説明

密着性評価装置及び方法

【課題】多層構造体の界面の密着性を評価する。
【解決手段】ガラス板1と鋼板2とシール材3からなる多層構造体の一方の側に送信側超音波探触子4と受信側超音波探触子5を斜めに配置する。送信側超音波探触子4から送信された超音波のうち、ガラス板1、シール材3、鋼板2を板波として伝播した超音波を受信側超音波探触子5で受信する。受信波形の振幅を閾値と比較し、閾値以上であれば密着性良好と判定し、閾値より小さければ密着性不十分と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造体の界面の密着性を評価する技術に関し、特に超音波を用いた評価技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、多層構造中の界面の密着性を評価する方法として、超音波を用いた非破壊検査手法が知られている。例えば、超音波を構造体に垂直に入射させてそのパルスエコーを検出する方法や、超音波を構造体に斜めに入射させて板波を検出する方法等である。
【0003】
下記の特許文献1には、超音波の入射側に位置し超音波が透過可能な第一部材と、板波が伝播可能な第二部材を含む2層以上の多層構造体に対し、第一部材より超音波を入射させて第二部材に板波を生じさせ、第二部材を伝播した板波から生じる漏洩波を受信し、受信信号の振幅により多層構造体の欠陥を検出する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、超音波が空中を伝播したときの評価箇所での漏洩を測定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−164394号公報
【特許文献2】実開平2−97645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両においてはガラスと鋼板を接合する部位があり、ガラスと鋼板の間には水漏れを防止する等のためにシール材が充填されているが、このような部位の密着性評価は困難である。すなわち、シール材として用いられる樹脂系材料は、超音波の減衰が非常に大きい上、ガラスや鋼板との音響インピーダンス差が非常に大きく、垂直入射によるパルスエコー法では表材より入射された超音波エネルギは表材とシール材との音響インピーダンス差のためにシール材内部にほとんど透過せず、さらにシール材内部で大きな減衰を生じてしまう。また、シール材と裏材との音響インピーダンス差によって裏材への超音波の透過は非常に少なく、得られるエコー波形は表材での多重反射波となる。このため、界面の密着性の評価は困難である。また、特許文献1の方法でも、シール材側への超音波のエネルギ漏洩がほとんどないため、剥離の有無による波形の変化がほとんど見られない。さらに、表材と裏材とがその端部においてシール材により接合されているような状況では、検査領域が表材の末端に存在しているので、受信するための斜角探触子を設置するための十分なスペースが表材表面にない。さらに、特許文献2の方法では、空中のみを伝わって超音波が漏洩することが前提であり、途中に遮蔽が複数あり、超音波の漏洩が確認できない場合や隙間がごく小さい場合には、評価できない。
【0007】
本発明の目的は、例えばガラス−シール材−鋼板等のように中間に超音波減衰が大きく、音響インピーダンス差が大きな材料が含まれる多層構造体における界面の密着性を評価することができる装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも第一部材と中間部材と第二部材からなる多層構造体の各部材間の界面における密着性を評価する評価装置であって、前記第一部材と前記第二部材は、端部において互いに重なるように前記中間部材により接合されており、前記第一部材の対向する2つの面のうちの一方の面側に入射角度をもって配置された送信側超音波探触子と、前記第二部材の対向する2つの面のうち前記第一部材の前記一方の面と同一方向あるいは反対方向の面側に受信角度をもって配置された受信側超音波探触子と、前記受信側探触子で受信された、前記送信側探触子から送信された超音波であって、前記第一部材、前記中間部材、前記第二部材を板波として伝播した超音波の振幅を閾値と大小比較することで前記密着性を判定する判定手段とを備え、前記入射角度及び前記受信角度は、板波モードの位相速度c、前記第一部材と前記送信側超音波探触子間の媒質での音速、及び前記第二部材と前記受信側超音波探触子間の媒質での音速をcaとすると、
θ=arcsin(ca/c)
で決定される角度θに基づき設定されることを特徴とする。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記送信側超音波探触子と前記受信側超音波探触子との間に、前記送信側超音波探触子から送信された超音波が前記受信側超音波探触子に直接伝播することを防止する音響遮蔽部材が設けられる。
【0010】
また、本発明の1つの実施形態では、前記送信側超音波探触子及び前記受信側超音波探触子は、それぞれ前記第一部材及び前記第二部材から離間して設けられ、前記多層構造体に対して非接触で密着性を評価する。
【0011】
また、本発明は、少なくとも第一部材と中間部材と第二部材からなる多層構造体の各部材間の界面における密着性を評価する評価方法であって、前記第一部材と前記第二部材は、端部において互いに重なるように前記中間部材により接合されており、前記第一部材の対向する2つの面のうちの一方の面側に入射角度をもって配置された送信側超音波探触子から前記第一部材に超音波を送信し、前記第二部材の対向する2つの面のうち前記第一部材の前記一方の面と同一方向あるいは反対方向の面側に受信角度をもって配置された受信側超音波探触子により、前記送信側探触子から送信された超音波であって前記第一部材、前記中間部材、前記第二部材を板波として伝播した超音波を受信し、受信した信号の振幅を閾値と大小比較することで前記密着性を判定するものであり、前記入射角度及び前記受信角度は、板波モードの位相速度c、前記第一部材と前記送信側超音波探触子間の媒質での音速、及び前記第二部材と前記受信側超音波探触子間の媒質での音速をcaとすると、
θ=arcsin(ca/c)
で決定される角度θに基づき設定されることを特徴とする。
【0012】
本発明では、材料を伝って伝搬するような超音波(板波)を評価対象の多層構造体に向けて斜めに送信し、多層構造体の界面における密着性の良否により板波の伝播状態が変化することに着目して密着性を評価する。すなわち、受信側超音波探触子で受信した超音波の振幅を閾値と大小比較し、振幅が閾値以上であれば密着性は良好であり、振幅が閾値未満であれば密着性は不十分であると評価する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多層構造体の界面における密着性を容易に評価することができる。また、超音波探触子を多層構造体から離間させた状態での非接触な評価を行うことができる。さらに、多層構造体の一方の側のみに評価装置を設置して密着性を評価することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の評価装置の構成図である。
【図2】実施形態の受信波形説明図である。
【図3】実施形態の受信波形説明図である。
【図4】位相速度分散曲線を示すグラフ図である。
【図5】他の実施形態の振動子の配置説明図である。
【図6】実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1に、本実施形態における密着性評価装置の構成を示す。密着性を評価する対象は、多層構造体であり、少なくとも第一部材と中間部材と第二部材を有する。第一部材と第二部材は端部で接合されており、中間部材をシール材として密着されている。第一部材は例えばガラス板、第二部材は例えば鋼板であり、中間部材は例えば樹脂系材料である。第一部材を表材、第二部材を裏材とする。
【0017】
図1において、第一部材としてガラス板1と第二部材として鋼板2は、それぞれの端部において接合されており、接合部位は中間部材としてシール材により密着されている。ガラス板1と鋼板2及びシール材3からなる多層構造体の一方の側、すなわち表側に、送信側超音波探触子4及び受信側超音波探触子5が配置される。送信側超音波探触子4はガラス板1の表側面の上方L1の距離に配置され、受信側超音波探触子5は鋼板2の表側面の上方L3の距離に配置される。送信側超音波探触子4の超音波送信方向とガラス板1の法線とのなす角度θ1、及び受信側超音波探触子5の超音波受信方向と鋼板2の法線とのなす角度θ2は、それぞれ最適角度に調整される。角度の調整についてはさらに後述する。
【0018】
送信側超音波探触子4と受信側超音波探触子5との距離L4に応じ、必要な場合に送信側超音波探触子4と受信側超音波探触子5との間に音響遮蔽板6が配置される。音響遮蔽板6は、送信側超音波探触子4から送信された超音波が直接、受信側超音波探触子5に入射しないようにするためのバリアとして機能する。
【0019】
送信側超音波探触子4,受信側超音波探触子5及び音響遮蔽板6は、センサージグ7として一体化される。
【0020】
送信側超音波探触子4から送信された超音波は、空中を伝播してガラス1板の表面に角度θ1で入射する。入射した超音波は、ガラス1を板波、あるいはラム波として伝播する。この板波は、シール材3の密着状態が良好であれば、シール材3を透過して鋼板2に伝わり、鋼板2を板波として伝播する。受信側超音波探触子5は、鋼板2を伝播する板波から空中へ漏洩する超音波を受信する。
【0021】
一方、シール材の密着性が不十分な場合には、ガラス板1、シール材3、鋼板2と伝播する板波が存在しない。もしくは伝播したとしても非常に小さい。したがって、受信側超音波探触子5で受信して得られる波形の振幅を適当な閾値で大小比較することで、シール材3の上下界面の密着性、すなわちガラス板1とシール材3の界面の密着性、及び鋼板2とシール材3の界面の密着性の良否を判定することができる。本実施形態における超音波の周波数は、50kHz以上2MHz以下であり、例えば400kHzを用いることができる。
【0022】
図2に、ガラス板1とシール材3の界面に剥離がある場合に、剥離のある箇所と剥離のない箇所にそれぞれ超音波を伝播させた場合に、受信側超音波探触子5で受信する波形を示す。図において、aは剥離のある箇所に超音波を伝播させた場合の波形、bは隔離のない箇所に超音波を伝播させた場合の波形である。受信波形の初期には、入射波のパルス信号が電気ノイズとして混入する場合がある。その後、100μsあたりで検出される波形が、部材中を伝播して漏洩した波である。この波形の経路は、図1において空中を距離L1だけ伝播し、部材中を部材に沿った距離L2だけ伝播し、空中に漏洩して距離L3だけ伝播した経路である。通常、空中の音速が約340m/sであるのに対し、材料中を伝播する波は1000m/s〜6000m/s程度と非常に大きな値を有する。このため、空中の約340m/sで距離L1+L3だけ伝播した時間と、材料中を距離L2だけ伝播した時間の概算値の和から、材料中を伝播した板波が受信側超音波探触子5で受信される時刻を推測することができる。図において、波線で示した波形が部材を伝播して空中に漏洩した波形である。aでは振幅が相対的に小さく、bでは振幅が相対的に大きい。
【0023】
また、図3に、鋼板3とシール材3の界面に剥離がある場合に、剥離のある箇所と剥離のない箇所にそれぞれ超音波を伝播させた場合に、受信側超音波探触子5で受信する波形を示す。図において、aは剥離のある箇所に超音波を伝播させた場合の波形、bは隔離のない箇所に超音波を伝播させた場合の波形である。図において、波線で示した波形が部材を伝播して空中に漏洩した波形である。aでは振幅が小さく、bでは振幅が大きい。
【0024】
したがって、受信波形から波線部分の波形を抽出し、振幅を閾値と大小比較し、振幅が閾値よりも小さい場合には界面の密着性が不十分である、逆にいえば、振幅が閾値以上であれば界面の密着性が十分であると判定できる。具体的には、受信側超音波探触子5で受信した波形をコンピュータのプロセッサに供給する。コンピュータのメモリには予め設定された閾値が記憶されており、プロセッサは受信波形のうち材料を伝播して漏洩したと推測される部分の波形の振幅を検出して閾値と大小比較する。そして、振幅が閾値以上であれば密着性は良好(OK)であると判定し、振幅が閾値より小さければ密着性は不十分(NG)であると判定する。プロセッサは、判定結果をコンピュータのディスプレイに表示する。
【0025】
一方、空中を伝播する超音波が非常に大きなエネルギで存在しており、音響遮蔽板6が存在しない場合には距離L4の経路で伝播する直接伝播波形が受信側超音波探触子5で受信される。このとき、距離L4と音速340m/sによってこの直接伝播波形の到達時刻も推測できるから、両者を区別することができる。音響遮蔽板6が存在しない場合、材料中を伝播する波形と直接伝播波形とが重ならないように、距離L1、L3、L4を予め決めておくことが望ましい。
【0026】
次に、超音波探触子と部材のなす角度について説明する。
【0027】
一般に、超音波探触子の最適入射角θ1及び最適受信角θ2は、第一部材及び第二部材に発生する板波の位相速度分散曲線を計算することにより求めることができる。ある板波モードの位相速度をcとし、空中での音速をcaとすると、
θ=arcsin(ca/c)
で示される式に従って最適角度が求められる。
【0028】
図4に、位相速度分散曲線を示す。図において、横軸は周波数、縦軸は角度θである。角度θは周波数や板厚、材質により変化する。図において、実線はガラス板3mmの曲線、波線は鋼板2mmの曲線である。このグラフより、超音波探触子の周波数特性に合う周波数領域を選択して角度θの概算値を決定する。図4では、A0モードとS0モードと呼ばれる2つのモードが超音波探触子の周波数領域(本実施形態では既述したように400kHz)に存在しているが、波形が検出できればどのモードを用いてもよい。図において、例えばA0モードを利用する場合、周波数が400kHzの場合には角度θ1=θ2=9度に設定される。
【0029】
なお、角度θ1、θ2は、これらの計算値を参考にして、最終的にはシール材3の密着性が十分良好であると予め分かっている箇所において材料中を伝播して検出された波形を見ながら微調整して決定することが望ましい。
【0030】
上記の実施形態では、空中超音波による斜角入射によって密着性を評価するが、送信側超音波探触子4あるいは受信側超音波探触子5のいずれか、あるいは両方を水浸式の斜角入射法または接触式の斜角探触子とすることも可能である。一般に、これらの方法は、空中超音波による斜角入射法に比べ効率良く超音波を材料内へ入射し、材料からの超音波を効率良く受信することができるので、受信信号強度を大きくすることができる。
【0031】
図5に、斜角探触子の一例を示す。ガラス板1上に音響伝達媒質9が配置され、音響伝達媒質9の端部は斜めに形成され、この斜めの端部に超音波振動子8が配置される。振動子8の送信方向とガラス板1の法線とのなす角度θは、上記の式から算出される。このときの音響伝達媒質9の音速caは、振動子8から材料表面間に超音波が伝播する音響伝達媒質9の縦波音速とする。音響伝達媒質9は、例えば水やウェッジである。
【0032】
図6に、本実施形態の処理フローチャートを示す。まず、表材(第一部材)、裏材(第二部材)に対して位相速度分散曲線を計算し、最適な入射角度θ1及び最適な受信角度θ2を決定する(S101)。次に、S101で求めた角度を基本として、界面のうち剥離がないことが予め分かっている領域において材料中を透過する波形が確認できるように入射角度θ1及び受信角度θ2を調整する(S102)。また、このとき、音響遮蔽板6が無い場合には、材料中を伝播する波形と直接伝播する波形が時間的に重ならないように、超音波探触子間の距離L4を調整しておく。次に、密着性評価を行うための閾値を設定する(S103)。そして、送信側超音波探触子4及び受信側超音波探触子5を多層構造体の幅方向に走査しながら受信波形を取得し、受信波形の振幅を閾値と大小比較して測定領域の密着性の良否を判定する(S104)。
【0033】
このように、本実施形態では、調整した角度θ1及びθ2で送信側超音波探触子4及び受信側超音波探触子5を配置して超音波を送受信するので、材料中に効率よく超音波を伝播させて受信することができる。
【0034】
また、送信側超音波探触子4及び受信側超音波探触子5のいずれも、多層構造体の一方の側に配置することができるので、評価すべき多層構造体に応じた計測系の構築が容易となる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、本実施形態では、ガラス板1の上方(表側)に表材としての送信側超音波探触子4、裏材としての鋼板2の上方(表側)に受信側超音波探触子5を配置しているが、ガラス板1の上方に受信側超音波探触子5を配置し、鋼板2の上方に送信側超音波探触子4を配置してもよい。また、ガラス板1の下方(裏側)に送信側超音波探触子4あるいは受信側超音波探触子5を配置し、鋼板2の下方(裏側)に受信側超音波探触子5あるいは送信側超音波探触子4を配置してもよい。さらに、評価装置のスペースを確保できるのであれば、ガラス板1の上方に送信側超音波探触子4あるいは受信側超音波探触子5を配置し、鋼板2の下方に受信側超音波探触子5あるいは送信側超音波探触子4を配置してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、第一部材としてガラス板、第二部材として鋼板を用いてシール材による密着性の評価を行っているが、この評価結果を例えば車両の水漏れ検査に適用することも可能である。車両の水漏れを評価する方法としては、車両全体に蛍光水をかけ、ブラックライトを当てて光らせることで室内に漏れ出る蛍光水を発見するというシャワーテストが知られているが、このテストには多くの検査時間と労力を要する。本実施形態の評価方法を用いることで、より短時間で、かつ少ない労力で水漏れの検査を行うことが可能である。
【0038】
本実施形態では、第一部材としてガラス板、第二部材として鋼板、中間部材としてシール材あるいは接着剤を用いているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、第一部材及び第二部材が高音響インピーダンス材であり、中間部材が低音響インピーダンス材であれば任意の材料に適用することができる。第一部材がガラス板、第二部材が樹脂板であってもよい。
【0039】
また、本実施形態では、第1部材、中間部材、第2部材からなる多層構造体を例示したが、第一部材、第一中間部材、第二部材、第二中間部材、第三部材からなる多層構造体のように、3層以上の層構造を有する多層構造体にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ガラス板(第一部材)、2 鋼板(第二部材)、3 シール材(中間部材)、4 送信側超音波探触子、5 受信側超音波探触子、6 音響遮蔽板、7 センサージグ、8 振動子、9 音響伝達媒質。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一部材と中間部材と第二部材からなる多層構造体の各部材間の界面における密着性を評価する評価装置であって、
前記第一部材と前記第二部材は、端部において互いに重なるように前記中間部材により接合されており、
前記第一部材の対向する2つの面のうちの一方の面側に入射角度をもって配置された送信側超音波探触子と、
前記第二部材の対向する2つの面のうち前記第一部材の前記一方の面と同一方向あるいは反対方向の面側に受信角度をもって配置された受信側超音波探触子と、
前記受信側探触子で受信された、前記送信側探触子から送信された超音波であって、前記第一部材、前記中間部材、前記第二部材を板波として伝播した超音波の振幅を閾値と大小比較することで前記密着性を判定する判定手段と、
を備え、
前記入射角度及び前記受信角度は、板波モードの位相速度c、前記第一部材と前記送信側超音波探触子間の媒質での音速、及び前記第二部材と前記受信側超音波探触子間の媒質での音速をcaとすると、
θ=arcsin(ca/c)
で決定される角度θに基づき設定されることを特徴とする密着性評価装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記送信側超音波探触子と前記受信側超音波探触子との間に、前記送信側超音波探触子から送信された超音波が前記受信側超音波探触子に直接伝播することを防止する音響遮蔽部材が設けられることを特徴とする密着性評価装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記送信側超音波探触子及び前記受信側超音波探触子は、それぞれ前記第一部材及び前記第二部材から離間して設けられ、前記多層構造体に対して非接触で密着性を評価することを特徴とする密着性評価装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の装置において、
前記第一部材はガラス板であり、前記第二部材は鋼板であり、前記中間部材はシール材であることを特徴とする密着性評価装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の装置において、
前記第一部材は鋼板であり、前記第二部材はガラス板であり、前記中間部材はシール材であることを特徴とする密着性評価装置。
【請求項6】
少なくとも第一部材と中間部材と第二部材からなる多層構造体の各部材間の界面における密着性を評価する評価方法であって、
前記第一部材と前記第二部材は、端部において互いに重なるように前記中間部材により接合されており、
前記第一部材の対向する2つの面のうちの一方の面側に入射角度をもって配置された送信側超音波探触子から前記第一部材に超音波を送信し、
前記第二部材の対向する2つの面のうち前記第一部材の前記一方の面と同一方向あるいは反対方向の面側に受信角度をもって配置された受信側超音波探触子により、前記送信側探触子から送信された超音波であって前記第一部材、前記中間部材、前記第二部材を板波として伝播した超音波を受信し、
受信した信号の振幅を閾値と大小比較することで前記密着性を判定するものであり、
前記入射角度及び前記受信角度は、板波モードの位相速度c、前記第一部材と前記送信側超音波探触子間の媒質での音速、及び前記第二部材と前記受信側超音波探触子間の媒質での音速をcaとすると、
θ=arcsin(ca/c)
で決定される角度θに基づき設定されることを特徴とする密着性評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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