説明

密度測定システム及び密度の測定方法

【課題】気体の密度を容易かつ正確に測定可能な密度測定システムを提供する。
【解決手段】複数の異なる電圧を加えられる発熱素子が設けられ、気体が注入される容器101と、複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の発熱素子からの電気信号を独立変数とし、密度を従属変数とする密度算出式を保存する式記憶装置402と、密度算出式の独立変数に、発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、容器101に注入された気体の密度の測定値を算出する密度算出部305と、を備える、密度測定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス検査技術に係り、密度測定システム及び密度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスの密度を測定する手段として、振動式ガス密度計が知られている。振動式ガス密度計は、円筒振動子の共振周波数が、周囲のガスの密度に依存して変化することを利用して、ガスの密度を測定する。しがって、振動式ガス密度計は、外部から振動を加えられると、ガスの密度を正確に測定できないという、欠点を有する。そのため、円筒振動子を弾性体によって保持することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−281967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、円筒振動子を弾性体によって保持してもなお、外部から強い振動を加えられれば、振動式ガス密度計はガスの密度を正確に測定できない。そこで、本発明は、気体の密度を容易かつ正確に測定可能な密度測定システム及び密度の測定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、(a)複数の異なる電圧を加えられる発熱素子が設けられ、気体が注入される容器と、(b)複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の発熱素子からの電気信号を独立変数とし、密度を従属変数とする密度算出式を保存する記憶装置と、(c)密度算出式の独立変数に、発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、容器に注入された気体の密度の測定値を算出する密度算出部と、を備える、密度測定システムが提供される。
【0006】
また、本発明の態様によれば、(a)複数の異なる電圧を加えられる発熱素子が設けられた容器に気体を注入することと、(b)複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の発熱素子からの電気信号を独立変数とし、密度を従属変数とする密度算出式を用意することと、(c)密度算出式の独立変数に、発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、容器に注入された気体の密度の測定値を算出することと、を含む、密度の測定方法が提供される。
【0007】
また、本発明の態様によれば、(a)気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値を測定する測定部と、(b)放熱係数又は熱伝導率と、密度と、の相関関係を保存する記憶装置と、(c)気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、相関関係と、に基づいて、気体の密度の測定値を算出する密度算出部と、を備える、密度測定システムが提供される。相関関係の変量は、密度を含んでいてもよい。この場合、密度算出部は、気体の圧力の測定値と、気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、相関関係と、に基づいて、気体の密度の測定値を算出する。
【0008】
また、本発明の態様によれば、(a)気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値を測定することと、(b)放熱係数又は熱伝導率と、密度と、の相関関係を用意することと、(c)気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、相関関係と、に基づいて、気体の密度の測定値を算出することと、を含む、密度の測定方法が提供される。相関関係の変量は、密度を含んでいてもよい。この場合、気体の圧力の測定値と、気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、相関関係と、に基づいて、気体の密度の測定値が算出される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、気体の密度を容易かつ正確に測定可能な密度測定システム及び密度の測定方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るマイクロチップの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るマイクロチップの図1のII−II方向から見た断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る発熱素子に関する回路図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る測温素子に関する回路図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る発熱素子の温度と、ガスの放熱係数の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態に係る密度測定システムの第1の模式図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る密度測定システムの第2の模式図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る密度算出式の作成方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る密度の測定方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明のその他の実施の形態に係るガスの熱伝導率と、放熱係数と、の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態の実施例に係るサンプル混合ガスの算出された密度の真値からの誤差を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態の実施例に係るサンプル混合ガスの算出された発熱量の真値からの誤差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
まず、斜視図である図1、及びII−II方向から見た断面図である図2を参照して、実施の形態に係る密度測定システムに用いられるマイクロチップ8について説明する。マイクロチップ8は、キャビティ66が設けられた基板60、及び基板60上にキャビティ66を覆うように配置された絶縁膜65を備える。基板60の厚みは、例えば0.5mmである。また、基板60の縦横の寸法は、例えばそれぞれ1.5mm程度である。絶縁膜65のキャビティ66を覆う部分は、断熱性のダイアフラムをなしている。さらにマイクロチップ8は、絶縁膜65のダイアフラムの部分に設けられた発熱素子61と、発熱素子61を挟むように絶縁膜65のダイアフラムの部分に設けられた第1の測温素子62及び第2の測温素子63と、基板60上に設けられた保温素子64と、を備える。
【0013】
発熱素子61は、キャビティ66を覆う絶縁膜65のダイアフラムの部分の中心に配置されている。発熱素子61は、例えば抵抗器であり、電力を与えられて発熱し、発熱素子61に接する雰囲気ガスを加熱する。第1の測温素子62及び第2の測温素子63は、例えば抵抗器等の受動素子等の電子素子であり、雰囲気ガスのガス温度に依存した電気信号を出力する。以下においては、第1の測温素子62の出力信号を利用する例を説明するが、これに限定されず、例えば第1の測温素子62の出力信号及び第2の測温素子63の出力信号の平均値を、測温素子の出力信号として利用してもよい。
【0014】
保温素子64は、例えば抵抗器であり、電力を与えられて発熱し、基板60の温度を一定に保つ。基板60の材料としては、シリコン(Si)等が使用可能である。絶縁膜65の材料としては、酸化ケイ素(SiO2)等が使用可能である。キャビティ66は、異方性エッチング等により形成される。また発熱素子61、第1の測温素子62、第2の測温素子63、及び保温素子64のそれぞれの材料には白金(Pt)等が使用可能であり、リソグラフィ法等により形成可能である。また、発熱素子61、第1の測温素子62、及び第2の測温素子63は、同一の部材からなっていてもよい。
【0015】
マイクロチップ8は、マイクロチップ8の底面に配置された断熱部材18を介して、雰囲気ガスが充填されるチャンバ等の容器に固定される。断熱部材18を介してマイクロチップ8をチャンバ等に固定することにより、マイクロチップ8の温度が、チャンバ等の内壁の温度変動の影響を受けにくくなる。ガラス等からなる断熱部材18の熱伝導率は、例えば1.0W/(m・K)以下である。
【0016】
図3に示すように、発熱素子61の一端には、例えば、オペアンプ170の+入力端子が電気的に接続され、他端は接地される。また、オペアンプ170の+入力端子及び出力端子と並列に、抵抗素子161が接続される。オペアンプ170の−入力端子は、電源、直列に接続された抵抗素子162と抵抗素子163との間、直列に接続された抵抗素子163と抵抗素子164との間、直列に接続された抵抗素子164と抵抗素子165との間、又は抵抗素子165の接地端子に電気的に接続される。各抵抗素子162−165の抵抗値を適当に定めることにより、例えば3.2Vの電圧Vinを抵抗素子162の一端に印加すると、抵抗素子163と抵抗素子162との間には、例えば2.8Vの電圧VL3が生じる。また、抵抗素子164と抵抗素子163との間には、例えば2.2Vの電圧VL2が生じ、抵抗素子165と抵抗素子164との間には、例えば1.5Vの電圧VL1が生じる。
【0017】
電源と、オペアンプの−入力端子との間には、スイッチSW1が設けられており、抵抗素子162及び抵抗素子163の間と、オペアンプの−入力端子との間には、スイッチSW2が設けられており、抵抗素子163及び抵抗素子164の間と、オペアンプの−入力端子との間には、スイッチSW3が設けられている。また、抵抗素子164及び抵抗素子165の間と、オペアンプの−入力端子との間には、スイッチSW4が設けられており、抵抗素子165の接地端子と、オペアンプの−入力端子との間には、スイッチSW5が設けられている。
【0018】
オペアンプ170の−入力端子に3.2Vの電圧Vinを印加する場合、スイッチSW1のみが通電され、スイッチSW2,SW3,SW4,SW5は切断される。オペアンプ170の−入力端子に2.8Vの電圧VL3を印加する場合、スイッチSW2のみが通電され、スイッチSW1,SW3,SW4,SW5は切断される。オペアンプ170の−入力端子に2.2Vの電圧VL2を印加する場合、スイッチSW3のみが通電され、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5は切断される。オペアンプ170の−入力端子に1.5Vの電圧VL1を印加する場合、スイッチSW4のみが通電され、スイッチSW1,SW2,SW3,SW5は切断される。オペアンプ170の−入力端子に0Vの電圧VL0を印加する場合、スイッチSW5のみが通電され、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4は切断される。したがって、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5の開閉によって、オペアンプ170の−入力端子に0V又は4段階の電圧のいずれかを印加可能である。そのため、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5の開閉によって、発熱素子61の発熱温度を定める印加電圧を4段階に設定可能である。
【0019】
ここで、オペアンプ170の+入力端子に1.5Vの電圧VL1を印加した場合の発熱素子61の温度をTH1とする。また、オペアンプ170の+入力端子に2.2Vの電圧VL2を印加した場合の発熱素子61の温度をTH2、オペアンプ170の+入力端子に2.8Vの電圧VL3を印加した場合の発熱素子61の温度をTH3とする。
【0020】
図4に示すように、第1の測温素子62の一端には、例えば、オペアンプ270の−入力端子が電気的に接続され、他端は接地される。また、オペアンプ270の−入力端子及び出力端子と並列に、抵抗素子261が接続される。オペアンプ270の+入力端子は、直列に接続された抵抗素子264と抵抗素子265との間に電気的に接続される。これにより、第1の測温素子62には、0.3V程度の弱い電圧が加えられる。
【0021】
図1及び図2に示す発熱素子61の抵抗値は、発熱素子61の温度によって変化する。発熱素子61の温度THと、発熱素子61の抵抗値RHの関係は、下記(1)式で与えられる。
RH = RH_STD×[1+αH (TH-TH_STD) + βH (TH-TH_STD)2] ・・・(1)
ここで、TH_STDは発熱素子61の標準温度を表し、例えば20℃である。RH_STDは標準温度TH_STDにおける予め測定された発熱素子61の抵抗値を表す。αHは1次の抵抗温度係数を表す。βHは2次の抵抗温度係数を表す。
【0022】
発熱素子61の抵抗値RHは、発熱素子61の駆動電力PHと、発熱素子61の通電電流IHから、下記(2)式で与えられる。
RH = PH / IH2 ・・・(2)
あるいは発熱素子61の抵抗値RHは、発熱素子61にかかる電圧VHと、発熱素子61の通電電流IHから、下記(3)式で与えられる。
RH = VH / IH ・・・(3)
【0023】
ここで、発熱素子61の温度THは、発熱素子61と雰囲気ガスの間が熱的に平衡になったときに安定する。なお、熱的に平衡な状態とは、発熱素子61の発熱と、発熱素子61から雰囲気ガスへの放熱とが釣り合っている状態をいう。下記(4)式に示すように、平衡状態における発熱素子61の駆動電力PHを、発熱素子61の温度THと雰囲気ガスの温度TIとの差ΔTHで割ることにより、雰囲気ガスの放熱係数MIが得られる。なお、放熱係数MIの単位は、例えばW/℃である。
MI = PH / (TH - TI)
= PH /ΔTH ・・・(4)
【0024】
上記(1)式より、発熱素子61の温度THは下記(5)式で与えられる。
TH = (1 / 2βH)×[-αH+ [αH2 - 4βH (1 - RH / RH_STD)]1/2] + TH_STD ・・・(5)
したがって、発熱素子61の温度THと、雰囲気ガスの温度TIと、の差ΔTHは、下記(6)式で与えられる。
ΔTH = (1 / 2βH)×[-αH+ [αH2 - 4βH (1 - RH / RH_STD)]1/2] + TH_STD - TI ・・・(6)
【0025】
雰囲気ガスの温度TIは、自己発熱しない程度の電力を与えられる第1の測温素子62の温度TIに近似する。第1の測温素子62の温度TIと、第1の測温素子62の抵抗値RIと、の関係は、下記(7)式で与えられる。
RI = RI_STD×[1+αI (TI-TI_STD) + βI (TI-TI_STD)2] ・・・(7)
I_STDは第1の測温素子62の標準温度を表し、例えば20℃である。RI_STDは標準温度TI_STDにおける予め測定された第1の測温素子62の抵抗値を表す。αIは1次の抵抗温度係数を表す。βIは2次の抵抗温度係数を表す。上記(7)式より、第1の測温素子62の温度TIは下記(8)式で与えられる。
TI = (1 / 2βI)×[-αI+ [αI2 - 4βI (1 - RI / RI_STD)]1/2] + TI_STD ・・・(8)
【0026】
よって、雰囲気ガスの放熱係数MIは、下記(9)式で与えられる。
MI = PH /ΔTH
=PH/[(1/2βH)[-αH+[αH2-4βH (1-RH/RH_STD)]1/2]+TH_STD-(1/2βI)[-αI+[αI2-4βI (1-RI/RI_STD)]1/2]-TI_STD]
=(RH IH2)/[(1/2βH)[-αH+[αH2-4βH (1-RH/RH_STD)]1/2]+TH_STD-(1/2βI)[-αI+[αI2-4βI (1-RI/RI_STD)]1/2]-TI_STD] ・・・(9)
【0027】
発熱素子61の通電電流IHと、駆動電力PH又は電圧VHは測定可能であるため、上記(2)式又は(3)式から発熱素子61の抵抗値RHを算出可能である。同様に、第1の測温素子62の抵抗値RIも算出可能である。よって、マイクロチップ8を用いて、上記(9)式から雰囲気ガスの放熱係数MIが算出可能である。
【0028】
なお、保温素子64で基板60の温度を一定に保つことにより、発熱素子61が発熱する前のマイクロチップ8の近傍の雰囲気ガスの温度が、基板60の一定の温度と近似する。そのため、発熱素子61が発熱する前の雰囲気ガスの温度の変動が抑制される。温度変動が一度抑制された雰囲気ガスを発熱素子61でさらに加熱することにより、より高い精度で放熱係数MIを算出することが可能となる。
【0029】
ここで、雰囲気ガスが混合ガスであり、混合ガスが、ガスA、ガスB、ガスC、及びガスDの4種類のガス成分からなっているとする。ガスAの体積率VA、ガスBの体積率VB、ガスCの体積率VC、及びガスDの体積率VDの総和は、下記(10)式で与えられるように、1である。
VA+VB+VC+VD=1 ・・・(10)
【0030】
また、ガスAの単位体積当たりの発熱量をKA、ガスBの単位体積当たりの発熱量をKB、ガスCの単位体積当たりの発熱量をKC、ガスDの単位体積当たりの発熱量をKDとすると、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、各ガス成分の体積率に、各ガス成分の単位体積当たりの発熱量を乗じたものの総和で与えられる。したがって、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(11)式で与えられる。なお、単位体積当たりの発熱量の単位は、例えばMJ/m3である。
Q = KA×VA+ KB×VB+ KC×VC+KD×VD ・・・(11)
【0031】
また、ガスAの放熱係数をMA、ガスBの放熱係数をMB、ガスCの放熱係数をMC、ガスDの放熱係数をMDとすると、混合ガスの放熱係数MIは、各ガス成分の体積率に、各ガス成分の放熱係数を乗じたものの総和で与えられる。したがって、混合ガスの放熱係数MIは、下記(12)式で与えられる。
MI = MA×VA+ MB×VB+ MC×VC+MD×VD ・・・(12)
【0032】
さらに、ガスの放熱係数は発熱素子61の温度THに依存するので、混合ガスの放熱係数MIは、発熱素子61の温度THの関数として、下記(13)式で与えられる。
MI (TH)= MA(TH)×VA+ MB(TH)×VB+ MC(TH)×VC+MD(TH)×VD ・・・(13)
【0033】
したがって、発熱素子61の温度がTH1のときの混合ガスの放熱係数MI1(TH1)は下記(14)式で与えられる。また、発熱素子61の温度がTH2のときの混合ガスの放熱係数MI2(TH2)は下記(15)式で与えられ、発熱素子61の温度がTH3のときの混合ガスの放熱係数MI3(TH3)は下記(16)式で与えられる。
MI1 (TH1)= MA(TH1)×VA+ MB(TH1)×VB+ MC(TH1)×VC+MD(TH1)×VD ・・・(14)
MI2 (TH2)= MA(TH2)×VA+ MB(TH2)×VB+ MC(TH2)×VC+MD(TH2)×VD ・・・(15)
MI3 (TH3)= MA(TH3)×VA+ MB(TH3)×VB+ MC(TH3)×VC+MD(TH3)×VD ・・・(16)
【0034】
ここで、発熱素子61の温度THに対して各ガス成分の放熱係数MA(TH),MB(TH),MC(TH),MD(TH)が非線形性を有する場合、上記(14)乃至(16)式は、線形独立な関係を有する。また、発熱素子61の温度THに対して各ガス成分の放熱係数MA(TH),MB(TH),MC(TH),MD(TH)が線形性を有する場合でも、発熱素子61の温度THに対する各ガス成分の放熱係数MA(TH),MB(TH),MC(TH),MD(TH)の変化率が異なる場合は、上記(14)乃至(16)式は、線形独立な関係を有する。さらに、(14)乃至(16)式が線形独立な関係を有する場合、(10)及び(14)乃至(16)式は線形独立な関係を有する。
【0035】
図5は、天然ガスに含まれるメタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)の放熱係数と、発熱抵抗体である発熱素子61の温度と、の関係を示すグラフである。発熱素子61の温度に対して、メタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)のそれぞれのガス成分の放熱係数は線形性を有する。しかし、発熱素子61の温度に対する放熱係数の変化率は、メタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)のそれぞれで異なる。したがって、混合ガスを構成するガス成分がメタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)であるである場合、上記(14)乃至(16)式は、線形独立な関係を有する。
【0036】
(14)乃至(16)式中の各ガス成分の放熱係数MA(TH1),MB(TH1),MC(TH1),MD(TH1),MA(TH2),MB(TH2),MC(TH2),MD(TH2),MA(TH3),MB(TH3),MC(TH3),MD(TH3)の値は、測定等により予め得ることが可能である。したがって、(10)及び(14)乃至(16)式の連立方程式を解くと、ガスAの体積率VA、ガスBの体積率VB、ガスCの体積率VC、及びガスDの体積率VDのそれぞれが、下記(17)乃至(20)式に示すように、混合ガスの放熱係数MI1(TH1),MI2(TH2),MI3(TH3)の関数として与えられる。なお、下記(17)乃至(20)式において、nを自然数として、fnは関数を表す記号である。
VA=f1[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)] ・・・(17)
VB=f2[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)] ・・・(18)
VC=f3[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)] ・・・(19)
VD=f4[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)] ・・・(20)
【0037】
ここで、上記(11)式に(17)乃至(20)式を代入することにより、下記(21)式が得られる。
Q = KA×VA+ KB×VB+ KC×VC+KD×VD
= KA×f1[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)]
+ KB×f2[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)]
+ KC×f3[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)]
+ KD×f4[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)] ・・・(21)
【0038】
上記(21)式に示すように、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、発熱素子61の温度がTH1,TH2,TH3である場合の混合ガスの放熱係数MI1(TH1),MI2(TH2),MI3(TH3)を変数とする方程式で与えられる。したがって、混合ガスの発熱量Qは、gを関数を表す記号として、下記(22)式で与えられる。
Q = g[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3)] ・・・(22)
【0039】
よって、ガスA、ガスB、ガスC、及びガスDからなる混合ガスについて、予め上記(22)式を得れば、ガスAの体積率VA、ガスBの体積率VB、ガスCの体積率VC、及びガスDの体積率VDが未知の測定対象混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qを容易に算出可能であることを、発明者は見出した。具体的には、発熱素子61の発熱温度がTH1,TH2,TH3である場合の測定対象混合ガスの放熱係数MI1(TH1),MI2(TH2),MI3(TH3)をそれぞれ測定し、(22)式に代入することにより、測定対象混合ガスの発熱量Qを一意に求めることが可能となる。
【0040】
また、気体の発熱量、放熱係数、及び熱伝導率等の熱特性は、気体の圧力に依存する。したがって、上記(22)式で与えられる発熱量Qの方程式に、下記(23)式に示すように、測定対象混合ガスの圧力Psの独立変数を加えることにより、発熱量Qの算出精度が高まる。
Q = g[MI1 (TH1), MI2 (TH2), MI3 (TH3), Ps] ・・・(23)
【0041】
さらに、混合ガスの放熱係数MIは、上記(9)式に示すように、発熱素子61の抵抗値RHと、第1の測温素子62の抵抗値RIと、に依存する。そこで、本発明者は、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(24)式に示すように、発熱素子61の温度がTH1,TH2,TH3である場合の発熱素子61の抵抗値RH1(TH1),RH2(TH2),RH3(TH3)と、混合ガスに接する第1の測温素子62の抵抗値RIと、圧力Psと、を変数とする方程式でも与えられることを見出した。
Q = g[RH1 (TH1), RH2 (TH2), RH3 (TH3), RI, Ps ] ・・・(24)
【0042】
よって、測定対象混合ガスに接する発熱素子61の発熱温度がTH1,TH2,TH3である場合の発熱素子61の抵抗値RH1(TH1),RH2(TH2),RH3(TH3)と、測定対象混合ガスに接する第1の測温素子62の抵抗値RIと、測定対象混合ガスの圧力Psと、を測定し、(24)式に代入することによっても、測定対象混合ガスの発熱量Qを一意に求めることが可能となる。
【0043】
また、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(25)式に示すように、発熱素子61の温度がTH1,TH2,TH3である場合の発熱素子61の通電電流IH1(TH1),IH2(TH2),IH3(TH3)と、混合ガスに接する第1の測温素子62の通電電流IIと、混合ガスの圧力Psと、を変数とする方程式でも与えられる。
Q = g[IH1 (TH1), IH2 (TH2), IH3 (TH3), II, Ps ] ・・・(25)
【0044】
あるいは混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(26)式に示すように、発熱素子61の温度がTH1,TH2,TH3である場合の発熱素子61にかかる電圧VH1(TH1),VH2(TH2),VH3(TH3)と、混合ガスに接する第1の測温素子62にかかる電圧VIと、混合ガスの圧力Psと、を変数とする方程式でも与えられる。
Q = g[VH1 (TH1), VH2 (TH2), VH3 (TH3), VI, Ps ] ・・・(26)
【0045】
またあるいは混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(27)式に示すように、発熱素子61の温度がTH1,TH2,TH3である場合の発熱素子61に接続されたアナログ−デジタル変換回路(以下において「A/D変換回路」という。)の出力信号ADH1(TH1),ADH2(TH2),ADH3(TH3)と、混合ガスに接する第1の測温素子62に接続されたA/D変換回路の出力信号ADIと、混合ガスの圧力Psと、を変数とする方程式でも与えられる。例えばA/D変換回路が二重積分型である場合、A/D変換回路の出力信号は、カウント値である。
Q = g[ADH1 (TH1), ADH2 (TH2), ADH3 (TH3), ADI, Ps ] ・・・(27)
【0046】
よって、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(28)式に示すように、発熱素子61の発熱温度がTH1,TH2,TH3である場合の発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)と、混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIと、混合ガスの圧力Psと、を変数とする方程式で与えられる。
Q = g[SH1 (TH1), SH2 (TH2), SH3 (TH3), SI, Ps ] ・・・(28)
【0047】
混合ガスの圧力Psは、圧力センサを用いて測定される。圧力センサは、例えば電気抵抗素子からなる歪みゲージを含む。歪みゲージは、圧力によって変形し、電気抵抗が変化する。したがって、圧力センサの出力電圧、あるいは圧力センサに接続されたA/D変換回路の出力信号等は、混合ガスの圧力Psに相関する。よって、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(29)式に示すように、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)と、第1の測温素子62からの電気信号SIと、圧力センサからの電気信号SPと、を変数とする方程式でも与えられる。
Q = g[SH1 (TH1), SH2 (TH2), SH3 (TH3), SI, SP ] ・・・(29)
【0048】
混合ガスの温度が一定であれば、第1の測温素子62からの電気信号SIは定数となる。この場合、混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qは、下記(30)式に示すように、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)と、圧力センサからの電気信号SPと、を変数とする方程式でも与えられる。
Q = g[SH1 (TH1), SH2 (TH2), SH3 (TH3), SP ] ・・・(30)
【0049】
混合ガスのガス成分は、4種類に限定されることはない。例えば、混合ガスがn種類のガス成分からなる場合、まず、下記(31)式で与えられる、少なくともn−1種類の発熱温度TH1,TH2,TH3,・・・,THn-1における発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),・・・,SHn-1(THn-1)と、混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIと、圧力センサからの電気信号SPと、を変数とする方程式を予め取得する。そして、n−1種類の発熱温度TH1,TH2,TH3,・・・,THn-1における、n種類のガス成分のそれぞれの体積率が未知の測定対象混合ガスに接する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),・・・,SHn-1(THn-1)の値と、測定対象混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIの値と、測定対象混合ガスに接する圧力センサからの電気信号SPの値と、を測定し、(31)式に代入することにより、測定対象混合ガスの単位体積当たりの発熱量Qを一意に求めることが可能となる。
Q = g[SH1 (TH1), SH2 (TH2), SH3 (TH3), ・・・, SHn-1 (THn-1), SI, SP ] ・・・(31)
【0050】
ただし、混合ガスが、ガス成分としてメタン(CH4)、プロパン(C38)に加えて、jを自然数として、メタン(CH4)とプロパン(C38)以外のアルカン(Cj2j+2)を含む場合、メタン(CH4)とプロパン(C38)以外のアルカン(Cj2j+2)を、メタン(CH4)とプロパン(C38)の混合物とみなしても、(31)式の算出には影響しない。例えば、エタン(C26)、ブタン(C410)、ペンタン(C512)、ヘキサン(C614)を、下記(32)乃至(35)式に示すように、それぞれ所定の係数を掛けられたメタン(CH4)とプロパン(C38)の混合物とみなして(31)式を算出してもかまわない。
C2H6 = 0.5 CH4 + 0.5 C3H8 ・・・(32)
C4H10 = -0.5 CH4 + 1.5 C3H8 ・・・(33)
C5H12 = -1.0 CH4 + 2.0 C3H8 ・・・(34)
C6H14 = -1.5 CH4 + 2.5 C3H8 ・・・(35)
【0051】
したがって、zを自然数として、n種類のガス成分からなる混合ガスが、ガス成分としてメタン(CH4)、プロパン(C38)に加えて、メタン(CH4)とプロパン(C38)以外のz種類のアルカン(Cj2j+2)を含む場合、少なくともn−z−1種類の発熱温度における発熱素子61からの電気信号SHと、第1の測温素子62からの電気信号SIと、圧力センサからの電気信号SPと、を変数とする方程式を求めてもよい。
【0052】
なお、(31)式の算出に用いられた混合ガスのガス成分の種類と、単位体積当たりの発熱量Qが未知の測定対象混合ガスのガス成分の種類が同じ場合に、測定対象混合ガスの発熱量Qの算出に(31)式を利用可能であることはもちろんである。さらに、測定対象混合ガスがn種類より少ない種類のガス成分からなり、かつ、n種類より少ない種類のガス成分が、(31)式の算出に用いられた混合ガスに含まれている場合も、(31)式を利用可能である。例えば、(31)式の算出に用いられた混合ガスが、メタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)の4種類のガス成分を含む場合、測定対象混合ガスが、窒素(N2)を含まず、メタン(CH4)、プロパン(C38)、及び二酸化炭素(CO2)の3種類のガス成分のみを含む場合も、測定対象混合ガスの発熱量Qの算出に(31)式を利用可能である。
【0053】
さらに、(31)式の算出に用いられた混合ガスが、ガス成分としてメタン(CH4)とプロパン(C38)を含む場合、測定対象混合ガスが、(31)式の算出に用いられた混合ガスに含まれていないアルカン(Cj2j+2)を含んでいても、(31)式を利用可能である。これは、上述したように、メタン(CH4)とプロパン(C38)以外のアルカン(Cj2j+2)を、メタン(CH4)とプロパン(C38)の混合物とみなしても、(31)式を用いた単位体積当たりの発熱量Qの算出に影響しないためである。
【0054】
また、ガスの密度Dは、ガスの発熱量Qに比例する。ガスの発熱量Qは、上記(31)式で与えられる。したがって、混合ガスの密度Dは、hを関数を表す記号として、下記(36)式に示すように、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),・・・,SHn-1(THn-1)と、第1の測温素子62からの電気信号SIと、圧力センサからの電気信号SPと、を変数とする方程式で与えられる。
D = h[SH1 (TH1), SH2 (TH2), SH3 (TH3), ・・・, SHn-1 (THn-1), SI, SP ] ・・・(36)
【0055】
ここで、図6に示す実施の形態に係る密度測定システム20は、複数のサンプル混合ガスのそれぞれが注入される容器であるチャンバ101と、チャンバ101に配置され、図1に示す第1の測温素子62及び複数の異なる電圧を加えられ複数の発熱温度THで発熱する発熱素子61を含むマイクロチップ8と、圧力センサ201と、を備える。さらに、図6に示す密度測定システム20は、複数のサンプル混合ガスのそれぞれの温度TIに依存する第1の測温素子62からの電気信号SIの値と、複数の発熱温度THのそれぞれにおける発熱素子61からの電気信号SHの値と、圧力センサ201からの電気信号SPの値と、を測定する測定部301を備える。
【0056】
またさらに、密度測定システム20は、密度算出式作成部302と、発熱量算出式作成部352と、を備える。密度算出式作成部302は、複数の混合ガスの既知の密度Dの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、複数の発熱温度における発熱素子61からの電気信号SHの値、及び圧力センサ201からの電気信号SPの値に基づいて、第1の測温素子62からの電気信号SI、複数の発熱温度THにおける発熱素子61からの電気信号SH、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の密度Dを従属変数とする密度算出式を作成する。
【0057】
発熱量算出式作成部352は、複数の混合ガスの既知の発熱量Qの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、複数の発熱温度における発熱素子61からの電気信号SHの値、及び圧力センサ201からの電気信号SPの値に基づいて、第1の測温素子62からの電気信号SI、複数の発熱温度THにおける発熱素子61からの電気信号SH、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の発熱量Qを従属変数とする発熱量算出式を作成する。なお、サンプル混合ガスは、複数種類のガス成分を含む。
【0058】
マイクロチップ8は、断熱部材18を介してチャンバ101内に配置されている。チャンバ101には、サンプル混合ガスをチャンバ101に送るための流路102と、サンプル混合ガスをチャンバ101から外部に排出するための流路103と、が接続されている。
【0059】
チャンバ101内部の気体の圧力を測定する圧力センサ201としては、例えばゲージ圧センサ及び絶対圧センサが使用可能である。圧力センサ201は、感圧素子を備える。感圧素子としては、例えば半導体ダイアフラム型、静電容量型、弾性体ダイアフラム型、圧電型、及び振動型等が使用可能である。
【0060】
それぞれ密度D及び発熱量Qが異なる4種類のサンプル混合ガスが使用される場合、図7に示すように、第1のサンプル混合ガスを貯蔵する第1のガスボンベ50A、第2のサンプル混合ガスを貯蔵する第2のガスボンベ50B、第3のサンプル混合ガスを貯蔵する第3のガスボンベ50C、及び第4のサンプル混合ガスを貯蔵する第4のガスボンベ50Dが用意される。第1のガスボンベ50Aには、流路91Aを介して、第1のサンプル混合ガスの気圧を調節する第1のガス圧調節器31Aが接続されている。また、第1のガス圧調節器31Aには、流路92Aを介して、第1の流量制御装置32Aが接続されている。第1の流量制御装置32Aは、流路92A及び流路102を介して密度測定システム20に送られる第1のサンプル混合ガスの流量を制御する。
【0061】
第2のガスボンベ50Bには、流路91Bを介して、第2のガス圧調節器31Bが接続されている。また、第2のガス圧調節器31Bには、流路92Bを介して、第2の流量制御装置32Bが接続されている。第2の流量制御装置32Bは、流路92B,93,102を介して密度測定システム20に送られる第2のサンプル混合ガスの流量を制御する。
【0062】
第3のガスボンベ50Cには、流路91Cを介して、第3のガス圧調節器31Cが接続されている。また、第3のガス圧調節器31Cには、流路92Cを介して、第3の流量制御装置32Cが接続されている。第3の流量制御装置32Cは、流路92C,93,102を介して密度測定システム20に送られる第3のサンプル混合ガスの流量を制御する。
【0063】
第4のガスボンベ50Dには、流路91Dを介して、第4のガス圧調節器31Dが接続されている。また、第4のガス圧調節器31Dには、流路92Dを介して、第4の流量制御装置32Dが接続されている。第4の流量制御装置32Dは、流路92D,93,102を介して密度測定システム20に送られる第4のサンプル混合ガスの流量を制御する。
【0064】
第1乃至第4のサンプル混合ガスのそれぞれは、例えば密度及び発熱量が異なる天然ガスである。第1乃至第4のサンプル混合ガスのそれぞれは、例えばメタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)の4種類のガス成分を異なる比で含む。
【0065】
図6に示すチャンバ101に第1のサンプル混合ガスが充填された後、圧力センサ201は、第1のサンプル混合ガスの圧力に依存する電気信号SPを出力する。図1及び図2に示すマイクロチップ8の第1の測温素子62は、第1のサンプル混合ガスの温度に依存する電気信号SIを出力する。発熱素子61は、図6に示す駆動回路303から駆動電力PH1,PH2,PH3を与えられる。駆動電力PH1,PH2,PH3を与えられた場合、第1のサンプル混合ガスに接する発熱素子61は、例えば、100℃の温度TH1、150℃の温度TH2、及び200℃の温度TH3で発熱し、発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)を出力する。
【0066】
チャンバ101から第1のサンプル混合ガスが除去された後、第2乃至第4のサンプル混合ガスがチャンバ101に順次充填される。第2のサンプル混合ガスがチャンバ101に充填された後、圧力センサ201は、第2のサンプル混合ガスの圧力に依存する電気信号SPを出力する。図1及び図2に示すマイクロチップ8の第1の測温素子62は、第2のサンプル混合ガスの温度に依存する電気信号SIを出力する。第2のサンプル混合ガスに接する発熱素子61は、発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)を出力する。
【0067】
第3のサンプル混合ガスが図6に示すチャンバ101に充填された後、圧力センサ201は、第3のサンプル混合ガスの圧力に依存する電気信号SPを出力する。図1及び図2に示すマイクロチップ8の第1の測温素子62は、第3のサンプル混合ガスの温度に依存する電気信号SIを出力する。第3のサンプル混合ガスに接する発熱素子61は、発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)を出力する。
【0068】
第4のサンプル混合ガスが図6に示すチャンバ101に充填された後、圧力センサ201は、第4のサンプル混合ガスの圧力に依存する電気信号SPを出力する。図1及び図2に示すマイクロチップ8の第1の測温素子62は、第4のサンプル混合ガスの温度に依存する電気信号SIを出力する。第4のサンプル混合ガスに接する発熱素子61は、発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)を出力する。
【0069】
なお、それぞれのサンプル混合ガスがn種類のガス成分を含む場合、マイクロチップ8の図1及び図2に示す発熱素子61は、少なくともn−1種類の異なる温度で発熱させられる。ただし、上述したように、メタン(CH4)及びプロパン(C38)以外のアルカン(Cj2j+2)は、メタン(CH4)及びプロパン(C38)の混合物とみなしうる。したがって、zを自然数として、n種類のガス成分からなるサンプル混合ガスが、ガス成分としてメタン(CH4)及びプロパン(C38)に加えてz種類のアルカン(Cj2j+2)を含む場合は、発熱素子61は、少なくともn−z−1種類の異なる温度で発熱させられる。
【0070】
図6に示すように、マイクロチップ8及び圧力センサ201は、A/D変換回路304を介して測定部301を含む中央演算処理装置(CPU)300に接続されている。CPU300には、電気信号記憶装置401が接続されている。測定部301は、第1の測温素子62からの電気信号SIの値と、発熱素子61からの発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)の値と、圧力センサ201からの電気信号SPの値と、を測定し、測定値を電気信号記憶装置401に保存する。
【0071】
第1の測温素子62からの電気信号SIとは、第1の測温素子62の抵抗値RI、第1の測温素子62の通電電流II、第1の測温素子62にかかる電圧VI、及び第1の測温素子62に接続されたA/D変換回路304の出力信号ADIのいずれであってもよい。同様に、発熱素子61からの電気信号SHとは、発熱素子61の抵抗値RH、発熱素子61の通電電流IH、発熱素子61にかかる電圧VH、及び発熱素子61に接続されたA/D変換回路304の出力信号ADHのいずれであってもよい。また、圧力センサ201からの電気信号SPとは、例えば圧力センサ201が備える歪みゲージの抵抗値、歪みゲージの通電電流、歪みゲージにかかる電圧、及び歪みゲージに接続されたA/D変換回路304の出力信号のいずれであってもよい。
【0072】
CPU300に含まれる密度算出式作成部302は、例えば第1乃至第4のサンプル混合ガスのそれぞれの既知の密度Dの値と、第1の測温素子62からの電気信号SIの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の複数の測定値と、圧力センサ201からの電気信号SPの複数の測定値と、を収集する。さらに発熱量算出式作成部352は、収集した密度D、電気信号SI、電気信号SH、及び電気信号SPの値に基づいて、多変量解析により、第1の測温素子62からの電気信号SI、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の密度Dを従属変数とする密度算出式を算出する。
【0073】
CPU300に含まれる発熱量算出式作成部352は、例えば第1乃至第4のサンプル混合ガスのそれぞれの既知の発熱量Qの値と、第1の測温素子62からの電気信号SIの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の複数の測定値と、圧力センサ201からの電気信号SPの複数の測定値と、を収集する。さらに発熱量算出式作成部352は、収集した発熱量Q、電気信号SI、電気信号SH、及び電気信号SPの値に基づいて、多変量解析により、第1の測温素子62からの電気信号SI、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の発熱量Qを従属変数とする発熱量算出式を算出する。
【0074】
なお、「多変量解析」とは、A. J Smola及びB. Scholkopf著の「A Tutorial on Support Vector Regression」(NeuroCOLT Technical Report (NC−TR−98−030)、1998年)に開示されているサポートベクトル回帰、重回帰分析、及び特開平5−141999号公報に開示されているファジィ数量化理論II類等を含む。
【0075】
密度測定システム20は、CPU300に接続された式記憶装置402をさらに備える。式記憶装置402は、密度算出式作成部302が作成した密度算出式と、発熱量算出式作成部352が作成した発熱量算出式と、を保存する。さらにCPU300には、入力装置312及び出力装置313が接続される。入力装置312としては、例えばキーボード、及びマウス等のポインティングデバイス等が使用可能である。出力装置313には液晶ディスプレイ、モニタ等の画像表示装置、及びプリンタ等が使用可能である。
【0076】
次に、図8に示すフローチャートを用いて、実施の形態に係る密度測定システム20を用いた、密度算出式及び発熱量算出式の作成方法について説明する。なお、以下においては、チャンバ101内部の気圧を、大気圧、5kPa、20kPa、及び30kPaに設定して、密度算出式及び発熱量算出式を作成する例を説明する。
【0077】
(a)ステップS100で、図7に示す第2乃至第4の流量制御装置32B−32Dの弁を閉じたまま、第1の流量制御装置32Aの弁を開き、図6に示すチャンバ101内に第1のサンプル混合ガスを導入する。ステップS101で、チャンバ101内部の気圧を大気圧と同じにする。測定部301は、圧力センサ201からの気圧を表す電気信号SPの値を測定し、電気信号記憶装置401に保存する。また、測定部301は、第1のサンプル混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIの値を測定し、電気信号記憶装置401に保存する。次に、駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61に駆動電力PH1を与え、発熱素子61を100℃で発熱させる。図6に示す測定部301は、100℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0078】
(b)ステップS102で、測定部301は、チャンバ101内部の気圧の切り替えが完了したか否か判定する。5kPa、20kPa、及び30kPaへの切り替えが完了していない場合には、ステップS101に戻り、チャンバ101内部の気圧を5kPaに設定する。さらに測定部301は、5kPaにおける圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、及び100℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0079】
(c)再びステップS102で、測定部301は、チャンバ101内部の気圧の切り替えが完了したか否か判定する。20kPa及び30kPaへの切り替えが完了していない場合には、ステップS101に戻り、チャンバ101内部の気圧を20kPaに設定する。さらに測定部301は、20kPaにおける圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、及び100℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0080】
(d)再びステップS102で、測定部301は、チャンバ101内部の気圧の切り替えが完了したか否か判定する。30kPaへの切り替えが完了していない場合には、ステップS101に戻り、チャンバ101内部の気圧を30kPaに設定する。さらに測定部301は、30kPaにおける圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、及び100℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0081】
(e)チャンバ101内部の気圧の切り替えが完了した場合には、ステップS102からステップS103に進む。ステップS103で、駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61の温度の切り替えが完了したか否か判定する。温度150℃及び温度200℃への切り替えが完了していない場合には、ステップS101に戻り、図6に示す駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61を150℃で発熱させる。その後、ステップS101及びステップS102のループを繰り返し、図6に示す測定部301は、大気圧、5kPa、20kPa、及び30kPaのそれぞれにおける圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、及び150℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0082】
(f)再びステップS103で、駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61の温度の切り替えが完了したか否か判定する。温度200℃への切り替えが完了していない場合には、ステップS101に戻り、図6に示す駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61を200℃で発熱させる。その後、ステップS101及びステップS102のループを繰り返し、図6に示す測定部301は、大気圧、5kPa、20kPa、及び30kPaのそれぞれにおける圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、及び200℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0083】
(g)発熱素子61の温度の切り替えが完了した場合には、ステップS103からステップS104に進む。ステップS104で、サンプル混合ガスの切り替えが完了したか否かを判定する。第2乃至第4のサンプル混合ガスへの切り替えが完了していない場合には、ステップS100に戻る。ステップS100で、図7に示す第1の流量制御装置32Aを閉じ、第3乃至第4の流量制御装置32C−32Dの弁を閉じたまま第2の流量制御装置32Bの弁を開き、図6に示すチャンバ101内に第2のサンプル混合ガスを導入する。
【0084】
(h)第1のサンプル混合ガスと同様に、ステップS101乃至ステップS103のループが繰り返される。測定部301は、大気圧、5kPa、20kPa、及び30kPaのそれぞれにおける第2のサンプル混合ガスに接する圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、並びに100℃、150℃、及び200℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0085】
(i)その後、ステップS100乃至ステップS104のループが繰り返される。これにより、測定部301は、大気圧、5kPa、20kPa、及び30kPaのそれぞれにおける第3のサンプル混合ガスに接する圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、並びに100℃、150℃、及び200℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。また、測定部301は、大気圧、5kPa、20kPa、及び30kPaのそれぞれにおける第4のサンプル混合ガスに接する圧力センサ201からの電気信号SPの値、第1の測温素子62からの電気信号SIの値、並びに100℃、150℃、及び200℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0086】
(j)ステップS105で、入力装置312から密度算出式作成部302に、第1のサンプル混合ガスの既知の密度Dの値、第2のサンプル混合ガスの既知の密度Dの値、第3のサンプル混合ガスの既知の密度Dの値、及び第4のサンプル混合ガスの既知の密度Dの値を入力する。また、入力装置312から発熱量算出式作成部352に、第1のサンプル混合ガスの既知の発熱量Qの値、第2のサンプル混合ガスの既知の発熱量Qの値、第3のサンプル混合ガスの既知の発熱量Qの値、及び第4のサンプル混合ガスの既知の発熱量Qの値を入力する。さらに、密度算出式作成部302及び発熱量算出式作成部352のそれぞれは、電気信号記憶装置401から、第1の測温素子62からの電気信号SIの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の複数の測定値と、圧力センサ201からの電気信号SPの複数の測定値と、を読み出す。
【0087】
(k)ステップS106で、密度算出式作成部302は、第1乃至第4のサンプル混合ガスの密度Dの値と、第1の測温素子62からの電気信号SIの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の複数の測定値と、圧力センサ201からの電気信号SPの複数の測定値と、に基づいて、重回帰分析を行う。重回帰分析により、密度算出式作成部302は、第1の測温素子62からの電気信号SI、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の密度Dを従属変数とする密度算出式を算出する。また、発熱量算出式作成部352は、第1乃至第4のサンプル混合ガスの発熱量Qの値と、第1の測温素子62からの電気信号SIの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の複数の測定値と、圧力センサ201からの電気信号SPの複数の測定値と、に基づいて、重回帰分析を行う。重回帰分析により、発熱量算出式作成部352は、第1の測温素子62からの電気信号SI、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の発熱量Qを従属変数とする発熱量算出式を算出する。その後、ステップS107で、密度算出式作成部302は作成した密度算出式を式記憶装置402に保存し、発熱量算出式作成部352は作成した発熱量算出式を式記憶装置402に保存して、実施の形態に係る発熱量算出式の作成方法が終了する。
【0088】
以上示したように、実施の形態に係る密度測定システム20を用いた密度算出式及び発熱量算出式の作成方法によれば、気体の密度Dの値を一意に算出可能な密度算出式と、気体の発熱量Qの値を一意に算出可能な発熱量算出式と、を作成することが可能となる。
【0089】
次に、密度D及び発熱量Qが未知の測定対象混合ガスの密度D及び発熱量Qの値を測定する際の、実施の形態に係る密度測定システム20の機能を説明する。例えば未知の体積率でメタン(CH4)、プロパン(C38)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)等を含む、密度D及び発熱量Qが未知の天然ガス等の測定対象混合ガスが、チャンバ101に導入される。圧力センサ201は、測定対象混合ガスの気圧に依存する電気信号SPを出力する。図1及び図2に示すマイクロチップ8の第1の測温素子62は、測定対象混合ガスの温度に依存する電気信号SIを出力する。次に、発熱素子61は、図6に示す駆動回路303から駆動電力PH1,PH2,PH3を与えられる。駆動電力PH1,PH2,PH3を与えられた場合、測定対象混合ガスに接する発熱素子61は、例えば、100℃の温度TH1、150℃の温度TH2、及び200℃の温度TH3で発熱し、発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)を出力する。
【0090】
図6に示す測定部301は、測定対象混合ガスに接し、測定対象混合ガスの気圧に依存する圧力センサ201からの電気信号SPの値と、測定対象混合ガスの温度TIに依存する第1の測温素子62からの電気信号SIの値と、測定対象混合ガスに接する発熱素子61からの発熱温度TH1における電気信号SH1(TH1)、発熱温度TH2における電気信号SH2(TH2)、及び発熱温度TH3における電気信号SH3(TH3)の値と、を測定し、測定値を電気信号記憶装置401に保存する。
【0091】
上述したように、式記憶装置402は、第1の測温素子62からの電気信号SIと、発熱温度TH1が100℃の発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)と、発熱温度TH2が150℃の発熱素子61からの電気信号SH2(TH2)と、発熱温度TH3が200℃の発熱素子61からの電気信号SH3(TH3)と、圧力センサ201からの電気信号SPと、を独立変数とし、気体の密度Dを従属変数とする密度算出式を保存している。また、式記憶装置402は、第1の測温素子62からの電気信号SIと、発熱温度TH1が100℃の発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)と、発熱温度TH2が150℃の発熱素子61からの電気信号SH2(TH2)と、発熱温度TH3が200℃の発熱素子61からの電気信号SH3(TH3)と、圧力センサ201からの電気信号SPと、を独立変数とし、気体の発熱量Qを従属変数とする発熱量算出式を保存している。
【0092】
実施の形態に係る密度測定システム20は、さらに、密度算出部305及び発熱量算出部355を備える。密度算出部305は、発熱量算出式の第1の測温素子62からの電気信号SIの独立変数、発熱素子61からの電気信号SHの独立変数、及び圧力センサ201からの電気信号SPの独立変数に、第1の測温素子62からの電気信号SIの測定値、発熱素子61からの電気信号SHの測定値、及び圧力センサ201からの電気信号SPの測定値をそれぞれ代入し、チャンバ101に注入された測定対象混合ガスの密度Dの測定値を算出する。
【0093】
発熱量算出部355は、発熱量算出式の第1の測温素子62からの電気信号SIの独立変数、発熱素子61からの電気信号SHの独立変数、及び圧力センサ201からの電気信号SPの独立変数に、第1の測温素子62からの電気信号SIの測定値、発熱素子61からの電気信号SHの測定値、及び圧力センサ201からの電気信号SPの測定値をそれぞれ代入し、チャンバ101に注入された測定対象混合ガスの発熱量Qの測定値を算出する。
【0094】
CPU300には、算出値記憶装置403がさらに接続されている。算出値記憶装置403は、密度算出部305が算出した測定対象混合ガスの密度Dの値と、発熱量算出部355が算出した測定対象混合ガスの発熱量Qの値と、を保存する。
【0095】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、実施の形態に係る密度測定システム20を用いた、密度及び発熱量の測定方法について説明する。
【0096】
(a)ステップS200で、図6に示すチャンバ101内に測定対象混合ガスを導入する。ステップS201で、測定部301は、測定対象混合ガスに接する圧力センサ201からの電気信号SPの値を測定し、電気信号記憶装置401に保存する。また、測定部301は、測定対象混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIの値を測定し、電気信号記憶装置401に保存する。次に、駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61に駆動電力PH1を与え、発熱素子61を100℃で発熱させる。図6に示す測定部301は、測定対象混合ガスに接し、100℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0097】
(b)ステップS202で、図6に示す駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61の温度の切り替えが完了したか否か判定する。温度150℃及び温度200℃への切り替えが完了していない場合には、ステップS201に戻り、駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61に駆動電力PH2を与え、発熱素子61を150℃で発熱させる。図6に示す測定部301は、測定対象混合ガスに接し、150℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH2(TH2)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0098】
(c)再びステップS202で、図1及び図2に示す発熱素子61の温度の切り替えが完了したか否か判定する。温度200℃への切り替えが完了していない場合には、ステップS201に戻り、駆動回路303は、図1及び図2に示す発熱素子61に駆動電力PH3を与え、発熱素子61を200℃で発熱させる。図6に示す測定部301は、測定対象混合ガスに接し、200℃で発熱する発熱素子61からの電気信号SH3(TH3)の値を、電気信号記憶装置401に保存する。
【0099】
(d)発熱素子61の温度の切り替えが完了した場合には、ステップS202からステップS203に進む。ステップS203で、図6に示す密度算出部305は、式記憶装置402から、第1の測温素子62からの電気信号SI、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の密度Dを従属変数とする密度算出式を読み出す。また、発熱量算出部355は、式記憶装置402から、第1の測温素子62からの電気信号SI、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び圧力センサ201からの電気信号SPを独立変数とし、気体の発熱量Qを従属変数とする発熱量算出式を読み出す。さらに、密度算出部305及び発熱量算出部355のそれぞれは、電気信号記憶装置401から、測定対象混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIの測定値、測定対象混合ガスに接する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の測定値、及び圧力センサ201からの電気信号SPの測定値を読み出す。
【0100】
(e)ステップS204で、密度算出部305は、密度算出式の電気信号SI、電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び電気信号SPの独立変数に、それぞれ測定値を代入し、測定対象混合ガスの密度Dの値を算出する。また、発熱量算出部355は、発熱量算出式の電気信号SI、電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)、及び電気信号SPの独立変数に、それぞれ測定値を代入し、測定対象混合ガスの発熱量Qの値を算出する。その後、密度算出部305は、算出した密度Dの値を算出値記憶装置403に保存し、発熱量算出部355は、算出した発熱量Qの値を算出値記憶装置403に保存して、実施の形態に係る密度の測定方法を終了する。
【0101】
以上説明した実施の形態に係る発熱量算出方法によれば、測定対象混合ガスに接する第1の測温素子62からの電気信号SIの値と、測定対象混合ガスに接する発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3)の値と、測定対象混合ガスに接する圧力センサ201からの電気信号SPの値と、から、測定対象混合ガスの密度Dの値と、発熱量Qの値と、を測定することが可能となる。
【0102】
天然ガスは、産出ガス田によって炭化水素の成分比率が異なる。また、天然ガスには、炭化水素の他に、窒素(N2)や炭酸ガス(CO2)等が含まれる。そのため、産出ガス田によって、天然ガスに含まれるガス成分の体積率は異なり、ガス成分の種類が既知であっても、天然ガスの密度D及び発熱量Qは未知であることが多い。また、同一のガス田由来の天然ガスであっても、密度D及び発熱量Qが常に一定であるとは限らず、採取時期によって変化することもある。
【0103】
従来、天然ガスの使用料金を徴収する際には、天然ガスの使用発熱量Qでなく、使用体積に応じて課金する方法がとられている。しかし、天然ガスは由来する産出ガス田によって発熱量Qが異なるため、使用体積に課金するのは公平でない。これに対し、実施の形態に係る発熱量算出方法を用いれば、ガス成分の種類が既知であるが、ガス成分の体積率が未知であるために密度D及び発熱量Qが未知の天然ガス等の混合ガスの密度D及び発熱量Qを、簡易に算出することが可能となる。そのため、公平な使用料金を徴収することが可能となる。
【0104】
また、密度D及び発熱量Qを測定したガスを大気に捨てることは、環境上、好ましくない。したがって、ガスパイプ中のガスの密度D及び発熱量Qを測定する際には、ガスパイプそのものに密度測定システムを設けるか、ガスパイプのバイパス経路に密度測定システムを設け、密度D及び発熱量Qを測定したガスをガスパイプに戻すことが好ましい。この際、ガスパイプ中の気圧は、顕著に変動しうる。これに対し、実施の形態に係る密度測定システムによれば、発熱量算出式に圧力の独立変数を含めたことにより、気圧の変動による密度D及び発熱量Qの算出誤差を抑制することが可能となる。なお、発熱量算出式の作成と、発熱量の測定と、の両方に同じ圧力センサ201を用いる場合は、圧力センサ201は補正回路を有していなくともよい。これは、必ずしも、正確な圧力の値を測定しなくとも、圧力に応じて圧力センサ201が出力する電気信号さえ測定できれば、気圧の変動による発熱量の算出誤差を抑制することが可能なためである。
【0105】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施の形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、実施の形態では、図6に示す式記憶装置402が、圧力センサ201からの電気信号、図1に示す第1の測温素子62からの電気信号及び複数の発熱温度における発熱素子61からの電気信号を独立変数とし、密度Dを従属変数とする密度算出式を保存する例を説明した。
【0106】
これに対し、上記(23)式で説明したように、気体の密度Dに比例する発熱量Qは、気体の圧力Psと、発熱素子61の温度がそれぞれTH1,TH2,TH3である場合の気体の放熱係数MI1(TH1),MI2(TH2),MI3(TH3)と、を変数とする方程式でも与えられる。よって、図6に示す式記憶装置402は、気体の圧力、及び発熱素子61の複数の発熱温度における気体の放熱係数を独立変数とし、密度Dを従属変数とする密度算出式を保存してもよい。この場合、測定部301は、チャンバ101に注入された気体の放熱係数の測定値を、発熱素子61を複数の発熱温度に発熱させて測定する。なお、気体の放熱係数をマイクロチップ8を用いて測定可能であることは、上記(9)式で説明したとおりである。密度算出部305は、式記憶装置402に保存されている密度算出式の独立変数に、気体の圧力の測定値、及び気体の放熱係数の測定値を代入して、気体の密度Dの測定値を算出する。
【0107】
次に、図10は、発熱抵抗体に2mA、2.5mA、及び3mAの電流を流した際の、混合ガスの放熱係数と、熱伝導率と、の関係を示す。図10に示すように、混合ガスの放熱係数と、熱伝導率と、は一般に比例関係にある。したがって、図6に示す式記憶装置402は、気体の圧力、及び発熱素子61の複数の発熱温度における気体の熱伝導率を独立変数とし、密度Dを従属変数とする密度算出式を保存してもよい。この場合、測定部301は、チャンバ101に注入された気体の熱伝導率の測定値を、発熱素子61を複数の発熱温度に発熱させて測定する。発熱量算出部355は、式記憶装置402に保存されている密度算出式の独立変数に、気体の圧力の測定値、及び気体の熱伝導率の測定値を代入して、気体の密度Dの測定値を算出する。
【0108】
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。
【0109】
(実施例)
まず、発熱量Qの値が既知の12種類のサンプル混合ガスを用意した。12種類のサンプル混合ガスのそれぞれは、ガス成分としてメタン(CH4)、エタン(C26)、プロパン(C38)、ブタン(C410)、窒素(N2)、及び二酸化炭素(CO2)のいずれか又は全部を含んでいた。例えば、あるサンプル混合ガスは、90vol%のメタン、3vol%のエタン、1vol%のプロパン、1vol%のブタン、4vol%の窒素、及び1vol%の二酸化炭素を含んでいた。また、あるサンプル混合ガスは、85vol%のメタン、10vol%のエタン、3vol%のプロパン、及び2vol%のブタンを含み、窒素及び二酸化炭素を含んでいなかった。また、あるサンプル混合ガスは、85vol%のメタン、8vol%のエタン、2vol%のプロパン、1vol%のブタン、2vol%の窒素、及び2vol%の二酸化炭素を含んでいた。
【0110】
次に、12種類のサンプル混合ガスのそれぞれを用いて、圧力センサからの電気信号SPの複数の測定値と、4つの異なる電圧を加えられた発熱素子からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),SH4(TH4)の複数の測定値と、を取得した。その後、12種類のサンプル混合ガスの既知の密度Dの値と、圧力センサからの電気信号SPの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),SH4(TH4)の複数の測定値と、に基づいて、サポートベクトル回帰により、圧力センサからの電気信号SP、及び発熱素子からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),SH4(TH4)を独立変数とし、密度Dを従属変数とする、密度Dを算出するための方程式を作成した。
【0111】
作成した密度Dを算出するための方程式を用いて、12種類のサンプル混合ガスのそれぞれの密度Dを算出し、真の密度Dと比較したところ、図11に示すように、誤差は±0.65%以内であった。
【0112】
次に、12種類のサンプル混合ガスのそれぞれを用いて、圧力センサからの電気信号SPの複数の測定値と、4つの異なる電圧を加えられた発熱素子からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),SH4(TH4)の複数の測定値と、を取得した。その後、12種類のサンプル混合ガスの既知の発熱量Qの値と、圧力センサからの電気信号SPの複数の測定値と、発熱素子61からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),SH4(TH4)の複数の測定値と、に基づいて、サポートベクトル回帰により、圧力センサからの電気信号SP、及び発熱素子からの電気信号SH1(TH1),SH2(TH2),SH3(TH3),SH4(TH4)を独立変数とし、発熱量Qを従属変数とする、発熱量Qを算出するための方程式を作成した。
【0113】
作成された方程式を用いて、12種類のサンプル混合ガスのそれぞれの発熱量Qを算出し、真の発熱量Qと比較したところ、図12に示すように、誤差は±1%以内であった。
【符号の説明】
【0114】
8 マイクロチップ
18 断熱部材
20 密度測定システム
31A,31B,31C,31D ガス圧調節器
32A,32B,32C,32D 流量制御装置
50A,50B,50C,50D ガスボンベ
60 基板
61 発熱素子
62 第1の測温素子
63 第2の測温素子
64 保温素子
65 絶縁膜
66 キャビティ
91A,91B,91C,91D,92A,92B,92C,92D,93,102,103 流路
101 チャンバ
161,162,163,164,165,261,264,265 抵抗素子
170,270 オペアンプ
201 圧力センサ
301 測定部
302 密度算出式作成部
303 駆動回路
304 A/D変換回路
305 密度算出部
312 入力装置
313 出力装置
352 発熱量算出式作成部
355 発熱量算出部
401 電気信号記憶装置
402 式記憶装置
403 算出値記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる電圧を加えられる発熱素子が設けられ、気体が注入される容器と、
前記複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の前記発熱素子からの電気信号を独立変数とし、密度を従属変数とする密度算出式を保存する記憶装置と、
前記密度算出式の独立変数に、前記発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、前記容器に注入された気体の密度の測定値を算出する密度算出部と、
を備える、密度測定システム。
【請求項2】
前記容器に測温素子がさらに設けられており、
前記密度算出式が、前記容器に注入された気体の温度に依存する前記測温素子からの電気信号を独立変数としてさらに含み、
前記密度算出部が、前記密度算出式の独立変数に、前記測温素子からの電気信号の測定値をさらに代入して、前記容器に注入された気体の密度の測定値を算出する、
請求項1に記載の密度測定システム。
【請求項3】
前記容器に圧力センサがさらに設けられており、
前記密度算出式が、前記容器に注入された気体の圧力に依存する前記圧力センサからの電気信号を独立変数としてさらに含み、
前記密度算出部が、前記密度算出式の独立変数に、前記圧力センサからの電気信号の測定値をさらに代入して、前記容器に注入された気体の密度の測定値を算出する、
請求項1又は2に記載の密度測定システム。
【請求項4】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの密度の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれに接する前記発熱素子からの電気信号の値とに基づいて、前記密度算出式が作成された、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の密度測定システム。
【請求項5】
前記密度算出式を作成するために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項4に記載の密度測定システム。
【請求項6】
前記記憶装置が、前記複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の前記発熱素子からの電気信号を独立変数とし、発熱量を従属変数とする発熱量算出式を更に保存し、
前記発熱量算出式の独立変数に、前記発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、前記容器に注入された気体の発熱量の測定値を算出する発熱量算出部を更に備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の密度測定システム。
【請求項7】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの発熱量の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれに接する前記発熱素子からの電気信号の値とに基づいて、前記発熱量算出式が作成された、請求項6に記載の密度測定システム。
【請求項8】
前記発熱量算出式を作成するために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項7に記載の密度測定システム。
【請求項9】
複数の異なる電圧を加えられる発熱素子が設けられた容器に気体を注入することと、
前記複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の前記発熱素子からの電気信号を独立変数とし、密度を従属変数とする密度算出式を用意することと、
前記密度算出式の独立変数に、前記発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、前記容器に注入された気体の密度の測定値を算出することと、
を含む、密度の測定方法。
【請求項10】
前記容器に測温素子がさらに設けられており、
前記密度算出式が、前記容器に注入された気体の温度に依存する前記測温素子からの電気信号を独立変数としてさらに含み、
前記密度の測定値を算出することにおいて、前記密度算出式の独立変数に、前記測温素子からの電気信号の測定値をさらに代入して、前記容器に注入された気体の密度の測定値を算出する、
請求項9に記載の密度の測定方法。
【請求項11】
前記容器に圧力センサがさらに設けられており、
前記密度算出式が、前記容器に注入された気体の圧力に依存する前記圧力センサからの電気信号を独立変数としてさらに含み、
前記密度の測定値を算出することにおいて、前記密度算出式の独立変数に、前記圧力センサからの電気信号の測定値をさらに代入して、前記容器に注入された気体の密度の測定値を算出する、
請求項9又は10に記載の密度の測定方法。
【請求項12】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの密度の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれに接する前記発熱素子からの電気信号の値とに基づいて、前記密度算出式が作成された、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の密度の測定方法。
【請求項13】
前記密度算出式を作成するために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項12に記載の密度の測定方法。
【請求項14】
前記複数の異なる電圧をそれぞれ加えられた場合の前記発熱素子からの電気信号を独立変数とし、発熱量を従属変数とする発熱量算出式を用意することと、
前記発熱量算出式の独立変数に、前記発熱素子からの電気信号の測定値を代入して、前記容器に注入された気体の発熱量の測定値を算出することと、
を更に含む、請求項9乃至13のいずれか1項に記載の密度の測定方法。
【請求項15】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの発熱量の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれに接する前記発熱素子からの電気信号の値とに基づいて、前記発熱量算出式が作成された、請求項14に記載の密度の測定方法。
【請求項16】
前記発熱量算出式を作成するために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項15に記載の密度の測定方法。
【請求項17】
気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値を測定する測定部と、
前記放熱係数又は熱伝導率と、密度と、の相関関係を保存する記憶装置と、
前記気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、前記相関関係と、に基づいて、前記気体の密度の測定値を算出する密度算出部と、
を備える、密度測定システム。
【請求項18】
前記測定部が前記気体の圧力の測定値を測定し、
前記相関関係の変量が、更に前記圧力を含み、
前記密度算出部が、前記気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、前記圧力の測定値と、前記相関関係と、に基づいて、前記気体の密度の測定値を算出する、
請求項17に記載の密度測定システム。
【請求項19】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの密度の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれの放熱係数又は熱伝導率の値と、に基づいて、前記相関関係が得られた、請求項17又は18に記載の密度測定システム。
【請求項20】
前記相関関係を得るために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項19に記載の密度測定システム。
【請求項21】
前記記憶装置が、前記放熱係数又は熱伝導率と、発熱量と、の相関関係を更に保存し、
前記気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、前記発熱量に関する相関関係と、に基づいて、前記気体の発熱量の測定値を算出する発熱量算出部を更に備える、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の密度測定システム。
【請求項22】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの発熱量の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれの放熱係数又は熱伝導率の値と、に基づいて、前記発熱量に関する相関関係が得られた、請求項21に記載の密度測定システム。
【請求項23】
前記発熱量に関する相関関係を得るために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項22に記載の密度測定システム。
【請求項24】
気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値を測定することと、
前記放熱係数又は熱伝導率と、密度と、の相関関係を用意することと、
前記気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、前記相関関係と、に基づいて、前記気体の密度の測定値を算出することと、
を含む、密度の測定方法。
【請求項25】
前記相関関係の変量が、更に圧力を含み、
前記気体の前記圧力の測定値を測定することを更に含み、
前記気体の密度の測定値を算出することにおいて、前記気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、前記圧力の測定値と、前記相関関係と、に基づいて、前記気体の密度の測定値を算出する、
請求項24に記載の密度の測定方法。
【請求項26】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの密度の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれの放熱係数又は熱伝導率の値と、に基づいて、前記相関関係が得られた、請求項24又は25に記載の密度の測定方法。
【請求項27】
前記相関関係を得るために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項26に記載の密度の測定方法。
【請求項28】
前記放熱係数又は熱伝導率と、発熱量と、の相関関係を用意することと、
前記気体の放熱係数又は熱伝導率の測定値と、前記発熱量に関する相関関係と、に基づいて、前記気体の発熱量の測定値を算出することと、
を更に含む、請求項24乃至27のいずれか1項に記載の密度の測定方法。
【請求項29】
複数種類のガス成分を含む複数のサンプル混合ガスの発熱量の値と、前記複数のサンプル混合ガスのそれぞれの放熱係数又は熱伝導率の値と、に基づいて、前記発熱量に関する相関関係が得られた、請求項28に記載の密度の測定方法。
【請求項30】
前記発熱量に関する相関関係を得るために、サポートベクトル回帰が用いられた、請求項29に記載の密度の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−202772(P2012−202772A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66579(P2011−66579)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)