイド形成助剤(voiding agent)」を含む。本明細書中で使用する用語「ボイド形成助剤」は、用語「ボイド形成性組成物(voiding composition)」、「ミクロボイド形成助剤」及び「空洞形成助剤」と同義であり、ポリマーマトリックスの配向又は伸張時にポリマーマトリックス内にボイドの形成をもたらす又は引き起こすのに有用な、ポリマーマトリックス内に分散される物質を意味する。本明細書中で称する用語「ポリマーマトリックス」は、用語「マトリックスポリマー」と同義であり、ボイド形成助剤の粒子が連続相によって囲まれ且つ連続相によって含まれるようにボイド形成助剤を分散できる連続相を提供する1種又はそれ以上のポリマーを意味する。本発明の一実施態様において、ポリマーマトリックスは1種又はそれ以上のポリエステルである。本明細書中で使用する用語「フィルム」は、フィルム及びシートの両者を含み、当業界で一般に受け入れられている意味を有するものとする。用語「フィルム」はまた、単層フィルム及び多層フィルムの両者を含むことがわかる。
【0019】
ボイド含有収縮フィルムは、1種又はそれ以上のポリエステルを含む。本明細書中で使用する用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含むものとし、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物との重縮合によって製造される合成ポリマーを意味することがわかる。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール類及びジオールである。或いは、二官能価カルボン酸はヒドロキシカルボン酸、例えばp−ヒドロキシ安息香酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は2個のヒドロキシル置換基を有する芳香核、例えばヒドロキノンであることができる。本明細書中で使用する用語「残基」は、対応するモノマーを含む重縮合反応によってポリマー中に組み込まれる任意の有機構造を意味する。本明細書中で使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基によって結合されたジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー又はその関連した酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物若しくはそれらの混合物に由来することができる。従って、本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、ジオールとの重縮合プロセスにおいて高分子量ポリエステルを生成するのに有用な、ジカルボン酸及びその関連した酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物又はそれらの混合物を含むジカルボン酸の任意の誘導体を含むものとする。
【0020】
本発明に使用するポリエステルは典型的にはジカルボン酸及びジオールから製造し、それらは、実質的に等モル比で反応し且つそれらの対応する残基としてポリエステルポリマー中に組み込まれる。従って、本発明のポリエステルは、反復単位の総モルが100モル%に等しくなるように、実質的に等モル比の酸残基(100モル%)及びジオール残基(100モル%)を含む。従って、本発明の開示において示されるモル%は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づくことができる。例えば、総酸残基に基づき、30モル%のイソフタル酸を含むポリエステルは、合計100モル%の酸残基のうち、イソフタル酸残基を30モル%含むことを意味する。従って、酸残基100モルについてイソフタル酸が30モル存在する。別の例においては、総ジオール残基に基づき30モル%のエチレングリコールを含むポリエステルは、ポリエステルが、合計100モル%のジオール残基のうち、エチレングリコール残基を30モル%含むことを意味する。従って、ジオール残基100モルについてエチレングリコール残基が30モル存在する。収縮フィルムに好ましいポリエステルは非晶質若しくは半結晶質ポリマー又は結晶化度が比較的低いブレンドである。好ましくは、ポリエステルは実質的に非晶質の形態を有し、これはポリエステルがポリマーの実質的に不規則な領域を含むことを意味する。
【0021】
本発明のフィルムは、二酸残基の総モルに基づき、少なくとも80モル%の、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の二酸の残基を含む二酸残基と、(ii)ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モル%の、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基並びに0〜90モル%の、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA及びポリアルキレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基を含むジオール残基を含むポリエステル又はコポリエステルを含む。1,4−シクロヘキサンジメタノール(本明細書中では「CHDM」と略する)及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(本明細書中では「CHDA」と略する)は純粋なシス、トランス異性体又はシス/トランス異性体の混合物として使用できる。任意のナフタレンジカルボン酸異性体を使用できるが、1,4−、1,5−、2,6−及び2,7−異性体又はこれらの異性体の混合物が好ましい。ポリアルキレングリコールの例としては、分子量が約2,000以下のポリテトラメチレングリコール(本明細書中では「PTMG」と略する)及びポリエチレングリコール(本明細書中では「PEG」と略する)が挙げられる。別の例において、ジオール残基は10〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、0〜90モル%のエチレングリコール残基及び1〜25モル%のジエチレングリコール残基を含むことができる。更なる例において、二酸残基は少なくとも95モル%のテレフタル酸残基を含むことができ、ジオール残基は10〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、1〜25モル%のジエチレングリコール残基及び35〜89モル%のエチレングリコール残基を含むことができる。
【0022】
二酸残基は、更に、必要に応じて、0〜20モル%の、炭素数4〜40の改質用二酸の1つ又はそれ以上の残基を含むことができる、例えば、0〜20モル%の、炭素数8〜16の他の芳香族ジカルボン酸、炭素数8〜16の脂環式ジカルボン酸、炭素数2〜16の脂肪族ジカルボン酸又はそれらの混合物を使用できる。改質用ジカルボン酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸及びスルホイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。当業者ならば、種々のポリエステル樹脂をブレンドすることによって、又はモノマーの適当な混合物の直接反応器共重合によって、最終組成に達することができることがわかる。後者は、組成のばらつきを最小限に抑えるためには望ましいが、経済的必要性のためにブレンドの方が費用効率が高い。
【0023】
連続ポリエステル相を含むことができるポリエステルの他の例は、15〜55モル%の1,3−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1〜25モル%のジエチレングリコールを含むポリ(エチレンテレフタレート)並びに15〜35モル%の1,3−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール及び5〜15モル%のジエチレングリコールを含むポリ(エチレンテレフタレート)をベースとするものである。
【0024】
ポリエステルは、一般に、0.5〜1.4dL/gの範囲のインヘレント粘度(I.V.)値を有する。I.V.範囲のその他の例としては、0.65〜1.0dL/g及び0.65〜0.85dL/gが挙げられる。適正な剛性を有するフィルムを製造するためには、ポリエステルは典型的には少なくとも50℃のガラス転移温度(本明細書中では「Tg」と略する)を有する。
【0025】
その他に、ポリエステルは更に以下のものを1種又はそれ以上含むことができる:酸化防止剤、溶融強度増強剤、分岐剤(例えばグリセロール、トリメリット酸及び無水物)、連鎖延長剤、難燃剤、充填剤、酸捕捉剤、染料、着色剤、顔料、粘着防止剤、流動性向上剤、耐衝撃性改良剤、静電防止剤(antistatic agent)、加工助剤、離型剤、可塑剤、スリップ剤、安定剤、ワックス、紫外線吸収剤、光学増白剤、潤沢剤、ピニング剤、発泡剤、帯電防止剤(antistat)、成核剤、ガラスビーズ、金属球、セラミックビーズ、カーボンブラック、架橋ポリスチレンビーズなど。トナーと称することもある着色剤は、目的とするニュートラルな色相及び/又は明度(brightness)をポリエステル及びボイド含有フィルムに与えるために添加することができる。好ましくは、ポリエステル組成物は、組成物の表面特性を変えるために及び/又は流動性を向上させるために、0〜約10重量%の1種又はそれ以上の加工助剤を含むことができる。加工助剤の代表例としては、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、マイカ、ゼオライト、ウォラストナーイト、カオリン、珪藻土、TiO2、NH4Cl、シリカ、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム及び燐酸カルシウムが挙げられる。フィルムの白色度を制御するため又は着色フィルムを製造するためには、二酸化チタン及び他の顔料又は染料の使用を含めることができるであろう。帯電防止剤又は他のコーティングもまた、フィルムの一面又は両面に適用することができる。コロナ処理及び/又は火炎処理も1つの選択肢であるが、ボイド含有フィルムは表面張力が高いため、典型的には必要ない。ポリマーのいくつかの組合せに関しては、ボイド形成助剤として存在することがある任意のセルロースエステルの分解/褐変を防ぐために酸捕捉剤及び安定剤を添加するのが必要な場合もある。ボイド及びフィルム中に使用できる任意の添加剤の存在はまた、UV感受性の高い製品を含む用途では、紫外線の透過を遮断する働きをする。
【0026】
収縮フィルムは配向ポリマーマトリックスとして1種又はそれ以上のポリエステルを含むのが好ましいが、本発明のフィルムの連続相を構成できるポリマーの他の非限定的例としては、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリカーボネート、スチレン樹脂、それらのコポリマー及びそれらのブレンドが挙げられる。
【0027】
本発明のポリエステルは、適当なジカルボン酸、エステル、無水物又は塩及び適当なジオール又はジオール混合物から、典型的な重縮合反応条件を用いて容易に製造できる。これらは、連続、半連続及び回分運転様式によって製造でき、種々の型の反応器を使用できる。適当な型の反応器の例としては、撹拌槽型反応器、連続撹拌槽型反応器、スラリー型反応器、管型反応器、ワイプト・フィルム型反応器、流下膜式反応器又は押出反応器が挙げられるが、これらに限定するものではない。ポリエステルは反応器中に高温において過度に長い時間滞留させると外観が悪化する可能性があるのでポリマーの優れた色合いを生じるために及び経済的な理由から、この方法は連続法として運転するのが有利である。
【0028】
本発明のポリエステルは当業者に知られた方法によって製造する。ジオールとジカルボン酸との反応は、従来のポリエステル重合条件を用いて又は溶融相法によって実施できるが、充分な結晶化度を有するものは、溶融相重縮合法とそれに続く固相重合法によって生成できる。例えば、エステル交換反応によって、即ち、エステル型のジカルボン酸成分からポリエステルを製造する場合には、反応プロセスは2工程を含むことができる。第1工程において、ジオール成分とジカルボン酸成分、例えばテレフタル酸ジメチルを高温、典型的には約150〜約250℃において約0.0kPaゲージ〜約414kPaゲージ(60ポンド/平方インチ,psig)の範囲の圧力で約0.5〜約8時間反応させる。好ましくはエステル交換反応の温度は約1〜約4時間の間、約180〜約230℃の範囲であり、好ましい圧力範囲は約103kPaゲージ(15psig)〜約276kPaゲージ(40psig)の範囲である。その後、反応生成物をより高温において減圧下で加熱して、ジオールを排除しながら、ポリエステルを形成する。ジオールはこれらの条件下では容易に揮発され、系から除去される。この第2工程、即ち重縮合工程は、より高真空下で、一般には約230〜約350℃、好ましくは約250〜約310℃、最も好ましくは約260〜約290℃の範囲の温度において約0.1〜約6時間又は好ましくは約0.2〜約2時間、インヘレント粘度によって測定された場合に目的とする重合度を有するポリマーが得られるまで続ける。重縮合工程は、約53kPa(400トル)〜約0.013kPa(0.1トル)の範囲の減圧下で実施できる。反応混合物の適正な熱伝達及び表面更新を保証するために、撹拌又は適切な条件を両段階で使用する。両段階の反応速度は、適切な触媒、例えばアルコキシチタン化合物、アルカリ金属水酸化物及びアルコラート、有機カルボン酸の塩、アルキル錫化合物、金属水酸化物などによって増加させることができる。酸及びエステルの混合モノマーを使用する場合には、特に米国特許第5,290,631号に記載されたのと同様な3段製造法も使用できる。
【0029】
エステル交換反応によるジオール成分とジカルボン酸成分との反応を確実に完了させるために、1モルのジカルボン酸成分に対して、約1.05〜約2.5モルのジオール成分を使用することが場合によっては望ましい。しかし、当業者ならば、ジオール成分対ジカルボン酸成分の比が一般には、反応プロセスが行われる反応器の設計によって決定されることがわかるであろう。
【0030】
直接エステル化による、即ち酸型のジカルボン酸成分からのポリエステルの製造においては、ポリエステルは、ジカルボン酸成分又はジカルボン酸混合物とジオール成分又はジオール成分混合物とを反応させることによって生成する。反応は、約7kPaゲージ(1psig)〜約1379kPaゲージ(200psig)、好ましくは689kPa(100psig未満)の圧力下で実施して、平均重合度が約1.4〜約10の低分子量ポリエステル生成物を生成する。直接エステル反応の間に用いる温度は、典型的には、約180〜約280℃、より好ましくは約220〜約270℃の範囲である。この低分子量ポリマーは、次に重縮合反応によって重合させることができる。
【0031】
本発明の収縮フィルムのポリエステルは内部にボイド形成助剤が分散されている。ポリエステル内に効率的にボイドを生成するためには、ボイド形成助剤はフィルムの伸張温度においてポリエステルマトリックスポリマーよりも大きい硬度を有するのが望ましい。ポリエステルと共に使用できる典型的なボイド形成助剤としては、セルロース系ポリマー、澱粉、エステル化澱粉、ポリケトン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネート、オレフィン系ポリマー及びそれらのコポリマーから選ばれた少なくとも1種のポリマーが挙げられる。本明細書中で使用する用語「ポリオレフィン系ポリマー」は、エチレン性不飽和モノマーの付加重合によって得られるポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(アクリルアミド)、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル及びこれらのポリマーのコポリマーを意味するものとする。ボイド形成助剤はまた、1種又はそれ以上の無機化合物、例えばタルク、二酸化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、ウォラストナーイト及びマイカを含むことができる。ボイド形成助剤はまた、ポリマー材料と無機材料との組合せを含むこともできる。収縮フィルムは、ポリエステルマトリックスのTg又はそれ以上の温度において、配向又は伸張時にボイドを形成する。伸張は、1つ又はそれ以上の方向において、少なくとも1.5の伸張比で実施できる。従って、組成物は、「一軸伸張する」(ポリマーを一方向に伸張することを意味する)こともできるし、或いは「二軸伸張する」(ポリマーを2つの異なる方向に伸張することを意味する)こともできる。
【0032】
ボイド形成助剤は、典型的には、ポリマーマトリックス中への分散後に0.01〜50μmの平均粒度を有する。この粒度範囲では、ボイド形成助剤はマトリックスポリマー全体に均一に分散させることができる。ボイド形成助剤の第1のポリマーの平均粒度の別の例は0.01〜40μm及び0.1〜10μmである。本明細書中で使用する用語「平均粒度」は、(全粒子の直径の和)÷(粒子の総数)を意味する。第1のポリマーの平均粒度は、当業者に知られた方法を用いて光学顕微鏡検査法及び電子顕微鏡検査法によって測定できる。
【0033】
セルロース系ポリマーは特に効率的なボイド形成助剤である。例えばボイド形成助剤は、セルロース系ポリマーであることができ、1種又はそれ以上の微晶質セルロース、セルロースエステル又はセルロースエーテルを含むことができる。本発明のボイド形成助剤に関しては、セルロースアセテート、セルロールトリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロースなどのようなセルロース系ポリマーが有用であり、当業界で典型的に使用されるボイド形成助剤、例えばポリプロピレン、ポリスチレンなどよりもボイドの形成において効率的である。好ましくは、ボイド形成助剤は、例えばセルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステルを含むことができる。セルロース樹脂は、また、ポリエステル中によく分散し、均一な孔寸法分布を有する不透明なフィルムを生じる。セルロース樹脂は粉末の形態又はペレット化された形態で生成され、いずれの形態も本発明のボイド形成助剤に使用できる。例えば本発明のボイド形成助剤は、アセチル含量が28〜45重量%で且つ落球粘度が0.01〜90秒の粉末の形態のセルロースアセテートを含むことができる。これらのセルロース樹脂粒子の平均粒度は約1〜10ミクロンである傾向があり、ほとんどは5ミクロン未満である。
【0034】
本発明の新規フィルムのボイド形成助剤は、目的のボイド形成特性を得るために単一ポリマー又は1種若しくはそれ以上のポリマーの組合せを含むことができる。例えば、一実施態様において、ボイド形成助剤はセルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、イオノマー及びそれらのコポリマーから選ばれた少なくとも1種のポリマーを含むことができる。別の例においては、ボイド形成助剤は、エチレンメチルアクリレートコポリマー及びポリプロピレンと混合されたセルロースアセテートを含むことができる。
【0035】
本発明のポリエステル及びボイド形成助剤として使用できるポリマーは、当業界でよく知られた方法に従って製造することもできるし、或いは商業的に入手することもできる。本発明において使用できる市販ポリマーの例としては、Eastman Chemical Co.から入手できるEASTAR(登録商標)、EASTAPAK(登録商標)、SPECTAR(登録商標)及びEMBRACE(登録商標)ポリエステル及びコポリエステル;Dupontから入手できるLUCITE(登録商標)アクリル樹脂;Eastman Chemical Co.から入手できるTENITE(登録商標)セルロースエステル;LEXAN(登録商標)(GE Plasticsから入手可能)又はMAKROLON(登録商標)(Bayerから入手可能)ポリカーボネート;Dupontから入手できるDELRIN(登録商標)ポリアセタール;K−RESIN(登録商標)(Phillipsから入手可能)及びFINACLEAR(登録商標)/FINACRYSTAL(登録商標)(Atofinaから入手可能)スチレン樹脂及びスチレンコポリマー;FINATHENE(登録商標)(Atofinaから入手可能)及びHIFOR(登録商標)/TENITE(登録商標)(Eastmanから入手可能)ポリオレフィン;並びにDupontから入手できるZYTEL(登録商標)が挙げられる。
【0036】
ボイド形成助剤のレベルは、典型的には、フィルムの総重量に基づき、5〜35重量%の範囲である。5重量%未満のボイド形成助剤のレベルも使用できるが、フィルムのボイド形成は不充分であって且つフィルムに目的とする密度を与えない可能性がある。ボイド形成レベルが35重量%超に増加させると、フィルムは裂けやすくなるおそれがあり、一部のラベル用途には粗すぎる可能性がある。高いボイド形成レベルにおいては、フィルムはまた、脆くなりすぎて、容易に取り扱えない可能性がある。ポリエステル中のボイド形成助剤レベルの他の例は、5〜30重量%、10〜30重量%、15〜30重量%(wt%)、20〜30重量%及び25〜30重量%である。
【0037】
本発明の収縮フィルムは配向されたポリエステルを含む。本明細書中で使用する「配向(された)(oriented)」とは、ポリマー鎖中において方向又は配向を与えるためにポリエステルが伸張されることを意味する。従って、ポリエステルは「一軸伸張した(uniaxially stretched)」(ポリエステルを一方向に伸張することを意味する)こともできるし、或いは「二軸伸張した(biaxially stretched)」(ポリマーを2つの異なる方向に伸張することを意味する)こともできる。典型的には、しかし必ずしもそうではないが、2つの方向は実質的に垂直である。例えば、フィルムの場合には、2つの方向は、フィルムの縦方向又はマシン方向(MD)(フィルム製造機上でフィルムが製造される方向)とフィルムの横断方向(TD)(フィルムのMDに対して直角の方向)である。二軸伸張製品は逐次伸張することもできるし、同時に伸張することもできるし、或いは同時伸張と逐次伸張との何らかの組み合わせによって伸張することもできる。
【0038】
本発明の収縮フィルムは、単層から成ることもできるし、或いは少なくとも1層がボイド形成助剤を含む複数の層を含むこともできる。従って、本発明は、多層構造の1層又はそれ以上の層として単層フィルムが組み込まれることができるフィルム、例えば印刷ラベルがボイド含有基材に接着又は貼り合わされたロール供給ラベルにおけるようなラミネート又は同時押出品を含むことがわかる。
【0039】
収縮フィルムは、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%である。収縮率は、測定前の試験片を水浴中に5秒間浸漬することによって測定する。本明細書中で使用する用語「収縮率」は、長さの変化÷原長(×100%)と定義する。例えば、収縮フィルムは、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも50%であることができる。別の例において、収縮フィルムは、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも60%であることができる。
【0040】
収縮後の本発明のボイド含有フィルムの密度は、典型的には、85℃において15分後に1.05g/cc未満にとどまる。リサイクルプロセスの洗浄浴中における苛性アルカリ及び汚染物質は典型的には水の密度をわずかに(1〜1.03g/ccに)上昇させるので、この密度は有用である。更に、フィルムは時間と共にその密度を徐々に上昇させるので、15分後に1.05g/ccのラベルは、洗浄サイクルのかなりのフラクションにわたって1.03g/ccより小さくなるであろう。従って、本発明のフィルムの別の例において、ボイド含有収縮フィルムは、85℃の水浴中で15分後の密度が1.03g/cc又はそれ以下である。収縮後の密度の他の例は、85℃の水浴中で15分後に1.00g/cc若しくはそれ以下、0.98g/cc若しくはそれ以下、及び0.95g/cc若しくはそれ以下である。典型的には、収縮前のフィルムの初期密度(即ち未収縮密度)は0.95g/立方センチメーター(本明細書中では「g/cc」と略する)又はそれ以下である。本発明のボイド含有フィルムの初期密度の更なる例は、0.90g/cc若しくはそれ以下、0.85g/cc若しくはそれ以下、0.80g/cc若しくはそれ以下、0.75g/cc若しくはそれ以下、0.7g/cc若しくはそれ以下、0.6g/cc若しくはそれ以下、そして0.5g/cc若しくはそれ以下である。初期未収縮フィルムの密度は、充填剤のレベル及び密度、ボイド形成の程度、伸張比及び伸張温度と相関関係があり、例えば包装材料内に存在する種々の他のポリマー成分からのフィルムの分離を向上させるために、必要に応じて特化することができる。
【0041】
本発明の別の実施態様は、二酸残基の総モルに基づき、少なくとも95モル%のテレフタル酸残基、;並びにジオール残基の総モルに基づき、10〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、1〜25モル%のジエチレングリコール残基及び35〜89モル%のエチレングリコール残基を含む配向ポリエステルと、40〜60重量%のセルロースアセテート、20〜40重量%のポリプロピレン及び5〜40重量%のエチレンメチルアクリレートコポリマーを含む、フィルムの総重量に基づき、5〜35重量%のボイド形成助剤とを含む収縮フィルムである。このフィルムはまた、95℃の水浴中で5秒後に少なくとも40%の収縮率を保持し、85℃の水浴中で15分後に1.05/g又はそれ以下の密度を有する。前述のように、他の密度及び収縮率を、例えば95℃の水浴中で5秒後に少なくとも50%の収縮率を示すこともできる。別の実施態様においては、収縮フィルムは、95℃で5秒後に少なくとも60%の収縮率を有する。更に別の実施態様において、収縮フィルムは、85℃の水浴中で15分後に1.03g/cc又はそれ以下の密度を有する。このフィルムは、浮沈リサイクルプロセスにおいて、例えばPETボトルポリマーのような、より高密度のポリマーから分離することができる。
【0042】
スリーブ及びラベルは本発明のボイド含有収縮フィルムから当業界でよく知られた方法に従って製造できる。これらのスリーブ及びラベルは、例えばポリ(エチレンテレフタレート)を含むプラスチックボトル用のラベルのような包装用途に有用である。従って、本発明は、前述のボイド含有収縮フィルムを含むスリーブ又はロール供給ラベルを提供する。これらのスリーブ及びラベルは、当業界でよく知られた方法によって、例えば溶剤接着、ホットメルト接着剤、紫外線硬化性接着剤、高周波シール、ヒートシール又は超音波接着によってうまく継ぎ合わせることができる。横断方向配向フィルム(幅出し又はダブルバブルによる)を含む従来の収縮スリーブの場合には、ラベルを最初に印刷し、次に1つの縁に沿って継ぎ合わさせて、チューブを形成する。溶剤シーミングは、当業界で知られた多数の溶剤又は溶剤の組合せのいずれか、例えばTHF、ジオキシラン、アセトン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、n−メチルピリリドン及びMEKを用いて実施できる。これらの溶剤は、フィルムの溶解パラメーターに近い溶解パラメーターを有し、フィルムを充分に溶解させて溶接するのに役立つ。RFシール、接着剤接着、UV硬化性接着剤及び超音波接着のような他の方法も適用できる。得られた、継ぎ合わされたチューブを次に切断し、ボトルを覆うように適用してから、蒸気、赤外線又熱風型トンネル中で収縮させる。ある種のスリーブ装置を用いたスリーブの適用においては、スリーブは摩擦のせいでボトル側面に粘着するか又はボトル側面を「つかむ(grab)」傾向があるので、フィルムは、つぶれることもへこむこともなく、ボトル上を通過するのに充分な剛性を有することが重要である。本発明のボイド含有スリーブは、ボイド形成されていないフィルムよりも典型的には20〜30%低い摩擦係数(COF)を有する。このより低いCOFは、ラベルの引っかかりを防ぎ且つスリーブの適用をより簡単にするのに役立つ。これは本発明の予想外の利益である。
【0043】
ロール供給ラベルの場合には、ボイド含有フィルムは、従来は、例えばドラフターを用いてマシン方向に配向されている。これらのラベルは、ボトルに巻き付け、典型的にはオンラインで所定の位置に接着する。しかし、製造ライン速度が増加するにつれて、より速いシーム法が必要トナーり、溶剤シームよりもUV硬化性、RFシール性及びホットメルト接着剤の方がより好ましくなっていく。例えばホットメルトポリエステルが、ポリエステル系ボイド含有フィルムの継ぎ合わせに有用であろう。
【0044】
ボイド含有収縮フィルムは、ポリエステルとボイド形成助剤とを混合し、フィルムを形成し、前記フィルムを1つ又はそれ以上の方向に伸張することによって配向させ、そして前記配向フィルムをアニールすることによって製造できる。従って、本発明の別の態様は、(i)少なくとも1種のポリエステルと5〜35重量%のボイド形成助剤とを前記ポリエステルのTg又はそれ以上の温度において混合して、前記ポリエステル中前記ボイド形成助剤の均一分散体を形成し;(ii)フィルムを形成し;(iii)工程(ii)のフィルムを1つ又はそれ以上の方向に配向させ;そして(iv)工程(iii)からのフィルムを75〜110℃の温度においてアニールすることを含む、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%であり且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下であるのボイド含有収縮フィルムの製造方法である。本発明の方法は、前述したフィルム、ポリエステル、二酸、ジオール、改質用二酸、ボイド形成助剤、添加剤及び加工条件の実施態様を全て含む。例えば、一実施態様において、収縮フィルムは、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも50%であることができる。別の実施態様においては、収縮フィルムは、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも60%であることができる。更に別の実施態様においては、収縮フィルムは85℃の水浴中で15分後の密度が1.03g/cc又はそれ以下である。更に別の実施態様において、ボイド形成助剤はセルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、イオノマー及びそれらのコポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーを含む。
【0045】
ボイド形成助剤は当業者によく知られた方法によってポリエステルマトリックス中に混合し且つ分散させる。ボイド形成助剤及びポリエステルは、ポリエステルのTg又はそれ以上の温度において、一軸若しくは二軸スクリュー押出機、ロールミル又はバンバリーミキサー中で溶融混合するか、或いはドライブレンドして、ポリエステル中ボイド形成助剤の均一分散体を形成することができる。例えば混合物はポリエステルのメルトを形成し且つその中にボイド形成助剤を混合することよって形成できる。ボイド形成助剤は固体、半固体又は溶融した形態であることができる。混合時にポリエステル中に迅速且つ均一に分散させるためには、ボイド形成助剤は固体又は半固体であるのが有利である。ボイド形成助剤の成分は、混合装置、例えば二軸スクリュー押出機、遊星形ミキサー又はバンバリーミキサー上で一緒に配合することもできるし、或いはフィルム形成の間に成分を別々に添加することもできる。ボイド形成助剤をポリエステル中に均一に分散させる際には、シート又はフィルムの形成は、当業者によく知られた方法によって、例えば押出、カレンダリング、流延、ドラフト、幅出し又はインフレート法によって実施できる。これらの方法は最初に、非配向又は「流延(cast)」フィルムを生成し、それをその後に少なくとも1つの方向に伸張して、配向を与え且つボイドを生成する。一方向又は二方向にシート又はフィルムを配向させる方法は当業界でよく知られている。このようなシート又はフィルムは、また、当業界でよく知られた装置及び方法によって、横断方向又はクロスマシン方向に伸張することができる。一般に、2倍〜7倍の伸張比を1つ又はそれ以上の方向において与えて、一軸又は二軸配向フィルムを生成する。より典型的には、伸張比は4倍〜6倍である。伸張は、例えばダブルバブル・インフレートフィルム・タワー(double−bubble blown film tower)、幅出し機又は機械方向ドラフターを用いて実施できる。伸張は、好ましくはポリマーのガラス転移温度(Tg)又はそれに近い温度において実施する。ポリエステルに関しては、例えばこの範囲は典型的にはTg+5℃(Tg+10°F)〜Tg+33℃(Tg+60°F)であるが、この範囲は添加剤によってわずかに異なる可能性がある。伸張温度が低いほど多くの配向とボイド形成が得られ、弛緩が少ない(従って収縮率が大きい)が、フィルムの引裂が増加する可能性がある。これらの作用をバランスさせるために、範囲の中央の最適温度を選ぶことが多い。典型的には、収縮性能を最適化し且つ厚さの均一性を向上させるためには、4.5倍〜5.5倍の伸張比を使用できる。
【0046】
伸張プロセスは、インライン中で又はその後の操作において行うことができる。その後に、ボイド含有フィルムに印刷し、これを、例えば飲料又は食品容器上のラベルとして使用することができる。ボイドの存在のため、フィルムの密度は減少し、フィルムの有効表面張力が増加し、より紙に似た質感が得られる。従って、フィルムはほとんどの印刷インキを容易に受理でき、従って、「合成紙(synthetic paper)」と見なすことができる。本発明の収縮フィルムはまた、多層若しくは同時押出フィルムの一部として、又はラミネート製品の一成分として使用できる。
【0047】
ボイドは、ポリエステルをポリマーのガラス転移温度(Tg)又はその近くの温度において伸張する際にボイド形成助剤の周囲に形成される。ボイド形成性組成物の粒子は、ポリエステルに比較すると相対的に硬いので、ポリエステルは伸張時にボイド形成助剤から分離し且つその上を滑り、1つ又はそれ以上の伸張方向においてボイドが形成され、ポリエステルが伸張され続けるにつれて、ボイドは細長くなる。従って、ボイドの最終サイズ及び形状は、伸張の方向及び量によって異なる。例えば、伸張が一方向のみである場合には、ボイドは伸張の方向においてボイド形成助剤の側面において形成されるであろう。典型的には、伸張操作は、ボイドを形成すると同時にポリエステルを配向させる。最終製品の性質は、伸張時間及び温度並びに伸張の型及び程度によって異なり、それを操作することによって制御できる。
【0048】
配向フィルムは75〜110℃の温度においてアニールする。伸張後のこれらのアニール条件により、フィルムは高収縮率及び低密度を保持できる。典型的には、フィルムは洗浄温度−10℃〜洗浄温度+25℃の範囲の温度でアニールすることができる。例えば洗浄温度が85℃である場合には、フィルムのアニール温度は75〜110℃に保持できる。別の例において、フィルムのアニール温度は、洗浄温度〜洗浄温度+15℃に保持できる。アニール温度の更なる例は、85〜110℃、80〜105℃、90〜110℃、90〜105℃、95〜105℃、80〜85℃及び95〜100℃である。一般に、アニール温度が上昇するにつれて、フィルム収縮率は低下するが、密度保持はより良好である。例えば、完全にヒートセットされたボイド含有フィルムには収縮がないが、洗浄後のその密度の変化もごくわずかであろう。別の例において、ポリエステルのガラス転移温度(即ち約75℃)未満に設定されたアニール温度は、高収縮率のボイド含有フィルムを生じるが、リサイクル操作において典型的に見られる温度への暴露時には高い緻密化を生じる。ここに記載した「中間」温度におけるアニールは前述の収縮率及び密度保持のバランスを保持する。
【0049】
本発明のボイド含有ポリエステル収縮フィルムを製造するための典型的な方法の例としては、セルロース系ポリマー及びオレフィンを含む、均一に分散されたボイド形成助剤を含むポリエステルメルトを、200℃(400°F)〜280℃(540°F)の範囲の温度においてスロットダイに通して押出し、−1℃(30°F)〜82℃(180°F)に保持された冷却ロール上に流延する。こうして形成されたフィルム又はシートは一般に5〜50milの厚さを有するが、より典型的な範囲は5〜15milである。次いで、フィルム又はシートを、200〜700%の範囲の量で一軸又は二軸延伸して、厚さ1〜10mil、より典型的には1〜3milの配向フィルムを形成する。例えばボイド含有フィルムの断熱性又はクッション性を利用するためには、より厚い最終厚さが望ましいかもしれない。伸張操作の間に生成されたボイドは、発泡フィルムの気孔によく似て、断熱材として働くことができる。従って、フィルムの厚さは、目的レベルの断熱を得るために必要に応じて増加させることができる。また、重層構造又はラミネート構造中においてボイド含有層と発泡層又はボイド形成していない層とを組み合わせることも可能である。例えば、発泡中心層を2層のボイド含有層で封入して、密度の減少を最大にし且つ印刷性能を向上させることができる。伸張後、フィルムは、次にフィルム伸張操作の一部として連続的に(例えばヒートセットゾーンを有する幅出機中で)又はオフラインで75〜110℃の温度においてアニールする。例えばアニールは80〜105℃の温度において実施する。別の実施態様において、アニールは90〜100℃の温度において実施する。更に別の実施態様において、アニールは80〜85℃の温度において実施する。低すぎる温度でアニールすると、フィルムは高い収縮率を有するが、必要な密度安定性を欠くであろう。高すぎる温度でアニールすると、フィルムは低密度を保持するが、収縮率が許容され得ないほど低くなるであろう。場合によっては、加工を促進し且つフィルムわずかに弛緩させるのを助けるために、テンタークリップをわずかに(例えば1〜10%)近づけることができる。これによって、ボイドがより良く形成され、収縮応力が低下する。通常、温度が高いほど、必要なアニール時間が短く、速いライン速度に好ましい。アニール後の更なる伸張も実施できるが、必要ない。例えばフィルムは一方向に配向させ、75℃又はそれ以上の温度においてアニールし、そして1つ又はそれ以上の方向でもう1回配向させることができる。
【0050】
本発明はまた、当業者によく知られた、収縮性の制御及び向上のための種々の変更を包含することがわかる。例えば、より低い温度において収縮率を向上させるためには、ポリエステル若しくはポリエステルモノマー又は低い軟化点を有する代わりのポリマー(例えばジエチレングリコール又はブタンジオール)を組み込んで、ポリエステルフィルムのTg全体を低下させることができる。収縮曲線を平坦化し、収縮開始を低下させ、収縮率を制御し又は引裂性を向上させるために、ポリテトラメチレングリコール、PEG及び同様なモノマーをベースとするソフトセグメントを添加することができる。収縮性は伸張条件に左右される。伸張条件は、例えば、制御された収縮力、各方向における収縮力比、制御された収縮率及び収縮後の性質の保持のような性質の変更を生じるために、必要に応じて修正できる。ポリエステルの収縮性を制御する種々の要因については、いくつかの学術論文、例えばShih,Polym.Eng.Sci.,34,1121(1994)に広範に記載されている。
【0051】
例えば、本発明の一実施態様において、Tgがより高いポリエステル、例えばTgがフレーク洗浄温度(約85℃)より高いポリエステルを、配向連続ポリエステル相として使用できる。例えば、配向連続ポリエステル相のTgは少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃及び少なくとも100℃であることができる。別の例においては、Eastman Easter(登録商標)PCTGコポリエステルを連続配向相として使用する。このポリエステルは、90℃のTg及び低い密度(標準的な収縮コポリエステルの1.30g/ccに対して1.24g/cc)を有する。より少ないボイド形成が必要とされる場合には、より低い密度が役立つ。このポリマーから製造されたボイド含有フィルムは、フレーク洗浄後にその低い密度を保持する。しかし、Tgが高いポリエステルか製造されたフィルムは、高い収縮開始温度を必要とする可能性がある。前述のPCTGフィルムに関しては、フィルムは非常に高レベル(>70%)まで収縮するが、高い収縮トンネル温度を必要とする可能性がある。別の例として、ブレンドTgが85℃により近いようなPCTGコポリエステルとPETGコポリエステルとのブレンド(Tg=80℃)を使用できるであろう。このTgは、純粋なPCTGよりも収縮トンネル温度を低くできるが、フレーク洗浄における密度保持に依然として役立つであろう。
【0052】
これの他の変更及び組合せも考えられる。例えばフィルムがドラフター上で一軸配向されるか或いは二軸配向されるかにかかわらず、フィルムが正しくアニールされるのであれば、同じ条件が適用される。また、フィルムを配向させ、次いで75℃又はそれ以上の温度においてアニールし、次いで再伸張させ且つ場合によってはもう1回再アニールする2段伸張を適用することもできる。中間アニール工程は、初期ボイドの「固定」に役立ち、密度の上限を本質的に規定する。これの変更は、ドラフターを用いてフィルムをMDに配向させてから、非常に高い温度においてアニールして収縮を排除し、次いで幅出機上で通常の伸張を行うことであろう。このアプローチは、一軸収縮性フィルムを生じるが、二軸配向に特別な密度低下が伴うであろう。場合によっては、必要ならばもう1回アニールすることができるであろう。
【実施例】
【0053】
概要−試験法は、可能な限り、標準ASTM法に従った。フィルム密度は、フィルムの小片(穴あけ器を用いて切り取った)を既知密度の流体中に浸漬することによって得た。フィルムサンプルを沈めることも浮かせることもなく、「浮遊」させる流体密度を、フィルム密度と解釈した。0.80g/ccから1g/ccまでの密度については、これらの流体はエタノールと水とのブレンドから生成し、比重計に対して較正した。1g/cc超の密度については、対照流体は、塩及び水を用いて同様にしてブレンドした。
【0054】
フィルムの品質及び美観の概略は主観的評価に基づいた。これらを表IIに示す。優れたフィルムは、ボイド/添加剤の均一な分散性、高い不透明度及び良好な強度を有し且つ高/低スポット及び不良な混合による縞のないものであった。フィルムの触感品質(即ち「手触り」)も記載した。堅く、ノイズの多いフィルムはより低く評価され、より柔軟で、「低ノイズ」のフィルムが好まかった。不良なフィルムは、一般に、高ノイズ、容易な引裂及び不良な表面/不透明度均一性(例えば縞の発生)を同時に示した。
【0055】
フィルム収縮率は、既知の初期長さのサンプルを65〜95℃の所定の温度の水浴中に典型的には5秒間浸漬し、次いで各方向の長さの変化を測定することによって測定した。収縮率は、長さの変化÷原長×100%として報告する。95℃において5秒後の収縮率を、「最終」収縮率として報告する。サンプルの呼称寸法は10cm×10cmであった。報告した結果は名目上、2つの測定値の平均である。ガラス転移温度はASTM法D3418を用いてDSCによって求めた。
【0056】
比較例1〜7:リサイクル処理後の密度変化−テレフタル酸100モル%、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール20モル%、エチレングリコール71モル%及びジエチレングリコール9モル%を含む非晶質コポリエステル(純粋な密度=1.30g/cc,Tg=75℃)をマトリックスポリエステルとして用いた。ボイド形成助剤は、二軸スクリュー押出機上で生成したコンセントレートである。ボイド形成助剤は、セルロースアセテート(CA)粉末(CA398−30;Eastman Chemical Co.から入手可能)60重量%、ポリプロピレン(P4G3Z−039;Huntsman Chemical Co.から入手可能;メルトインデックス5)30重量%及びエチレンメチルアクリレートコポリマー(EMAC 2260,Eastman Chemical Co.から入手可能)10重量%を含んでいた。扱い易くするために、配合生成物をペレット化した。全てのサンプル(マトリックス及びボイド形成助剤)を、押出前に54.4℃(130°F)において8時間乾燥させた。
【0057】
ボイド形成助剤コンセントレートを、マトリックスポリエステルを用いてペレット/ペレットブレンドし、L/D=30:1の2.5インチ一軸スクリュー押出機を用いて260℃の公称加工温度において混合した。次いで、メルトを、コートハンガー型フィルムダイを通して押出し、55℃の冷却ロール上に流延した。流延フィルム厚は250ミクロンであった。ブレンドレベルはコンセントレート20、25及び30重量%であり、それぞれについてフィルムのロールを形成した。この未伸張フィルムの密度は、ボイド形成助剤コンセントレートのレベルに応じて約1.24〜1.26g/ccであった。
【0058】
流延フィルムロールの伸張は、市販の幅出機上で実施した。伸張比、予熱温度(ゾーン1)、伸張温度(ゾーン2)及びアニール温度(ゾーン3)を含む伸張条件はサンプル毎に異なった。ライン速度は、名目上、40〜50フィート/分(fpm)であった。幅出機のアニールセクションはまた、一部のサンプルに関しては収縮力の低下を助けるために、部分的にリトラクトとした。このリトラクトは、最大伸張ウェブ幅の百分率として表す。
【0059】
収縮性は95℃において5秒後に測定した。全てのフィルムが、全温度範囲にわたって非常に低いマシン方向(MD)収縮率<5%)を有していた。収縮前の密度も測定した。全ての値を表Iに示す。
【0060】
リサイクルフレーク洗浄プロセスをシミュレートするために、フィルムのサンプルを85℃の熱水浴中に15分間入れた。取り出した後、フィルムをタオルドライし、密度を再び測定した(表I参照)。フィルムは、浮遊を保証するためには1.05g/cc未満(好ましくは<1.00g/cc)の密度を依然として保持するのが好ましい。しかし、これらのデータから観察されるように、フィルムの長期収縮は吸水とあいまって、密度を有意に増加させる働きをした。
【0061】
比較例は全て洗浄後の過度の密度又は不充分な収縮率を示した。比較例1は、このようなフィルムの製造に標準的に使用される伸張条件の典型例である。非常に高い収縮率を有する比較例1のようなボイド含有フィルムは多くの場合、フレーク洗浄の間に、ボイドが次第に塞がるために不透明性を若干失うことが認められた。不透明性の低下を遅らせるために、アニール温度を増加させることができる。比較例2及び3に関して観察されるように、より高いアニール温度は洗浄後の密度を保持するのに役立ったが、最終収縮率が過度に低くなった。別の選択肢は、コンセントレートのレベルを増加させてより多くのボイドを形成することである。これは初期フィルム密度を低下させるが、高温洗浄後の密度の増加が増大され、それによってより低い初期密度の利益の一部が相殺されることが観察された。
【0062】
【表1】

【0063】
実施例1〜8:アニール実験−これらの実施例におけるフィルムは、比較例1〜7と同様にして製造したが;洗浄後の密度と収縮率を何とかバランスさせるために伸張条件を変えた。100℃前後のアニール温度が最も有効であることがわかった。より低いレベルのコンセントレートを含むサンプル(例えば実施例1及び2)は最も狭い加工ウィンドウを有していたが、最も強靱で、しかも引裂の可能性が最も低かった。最大限のボイド形成を達成するためには、これらのフィルムについて伸張比はより高くしなければならなかった(それらはまた、より高レベルのコンセントレートを有するフィルムよりも伸張プロセスにおける引裂の可能性が低いであろう)。
【0064】
コンセントレートのレベルを30%に増加させると(実施例6〜8)、広範囲の加工条件下で収縮率が優れ且つ密度が低いフィルムが得られた。しかし、フィルムはまた、高レベルのボイド形成のためにより引裂を起こしやすかった。このフィルムは多くの用途に許容可能であるが、包装ラベルにはそれほど好ましくなく、これよりわずかに低いコンセントレートレベルがより望ましいであろう。これに対して、ボイド形成助剤配合量が約25%のフィルムは、許容され得る引裂性を有し、適度に広い加工ウィンドウを有していた。
【0065】
【表2】

【0066】
実施例9:試験データの曲線適合及び最適化−動向及び相互関係を更に理解するために、実施例1〜8及び比較例1〜7からのデータを、数式に統計的に適合させた(この分析には、前に報告していない、同じ幅出機上での他の試験データも含めた)。モデルの変数は、伸張比、平均伸張温度(即ち、予熱及び伸張温度の平均)、クリップ・リトラクション(%)、アニール温度及びコンセントレート(%)であった。推定する応答は、95℃において5秒の収縮及び85℃において15分後の密度であった。分析及び最適化は、JMP(登録商標)統計分析ソフトウェア及び線型モデル適合を用いて行った。
【0067】
最適化は、高い収縮率(>60%)を生じ且つ85℃の洗浄後の密度を1.05g/cc未満とする条件の最適な組合せを見つけるために行った。最適化に対する制約条件は、脆性を最小限に抑えるためにコンセントレートレベルを30重量%未満にしなければならないこと、及び伸張条件を商業的ラインに「妥当な」範囲内にしなければならないことであった。
【0068】
モデルの結果から、コンセントレートレベルを25重量%超に保持し且つアニール温度を約75〜90℃に保持する場合に収縮率及び洗浄後の密度の目標値に同時に達することがわかった。この結果は、5倍の伸張比、85℃の伸張温度及び0%のクリップ・リトラクションを想定する。これらは全て、「典型的な」運転条件である。アニール温度を低下させるにつれて、低いリサイクル後密度を保持するのに必要なコンセントレートのレベルが増加し、75℃のアニール温度においては必要なコンセントレートレベルは30重量%であった。
【0069】
全ての基本性質(靭性及びフィルムコストを含む)のバランスを考慮した、最適でより「強力な」運転領域は、コンセントレートが27〜30重量%及びアニール温度が75〜85℃の領域であった。この場合、フィルムは、高い収縮率(>60%)、低いリサイクル後密度(85℃において15分後に<1.05g/cc)並びに良好な全体的な美観及び性質を有していた。
【0070】
従って、予想例として、実施例1〜8に記載したようにして、コポリエステル中28重量%のコンセントレートを用いてフィルムを製造する。フィルムは、85℃において5倍の伸張比を用いて伸張する。アニールは80〜85℃において、ごく少量のクリップ・リトラクション(0〜5%)を用いて実施する。これらのフィルムは、リサイクル性及び靭性を保持しながら、非常に高い収縮率の基準を満たす。
【0071】
実施例10及び11:中間アニールを用いる逐次二軸伸張−これらの実施例中のフィルムは、前述と同じコポリエステルを使用して、25重量%のボイド形成助剤コンセントレートを用いて製造したが;フィルムの伸張はT.M.Long実験室用フィルム伸張機で行った。フィルム伸張機は、MD伸張、アニール、次いで横断方向(TD)伸張操作をシミュレートするようにセットアップした。
【0072】
10milフィルムの、2インチ平方の試験片を、フィルム伸張機中に入れ、85℃に予熱した。次いで、フィルムをMDにのみ2倍伸張した。伸張後、フィルムを85℃のオーブン中に1分間セットして、フィルムをアニールし且つ配向を緩和させた。このアニール工程後、フィルムをTDにおいて5倍に伸張した。このサンプルを実施例10とする。次いで、最初のMD伸張を2倍ではなく3倍とする以外は、このプロセスを実施例11に関して繰り返した。
【0073】
二軸伸張はボイドを更に拡大するのに役立つので、これらの両フィルムのフィルム密度は極めて低かった(<0.80g/cc)。5倍の伸張方向における収縮率は、95℃において5秒後にいずれも名目上65%であった。両サンプルは、95℃において若干の「軸外」収縮を示した(実施例10に関しては25%、実施例11に関しては35%)が;これはより長いアニール時間又はより高いアニール温度を用いることによって容易に排除できた(T.M.Longの場合には異なるアニール温度は可能でなかった)。
【0074】
85℃において15分後の密度は、実施例10及び11に関して、それぞれ、1.01及び0.90g/ccであった。従って、アニールの結果として起こる伸張は、リサイクル後であっても、収縮フィルムに非常に低い密度を保持させるのに役立った。これにより、必要ならば、ボイド形成用コンセントレートをより少なく用いること、並びにリサイクル性及び収縮性を依然として保持することが可能になるであろう。第2の伸張後に第2のアニール工程を適用することもできたが、リサイクル後の密度が既に1.05g/ccよりも充分に低いのでそれは必要なかったことが更に注目される。
【0075】
実施例12−この予想例においては、前記コポリエステルを25重量%のボイド形成助剤と合し、冷却ロールを用いて30milのフィルムに流延する。次いで、このフィルムをMDOドラフター上で約3倍伸張し、約120℃又はそれ以上においてアニールする(ドラフターのアニールロールを用いて)。ボイド形成助剤は、また、粘着防止剤としても働き、このより高温におけるロールへの粘着を防止する。3倍(又はそれ以上)の選択は、フィルムの伸張の変動によってゲージバンドが生じないことを保証するのに役立つ。
【0076】
ドラフト及びアニール(第1のアニール)後に、その時点で(3倍のドラフト後)すでに10milの厚さを有するフィルムを幅出機に移す。それを予熱し、85℃において5%のクリップ・リトラクションを用いて5倍伸張する。フィルムは場合によっては約80℃においてもう1回アニールする。この第2の伸張後、厚さは名目上2milであり、フィルムの密度は0.80g/cc未満であり、主方向(5倍の伸張方向又はTD方向)の収縮率は、95℃において5秒後に60%又はそれ以上である。ドラフト後のアニール(95℃において5秒)はインライン又はMD収縮率を10%未満に低下させる。得られるフィルムは、一方向にのみ伸張された匹敵するフィルムよりも低価格であり、優れた性質を有する。更に、ドラフトと幅出しとの組合せはより大きな処理量を可能にし、プロセス全体についてより良好な経済性を実現する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの総重量に基づき、5〜35重量%のボイド形成助剤が内部に分散された配向ポリエステルを含んでなり、95℃の水浴中において5秒後の収縮率が少なくとも40%で且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下であるボイド含有収縮フィルム。
【請求項2】
前記ポリエステルが、(i)二酸残基の総モルに基づき、少なくとも80モル%の、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン−ジカルボン酸及びイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の二酸の残基を含む二酸残基と、(ii)ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モル%の、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基;並びに0〜90モル%の、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA及びポリアルキレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基を含むジオール残基を含む請求項1に記載の収縮フィルム。
【請求項3】
前記ジオール残基が10〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、0〜90モル%のエチレングリコール残基及び1〜25モル%のジエチレングリコール残基を含み;且つ前記二酸残基が0〜20モル%の、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸及びスルホイソフタル酸からなる群から選ばれた改質用二酸の1つ又はそれ以上の残基を更に含む請求項2に記載の収縮フィルム。
【請求項4】
前記ボイド形成助剤が、セルロース系ポリマー、澱粉、エステル化澱粉、ポリケトン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネート、オレフィン系ポリマー及びそれらのコポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマー;又はタルク、二酸化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、ウォラストナーイト及びマイカからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物を含む請求項3に記載の収縮フィルム。
【請求項5】
前記ボイド形成助剤がセルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、イオノマー及びそれらのコポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーを含む請求項4に記載の収縮フィルム。
【請求項6】
前記ボイド形成助剤がセルロースアセテート、ポリプロピレン及びエチレンメチルアクリレートコポリマーを含む請求項5に記載の収縮フィルム。
【請求項7】
前記二酸残基が少なくとも95モル%のテレフタル酸残基を含み;前記ジオール残基が10〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、1〜25モル%のジエチレングリコール残基及び35〜89モル%のエチレングリコール残基を含み;且つ前記ボイド形成助剤がセルロースアセテート、ポリプロピレン及びエチレンメチルアクリレートコポリマーを含む請求項3に記載の収縮フィルム。
【請求項8】
前記フィルムを少なくとも1つの方向に伸張し、前記フィルムが95℃の水浴中で5秒後に少なくとも50%の収縮率を有する請求項7に記載の収縮フィルム。
【請求項9】
前記フィルムが複数の層を含み、それらの層のうちの少なくとも1層が前記ボイド形成助剤を含む請求項2に記載の収縮フィルム。
【請求項10】
溶剤接着、ホットメルト接着剤、紫外線硬化性接着剤、高周波シール、ヒートシール又は超音波接着によって継ぎ合わせられる請求項1に記載の収縮フィルムを含むスリーブ又はロール供給ラベル。
【請求項11】
フィルムの総重量に基づき、5〜35重量%の前記ボイド形成助剤を含み、前記ボイド形成助剤が40〜60重量%のセルロースアセテート、20〜40重量%のポリプロピレン及び5〜40重量%のエチレンメチルアクリレートコポリマーを含み;前記フィルムが95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%であり且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下である請求項7に記載の収縮フィルム。
【請求項12】
(i)ポリエステル及びフィルムの総重量に基づき、5〜35重量%のボイド形成助剤を前記ポリエステルのTg又はそれ以上の温度で混合して、前記ポリエステル中ボイド形成助剤の均一分散体を形成し;(ii)フィルムを形成し;(iii)前記工程(ii)の前記フィルムを1つ又はそれ以上の方向において配向させ;そして(iv)前記工程(iii)からの前記フィルムを75〜110℃の温度においてアニールすることを含んでなり、95℃の水浴中で5秒後の収縮率が少なくとも40%であり且つ85℃の水浴中で15分後の密度が1.05g/cc又はそれ以下であるボイド含有収縮フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記ポリエステルが、(i)二酸残基の総モルに基づき、少なくとも80モル%の、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン−ジカルボン酸及びイソフタル酸から選ばれた1種又はそれ以上の二酸の残基を含む二酸残基と、(ii)ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モル%の、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基;並びに0〜90モル%の、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA及びポリアルキレングリコールから選ばれた1種又はそれ以上のジオールの残基を含むジオール残基を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ジオール残基が10〜99モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、0〜90モル%のエチレングリコール残基及び1〜25モル%のジエチレングリコール残基を含み;且つ前記二酸残基が0〜20モル%の、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸及びスルホイソフタル酸から選ばれた改質用二酸の1つ又はそれ以上の残基を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ボイド形成助剤が、タルク、二酸化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、ウォラストナーイト及びマイカからなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物;又はセルロース系ポリマー、澱粉、エステル化澱粉、ポリケトン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネート、オレフィン系ポリマー及びそれらのコポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ボイド形成助剤がセルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、イオノマー及びそれらのコポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリマーを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ボイド形成助剤が40〜60重量%のセルロースアセテート、20〜40重量%のポリプロピレン及び5〜40重量%のエチレンメチルアクリレートコポリマーを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルムを一方向に配向させ、75℃又はそれ上の温度においてアニールし、そして1つ又はそれ以上の方向に2度目の配向をさせる請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルムを80〜105℃の温度においてアニールする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルムを80℃〜85℃又は95〜100℃の温度においてアニールする請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2008−523212(P2008−523212A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545503(P2007−545503)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042469
【国際公開番号】WO2006/062742
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】