説明

密度相分離装置

【解決課題】血液サンプルを分離するために容易に用いられ、遠心分離の際にサンプルの重い相及び軽い相の交差汚染を最小化し、保管及び発送中に温度の影響を受けず、かつ放射線滅菌に安定である分離器装置を提供する。
【解決手段】流体サンプルを第1及び第2の相に分離する機械式分離器が開示されている。流体サンプルを管内で第1及び第2の相に分離する機械式分離器は、配置された可動プラグ620を有する内部622を画成するフロート668を含んでいる。可動プラグ620には横向き孔623が設けられ、フロートの内部における流体サンプルの膨張に応答して、フロートの長手方向軸に沿って第1の位置からフロート668に設けられた横向き孔624に整列される第2の位置まで移行すべく適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年7月21日に出願された「密度相分離装置」という題名の米国仮特許出願第61/082,356号、及び2008年7月21日に出願された「密度相分離装置」という題名の米国仮特許出願第61/082,365号の優先権を主張し、各々の開示内容は参照することによって、ここに組み入れられているものとする。
本発明は、流体サンプルの重い成分と軽い成分を分離する装置に関する。より詳しくは、この発明は流体サンプルを採集かつ搬送する装置に関し、それによって、流体サンプルの軽い成分から重い成分の分離を生じさせるために、該装置及び流体サンプルが遠心分離にさらされる。
【背景技術】
【0002】
診断検査は、患者の全血サンプルを、血清又は血漿(軽相成分)、及び赤血球(重相成分)のような成分に分離することを要求している。全血サンプルは、典型的には、注射器又は真空採血管に取付けられたカニューレ又はニードルを介した静脈穿刺によって採取される。採取後、血液の血清又は血漿、及び赤血球への分離は、遠心分離機内での注射器又は管の回転によって達成される。この分離を維持するためには、障壁が、重い相成分と軽い相成分との間に位置されねばならない。これは、分離された成分が後で検査されるのを可能にする。
【0003】
採取装置において、様々な分離障壁が流体サンプルの重い相及び軽い相の間で領域を分割するために用いられてきた。最も広く用いられた装置は、ポリエステルゲルのような揺変性ゲル材料を含んでいる。しかしながら、現在のポリエステルゲル血清分離管は、ゲルを用意し、そして管に満たす両者のために、特別な製造装置を必要としている。さらに、製品の保管寿命が限られている。時間が経つと、血球がゲルの塊から開放され、分離された相成分の一方又は両方に入り得る。これらの血球は、管内に採集されたサンプルの臨床検査の際に用いられる機器のプローブのような計測機器を詰まらせるかもしれない。さらに、商業的に入手可能なゲルの障壁は、検体と化学的に反応するかもしれない。したがって、採取されるときにある薬剤が血液サンプル中に存していると、ゲル境界との不都合な化学反応が生じ得る。
【0004】
機械式障壁が流体サンプルの重い相及び軽い相の間に用いられ得る、いくつかの機械式分離器もまた提案されている。従来の機械式障壁は、重い相及び軽い相の成分の間に位置され、遠心分離中に加えられる異なる浮力と高められた重力を利用している。血漿及び血清試料に関しての適切な方向付けのために、従来の機械式分離器は、典型的には、機械式分離器が、装置が採血セットに係合されたときに血液の充満が装置を介して又は周辺で起こるように、管の閉鎖体の下側に固定されることを必要としている。この取付けは、発送、取扱い、及び血液吸引の際に、分離器が時期尚早に移動するのを防ぐために必要である。従来の機械式分離器は、ベローズ構成部品と閉鎖体との間の機械式インターロック(連結)によって、管の閉鎖体に固定されている。かかる装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0005】
従来の機械式分離器は、いくつかの重大な欠点を有している。図1に示されるように、従来の分離器は、管又は注射器の壁38とのシールを提供するベローズ34を含んでいる。典型的には、ベローズ34の少なくとも一部分が、閉鎖体32内に収容されるか、又はそれに接触している。図1に示されるように、ニードル30が閉鎖体32を通って入るとき、ベローズ34は押し下げられる。これは、ニードルの挿入又は取外しの際に、中に血液が溜まるかもしれない空洞36を作り出す。これは、閉鎖体の下でのサンプルの溜り、機械式分離器が採血中に尚早に解放して血清及び血漿のような流体相を大量に捕捉する装置の事前発射(pre-launch)、及び/又は低サンプル品質という結果に帰し得る。さらに、以前の機械式分離器は、複雑な多部品製作技術のせいで、製造するのが高価かつ複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,803,022号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、標準のサンプリング装置に適合し、かつ従来の分離器の前述した問題を低減又は排除する分離器装置についての必要性が存している。血液サンプルを分離するために容易に用いられ、遠心分離の際にサンプルの重い相及び軽い相の交差汚染を最小化し、保管及び発送中に温度の影響を受けず、かつ放射線滅菌に安定である分離器装置についての必要性もまた存している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、流体サンプルをより高い比重相、及びより低い比重相に分離するためのアセンブリに向けられている。望ましくは、 本発明の機械式分離器は管と共に用いられ、そして当該機械式分離器は、流体サンプルの部分を分離するために、加えられた遠心力の作用の下に該管内を移動するように構成されている。最も好ましくは、管は、開いた端部、第2の端部、及び開いた端部と第2の端部との間に延在する側壁を含んでいる試料採集管である。側壁は、外表面及び内表面を含み、該管は、再シール可能な隔壁を備え、管の開いた端部に嵌り合うべく配置された閉鎖体をさらに含んでいる。代替的に、管の両端部が開かれ、その管の両端部がそエラストマーの閉鎖体によってシールされてもよい。該管の閉鎖体の少なくとも1つは、ニードルで穿刺可能で再シール可能な隔壁を含み得る。
【0009】
機械式分離器は、管の頂部の閉鎖体と底の間の位置の管内に配置され得る。分離器は、対立する頂端部及び底端部を含み、そして穿孔可能なヘッド、バラスト、及びベローズを有するフロートを含んでいる。分離器の構成部品は、分離器の全体密度が血液サンプルのような流体サンプルの相(複数)の密度の間に存することを達成すべく寸法付けられ、かつ構成されている。
【0010】
一実施形態において管内で流体サンプルを第1及び第2の相に分離する機械式分離器は、第1及び第2の端部の間に延在する通路を備えるフロートであって、穿孔可能なヘッドがフロートの該第1端部を囲っているフロートを含む。該機械式分離器はまた、該フロートに関して長手方向に移動可能なバラスト、及び該フロートの一部分と該バラストの一部分との間に延在するベローズであって、該フロート及び該バラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、該穿孔可能なヘッドからは隔離されているベローズを含んでいる。一実施形態において、該フロートは第1の密度を有し、及び該バラストは第2の密度を有しており、ここで、第1の密度は第2の密度より小さい。
【0011】
機械式分離器の穿孔可能なヘッドは、穿刺先端が挿通されるときに変形を抑制するように構成されている。穿孔可能なヘッドは、閉鎖体との係合のためのリム部分をさらに備え、そして選択肢として、このリム部分は、少なくとも1つのノッチを画成していてもよい。
【0012】
穿孔可能なヘッドは、フロートの上方凹部内に少なくとも部分的に受け入れられていてもよい。このベローズは、該フロートの少なくとも一部分の周りに周方向に配置されていてもよい。1つの構成において、穿孔可能なヘッド及びベローズは、フロートの一部分によって隔離されている。もう1つの構成においては、穿孔可能なヘッド及びベローズは、フロートのネック部分によって隔離されている。さらにもう1つの構成では、ベローズが、拘束用表面を画成する内部壁を備え、及びフロートは、該拘束用表面に係合する肩部を含んでいる。
【0013】
バラストは、ベローズの取付けのために、その一部分を受け入れるインターロック(連結)凹部を画成してもよい。このようにして、ベローズ及びバラストは固定される。加えて、バラストは、組立て過程で支援するために、外表面に周方向に配置された環状の肩部を画成する外表面を含むことができる。
【0014】
機械式分離器の一実施形態において、フロートはポリプロピレンから作られ、穿孔可能なヘッドは、Kraton Polymers, LLCから商業的に入手可能なKraton(登録商標)のような熱可塑性のエラストマー(TPE)から作られ、ベローズもまた熱可塑性のエラストマーから作られ、バラストはポリエチレンテレフタレート(PET)から作られ得る。
【0015】
もう1つの実施形態では、流体サンプルを第1及び第2の相に分離することが可能な分離アセンブリは、開いた端部、第2の端部、及びそれらの間に延在する側壁を有する管、及び管の開いた端部にシール係合するように適合された閉鎖体を含んでいる。この閉鎖体は凹部を画成し、そして、分離アセンブリは、該凹部内に解放可能に係合された機械式分離器を含んでいる。該機械式分離器は、第1及び第2の端部の間に延在する通路を備えるフロートであって、穿孔可能なヘッドが該フロートの該第1端部を囲んでいるフロートを含んでいる。該機械式分離器はまた、該フロートに関して長手方向に移動可能なバラスト、及び該フロートの一部分と該バラストの一部分との間に延在するベローズであって、フロート及び該バラストの長手方向の移動のときに変形するように適合されたベローズを含んでいる。該機械式分離器のベローズは、穿孔可能なヘッドから隔離されている。一実施形態において、フロートは第1の密度を有し、及びバラストは第2の密度を有し、第1の密度が第2の密度より小さい。
【0016】
フロートの該穿孔可能なヘッドは、穿刺先端が挿通されるときに変形を抑制するように構成されてもよい。1つの構成において、穿孔可能なヘッド及びベローズは、フロートの一部分によって隔離されている。もう1つの構成において、穿孔可能なヘッド及びベローズは、フロートのネック部分によって隔離されている。選択肢として、ベローズは、拘束用表面を画成する内部壁を含み、及びフロートは、該拘束用表面に係合する肩部を備える。バラストは、ベローズの取付けのために、その一部分を受け入れるインターロック(連結)凹部を画成していてもよい。
【0017】
もう1つの実施形態において、機械式分離器は、穿孔可能なヘッドを有するフロートを含む第1のサブアセンブリであって、穿孔可能なヘッドはフロートの第1の端部を囲む第1のサブアセンブリとバラスト及びベローズを有する第2のサブアセンブリとを含んでいる。第1のサブアセンブリは第1の密度を有し、第2のサブアセンブリは第2の密度を有してもよく、第2の密度は第1のサブアセンブリの第1の密度より大きい。第1のサブアセンブリと第2のサブアセンブリとは、ベローズが変形するとバラストがフロートに関して長手方向に移動可能であるように、ベローズを介して取付けられてもよい。第2のサブアセンブリのベローズは、第1のサブアセンブリの穿孔可能なヘッドから隔離されている。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態において、機械式分離器を組み立てる方法は、ネック部を有すフロート及び穿孔可能なヘッドを備える第1のサブアセンブリを用意し、バラストから延在し、内部保持表面を含んでいるベローズを含んでいる第2のサブアセンブリを用意し、及び該第1のサブアセンブリと該第2のサブアセンブリとを結合するステップを備える。第1のサブアセンブリと第2のサブアセンブリとは、フロートのネック部がベローズの内部保持表面に機械的に干渉するように、結合される。フロートは第1の密度を有し、かつバラストはフロートの第1の密度より大きな第2の密度を有してもよい。選択肢として、結合するステップは、フロートのネック部がベローズの内部保持表面に機械的に干渉するまで、ベローズの内部を通してフロートを挿入及び案内することを含む。バラストはまた、機械式のアセンブラーをそこに受け入れるために周りに周方向に配置された環状の肩部を画成する外表面を含み得る。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態において、流体サンプルを第1及び第2の相に分離することが可能な分離アセンブリは、管にシール係合するように適合された閉鎖体であって、凹部を画成している閉鎖体を含む。該分離アセンブリは、機械式分離器をさらに含んでいる。機械式分離器は、第1及び第2の端部の間に延在する通路を画成するフロートであって、穿孔可能なヘッドがフロートの第1端部を囲んでいるフロートを含む。穿孔可能なヘッドは凹部内に解放可能に係合されている。機械式分離器はまた、フロートに関して長手方向に移動可能なバラストであって、フロートの第1の密度よりも大きな第2の密度を有するバラストを含む。機械式分離器はさらに、フロートの一部分とバラストの一部分との間に延在するベローズであって、フロート及びバラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、穿孔可能なヘッドから隔離されているベローズを含んでいる。
【0020】
1つの構成において、閉鎖体と機械式分離器との間の干渉は、穿孔可能なヘッドと凹部との間にのみ生ずる。分離アセンブリはまた、機械式分離器が、変形可能なベローズの伸長なく閉鎖体から解放され得るように構成されている。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態に従えば、流体サンプルを管内で第1及び第2の相に分離する機械式分離器は、第1の上方に向けられた端部と第2の下方に向けられた端部との間に延在する通路を備えるフロートを含んでいる。機械式分離器はまた、フロートに関して長手方向に移動可能なバラスト、及びフロートの一部分とバラストの一部分との間に延在するベローズであって、フロート及びバラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、フロートの第1の上方に向けられた端部から隔離されているベローズを含んでいる。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態に従うと、流体サンプルを第1及び第2の相に分離することが可能な分離アセンブリは、開いた端部、第2の端部、及びそれらの間に延在する側壁を有する管を含んでいる。分離アセンブリはまた、該管の開いた端部にシール係合するように適合された閉鎖体であって、凹部を画成している閉鎖体、及び該凹部内に解放可能に係合された機械式分離器を含んでいる。機械式分離器は、第1の上方に向けられた端部と第2の下方に向けられた端部との間に延在する通路を有するフロートを含む。機械式分離器はまた、フロートに関して長手方向に移動可能なバラスト、及びフロートの一部分とバラストの一部分との間に延在するベローズを含む。ベローズは、フロート及びバラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、フロートの第1の上方に向けられた端部から隔離されている。選択肢として、分離アセンブリは、流体サンプルを、機械式分離器を通過させずに管、及び機械式分離器の周りに導入するように適合されている。
【0023】
本発明のさらにもう1つの実施形態に従うと、流体サンプルを管内で第1及び第2の相に分離する機械式分離器は、配置された可動プラグを有する内部を画成するフロートを含んでいる。可動プラグは、フロートの内部における流体サンプルの膨張に応答して、フロートの長手方向軸に沿って第1の位置から第2の位置まで移行すべく適合されている。
【0024】
1つの構成において、フロートは横向き孔を画成し、及び該可動プラグは、第1の位置でフロートの横向き孔に実質的に整列され、及び第2の位置でフロートの一部分によって閉塞される横向き孔を画成している。選択肢として、可動プラグは、穿孔可能なヘッドによって、フロートの内部に拘束される。機械式分離器はまた、フロートに関して長手方向に移動可能なバラスト、及びフロートの一部分とバラストの一部分との間に延在するベローズを含み得る。ベローズは、フロート及びバラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、フロートの第1の上方に向けられた端部から隔離され得る。
【0025】
本発明のさらなる実施形態に従うと、流体サンプルを管内で第1及び第2の相に分離する機械式分離器は、フロートと、フロートに関して長手方向に移動可能なバラストと、フロートの一部分とバラストの一部分との間に延在するベローズとを含んでいる。ベローズは、フロート及びバラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、両者間でのガスの通気を許容するべくフロートから少なくとも部分的に分離するように適合されている。
【発明の効果】
【0026】
本発明のアセンブリは、分離ゲルを利用している従来の分離製品よりも有利である。特に、本発明のアセンブリは、多くのゲルが体液と相互作用するのに対し、検体に干渉しない。本発明のもう1つの特性は、本発明のアセンブリは検体をモニターする治療薬剤に干渉しないということである。
【0027】
本発明のアセンブリはまた、別々の穿孔可能なヘッド及びベローズが機械式分離器のニードル接触面からベローズのシール機能を隔離するのを許容するということで、従来の機械式分離器よりも有利である。これは、それぞれのシール機能及びニードル接触面機能を最適化するために、異なる材料又は材料厚さが用いられることを可能にする。また、これは穿刺先端の接触面により安定した目標領域を設けることによって装置の事前発射を最小化し、閉鎖体の下でのサンプルの溜りを低減する。加えて、事前発射は、穿孔可能なヘッドのストッパーの内部に対する予圧縮によってさらに最小化される。フロートの外部とバラストの内部との間の減少された間隔が、血清及び血漿のような捕捉された流体の相の損失を最小化する。加えて、本発明のアセンブリは、製作の際に、複雑な押出し成形技術を必要とせず、及び最適には、双料射出成形技術を採用し得る。
【0028】
ここに説明されるように、本発明の機械式分離器は、従来のゲル管のように、分析プローブを閉塞させない。本発明のさらなる詳細及び有利な点は、添付図面との関連で読まれるときの以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の機械式分離器の一部側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に従う、閉鎖体、ベローズ、バラスト、穿孔可能なヘッド、フロート、及び採集管を含む機械式分離器アセンブリの分解斜視図である。
【図3】図2の閉鎖体の底表面の斜視図である。
【図4】図3の4-4線に沿って採った図2の閉鎖体の断面図である。
【図5】図2の穿孔可能なヘッドの斜視図である。
【図6】図2の穿孔可能なヘッドの上面図である。
【図7】図2の穿孔可能なヘッドの側面図である。
【図8】図7の8-8線に沿って採った図2の穿孔可能なヘッドの断面図である。
【図9】図2のフロートの側面図である。
【図10】図9の10-10線に沿って採った図2のフロートの断面図である。
【図11】図10の区分XIに沿って採った図2のフロートの一部分の拡大断面図である。
【図12】図2のフロートの上面図である。
【図13】図2のベローズの斜視図である。
【図14】図2のベローズの側面図である。
【図15】図14の15-15線に沿って採った図2のベローズの断面図である。
【図16】図2のバラストの斜視図である。
【図17】図2のバラストの側面図である。
【図18】図17の18-18線に沿って採った図2のバラストの断面図である。
【図19】図18の区分IXXに沿って採った図2のベローズの一部分の拡大断面図である。
【図20】本発明の実施形態に従う、穿孔可能なヘッド、フロート、ベローズ、及びバラストを含む機械式分離器の斜視図である。
【図21】図20の機械式分離器の正面図である。
【図22】図21の22-22線に沿って採った図20の機械式分離器の断面図である。
【図23】本発明の実施形態に従う、閉鎖体に取付けられた機械式分離器の断面図である。
【図24】本発明の実施形態に従う、管、管内に位置された機械式分離器、閉鎖体、閉鎖体及び管の一部分を取り囲むシールド、及び管にアクセスしているニードルを含む機械式分離器アセンブリの一部断面斜視図である。
【図25】本発明の実施形態に従う、内部に配置された閉鎖体及び機械式分離器を有する管を含むアセンブリの正面図である。
【図26】本発明の実施形態に従う、管の内部にアクセスしているニードルと該ニードルを介して管の内部にもたらされたある量の流体を有する図25のアセンブリの正断面図である。
【図27】本発明の実施形態に従う、使用中に取外されたニードルと閉鎖体から離れて位置されている機械式分離器を有する図25のアセンブリの正断面図である。
【図27A】本発明の実施形態に従う、負荷を受けて内部に配置された機械式分離器を有する管を含むアセンブリの一部正断面図である。
【図27B】遠心分離後の図27Aのアセンブリの一部正断面図である。
【図28】本発明の実施形態に従う、流体のより高密度部分から流体のより低密度部分を分離する機械式分離器を有する図25のアセンブリの正断面図である。
【図29】本発明の実施形態に従う、バラスト留め具を有する機械式分離器の代替実施形態の斜視図である。
【図30】図29の機械式分離器の正断面図である。
【図31】図29の機械式分離器の正面図である。
【図32】図31の32-32線に沿って採った図29の機械式分離器の断面図である。
【図33】図30の区分XXXIIIに沿って採った図29の機械式分離器の一部断面図である。
【図34】本発明の実施形態に従う、テーパー付輪郭を有する、図33の代替実施形態の一部断面図である。
【図35】本発明の実施形態に従う、穿孔可能なヘッド部分及びフロートを有する第1のサブアセンブリの正面図である。
【図36】図35の第1のサブアセンブリの断面図である。
【図37】本発明の実施形態に従う、ベローズ及びバラストを有する第2のサブアセンブリの斜視図である。
【図38】図37の第2のサブアセンブリの一部正断面図である。
【図39】本発明の実施形態に従う、機械式分離器の第1のサブアセンブリ及び第2のサブアセンブリの正断面図である。
【図40】図39の組立てられた機械式分離器の斜視図である。
【図41】本発明の実施形態に従う、機械式分離器の斜視図である。
【図42】図41の機械式分離器の正面図である。
【図43】図41の機械式分離器の左側面図である。
【図44】図41の機械式分離器の後面図である。
【図45】図41の機械式分離器の右側面図である。
【図46】図41の機械式分離器の上面図である
【図47】図41の機械式分離器の底面図である。
【図48】図41の機械式分離器のフロートの斜視図である。
【図49】図41の機械式分離器の穿孔可能なヘッドの上面斜視図である。
【図50】図49の穿孔可能なヘッドの底面斜視図である。
【図51】本発明の閉鎖体内に位置決めされた図41の機械式分離器の正断面図である。
【図52】図41の機械式分離器が内部に配置されている閉鎖体を有する試料収集容器の正面図である。
【図53】図52の53-53線に沿って採った図52の試料収集容器、閉鎖体及び機械式分離器の正断面図である。
【図54】本発明の実施形態に従う、閉鎖体及び機械式分離器の一部分の一部正断面図である。
【図55】図54の閉鎖体の上面斜視図である。
【図56】図54の閉鎖体の底面斜視図である。
【図57】本発明の実施形態に従う、代替の閉鎖体及び機械式分離器の一部分の正断面図である。
【図58】本発明の実施形態に従う、図57の58-58線に沿って採った図57の代替閉鎖体及び機械式分離器の一部分の側断面図である。
【図58A】本発明の実施形態に従う、内部に配置された機械式分離器を有する試料収集容器に係合された図57-58の代替閉鎖体の正断面図である。
【図59】本発明の実施形態に従う、フロート内に配置された可動プラグを有する機械式分離器の一部断面斜視図である。
【図60】内部の初期位置に配置された可動プラグを有する図59のフロートの正断面図である。
【図61】図60のフロート及び変位位置にある可動プラグの正断面図である。
【図62】本発明の一実施形態に従う、中実のフロートを有する機械式分離器の一部断面図である。
【図63】試料収集容器内に配置され、かつ閉鎖体に係合された図62の機械式分離器の正断面図である。
【図64】閉鎖体の一部分を通り試料収集容器内にサンプルを導入するニードルを有する図63の機械式分離器の正断面図である。
【図65】本発明の一実施形態に従う、分離部品を有する試料収集容器内に配置された機械式分離器の代替の実施形態の一部正断面図である。
【図66】本発明の一実施形態に従う、リブ付突出部を有する試料収集容器内に配置された機械式分離器の代替の実施形態の一部正断面図である。
【図67】本発明の一実施形態に従う、切欠きを有する試料収集容器内に配置された機械式分離器の代替の実施形態の一部正断面図である。
【図68】本発明の一実施形態に従う、機械式分離器の一部分の回りに配置されたワッシャーを有する図63の機械式分離器の一部正断面図である。
【図69】図68のワッシャーの斜視図である。
【図70】図68のワッシャーの代替の実施形態の斜視図である。
【図71】本発明の一実施形態に従う、係合された閉鎖体を有し、かつ内部に配置された機械式分離器を有する試料収集容器の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明の目的のために、語「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「横方向」、「長手方向」及び同様の空間に関する用語は、用いられるとき、図面で方向付けられている通りに説明される実施形態に関係する。しかしながら、多くの代替の変形例及び実施形態が、それとは反対に明示的に特定されない場合を除き、当然考えられ得ることが理解されるべきである。添付の図面に図解され、かつ説明される特定の装置及び実施形態は、本発明の単なる例示的な実施形態であることもまた理解されるべきである。
【0031】
図2の分解斜視図に示されるように、本発明の機械式分離器アセンブリ40は、管46に関連して用いるための、管46内で流体サンプルを第1及び第2の相に分離する機械式分離器44を備える閉鎖体42を含んでいる。管46は、プロテオミクス(proteomics)、分子診断、化学サンプル管、血液又は他の体液採集管、凝固サンプル管、血液学サンプル管等のような、サンプル採集管であってもよい。望ましくは、管46は真空採血管である。一実施形態において、管46は、特別な試験手順のために必要とされる、凝固抑制剤、凝固剤等のような追加の添加物を包含してもよい。かかる添加物は、粒子又は液体形状であるか、管46の筒状の側壁52に噴霧されるか、又は管46の底に位置され得る。管46は、並置用端部のような閉じた底端部48、開いた頂端部50、及び両者間に延在する筒状の側壁52を含んでいる。筒状の側壁52は、開いた頂端部50から閉じた底端部48のほぼ近くの位置まで、ほぼ一様に延在する内径「a」の内表面54を含んでいる。
【0032】
管46は、以下の代表的な材料、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス、又はそれらの組合せのうちの1つ以上から作られてもよい。管46は、単壁又は複壁構成を含むことができる。加えて、管46は、適切な生物学的サンプルを得るために、如何なる実用的大きさに構成されてもよい。例えば、管46は、この技術分野で知られているような従来の大量管、小量管、又はマイクロ容器(microtainer)管と同様の大きさのものであってもよい。1つの特別な実施形態において、管46は、この技術分野でまた知られているような、標準の3ml真空採血管であってもよい。
【0033】
開いた頂端部50は、液体不透過性シールを形成するために、少なくとも部分的に閉鎖体42を受け入れるべく構成されている。閉鎖体42は、頂端部56及び管46内に少なくとも部分的に受け入れられるべく構成されている底端部58を含んでいる。閉鎖体42の頂端部56に近接する部分は、管46の内径「a」を超える最大外径を規定している。図2-4に示されるように、閉鎖体42の頂端部56における部分は、穿刺可能で再シール可能な隔壁を画成する中心凹部60を含んでいる。閉鎖体42の底端部58から下方に延びている部分は、管46の内径「a」にほぼ等しいか又は僅かに小さい小直径から、管46の頂端部56における内径「a」よりも大きな大直径までテーパー付けられてもよい。このようにして、閉鎖体42の底端部58は、管46の開いた頂端部50の近傍の部分に圧入される。閉鎖体42の内在する弾性が、管46の筒状の側壁52の内表面とのシール係合を保証する。
【0034】
一実施形態において、閉鎖体42は、管46とのシール係合をもたらす適切な大きさと寸法を有する一体成形されたエラストマー材料から形成されてもよい。閉鎖体42はまた、底端部58にまで延在する底凹部62を画成するように形成されてもよい。底凹部62は、機械式分離器44の少なくとも一部分を受け入れるような大きさにされてもよい。加えて、複数の離間されたアーチ状のフランジ64が、機械式分離器44を少なくとも部分的にそこに保持するために、底凹部62の周りに延在してもよい。
【0035】
図2を再度参照するに、機械式分離器44は、穿孔可能なヘッド66、該穿孔可能なヘッド66の一部分に係合されたフロート68、フロート68の一部分の周りに配置されたベローズ70、及びフロート68の少なくとも一部分の周りに配置され、そしてベローズ70に係合されたバラスト72を含んでいる。
【0036】
図5-8を参照するに、機械式分離器44の穿孔可能なヘッド66は、TPEのような弾性的に変形可能でかつ自己シール可能な材料から、押出し及び/又は成形され得る。穿孔可能なヘッド66は、上方のリム部分76及び上方のリム部分76の反対側に下方部分78を含んでいる。上方のリム部分76は、図3-4に示される閉鎖体42の底凹部62の形状に対応して合致するために、概ね湾曲した形状を有している。事前発射を和らげるために、穿孔可能なヘッド66は閉鎖体42の底凹部62に対抗して予圧縮されてもよい。一実施形態においては、図7に示されるように、穿孔可能なヘッド66の上方のリム部分76が約20度の曲げ角Aを有している。もう1つの実施形態においては、穿孔可能なヘッド66の上方のリム部分76が、僅かにテーパー付けられた又は扁平な部分74を含んでいる。部分74は適切な寸法を有し得るが、しかしながら、部分74が約0.120インチ(=2.54センチメートル)から約0.150インチ(=2.54センチメートル)の直径を有しているのが好ましい。
【0037】
穿孔可能なヘッド66の部分74は、ニードルの先端、ニードルカニューレ、又はプローブのような、図26に示される穿刺先端が通過するのを許容するべく構成されている。部分74から穿刺先端を引き抜くと、液体不透過性シールをもたらすために自己再シールするように、穿孔可能なヘッド66は構成されている。部分74の扁平な形状は、重大な変形無しに穿刺先端による穿通を許す。一実施形態において、穿孔可能なヘッド66の部分74は、それを通る穿刺先端の適用のときに変形に耐えるように構成されている。上方のリム部分76の概ね湾曲した形状と部分74の小さな径とが、本発明の穿孔可能なヘッド66を従来の機械式分離器の穿刺可能な領域よりも、より安定させ、かつ「テント(tent)」のようになりにくくしている。サンプルの溜りと閉鎖体42の底凹部62からの分離器44の早期の解放を制限するのをさらに支援するために、穿孔可能なヘッド66の部分74は、穿孔可能なヘッド66の上方のリム部分76の他の部分よりも約0.010インチ(=2.54センチメートル)から約0.030インチ(=2.54センチメートル)の程度厚い厚み領域を選択肢として含んでもよい。
【0038】
穿孔可能なヘッド66はまた、上方のリム部分76の反対側に、図2に示されるフロート68の少なくとも一部分に係合すべく構成された下方部分78を含んでいる。穿孔可能なヘッド66は、図5-6に示されるように、上方のリム部分76から下方部分78まで、及び上方のリム部分76の外周部82から該外周部82から内方の位置84まで延在する少なくとも1つの切欠きノッチ80を画成している。切欠きノッチ80は、アクセス部分74を通しての穿刺先端の適用のような際に、穿孔可能なヘッド66の上方のリム部分76が、穿孔可能なヘッド66へ重大なフープ応力を結果として生じさせることなく、曲がるのを許容するために設けられている。一実施形態においては、複数の切欠きノッチ80が穿孔可能なヘッド66の外周部82の複数の位置に設けられている。複数の切欠きノッチ80は、機械式分離器44の閉鎖体42からの解放荷重を制御するように、穿孔可能なヘッド66が曲がることができるようにしている。
【0039】
図7-8に示されるように、穿孔可能なヘッド66の上方のリム部分76は下方部分78に張り出すべく寸法付けられた延出部分82を含んでいる。一実施形態において、穿孔可能なヘッド66の延出部分82は、下方部分78の直径「c」よりも大きな直径「b」を有するように寸法付けられ得る。もう1つの実施形態では、穿孔可能なヘッド66の下方部分78が、図2に示されるフロート68の一部分内に受け入れられるように係合すべく寸法付けられている。もう1つの実施形態において、図5-6に示されるように、穿孔可能なヘッド66は、成形後の組立作業で作り出される複数のスリット85によって、選択肢として通気されてもよい。穿孔可能なヘッド66はかかる離間されたスリット85を3つ含んでいる。
【0040】
図9-12を参照するに、機械式分離器44のフロート68は、上端部86、下端部92、及びそれらの間に長手方向に延在する通路94を有する、概ね菅状の構造体90である。図9-10に示されるように、機械式分離器44のフロート68は、穿孔可能なヘッド66の下方部分78を受け入れる上方の凹部88を画成する上端部86を含んでいる。フロート68の上端部86は、図8に示される穿孔可能なヘッド66をそこに受け入れるのを許容すべく、穿孔可能なヘッド66の下方部分78の直径「c」よりも大きくてもよい直径「d」を有している。一実施形態において、フロート68の上端部86の直径「d」は、同じく図8に示される穿孔可能なヘッド66の延出部分82の直径「b」よりも小さい。もう1つの実施形態において、フロート68の菅状構造体90の直径「e」は、穿孔可能なヘッド66の上方リム部分76の直径「b」よりも大きく、それ故に、穿孔可能なヘッド66とフロート68とが係合されたとき、穿孔可能なヘッド66の下方部分78は、穿孔可能なヘッド66の延出部分82の内部を超えて延出しつつ、フロート68内に受け入れられ得る。選択肢として、フロート68の直径「d」は穿孔可能なヘッド66の直径「c」に等しくてもよい。このことは、双料射出成形(two-shot molding)技術のためには特に好ましい。
【0041】
凹部88内への穿孔可能なヘッド66の下方部分78の環状係合は、穿孔可能なヘッド66に構造的剛性を与える機械式係合を確立する。穿孔可能なヘッド66のアクセス部分74の輪郭及び寸法の組合せによるかかる構造的剛性は、穿刺先端がそれを通して押付けられたときのその変形を制限する。このようにして、サンプルの溜り及び分離器44の閉鎖体42からの早期の解放が防止される。
【0042】
図9-12を再度参照するに、フロート68の上端部86はまた、概ね菅状のネック部96を含んでいる。ネック部96の近傍で、フロート68の長手方向軸Lの回りに周方向に延在するのは、外表面100を有する肩部98である。断面XIに沿って採った図11の拡大図に示されるように、一実施形態において、外表面100は、遠心分離の間に機械式分離器44の回りの細胞の脱落(shedding)を促進すべく約29度の角度付スロープBを有している。
【0043】
もう1つの実施形態では、複数の突部102がフロート68の肩部98の周りに位置されている。突部102は、フロート68の周囲に関して離間された複数のセグメント化された突起であってもよい。突部102は、機械式分離器44が遠心分離の間に流体内に浸漬されるとき、機械式分離器44内から空気を通気する経路を作り出す。一実施形態においては、通気経路は、ベローズ70とフロート68との結合部の近傍で、フロート68の壁を通る孔又は連続する孔によって作り出される。
【0044】
一実施形態において、機械式分離器44のフロート68は、2つの相に分離されるべく意図されている液体よりも軽い密度を有する材料から作られていることが望ましい。例えば、人の血液を血清と血漿に分離することが望まれているなら、フロート68は約0.902gm/ccを超えない密度を有することが望ましい。もう1つの実施形態では、フロート68はポリプロピレンから形成されてもよい。さらにもう1つの実施形態では、図2及び図5-8に示される穿孔可能なヘッド66、及び図2及び図9-12に示されるフロート68が、第1のサブアセンブリとして、双料射出成形又は同時押出のように、同時成形され得る。
【0045】
図13-15に示されるように、ベローズ70は、管材料との良好なシール特性を示す弾性的に変形可能な材料から押出し、及び/又は成形される。ベローズ70は中心の長手方向軸Cに関して対称であり、上方端部106、下方端部108、及び中空の内部104を含んでいる。ベローズ70はまた、図2に示されるように、上方端部106と下方端部108とのの間に位置されて、管46の筒状の側壁52にシール係合する変形可能なシール部分112を画成している。ベローズ70は、管46の筒状の側壁52との液体不透過性シールを形成するに足る全ての十分に弾性的な材料から作られてもよい。一実施形態において、ベローズはTPEであり、約0.020インチ(=2.54センチメートル)から約0.050インチ(=2.54センチメートル)までの凡その厚さ寸法を有している。
【0046】
変形可能なシール部分112は、図2に示される管46の内径「a」を、偏倚されない位置で僅かに超える外径「f」を有する概ねトロイダル形状を有することができる。しかしながら、上方端部106と下方端部108とに逆方向に向けられた力はベローズ7Oを延伸させ、同時に、変形可能なシール区分の直径を「a」より小さい寸法に減少させる。したがって、ベローズ70は、フロート68の第1の方向及びバラスト72の第2の反対方向への長手方向の移動の際に変形するように適合されている。
【0047】
ベローズ70は、図2に示されるフロート68の少なくとも一部分の回りに、周囲に配置されるように、配置され得る。図13-15に示されるように、ベローズ70は内部104に内部壁114を含んでいる。ベローズ70上方端部106の近傍で、内部壁114は、図9-12に示されるフロート68の肩部98との機械式接触面のための内部保持表面116を画成している。一実施形態において、図13-15に示されるベローズ70の内部保持表面116は、図9-12に示されるフロート68の肩部98のスロープに合致するスロープを有している。
【0048】
この実施形態では、内部壁114によって画成されている、ベローズ70の上方端部106の開口115の直径「g」は、図9に示されるフロート68の上端部86の直径「d」より小さく、かつ同じく図9に示されるフロート68の菅状構造体90の直径「e」よりも小さい。遠心分離の間、ベローズ70の直径「g」はフロートの直径「d」を超えて大きくなり、機械式分離器44内からの空気の通気を可能にする。これは、図9に示されるフロート68のネック部96がベローズ70の上方端部106を通過するのを許容するが、フロート68の肩部98をベローズ70の内部壁114の内部保持表面116に対して拘束する。フロートの菅状構造体90はベローズ70の上方端部106を通過することはできない。
【0049】
変形可能なシール用部分112と下方端部108との間のベローズ70の外部壁の部分は、機械式分離器44のバラスト72を受け入れるべく構成された外径「h」を有する概ね筒状のバラスト取付け用区分118を規定している。
【0050】
図16-19に示されるように、機械式分離器44のバラスト72は、図13-15に示されるベローズ70のバラスト取付け用区分118に係合すべく構成された内部表面122を有する概ね筒状の区分120を含んでいる。一実施形態において、バラスト72の少なくとも一部分は、再度、図13-15に示されるベローズ70のバラスト取付け用区分118に沿って延びている。バラスト72は、対立する上端部124及び下端部126を含んでいる。一実施形態において、上端部124は、図13-15に示されるベローズ70の下方端部108を受け入れるための凹部128を含んでいる。凹部128の直径「i」はベローズ70の外径「h」よりも大きく、そしてバラスト72の外径「j」は、図2に示されるように、管46の内径「a」よりも小さい。したがって、ベローズ70の下方端部108はバラスト72の上端部124内に受け入れられ、かつ、図2に示される機械式分離器44は同じく図2に示される管46の内部に受け入れられる。一実施形態において、バラスト72の直径「i」はベローズ70の直径「h」に等しい。最適には、バラスト72が最初に成形され、そしてベローズ70がバラスト72に引き続いて成形され得る。一実施形態において、ベローズ70及びバラスト72は、双料射出成形の結果としてベローズ70及びバラスト72が共に結び付くように、材料適合性を示している。
【0051】
図17に示されるように、一実施形態において、バラスト72は、上端部124の近傍のような概ね筒状の区分120を通って延在する機械式のインターロック(連結)凹部130を含み得る。もう1つの実施形態では、バラスト72は、凹部128内のような内部壁131に機械式インターロック(連結)凹部130を含み得る。対応するインターロック(連結)取付突部132は、ベローズ70をバラスト72に機械的に係合させるために、図15に示されるベローズ70の下方端部108の外表面に設けられてもよい。
【0052】
一実施形態において、機械式分離器44のバラスト72は、2つの相に分離されるのが意図されている液体よりも重い密度を有する材料から作られるのが望ましい。例えば、人の血液を血清及び血漿に分離することが望まれているのなら、バラスト72は少なくとも1.326gm/ccの密度を有することが望まれる。一実施形態において、バラスト72はPETから形成されてもよい。もう1つの実施形態では、図2及び図13-15に示されるベローズ70、及び図2及び図16-19に示されるバラスト72は、第2のサブアセンブリとして、双料射出成形又は同時押出しのように同時成形されてもよい。
【0053】
もう1つの実施形態では、バラスト72の外表面は、バラスト72の長手方向軸Dの回りに周方向に配置され、外表面内に延在している環状の凹部134を画成している。この実施形態では、環状の凹部134は、ベローズ及びバラストを含んでいる第2のサブアセンブリを、穿孔可能なヘッド及びフロートを含んでいる第1のサブアセンブリに結合するために係合させる、自動化された組立を許容すべく構成されている。
【0054】
図20-22に示されるように、組立られたとき、機械式分離器44は、フロート68の一部分に係合された穿孔可能なヘッド66、及びフロート68の周りに周方向に配置され、フロート68の肩部98に係合されたベローズ70、及びフロート68の周りに配置され、ベローズ70の一部分に係合されたバラスト72を含んでいる。図20-22に示されるように、穿孔可能なヘッド66はフロート68内に少なくとも部分的に受け入れられている。ベローズ70はフロート68の周りに配置され、そして、フロート68の肩部98はベローズ70の拘束用表面116に機械的に係合され得る。バラスト72は、フロート68及びベローズ70の少なくとも一部分の周りに周方向に配置され、そして、機械式インターロック(連結)凹部130及び取付突部132がベローズ70とバラスト72とを機械的に固定することができる。最適には、ベローズ70及びバラスト72は双料射出成形され、そして機械式インターロック(連結)がバラスト72とベローズ70とをさらに固定してもよい。
【0055】
一実施形態において、穿孔可能なヘッド66及びフロート68を含む第1のサブアセンブリ、及びベローズ70及びバラスト72を含む第2のサブアセンブリは、別々に成形又は押出され、その後に組み立てられる。フロートの密度を特定の許容範囲内に維持することは、材料の密度を低減するために、例えば、ガラス製微小球を混ぜ合わせることを必要としない、標準の材料を用いることによって、より容易に得られる。一実施形態において、フロート68の材料は、公称密度約0.902gm/ccを有するポリプロピレンである。加えて、第1のサブアセンブリ及び第2のサブアセンブリの双料射出成形のような同時成形は、機械式分離器44を生産するのに必要とされる製造工程数を減少させる。
【0056】
図23に示されるように、組立られた機械式分離器44は閉鎖体42の底凹部62に押し込まれ得る。この挿入は、閉鎖体42のフランジ64をフロート68のネック部96、又は穿孔可能なヘッド66に対して係合させる。挿入中、穿孔可能なヘッド66の少なくとも一部分は、閉鎖体42の輪郭に順応するべく変形するであろう。一実施形態においては、閉鎖体42は機械式分離器44の底凹部62への挿入中に実質的に変形されない。一実施形態において、機械式分離器44は、穿孔可能なヘッド66と閉鎖体42の底凹部62との締まり嵌めによって閉鎖体42に係合される。
【0057】
図23を再度参照するに、穿孔可能なヘッド66及びベローズ70は、フロート68のネック部96のような一部分によって互いから物理的に隔離されている。この隔離は、閉鎖体42からの解放荷重、及びベローズ70とは独立したアクセス部分74を通る穿刺先端の適用によって起こされる変形量との両方を、穿孔可能なヘッド66が制御することを可能にしている。同様に、ベローズ70は穿孔可能なヘッド66の拘束とは独立して加えられる遠心回転中に、図2に示される管46とのシール荷重を制御し得る。
【0058】
図24-25に示されるように、閉鎖体42及び機械式分離器44を含んでいるサブアセンブリは、機械式分離器44及び閉鎖体42の底端部58が管46内に存するように、管46の開いた頂端部に挿入される。ベローズ70を含んでいる機械式分離器44は、管46の筒状の側壁52及び開いた頂端部の内部にシール可能に係合するであろう。管46、機械式分離器44及び閉鎖体42を含んでいるアセンブリは、その後、ニードルのようなそれを通って延在する穿刺先端138を有するニードルホルダー136に挿入され得る。選択肢として、閉鎖体42は、閉鎖体42内の血液の液滴から、及び閉鎖体42が管46から取り外されたときの潜在的な血液のエアロゾル化作用から使用者を保護するため、「Becton Dickinson and Company」社から商業的に入手可能な「Hemogard(登録商標)シールド」のようなシールドによって少なくとも部分的に囲まれていてもよい。
【0059】
図26に示されるように、液体サンプルは、閉鎖体42の頂端部56の隔壁、及び穿孔可能なヘッド66のアクセス部分74を突き抜ける穿刺先端138によって管46に配送される。図示のみの目的のために、該液体は血液である。血液はフロート68の中心の通路94を通り、そして管46の閉じた底端部48へ流れる。穿刺先端138はその後アセンブリから抜かれる。穿刺先端138が取り外されととき、閉鎖体42は自己再シールする。穿孔可能なヘッド66もまた流体の流れに実質的に影響しないように自己再シールする。
【0060】
図27に示されるように、アセンブリが遠心分離のような負荷された回転力にさらされているとき、血液のそれぞれの相は、管46の底部58に向けて変位される高密度相、及び管46の頂部50に向けて変位される低密度相に分離し始める。加えられた遠心力は、機械式分離器44のバラスト72を閉じた底端部に向けて、及びフロート68を管46の頂端部に向けて付勢する。このバラスト72の移動がベローズ70の長手方向の変形を生じさせる。結果として、ベローズ70はより長く、かつより細くなり、筒状の側壁52の内表面から内方に同心円状に離間される。したがって、血液の軽い相成分はベローズ70を通過して滑り上方に移動することができ、及び同様に、血液の重い相成分はベローズ70を通過して滑り下方に移動することができる。
【0061】
最初には、機械式分離器44のネック部96は閉鎖体42のフランジ64に係合されるであろう。しかしながら、遠心力がかかると、機械式分離器44は機械式分離器44を閉鎖体42から解放するように作用する力にさらされる。一実施形態において、閉鎖体42、特に、フランジ64は、加えられた遠心力によっては寸法的に変わらず、結果として変形しない。遠心力が加えられている際のベローズ70の長手方向の変形は、穿孔可能なヘッド66及びベローズ70がフロート68のネック部96によって互いから隔離されているので、影響せず、すなわち、穿孔可能なヘッド66を変形させないことがここで注目される。
【0062】
図27A-27Bを参照する一実施形態において、遠心分離の間、バラスト72の負の浮力FBallastがフロート68の正の浮力FFloatに対抗し、ベローズ70が管46の側壁52の内部表面から離れて縮小することを起こさせる差の力を生じさせる。このベローズ70の伸長は、フロート68と負荷を受けているベローズ70のシール用表面73との間に開口71を生じさせる。一旦、フロート68とベローズ70のシール用表面73との間に、図27Aに示されるように、開口71が形成されると、機械式分離器44に捕捉されていた空気が開口71を通り機械式分離器44の上方の位置の管内に通気され得る。この構成において、ベローズ70のフロート68から離れる変形が、両者の間で通気が生ずることを可能にしている。遠心分離の後は、図27Bに示されるように、ベローズ70が弾性的に非変形位置に戻り、かつ管46の側壁52の内部表面に再シール可能に係合する。このようにして、フロート68とベローズ70のシール用表面73との間の開口71は、ベローズ70のシール用表面73が接触表面75においてフロート68に接触するときにシールされる。図5-6に関連して、遠心分離の間、穿孔可能なヘッド部分66に位置されているスリット85は、穿孔可能なヘッド部分の材料の伸長によって開くことができ、フロート68内に捕捉されている空気が通気されるのを許容する。
【0063】
上で述べたように、機械式分離器44は、血液の分離された相ごとの密度間に全体密度を有している。したがって、図28に示されるように、機械式分離器44は、重相成分140が機械式分離器44と管46の閉じた底端部48との間に位置される一方、軽相成分142が機械式分離器44と管50の頂端部との間に位置されるような管46内の位置において安定するであろう。
【0064】
この安定状態に到達した後に遠心分離は停止され、そしてベローズ70がその非偏倚状態に弾性的に戻って、管46の筒状の側壁52の内部にシール係合する。形成された液体相はその後、分析のために個別にアクセスされ得る。
【0065】
代替の実施形態においては、図29-33に示されるように、機械式分離器44aは、加えられた荷重の下でフロート68aがベローズ70aを通り抜けるのを防止するための1つ以上のバラスト留め具(snaps)200を含んでいる。バラスト留め具200はバラスト72aに同時成形され、加えられた荷重の下でフロート68aの拘束用表面7Oxに接触し、そして拘束されるようにして、バラスト72aに関するフロート68aの移動を制限してもよい。図33に詳細に示されるように、バラスト留め具200は、ベローズ70a内の対応する凹部202に係合する拘束部分201を含んでもよい。
【0066】
もう1つの代替実施形態において、図34に示されるように、ベローズ70bは、バラスト72bのバラスト留め具200の拘束部分201に対応して係合する凹部202の近傍にテーパー付輪郭部300を有している。ベローズ70bのテーパー付輪郭部300は、バラスト72bの軸方向の移動による、ベローズのピンチングの形成を最少化し得る。
【0067】
もう1つの代替実施形態において、穿孔可能なヘッド66c及びフロート68cを含んでいる第1のサブアセンブリ400は、図35-36に示されるように、同時成形され得る。第1のサブアセンブリ400は、組立て及び加速された力を加える際の相対的移動を制限するために、バラスト(図37-38に示される)との嵌め合い適合のためのリリーフリング402を含んでもよい。穿孔可能なヘッド66cには、テント作用(tenting)の低減、及びそれからの破片の脱落を促進するために目標領域ドーム403が設けられてもよい。穿孔可能なヘッド66cにはまた、閉鎖体への挿入の際に、発射荷重を増大し、及び機械式分離器の移動を低減するために、硬いハロ(halo)表面404が設けられてもよい。図37-38に示されるように、バラスト72c及びベローズ70cを含んでいる第2のサブアセンブリ408はまた同時成形され得る。図37に示されるように、ベローズ70cの突部410はバラスト72cの対応する凹部412に係合して、ベローズ70c及びバラスト72cの結合強度及び固定を改善するロック用構造413を形成し得る。一実施形態においては、複数の突部410及び対応する凹部412がベローズ70c及びバラスト72cにそれぞれ設けられている。図37-38に示されるように、リリーフリング414は、第2のサブアセンブリ408と図35-36に示される第1のサブアセンブリ400との組立て時に手助けすべく、バラスト72cの周りに周方向に設けられ得る。
【0068】
連結された第1のサブアセンブリ400(図35-36に示される)及び第2のサブアセンブリ408(図37-38に示される)を含んでいる組立られた機械式分離器420が、図39-40に示されている。一実施形態において、組立られた機械式分離器420は13mmの採集管(不図示)内に合うような大きさにされてもよい。
【0069】
本発明のもう1つの実施形態に従えば、図41-47に示されるように、機械式分離器500は、上に説明されたのと同様に、バラスト572、ベローズ570、フロート568、及び穿孔可能なヘッド566を含んでいる。この構成においては、フロート568及び穿孔可能なヘッド566は、一体に形成されるか、又は上述のように別々に形成されて後で第1のサブアセンブリに組立られてもよい。特に図48を参照するに、フロート568は、図49-50に示される穿孔可能なヘッド部分566を受け入れるために適合されている輪郭Pを有する上方部分570を含み得る。穿孔可能なヘッド部分566は、その厚さTが図49に示される穿孔可能なヘッド部分566の直径Dにわたって実質的に一律であるような方式である。1つの構成では、フロート568の上方部分570は凹部571を有し、そして穿孔可能なヘッド部分566はフロート568の凹部571に嵌り合う対応する突部572を有している。もう1つの構成では、フロート568の上方部分570は、対応する凹部574が横に配置された突部573のような突部573を有している。穿孔可能なヘッド部分566はまた、フロート568の突部573の対応する表面577に当接する合わせ面576を有する突部575を有している。穿孔可能なヘッド部分566の突部575はまた、フロート568の対応する凹部574に係合する横に配置された突部578を含み得る。穿孔可能なヘッド部分566は穿孔可能なヘッド部分566の厚さTがフロート568の開口部579を覆って一律であるように、上方部分570を覆って設けられる。もう1つの実施形態では、穿孔可能なヘッド部分566は穿孔可能なヘッド部分566の厚さTがフロート566の開口部579及びフロート566の周囲の畝部581の両者を覆って一律であるように、上方部分570を覆って設けられる。
【0070】
図41-47を再度参照するに、バラスト572及びベローズ570は上述のように、一体に形成されるか又は別々に形成されて、その後第2のサブアセンブリに組立られてもよい。一実施形態において、ベローズ570は突部540を含み、そしてバラスト572が突部540を受け入れるための対応する凹部541を含んでもよい。突部540及び凹部541は対応して係合し、バラスト572及びベローズ570が連結され、そして結合強度及び固定を改善するような、ロック用構造542を形成する。もう1つの実施形態において、ベローズ570はベローズ570の周囲に離間した複数の突部540を含み、バラスト572はバラスト572の周囲に離間された複数の対応する凹部541を含み得る。
【0071】
図41-47に示された機械式分離器500が、ここで説明されるように、試料収集容器530及び閉鎖体532内に配置されて図51-53に示されている。
【0072】
図54-56に示されるように、代替の閉鎖体42dが、本発明の機械式分離器420と共に用いられ得る。一実施形態において、閉鎖体42dは、穿刺先端(不図示)を受け入れるべく適合された、閉鎖体の一部分内に配置された受入ウェル422を含んでいる。受入ウェル422は穿刺先端と共に閉鎖体42dの中心付けを支援する適切な寸法を有し得る。もう1つの実施形態において、受入ウェル422は穿刺先端を閉鎖体42dの中心424へと角度付けるテーパー付輪郭部423を含み得る。もう1つの実施形態において、図57-58Aに示されるように、代替の閉鎖体42eが本発明の機械式分離器420と共に用いられ得る。この構成においては、閉鎖体42eは穿刺先端(不図示)を受け入れるべく適合された拡大受入ウェル422aを含み得る。閉鎖体42eはまた、機械式分離器420の一部分に係合する、閉鎖体42eの下方端部421の近傍の小さな面取り表面483を含み得る。一実施形態において、面取り表面483は、第1の角度付き表面484及び第2の角度付き表面485を含み、機械式分離器420の閉鎖体42eからの解放を改善するために、第1の角度付き表面484が第2の角度付き表面485よりも大きな角度を有している。
【0073】
図59に示される本発明のもう1つの実施形態に従うと、機械式分離器600は、ここで説明されるように、穿孔可能なヘッド部分666、フロート668、ベローズ670、及びバラスト672を含み得る。1つの構成において、フロート668には、フロート668の内側部分622内に配置された可動プラグ620が設けられ得る。一実施形態において、可動プラグ620はフロート668と同じ材料から形成され、及びもう1つの実施形態では、可動プラグ620がフロート668の密度と実質的に同じ密度を有する材料から形成され得る。もう1つの実施形態においては、可動プラグ620は、フロート668の形成後に、フロート668の内側部分622内に挿入されてもよい。
【0074】
ある状況下では、可動プラグ620を有するフロート668を含んでいる機械式分離器600が有利であるかもしれない。例えば、ある試験手順は、ここで説明されるように、サンプルが試料収集容器内に沈着され、及びサンプル内で軽い及び重い相を分離するために、試料収集容器が遠心力にさらされることを要求している。サンプルが一旦分離されると、試料収集容器及びそこに配置されたサンプルは、約-70Cののような温度で凍結され、及びその後に解凍され得る。凍結過程中に、サンプルの重い相は膨張し、サンプルの柱を試料収集容器内、及びフロート668の内側部分622の一部分を通って上方に前進させることを強い、これにより、軽い及び重い相の間に配置された障壁に干渉することになる。この体積膨張作用を最小化するために、可動プラグ620がフロート668の内側部分622内に設けられ得る。
【0075】
可動プラグ620には、図60に示される初期位置で、フロート668に設けられた横向き孔624に実質的に整列され、かつ図61に示されるような変位位置で、フロート668の閉塞用部分625によって実質的に閉塞される横向き孔623が設けられている。一実施形態において、可動プラグ620の横向き孔623は、フロート668の長手方向軸Rに実質的に直交して配置されている。可動プラグ620にはまた、フロート668の内側部分622に実質的に整列され、上述のように、機械式分離器へサンプルを導入するときサンプルがそれを通って向けられるのを許容する、長手方向孔626が設けられている。
【0076】
図60を参照するに、初期位置では、サンプルは、試料収集容器(不図示)内に配置されている機械式分離器内に、穿孔可能なヘッド部分666、可動プラグ620の長手方向孔626、及びフロート668の内側部分622を介して、導入される。サンプリング後、及び機械式分離器への遠心力の適用中に、フロート668の内側部分622内に捕捉されていた空気は可動プラグの横向き孔623及びフロート668の横向き孔624を介して換気され、そして機械式分離器600から解放され得る。具体的に言うと、空気は、ここで説明されるように、フロート668とベローズ670との間から換気される。
【0077】
図61を参照するに、一旦、サンプルが試料収集容器(不図示)内で軽い及び高密度の相に分離されると、サンプルは凍結され得る。凍結過程中に、サンプルの高密度部分は上方に膨張する。サンプルの上方に前進した高密度部分が軽い相と干渉すること、及びサンプルの高密度部分がフロート668を脱出することを防止するために、可動プラグ620はサンプルの高密度相の膨張とともに上方に前進する。可動プラグ620が上方に前進したとき、可動プラグ620の横向き孔623は、サンプルが横向き孔623を介して可動プラグ620及びフロート668の内側部分622を脱出するのを防止する、フロート668の閉塞用部分625に整列する。可動プラグ620は、凍結中に、フロートの内側部分622内に存する高密度材料の膨張する柱とともに前進するべく適合されている。ここで、可動プラグ620は、図59-61に図式的に示される穿孔可能なヘッド部分666の上限部に拘束され得ると見込まれている。この構成においては、穿孔可能なヘッド部分666の弾性が、機械式分離器600内に可動プラグ620を拘束するための伸縮性バルーンとして働いている。
【0078】
可動プラグ620の前進は完全に受動的であり、及びサンプルの外部から加えられた凍結条件に応答する。ある例では、可動プラグ620はサンプルのその後の解凍のときに初期位置に戻るように設けられ得る。
【0079】
図62-64に示されるようなもう1つの実施形態において、機械式分離器700は、ベローズ770、バラスト772、及びここに説明されるように、穿孔可能なヘッド部分を必要としない中実のフロート768を含んでいる。この構成においては、機械式分離器700は試料収集容器720内で初期位置に拘束され得ると見込まれている。1つの構成において、機械式分離器700は、試料収集容器720の側壁722の一部分との摩擦干渉によって試料収集容器720に拘束され得る。もう1つの実施形態において、試料収集容器720は、第1の直径Eが第2の直径Fよりも大きい状態で、第1の直径Eを有する第1の部分724及び第2の直径Fを有する第2の部分726を含み得る。この構成においては、機械式分離器700は第1の部分724と第2の部分726との境界において拘束され得る。
【0080】
試料収集容器720へのサンプルの導入の際は、ニードル730が閉鎖体740の一部分を穿刺し、そして試料収集容器720の内部745へサンプルを導入する。ニードル730はフロート768を穿刺せずに、むしろフロート768の頂表面にサンプルを導入することが見込まれている。サンプルはその後、機械式分離器700の周りに向けられ、及び試料収集容器720の下方部分へと通過する。サンプルが試料収集容器720の内部745に導入された後、ニードルは取り外され、そして閉鎖体は再シールする。遠心力が掛けられると、ここに説明されるようにベローズ770が変形したとき、機械式分離器700は試料収集容器720の側壁722に拘束された位置から係合解除する。1つの構成では、機械式分離器700及び試料収集容器720の少なくとも1つは、サンプルの導入の間に、サンプルが機械式分離器700と試料収集容器720の側壁722との間を通過することを許容する凹部を含み得る。
【0081】
図65に示されるようなもう1つの実施形態に従うと、ベローズ770の一部分と試料収集容器720の側壁722との間に分離部品800が設けられ得、サンプルが試料収集容器へ入るときに、ベローズ770の側壁722への拘束、及びベローズ770の周りでのサンプルの通過の少なくとも1つを支援する。この構成においては、分離部品800はその周りをサンプルが通過するのを許容するように適合された角度付き部分801を有するスリーブであってもよい。図66に示されるようなもう1つの実施形態に従うと、試料収集容器720は、側壁722の一部分から内方に離間され、複数の放射状に離間されたリブ付突出部802のようなリブ付突出部802を含み得る。該リブ付突出部802は、ベローズ770の少なくとも一部分を試料収集容器720の側壁722に拘束しつつ、サンプルが通過するのを許容し得る。図67に示されるようなもう1つの実施形態に従うと、試料収集容器720は、側壁722の一部分内において、複数の放射状に離間された切欠き804のような切欠き804を含み得る。切欠き804は、試料収集容器720の側壁722の一部分がベローズ770の少なくとも一部分を拘束しつつ、サンプルがそこを通過するのを許容し得る。
【0082】
図68-70に示されるようなもう1つの実施形態に従うと、機械式分離器700は、試料収集容器720の側壁722に対してワッシャー806によって拘束され得る。ワッシャー806は、ワッシャー806の開口810を介してフロート768の一部分のような機械式分離器700の一部分を拘束し得る。ワッシャー806は、機械式分離器700を側壁722に締まり嵌めによって拘束し得る。選択肢として、ワッシャー806は試料収集容器720の側壁722に固着されてもよい。ワッシャー806は、機械式分離器700を試料収集容器720の一部分に拘束し、そしてサンプルが試料収集容器720に導入されるとき、機械式分離器700の周りを通過するのを許容すべく構成されている。ワッシャー806は、機械式分離器700がサンプルの試料収集容器720への流れを閉塞するのを実質的に防止するような方式で機械式分離器700を保持し得る。具体的に言うと、ワッシャー806は、サンプルが機械式分離器700のベローズと試料収集容器720の側壁722との間を通過し得るように、試料収集容器720内の適所に機械式分離器700を保持し得る。ワッシャー806はまた、より大きな直径を有する第1の部分と、ここに示されるようなより小さな直径を有する第2の部分とを有する試料収集容器700と共に用いられてもよい。この構成において、ワッシャー806は、機械式分離器700のベローズが、試料収集容器720の「ネックダウン部」の位置のような、試料収集容器720の第1の部分と第2部分との結合部をシールするのを防止し得る。この構成において、ワッシャー806は、機械式分離器700がサンプルの試料収集容器720への経路を閉塞することを防止している。
【0083】
一実施形態において、ワッシャー806は、図69に示されるように、サンプルが通過するのを許容するべく適合された複数のポート820を含んでいる。もう1つの実施形態では、ワッシャー806は、図70に示されるように、ワッシャー806と試料収集容器720の側壁722の一部分との間をサンプルが通過するのを許容すべく適合された切取り部分822を含んでいる。
【0084】
図71に示されるように、さらにもう1つの実施形態によれば、いくつかの実施形態で、試料収集容器900の側壁912の一部分が突部914を含み得る。選択肢として、側壁912の反対側部分は、試料収集容器900に入るサンプルが機械式分離器918に配置されたベローズ916の一部分の周りを通過するのを許容すべく適合された反対側の突部914を含んでもよい。この構成においては、実質的に一直線の輪郭を有する側壁912の一部分が、機械式分離器918を試料収集容器900内に締まり嵌めによって固定すべく、ベローズ916の一部分に接触し得る。側壁912の反対側部分のような、試料収集容器900の側壁912のもう1つ他の部分は、サンプルが側壁912とベローズ916との間を通過するのを許すために、実質的に外方に湾曲した輪郭を有する反対側の突部を含み得る。この構成においては、反対側の突部914に整列されたベローズ916の部分は、試料収集容器900の側壁912に接触せず、それらの間のサンプルの流れのための空間920を設定している。
【0085】
本発明が管内の開口端部近傍に配置された機械式分離器に関連して説明されたが、機械式分離器は、管の底に取付けられるような、管の底部に位置されてもよいということもまた意図されている。この構成は、特に、機械式分離器が遠心分離の際にサンプルを通って上行する故に血液サンプルが凝固しない血漿用にとって有効である。
【0086】
本発明がいくつかの異なる機械式分離器アセンブリ及び使用方法の実施形態に関連して説明されたが、当業者はその範囲及び精神を逸脱することなく修正及び変更をなし得る。したがって、上述の詳細な説明は限定的というよりもむしろ例示的であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルを管内で第1及び第2の相に分離する機械式分離器であって、
可動プラグを有する内部を画成するフロートであって、該可動プラグは該フロートの内部における該流体サンプルの膨張に応答して該フロートの長手方向軸に沿って第1の位置から第2の位置まで移行すべく適合されて配置されているフロート、
を備えることを特徴とする機械式分離器。
【請求項2】
該フロートは、横向き孔を画成し、及び該可動プラグは、第1の位置で該フロートの横向き孔に実質的に整列され、及び第2の位置で該フロートの一部分によって閉塞される横向き孔を画成することを特徴とする請求項1に記載の機械式分離器。
【請求項3】
該可動プラグは、穿孔可能なヘッドによって、該フロートの内部に拘束されていることを特徴とする請求項1に記載の機械式分離器。
【請求項4】
該フロートに関して長手方向に移動可能なバラスト、及び
該フロートの一部分と該バラストの一部分との間に延在するベローズであって、該フロート及び該バラストの長手方向の移動のときに変形するように適合され、フロートの第1の上方に向けられた端部から隔離されているベローズ、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の機械式分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図58A】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公開番号】特開2013−29530(P2013−29530A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−246498(P2012−246498)
【出願日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【分割の表示】特願2011−520138(P2011−520138)の分割
【原出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】