密閉型サンプル保存エレメントシステムおよび方法
【課題】新規な構成の密封保存エレメントシステムを提供する。
【解決手段】本開示により作動するシステムおよび方法は、乾燥媒体上に保存された生物材料、非生物材料、および化学材料の個別サンプルの保存と回収を容易にする。サンプルは多孔質または固体サンプル保存媒体110上または内部に配置され、たとえば、ロボット装置またはその他の自動化装置を使用して、マルチウェルプレートなどの保存エレメント120に保管され、そこから回収される。開示されるシステムおよび方法は、封着された保存エレメント120からマルチウェルプレートの特定のウェル121、または特定のキュベット、試験管または類似の容器へのサンプルの排出を可能にする。
【解決手段】本開示により作動するシステムおよび方法は、乾燥媒体上に保存された生物材料、非生物材料、および化学材料の個別サンプルの保存と回収を容易にする。サンプルは多孔質または固体サンプル保存媒体110上または内部に配置され、たとえば、ロボット装置またはその他の自動化装置を使用して、マルチウェルプレートなどの保存エレメント120に保管され、そこから回収される。開示されるシステムおよび方法は、封着された保存エレメント120からマルチウェルプレートの特定のウェル121、または特定のキュベット、試験管または類似の容器へのサンプルの排出を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、以下の非仮出願に関連する:出願番号第10/252,352号、2002年9月20日出願、「保存エレメントを保存回収するシステムおよび方法」;出願番号第10/150,770号、2002年5月17日出願、「サンプルキャリア受容器」;出願番号第10/150,771号、2002年5月17日出願、「サンプルキャリアシステム」;出願番号第10/005,529号、2001年11月7日出願、「サンプルの保管および回収装置、システム、および方法」;出願番号第10/005,415号、2001年11月7日出願、「保管および分析システムおよび方法」;および出願番号第10/007,355号、2001年11月7日出願、「サンプルキャリア」である。上記出願のすべての開示が本明細書によって参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の特徴は一般に、サンプルの保管および回収に関し、さらに詳細には、封着される保存エレメントに個体媒体を保存し、そしてそこからそのサンプルを取り出すシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
たとえば、医薬および医学研究、法律の施行、および軍事用の識別などの多くの用途では、数多くの生物サンプルを利用できることがしばしば望ましい。従来の生物保存容器またはその他のサンプル保存設備では一般に、サンプル保存に液体またはその他の極低温システムが利用される。これらの極低温システムは製造かつ維持するには高価である。さらに、現在の技術では一般に、複雑かつ手間のかかるメンテナンスを行い、そして管理責任を有するシステムオペレーターが提起される。
【0004】
具体的に、極低温システムが複雑であることにより一般に、技術者、研究者、およびシステムオペレーターは、全血から数千ものデオキシリボ核酸(DNA)サンプルを回収かつ調製する連係作業に何週間も従事しなければならない。従って、極低温状態にDNAを保管するための従来方法は基本的に、サンプル大量処理および高スループットに対応できない程度の不完全なものである。現在の研究傾向では、1日あたり数千ものサンプルを処理できる、生物サンプルと非生物サンプルを保管および回収するシステムおよび方法に関連した利点が認識されている。しかし、現在の極低温技術では、このレベルのスループットに達するには不完全である。実際、極低温保存設備では、数万もの保管サンプルからの1日あたり100個以上のサンプルの処理スループットに対応できない。
【0005】
一部の低スループットの液状DNAおよび血液保管技術は過去有用ではあったが、現在の方法では、高度化するゲノム技術が研究・診断ツールとしてさらに有力なものになるにつれて、上昇しつつある必要とされる保存率および回収率をサポートできない。従来の極低温ベースの保管フォーマットは、自動化するには困難で高価なため、既存技術を基礎としたシステムでは一般に、市場の高スループット要求に適さない。
【0006】
最近、乾燥形態での血液サンプルの保管かつ回収を組み込んだ生物研究の研究所システムが提案されている。従来技術を採用した代表システムは一般に、濾紙などの適切な基板にDNAまたはその他の有機サンプルを保存するための周知技術の変更に基づいている。生物サンプルと非生物サンプルの自動保管かつ回収を組み込んだ改良システムおよび方法は、上記した同時係属中の関連出願に開示されている。
【0007】
特に、サンプル保管システムでの保存処理と回収処理の完全自動化では、大容量の保存室内で個別保存エレメントの識別、回収、および置換を行うよう繰り返し動作するロボットやその他の機械類が使用されている。
【0008】
保存および回収システムでは、保存密度、すなわち、単位量、所望面積、またはコスト当たりの保存されるアイテム量を最大限にすることが経済的理由にとって通常重要である。従来実用化されている保存および回収システムは一般に、個別保存エレメントを回収し、それをロボットやオペレーターがサンプルを選択できる位置に配置する何らかの機構を有する一連の容器、シェルフ、または規則的なアレイに取り付けられたトレイを備える。一般的自動実施形態では以下が含まれる:
保存エレメントの行または列がループ状に接続され、ウィンドウを通り過ぎて回転する円形コンベヤーと、
保存エレメントがラックに位置する除去可能単位とされ、エレベーター機構がラックから選択された単位を除去し、それを固定ウィンドウに移して使用する上下リフトと、
一般に平面配列のスロットからなり、各々が1つのアイテムまたは保存エレメントを保存し得る小仕切りである。
【0009】
小仕切りシステムは、保存される複数のアイテムの各々が大きさと形状が同一である状態で最も一般的に使用される。この場合、デカルトマニピュレーターは配列を横断し、小仕切りと固定アクセスポイントとの間でアイテムを移動させる。一般に、対向する一対の書棚に類似した2つのスロット平面がある。
【0010】
かかる保存システムの従来の実用化バージョンは、一定最小のピッチまたは保存エレメント間の間隔にて供給される。最小ピッチ以下の厚さを持つアイテムを保存する場合、保存密度は保存エレメント間の無駄なスペースのため減少される。顕著に向上した保管および回収システムおよび方法は、同時係属中の出願番号第10/252,352号、2002年9月20日出願、「保存エレメントを保存回収するシステムおよび方法」に開示されている。これらのシステムおよび方法により、研究所の保存エレメントやその他の標準形状の物体を保存するための利用可能量をより多く活用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
種々の設計構成を有し、動作特性が異なる数多くの研究所および保管設備に組み合わせて使用するために構成され動作する密閉保存エレメントシステムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
本発明の実施形態は、従来技術の前記およびその他の種々の欠点を解決するものであり、封着される保存エレメントに対するサンプルキャリアの保存と除去を容易にする。
【0013】
以下に詳述するように、封着される保存エレメントのいくつかの実施形態では一般に、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアからの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備え得る。かかる保存エレメントはさらに、保存エレメントの第一表面に適用され排出開口部を封着する第一フィルムを備え得る。システム要求により、第一フィルムは高周波透過性または光学透過性である。
【0014】
さらに、保存エレメントは、保存エレメントの第二表面に適用され受容開口部を封着する第二フィルムを備え得る。第一フィルムのように、第二フィルムは高周波透過性または光学透過性である。
【0015】
保存エレメントのいくつかの実施形態では、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つがポリマーであり得る。あるいは、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つが金属であり得る。保存エレメントは一般に、容器がマルチウェルプレートのウェルであるよう構成され得、さらに識別指標を備え得る。いくつかの実施形態では、指標はバーコードを備え得る。
【0016】
一例示的実施形態によると、ここに図示かつ説明される保存エレメントは一般に、複数の容器を備え得る。複数の容器の各々は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアからの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する。複数の容器は、所定の間隔を空けた関係にて配置され得る。保存エレメントは一般に、複数の容器の各々がマルチウェルプレートのウェルであるよう構成され得、さらに識別指標を備え得る。識別指標は、たとえばバーコードを備え得るか、またはバーコードであり得る。
【0017】
下記に述べるように、保存容器のかかる実施形態はさらに、保存エレメントの第一表面に適用され複数の容器のうち選択された容器のそれぞれの排出開口部を封着する第一フィルムを包含し得る。さらに、保存エレメントは保存エレメントの第二表面に適用され複数の容器のうち選択された容器のそれぞれの受容開口部を封着する第二フィルムを備え得る。
【0018】
第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つが高周波透過性である。さらに、またはあるいは、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つが光学透過性である。一部の例示的実施形態により、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つがポリマーまたは金属である。
【0019】
以下に詳述する一実施形態により、サンプルを保管する方法は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアからの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える保存エレメントを供給することと、排出開口部を封着することと、受容開口部を通してサンプルキャリアを容器に挿入することと、容器のサンプルキャリアに維持されるサンプル物質を保管することとを包含する。
【0020】
かかる保管方法は、挿入に続いて受容開口部を封着することを包含し得る。いくつかの実施形態では、保管方法はさらに、サンプルキャリアに標本物質を充填することを包含し得る。充填は、標本物質を、受容開口部を通して容器に供給することを包含し得る。同様に、この方法はさらに、保存剤を、受容開口部を通して容器に供給することを包含し得る。
【0021】
ここに詳述されるように、排出開口部を封着することは、第一フィルムを保存エレメントの第一表面に適用することを包含し得る。いくつかの実施形態では、かかる適用することは、排出開口部の外周に第一フィルムを接着させることを包含する。同様に、受容開口部を封着することは一般に、第二フィルムを保存エレメントの第二表面に適用することを包含し得る。この場合、かかる適用することは、受容開口部の外周に第二フィルムを接着させることを包含し得る。
【0022】
さらに、本開示による保管方法は、挿入に続いてサンプルキャリアを選択的に方向づけることを包含し得る。この方向づけることは、サンプルキャリアに磁力を作用させることを包含し得る。この作用させることは、保存エレメントに磁場を印加することを包含し得る。
【0023】
以下に詳述する追加実施形態により、サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法は一般に、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える保存エレメントを供給することと、サンプル保存媒体を含む基板を供給することと、サンプルキャリアを基板から選択的に切断することと、サンプルキャリアを、受容開口部を通して容器に挿入することとを包含する。
【0024】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、挿入に先立って排出開口部を封着することを包含する。さらに、またはあるいは、この方法はさらに、挿入に続いて受容開口部を封着することを包含し得る。
【0025】
以下の詳細な説明で述べるように、選択的に切断することは、サンプルキャリアの寸法に影響する切断テンプレートを利用することを包含し得る。さらに、挿入は受容開口部と切断テンプレートにより寸法を決められる保持テンプレートを利用することを包含し得る。挿入はさらに、保持テンプレートと受容開口部を通してサンプルキャリアを前進させるプランジャーを利用することを包含し得る。
【0026】
さらに、サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法は、挿入に続いて標本物質をサンプルキャリアに充填することを包含し得る。いくつかの実施形態では、充填は標本物質を、受容開口部を通して容器に供給することを包含し得る。
【0027】
以下に述べるように、基板が濾紙などのセルロースサンプル支持媒体を包含する方法を開示する。基板がポリウレタンなどのポリマーサンプル支持媒体を包含するさらなる方法を開示する。
【0028】
排出開口部を封着することは、第一フィルムを保存エレメントの第一表面に適用することを包含し得、受容開口部を封着することは、第二フィルムを保存エレメントの第二表面に適用することを包含し得る。
【0029】
サンプルキャリアを保管することと同様に、サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法はさらに、挿入に続いてサンプルキャリアを選択的に方向づけることを包含し得る。選択的に方向づけることがサンプルキャリアに磁力を作用させることを包含する実施形態を開示する。この作用させることは、磁場を保存エレメントに印加することを包含し得る。
【0030】
以下に図示かつ詳述するように、サンプルキャリアを封着保存エレメントから排出する方法は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える保存エレメントを供給することと、イジェクターを容器に整列させることと、イジェクターを受容開口部を通して挿入することと、容器から排出開口部を通してサンプルキャリアを排出することとを包含し得る。
【0031】
保存エレメントが複数の容器を包含し得る以上の方法の実施形態を開示し、この方法はさらに保存エレメントの標的サンプルキャリアの位置を識別することを包含する。識別と整列はさらに、標的サンプルキャリアと同じ場所に配置されたトランシーバから受信した信号を利用することを包含し得る。一部の例示的方法では、トランシーバは高周波エネルギーまたは光学エネルギーによって起動する。
【0032】
上記実施形態のように、封着される保存エレメントからサンプルキャリアを排出する方法はさらに、標的サンプルキャリアを選択的に方向づけることを包含し得る。この方向づけることは利用に先立って起こり得る。選択的に方向づけることは、標的サンプルキャリアに磁力を作用させることを包含し得る。
【0033】
一部の開示方法では、挿入は受容開口部を封着するフィルムを穿孔することを包含し、排出は排出開口部を封着するフィルムを穿孔することを包含する。さらに、娘プレートを供給し排出に応じてサンプルキャリアを受けることを包含する方法を開示する。
【0034】
いくつかの実施形態により、ここに図示かつ説明した保管システムは一般に、支持表面を有する容器と、支持表面に二次元構成で配置される複数の保存エレメント(複数の保存エレメントの各々は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える)と、イジェクター装置とを備える。イジェクター装置は、イジェクターを複数の保存エレメントのうちの選択された保存エレメントの標的容器に整列させ、イジェクターを受容開口部を通して標的容器に挿入し、サンプルキャリアを対象容器から排出開口部を通して排出するよう動作する。
【0035】
保管システムはさらに、複数の保存エレメントのうちの標的保存エレメントに係合するよう選択的に動作する取扱装置を備え得る。一部の保管システムでは、複数の保存エレメントの各々は、直立して方向づけされる。複数の保存エレメントの各々が受容開口部と排出開口部で封着される、かかる保管システムの実施形態を開示する。
【0036】
本発明の種々の実施形態の上記およびその他の局面は、添付図面に関連して以下の詳細な説明の検討を通じて明らかとなる。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
保存エレメントであって、以下:
サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える、保存エレメント。
(項目2)
項目1に記載の保存エレメントであって、上記保存エレメントの第一表面に適用され、上記排出開口部を封着する第一フィルムをさらに備える、保存エレメント。
(項目3)
上記第一フィルムは高周波透過性である、項目2に記載の保存エレメント。
(項目4)
上記第一フィルムは光学透過性である、項目2に記載の保存エレメント。
(項目5)
上記保存エレメントの第二表面に適用され上記受容開口部を封着する第二フィルムをさらに備える、項目2に記載の保存エレメント。
(項目6)
上記第二フィルムは、高周波透過性である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目7)
上記第二フィルムは、光学透過性である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目8)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、ポリマー製である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目9)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、金属製である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目10)
上記容器がマルチウェルプレートのウェルである、項目1に記載の保存エレメント。
(項目11)
識別指標をさらに備える、項目1に記載の保存エレメント。
(項目12)
上記指標はバーコードを含む、項目11に記載の保存エレメント。
(項目13)
保存エレメントであって、以下:
複数の容器であって;上記複数の容器の各々は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動するそれぞれの受容開口部、および上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部を有する、複数の容器を備える、保存エレメント。
(項目14)
上記複数の容器が、予め決められた空間的関係で配置される、項目13に記載の保存エレメント。
(項目15)
上記保存エレメントの第一表面に適用され、上記複数の容器のうちの選択された容器の上記それぞれの排出開口部を封着する第一フィルムをさらに備える、項目14に記載の保存エレメント。
(項目16)
上記保存エレメントの第二表面に適用され、上記複数の容器のうちの選択された容器の上記それぞれの受容開口部を封着する第二フィルムをさらに備える、項目15に記載の保存エレメント。
(項目17)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、高周波透過性である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目18)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、光学透過性である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目19)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、ポリマー製である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目20)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、金属製である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目21)
上記複数の容器の各々が、マルチウェルプレートのウェルである、項目13に記載の保存エレメント。
(項目22)
識別指標をさらに備える、項目13に記載の保存エレメント。
(項目23)
上記指標は、バーコードを含む、項目22に記載の保存エレメント。
(項目24)
サンプルを保管する方法であって、上記方法は、以下:
容器を有する保存エレメントを提供する工程であって、上記容器は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する、工程;
上記排出開口部を封着する工程;
サンプルキャリアを、上記受容開口部を通して上記容器に挿入する工程;および
上記容器中の上記サンプルキャリアに維持されたサンプルを保管する工程を包含する、方法。
(項目25)
上記挿入する工程に続いて、上記受容開口部を封着する工程をさらに包含する、項目24に記載の方法。
(項目26)
検体とともに上記サンプルキャリアを充填する工程をさらに包含する、項目24に記載の方法。
(項目27)
上記充填する工程は、上記受容開口部を通して上記容器に検体を提供することを包含する、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記受容開口部を通して上記容器に保存剤を提供する工程をさらに包含する、項目24に記載の方法。
(項目29)
上記排出開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第一表面に、第一フィルムを適用することを包含する、項目24に記載の方法。
(項目30)
上記適用することは、上記第一フィルムを上記排出開口部の周囲に接着させることを包含する、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記受容開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第二表面に、第二フィルムを適用することを包含する、項目25に記載の方法。
(項目32)
上記適用することは、上記受容開口部の周囲に上記第二フィルムを接着させることを包含する、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記挿入する工程に続いて、上記サンプルキャリアを選択的に方向づける工程を包含する、項目24に記載の方法。
(項目34)
上記選択的に方向づける工程は、上記サンプルキャリアに磁力を及ぼすことを包含する、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記及ぼすことは、上記保存エレメントに磁場を適用することを包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)
サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法であって、上記方法は、以下:
容器を備える保存エレメントを提供する工程であって、上記容器は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部を有する、工程;
サンプル保存媒体を含む基板を提供する工程;
上記基板からサンプルキャリアを選択的に切断する工程;および
上記受容開口部を通して、上記容器に上記サンプルキャリアを挿入する工程を包含する、方法。
(項目37)
上記挿入する工程の前に、上記排出開口部を封着する工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記挿入する工程に続いて、上記受容開口部を封着する工程を包含する、項目36に記載の方法。
(項目39)
上記選択的に切断する工程は、上記サンプルキャリアの寸法に影響を与える切断テンプレートを利用することを包含する、項目36に記載の方法。
(項目40)
上記挿入する工程は、上記受容開口部および上記切断テンプレートに従って寸法決めされた保持テンプレートを利用することを包含する、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記挿入する工程は、上記保持テンプレートおよび上記受容開口部を通して上記サンプルキャリアを前進させるプランジャーを利用することをさらに包含する、項目40に記載の方法。
(項目42)
上記挿入する工程に続いて、上記サンプルキャリアを検体とともに充填する工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目43)
上記充填する工程は、上記受容開口部を通して上記容器に検体を提供することを包含する、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記基板は、セルロースサンプル支持媒体を含む、項目36に記載の方法。
(項目45)
上記セルロースサンプル支持媒体は、濾紙である、項目44に記載の方法。
(項目46)
上記基板は、ポリマーのサンプル支持媒体を含む、項目36に記載の方法。
(項目47)
上記ポリマーのサンプル支持媒体は、ポリウレタンである、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記排出開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第一表面に第一フィルムを適用することを包含する、項目37に記載の方法。
(項目49)
上記受容開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第二表面に第二フィルムを適用することを包含する、項目38に記載の方法。
(項目50)
上記挿入する工程に続いて、上記サンプルを選択的に方向づける工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目51)
上記選択的に方向づける工程は、上記サンプルキャリアに磁力を及ぼすことを包含する、項目50に記載の方法。
(項目52)
上記及ぼすことは、上記保存エレメントに磁場を適用することを包含する、項目51に記載の方法。
(項目53)
封着した保存エレメントからサンプルキャリアを取り出す方法であって、上記方法は:
容器を備える保存エレメントを提供する工程であって、上記容器は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する、工程;
イジェクターと上記容器とを整列させる工程;
上記受容開口部を通して上記イジェクターを挿入する工程;および
上記排出開口部を通して上記容器から上記サンプルキャリアを排出する工程を包含する、方法。
(項目54)
項目53に記載の方法であって、上記保存エレメントは、複数の容器を備え、そして上記方法は、上記保存エレメント中の標的サンプルの位置を同定する工程をさらに包含する、方法。
(項目55)
上記同定する工程および上記整列させる工程は、上記標的サンプルキャリアと同じ場所に配置されたトランシーバから受信される信号を利用することをさらに包含する、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記トランシーバは、高周波エネルギーによって作動される、項目55に記載の方法。
(項目57)
上記トランシーバは、光学エネルギーによって作動される、項目55に記載の方法。
(項目58)
上記利用することの前に、上記標的サンプルキャリアを選択的に方向づけることをさらに包含する、項目55に記載の方法。
(項目59)
上記選択的に方向づけることは、上記標的サンプルキャリアに磁力を及ぼすことを包含する、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記挿入する工程が、上記受容開口部を封着しているフィルムに穴を開けることを包含する、項目53に記載の方法。
(項目61)
上記排出する工程が、上記排出開口部を封着しているフィルムに穴を開けることを包含する、項目54に記載の方法。
(項目62)
上記排出する工程に応じて、上記サンプルキャリアを受容するための娘プレートを提供する工程さらに包含する、項目53に記載の方法。
(項目63)
保管システムであって、以下:
支持表面を有する容器;
上記支持表面に二次元配置で配置された複数の保存エレメントであって、上記複数のエレメントの各々は、容器を有し、上記容器は、サンプルキャリアを受容するために構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にする排出開口部とを有する、複数の保存エレメント;ならびに
イジェクター装置であって、以下:
上記複数の保存エレメントのうちの選択された1つにおいて、イジェクターと標的容器とを整列させ;
上記標的容器における上記受容開口部を通して上記イジェクターを挿入し;そして
上記排出開口部を通して上記標的容器から上記サンプルキャリアを排出するように作動する、イジェクター装置を備える、保管システム。
(項目64)
上記複数の保存エレメントのうちの標的したエレメントを係合するように選択的に作動する取扱装置をさらに備える、項目63に記載の保管システム。
(項目65)
上記複数の保存エレメントの各々は、直立に方向づけられる、項目63に記載の保管システム。
(項目66)
上記複数の保存エレメントの各々は、上記受容開口部および上記排出開口部で封着される、項目65に記載の保管システム。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1Aは、保存エレメントと組み合わせた使用のため構成され動作するサンプルキャリアの一実施形態を示す簡略図である。図1Bは、サンプルキャリアと組み合わせた使用のため構成され動作する保存エレメントの一実施形態を示す簡略図である。
【図2】図2A〜2Fは、サンプルキャリアの実施形態を示す簡略図である。
【図3】図3Aは、図1の線3−3に沿った保存エレメントの一実施形態の簡略横断面図である。図3Bは、図1の線3−3に沿った保存エレメントの別の実施形態の簡略横断面図である。
【図4】図4A〜4Cは、使用時の保存エレメントの一実施形態の一連の簡略横断面図を示す。
【図5】図5A〜5Cは、サンプルキャリアを保存エレメントの選択容器に挿入するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の一部分解された簡略横断面図を示す。
【図6】図6A〜6Cは、サンプルキャリアを保存エレメントから排出するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の簡略横断面図を示す。
【図7】図7は、サンプル保管方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。
【図8】図8は、サンプルキャリアを保存エレメントの選択容器に挿入する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。
【図9】図9は、サンプルキャリアを保存エレメントから排出する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。
【図10A】図10Aは、保管設備での使用のため構成され動作するサンプル保存構成要素の一実施形態の簡略斜視図である。
【図10B】図10Bは、サンプル保存構成要素に関連する使用のため構成され動作する容器の一実施形態を示す簡略斜視図である。
【図10C】図10Cは、サンプル保存構成要素に関連する使用のため構成され動作する容器の別の実施形態を示す簡略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(詳細な説明)
本開示により動作するシステムおよび方法は、中実または多孔質のいずれかである乾燥媒体上に保存された生物材料、非生物材料、および化学材料の個別サンプルの保存および回収を容易にする。いくつかの実施形態では、サンプル物質は多孔質または中実(すなわち、無孔質)サンプル保存媒体上または内部に配置され、たとえば、ロボット装置またはその他の自動装置を使用して、マルチウェルプレートなどの保存エレメントに保管され、そこから回収される。保存媒体は、封着保存エレメントから、たとえば、娘プレートの選択したウェル、またはサンプル物質の回収が望まれる場合、別の適切な容器に、汚染なしで選択的に移され得る。
【0039】
その点に関して、開示装置およびシステムは、封着される保存エレメントからのマルチウェル娘プレートの特定ウェル、または特定キュベット、試験管または類似の容器へのサンプルの排出を可能にする。いくつかの実施形態では、保存媒体を備えるサンプルキャリアは、保存エレメントの第二シールを通して挿入される、たとえば、廃棄可能な穿孔チップなどの装置または手段で保存エレメントの第一シールを通して穿孔または排出され得る。
【0040】
従って、サンプル保存エレメントは、プレートの各ウェルまたは容器が個別サンプルを含むよう構成されかつ作動する底のないマルチウェルプレートを備え得るか、またはそのように具現化され得る。第一シールフィルムは、保存エレメントの、たとえば、底面などの第一表面を封着し得る。個別サンプル(たとえば、下記に示すような個別サンプルノードにてサンプル保存媒体上に配置され得るか、またはそれによって搬送され得る)は、保存エレメントの各容器に導入され得る。第二シールフィルムは、たとえば、保存エレメントの上部などの第二表面を封着し、汚染や劣化からサンプルを保護し得る。
【0041】
半剛性ロッド、ワイヤ、または類似の細長い部材は、選択的にフィルムを穿孔し、保存エレメントの特定対象容器またはウェルに配置されたサンプルキャリアを排出し得る。イジェクター用に選択される材料は一般に、シールフィルムを穿孔するのに十分な剛性であるが、鋭いバイアスカットを可能にするのに十分な柔らかさであり得る。いくつかの実施形態では、イジェクターは、プラスチックまたはその他のポリマーなどの低コストで廃棄可能な材料から構成され得る。
【0042】
図面を参照すると、図1Aはサンプルキャリアの一実施形態を示す簡略図である。図1Aに示すように、サンプルキャリア110は一般に、個別サンプルを搬送するよう動作するサンプルノード111と、ノード111で搬送される個別サンプルに関連した情報を提供するよう動作するサンプル識別子119とを備え得る。
【0043】
図1Aに示すように、キャリア110は、識別を支持するよう構成されかつ作動するステム112と、識別子119が取り付けられ得る取扱構造113などの1つ以上の物理構造を含み得る。キャリア110の図示は代表として示したもので、特に、ステム112と識別構造113の特徴は限定的な意味で解釈されることを意図しないことを注記する。具体的に、図2A〜2Fを参照して下記に詳述するように、サンプルキャリア110の構成要素の構造配置は、中でも、構成要素を製造する材料、キャリア110が使用される任意の自動取扱機構の機能性、および以下に詳述するようにキャリア110が係合することが意図される保存エレメントの構造的特徴に従って種々に改変および変更される。
【0044】
その点に関して、ステム112と識別構造113の相対比、大きさ、長さ、直径、およびその他の物理的特徴は、キャリア110の使用目的に従って選択され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、キャリア110は、ロボット把持機構、真空または磁気チャック、またはその他の自動装置によって把持、搬送、または操作される。従って、識別構造113とステム112は適切な材料から構築され得、識別構造113の自動取扱または把持装置により及ぼされる外力に耐えるよう十分な剛性と構造的一体性を供するよう寸法が決められ得る。同様に、ここに述べるように、キャリア110は、使用時に保存エレメント(たとえば、図1Bの参照符号120で示される)に係合するよう構成されかつ作用し得る。従って、ステム112の長さと識別構造113の直径と厚さは、かかる保存エレメントとのキャリア110の協働を容易にするよう適切に寸法が決められ得る。
【0045】
キャリア110の構成要素は、上記したロボットまたはその他の自動機構によりキャリア110の操作と搬送を可能にするような十分な剛性を持つ任意の材料から構築され得る。サンプルノード111を含むキャリア110の構造要素は、たとえば、一体化単位として形成または成形され得ることが分かる。いくつかの実施形態では、キャリア110は、たとえば当該分野で一般に知られている射出成形技術を使用して製造され得る。あるいは、構成要素の一部あるいは全部が個別に製造され、キャリア110の単一化構造を形成するよう取り付け、接着、融着、接合、または他の方法で一体化され得る。サンプルノード111、ステム112、および識別構造113は、キャリア110を不必要に重くもしくは扱いにくくせず、キャリア110の全体構造が適切な剛性を与えられるようなポリスチレンまたは種々のプラスチックから製造され得る。当該分野で一般に知られている種々の製造技術が、キャリア110と図1Aに示す各種の構成要素を構成するよう使用され得ることが分かる。本開示はキャリア110の製造に対して使用される特別な材料や構成方法に限定されることを意図しない。
【0046】
概略的に上記したように、キャリア110の例示的実施形態は一般に、個別サンプルを搬送するよう動作するサンプルノード111と、ノード111で搬送される個別サンプルに関連した情報を提供するよう動作する識別子119とを備える。図示した配置のように、識別子119はそれが識別するサンプルと同じ場所に配置される。
【0047】
ここでは、「同じ場所に配置される」なる用語は一般に、サンプルとサンプルに関連した識別またはその他の情報の両方の位置をいう。例として、識別子119は、たとえば、ステム112と識別構造113などの適切な構成要素を介して上記したノード111に取り付け、接着、融着、連結、または他の方法で接続され得る。あるいは、図2A〜2Cを参照して下記に詳述するように、支持または取り付け構造が省略され得るよう、識別子119はノード111自体の構造と一体化またはそれに内蔵され得る。
【0048】
その点に関して、識別子119とノード111は、例えば、物理的取り付け(図1A)やノード111との識別子119の一体化(図2A〜2C)を介して「永久に」同じ場所に配置され得る。従って、固有の識別情報とその他のデータは、サンプルキャリア110の有効寿命(すなわち、サンプル物質が実験またはその他の使用のためノード111から取り出しまたは抽出されるまで)を通じてノード111で搬送されるサンプルと同じ場所に配置され得る。
【0049】
実質的にここに述べたように、永久に同じ場所に配置されるノード111と識別子119は、特定個別サンプルに関連した情報が常にそのサンプルの位置で利用可能であることを保証し得る。従って、ノード111のサンプルが識別子119を参照して識別され得、また識別子119はノード111と一体化または接続されているため、取扱エラー(たとえば、ノード111の置き違えで起こる)は最小化または排除され得る。
【0050】
サンプルノード111は、図1Aに示すように実質的に球形であり得ることが分かる。あるいは、ノード111は数多くの形状や大きさのいずれかで形成され得る。一例として、いくつかの可能性が図2A〜2Fに図示される。いくつかの多角形、多面体、角錐や三角形、円盤型または長円形の実施形態が検討され、所望のノードの大きさおよび密度などの種々の要因、サンプルノード111で使用される材料の飽和限度、サンプルキャリア110を操作するのに使用される装置の精度などに基づいて選択され得ることが当業者に理解される。本開示は、サンプルノード111の形状、大きさ、または寸法特性により限定されることを意図されない。
【0051】
サンプルノード111は、サンプルを直接的または間接的に結合し得る。その点に関して、例示的ノード111は一般に、サンプル支持媒体を備え得るか、または全体が支持媒体から構築され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、ノード111は単に選択されたサンプル支持媒体で被覆され、ノード111はサンプルを間接的に結合し得る。あるいは、ノード111の全体構造はサンプル支持媒体から製造され(すなわち、サンプル支持媒体はノード111の構造を構成し得る)、サンプルを直接的に結合し得る。本発明の一特徴に従って、サンプルノード111で使用するサンプル支持媒体は紙またはセルロース、ポリスチレンやキトサンなどのポリマー、プラスチック、セラミック、あるいは生物材料またはその他のサンプル物質のための長期保存機構としての役目をするよう構成されかつ作動するその他の適切な支持材料に具現化され得る。固体、液体、または気体状の標本は、サンプル支持媒体に接触され、個別サンプルノード111においてサンプルとして保存され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、たとえば、かかるサンプル支持媒体は、蛋白質と同様にリボ核酸(RNA)とデオキシリボ核酸(DNA)などのポリヌクレオチドを含む生物ポリマーのサンプルだけでなく、または過フッ化炭化水素またはクロロフルオロカーボン(CFC)、環境汚染物、および合成化学化合物を含む非生物サンプルを維持し得る。上記したように、濾紙基板の実施形態は、当該分野で現在知られている。たとえば、米国特許第6,294,203号では、サンプルキャリア110に導入されるのに適したサンプル保存用の乾燥固体媒体が開示されている。この米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書において援用される。
【0053】
本開示は、ノード111で使用される特定サンプル支持媒体に対して限定されることを意図されない。従って、サンプルノード111での実施に適した支持媒体は一般に、当該分野で知られているか、または既知の原理に従って開発または動作する任意の適切な材料を含み得、搬送かつ維持されるサンプルの種類に関する結合特性に従って選択され得る。
【0054】
その点に関して、適切なサンプル支持媒体は、たとえば、ノード111でサンプルとして保存される標本の種類に部分的に従って中実または多孔質である。さらに、またはあるいは、サンプル支持媒体は、1つ以上の化学化合物で処理され得るかまたは誘導体化され得、たとえば、標本との接触に先立って種々の結合特性を操作される。サンプルノード111の正または負の電荷、化学組成、結合特性、抗体、レクチン、多孔率、およびその他の動作要因は、実施されるサンプル支持媒体の種類と、そこで実行される任意の処理の種類または性質に従って選択され得る。
【0055】
生物サンプルと非生物サンプルは、制御された環境で保存され得る。その点に関して、湿度、温度、およびその他の環境要因は、防火ボールトまたは保管庫として使用されるその他の構造で制御され得る。いくつかの実施形態では、環境条件は、たとえば、サンプルの性質、サンプルノード111で使用されるサンプル支持媒体の組成、またはその両方に従って選択的に変更され得、数十年間サンプルの寿命を保つ。生物ポリマー(ポリヌクレオチドなどの)保管の実施形態では、たとえば、サンプル支持媒体は化学処理された表面や構造を含み得、特定サンプル細胞を溶解し、ポリヌクレオチド構造を個別サンプルノード111においてサンプル支持媒体または基板に固定する。さらに、またはあるいは、保存剤が、サンプル支持媒体に塗布、埋め込み、含浸、または他の方法で導入される。かかる保存剤により、数十年間ポリヌクレオチド構造の安定性と忠実度が保証される。サンプルノード111は、図1Aで示される個別ペレットや球体によって特徴付けられ得、図1Bに示すマルチウェルプレートに配置された特定ウェルに選択的に付着され得る。特定ウェルに付着されたサンプルは、次の処理(たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析など)のために選択され得る。
【0056】
交差汚染はノード111のサンプルを保存することにより実質上排除され得る。一部の例では、機械サンプル除去装置に関わる機械接触は、回収、抽出、精製、包装、および出荷の間、最小化されるか完全に排除され得る。さらに、キャリア110または取扱および識別構造113が標準ロボット操作に従い得るため、保管設備全体が容易に自動化され高スループット率を達成し得る(たとえば、1日あたり100個のサンプルより多く)。
【0057】
上記したように、サンプルキャリア110を使用して保管かつ回収されたDNAやRNAなどのポリヌクレオチドは、大規模の遺伝子分析に十分適合し得、薬理遺伝学またはその他の種類の遺伝子発見分析のために優れた(従来の液相または極低温技術に対して)サンプルを産出し得る。具体的に、サンプルノード111の実施では、サンプル支持媒体とPCRインヒビターを減少させる役目をする任意の埋め込まれた化学薬品の固有の充填特性によってポリヌクレオチド保存量および質を自動的に標準化する。従って、従来のポリヌクレオチド抽出での精製後の定量化手順の要求と複雑さが簡略化、減少、または完全に排除され得る。また、乾燥保管サンプルは、極低温システムで一般的であるような繰り返し行われる冷凍および解凍サイクルの間に、連続して劣化しない。
【0058】
動作時、識別子119は一般に、ノード111で搬送される個別サンプルに関連した情報を維持または提供し得る。いくつかの実施形態では、識別子119はかかる情報へのアクセスを可能にし、サンプルに関連した固有のコード、シリアル番号、またはその他の識別指標を維持または提供し得る。かかる実施形態では、データベースまたはその他のレコード保存は、識別子119により表示または提供されるコードまたは信号を使用してサンプルに関連した情報に対して問い合わせる。
【0059】
従って、この文脈において、およびさらなる説明を簡単にするため、サンプルに関連した情報を「提供する」ことをいう識別子119の機能性が、一般に、限定されることなく以下を包含することが分かる:識別子119においてかかる情報の全部または一部を維持または保存すること;識別子119からかかる情報の全部または一部を通信、送信、または伝達すること;およびサンプルを識別しかかる情報へのアクセスを可能にするよう動作する固有のコード、信号、データストリーム、またはその他の指標を反映、信号伝達、送信、または通信することである。
【0060】
図1Aの実施形態では、たとえば、識別子119は一般に、ノード111で搬送されるサンプルが一意に識別される指標を識別することを包含する。その点に関して、識別子119は、当該分野で一般に知られている幅と離隔距離を変える明暗領域を有する一次元または二次元バーコードを備え得る。さらに、またはあるいは、識別子119は、シリアル番号、ロット番号、英数字コード、またはノード111で搬送されるサンプル物質を識別または区別するのに適したその他の記号表示を備え得る。かかるバーコードまたはその他の識別指標は、種々の機械視覚技術または当該分野で一般に知られているその他の光学センサまたは読取装置のいずれかによりスキャンされる。これらの実施形態では、識別子119は、バーコードまたは識別指標で暗号化される固有のサンプル識別情報を維持または供する。従って、ノード111のサンプルに関連した情報は、標識で暗号化された一意の識別データまたは記号表示を使用して取得またはアクセスされ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、たとえば、光学読取装置は一般に、電磁スペクトルの種々の部分を感知する機器または受信器を使用して、識別子119のバーコードまたはその他の標識で表現される要素を識別または位置づけることができる機械視覚技術、ビデオカメラ、またはその他の光学センサを備え得る。本実施形態では、光学情報(スペクトルの可視部分からの)またはその他の電磁情報(たとえば、マイクロ波、赤外線、または高周波などの)が、ノード111で搬送される同じ場所に配置されたサンプルの同一性、性質、および一般構成を確認にするよう使用され得る。
【0062】
特に、識別子119は、たとえば光起動の小型トランスポンダーまたはトランシーバに具現化され得る。当該分野で一般に知られているように、たとえば、レーザーなどの適切な光源により送出される選択波長と周波数の可視光、蛍光、干渉性光、またはその他の適切な光学エネルギーは、識別子119に内蔵された光電池にエネルギーを供給し得る。本実施形態では、かかる電池で捕捉もしくは受容した光学エネルギーは、マイクロ制御装置またはマイクロチップ、付加的回路、関連電子メモリ、および送信器を起動し得る。あるいは、高周波(RF)エネルギーは、識別子119でトランシーバを起動するのに使用され得る。
【0063】
当該分野で一般に知られているように、識別子119のマイクロチップは、メモリにアクセスし、ノード111で搬送される同じ場所に配置されたサンプルに関連した情報を検索し、送信器の動作に影響し、サンプルに関連した情報を示す信号の送信を可能にし得る。あるいは、送信器はノード111で同じ場所に配置されたサンプルに関連した別個のまたは固有の識別子コードまたは信号を送信する。ノード111で搬送されるサンプルに関するデータレコードまたはその他の情報は、たとえば、送信器により送信される識別信号に従って遠隔地で別の装置によりアクセスされ得る。
【0064】
識別子119により維持かつ供されるサンプル識別情報とその他の情報は一般に以下を含み得るが、これに限定されない:サンプルの正確な識別と追跡を可能にする別個の識別子コードまたはその他の標識;サンプルの性質または種類(たとえば、血液、DNA、RNA、蛋白質、環境粒子、または汚染物);サンプルの供給元または由来(たとえば、ヒトの年齢、性別、および病歴、または環境サンプルが収集された位置と状況);サンプルが収集または保管された時間と日付など。この情報を示すデータレコードまたはその他の構造は、たとえば、識別子119自体に暗号化され得るか、データベースまたはその他のデータ保存構造または設備で維持され得る。
【0065】
一部の実施では、サンプルキャリア110は、標準または変更されたマルチウェルプレートのウェルなどのサンプル容器に係合するよう設計または構成され得る。キャリア110が容器または保存エレメントに係合する際、ノード111はウェルの標本物質に接触され得る。さらに、またはあるいは、キャリア110はクリーンまたは未使用のウェル(すなわち、標本物質または微量の汚染物を含まないもの)に係合し、ノード111のサンプル物質が保存され得、個別のサンプルノードで搬送されたサンプル間の交差汚染が防止され得る。
【0066】
図1Bは保存エレメントの一実施形態を示す簡略図である。例示的実施形態では、保存エレメント120は一般に、縦軸199に対して所定方向づけで配置された複数のサンプル容器またはウェル121を備える。各ウェル121はサンプルキャリア110、より詳細には、実質的に上記したサンプルノード111を受けるよう構成されかつ作用し得る。
【0067】
保存エレメント120の図1Bの実施形態は一例として図示しただけで、限定ではないということが当業者により理解される。保存エレメント120の種々の形状とウェル121の構成は、本開示の範囲および考慮の範囲内にある。たとえば、長方形の構成がここに図示かつ説明されるが、たとえば、保存エレメント120は、保存エレメント120が利用される研究所または保管設備の要求または構成に従って、平面図としてほぼ円形、四角形または多角形である。
【0068】
例示した長方形実施形態では、保存エレメント120は一般に、縦側面122A、122Bと横側面123A、123Bとを備える。科学的なサンプル保存および実験システムが研究所またはサンプル保管設備でマルチウェルプレートを把持、移送、または他の方法で操作するためのロボット機構を使用し得ることが当業者に理解される。従って、側面122A、122B、123A、123Bは、適切な把持または取扱機構(手動か自動)が適切または所望の操作のため保存エレメント120に係合し得るような形状、寸法であり得る。
【0069】
その点に関して、保存エレメント120は一般に、かかる自動またはロボットシステムにより作用される力に耐えるのに十分な剛性と強度を供する適切な材料から製造され得る。また、ウェル121に含まれる任意のサンプルまたは標本物質を汚染しない材料の保存エレメント120を構築することが望ましくあり得る。各種プラスチック、セラミック、ポリスチレン、およびポリマー、またはマルチウェルプレートを構成するための当該分野で一般に知られているその他の材料は、ウェル121と保存エレメント120のその他の構成要素に適切であり得る。
【0070】
保存エレメント120はたとえば単体として製造され得るか、または一般に個別に製造され、その後、接合、接着、または他の方法で接続される2つ以上の部品を備え得る。その点に関して、保存エレメント120のいくつかの実施形態は一般に、ウェルの個別の行(たとえば、126や127)を受けるよう構成されかつ作動する枠構造(図示せず)を包含し得る。この特徴に従って、行126や127は当該分野で一般に知られているように個別に製造され得、独立して使用され得る。
【0071】
さらに、保存エレメント120は保存エレメント120に固有であり得るラベル、タグ、転写またはその他の識別指標129を支持するよう構成されかつ作用し得る。当該分野で一般に知られているように、識別指標129は、たとえば、バーコード(たとえば、一次元または二次元のいずれか)、シリアル番号、またはその他の英数字または記号表示を含み得、保管庫または研究所の設備で維持される他のものから各々の特別な保存エレメント120を区別し得る。かかる実施形態では、標識129は選択側面122A、122B、123A、123Bで配置または方向づけられ得、標識129は保存エレメント120を取扱保存するよう設計されたロボットまたはその他の機構により不明瞭にされたり損なわれたりすることはない。
【0072】
ここで図1Aと図1Bの両方を参照すると、キャリア110と保存エレメント120は、サンプルノード111がサンプルをノード111に「充填する」ための各容器(ウェル121Cなどの)に含まれる標本物質に対して所定の間隔を空けた関係にて支持されるよう構成され得、寸法が決められ得ることが容易に理解される。一例として、サンプルノード111はウェル121Cの標本物質に接触する位置で配置される。また、キャリア110は(ウェル121Cなどの)各容器に付着され保存され得る。図3Aと図3Bを参照して下記に詳述するように、キャリア110はクリーンまたは無菌のウェル121Cに配置または付着され、その中で封着され保管される。その点に関して、保存エレメント120は複数のサンプルキャリア110を互いに分離し、外部汚染物から各サンプルキャリア110を封着して分離するよう構成されかつ作用し得る。
【0073】
いくつかの実施形態により、保存エレメント120の各ウェル121または標本容器は一般に、サンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリア110の排出を可能にするよう構成され選択的に動作する排出開口部とを備え得る。この排出は、(下記の)イジェクターと協働して実行され得る。かかる配置で、保存エレメント120は下記に詳述するように、第一表面124上と第二表面125上の両方で封着され得る。
【0074】
保存エレメント120がマルチウェルプレートに関連して一般に使用される蓋またはカバー(図示せず)を含み得るか、または収容するよう構成され得ることが当業者に理解される。いくつかの実施形態では、標識129が保存エレメント120に動作的に係合する際、カバーは標識129を不明瞭にしないよう配置または方向づけられ得る。あるいは、保存エレメント120で使用されるカバーは標識129を不明瞭にしないよう変更され得るか、または特別に構成され得る。シールフィルム(たとえば、第二表面125を封着する)、またはウェル121の汚染を防止するその他の構成要素を備える保存エレメント120の実施形態では、蓋またはカバーはサンプル一体性を保証することを必要としなくてよい。
【0075】
図2A〜2Fは、サンプルキャリアの実施形態を示す簡略図である。図2A〜2Fに示すサンプルキャリア110の実施形態は一般に、図1Aと図1Bを参照して上記したものに相当し、上記に詳述した構成要素と機能特性の一部または全部を組み込み得る。
【0076】
図2Aでは、たとえば、ノード111は一般に、上記に詳述したものに相当し得る。識別子119はノード111に含まれ得る。例示した図2Aの実施形態では、識別子119はたとえば、高周波(RF)起動の小型のトランスポンダーまたはトランシーバを備え得る。当該分野で一般に知られているように、たとえば、アンテナなどの適切な源により送出される選択的な波長および周波数のRFエネルギーは、適切なアンテナにより受けられ得、識別子119に内蔵または作動可能に結合されたRF電池にエネルギーを供給する。本実施形態では、かかるアンテナで捉えられ、電池で受けられたRFエネルギーは、マイクロ制御装置またはマイクロチップ、付加的回路、および関連した電子メモリ、および図1Aを参照して実質的に上記した送信器を起動し得る。
【0077】
上記したように、マイクロチップはメモリにアクセスし得、ノード111に搬送される、同じ場所に配置されたサンプルに関連した情報を検索し、サンプルに関連した情報を示す信号の送信を容易にし得る。いくつかの実施形態では、送信器はノード111の同じ場所に配置されたサンプルに関連した個別または固有の識別子コードまたは信号を送信し得る。従って、ノード111で搬送されたサンプルに関するデータレコードとその他の情報は、たとえば、送信機で送信される識別信号に応じて遠隔地の別の装置によりアクセスされ得る。
【0078】
図2Bを参照すると、識別子119は一般に、上記したものに相当し得る。具体的に、識別子119はRF起動トランシーバを内蔵し得るか、またはそれを備え得る。例示した図2Bの実施形態では、識別子119はノード111の構造に内蔵され得るか、または一体化され得る。
【0079】
上記した実施と同様に、印加電磁エネルギーは適切な受信アンテナと同調コンデンサー(図示せず)を備えるトランシーバを起動し得る。コンデンサーは送信機を含む電子機器を駆動し得、ノード111で搬送される同じ位置に配置されたサンプルを識別する個別または固有のRF信号またはコードを送信し得る。
【0080】
上記実施形態で、トランシーバはノード111のサンプル支持媒体に埋め込まれ得る。あるいは、ノード111は少なくとも識別子119の一部を囲むよう構成されかつ作動するシースまたはスリーブとして製造または構築され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、ノード111が識別子119を囲む範囲を制限することが望ましくあり得る。ノード111が識別子119の一部またはトランシーバのハウジング(参照符号117により示される)に限定される場合、サンプルキャリア110は、取扱装置または把持装置がノード111で搬送されたサンプルに接触かつ汚染する可能性という危険性なしに、ハウジング117の端部で機械的にまたは他の方法で操作される。
【0081】
図2Bで示されたサンプルキャリア110は、保存エレメント120のウェル121に係合させるよう大きさおよび寸法が決められ得る。キャリア110はさらに、かかるウェル121に係合するよう動作するガスケットまたはその他の構造(図示せず)を備え得、同時に、ノード111を液体標本と接触させる位置でキャリア110を支持し、キャリア110が保存エレメント120に係合する際、ウェル121への粒子状物質の導入を排除することにより汚染を防止する。あるいは、サンプルキャリア110の図2Bの実施形態では、保存エレメント120の適切な容器内で全体的に適合するよう適切に大きさおよび寸法が決められ得る。
【0082】
図2Cは上記したRF起動のトランシーバの実施形態と組み合わせた使用のため構成され動作するサンプルキャリアの別の実施形態を示す簡略図である。例示した図2Cの配置では、ノード111は一般に、サンプル支持媒体の第一層114と第二層115とを備える。一般に上記したようなトランシーバを備える識別子119は、層114と115の間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、層114、115は濾紙または上記に参考として援用される米国特許第6,294,203号に開示した支持媒体などの別の適切な基板から製造され得る。
【0083】
上記したように、層114、115は濾紙またはその他の多孔質材料に具現化され得る。しかし、層114、115はサンプル支持媒体として使用されるのに適した中実または無孔質材料から構成され得るまたはそれらを含み得ることが分かる。その点に関して、上記した種々のサンプル支持媒体のいずれも層114、115に適切であり得、製造技術またはサンプルキャリア110が使用される自動取扱機構の動作特性などのその他の要因に従って選択され得る。
【0084】
一部の実施では、たとえば、ロボットまたはその他の取扱機構による操作に耐えるのに十分な剛性を持つ層114、115を供することが望ましくあり得る。しかし、かかる機械的把持装置は、ノード111で搬送されるサンプルに汚染が入り込む恐れがあり得る。あるいは、トランシーバを収容または備える識別子119は、かかる把持/運搬装置に適応するのに十分な厚さを持ち得、層114、115は装置取扱キャリア110のいかなる部分によっても接触されない。
【0085】
図1Aを参照して上記に詳述したように、トランシーバを備える識別子119は、識別構造113に内蔵され得るか、取り付けられ得るか、接着され得るか、または固定され得る。または、識別子119は、図2A〜2Cに示すように、ノード111の構造と一体化され得る。光学エネルギーに対して、RF信号に応じるトランシーバの実施ではさらに、たとえば、図2A〜2Cに示された実施形態を容易にする。RF起動のトランシーバのマイクロチップとその他の構成要素は、たとえば、動作電力に関して光学エネルギーに依存していないため、かかるトランシーバからなる識別子119はノード111の構造内に全部が一体化され得るかまたは含まれ得る。従って、図2A〜2Cの例示的実施形態では、ノード111に取り付けられるか、またはその他の方法でノード11の外部にある任意の構成要素(たとえば、ステムまたは識別構造などの)は含まれなくともよい。
【0086】
さらに、1つ以上のさらなる識別子119は、たとえば、トランシーバの高度化または機能特性、キャリア110が使用されるシステムの動作要求、またはその両方の組み合わせに従ってキャリア110に組み合わせて実施され得ることが分かる。具体的に、たとえば、図2A〜2Fを参照して図示かつ説明された実施形態のいずれもが、図1Aを参照して図示かつ上記した構成要素とサンプル識別方法を含み得る。開示された実施形態の任意の数の特徴および局面が、とりわけ、キャリア110の所望の機能性、保存エレメント120の構造的特徴またはキャリア110が実施される自動装置の機能面、ノード111で搬送されたサンプルの性質と化学特性などに従って容易に組み合わせられ得るか交換され得ることが当業者に理解される。
【0087】
上記したものなどのトランスポンダーまたはトランシーバの種々の種類が現在知られており、広い用途で使用されることを注記する。たとえば、識別子119に内蔵されていると説明されたものなどの数多くのトランスポンダーは現在動物に埋め込まれ、行方不明のペットを識別するのに使用される。また、種々のマイクロトランシーバシステムは研究者によって開発され、能動薬物送達技術での使用に提案されている。上記したようなマイクロトランシーバまたはトランスポンダーは一般に、たとえば、全方向性のRF信号を送信するよう動作し得、受信器は、関連した署名信号周波数、送信パターン、またはその他の情報を使用してノード111で搬送したサンプルを位置づけ、識別できる。従って、識別子119に内蔵されたトランシーバにより送信された固有信号は、ロボット器機またはサンプル取扱装置の位置づけを指示するのに使用され得る。
【0088】
図2Dはサンプルキャリアの別の実施形態を示す簡略図である。サンプルキャリア110は一般に、個別サンプルを搬送するよう動作するサンプルノード111を備える。その点に関して、ノード111は適切なサンプル支持媒体に具現化され得る。上記したように、ノード111は選択されたサンプル支持媒体で被覆され得、ノード111は間接的にサンプルを結合する。あるいは、ノード111の全体構造は、サンプル支持媒体から製造され(すなわち、サンプル支持媒体はノード111の構造を構成する)、サンプルを直接結合し得る。
【0089】
上記したように、サンプルノード111で使用されるサンプル支持媒体は一般に、キトサン、プラスチック、セラミック、ポリスチレンもしくはその他のポリマー、または生物サンプルまたはその他のサンプルの長期保存機構として働くよう構成されかつ作動するその他の適切なサンプル物質に実施され得る。図2Dの実施形態では、ノード111はかかるサンプル支持媒体に具現化され、一般に紙またはセルロース、またはたとえば、高多孔率と10〜100ミクロンの範囲の細孔を有する発泡ポリウレタンなどのポリマーから構成され得る。
【0090】
固体、液体、または気体状の標本は、サンプル支持媒体と接触され得、個別サンプルノード111でサンプルとして保存される。図2Dの例示的実施形態では、サンプル物質がノード111のサンプル支持媒体により吸収される場合、ノード111は膨張し得る(破線で示すように)。
【0091】
図2Dの実施形態に組み合わせて使用されるのに適切なサンプル支持媒体の多くの例が製品化されている。たとえば、高多孔率と10〜100ミクロンの範囲(たとえば、30ミクロン)の細孔を有する連続気泡発泡ポリウレタンが一般に利用可能であり、包装、小型部品や装置の詰め物、ケガをする前の包帯、および鋳型で使用される前駆物質として現在使用されている。
【0092】
図2Dの実施形態で使用されるサンプル支持媒体は、以下の特性を示し得る:圧縮性(たとえば、多孔質構造からのサンプルの除去を容易にする);リバウンド性(すなわち、圧縮力が解除された時、ノード111が元の形状にすばやく戻る);開口および多孔質下部構造; 水や水性緩衝剤を吸収する能力;およびキャリア110が使用されることが意図される保存エレメント120の容器に適合するよう鋳造または切断される能力である。また、キャリア110のサンプル支持媒体は、生物材料に対して不活性な低レベルの浸出材料と表面を含み得る。一般に、ノード111で使用されるポリマー材料は、サンプル物質が生物材料、非生物材料、または化学材料であろうと、サンプル物質を収集、安定化、および保存するのに使用される試薬と適合性であり得る。サンプル支持媒体はまた、低レベルの粒子状と湿潤状態および乾燥状態で低破砕性を示す。
【0093】
図2Dで示されたノード111の形状が例示のためだけに供されていることが分かる。ノード111は一般に円形で示されているが、四角形や、長方形、およびその他の多角形などのその他の形状もまた検討される。ノード111の全体形状と全寸法は以下の要因の一部または全部により影響され得る:サンプル支持媒体の密度;搬送されるサンプル物質量;および保存エレメント120の容器の寸法と容量である。
【0094】
上記詳述したサンプルキャリア110の種々の実施形態を参照すると、磁気粒子材料、または強磁性体材料またはフェリ磁性体材料が、サンプルノード111、識別および取扱構造113、またはその両方で実施され得、サンプルキャリア110の磁気的操作を可能にすることが分かる。いくつかの実施形態では、たとえば、磁気材料はノード111、支持媒体、または識別構造113に埋め込まれ得るか、または他の方法で内蔵され得るか、または取り付けられ得る。
【0095】
その点に関して、図2Eと図2Fは、サンプルキャリアの実施形態を示す簡略図である。キャリア110は一般に、サンプルノード111と、一体化されているかまたは一体的に取り付けられた磁気要素116とを備える。図2Fに示すように、キャリア110はまた、上記に詳述した識別子119を備え得る。例示的実施形態では、ノード111に対する特定位置から印加された磁場は、サンプルキャリア110を適切な位置に方向づけ、識別子119の読み取りまたは起動を容易にし得る(図2Eでは図示せず)。さらに、サンプルキャリア110は、適切な磁場を発生できる磁気チャックまたはその他の装置を使用して運搬、移動、または他の方法で操作され得る。
【0096】
たとえば、磁気要素116と相互作用する印加磁場は、所望の方向に軸299を中心にサンプルキャリア110を(図2Eの曲線矢印で示したように)フリップまたは回転させるのに十分な力を作用させ得、識別子119の動作を可能または容易にする。その点に関して、磁気要素116は適切な磁場に組み合わせて使用され得、たとえば、バーコードリーダーまたは光学スキャナーなどの協働器機、または放射光学エネルギー、またはRF電源やアンテナなどとの識別子119の適正な配置を保証する。さらに、またはあるいは、磁気要素116は、キャリア110が所望の方法で位置づけられ、たとえば、標本物質、試薬、保存剤、またはその他の化学薬品の、ノード111で実施されるサンプル支持媒体への付加を可能または容易にする。
【0097】
被覆または未被覆の磁気粒子または磁気材料は、たとえば、キャリア110の製造時、またはサンプル充填後、サンプルノード111またはサンプル支持媒体に内蔵され得る。かかるいくつかの実施形態では、ノード111は磁場で製造され、内蔵された磁気材料は所望の磁気方向または極性で配置または整列され得る。あるいは、かかる磁気材料は標本自体に加えられる。標本に含まれる磁気材料は、標本をノード111に移すのに使用される同一または類似の化学作用を持つサンプルノード111に結合され得る。
【0098】
ここでは、「磁気」なる用語は一般に、「磁気」材料を、予想される方法で外部磁場または電磁場に応じるようにする磁気、強磁性、またはフェリ磁性特性のことをいうことが上記から理解される。従って、いくつかの実施形態では、サンプルキャリア110はまた、個別磁気要素116、ノード111の構造全体に散らばるその他の磁気材料、またはキャリア110が印加磁場に応じて方向づけられ得るか操作され得るようなその他の構成要素を含み得る。磁場は、たとえば、個別ウェル、またはサンプルキャリア110が保存される保存エレメント全体に印加され得る。
【0099】
図3Aは、図1の線3−3に沿った保存エレメントの一実施形態の簡略横断面図である。図1Bを参照して上記したように、保存エレメント120は一般に、1つ以上のサンプル容器121からなり、各々がサンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作用する。図示した長方形の実施形態では、ウェル121は一般に、縦面122A、122Bと横面123A、123Bとの間に所定の方向づけで配置されるが、代替的に、保存エレメント120は一般に平面図として円形または多角形である。
【0100】
キャリア110と保存エレメント120は、サンプルノードが各容器121に含まれる標本物質に対して所望の間隔を空けた関係にて支持されるよう構成され寸法が決められ得る。図3Aに示すように、各キャリア110はサンプル充填に付け加えてか、またはその別法として、各容器121に付着されて保存され得る。その点に関して、保存エレメント120はクリーンまたは無菌のウェル121にキャリア110を収容するよう独自に構成されて動作し得、ノード111に充填するための標本物質を選択的にまたは任意に受け、キャリア110を封着し保管する。具体的に、図3Aの保存エレメント120は、複数のサンプルキャリア110を互いに分離し、外部汚染物から各サンプルキャリア110を封着して分離するよう構成されかつ作用し得る。
【0101】
図3Aの実施形態により、保存エレメント120の各ウェル121または標本容器は一般に、サンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作動する受容開口部321Bと、ウェル121からサンプルキャリア110を排出するイジェクター(下記)と協働するよう構成され選択的に動作する排出開口部321Aとを備え得る。図3Bを参照して下記に詳述するように、保存エレメント120は第一表面124と第二表面125との両方に封着され得る。
【0102】
図3Bは図1の線3−3に沿った保存エレメントの別の実施形態の簡略横断面図である。図3Bに示すように、保存エレメント120の第一表面124は、シールフィルム351により閉じられ得るか封着され得、保存エレメント120の第二表面125は、シールフィルム352により閉じられ得るか封着され得る。従って、保存エレメント120の各容器またはウェル121は、フィルム351と352により排出開口部321Aと受容開口部321Bで封着され、サンプルキャリア110を固定し得、かつ汚染物がウェル121に入るのを防止し得る。
【0103】
上記した要素に加えて、保存エレメント120の図3Bの実施形態はリップまたはスカート328を備える。保管、研究、研究所、またはその他の設備での一般用途において、たとえば、保存エレメントはスタックされ、利用可能な保存スペースを最適化し得る。保存エレメント120の構造にスカート328を取り付けるか、または内蔵することは、保存エレメントや研究所の作業台などの表面と別の方法で接触して発生し得るシールフィルム351、352の不要な摩擦または劣化を防止する。
【0104】
その点に関して、スカート328はシールフィルム351を超えて延長するよう適切に寸法が決められ得、スタックの隣接した保存エレメントの面125に係合するよう寸法が決められ構成され得る一方、その面に取り付けられたシールフィルム352との接触を回避する。スカート328は、縦側面122A、122Bと一体化し、その全部または一部のみに沿って縦方向に延長し得る。たとえば、図1Bに示した保存エレメント120の実施形態を参照して、スカート328は縦側面122A、122Bに付け加えて、横側面123A、123Bと一体化またはそれに取り付けられた周縁構成要素として実施され得る。あるいは、スカート328は、フィルム351を超えて延長し、保存エレメント120の周囲(角、すなわち、縦側面122A、122Bと横側面123A、123Bの接合部)に沿って選択された位置に位置づけられた複数のポスト、ガイドレール、またはその他の突起物として実施される。
【0105】
フィルム351、352は一般に、種々の金属材料、プラスチック、その他のポリマー、またはシール物品で使用され得る薄い、柔軟性のあるシートやホイルを供するために一般に使用される類似材料を含み得る。いくつかの実施形態では、フィルム351、352のうち少なくとも1つが誘電物質またはその他のRF透過材料から構成され得、上記に詳述したRF起動識別子119を使用するサンプルキャリア110の種々の実施形態のいずれにも適合する。ここでは、「高周波透過性」と「RF透過」なる用語は一般に、上記に詳述した1つ以上のRFトランスポンダーを起動し、その動作を可能にするのに十分なRFエネルギーを送信するのに適切な材料と厚さのフィルムのことをいう。
【0106】
さらに、またはあるいは、フィルム351、352のいずれかまたは両方が光学透過性で、可視的または光学装置の使用を通して、ウェル121の内容の検査を可能にする。本実施形態はバーコードまたは光起動識別子119を使用するサンプルキャリア110の使用に適合し得る。従って、ここでは、「光学透過性」なる用語は一般に、1つ以上の選択波長の十分な光が透過されるのに適切な材料と厚さのフィルムのことをいう、すなわち光学透過性なフィルム351、352は、フィルム351、352を通してサンプルキャリア110の可視検査を可能にするか、または上記したようなバーコードリーダーまたは光起動トランスポンダーなどの光学装置のフィルムを通した動作を可能にするのに十分な光を送出する。
【0107】
フィルム351、352は使用時穿孔され、選択されたサンプルキャリア110が、図6A〜6Cを参照して下記に詳述した特定ウェル121から排出することを可能にする。従って、たとえば、フィルム351、352の物理的厚さと、そのために選択された材料の具体的な特性はシステム要求に従って選択的に変更され得る。たとえば、形状、材料強度、柔軟性、および穿孔イジェクター構成要素(下記)により加えられる力は、以下の一部または全部に影響する:フィルム351、352として選択される材料、フィルム351、352の厚さ; フィルム351、352を面124、125それぞれに適用するのに使用される技術である。いくつかの実施形態では、以上の要因は、とりわけ、フィルム351、352が選択された排出機構により効果的に穿孔され得ることを保証するよう調整され得る。
【0108】
フィルムを表面に適用する種々の方法は、当該分野で一般に知られている。たとえば、多くの接着剤と感熱シール技術は、薬剤の包装や収縮包装などの種々の用途で現在使用されている。シールフィルム351、352を面124、125に結合、接着、貼付、融着、または他の方法で適用するために使用される特定方法は、以下を含む種々の要因(これに限定されない)により影響される:フィルム351、352の材料選択と厚さ;表面124、125の材料選択、硬度、および表面特性;保存エレメント120またはそれに維持されたサンプルの使用目的;および保存エレメント120のウェル121に保存されるサンプル物質との化学相互作用(結合材料または適用技術に起因する)である。従って、当業者はシールフィルム351を面124に適用するため使用される方法がシール352を面125に適用するため使用される方法と異なり得ることが分かる。
【0109】
本開示は特定の適用または結合技術により限定されることを意図されないが、当業者はフィルム351、352と面124、125それぞれとの間の適切な封着がウェル121に配置されるサンプルキャリア110の汚染を防止することが分かる。従って、いくつかの実施形態では、フィルム351、352を適用する方法は、各面124、125の各ウェル121の全周または周囲に完全な結合を保証するよう選択され得る。言い換えれば、各ウェル121の受容開口部321Bと排出開口部321Aは、隣接ウェル121から独立して封着かつ分離され得る。別法として、単純な適用技術では、一部のみか、その選択領域(たとえば、保存エレメント120の外周に沿って)フィルム351、352を各面124、125に接着または結合させ得る。この後者の実施形態では、個別ウェル121は保存エレメント120のその他のウェル121からは分離されなくともよい。
【0110】
上記したように、特定種類のシールフィルムを適用するために選択される方法は、保存エレメント120とウェル121に保存されたサンプルの使用目的に従って変更され得る。さらに、いくつかの実施形態は保存エレメントの選択部分の封着に適合し得ることが分かる。一例として、図1Bに示した保存エレメント120を参照して、各行126、127はウェル121の個別単位として個別的に封着され得る。
【0111】
図4A〜4Cは、使用時の保存エレメントの一実施形態の一連の簡略横断面図である。図4Aに示すように、実質的に図示し上記に詳述した保存エレメント120は、ポリマーフィルムまたは金属フィルムなどのシールフィルム351を有する第一表面124で封着され得る。図3Aと3Bを参照して上記したように、フィルム351は一般に、保存エレメント120の各サンプル容器またはウェル121の排出開口部321Aを封着し得る。図4Aの実施形態では、フィルム351を貼付けるのに使用される適用方法は一般に、面124の各排出開口部321Aの周囲にフィルム351を結合または接着し、各ウェル121を独立容器にし得る。具体的に、フィルム351は、必要に応じて、面124の大部分に結合される(たとえば、各個別排出開口部321Aの周囲に)、ウェル121間の液体浸出を防止し得る。上記したように、保存エレメント120の選択部分は、保存されるサンプル数、シールフィルム351を面124に適用するため使用される装置の高度化、およびその他の要因に従って上記方法で封着され得る。
【0112】
上記したように、各ウェル121はサンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作動する受容開口部321Bを含み得る。その点に関して、図4Bに示すように、サンプルキャリア110は、保存エレメント120の各ウェル121に付着または供給される。いくつかの実施形態では、1つ以上の選択的に構成された磁場または電磁場は、たとえば、保存エレメント120に印加されるか、または個別ウェル121に印加され、上記したような磁気要素116を内蔵するサンプルキャリア110の配置または方向づけを容易にする。
【0113】
図4Cに示すように、シールフィルム352は第二表面125に適用され得、同時にサンプルキャリア110の損失を防止して、汚染からウェル121を封鎖する。保存エレメント120自体の使用目的に従って、または保存エレメント120が使用される設備の動作特性に従って、フィルム352は単に面125の選択部分に接着または結合され得る。あるいは、フィルム352は各受容開口部321Bの外周に面125に接着され得る。図4Cに示された封着動作に付け加えて、または別法として、図4Bに示された保存エレメント配置は一般に、従来のマルチウェルプレートのために供され、たとえば、汚染物がウェル121に入るのを防ぐ蓋を備え得る。具体的に、一部の実施では、シールフィルム352の面125への適用は、たとえば、別の手段がキャリア110の損失とウェル121の汚染を防止するために取られるような適切な状況では省略される。
【0114】
フィルム352の適用に先立って、すなわち、面125を封着することに先立って、任意の時間でサンプルキャリア110に標本が充填されることが当業者に理解される。いくつかの実施形態では、たとえば、保存エレメント120とその複数のウェル121は、保存のためのサンプル物質(すなわち、サンプル保存媒体上のサンプルをすでに保持する)が前もって充填されたサンプルキャリア110を受け得る。あるいは、ウェル121は未充填のサンプルキャリア110を受ける。本実施形態では、適切または所望量のサンプルが、サンプルキャリア110が付着される前か後のいずれかで、ウェル121に選択的に加えられ得る。
【0115】
さらに、またはあるいは、種々のプライマー、変性剤、緩衝剤、溶剤、保存剤、またはその他の化学化合物が、シールフィルム352の適用に先立って、必要に応じて、ウェル121に加えられ得る。液体サンプル物質、化学試薬、またはその他の流体をウェル121に導入する場合、フィルム352は、必要に応じて、面125の大部分(すなわち、各個別受容開口部321B周囲)に結合または接着され、ウェル121間の零れ、浸出、またはその他の汚染を防止し得る。
【0116】
図5A〜5Cは、保存エレメントの選択容器にサンプルキャリアを挿入するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の一部分解簡略横断面図を示す。図5Aに示された保存エレメント120の配置は、図4Bを参照して図示かつ上記したものと類似する。保存エレメント120の第一表面124は、実質的に上記した各ウェル121の排出開口部321Aでフィルム351により封着されている。図5A〜5Cに示した実施形態では、システム500は一般に、基板層514、切断プレートまたはテンプレート599、保持テンプレート598、カッター542などのキャリア切断装置、およびプランジャー541を備える。システム500の種々の構成要素は、実質的に下記するように、保存エレメント120の各ウェル121にサンプルキャリア110を付着するよう構成されかつ作用し得る。
【0117】
上記したように、図5A〜5Cは、より明らかに開示した構成要素のいくつかを示すよう一部分解される。下記に示した動作に関して、いくつかの実施形態では、以下の当初の構成が使用され得る。保持テンプレート598は一般に、保存エレメント120の表面125と接触して配置され得、キャリア開口596はウェル121の受容開口部321Bに整列され得る。同様に、切断プレート599は保持テンプレート598と接触して配置され得、カッター開口597はキャリア開口596に整列され得る。最後に、基板514は切断プレート599と接触して配置され得る。
【0118】
上記に詳述するように、サンプルキャリア110が切断される基板514は、種々のセルロースベースの濾紙か、またはサンプルを結合するのに適したポリマー材料(たとえば、ポリエステル、ポリアクリル、または発泡ポリウレタン)のいずれかを含み得る。上記したように、基板514は切断プレート599上か、それに近接して配置され得、保持テンプレート598に係合または突き合わせるよう構成されかつ作用する。テンプレート598、599は、カッター542、プランジャー541、基板514、およびキャリア110、またはその組み合わせにより作用される力に耐えるのに十分な剛性で弾力性のある種々のプラスチック、金属、セラミック、またはその他の材料から構成され得る。テンプレート598、599は一体化され得、すなわち、各々の構造特徴は単一のテンプレートに内蔵され得ることが理解される。図5A〜5Cの例示は説明を簡単にするためだけのものであり、限定的な意味で解釈されない。
【0119】
切断テンプレート599は一般に、カッター542、プランジャー541、およびキャリア110が保持テンプレート598に向かって切断テンプレート599を通過させるようにするカッター開口597を備え得る。動作時、プランジャー541は基板514に接触し、適切な圧縮力を作用させ得る。この圧縮力により一般に、張力がかかった状態で基板の隣接開口597部分が配置され、切断動作を容易にし得る。カッター542は基板514に係合して、サンプルキャリア110を切断する。一例として、カッター542は、穴あけ機、目打ち、穿孔ツール、またはその他の種々のツール、装置、または基板514の差し込み、チャド、または押しあけ部分の作製を容易にする機構として実施され得る。かかる能力を有する多くの機構は、当該分野で一般に知られている。図5Aの実施形態では、カッター542は基板514(キャリア110を作製する)と開口597を通って伸び、クリーンで正確な切断を保証し得る。従って、保持テンプレート598を使用していない場合、カッター542は保存エレメント120の面125と接触し得る。
【0120】
図5Aでは、カッター542は開口597と同一の寸法を持つよう構成され得る。従って、キャリア110は、協働カッター542とテンプレート599の種々の寸法に従って選択された大きさと形状に切断され得る。いくつかの実施形態では、キャリア110は、ウェル121の受容開口部321Bより大きい寸法を有するよう切断され得る。図5Bに最も明らかに示されるように、プランジャー541は上記の切断動作後受容開口部321Bに向かってキャリア110を進行し続け得る。
【0121】
保持テンプレート598は一般に、プランジャー541とサンプルキャリア110をウェル121の受容開口部321Bを通過させるようにするキャリア開口596を備える。開口596は一般に、保持テンプレート598がキャリア110のウェル121への挿入の間に作用される力の大部分を担い分配するよう、保存エレメント120に対して適切に寸法が決められ得位置づけられ得る。さらに、またはあるいは、保持テンプレート598は、テンプレート599の開口597を通って伸びるカッター542から面125を保護する。従って、受容開口部321Bの周囲の面125の縁部は、図5A〜5Cの実施形態のキャリア110を作製かつ挿入するため使用される装置により発生する亀裂、欠け、くぼみ、または摩擦などの類似の損傷から保護され得る。その点に関して、保持テンプレート598の使用はまた、キャリア110が受容開口部321Bより大きい直径またはその他の平面寸法を有する場合、保存エレメント120への損傷を防止し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、たとえば、保持テンプレート598は使用時面125に直接配置され得、開口596は受容開口部321Bの大きさと形状に従って正確に寸法が決められ得る。これらの実施形態では、開口596は一般に、受容開口部321Bと等しいか、それより小さい寸法を持つよう実施され、面125またはウェル121―の損傷を防止し得る。しかし、一部の場合、開口596は受容開口部321Bより大きくてよい。面125への損傷を防止するよう適切に再構成されたその他の実施形態では、保持テンプレート598はオプションであり得る。
【0123】
図5Bと図5Cに示されるように、保持テンプレート598と開口596はキャリア110の折り曲げを容易にし、ウェル121を適合させ得る。プランジャー541は開口596を通って進み、キャリア110の縁部または側面は図5Cで示される予想可能な方法で折り曲げられ得るか、または押圧され得る。キャリア110がウェル121に挿入されると、プランジャー541は後退し得、以上のプロセスが異なるキャリア110と異なるウェル121のために繰り返され得る。
【0124】
保存エレメント120の正確な寸法、ウェル121の特定寸法、形状、および間隔配置が知られている場合、テンプレート598、599は、保存エレメント120の全面125を横切るよう製造され得る、すなわち、テンプレート598、599は、保存エレメント120のウェル121(またはそのサブセット)ごとに、保存エレメント120のウェル121の二次元配置と協働するよう特定方法で配置される複数の開口596、597を備える。本実施形態では、サンプルキャリア110を保存エレメント120全体に効率的に充填でき、テンプレート598、599の最小限の自動取扱装置またはロボットの再配置を要し得る。たとえば、マルチカッター542とプランジャー541が自動装置またはロボットシステムと組み合わせて適切な配置で供給される場合、保存エレメント120全体またはその大きな部分(たとえば、ウェル121の行または列全体などの)は、同時にまたは単一動作でサンプルキャリア110が充填され得る。あるいは、テンプレート598、599は、連続して個別ウェル121ごとにサンプルキャリア110を切断するよう実施され得る。本実施形態では、たとえば、あるウェル121から次のウェルまでのテンプレート598と599の再配置が要求され得る。
【0125】
図5A〜5Cに示される動作が図4Bで示された段階で発生し得る(すなわち、第一表面124が封着された後であるが、第二表面125が封着される前)ということが当業者に理解される。従って、図5Cに示されたサンプルキャリア110のため作製されたカップ形状は、上記したウェル121に液体サンプル物質、保存剤、またはその他の化学薬品を加えるのに適切であり得る。
【0126】
図6A〜6Cは、保存エレメントからサンプルキャリアを排出するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の簡略横断面図を示す。例示的実施形態では、システム600は一般に、穿孔チップ691を有するイジェクター690、フィーダー/トリマー装置680、およびデカルト座標制御装置670を備える。
【0127】
以下の説明でさらに明らかになるように、フィーダー/トリマー680は一般に、イジェクターストックの供給部(たとえば、そこからイジェクター690が形成されるところ)を収容または維持するよう動作するハウジング682、ハウジング682からイジェクターストックを進行させるための機構(図示せず)、および所定の位置にイジェクターストックを切断するよう動作するブレード681を備え得る。
【0128】
その点に関して、イジェクター690は可撓性のある、または半剛性ロッド、ワイヤ、または類似の細長いストック材料で実施され得るか、または製造され得る。イジェクターストックとして選択される材料は一般に、シールフィルム351と352を穿孔するのに十分な剛性であり得るが、いくつかの実施形態では、穿孔チップ691のための鋭いバイアスカットを可能にするのに十分な柔らかさであり得る。イジェクター690とイジェクターストックは、金属(たとえば、アルミワイヤ)、プラスチック、またはその他のポリマーなどの低コストで廃棄可能な材料から構成され得る。
【0129】
イジェクターストックが、たとえば、可撓性のあるポリマーまたは金属のコードまたはワイヤの場合、イジェクター690は、無菌部分698が保持され得る一方(図6Cに示され、かつ下記に詳述するように)、汚染部分699が除去され得るよう切断され得る。本実施形態では、フィーダー/トリマー装置680は、たとえば、ブレード681が部分698と699を分離するイジェクター690を切断する前か後のいずれかで、イジェクターストックのスプールから無菌部分698を供給し得る。上記の機能性を実施する種々の機械と方法が一般に知られている。たとえば、回転式芝刈機と手持ち式または自動包装装置が知られているが、これは、フィーダーを使用して、スプールまたはその他の保存機構、および所望の位置でコードを切断するよう動作するカッターから可撓性のある、または半剛性のコードを供給する。
【0130】
簡略実施形態では、フィーダー/トリマー680は、排出動作ごとに個別または廃棄可能なイジェクター690を供給し得る。たとえば、ハウジング682は複数のプレカットイジェクター690を保存するよう動作する1つ以上のラック、箙、マガジンを備え得る。かかる実施形態では、フィーダー/トリマー680は、下記するように使用されるイジェクター690を位置づけ、使用イジェクター690を後退、解放、または廃棄し、後の排出手順で使用される次のイジェクター690を位置づけるよう構成され連続して動作し得る。イジェクター690ごとに選択された材料は、本実施形態では可撓性である必要がないことが分かる。
【0131】
動作時、座標制御装置670は、任意の保存エレメントの特定対象ウェル121に対してイジェクター690を位置づけ得る。図1Bに示すように、x座標は保存エレメント120の縦軸199に沿ったウェル121の位置を示し得、z座標は縦軸199からのウェル121の距離を示し得る。制御装置670は、三次元空間でイジェクター690を位置づけるよう構成され正確に動作するセンサ、関節式アーム、直線またはその他のアクチュエーター、サーボ、およびその他のハードウェア要素(機械、電気、または電気機械)などの種々の機械および電子部品を内蔵し得る。制御装置670に適した種々の運動制御システムと方法は、当該分野で一般に知られている。
【0132】
その点に関して、制御装置670はサンプルまたはウェル121の識別を可能または容易にする電子データまたは指示セットを受けるよう構成されかつ作動する1つ以上のデータ入力ポートまたは通信インターフェース機構を含み得る。特に、制御装置670は特定サンプルキャリア110の位置に関する座標データまたはその他の情報を受け得る。かかるデータは、たとえばバーコードリーダー、光学またはRFトランスポンダー、オペレーター入力、またはその他の手動または自動装置により供給される。上記したように、研究所または実験設備は、たとえば、データベースまたはその他のデータ構造を含む電子システムに関連して自動装置または手動装置を使用して、特定サンプル物質の同一性と位置に関する情報の目録を作り維持し得る。利用可能な情報に従って、制御装置670は、装置を位置づけるための当該分野で一般に知られている種々の装置と技術を使用して、保存エレメント120の適切なウェル121のx、z位置でイジェクター690を位置づけるよう動作され得る。
【0133】
さらに、またはあるいは、保存エレメント120はイジェクター690と標的ウェル121の整列を容易にするよう移動または位置づけられ得る。たとえば、制御装置670で実施されるハードウェアとは別にまたはそれと協働して動作する、種々の移動可能なステージまたはロボットシステムが検討され、現在利用可能である。本開示はイジェクター690にウェル121を整列させるよう使用される方法または装置により、あるいは座標制御装置670の一般構成と、それに内蔵された構成要素の特定構造配置により限定されることを意図されない。
【0134】
座標制御装置670は、さらにy方向にイジェクター690を進行かつ後退させるよう選択的に動作し得る。図6A〜6Cに示すように、イジェクター690は、保存エレメント120の選択標的ウェル121を通ってy方向に進行し得、そこから後退し得る。いくつかの実施形態では、y方向のかかる運動は、たとえば、座標制御装置670の制御下で動作する直線アクチュエーターにより容易にされ得、または可能にされ得る。さらに、またはあるいは、y方向のイジェクター690のかかる運動は、上記したフィーダー/トリマー装置680により供され得る。
【0135】
図6Aと図6Bに示すイベントのシーケンスにより示されるように、イジェクター690は、フィルム352を穿孔し得、サンプルキャリア110に係合し得、サンプルキャリア110を、フィルム351を通して、たとえば、娘プレートまたはその他の保存エレメント120Bの選択ウェル121Bか、ウェル121から排出されるキャリア110を受けるよう位置づけられた特定の試験管、キュベット、またはその他の容器に排出し得る。
【0136】
図6Cを参照して、イジェクター690の一部(参照符号699で示す)が汚染され得、少なくともキャリア110の排出に続いて、汚染として一般に見なされ得ることが分かる。具体的に、キャリア110、フィルム351、352、およびウェル121の内部表面と接触すると、部分699の全部または一部が微量のサンプルまたは化学薬品が付着または他の方法でつけられ得る。従って、イジェクター690の部分699は排出動作後廃棄され、キャリア110間のサンプル物質の交差汚染を防止する。ここでは、部分699は一般に、キャリア110、ウェル121の表面、フィルム351、352、またはその組み合わせと接触するイジェクター690の長さを示す。具体的に、使用時(特に、図6Bに示される動作時)、フィルム352、面125、またはその他の選択ポイントに伸びるか、またはそれを超えて伸びるイジェクター690の任意部分は、汚染部分699に含まれ得る。
【0137】
図6Cの実施形態に示すように、イジェクター690は、部分699の切断とその後のその廃棄に先立って、ウェル121から後退し得る。別法として、すなわち、イジェクター690が図6Bに示される位置にある時、部分699は後退に先立ってイジェクターストックから切断され得る。この別法実施形態では、切断がイジェクター690に沿った正しい位置で発生し、汚染部分699の全体が除去されることが保証され得る。
【0138】
図7は、サンプル保管方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。図7に示されたシーケンスは一般に、図4A〜4Cを参照して図示かつ上記詳述した動作に相当する。ブロック701で示すように、実質的に上記した保存エレメントが供給され得る。いくつかの実施形態では、保存エレメントは、たとえば、バーコードまたはその他の識別指標を読み取るよう動作する機械視覚技術を使用して、ロボット式取扱機構などの自動装置により供給され得る。あるいは、保存エレメントはユーザーまたはオペレーター入力により供給される得か、またはそれを協働し得る。ここでは、「供給すること」は一般に、標的保存エレメントを識別し、後の動作を容易にするかまたは実行する構成要素または装置に対して保存エレメントを配置、方向づけ、位置づけ、または他の方法で選択的に配置することをいう。
【0139】
ブロック702で示すように、保存エレメントの第一表面は、たとえば、実質的に上記したポリマーシールフィルムまたは金属シールフィルムで封着され得る。特に、かかるフィルムは、各排出開口部の周り第一表面に結合または接着され、保存エレメントの各サンプル容器またはウェルの排出開口部を封着する。上記したように、保存エレメントの第一表面全体、またはその選択部分のみが上記方法で封着され得る。
【0140】
ブロック703で示すように、サンプルキャリアは選択的に付着され、供給され、または他の方法で保存エレメントの各ウェルに挿入される。図4Bを参照して図示かつ上記したように、各ウェルまたは容器は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、ブロック703で示す動作は機能を含み、図5A〜5Cを参照して上記され図8でさらに示された構造構成要素の一部または全部を含む。
【0141】
標本は、ブロック704で示すサンプルキャリアに充填され得る。例示した図7の実施形態では、標本の適切または所望量は、サンプルキャリアを付着した後、保存エレメントの1つ以上のウェルに選択的に加えられ得る。しかし、上記したように、標本のサンプルキャリアへのかかる充填は、プロセス中のその他のポイントで起こり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、保存エレメントとその複数のウェルは、サンプル物質が前もって充填されたサンプルキャリアを受け得る。具体的に、ブロック704で示された動作は、ブロック701〜703で示された動作のいずれか1つに先行し得る。あるいは、標本はブロック703でのサンプルキャリアの挿入に先立ってウェルに選択的に加えられ得る。
【0142】
さらに、またはあるいは、所定量の種々のプライマー、変性剤、緩衝剤、溶剤、保存剤、またはその他の化学化合物は、保存エレメントのウェルに選択的に加えられ得る(ブロック705)。ブロック704で示すキャリア充填と同様に、保存剤またはその他の化学薬品のサンプルキャリアへの供給は、プロセス中の種々のポイントで実行される。たとえば、ブロック705で示す動作は、ブロック703と704で示す動作の1つ以上に先立って発生し得る。
【0143】
ブロック706で示すように、保存エレメントの第二表面の1つ以上の受容開口部は、たとえば、第二ポリマーシールフィルムまたは金属シールフィルムで封着され、同時にサンプルキャリアの損失とウェルの汚染を防止し得る。図4Cを参照して上記したように、第二フィルムは第二表面の選択部分にただ接着されるか、または他の方法で結合され、または保存エレメントのあらゆる受容開口部(またはその選択されたサブセット)の外周に接着され得る。液体サンプル物質、化学試薬、またはその他の流体がウェルに導入された場合(たとえば、ブロック704か705など)、必要に応じて、第二フィルムは、第二表面の必要な部分に結合または接着され、ウェル間の零れ、浸出、またはその他の汚染を防止し得る。
【0144】
ブロック706で示す封着動作に加えて、またはその別法として、保存エレメントは、従来のマルチウェルプレートに一般に供される蓋またはカバーを備え得る。一部の実施では、第二シールフィルムの適用が省略され得る。
【0145】
上記したように、1つ以上の選択的に構成された磁場または電磁場は、保存エレメント、または、1つ以上の個別ウェルに印加され得る。かかる磁場は、上記した磁気要素を内蔵するサンプルキャリアの配置または方向づけを容易にする適切な力を作用させ得る。その他の考えられる方向づけ技術および装置が検討されることが分かる。たとえば、サンプルキャリアは磁気的よりも機械的にウェル内で方向づけまたは操作され得る。ブロック708と709で示すように、ここで説明した保存エレメントの保管方法では、保管プロセス中種々のポイントで1つ以上のかかる方向づけ動作を検討する。一例として、さらなる方向づけ動作は、ブロック706で示された封着動作に続き得る。
【0146】
さらに、ブロック706で示された封着動作は、第二表面に仮のシールフィルムを適用し得る。たとえば、仮の封着はブロック704の充填またはブロック705の供給に先立ってウェルまたはサンプルキャリアの汚染を防止し得る。図7の破線矢印で示すように、仮のシールフィルムの適用は、サンプルキャリアの充填(ブロック704)または化学薬品または保存剤のウェルへの供給(ブロック705)に先行し得る。いくつかの実施形態では、かかる仮の封着は、たとえば、ブロック703から705のいずれかで示される動作のいずれかまたは全部に先立って適用され得る。仮のシールフィルムは、破砕されるかまたは除去され、上記したサンプルキャリアの挿入、充填、および保存を可能にし得ることが分かる。付加的または最終的なシールフィルムは、保存エレメントの保存または保管に先立ってブロック706で示すように適用され得る。
【0147】
図8は、保存エレメントの選択容器にサンプルキャリアを挿入する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。図8に示したシーケンスは一般に、機能を含み得、図5A〜5Cを参照して図示され上記に詳述した構造構成要素の一部または全部を含み得る。
【0148】
ブロック801と802に示すように、保存エレメントが供給され得、第一表面の1つ以上の排出開口部が実質的に上記したように封着され得る。
【0149】
図5Aと図5Bを参照して上記したように、保持テンプレートは、保持テンプレートのキャリア開口がウェルの受容開口部に整列するよう保存エレメントの第二表面に係合し得る(すなわち、一般に接触して配置される)(ブロック803)。同様に、切断テンプレートは、切断テンプレートのカッター開口がキャリア開口に整列されるよう保持テンプレートに係合し得るか、それと接触するよう配置され得る(ブロック804)。サンプルキャリアが切断され得、一般に上記した種々のサンプル支持媒体のいずれかを備える基板は、切断テンプレートと接触して供給され得る(ブロック805)。
【0150】
保存エレメントの正確な寸法(特に、ウェルの大きさ、形状、および間隔配置)が知られている場合、テンプレートは保存エレメントの第二表面全体を横切るよう構成され動作し得、保存エレメント全体への効率的なサンプルキャリアの充填を容易にする。複数のカッターとプランジャーが、たとえば、自動装置またはロボットシステムとともに適切な配置に供給される場合、保存エレメント全体またはその一部は、同時にまたは単一動作でサンプルキャリアにより充填される。すなわち、保存エレメントの各ウェル、またはその選択サブセット用に、ブロック806から809に示され、下記に示す動作の一部または全部が並行して起こる。
【0151】
圧縮力は、たとえば、プランジャー、または、ブロック806で示される類似のツールにより与えられる。たとえば、切断テンプレートにより指示され、または影響される寸法を有するサンプルキャリアは、ブロック807で示される基板から切断され得る。図5Aの実施形態に示すように、たとえば、カッターは基板と切断開口を通って延長し、クリーンで正確な切断を保証し得る。ブロック806と807に示される動作順序は、たとえば、選択的に逆になり得ることが分かる。あるいは、圧縮と切断はほぼ同時に発生する。
【0152】
上記したように、サンプルキャリアは、協働カッターと切断テンプレートの種々の寸法に従って選択された大きさと形状に切断され得る。ブロック808と809に示されるように、プランジャーまたはその他のツールは、上記切断動作後保持テンプレートのキャリア開口を通ってウェルにサンプルキャリアを進行させ得る。その点に関して、キャリア開口は一般に、保持テンプレートがブロック809でキャリアの挿入時作用される力の大部分を担い分配するよう保存エレメントに対して適切に寸法が決められ位置づけられる。キャリアが挿入されると、プランジャーが後退し得、異なるキャリアと異なるウェルのために、上記のプロセスが繰り返される。
【0153】
図9は、保存エレメントからサンプルキャリアを排出する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。図9に示される動作順序は一般に、図6A〜6Cを参照して図示かつ上記に詳述したイベントのシーケンスに相当する。
【0154】
標的サンプルが保管される保存エレメントは、ブロック901で示されるように供給され得る。この供給は、上記に詳述した手動または自動的な識別、取扱、操作、および配置の種々の形態のいずれかを備え得る。
【0155】
ブロック902で示すように、保存エレメントに保管または維持される標的サンプルまたはキャリアが識別され得る。ここでは、標的サンプルまたはキャリアを「識別すること」は一般に、ブロック901で供給される保存エレメント内の標的サンプルまたはキャリアを位置づけること、すなわち、1つ以上の特定ウェルまたはサンプル容器の位置が適切な標的サンプルが保管されることを保証することを包含する。一例として、かかる識別は、制限なく以下の一部または全部により容易にされ得る:サンプル情報を含むデータベースまたはその他のコンピュータが読み取り可能な媒体に維持されるデータレコード;たとえば、バーコードリーダー、光学またはRFトランスポンダー、またはその他の手動または自動装置により提供されるデータ; ユーザーまたはオペレーター入力;または上記の組み合わせである。
【0156】
上記したように、研究所または実験設備では、たとえば、データベースまたはその他のデータ構造を含む電子システムとともに自動または手動装置を使用して、特定サンプルの識別と位置に関する情報の目録を作り維持し得る。ブロック901と902の動作は、かかる装置を拡張的にまたは限定的に使用する。
【0157】
図示かつ上記に詳述したイジェクターは、ブロック902の識別に続いて、またはそれと一緒に(すなわち、実質的に同時に)、標的サンプルを含むウェルに整列される(ブロック903)。ブロック903の整列は、たとえば、一部のシステムで手動で実行されるか、または上記したように、精密ステッパーモーター、関節式アーム、デカルト座標制御装置などの自動装置により促進される。
【0158】
図6Aと図6Bを参照して実質的に上記するように、イジェクターは標的ウェルを通って進み、シールフィルムを穿孔し、サンプルキャリアを排出し得る(ブロック904)。図6Bと図6Cを参照して上記したように、イジェクターは潜在的汚染部分の切断と廃棄に先立って、(ブロック906)標的ウェルから後退する(ブロック905)。ブロック906に示すように、新しいイジェクターが供給され得るか、またはイジェクターストックの無菌部分が後のサンプルキャリア排出動作のために露出され得る。
【0159】
決定ブロック911で決定されるようにサンプルがこれ以上所望されない場合、シーケンスが終了し、保存エレメントが研究所設備のサンプル保管庫またはその他の場所に戻る。1つ以上の付加サンプルを必要とする場合、さらなる決定が決定ブロック912で実行される。新しい標的サンプルまたはキャリアが使用時すでに保存エレメント内に保管されている場合、動作はブロック902にループバックし、選択サンプルを維持するウェルを識別かつ位置づける。一方、新しい標的サンプルが現在使用されている保存エレメント内に保管されない場合、その保存エレメントは保管庫に戻され、動作制御はブロック901にループバックし、選択標的サンプルを含む保存エレメントを識別かつ供給し得る。
【0160】
図2A〜2Fを参照して、ノード111として選択されたサンプル支持媒体が、保存されるサンプル物質の種類と、サンプル物質が使用される保管または研究所設備の機能性全体により影響されることが分かる。適切なサンプル支持媒体(たとえば、発泡ポリウレタン)が選択された場合、媒体は、圧縮されて、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩酸(HCl)塩などのグアニジニウム塩、尿酸、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのDNAを安定化させる溶液に晒される。サンプル支持媒体を圧縮し、液体をその多孔質構造(水を吸い込んだスポンジに類似)へ引き上げることにより、溶液の吸収が容易になる。あるいは、サンプル支持媒体は乾燥かつ圧縮形態で得られ、液体に浸されて湿ると膨張し得る。
【0161】
溶液を溶解される試薬に浸した後、サンプル支持媒体は風乾され得るか、または試薬が十分に高い濃度にある場合、媒体は圧搾乾燥されて風乾され得る。あるいは、媒体は熱気(オーブンや窯などの)、または真空で乾燥され得る。乾燥後、媒体は一般に、細胞を溶解するのに十分な試薬の被膜を保持し、核膜を破裂させ、病原体を不活性化し、かつ重要なことに、生物核酸サンプルを保護かつ保管し得る。上記の調製技術に続いて、媒体はロールまたはシートとして保持され得るか、たとえば、適切なサンプル保存に望ましい任意の形状に切断される。媒体はまた、圧縮状態で乾燥され、液体に接して配置されると膨張し、液体サンプル物質を吸収する薄い、ウェハー様のユニットを供給し得る(たとえば、図2Dに示すようなもの)。
【0162】
サンプルが分析やその他の使用に望ましい場合、図2Dに示したサンプル支持媒体を備えるノード111は保存から取り出され適切な容器に配置され得る。ノード111に元々充填されていたサンプルが精製されると、サンプル物質は容易に回収される。いくつかの実施形態では、ノード111は、たとえば、蒸留水または適切な緩衝剤で再び湿らされ得る。ノード111は適切な化学薬品または溶液で処理され得(たとえば、その他の化学要因に従って適切にまたは必要に応じて加熱される)、ノード111のサンプル支持媒体はサンプルを溶液に放出する。最後にサンプル物質を含む溶液は容器から後退し得る。
【0163】
図2Dの実施形態では、適切な後退方法は、以下の技術の一部または全部を含み得る:ノード111の保存媒体を圧縮し溶液を搾りピペットにより引き上げること;スピンバスケットまたはマルチウェルフィルタープレートでノード111の保存媒体に遠心力を作用させ、多孔質構造から液体を押し出すこと;または流体を可撓性のある多孔質媒体から分離する有用性を有するその他の公知の方法。
【0164】
ノード111に元々充填されていたサンプルが不純な核酸または生物材料の混合物(たとえば、全血、DNA、細胞培養培地、血漿など)である場合、更なる精製が望ましい。かかる更なる精製に適合するいくつかの実施形態では、ノード111が水または緩衝剤で洗浄またはリンスされ、精製したサンプル物質の回収に先立って不純物を除去し得るよう、いくつかの洗浄ステップが実施される。
【実施例】
【0165】
以下は、上記種々の実施形態の有用性を示す具体的実施例である。
【0166】
(実施例1−血漿の保管)
血漿(約500マイクロリットル)がサンプルキャリアノードの図2Dの実施形態に加えられる。本実施例では、ノードは直径1cm、厚さ0.1cmである。ノードは平均細孔寸法が30ミクロン、多孔率が92%の発泡ポリウレタンから構成される。ノードは2%のEDTAナトリウム、4%のTRIS、1%の尿酸で前処理され、圧縮状態で乾燥される。液体サンプル物質(血漿)は、ノードが厚さ0.5cm(直径1cmは変化しないまま)に膨張するように、ゆっくりと加えられる。膨張終了後、サンプルノードは40℃の真空オーブンに配置され乾燥される。乾燥ノードは、適切な保存エレメント(たとえば、96ウェルの標準プレートなどの)に移され、加熱されたシールフィルムはプレート開口部(すなわち、本実施例では受容開口部)を封着するよう取り付けられる。保存エレメントは、クリーンかつ乾燥した領域に配置され長期保存される。
【0167】
(実施例2−取り出した血漿保管サンプルの回収)
サンプル物質が今後の研究のために必要な場合、実施例1のサンプルノードは、保存から回収され、保存エレメントまたはプレートから娘プレートまたはその他の適切な容器に移される。再構成された血漿が所望生成物である場合、400マイクロリットルの脱イオン化された無菌の濾過水が容器に加えられ、5分間ノードを再び湿らせる。プランジャーまたはロッドは繰り返し、ノードを圧縮し解放するために使用される。ノードは10回以上圧縮し解放され、水と保存された生物材料との良好な混合を保証する。最終圧縮後、液体が収集され再構成された血漿として分析のために保存される。あるいは、再び湿らされたノードは、マルチウェルフィルタープレートのうちの1つのウェル、または遠心分離機フィルターのスピンバスケットに配置され得る。従って、遠心分離機(プランジャー方法ではなく)が液体を回収するのに使用され得る。
【0168】
(実施例3−全血の保管)
4%のSDSを混合物に加え細胞と核を溶解し、DNAを遊離させて保存する以外は、実施例1と同様である。
【0169】
(実施例4−血液サンプルから回収したDNAの精製)
実施例2と同様だが、ノードはTE緩衝剤で再び湿らされ、液体除去と類似の技術を使用してTE緩衝剤で二度リンスされる。続いて、ノードは400マイクロリットルの脱イオン化した無菌の濾過水で5分間85℃に加熱される。サンプル物質の回収は圧縮または遠心分離のいずれか使用して実行される。
【0170】
(実施例5および6−サンプルの自動回収)
マルチウェルプレートがTecan Robotic Liquid Handlerに配置される以外は、実施例2および4と同様である。次いで、Tecan装置は、必要に応じて、液体を自動的に加える。また、液体ハンドラーは、(先端が鋭くない、廃棄可能なピペットチップと類似の)廃棄可能なプランジャーをピックアップするのに使用され、ノードを圧縮し解放し得る。遠心分離機に運ぶロボットアームを付加することによって、処理後第二の(収集)プレートにサンプルを回収できる。
【0171】
図を参照すると、図10Aは保管設備での使用のために構成され動作するサンプル保存構成要素の一実施形態の簡略斜視図であり、図10Bは、サンプル保存構成要素とともに使用するために構成され動作する容器の一実施形態を示す、簡略斜視図である。図10Aに示すように、サンプル保存構成要素1032は一般に、所望の三次元構成で配置された複数の容器1001〜100nを含む。本開示は図10Aに図示された特定配置により限定されるものではない。サンプル保存1032が、発明力を必要とせずに、x、y、またはz方向のいずれかにおいて任意の数のさらなる容器1001〜100nをさらに含み得ることが、当業者に理解される。
【0172】
各容器1001〜100nは、移動可能な引出し、トレイ、シェルフ、ラック、または上記に詳述した1つ以上の保存エレメント(参照符号1020)を支持するまたはそれを含むのに適した同等の構造で実施される。図10Aに示すように、容器1001〜100nは互いに移動可能で、各容器1001〜100nに含まれるか配置される保存エレメント1020へのアクセスを可能にする。とりわけ、サンプル保存1032を実施する保管設備の種々のハードウェアおよびソフトウェア構成要素の高度さに従って、かかるアクセスは手動またはロボット取扱機構(図示せず)を経由し得る。
【0173】
たとえば、容器1001から100nは、当該分野で一般に知られているように、ローラー、ベアリング、レール、トラックなどに作動可能に係合する。かかる実施形態では、容器1002は、図10Aに示すようにx方向に移され、下記に詳述した1つ以上の保存エレメント1020の配置、回収、またはその他の操作を可能にする。
【0174】
図10Bの実施形態により、容器1002は一般に、保存エレメント1020の1つ以上のスタック(例えば、参照符号1021で示される)を備える二次元構成で複数の保存エレメント1020を搬送、支持、または係合するよう動作する、支持表面1010を含む。従って、保存エレメント1020は、実質的には、示されるような三次元構成で配置され得る。容器1001から100nに対して上記したように、スタック1021または保存エレメント1020の特定配置、構成、数、空間的な相互関係は、ロボット取扱装置またはシステムのシステム要求、能力、制限、保存エレメント1020または容器1002の大きさや形状などに従って変更する。図10Bの長方形の実施形態は一例としてのみ簡略のために図示かつ説明されるものであり、限定するものではない。
【0175】
いくつかの実施形態では、所望数k個の保存エレメント1020はy方向にスタックされる得。任意の容器1002の各スタック1021が異なる数の保存エレメント1020を維持し得ることが分かる。任意のスタック1021の各保存エレメント1020は、たとえば、各保存エレメント1020に付随した一連の方向づけポストまたは一体式連動機能で所定位置に固定または維持され得る。たとえば、1つ以上の保存エレメント1020がスタックされる場合、各保存エレメント1020は、隣接した保存エレメント1020の1つ以上の対応するスロット、溝、またはノッチに係合するよう設計され動作する1つ以上の整列プロング、突起、またはスカートを備え得る。スタックされた場合のアイテムを安定化するよう動作する連動構造機能を供する種々の方法は、当該分野で一般に知られている。いくつかの実施形態では、たとえば、各保存エレメント1020は、図3Bを参照して上記に詳述した下に位置する保存エレメント1020の上面に係合するよう動作するスカートまたはフランジを備える。具体的に、かかる連動構造機能は一般に、同一スタック1021の他のものに対する任意のスタック1021の1つの保存エレメント1020の移動を防止する。y方向の移動により、連動構造機能が外れ、xまたはz方向の保存エレメント1020のその後の移動が可能になる。さらに、上記したように、かかる連動構造機能は、保存エレメント1020の表面に付着または接着したフィルムの損傷または磨耗を防止し得る。
【0176】
さらに、またはあるいは、1つ以上のガイドポスト、レール、または支持表面1010からy方向に伸びる類似の安定化構造は、各スタック1021の安定化を容易にし得、互いにまたは支持表面1010に対して保存エレメント1020の移動を防止する。いくつかの実施形態では、各保存エレメント1020はかかる安定化構造に係合するよう構成されかつ作用し得る。図10Bの実施形態では、たとえば、安定化構造1011は支持表面1010から伸びるポストとして図示されている。動作時、保存エレメント1020は、安定化構造1011に係合または突き合わせるよう寸法が決められるノッチまたはくぼみを含み得、スタック1021の保存エレメント1020の相対的な移動(xまたはz方向のいずれか)を防止する。
【0177】
上記または同様の様式で、任意のスタック1021のk個の保存エレメント1020のすべりが妨げられる、すなわち、xまたはz方向のいずれかの相対的移動が防止される。さらに、かかる実施形態では、スタックされた保存エレメント1020の1つ以上の縁部(xまたはz軸に沿って方向づけられた)は、適切な取扱機構によりアクセス可能となり得る。
【0178】
複数のスタック1021は容器1002に保存または維持され得、図10Aと図10Bに示すように、一般にm個のスタック(x方向)×n個のスタック(z方向)の最大寸法を有する二次元構造として支持表面1010に配置され得る。支持表面1010の種々のスタック間の間隔は一般に、支持表面1010からy方向に伸びる安定化構造1011(たとえば、ポストまたはガイドレールとして実施される)の寸法とパターン、および容器1002の単一スタック1021を選択かつ係合するようツールまたは運搬装置に必要な間隙との関数である。従って、例示的実施形態では、スタックされた保存エレメント1020の三次元構成に適合する容器1002は、n×m×k個の保存エレメント1020の最大容量を有する。
【0179】
動作時、容器1002は、支持表面1010に配置された構成で各保存エレメント1020にアクセスされるような様式で操作され得る(たとえば、10Aに示すように)。特に、各スタック1021の各保存エレメント1020は、x、y、およびz座標に関して個別にアドレス指定可能で、たとえば、あらゆるアドレス可能な保存エレメント1020への容易な識別と直接のアクセスを可能にする。いくつかの実施形態では、保存エレメント1020は、実質的に下記に示すように、配置、回収、または操作のためのロボットアームまたはその他の自動取扱装置によりアクセスされる。
【0180】
1つ以上の取扱装置、ロボットアーム、またはその他の機械装置は、容器1002の任意のスタック1021から任意の保存エレメント1020を回収し得る。図10Bでは、たとえば、標的保存エレメント1099は、所望のy座標(y=y目標)のスタック1098(位置x=xm、z=zn)に配置されるよう図示されている。例示的実施形態では、取扱装置またはロボットアームは、スタック1098から標的保存エレメント1099を取り出す。第一に、取扱装置は、スタック1098の一番上(すなわち、y=yk)からy=y目標の標的保存エレメント1099までを含む全ての保存エレメントを把持し持ち上げ得る。保存エレメント1099とスタック1098の上部1097(すなわち、ykを経たy=y目標+1)の両方が、一単位として操作される。かかる実施形態に従って、標的保存エレメント1099とスタック1098の上部1097の保存エレメントは、保管設備の所望の位置にまとめて移され得る。次いで、保存エレメント1099は適切な位置に配置され得る。たとえば、指定の、所定の、または動的に選択された位置で、スタック1098の上部1097の残りの保存エレメントを保持しながら、取扱装置は標的保存エレメント1099を放出し得る。
【0181】
ykを経たy=y目標+1に相当する残りの上部保存エレメントは、元のスタック位置(x=xm, z=zn)か、容器1002の利用可能なn×m×kボリューム内のその他のより都合の良い位置のいずれかで容器1002の構成に戻り得る。前者の場合、たとえば、x=xm,z=znの得られたスタックは、このシーケンスに続いてk-1個の保存エ
レメント1020のみを含む。あるいは、残りの上部保存エレメントは、たとえば、別の容器(図10Aの1001または1003〜40n)に再配置され得る。
【0182】
以上の保存配置と回収技術は一般に、個別にアドレス可能かつ直接アクセス可能な保存エレメント1020が、保存設備のサンプル保存構成要素1032の大部分の利用可能なボリュームを占め得る、スペース効率の良い、高密度保存を供する。しかし、サンプル保存1032の各保存エレメント1020の各位置(すなわち、三次元空間の個別アドレス)を示すための適切なデータモデルは、従来システムに関連して使用される一般のデータモデルより複雑である。たとえば、任意のスタック1098内で、除去操作と挿入操作は、標的保存エレメント1099の位置だけでなく、それより上の保存エレメントの全て、すなわち、ykを通して位置y=y目標+1の保存エレメントに影響する。
【0183】
図10Aのサンプル保存構成要素1032の適切なデータモデルは、たとえば、上記したデータ保存媒体で維持され得るテーブル、データベース、またはその他の適切なデータ構造の1つ以上のレコードとして未占有の潜在的位置を含む各考えられる保存位置を示す。いくつかの実施形態では、かかるテーブルまたはデータベースは、各位置に1レコードを含み得、各レコードは、とりわけ、以下のフィールドを含み得る:
容器識別(たとえば、1002);
行識別(すなわち、x座標);
列識別(すなわち、z座標);
スタック位置識別(すなわち、y座標);
保存エレメント識別(たとえば、1099);および
状態(たとえば、占有、空の、確保された状態)である。
【0184】
容器、行、および列フィールドは、組み合わせで、サンプル保存1032のボリュームの全体内の特定スタック(図10Bの1098など)を特定するか、または一意に識別する。スタック位置フィールドは、標的スタック内の選択保存エレメントの所望の高さまたはy座標の識別を可能にし得る。さらに、またはあるいは、保存エレメント識別フィールドは、存在する場合、任意の保存位置の特定保存エレメントを示すか、または一意に識別する。さらに、状態フィールドは、特定位置が空か一杯かを示し得る。
【0185】
従って、各保存エレメント1020は、容器識別と座標軸の適切な参照を使用して三次元空間で個別的にアドレス可能であり得る。たとえば、図10Cを参照して下記に詳述するように、一部の保存方法では、各保存エレメント1020は任意の容器内で二次元座標に関して個別的にアドレス可能であり得る。図10Bの保存方法の実施形態では、3つの座標(適切な容器識別に付け加えて)は、各個別保存エレメント1020の正確なアドレス指定のために要求され得る。
【0186】
いくつかの実施形態が容器識別とx、y、およびz座標情報で保存エレメント識別フィールドを動的に相互参照する。従って、保存エレメント識別フィールドは、ロボット装置が三次元空間の任意の保存エレメントのアドレスを確認し、その特定保存エレメントを回収できるようにするのに十分である。保存エレメント識別フィールドは、たとえば、関連用途で説明されたバーコード識別タグに相当し得るか、またはそれにとともに動作し得、各保存エレメントとそれに含まれるサンプルを一意に識別し得る。
【0187】
代替的実施形態では、保存エレメント1020またはスタックは、容器1001から100nにおいて「直立して」保存または保管され得る。たとえば、図10Aと図10Bに示された実施形態では、「直立して」は一般に、保存エレメント1020が支持体1010にスタックされないよう、x軸、z軸、またはその両方で、完全に90度回る回転のことをいう。この別の保存方法は、高い保存密度と保存エレメントへの迅速かつ効率的なアクセスを同時に供することが分かる。
【0188】
図10Cは、サンプル保存構成要素とともに使用するために構成され動作する容器の別の実施形態を示す簡略斜視図である。上記したように、保存エレメント1020は容器1002に直立して保存される。例示した図10Cの実施形態では、保存エレメント1020は図10Aと図10Bのそれらの向きに対してz軸で90度回転している。さらに、またはあるいは、保存エレメント1020は、たとえば、容器1002の大きさと形状、取扱機構の大きさ、全般的な動作性、および空間的要件などに従ってx軸で回転する。
【0189】
図4Cで示された直立した保存エレメント1020の向きは、サンプル物質損失防止に関連したさらなる要求を導入することが分かる。従って、図10Cの実施形態の各保存エレメント1020は、たとえば、図4A〜4Cを参照して上記したように封着される。あるいは、保存エレメント1020は、各保存エレメント1020が回転する際に所定位置に留まるサンプル物質のみを含む。
【0190】
保管と回収についての図10Cの方法では、特定容器の任意の保存エレメントピッチにより優れた保存密度が供され得る。また、保存エレメント1020はスタック状に配置されないため、あらゆる保存エレメント1020は直接回収され得(すなわち、任意の保存アドレスまたは位置が、その他のアドレスに存在する保存エレメント1020を妨害することなくアクセスされ得る)、簡略データモデルを可能にする。たとえば、標的保存エレメント1099は、xおよびz座標のみを使用して単にアドレス指定され得る。図10Cに示すように、標的保存エレメント1099はx=x目標とz=znに位置づけられる。容器識別フィールドとともに、これらの二つの座標は、サンプル保存構成要素1032により囲まれる三次元空間全体内における任意の保存エレメント1020を位置づけるのに十分であり得る。
【0191】
図10Aと図10Bに示した実施形態と同様に、あらゆる保存エレメント1020の少なくとも一つの縁部(図10Cのxまたはz軸に沿って方向づけられる)は、図10Cで示した配置に晒される。従って、識別ラベルまたはその他の標識(たとえば、図1Bの参照符号129で示した)は、手動またはロボット取扱機構によりスキャンされ得る。適切な運搬装置は、選択軸を中心に回転を可能にする適切なヒンジ、ジンバル、またはその他の機構を含み得ことが分かる。本実施形態では、単一の取扱装置は、異なる容器で使用される異なる保存方法(たとえば、図10Bと図10Cで例示される)に適切であり得る。
【0192】
本発明は、特定の実施形態を参照して詳細に例示かつ記載されてきた。これらの特定の実施形態は、単に例示の目的であり、限定目的ではない。当業者は、これら例示的実施形態の種々の改変が、本開示の範囲および意図の内にあることを理解する。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると考えられることが意図される。
【符号の説明】
【0193】
110 サンプルキャリア
111 サンプルノード
112 ステム
119 サンプル識別子
120 保存エレメント
【技術分野】
【0001】
本願は、以下の非仮出願に関連する:出願番号第10/252,352号、2002年9月20日出願、「保存エレメントを保存回収するシステムおよび方法」;出願番号第10/150,770号、2002年5月17日出願、「サンプルキャリア受容器」;出願番号第10/150,771号、2002年5月17日出願、「サンプルキャリアシステム」;出願番号第10/005,529号、2001年11月7日出願、「サンプルの保管および回収装置、システム、および方法」;出願番号第10/005,415号、2001年11月7日出願、「保管および分析システムおよび方法」;および出願番号第10/007,355号、2001年11月7日出願、「サンプルキャリア」である。上記出願のすべての開示が本明細書によって参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の特徴は一般に、サンプルの保管および回収に関し、さらに詳細には、封着される保存エレメントに個体媒体を保存し、そしてそこからそのサンプルを取り出すシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
たとえば、医薬および医学研究、法律の施行、および軍事用の識別などの多くの用途では、数多くの生物サンプルを利用できることがしばしば望ましい。従来の生物保存容器またはその他のサンプル保存設備では一般に、サンプル保存に液体またはその他の極低温システムが利用される。これらの極低温システムは製造かつ維持するには高価である。さらに、現在の技術では一般に、複雑かつ手間のかかるメンテナンスを行い、そして管理責任を有するシステムオペレーターが提起される。
【0004】
具体的に、極低温システムが複雑であることにより一般に、技術者、研究者、およびシステムオペレーターは、全血から数千ものデオキシリボ核酸(DNA)サンプルを回収かつ調製する連係作業に何週間も従事しなければならない。従って、極低温状態にDNAを保管するための従来方法は基本的に、サンプル大量処理および高スループットに対応できない程度の不完全なものである。現在の研究傾向では、1日あたり数千ものサンプルを処理できる、生物サンプルと非生物サンプルを保管および回収するシステムおよび方法に関連した利点が認識されている。しかし、現在の極低温技術では、このレベルのスループットに達するには不完全である。実際、極低温保存設備では、数万もの保管サンプルからの1日あたり100個以上のサンプルの処理スループットに対応できない。
【0005】
一部の低スループットの液状DNAおよび血液保管技術は過去有用ではあったが、現在の方法では、高度化するゲノム技術が研究・診断ツールとしてさらに有力なものになるにつれて、上昇しつつある必要とされる保存率および回収率をサポートできない。従来の極低温ベースの保管フォーマットは、自動化するには困難で高価なため、既存技術を基礎としたシステムでは一般に、市場の高スループット要求に適さない。
【0006】
最近、乾燥形態での血液サンプルの保管かつ回収を組み込んだ生物研究の研究所システムが提案されている。従来技術を採用した代表システムは一般に、濾紙などの適切な基板にDNAまたはその他の有機サンプルを保存するための周知技術の変更に基づいている。生物サンプルと非生物サンプルの自動保管かつ回収を組み込んだ改良システムおよび方法は、上記した同時係属中の関連出願に開示されている。
【0007】
特に、サンプル保管システムでの保存処理と回収処理の完全自動化では、大容量の保存室内で個別保存エレメントの識別、回収、および置換を行うよう繰り返し動作するロボットやその他の機械類が使用されている。
【0008】
保存および回収システムでは、保存密度、すなわち、単位量、所望面積、またはコスト当たりの保存されるアイテム量を最大限にすることが経済的理由にとって通常重要である。従来実用化されている保存および回収システムは一般に、個別保存エレメントを回収し、それをロボットやオペレーターがサンプルを選択できる位置に配置する何らかの機構を有する一連の容器、シェルフ、または規則的なアレイに取り付けられたトレイを備える。一般的自動実施形態では以下が含まれる:
保存エレメントの行または列がループ状に接続され、ウィンドウを通り過ぎて回転する円形コンベヤーと、
保存エレメントがラックに位置する除去可能単位とされ、エレベーター機構がラックから選択された単位を除去し、それを固定ウィンドウに移して使用する上下リフトと、
一般に平面配列のスロットからなり、各々が1つのアイテムまたは保存エレメントを保存し得る小仕切りである。
【0009】
小仕切りシステムは、保存される複数のアイテムの各々が大きさと形状が同一である状態で最も一般的に使用される。この場合、デカルトマニピュレーターは配列を横断し、小仕切りと固定アクセスポイントとの間でアイテムを移動させる。一般に、対向する一対の書棚に類似した2つのスロット平面がある。
【0010】
かかる保存システムの従来の実用化バージョンは、一定最小のピッチまたは保存エレメント間の間隔にて供給される。最小ピッチ以下の厚さを持つアイテムを保存する場合、保存密度は保存エレメント間の無駄なスペースのため減少される。顕著に向上した保管および回収システムおよび方法は、同時係属中の出願番号第10/252,352号、2002年9月20日出願、「保存エレメントを保存回収するシステムおよび方法」に開示されている。これらのシステムおよび方法により、研究所の保存エレメントやその他の標準形状の物体を保存するための利用可能量をより多く活用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
種々の設計構成を有し、動作特性が異なる数多くの研究所および保管設備に組み合わせて使用するために構成され動作する密閉保存エレメントシステムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
本発明の実施形態は、従来技術の前記およびその他の種々の欠点を解決するものであり、封着される保存エレメントに対するサンプルキャリアの保存と除去を容易にする。
【0013】
以下に詳述するように、封着される保存エレメントのいくつかの実施形態では一般に、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアからの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備え得る。かかる保存エレメントはさらに、保存エレメントの第一表面に適用され排出開口部を封着する第一フィルムを備え得る。システム要求により、第一フィルムは高周波透過性または光学透過性である。
【0014】
さらに、保存エレメントは、保存エレメントの第二表面に適用され受容開口部を封着する第二フィルムを備え得る。第一フィルムのように、第二フィルムは高周波透過性または光学透過性である。
【0015】
保存エレメントのいくつかの実施形態では、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つがポリマーであり得る。あるいは、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つが金属であり得る。保存エレメントは一般に、容器がマルチウェルプレートのウェルであるよう構成され得、さらに識別指標を備え得る。いくつかの実施形態では、指標はバーコードを備え得る。
【0016】
一例示的実施形態によると、ここに図示かつ説明される保存エレメントは一般に、複数の容器を備え得る。複数の容器の各々は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアからの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する。複数の容器は、所定の間隔を空けた関係にて配置され得る。保存エレメントは一般に、複数の容器の各々がマルチウェルプレートのウェルであるよう構成され得、さらに識別指標を備え得る。識別指標は、たとえばバーコードを備え得るか、またはバーコードであり得る。
【0017】
下記に述べるように、保存容器のかかる実施形態はさらに、保存エレメントの第一表面に適用され複数の容器のうち選択された容器のそれぞれの排出開口部を封着する第一フィルムを包含し得る。さらに、保存エレメントは保存エレメントの第二表面に適用され複数の容器のうち選択された容器のそれぞれの受容開口部を封着する第二フィルムを備え得る。
【0018】
第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つが高周波透過性である。さらに、またはあるいは、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つが光学透過性である。一部の例示的実施形態により、第一フィルムと第二フィルムのうち少なくとも1つがポリマーまたは金属である。
【0019】
以下に詳述する一実施形態により、サンプルを保管する方法は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアからの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える保存エレメントを供給することと、排出開口部を封着することと、受容開口部を通してサンプルキャリアを容器に挿入することと、容器のサンプルキャリアに維持されるサンプル物質を保管することとを包含する。
【0020】
かかる保管方法は、挿入に続いて受容開口部を封着することを包含し得る。いくつかの実施形態では、保管方法はさらに、サンプルキャリアに標本物質を充填することを包含し得る。充填は、標本物質を、受容開口部を通して容器に供給することを包含し得る。同様に、この方法はさらに、保存剤を、受容開口部を通して容器に供給することを包含し得る。
【0021】
ここに詳述されるように、排出開口部を封着することは、第一フィルムを保存エレメントの第一表面に適用することを包含し得る。いくつかの実施形態では、かかる適用することは、排出開口部の外周に第一フィルムを接着させることを包含する。同様に、受容開口部を封着することは一般に、第二フィルムを保存エレメントの第二表面に適用することを包含し得る。この場合、かかる適用することは、受容開口部の外周に第二フィルムを接着させることを包含し得る。
【0022】
さらに、本開示による保管方法は、挿入に続いてサンプルキャリアを選択的に方向づけることを包含し得る。この方向づけることは、サンプルキャリアに磁力を作用させることを包含し得る。この作用させることは、保存エレメントに磁場を印加することを包含し得る。
【0023】
以下に詳述する追加実施形態により、サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法は一般に、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える保存エレメントを供給することと、サンプル保存媒体を含む基板を供給することと、サンプルキャリアを基板から選択的に切断することと、サンプルキャリアを、受容開口部を通して容器に挿入することとを包含する。
【0024】
いくつかの実施形態では、この方法はさらに、挿入に先立って排出開口部を封着することを包含する。さらに、またはあるいは、この方法はさらに、挿入に続いて受容開口部を封着することを包含し得る。
【0025】
以下の詳細な説明で述べるように、選択的に切断することは、サンプルキャリアの寸法に影響する切断テンプレートを利用することを包含し得る。さらに、挿入は受容開口部と切断テンプレートにより寸法を決められる保持テンプレートを利用することを包含し得る。挿入はさらに、保持テンプレートと受容開口部を通してサンプルキャリアを前進させるプランジャーを利用することを包含し得る。
【0026】
さらに、サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法は、挿入に続いて標本物質をサンプルキャリアに充填することを包含し得る。いくつかの実施形態では、充填は標本物質を、受容開口部を通して容器に供給することを包含し得る。
【0027】
以下に述べるように、基板が濾紙などのセルロースサンプル支持媒体を包含する方法を開示する。基板がポリウレタンなどのポリマーサンプル支持媒体を包含するさらなる方法を開示する。
【0028】
排出開口部を封着することは、第一フィルムを保存エレメントの第一表面に適用することを包含し得、受容開口部を封着することは、第二フィルムを保存エレメントの第二表面に適用することを包含し得る。
【0029】
サンプルキャリアを保管することと同様に、サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法はさらに、挿入に続いてサンプルキャリアを選択的に方向づけることを包含し得る。選択的に方向づけることがサンプルキャリアに磁力を作用させることを包含する実施形態を開示する。この作用させることは、磁場を保存エレメントに印加することを包含し得る。
【0030】
以下に図示かつ詳述するように、サンプルキャリアを封着保存エレメントから排出する方法は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える保存エレメントを供給することと、イジェクターを容器に整列させることと、イジェクターを受容開口部を通して挿入することと、容器から排出開口部を通してサンプルキャリアを排出することとを包含し得る。
【0031】
保存エレメントが複数の容器を包含し得る以上の方法の実施形態を開示し、この方法はさらに保存エレメントの標的サンプルキャリアの位置を識別することを包含する。識別と整列はさらに、標的サンプルキャリアと同じ場所に配置されたトランシーバから受信した信号を利用することを包含し得る。一部の例示的方法では、トランシーバは高周波エネルギーまたは光学エネルギーによって起動する。
【0032】
上記実施形態のように、封着される保存エレメントからサンプルキャリアを排出する方法はさらに、標的サンプルキャリアを選択的に方向づけることを包含し得る。この方向づけることは利用に先立って起こり得る。選択的に方向づけることは、標的サンプルキャリアに磁力を作用させることを包含し得る。
【0033】
一部の開示方法では、挿入は受容開口部を封着するフィルムを穿孔することを包含し、排出は排出開口部を封着するフィルムを穿孔することを包含する。さらに、娘プレートを供給し排出に応じてサンプルキャリアを受けることを包含する方法を開示する。
【0034】
いくつかの実施形態により、ここに図示かつ説明した保管システムは一般に、支持表面を有する容器と、支持表面に二次元構成で配置される複数の保存エレメント(複数の保存エレメントの各々は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリアの排出を可能にするよう構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える)と、イジェクター装置とを備える。イジェクター装置は、イジェクターを複数の保存エレメントのうちの選択された保存エレメントの標的容器に整列させ、イジェクターを受容開口部を通して標的容器に挿入し、サンプルキャリアを対象容器から排出開口部を通して排出するよう動作する。
【0035】
保管システムはさらに、複数の保存エレメントのうちの標的保存エレメントに係合するよう選択的に動作する取扱装置を備え得る。一部の保管システムでは、複数の保存エレメントの各々は、直立して方向づけされる。複数の保存エレメントの各々が受容開口部と排出開口部で封着される、かかる保管システムの実施形態を開示する。
【0036】
本発明の種々の実施形態の上記およびその他の局面は、添付図面に関連して以下の詳細な説明の検討を通じて明らかとなる。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
保存エレメントであって、以下:
サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器を備える、保存エレメント。
(項目2)
項目1に記載の保存エレメントであって、上記保存エレメントの第一表面に適用され、上記排出開口部を封着する第一フィルムをさらに備える、保存エレメント。
(項目3)
上記第一フィルムは高周波透過性である、項目2に記載の保存エレメント。
(項目4)
上記第一フィルムは光学透過性である、項目2に記載の保存エレメント。
(項目5)
上記保存エレメントの第二表面に適用され上記受容開口部を封着する第二フィルムをさらに備える、項目2に記載の保存エレメント。
(項目6)
上記第二フィルムは、高周波透過性である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目7)
上記第二フィルムは、光学透過性である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目8)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、ポリマー製である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目9)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、金属製である、項目5に記載の保存エレメント。
(項目10)
上記容器がマルチウェルプレートのウェルである、項目1に記載の保存エレメント。
(項目11)
識別指標をさらに備える、項目1に記載の保存エレメント。
(項目12)
上記指標はバーコードを含む、項目11に記載の保存エレメント。
(項目13)
保存エレメントであって、以下:
複数の容器であって;上記複数の容器の各々は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動するそれぞれの受容開口部、および上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部を有する、複数の容器を備える、保存エレメント。
(項目14)
上記複数の容器が、予め決められた空間的関係で配置される、項目13に記載の保存エレメント。
(項目15)
上記保存エレメントの第一表面に適用され、上記複数の容器のうちの選択された容器の上記それぞれの排出開口部を封着する第一フィルムをさらに備える、項目14に記載の保存エレメント。
(項目16)
上記保存エレメントの第二表面に適用され、上記複数の容器のうちの選択された容器の上記それぞれの受容開口部を封着する第二フィルムをさらに備える、項目15に記載の保存エレメント。
(項目17)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、高周波透過性である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目18)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、光学透過性である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目19)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、ポリマー製である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目20)
上記第一フィルムおよび上記第二フィルムのうちの少なくとも1つが、金属製である、項目16に記載の保存エレメント。
(項目21)
上記複数の容器の各々が、マルチウェルプレートのウェルである、項目13に記載の保存エレメント。
(項目22)
識別指標をさらに備える、項目13に記載の保存エレメント。
(項目23)
上記指標は、バーコードを含む、項目22に記載の保存エレメント。
(項目24)
サンプルを保管する方法であって、上記方法は、以下:
容器を有する保存エレメントを提供する工程であって、上記容器は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する、工程;
上記排出開口部を封着する工程;
サンプルキャリアを、上記受容開口部を通して上記容器に挿入する工程;および
上記容器中の上記サンプルキャリアに維持されたサンプルを保管する工程を包含する、方法。
(項目25)
上記挿入する工程に続いて、上記受容開口部を封着する工程をさらに包含する、項目24に記載の方法。
(項目26)
検体とともに上記サンプルキャリアを充填する工程をさらに包含する、項目24に記載の方法。
(項目27)
上記充填する工程は、上記受容開口部を通して上記容器に検体を提供することを包含する、項目26に記載の方法。
(項目28)
上記受容開口部を通して上記容器に保存剤を提供する工程をさらに包含する、項目24に記載の方法。
(項目29)
上記排出開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第一表面に、第一フィルムを適用することを包含する、項目24に記載の方法。
(項目30)
上記適用することは、上記第一フィルムを上記排出開口部の周囲に接着させることを包含する、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記受容開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第二表面に、第二フィルムを適用することを包含する、項目25に記載の方法。
(項目32)
上記適用することは、上記受容開口部の周囲に上記第二フィルムを接着させることを包含する、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記挿入する工程に続いて、上記サンプルキャリアを選択的に方向づける工程を包含する、項目24に記載の方法。
(項目34)
上記選択的に方向づける工程は、上記サンプルキャリアに磁力を及ぼすことを包含する、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記及ぼすことは、上記保存エレメントに磁場を適用することを包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)
サンプルキャリアを保存エレメントに挿入する方法であって、上記方法は、以下:
容器を備える保存エレメントを提供する工程であって、上記容器は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部を有する、工程;
サンプル保存媒体を含む基板を提供する工程;
上記基板からサンプルキャリアを選択的に切断する工程;および
上記受容開口部を通して、上記容器に上記サンプルキャリアを挿入する工程を包含する、方法。
(項目37)
上記挿入する工程の前に、上記排出開口部を封着する工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記挿入する工程に続いて、上記受容開口部を封着する工程を包含する、項目36に記載の方法。
(項目39)
上記選択的に切断する工程は、上記サンプルキャリアの寸法に影響を与える切断テンプレートを利用することを包含する、項目36に記載の方法。
(項目40)
上記挿入する工程は、上記受容開口部および上記切断テンプレートに従って寸法決めされた保持テンプレートを利用することを包含する、項目39に記載の方法。
(項目41)
上記挿入する工程は、上記保持テンプレートおよび上記受容開口部を通して上記サンプルキャリアを前進させるプランジャーを利用することをさらに包含する、項目40に記載の方法。
(項目42)
上記挿入する工程に続いて、上記サンプルキャリアを検体とともに充填する工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目43)
上記充填する工程は、上記受容開口部を通して上記容器に検体を提供することを包含する、項目42に記載の方法。
(項目44)
上記基板は、セルロースサンプル支持媒体を含む、項目36に記載の方法。
(項目45)
上記セルロースサンプル支持媒体は、濾紙である、項目44に記載の方法。
(項目46)
上記基板は、ポリマーのサンプル支持媒体を含む、項目36に記載の方法。
(項目47)
上記ポリマーのサンプル支持媒体は、ポリウレタンである、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記排出開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第一表面に第一フィルムを適用することを包含する、項目37に記載の方法。
(項目49)
上記受容開口部を封着する工程は、上記保存エレメントの第二表面に第二フィルムを適用することを包含する、項目38に記載の方法。
(項目50)
上記挿入する工程に続いて、上記サンプルを選択的に方向づける工程をさらに包含する、項目36に記載の方法。
(項目51)
上記選択的に方向づける工程は、上記サンプルキャリアに磁力を及ぼすことを包含する、項目50に記載の方法。
(項目52)
上記及ぼすことは、上記保存エレメントに磁場を適用することを包含する、項目51に記載の方法。
(項目53)
封着した保存エレメントからサンプルキャリアを取り出す方法であって、上記方法は:
容器を備える保存エレメントを提供する工程であって、上記容器は、サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する、工程;
イジェクターと上記容器とを整列させる工程;
上記受容開口部を通して上記イジェクターを挿入する工程;および
上記排出開口部を通して上記容器から上記サンプルキャリアを排出する工程を包含する、方法。
(項目54)
項目53に記載の方法であって、上記保存エレメントは、複数の容器を備え、そして上記方法は、上記保存エレメント中の標的サンプルの位置を同定する工程をさらに包含する、方法。
(項目55)
上記同定する工程および上記整列させる工程は、上記標的サンプルキャリアと同じ場所に配置されたトランシーバから受信される信号を利用することをさらに包含する、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記トランシーバは、高周波エネルギーによって作動される、項目55に記載の方法。
(項目57)
上記トランシーバは、光学エネルギーによって作動される、項目55に記載の方法。
(項目58)
上記利用することの前に、上記標的サンプルキャリアを選択的に方向づけることをさらに包含する、項目55に記載の方法。
(項目59)
上記選択的に方向づけることは、上記標的サンプルキャリアに磁力を及ぼすことを包含する、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記挿入する工程が、上記受容開口部を封着しているフィルムに穴を開けることを包含する、項目53に記載の方法。
(項目61)
上記排出する工程が、上記排出開口部を封着しているフィルムに穴を開けることを包含する、項目54に記載の方法。
(項目62)
上記排出する工程に応じて、上記サンプルキャリアを受容するための娘プレートを提供する工程さらに包含する、項目53に記載の方法。
(項目63)
保管システムであって、以下:
支持表面を有する容器;
上記支持表面に二次元配置で配置された複数の保存エレメントであって、上記複数のエレメントの各々は、容器を有し、上記容器は、サンプルキャリアを受容するために構成されかつ作動する受容開口部と、上記サンプルキャリアの排出を可能にする排出開口部とを有する、複数の保存エレメント;ならびに
イジェクター装置であって、以下:
上記複数の保存エレメントのうちの選択された1つにおいて、イジェクターと標的容器とを整列させ;
上記標的容器における上記受容開口部を通して上記イジェクターを挿入し;そして
上記排出開口部を通して上記標的容器から上記サンプルキャリアを排出するように作動する、イジェクター装置を備える、保管システム。
(項目64)
上記複数の保存エレメントのうちの標的したエレメントを係合するように選択的に作動する取扱装置をさらに備える、項目63に記載の保管システム。
(項目65)
上記複数の保存エレメントの各々は、直立に方向づけられる、項目63に記載の保管システム。
(項目66)
上記複数の保存エレメントの各々は、上記受容開口部および上記排出開口部で封着される、項目65に記載の保管システム。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1Aは、保存エレメントと組み合わせた使用のため構成され動作するサンプルキャリアの一実施形態を示す簡略図である。図1Bは、サンプルキャリアと組み合わせた使用のため構成され動作する保存エレメントの一実施形態を示す簡略図である。
【図2】図2A〜2Fは、サンプルキャリアの実施形態を示す簡略図である。
【図3】図3Aは、図1の線3−3に沿った保存エレメントの一実施形態の簡略横断面図である。図3Bは、図1の線3−3に沿った保存エレメントの別の実施形態の簡略横断面図である。
【図4】図4A〜4Cは、使用時の保存エレメントの一実施形態の一連の簡略横断面図を示す。
【図5】図5A〜5Cは、サンプルキャリアを保存エレメントの選択容器に挿入するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の一部分解された簡略横断面図を示す。
【図6】図6A〜6Cは、サンプルキャリアを保存エレメントから排出するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の簡略横断面図を示す。
【図7】図7は、サンプル保管方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。
【図8】図8は、サンプルキャリアを保存エレメントの選択容器に挿入する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。
【図9】図9は、サンプルキャリアを保存エレメントから排出する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。
【図10A】図10Aは、保管設備での使用のため構成され動作するサンプル保存構成要素の一実施形態の簡略斜視図である。
【図10B】図10Bは、サンプル保存構成要素に関連する使用のため構成され動作する容器の一実施形態を示す簡略斜視図である。
【図10C】図10Cは、サンプル保存構成要素に関連する使用のため構成され動作する容器の別の実施形態を示す簡略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(詳細な説明)
本開示により動作するシステムおよび方法は、中実または多孔質のいずれかである乾燥媒体上に保存された生物材料、非生物材料、および化学材料の個別サンプルの保存および回収を容易にする。いくつかの実施形態では、サンプル物質は多孔質または中実(すなわち、無孔質)サンプル保存媒体上または内部に配置され、たとえば、ロボット装置またはその他の自動装置を使用して、マルチウェルプレートなどの保存エレメントに保管され、そこから回収される。保存媒体は、封着保存エレメントから、たとえば、娘プレートの選択したウェル、またはサンプル物質の回収が望まれる場合、別の適切な容器に、汚染なしで選択的に移され得る。
【0039】
その点に関して、開示装置およびシステムは、封着される保存エレメントからのマルチウェル娘プレートの特定ウェル、または特定キュベット、試験管または類似の容器へのサンプルの排出を可能にする。いくつかの実施形態では、保存媒体を備えるサンプルキャリアは、保存エレメントの第二シールを通して挿入される、たとえば、廃棄可能な穿孔チップなどの装置または手段で保存エレメントの第一シールを通して穿孔または排出され得る。
【0040】
従って、サンプル保存エレメントは、プレートの各ウェルまたは容器が個別サンプルを含むよう構成されかつ作動する底のないマルチウェルプレートを備え得るか、またはそのように具現化され得る。第一シールフィルムは、保存エレメントの、たとえば、底面などの第一表面を封着し得る。個別サンプル(たとえば、下記に示すような個別サンプルノードにてサンプル保存媒体上に配置され得るか、またはそれによって搬送され得る)は、保存エレメントの各容器に導入され得る。第二シールフィルムは、たとえば、保存エレメントの上部などの第二表面を封着し、汚染や劣化からサンプルを保護し得る。
【0041】
半剛性ロッド、ワイヤ、または類似の細長い部材は、選択的にフィルムを穿孔し、保存エレメントの特定対象容器またはウェルに配置されたサンプルキャリアを排出し得る。イジェクター用に選択される材料は一般に、シールフィルムを穿孔するのに十分な剛性であるが、鋭いバイアスカットを可能にするのに十分な柔らかさであり得る。いくつかの実施形態では、イジェクターは、プラスチックまたはその他のポリマーなどの低コストで廃棄可能な材料から構成され得る。
【0042】
図面を参照すると、図1Aはサンプルキャリアの一実施形態を示す簡略図である。図1Aに示すように、サンプルキャリア110は一般に、個別サンプルを搬送するよう動作するサンプルノード111と、ノード111で搬送される個別サンプルに関連した情報を提供するよう動作するサンプル識別子119とを備え得る。
【0043】
図1Aに示すように、キャリア110は、識別を支持するよう構成されかつ作動するステム112と、識別子119が取り付けられ得る取扱構造113などの1つ以上の物理構造を含み得る。キャリア110の図示は代表として示したもので、特に、ステム112と識別構造113の特徴は限定的な意味で解釈されることを意図しないことを注記する。具体的に、図2A〜2Fを参照して下記に詳述するように、サンプルキャリア110の構成要素の構造配置は、中でも、構成要素を製造する材料、キャリア110が使用される任意の自動取扱機構の機能性、および以下に詳述するようにキャリア110が係合することが意図される保存エレメントの構造的特徴に従って種々に改変および変更される。
【0044】
その点に関して、ステム112と識別構造113の相対比、大きさ、長さ、直径、およびその他の物理的特徴は、キャリア110の使用目的に従って選択され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、キャリア110は、ロボット把持機構、真空または磁気チャック、またはその他の自動装置によって把持、搬送、または操作される。従って、識別構造113とステム112は適切な材料から構築され得、識別構造113の自動取扱または把持装置により及ぼされる外力に耐えるよう十分な剛性と構造的一体性を供するよう寸法が決められ得る。同様に、ここに述べるように、キャリア110は、使用時に保存エレメント(たとえば、図1Bの参照符号120で示される)に係合するよう構成されかつ作用し得る。従って、ステム112の長さと識別構造113の直径と厚さは、かかる保存エレメントとのキャリア110の協働を容易にするよう適切に寸法が決められ得る。
【0045】
キャリア110の構成要素は、上記したロボットまたはその他の自動機構によりキャリア110の操作と搬送を可能にするような十分な剛性を持つ任意の材料から構築され得る。サンプルノード111を含むキャリア110の構造要素は、たとえば、一体化単位として形成または成形され得ることが分かる。いくつかの実施形態では、キャリア110は、たとえば当該分野で一般に知られている射出成形技術を使用して製造され得る。あるいは、構成要素の一部あるいは全部が個別に製造され、キャリア110の単一化構造を形成するよう取り付け、接着、融着、接合、または他の方法で一体化され得る。サンプルノード111、ステム112、および識別構造113は、キャリア110を不必要に重くもしくは扱いにくくせず、キャリア110の全体構造が適切な剛性を与えられるようなポリスチレンまたは種々のプラスチックから製造され得る。当該分野で一般に知られている種々の製造技術が、キャリア110と図1Aに示す各種の構成要素を構成するよう使用され得ることが分かる。本開示はキャリア110の製造に対して使用される特別な材料や構成方法に限定されることを意図しない。
【0046】
概略的に上記したように、キャリア110の例示的実施形態は一般に、個別サンプルを搬送するよう動作するサンプルノード111と、ノード111で搬送される個別サンプルに関連した情報を提供するよう動作する識別子119とを備える。図示した配置のように、識別子119はそれが識別するサンプルと同じ場所に配置される。
【0047】
ここでは、「同じ場所に配置される」なる用語は一般に、サンプルとサンプルに関連した識別またはその他の情報の両方の位置をいう。例として、識別子119は、たとえば、ステム112と識別構造113などの適切な構成要素を介して上記したノード111に取り付け、接着、融着、連結、または他の方法で接続され得る。あるいは、図2A〜2Cを参照して下記に詳述するように、支持または取り付け構造が省略され得るよう、識別子119はノード111自体の構造と一体化またはそれに内蔵され得る。
【0048】
その点に関して、識別子119とノード111は、例えば、物理的取り付け(図1A)やノード111との識別子119の一体化(図2A〜2C)を介して「永久に」同じ場所に配置され得る。従って、固有の識別情報とその他のデータは、サンプルキャリア110の有効寿命(すなわち、サンプル物質が実験またはその他の使用のためノード111から取り出しまたは抽出されるまで)を通じてノード111で搬送されるサンプルと同じ場所に配置され得る。
【0049】
実質的にここに述べたように、永久に同じ場所に配置されるノード111と識別子119は、特定個別サンプルに関連した情報が常にそのサンプルの位置で利用可能であることを保証し得る。従って、ノード111のサンプルが識別子119を参照して識別され得、また識別子119はノード111と一体化または接続されているため、取扱エラー(たとえば、ノード111の置き違えで起こる)は最小化または排除され得る。
【0050】
サンプルノード111は、図1Aに示すように実質的に球形であり得ることが分かる。あるいは、ノード111は数多くの形状や大きさのいずれかで形成され得る。一例として、いくつかの可能性が図2A〜2Fに図示される。いくつかの多角形、多面体、角錐や三角形、円盤型または長円形の実施形態が検討され、所望のノードの大きさおよび密度などの種々の要因、サンプルノード111で使用される材料の飽和限度、サンプルキャリア110を操作するのに使用される装置の精度などに基づいて選択され得ることが当業者に理解される。本開示は、サンプルノード111の形状、大きさ、または寸法特性により限定されることを意図されない。
【0051】
サンプルノード111は、サンプルを直接的または間接的に結合し得る。その点に関して、例示的ノード111は一般に、サンプル支持媒体を備え得るか、または全体が支持媒体から構築され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、ノード111は単に選択されたサンプル支持媒体で被覆され、ノード111はサンプルを間接的に結合し得る。あるいは、ノード111の全体構造はサンプル支持媒体から製造され(すなわち、サンプル支持媒体はノード111の構造を構成し得る)、サンプルを直接的に結合し得る。本発明の一特徴に従って、サンプルノード111で使用するサンプル支持媒体は紙またはセルロース、ポリスチレンやキトサンなどのポリマー、プラスチック、セラミック、あるいは生物材料またはその他のサンプル物質のための長期保存機構としての役目をするよう構成されかつ作動するその他の適切な支持材料に具現化され得る。固体、液体、または気体状の標本は、サンプル支持媒体に接触され、個別サンプルノード111においてサンプルとして保存され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、たとえば、かかるサンプル支持媒体は、蛋白質と同様にリボ核酸(RNA)とデオキシリボ核酸(DNA)などのポリヌクレオチドを含む生物ポリマーのサンプルだけでなく、または過フッ化炭化水素またはクロロフルオロカーボン(CFC)、環境汚染物、および合成化学化合物を含む非生物サンプルを維持し得る。上記したように、濾紙基板の実施形態は、当該分野で現在知られている。たとえば、米国特許第6,294,203号では、サンプルキャリア110に導入されるのに適したサンプル保存用の乾燥固体媒体が開示されている。この米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書において援用される。
【0053】
本開示は、ノード111で使用される特定サンプル支持媒体に対して限定されることを意図されない。従って、サンプルノード111での実施に適した支持媒体は一般に、当該分野で知られているか、または既知の原理に従って開発または動作する任意の適切な材料を含み得、搬送かつ維持されるサンプルの種類に関する結合特性に従って選択され得る。
【0054】
その点に関して、適切なサンプル支持媒体は、たとえば、ノード111でサンプルとして保存される標本の種類に部分的に従って中実または多孔質である。さらに、またはあるいは、サンプル支持媒体は、1つ以上の化学化合物で処理され得るかまたは誘導体化され得、たとえば、標本との接触に先立って種々の結合特性を操作される。サンプルノード111の正または負の電荷、化学組成、結合特性、抗体、レクチン、多孔率、およびその他の動作要因は、実施されるサンプル支持媒体の種類と、そこで実行される任意の処理の種類または性質に従って選択され得る。
【0055】
生物サンプルと非生物サンプルは、制御された環境で保存され得る。その点に関して、湿度、温度、およびその他の環境要因は、防火ボールトまたは保管庫として使用されるその他の構造で制御され得る。いくつかの実施形態では、環境条件は、たとえば、サンプルの性質、サンプルノード111で使用されるサンプル支持媒体の組成、またはその両方に従って選択的に変更され得、数十年間サンプルの寿命を保つ。生物ポリマー(ポリヌクレオチドなどの)保管の実施形態では、たとえば、サンプル支持媒体は化学処理された表面や構造を含み得、特定サンプル細胞を溶解し、ポリヌクレオチド構造を個別サンプルノード111においてサンプル支持媒体または基板に固定する。さらに、またはあるいは、保存剤が、サンプル支持媒体に塗布、埋め込み、含浸、または他の方法で導入される。かかる保存剤により、数十年間ポリヌクレオチド構造の安定性と忠実度が保証される。サンプルノード111は、図1Aで示される個別ペレットや球体によって特徴付けられ得、図1Bに示すマルチウェルプレートに配置された特定ウェルに選択的に付着され得る。特定ウェルに付着されたサンプルは、次の処理(たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析など)のために選択され得る。
【0056】
交差汚染はノード111のサンプルを保存することにより実質上排除され得る。一部の例では、機械サンプル除去装置に関わる機械接触は、回収、抽出、精製、包装、および出荷の間、最小化されるか完全に排除され得る。さらに、キャリア110または取扱および識別構造113が標準ロボット操作に従い得るため、保管設備全体が容易に自動化され高スループット率を達成し得る(たとえば、1日あたり100個のサンプルより多く)。
【0057】
上記したように、サンプルキャリア110を使用して保管かつ回収されたDNAやRNAなどのポリヌクレオチドは、大規模の遺伝子分析に十分適合し得、薬理遺伝学またはその他の種類の遺伝子発見分析のために優れた(従来の液相または極低温技術に対して)サンプルを産出し得る。具体的に、サンプルノード111の実施では、サンプル支持媒体とPCRインヒビターを減少させる役目をする任意の埋め込まれた化学薬品の固有の充填特性によってポリヌクレオチド保存量および質を自動的に標準化する。従って、従来のポリヌクレオチド抽出での精製後の定量化手順の要求と複雑さが簡略化、減少、または完全に排除され得る。また、乾燥保管サンプルは、極低温システムで一般的であるような繰り返し行われる冷凍および解凍サイクルの間に、連続して劣化しない。
【0058】
動作時、識別子119は一般に、ノード111で搬送される個別サンプルに関連した情報を維持または提供し得る。いくつかの実施形態では、識別子119はかかる情報へのアクセスを可能にし、サンプルに関連した固有のコード、シリアル番号、またはその他の識別指標を維持または提供し得る。かかる実施形態では、データベースまたはその他のレコード保存は、識別子119により表示または提供されるコードまたは信号を使用してサンプルに関連した情報に対して問い合わせる。
【0059】
従って、この文脈において、およびさらなる説明を簡単にするため、サンプルに関連した情報を「提供する」ことをいう識別子119の機能性が、一般に、限定されることなく以下を包含することが分かる:識別子119においてかかる情報の全部または一部を維持または保存すること;識別子119からかかる情報の全部または一部を通信、送信、または伝達すること;およびサンプルを識別しかかる情報へのアクセスを可能にするよう動作する固有のコード、信号、データストリーム、またはその他の指標を反映、信号伝達、送信、または通信することである。
【0060】
図1Aの実施形態では、たとえば、識別子119は一般に、ノード111で搬送されるサンプルが一意に識別される指標を識別することを包含する。その点に関して、識別子119は、当該分野で一般に知られている幅と離隔距離を変える明暗領域を有する一次元または二次元バーコードを備え得る。さらに、またはあるいは、識別子119は、シリアル番号、ロット番号、英数字コード、またはノード111で搬送されるサンプル物質を識別または区別するのに適したその他の記号表示を備え得る。かかるバーコードまたはその他の識別指標は、種々の機械視覚技術または当該分野で一般に知られているその他の光学センサまたは読取装置のいずれかによりスキャンされる。これらの実施形態では、識別子119は、バーコードまたは識別指標で暗号化される固有のサンプル識別情報を維持または供する。従って、ノード111のサンプルに関連した情報は、標識で暗号化された一意の識別データまたは記号表示を使用して取得またはアクセスされ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、たとえば、光学読取装置は一般に、電磁スペクトルの種々の部分を感知する機器または受信器を使用して、識別子119のバーコードまたはその他の標識で表現される要素を識別または位置づけることができる機械視覚技術、ビデオカメラ、またはその他の光学センサを備え得る。本実施形態では、光学情報(スペクトルの可視部分からの)またはその他の電磁情報(たとえば、マイクロ波、赤外線、または高周波などの)が、ノード111で搬送される同じ場所に配置されたサンプルの同一性、性質、および一般構成を確認にするよう使用され得る。
【0062】
特に、識別子119は、たとえば光起動の小型トランスポンダーまたはトランシーバに具現化され得る。当該分野で一般に知られているように、たとえば、レーザーなどの適切な光源により送出される選択波長と周波数の可視光、蛍光、干渉性光、またはその他の適切な光学エネルギーは、識別子119に内蔵された光電池にエネルギーを供給し得る。本実施形態では、かかる電池で捕捉もしくは受容した光学エネルギーは、マイクロ制御装置またはマイクロチップ、付加的回路、関連電子メモリ、および送信器を起動し得る。あるいは、高周波(RF)エネルギーは、識別子119でトランシーバを起動するのに使用され得る。
【0063】
当該分野で一般に知られているように、識別子119のマイクロチップは、メモリにアクセスし、ノード111で搬送される同じ場所に配置されたサンプルに関連した情報を検索し、送信器の動作に影響し、サンプルに関連した情報を示す信号の送信を可能にし得る。あるいは、送信器はノード111で同じ場所に配置されたサンプルに関連した別個のまたは固有の識別子コードまたは信号を送信する。ノード111で搬送されるサンプルに関するデータレコードまたはその他の情報は、たとえば、送信器により送信される識別信号に従って遠隔地で別の装置によりアクセスされ得る。
【0064】
識別子119により維持かつ供されるサンプル識別情報とその他の情報は一般に以下を含み得るが、これに限定されない:サンプルの正確な識別と追跡を可能にする別個の識別子コードまたはその他の標識;サンプルの性質または種類(たとえば、血液、DNA、RNA、蛋白質、環境粒子、または汚染物);サンプルの供給元または由来(たとえば、ヒトの年齢、性別、および病歴、または環境サンプルが収集された位置と状況);サンプルが収集または保管された時間と日付など。この情報を示すデータレコードまたはその他の構造は、たとえば、識別子119自体に暗号化され得るか、データベースまたはその他のデータ保存構造または設備で維持され得る。
【0065】
一部の実施では、サンプルキャリア110は、標準または変更されたマルチウェルプレートのウェルなどのサンプル容器に係合するよう設計または構成され得る。キャリア110が容器または保存エレメントに係合する際、ノード111はウェルの標本物質に接触され得る。さらに、またはあるいは、キャリア110はクリーンまたは未使用のウェル(すなわち、標本物質または微量の汚染物を含まないもの)に係合し、ノード111のサンプル物質が保存され得、個別のサンプルノードで搬送されたサンプル間の交差汚染が防止され得る。
【0066】
図1Bは保存エレメントの一実施形態を示す簡略図である。例示的実施形態では、保存エレメント120は一般に、縦軸199に対して所定方向づけで配置された複数のサンプル容器またはウェル121を備える。各ウェル121はサンプルキャリア110、より詳細には、実質的に上記したサンプルノード111を受けるよう構成されかつ作用し得る。
【0067】
保存エレメント120の図1Bの実施形態は一例として図示しただけで、限定ではないということが当業者により理解される。保存エレメント120の種々の形状とウェル121の構成は、本開示の範囲および考慮の範囲内にある。たとえば、長方形の構成がここに図示かつ説明されるが、たとえば、保存エレメント120は、保存エレメント120が利用される研究所または保管設備の要求または構成に従って、平面図としてほぼ円形、四角形または多角形である。
【0068】
例示した長方形実施形態では、保存エレメント120は一般に、縦側面122A、122Bと横側面123A、123Bとを備える。科学的なサンプル保存および実験システムが研究所またはサンプル保管設備でマルチウェルプレートを把持、移送、または他の方法で操作するためのロボット機構を使用し得ることが当業者に理解される。従って、側面122A、122B、123A、123Bは、適切な把持または取扱機構(手動か自動)が適切または所望の操作のため保存エレメント120に係合し得るような形状、寸法であり得る。
【0069】
その点に関して、保存エレメント120は一般に、かかる自動またはロボットシステムにより作用される力に耐えるのに十分な剛性と強度を供する適切な材料から製造され得る。また、ウェル121に含まれる任意のサンプルまたは標本物質を汚染しない材料の保存エレメント120を構築することが望ましくあり得る。各種プラスチック、セラミック、ポリスチレン、およびポリマー、またはマルチウェルプレートを構成するための当該分野で一般に知られているその他の材料は、ウェル121と保存エレメント120のその他の構成要素に適切であり得る。
【0070】
保存エレメント120はたとえば単体として製造され得るか、または一般に個別に製造され、その後、接合、接着、または他の方法で接続される2つ以上の部品を備え得る。その点に関して、保存エレメント120のいくつかの実施形態は一般に、ウェルの個別の行(たとえば、126や127)を受けるよう構成されかつ作動する枠構造(図示せず)を包含し得る。この特徴に従って、行126や127は当該分野で一般に知られているように個別に製造され得、独立して使用され得る。
【0071】
さらに、保存エレメント120は保存エレメント120に固有であり得るラベル、タグ、転写またはその他の識別指標129を支持するよう構成されかつ作用し得る。当該分野で一般に知られているように、識別指標129は、たとえば、バーコード(たとえば、一次元または二次元のいずれか)、シリアル番号、またはその他の英数字または記号表示を含み得、保管庫または研究所の設備で維持される他のものから各々の特別な保存エレメント120を区別し得る。かかる実施形態では、標識129は選択側面122A、122B、123A、123Bで配置または方向づけられ得、標識129は保存エレメント120を取扱保存するよう設計されたロボットまたはその他の機構により不明瞭にされたり損なわれたりすることはない。
【0072】
ここで図1Aと図1Bの両方を参照すると、キャリア110と保存エレメント120は、サンプルノード111がサンプルをノード111に「充填する」ための各容器(ウェル121Cなどの)に含まれる標本物質に対して所定の間隔を空けた関係にて支持されるよう構成され得、寸法が決められ得ることが容易に理解される。一例として、サンプルノード111はウェル121Cの標本物質に接触する位置で配置される。また、キャリア110は(ウェル121Cなどの)各容器に付着され保存され得る。図3Aと図3Bを参照して下記に詳述するように、キャリア110はクリーンまたは無菌のウェル121Cに配置または付着され、その中で封着され保管される。その点に関して、保存エレメント120は複数のサンプルキャリア110を互いに分離し、外部汚染物から各サンプルキャリア110を封着して分離するよう構成されかつ作用し得る。
【0073】
いくつかの実施形態により、保存エレメント120の各ウェル121または標本容器は一般に、サンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作動する受容開口部と、サンプルキャリア110の排出を可能にするよう構成され選択的に動作する排出開口部とを備え得る。この排出は、(下記の)イジェクターと協働して実行され得る。かかる配置で、保存エレメント120は下記に詳述するように、第一表面124上と第二表面125上の両方で封着され得る。
【0074】
保存エレメント120がマルチウェルプレートに関連して一般に使用される蓋またはカバー(図示せず)を含み得るか、または収容するよう構成され得ることが当業者に理解される。いくつかの実施形態では、標識129が保存エレメント120に動作的に係合する際、カバーは標識129を不明瞭にしないよう配置または方向づけられ得る。あるいは、保存エレメント120で使用されるカバーは標識129を不明瞭にしないよう変更され得るか、または特別に構成され得る。シールフィルム(たとえば、第二表面125を封着する)、またはウェル121の汚染を防止するその他の構成要素を備える保存エレメント120の実施形態では、蓋またはカバーはサンプル一体性を保証することを必要としなくてよい。
【0075】
図2A〜2Fは、サンプルキャリアの実施形態を示す簡略図である。図2A〜2Fに示すサンプルキャリア110の実施形態は一般に、図1Aと図1Bを参照して上記したものに相当し、上記に詳述した構成要素と機能特性の一部または全部を組み込み得る。
【0076】
図2Aでは、たとえば、ノード111は一般に、上記に詳述したものに相当し得る。識別子119はノード111に含まれ得る。例示した図2Aの実施形態では、識別子119はたとえば、高周波(RF)起動の小型のトランスポンダーまたはトランシーバを備え得る。当該分野で一般に知られているように、たとえば、アンテナなどの適切な源により送出される選択的な波長および周波数のRFエネルギーは、適切なアンテナにより受けられ得、識別子119に内蔵または作動可能に結合されたRF電池にエネルギーを供給する。本実施形態では、かかるアンテナで捉えられ、電池で受けられたRFエネルギーは、マイクロ制御装置またはマイクロチップ、付加的回路、および関連した電子メモリ、および図1Aを参照して実質的に上記した送信器を起動し得る。
【0077】
上記したように、マイクロチップはメモリにアクセスし得、ノード111に搬送される、同じ場所に配置されたサンプルに関連した情報を検索し、サンプルに関連した情報を示す信号の送信を容易にし得る。いくつかの実施形態では、送信器はノード111の同じ場所に配置されたサンプルに関連した個別または固有の識別子コードまたは信号を送信し得る。従って、ノード111で搬送されたサンプルに関するデータレコードとその他の情報は、たとえば、送信機で送信される識別信号に応じて遠隔地の別の装置によりアクセスされ得る。
【0078】
図2Bを参照すると、識別子119は一般に、上記したものに相当し得る。具体的に、識別子119はRF起動トランシーバを内蔵し得るか、またはそれを備え得る。例示した図2Bの実施形態では、識別子119はノード111の構造に内蔵され得るか、または一体化され得る。
【0079】
上記した実施と同様に、印加電磁エネルギーは適切な受信アンテナと同調コンデンサー(図示せず)を備えるトランシーバを起動し得る。コンデンサーは送信機を含む電子機器を駆動し得、ノード111で搬送される同じ位置に配置されたサンプルを識別する個別または固有のRF信号またはコードを送信し得る。
【0080】
上記実施形態で、トランシーバはノード111のサンプル支持媒体に埋め込まれ得る。あるいは、ノード111は少なくとも識別子119の一部を囲むよう構成されかつ作動するシースまたはスリーブとして製造または構築され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、ノード111が識別子119を囲む範囲を制限することが望ましくあり得る。ノード111が識別子119の一部またはトランシーバのハウジング(参照符号117により示される)に限定される場合、サンプルキャリア110は、取扱装置または把持装置がノード111で搬送されたサンプルに接触かつ汚染する可能性という危険性なしに、ハウジング117の端部で機械的にまたは他の方法で操作される。
【0081】
図2Bで示されたサンプルキャリア110は、保存エレメント120のウェル121に係合させるよう大きさおよび寸法が決められ得る。キャリア110はさらに、かかるウェル121に係合するよう動作するガスケットまたはその他の構造(図示せず)を備え得、同時に、ノード111を液体標本と接触させる位置でキャリア110を支持し、キャリア110が保存エレメント120に係合する際、ウェル121への粒子状物質の導入を排除することにより汚染を防止する。あるいは、サンプルキャリア110の図2Bの実施形態では、保存エレメント120の適切な容器内で全体的に適合するよう適切に大きさおよび寸法が決められ得る。
【0082】
図2Cは上記したRF起動のトランシーバの実施形態と組み合わせた使用のため構成され動作するサンプルキャリアの別の実施形態を示す簡略図である。例示した図2Cの配置では、ノード111は一般に、サンプル支持媒体の第一層114と第二層115とを備える。一般に上記したようなトランシーバを備える識別子119は、層114と115の間に挿入され得る。いくつかの実施形態では、層114、115は濾紙または上記に参考として援用される米国特許第6,294,203号に開示した支持媒体などの別の適切な基板から製造され得る。
【0083】
上記したように、層114、115は濾紙またはその他の多孔質材料に具現化され得る。しかし、層114、115はサンプル支持媒体として使用されるのに適した中実または無孔質材料から構成され得るまたはそれらを含み得ることが分かる。その点に関して、上記した種々のサンプル支持媒体のいずれも層114、115に適切であり得、製造技術またはサンプルキャリア110が使用される自動取扱機構の動作特性などのその他の要因に従って選択され得る。
【0084】
一部の実施では、たとえば、ロボットまたはその他の取扱機構による操作に耐えるのに十分な剛性を持つ層114、115を供することが望ましくあり得る。しかし、かかる機械的把持装置は、ノード111で搬送されるサンプルに汚染が入り込む恐れがあり得る。あるいは、トランシーバを収容または備える識別子119は、かかる把持/運搬装置に適応するのに十分な厚さを持ち得、層114、115は装置取扱キャリア110のいかなる部分によっても接触されない。
【0085】
図1Aを参照して上記に詳述したように、トランシーバを備える識別子119は、識別構造113に内蔵され得るか、取り付けられ得るか、接着され得るか、または固定され得る。または、識別子119は、図2A〜2Cに示すように、ノード111の構造と一体化され得る。光学エネルギーに対して、RF信号に応じるトランシーバの実施ではさらに、たとえば、図2A〜2Cに示された実施形態を容易にする。RF起動のトランシーバのマイクロチップとその他の構成要素は、たとえば、動作電力に関して光学エネルギーに依存していないため、かかるトランシーバからなる識別子119はノード111の構造内に全部が一体化され得るかまたは含まれ得る。従って、図2A〜2Cの例示的実施形態では、ノード111に取り付けられるか、またはその他の方法でノード11の外部にある任意の構成要素(たとえば、ステムまたは識別構造などの)は含まれなくともよい。
【0086】
さらに、1つ以上のさらなる識別子119は、たとえば、トランシーバの高度化または機能特性、キャリア110が使用されるシステムの動作要求、またはその両方の組み合わせに従ってキャリア110に組み合わせて実施され得ることが分かる。具体的に、たとえば、図2A〜2Fを参照して図示かつ説明された実施形態のいずれもが、図1Aを参照して図示かつ上記した構成要素とサンプル識別方法を含み得る。開示された実施形態の任意の数の特徴および局面が、とりわけ、キャリア110の所望の機能性、保存エレメント120の構造的特徴またはキャリア110が実施される自動装置の機能面、ノード111で搬送されたサンプルの性質と化学特性などに従って容易に組み合わせられ得るか交換され得ることが当業者に理解される。
【0087】
上記したものなどのトランスポンダーまたはトランシーバの種々の種類が現在知られており、広い用途で使用されることを注記する。たとえば、識別子119に内蔵されていると説明されたものなどの数多くのトランスポンダーは現在動物に埋め込まれ、行方不明のペットを識別するのに使用される。また、種々のマイクロトランシーバシステムは研究者によって開発され、能動薬物送達技術での使用に提案されている。上記したようなマイクロトランシーバまたはトランスポンダーは一般に、たとえば、全方向性のRF信号を送信するよう動作し得、受信器は、関連した署名信号周波数、送信パターン、またはその他の情報を使用してノード111で搬送したサンプルを位置づけ、識別できる。従って、識別子119に内蔵されたトランシーバにより送信された固有信号は、ロボット器機またはサンプル取扱装置の位置づけを指示するのに使用され得る。
【0088】
図2Dはサンプルキャリアの別の実施形態を示す簡略図である。サンプルキャリア110は一般に、個別サンプルを搬送するよう動作するサンプルノード111を備える。その点に関して、ノード111は適切なサンプル支持媒体に具現化され得る。上記したように、ノード111は選択されたサンプル支持媒体で被覆され得、ノード111は間接的にサンプルを結合する。あるいは、ノード111の全体構造は、サンプル支持媒体から製造され(すなわち、サンプル支持媒体はノード111の構造を構成する)、サンプルを直接結合し得る。
【0089】
上記したように、サンプルノード111で使用されるサンプル支持媒体は一般に、キトサン、プラスチック、セラミック、ポリスチレンもしくはその他のポリマー、または生物サンプルまたはその他のサンプルの長期保存機構として働くよう構成されかつ作動するその他の適切なサンプル物質に実施され得る。図2Dの実施形態では、ノード111はかかるサンプル支持媒体に具現化され、一般に紙またはセルロース、またはたとえば、高多孔率と10〜100ミクロンの範囲の細孔を有する発泡ポリウレタンなどのポリマーから構成され得る。
【0090】
固体、液体、または気体状の標本は、サンプル支持媒体と接触され得、個別サンプルノード111でサンプルとして保存される。図2Dの例示的実施形態では、サンプル物質がノード111のサンプル支持媒体により吸収される場合、ノード111は膨張し得る(破線で示すように)。
【0091】
図2Dの実施形態に組み合わせて使用されるのに適切なサンプル支持媒体の多くの例が製品化されている。たとえば、高多孔率と10〜100ミクロンの範囲(たとえば、30ミクロン)の細孔を有する連続気泡発泡ポリウレタンが一般に利用可能であり、包装、小型部品や装置の詰め物、ケガをする前の包帯、および鋳型で使用される前駆物質として現在使用されている。
【0092】
図2Dの実施形態で使用されるサンプル支持媒体は、以下の特性を示し得る:圧縮性(たとえば、多孔質構造からのサンプルの除去を容易にする);リバウンド性(すなわち、圧縮力が解除された時、ノード111が元の形状にすばやく戻る);開口および多孔質下部構造; 水や水性緩衝剤を吸収する能力;およびキャリア110が使用されることが意図される保存エレメント120の容器に適合するよう鋳造または切断される能力である。また、キャリア110のサンプル支持媒体は、生物材料に対して不活性な低レベルの浸出材料と表面を含み得る。一般に、ノード111で使用されるポリマー材料は、サンプル物質が生物材料、非生物材料、または化学材料であろうと、サンプル物質を収集、安定化、および保存するのに使用される試薬と適合性であり得る。サンプル支持媒体はまた、低レベルの粒子状と湿潤状態および乾燥状態で低破砕性を示す。
【0093】
図2Dで示されたノード111の形状が例示のためだけに供されていることが分かる。ノード111は一般に円形で示されているが、四角形や、長方形、およびその他の多角形などのその他の形状もまた検討される。ノード111の全体形状と全寸法は以下の要因の一部または全部により影響され得る:サンプル支持媒体の密度;搬送されるサンプル物質量;および保存エレメント120の容器の寸法と容量である。
【0094】
上記詳述したサンプルキャリア110の種々の実施形態を参照すると、磁気粒子材料、または強磁性体材料またはフェリ磁性体材料が、サンプルノード111、識別および取扱構造113、またはその両方で実施され得、サンプルキャリア110の磁気的操作を可能にすることが分かる。いくつかの実施形態では、たとえば、磁気材料はノード111、支持媒体、または識別構造113に埋め込まれ得るか、または他の方法で内蔵され得るか、または取り付けられ得る。
【0095】
その点に関して、図2Eと図2Fは、サンプルキャリアの実施形態を示す簡略図である。キャリア110は一般に、サンプルノード111と、一体化されているかまたは一体的に取り付けられた磁気要素116とを備える。図2Fに示すように、キャリア110はまた、上記に詳述した識別子119を備え得る。例示的実施形態では、ノード111に対する特定位置から印加された磁場は、サンプルキャリア110を適切な位置に方向づけ、識別子119の読み取りまたは起動を容易にし得る(図2Eでは図示せず)。さらに、サンプルキャリア110は、適切な磁場を発生できる磁気チャックまたはその他の装置を使用して運搬、移動、または他の方法で操作され得る。
【0096】
たとえば、磁気要素116と相互作用する印加磁場は、所望の方向に軸299を中心にサンプルキャリア110を(図2Eの曲線矢印で示したように)フリップまたは回転させるのに十分な力を作用させ得、識別子119の動作を可能または容易にする。その点に関して、磁気要素116は適切な磁場に組み合わせて使用され得、たとえば、バーコードリーダーまたは光学スキャナーなどの協働器機、または放射光学エネルギー、またはRF電源やアンテナなどとの識別子119の適正な配置を保証する。さらに、またはあるいは、磁気要素116は、キャリア110が所望の方法で位置づけられ、たとえば、標本物質、試薬、保存剤、またはその他の化学薬品の、ノード111で実施されるサンプル支持媒体への付加を可能または容易にする。
【0097】
被覆または未被覆の磁気粒子または磁気材料は、たとえば、キャリア110の製造時、またはサンプル充填後、サンプルノード111またはサンプル支持媒体に内蔵され得る。かかるいくつかの実施形態では、ノード111は磁場で製造され、内蔵された磁気材料は所望の磁気方向または極性で配置または整列され得る。あるいは、かかる磁気材料は標本自体に加えられる。標本に含まれる磁気材料は、標本をノード111に移すのに使用される同一または類似の化学作用を持つサンプルノード111に結合され得る。
【0098】
ここでは、「磁気」なる用語は一般に、「磁気」材料を、予想される方法で外部磁場または電磁場に応じるようにする磁気、強磁性、またはフェリ磁性特性のことをいうことが上記から理解される。従って、いくつかの実施形態では、サンプルキャリア110はまた、個別磁気要素116、ノード111の構造全体に散らばるその他の磁気材料、またはキャリア110が印加磁場に応じて方向づけられ得るか操作され得るようなその他の構成要素を含み得る。磁場は、たとえば、個別ウェル、またはサンプルキャリア110が保存される保存エレメント全体に印加され得る。
【0099】
図3Aは、図1の線3−3に沿った保存エレメントの一実施形態の簡略横断面図である。図1Bを参照して上記したように、保存エレメント120は一般に、1つ以上のサンプル容器121からなり、各々がサンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作用する。図示した長方形の実施形態では、ウェル121は一般に、縦面122A、122Bと横面123A、123Bとの間に所定の方向づけで配置されるが、代替的に、保存エレメント120は一般に平面図として円形または多角形である。
【0100】
キャリア110と保存エレメント120は、サンプルノードが各容器121に含まれる標本物質に対して所望の間隔を空けた関係にて支持されるよう構成され寸法が決められ得る。図3Aに示すように、各キャリア110はサンプル充填に付け加えてか、またはその別法として、各容器121に付着されて保存され得る。その点に関して、保存エレメント120はクリーンまたは無菌のウェル121にキャリア110を収容するよう独自に構成されて動作し得、ノード111に充填するための標本物質を選択的にまたは任意に受け、キャリア110を封着し保管する。具体的に、図3Aの保存エレメント120は、複数のサンプルキャリア110を互いに分離し、外部汚染物から各サンプルキャリア110を封着して分離するよう構成されかつ作用し得る。
【0101】
図3Aの実施形態により、保存エレメント120の各ウェル121または標本容器は一般に、サンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作動する受容開口部321Bと、ウェル121からサンプルキャリア110を排出するイジェクター(下記)と協働するよう構成され選択的に動作する排出開口部321Aとを備え得る。図3Bを参照して下記に詳述するように、保存エレメント120は第一表面124と第二表面125との両方に封着され得る。
【0102】
図3Bは図1の線3−3に沿った保存エレメントの別の実施形態の簡略横断面図である。図3Bに示すように、保存エレメント120の第一表面124は、シールフィルム351により閉じられ得るか封着され得、保存エレメント120の第二表面125は、シールフィルム352により閉じられ得るか封着され得る。従って、保存エレメント120の各容器またはウェル121は、フィルム351と352により排出開口部321Aと受容開口部321Bで封着され、サンプルキャリア110を固定し得、かつ汚染物がウェル121に入るのを防止し得る。
【0103】
上記した要素に加えて、保存エレメント120の図3Bの実施形態はリップまたはスカート328を備える。保管、研究、研究所、またはその他の設備での一般用途において、たとえば、保存エレメントはスタックされ、利用可能な保存スペースを最適化し得る。保存エレメント120の構造にスカート328を取り付けるか、または内蔵することは、保存エレメントや研究所の作業台などの表面と別の方法で接触して発生し得るシールフィルム351、352の不要な摩擦または劣化を防止する。
【0104】
その点に関して、スカート328はシールフィルム351を超えて延長するよう適切に寸法が決められ得、スタックの隣接した保存エレメントの面125に係合するよう寸法が決められ構成され得る一方、その面に取り付けられたシールフィルム352との接触を回避する。スカート328は、縦側面122A、122Bと一体化し、その全部または一部のみに沿って縦方向に延長し得る。たとえば、図1Bに示した保存エレメント120の実施形態を参照して、スカート328は縦側面122A、122Bに付け加えて、横側面123A、123Bと一体化またはそれに取り付けられた周縁構成要素として実施され得る。あるいは、スカート328は、フィルム351を超えて延長し、保存エレメント120の周囲(角、すなわち、縦側面122A、122Bと横側面123A、123Bの接合部)に沿って選択された位置に位置づけられた複数のポスト、ガイドレール、またはその他の突起物として実施される。
【0105】
フィルム351、352は一般に、種々の金属材料、プラスチック、その他のポリマー、またはシール物品で使用され得る薄い、柔軟性のあるシートやホイルを供するために一般に使用される類似材料を含み得る。いくつかの実施形態では、フィルム351、352のうち少なくとも1つが誘電物質またはその他のRF透過材料から構成され得、上記に詳述したRF起動識別子119を使用するサンプルキャリア110の種々の実施形態のいずれにも適合する。ここでは、「高周波透過性」と「RF透過」なる用語は一般に、上記に詳述した1つ以上のRFトランスポンダーを起動し、その動作を可能にするのに十分なRFエネルギーを送信するのに適切な材料と厚さのフィルムのことをいう。
【0106】
さらに、またはあるいは、フィルム351、352のいずれかまたは両方が光学透過性で、可視的または光学装置の使用を通して、ウェル121の内容の検査を可能にする。本実施形態はバーコードまたは光起動識別子119を使用するサンプルキャリア110の使用に適合し得る。従って、ここでは、「光学透過性」なる用語は一般に、1つ以上の選択波長の十分な光が透過されるのに適切な材料と厚さのフィルムのことをいう、すなわち光学透過性なフィルム351、352は、フィルム351、352を通してサンプルキャリア110の可視検査を可能にするか、または上記したようなバーコードリーダーまたは光起動トランスポンダーなどの光学装置のフィルムを通した動作を可能にするのに十分な光を送出する。
【0107】
フィルム351、352は使用時穿孔され、選択されたサンプルキャリア110が、図6A〜6Cを参照して下記に詳述した特定ウェル121から排出することを可能にする。従って、たとえば、フィルム351、352の物理的厚さと、そのために選択された材料の具体的な特性はシステム要求に従って選択的に変更され得る。たとえば、形状、材料強度、柔軟性、および穿孔イジェクター構成要素(下記)により加えられる力は、以下の一部または全部に影響する:フィルム351、352として選択される材料、フィルム351、352の厚さ; フィルム351、352を面124、125それぞれに適用するのに使用される技術である。いくつかの実施形態では、以上の要因は、とりわけ、フィルム351、352が選択された排出機構により効果的に穿孔され得ることを保証するよう調整され得る。
【0108】
フィルムを表面に適用する種々の方法は、当該分野で一般に知られている。たとえば、多くの接着剤と感熱シール技術は、薬剤の包装や収縮包装などの種々の用途で現在使用されている。シールフィルム351、352を面124、125に結合、接着、貼付、融着、または他の方法で適用するために使用される特定方法は、以下を含む種々の要因(これに限定されない)により影響される:フィルム351、352の材料選択と厚さ;表面124、125の材料選択、硬度、および表面特性;保存エレメント120またはそれに維持されたサンプルの使用目的;および保存エレメント120のウェル121に保存されるサンプル物質との化学相互作用(結合材料または適用技術に起因する)である。従って、当業者はシールフィルム351を面124に適用するため使用される方法がシール352を面125に適用するため使用される方法と異なり得ることが分かる。
【0109】
本開示は特定の適用または結合技術により限定されることを意図されないが、当業者はフィルム351、352と面124、125それぞれとの間の適切な封着がウェル121に配置されるサンプルキャリア110の汚染を防止することが分かる。従って、いくつかの実施形態では、フィルム351、352を適用する方法は、各面124、125の各ウェル121の全周または周囲に完全な結合を保証するよう選択され得る。言い換えれば、各ウェル121の受容開口部321Bと排出開口部321Aは、隣接ウェル121から独立して封着かつ分離され得る。別法として、単純な適用技術では、一部のみか、その選択領域(たとえば、保存エレメント120の外周に沿って)フィルム351、352を各面124、125に接着または結合させ得る。この後者の実施形態では、個別ウェル121は保存エレメント120のその他のウェル121からは分離されなくともよい。
【0110】
上記したように、特定種類のシールフィルムを適用するために選択される方法は、保存エレメント120とウェル121に保存されたサンプルの使用目的に従って変更され得る。さらに、いくつかの実施形態は保存エレメントの選択部分の封着に適合し得ることが分かる。一例として、図1Bに示した保存エレメント120を参照して、各行126、127はウェル121の個別単位として個別的に封着され得る。
【0111】
図4A〜4Cは、使用時の保存エレメントの一実施形態の一連の簡略横断面図である。図4Aに示すように、実質的に図示し上記に詳述した保存エレメント120は、ポリマーフィルムまたは金属フィルムなどのシールフィルム351を有する第一表面124で封着され得る。図3Aと3Bを参照して上記したように、フィルム351は一般に、保存エレメント120の各サンプル容器またはウェル121の排出開口部321Aを封着し得る。図4Aの実施形態では、フィルム351を貼付けるのに使用される適用方法は一般に、面124の各排出開口部321Aの周囲にフィルム351を結合または接着し、各ウェル121を独立容器にし得る。具体的に、フィルム351は、必要に応じて、面124の大部分に結合される(たとえば、各個別排出開口部321Aの周囲に)、ウェル121間の液体浸出を防止し得る。上記したように、保存エレメント120の選択部分は、保存されるサンプル数、シールフィルム351を面124に適用するため使用される装置の高度化、およびその他の要因に従って上記方法で封着され得る。
【0112】
上記したように、各ウェル121はサンプルキャリア110を受けるよう構成されかつ作動する受容開口部321Bを含み得る。その点に関して、図4Bに示すように、サンプルキャリア110は、保存エレメント120の各ウェル121に付着または供給される。いくつかの実施形態では、1つ以上の選択的に構成された磁場または電磁場は、たとえば、保存エレメント120に印加されるか、または個別ウェル121に印加され、上記したような磁気要素116を内蔵するサンプルキャリア110の配置または方向づけを容易にする。
【0113】
図4Cに示すように、シールフィルム352は第二表面125に適用され得、同時にサンプルキャリア110の損失を防止して、汚染からウェル121を封鎖する。保存エレメント120自体の使用目的に従って、または保存エレメント120が使用される設備の動作特性に従って、フィルム352は単に面125の選択部分に接着または結合され得る。あるいは、フィルム352は各受容開口部321Bの外周に面125に接着され得る。図4Cに示された封着動作に付け加えて、または別法として、図4Bに示された保存エレメント配置は一般に、従来のマルチウェルプレートのために供され、たとえば、汚染物がウェル121に入るのを防ぐ蓋を備え得る。具体的に、一部の実施では、シールフィルム352の面125への適用は、たとえば、別の手段がキャリア110の損失とウェル121の汚染を防止するために取られるような適切な状況では省略される。
【0114】
フィルム352の適用に先立って、すなわち、面125を封着することに先立って、任意の時間でサンプルキャリア110に標本が充填されることが当業者に理解される。いくつかの実施形態では、たとえば、保存エレメント120とその複数のウェル121は、保存のためのサンプル物質(すなわち、サンプル保存媒体上のサンプルをすでに保持する)が前もって充填されたサンプルキャリア110を受け得る。あるいは、ウェル121は未充填のサンプルキャリア110を受ける。本実施形態では、適切または所望量のサンプルが、サンプルキャリア110が付着される前か後のいずれかで、ウェル121に選択的に加えられ得る。
【0115】
さらに、またはあるいは、種々のプライマー、変性剤、緩衝剤、溶剤、保存剤、またはその他の化学化合物が、シールフィルム352の適用に先立って、必要に応じて、ウェル121に加えられ得る。液体サンプル物質、化学試薬、またはその他の流体をウェル121に導入する場合、フィルム352は、必要に応じて、面125の大部分(すなわち、各個別受容開口部321B周囲)に結合または接着され、ウェル121間の零れ、浸出、またはその他の汚染を防止し得る。
【0116】
図5A〜5Cは、保存エレメントの選択容器にサンプルキャリアを挿入するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の一部分解簡略横断面図を示す。図5Aに示された保存エレメント120の配置は、図4Bを参照して図示かつ上記したものと類似する。保存エレメント120の第一表面124は、実質的に上記した各ウェル121の排出開口部321Aでフィルム351により封着されている。図5A〜5Cに示した実施形態では、システム500は一般に、基板層514、切断プレートまたはテンプレート599、保持テンプレート598、カッター542などのキャリア切断装置、およびプランジャー541を備える。システム500の種々の構成要素は、実質的に下記するように、保存エレメント120の各ウェル121にサンプルキャリア110を付着するよう構成されかつ作用し得る。
【0117】
上記したように、図5A〜5Cは、より明らかに開示した構成要素のいくつかを示すよう一部分解される。下記に示した動作に関して、いくつかの実施形態では、以下の当初の構成が使用され得る。保持テンプレート598は一般に、保存エレメント120の表面125と接触して配置され得、キャリア開口596はウェル121の受容開口部321Bに整列され得る。同様に、切断プレート599は保持テンプレート598と接触して配置され得、カッター開口597はキャリア開口596に整列され得る。最後に、基板514は切断プレート599と接触して配置され得る。
【0118】
上記に詳述するように、サンプルキャリア110が切断される基板514は、種々のセルロースベースの濾紙か、またはサンプルを結合するのに適したポリマー材料(たとえば、ポリエステル、ポリアクリル、または発泡ポリウレタン)のいずれかを含み得る。上記したように、基板514は切断プレート599上か、それに近接して配置され得、保持テンプレート598に係合または突き合わせるよう構成されかつ作用する。テンプレート598、599は、カッター542、プランジャー541、基板514、およびキャリア110、またはその組み合わせにより作用される力に耐えるのに十分な剛性で弾力性のある種々のプラスチック、金属、セラミック、またはその他の材料から構成され得る。テンプレート598、599は一体化され得、すなわち、各々の構造特徴は単一のテンプレートに内蔵され得ることが理解される。図5A〜5Cの例示は説明を簡単にするためだけのものであり、限定的な意味で解釈されない。
【0119】
切断テンプレート599は一般に、カッター542、プランジャー541、およびキャリア110が保持テンプレート598に向かって切断テンプレート599を通過させるようにするカッター開口597を備え得る。動作時、プランジャー541は基板514に接触し、適切な圧縮力を作用させ得る。この圧縮力により一般に、張力がかかった状態で基板の隣接開口597部分が配置され、切断動作を容易にし得る。カッター542は基板514に係合して、サンプルキャリア110を切断する。一例として、カッター542は、穴あけ機、目打ち、穿孔ツール、またはその他の種々のツール、装置、または基板514の差し込み、チャド、または押しあけ部分の作製を容易にする機構として実施され得る。かかる能力を有する多くの機構は、当該分野で一般に知られている。図5Aの実施形態では、カッター542は基板514(キャリア110を作製する)と開口597を通って伸び、クリーンで正確な切断を保証し得る。従って、保持テンプレート598を使用していない場合、カッター542は保存エレメント120の面125と接触し得る。
【0120】
図5Aでは、カッター542は開口597と同一の寸法を持つよう構成され得る。従って、キャリア110は、協働カッター542とテンプレート599の種々の寸法に従って選択された大きさと形状に切断され得る。いくつかの実施形態では、キャリア110は、ウェル121の受容開口部321Bより大きい寸法を有するよう切断され得る。図5Bに最も明らかに示されるように、プランジャー541は上記の切断動作後受容開口部321Bに向かってキャリア110を進行し続け得る。
【0121】
保持テンプレート598は一般に、プランジャー541とサンプルキャリア110をウェル121の受容開口部321Bを通過させるようにするキャリア開口596を備える。開口596は一般に、保持テンプレート598がキャリア110のウェル121への挿入の間に作用される力の大部分を担い分配するよう、保存エレメント120に対して適切に寸法が決められ得位置づけられ得る。さらに、またはあるいは、保持テンプレート598は、テンプレート599の開口597を通って伸びるカッター542から面125を保護する。従って、受容開口部321Bの周囲の面125の縁部は、図5A〜5Cの実施形態のキャリア110を作製かつ挿入するため使用される装置により発生する亀裂、欠け、くぼみ、または摩擦などの類似の損傷から保護され得る。その点に関して、保持テンプレート598の使用はまた、キャリア110が受容開口部321Bより大きい直径またはその他の平面寸法を有する場合、保存エレメント120への損傷を防止し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、たとえば、保持テンプレート598は使用時面125に直接配置され得、開口596は受容開口部321Bの大きさと形状に従って正確に寸法が決められ得る。これらの実施形態では、開口596は一般に、受容開口部321Bと等しいか、それより小さい寸法を持つよう実施され、面125またはウェル121―の損傷を防止し得る。しかし、一部の場合、開口596は受容開口部321Bより大きくてよい。面125への損傷を防止するよう適切に再構成されたその他の実施形態では、保持テンプレート598はオプションであり得る。
【0123】
図5Bと図5Cに示されるように、保持テンプレート598と開口596はキャリア110の折り曲げを容易にし、ウェル121を適合させ得る。プランジャー541は開口596を通って進み、キャリア110の縁部または側面は図5Cで示される予想可能な方法で折り曲げられ得るか、または押圧され得る。キャリア110がウェル121に挿入されると、プランジャー541は後退し得、以上のプロセスが異なるキャリア110と異なるウェル121のために繰り返され得る。
【0124】
保存エレメント120の正確な寸法、ウェル121の特定寸法、形状、および間隔配置が知られている場合、テンプレート598、599は、保存エレメント120の全面125を横切るよう製造され得る、すなわち、テンプレート598、599は、保存エレメント120のウェル121(またはそのサブセット)ごとに、保存エレメント120のウェル121の二次元配置と協働するよう特定方法で配置される複数の開口596、597を備える。本実施形態では、サンプルキャリア110を保存エレメント120全体に効率的に充填でき、テンプレート598、599の最小限の自動取扱装置またはロボットの再配置を要し得る。たとえば、マルチカッター542とプランジャー541が自動装置またはロボットシステムと組み合わせて適切な配置で供給される場合、保存エレメント120全体またはその大きな部分(たとえば、ウェル121の行または列全体などの)は、同時にまたは単一動作でサンプルキャリア110が充填され得る。あるいは、テンプレート598、599は、連続して個別ウェル121ごとにサンプルキャリア110を切断するよう実施され得る。本実施形態では、たとえば、あるウェル121から次のウェルまでのテンプレート598と599の再配置が要求され得る。
【0125】
図5A〜5Cに示される動作が図4Bで示された段階で発生し得る(すなわち、第一表面124が封着された後であるが、第二表面125が封着される前)ということが当業者に理解される。従って、図5Cに示されたサンプルキャリア110のため作製されたカップ形状は、上記したウェル121に液体サンプル物質、保存剤、またはその他の化学薬品を加えるのに適切であり得る。
【0126】
図6A〜6Cは、保存エレメントからサンプルキャリアを排出するよう構成されかつ作動するシステムの一実施形態の一連の簡略横断面図を示す。例示的実施形態では、システム600は一般に、穿孔チップ691を有するイジェクター690、フィーダー/トリマー装置680、およびデカルト座標制御装置670を備える。
【0127】
以下の説明でさらに明らかになるように、フィーダー/トリマー680は一般に、イジェクターストックの供給部(たとえば、そこからイジェクター690が形成されるところ)を収容または維持するよう動作するハウジング682、ハウジング682からイジェクターストックを進行させるための機構(図示せず)、および所定の位置にイジェクターストックを切断するよう動作するブレード681を備え得る。
【0128】
その点に関して、イジェクター690は可撓性のある、または半剛性ロッド、ワイヤ、または類似の細長いストック材料で実施され得るか、または製造され得る。イジェクターストックとして選択される材料は一般に、シールフィルム351と352を穿孔するのに十分な剛性であり得るが、いくつかの実施形態では、穿孔チップ691のための鋭いバイアスカットを可能にするのに十分な柔らかさであり得る。イジェクター690とイジェクターストックは、金属(たとえば、アルミワイヤ)、プラスチック、またはその他のポリマーなどの低コストで廃棄可能な材料から構成され得る。
【0129】
イジェクターストックが、たとえば、可撓性のあるポリマーまたは金属のコードまたはワイヤの場合、イジェクター690は、無菌部分698が保持され得る一方(図6Cに示され、かつ下記に詳述するように)、汚染部分699が除去され得るよう切断され得る。本実施形態では、フィーダー/トリマー装置680は、たとえば、ブレード681が部分698と699を分離するイジェクター690を切断する前か後のいずれかで、イジェクターストックのスプールから無菌部分698を供給し得る。上記の機能性を実施する種々の機械と方法が一般に知られている。たとえば、回転式芝刈機と手持ち式または自動包装装置が知られているが、これは、フィーダーを使用して、スプールまたはその他の保存機構、および所望の位置でコードを切断するよう動作するカッターから可撓性のある、または半剛性のコードを供給する。
【0130】
簡略実施形態では、フィーダー/トリマー680は、排出動作ごとに個別または廃棄可能なイジェクター690を供給し得る。たとえば、ハウジング682は複数のプレカットイジェクター690を保存するよう動作する1つ以上のラック、箙、マガジンを備え得る。かかる実施形態では、フィーダー/トリマー680は、下記するように使用されるイジェクター690を位置づけ、使用イジェクター690を後退、解放、または廃棄し、後の排出手順で使用される次のイジェクター690を位置づけるよう構成され連続して動作し得る。イジェクター690ごとに選択された材料は、本実施形態では可撓性である必要がないことが分かる。
【0131】
動作時、座標制御装置670は、任意の保存エレメントの特定対象ウェル121に対してイジェクター690を位置づけ得る。図1Bに示すように、x座標は保存エレメント120の縦軸199に沿ったウェル121の位置を示し得、z座標は縦軸199からのウェル121の距離を示し得る。制御装置670は、三次元空間でイジェクター690を位置づけるよう構成され正確に動作するセンサ、関節式アーム、直線またはその他のアクチュエーター、サーボ、およびその他のハードウェア要素(機械、電気、または電気機械)などの種々の機械および電子部品を内蔵し得る。制御装置670に適した種々の運動制御システムと方法は、当該分野で一般に知られている。
【0132】
その点に関して、制御装置670はサンプルまたはウェル121の識別を可能または容易にする電子データまたは指示セットを受けるよう構成されかつ作動する1つ以上のデータ入力ポートまたは通信インターフェース機構を含み得る。特に、制御装置670は特定サンプルキャリア110の位置に関する座標データまたはその他の情報を受け得る。かかるデータは、たとえばバーコードリーダー、光学またはRFトランスポンダー、オペレーター入力、またはその他の手動または自動装置により供給される。上記したように、研究所または実験設備は、たとえば、データベースまたはその他のデータ構造を含む電子システムに関連して自動装置または手動装置を使用して、特定サンプル物質の同一性と位置に関する情報の目録を作り維持し得る。利用可能な情報に従って、制御装置670は、装置を位置づけるための当該分野で一般に知られている種々の装置と技術を使用して、保存エレメント120の適切なウェル121のx、z位置でイジェクター690を位置づけるよう動作され得る。
【0133】
さらに、またはあるいは、保存エレメント120はイジェクター690と標的ウェル121の整列を容易にするよう移動または位置づけられ得る。たとえば、制御装置670で実施されるハードウェアとは別にまたはそれと協働して動作する、種々の移動可能なステージまたはロボットシステムが検討され、現在利用可能である。本開示はイジェクター690にウェル121を整列させるよう使用される方法または装置により、あるいは座標制御装置670の一般構成と、それに内蔵された構成要素の特定構造配置により限定されることを意図されない。
【0134】
座標制御装置670は、さらにy方向にイジェクター690を進行かつ後退させるよう選択的に動作し得る。図6A〜6Cに示すように、イジェクター690は、保存エレメント120の選択標的ウェル121を通ってy方向に進行し得、そこから後退し得る。いくつかの実施形態では、y方向のかかる運動は、たとえば、座標制御装置670の制御下で動作する直線アクチュエーターにより容易にされ得、または可能にされ得る。さらに、またはあるいは、y方向のイジェクター690のかかる運動は、上記したフィーダー/トリマー装置680により供され得る。
【0135】
図6Aと図6Bに示すイベントのシーケンスにより示されるように、イジェクター690は、フィルム352を穿孔し得、サンプルキャリア110に係合し得、サンプルキャリア110を、フィルム351を通して、たとえば、娘プレートまたはその他の保存エレメント120Bの選択ウェル121Bか、ウェル121から排出されるキャリア110を受けるよう位置づけられた特定の試験管、キュベット、またはその他の容器に排出し得る。
【0136】
図6Cを参照して、イジェクター690の一部(参照符号699で示す)が汚染され得、少なくともキャリア110の排出に続いて、汚染として一般に見なされ得ることが分かる。具体的に、キャリア110、フィルム351、352、およびウェル121の内部表面と接触すると、部分699の全部または一部が微量のサンプルまたは化学薬品が付着または他の方法でつけられ得る。従って、イジェクター690の部分699は排出動作後廃棄され、キャリア110間のサンプル物質の交差汚染を防止する。ここでは、部分699は一般に、キャリア110、ウェル121の表面、フィルム351、352、またはその組み合わせと接触するイジェクター690の長さを示す。具体的に、使用時(特に、図6Bに示される動作時)、フィルム352、面125、またはその他の選択ポイントに伸びるか、またはそれを超えて伸びるイジェクター690の任意部分は、汚染部分699に含まれ得る。
【0137】
図6Cの実施形態に示すように、イジェクター690は、部分699の切断とその後のその廃棄に先立って、ウェル121から後退し得る。別法として、すなわち、イジェクター690が図6Bに示される位置にある時、部分699は後退に先立ってイジェクターストックから切断され得る。この別法実施形態では、切断がイジェクター690に沿った正しい位置で発生し、汚染部分699の全体が除去されることが保証され得る。
【0138】
図7は、サンプル保管方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。図7に示されたシーケンスは一般に、図4A〜4Cを参照して図示かつ上記詳述した動作に相当する。ブロック701で示すように、実質的に上記した保存エレメントが供給され得る。いくつかの実施形態では、保存エレメントは、たとえば、バーコードまたはその他の識別指標を読み取るよう動作する機械視覚技術を使用して、ロボット式取扱機構などの自動装置により供給され得る。あるいは、保存エレメントはユーザーまたはオペレーター入力により供給される得か、またはそれを協働し得る。ここでは、「供給すること」は一般に、標的保存エレメントを識別し、後の動作を容易にするかまたは実行する構成要素または装置に対して保存エレメントを配置、方向づけ、位置づけ、または他の方法で選択的に配置することをいう。
【0139】
ブロック702で示すように、保存エレメントの第一表面は、たとえば、実質的に上記したポリマーシールフィルムまたは金属シールフィルムで封着され得る。特に、かかるフィルムは、各排出開口部の周り第一表面に結合または接着され、保存エレメントの各サンプル容器またはウェルの排出開口部を封着する。上記したように、保存エレメントの第一表面全体、またはその選択部分のみが上記方法で封着され得る。
【0140】
ブロック703で示すように、サンプルキャリアは選択的に付着され、供給され、または他の方法で保存エレメントの各ウェルに挿入される。図4Bを参照して図示かつ上記したように、各ウェルまたは容器は、サンプルキャリアを受けるよう構成されかつ作動する受容開口部を含み得る。いくつかの実施形態では、ブロック703で示す動作は機能を含み、図5A〜5Cを参照して上記され図8でさらに示された構造構成要素の一部または全部を含む。
【0141】
標本は、ブロック704で示すサンプルキャリアに充填され得る。例示した図7の実施形態では、標本の適切または所望量は、サンプルキャリアを付着した後、保存エレメントの1つ以上のウェルに選択的に加えられ得る。しかし、上記したように、標本のサンプルキャリアへのかかる充填は、プロセス中のその他のポイントで起こり得る。いくつかの実施形態では、たとえば、保存エレメントとその複数のウェルは、サンプル物質が前もって充填されたサンプルキャリアを受け得る。具体的に、ブロック704で示された動作は、ブロック701〜703で示された動作のいずれか1つに先行し得る。あるいは、標本はブロック703でのサンプルキャリアの挿入に先立ってウェルに選択的に加えられ得る。
【0142】
さらに、またはあるいは、所定量の種々のプライマー、変性剤、緩衝剤、溶剤、保存剤、またはその他の化学化合物は、保存エレメントのウェルに選択的に加えられ得る(ブロック705)。ブロック704で示すキャリア充填と同様に、保存剤またはその他の化学薬品のサンプルキャリアへの供給は、プロセス中の種々のポイントで実行される。たとえば、ブロック705で示す動作は、ブロック703と704で示す動作の1つ以上に先立って発生し得る。
【0143】
ブロック706で示すように、保存エレメントの第二表面の1つ以上の受容開口部は、たとえば、第二ポリマーシールフィルムまたは金属シールフィルムで封着され、同時にサンプルキャリアの損失とウェルの汚染を防止し得る。図4Cを参照して上記したように、第二フィルムは第二表面の選択部分にただ接着されるか、または他の方法で結合され、または保存エレメントのあらゆる受容開口部(またはその選択されたサブセット)の外周に接着され得る。液体サンプル物質、化学試薬、またはその他の流体がウェルに導入された場合(たとえば、ブロック704か705など)、必要に応じて、第二フィルムは、第二表面の必要な部分に結合または接着され、ウェル間の零れ、浸出、またはその他の汚染を防止し得る。
【0144】
ブロック706で示す封着動作に加えて、またはその別法として、保存エレメントは、従来のマルチウェルプレートに一般に供される蓋またはカバーを備え得る。一部の実施では、第二シールフィルムの適用が省略され得る。
【0145】
上記したように、1つ以上の選択的に構成された磁場または電磁場は、保存エレメント、または、1つ以上の個別ウェルに印加され得る。かかる磁場は、上記した磁気要素を内蔵するサンプルキャリアの配置または方向づけを容易にする適切な力を作用させ得る。その他の考えられる方向づけ技術および装置が検討されることが分かる。たとえば、サンプルキャリアは磁気的よりも機械的にウェル内で方向づけまたは操作され得る。ブロック708と709で示すように、ここで説明した保存エレメントの保管方法では、保管プロセス中種々のポイントで1つ以上のかかる方向づけ動作を検討する。一例として、さらなる方向づけ動作は、ブロック706で示された封着動作に続き得る。
【0146】
さらに、ブロック706で示された封着動作は、第二表面に仮のシールフィルムを適用し得る。たとえば、仮の封着はブロック704の充填またはブロック705の供給に先立ってウェルまたはサンプルキャリアの汚染を防止し得る。図7の破線矢印で示すように、仮のシールフィルムの適用は、サンプルキャリアの充填(ブロック704)または化学薬品または保存剤のウェルへの供給(ブロック705)に先行し得る。いくつかの実施形態では、かかる仮の封着は、たとえば、ブロック703から705のいずれかで示される動作のいずれかまたは全部に先立って適用され得る。仮のシールフィルムは、破砕されるかまたは除去され、上記したサンプルキャリアの挿入、充填、および保存を可能にし得ることが分かる。付加的または最終的なシールフィルムは、保存エレメントの保存または保管に先立ってブロック706で示すように適用され得る。
【0147】
図8は、保存エレメントの選択容器にサンプルキャリアを挿入する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。図8に示したシーケンスは一般に、機能を含み得、図5A〜5Cを参照して図示され上記に詳述した構造構成要素の一部または全部を含み得る。
【0148】
ブロック801と802に示すように、保存エレメントが供給され得、第一表面の1つ以上の排出開口部が実質的に上記したように封着され得る。
【0149】
図5Aと図5Bを参照して上記したように、保持テンプレートは、保持テンプレートのキャリア開口がウェルの受容開口部に整列するよう保存エレメントの第二表面に係合し得る(すなわち、一般に接触して配置される)(ブロック803)。同様に、切断テンプレートは、切断テンプレートのカッター開口がキャリア開口に整列されるよう保持テンプレートに係合し得るか、それと接触するよう配置され得る(ブロック804)。サンプルキャリアが切断され得、一般に上記した種々のサンプル支持媒体のいずれかを備える基板は、切断テンプレートと接触して供給され得る(ブロック805)。
【0150】
保存エレメントの正確な寸法(特に、ウェルの大きさ、形状、および間隔配置)が知られている場合、テンプレートは保存エレメントの第二表面全体を横切るよう構成され動作し得、保存エレメント全体への効率的なサンプルキャリアの充填を容易にする。複数のカッターとプランジャーが、たとえば、自動装置またはロボットシステムとともに適切な配置に供給される場合、保存エレメント全体またはその一部は、同時にまたは単一動作でサンプルキャリアにより充填される。すなわち、保存エレメントの各ウェル、またはその選択サブセット用に、ブロック806から809に示され、下記に示す動作の一部または全部が並行して起こる。
【0151】
圧縮力は、たとえば、プランジャー、または、ブロック806で示される類似のツールにより与えられる。たとえば、切断テンプレートにより指示され、または影響される寸法を有するサンプルキャリアは、ブロック807で示される基板から切断され得る。図5Aの実施形態に示すように、たとえば、カッターは基板と切断開口を通って延長し、クリーンで正確な切断を保証し得る。ブロック806と807に示される動作順序は、たとえば、選択的に逆になり得ることが分かる。あるいは、圧縮と切断はほぼ同時に発生する。
【0152】
上記したように、サンプルキャリアは、協働カッターと切断テンプレートの種々の寸法に従って選択された大きさと形状に切断され得る。ブロック808と809に示されるように、プランジャーまたはその他のツールは、上記切断動作後保持テンプレートのキャリア開口を通ってウェルにサンプルキャリアを進行させ得る。その点に関して、キャリア開口は一般に、保持テンプレートがブロック809でキャリアの挿入時作用される力の大部分を担い分配するよう保存エレメントに対して適切に寸法が決められ位置づけられる。キャリアが挿入されると、プランジャーが後退し得、異なるキャリアと異なるウェルのために、上記のプロセスが繰り返される。
【0153】
図9は、保存エレメントからサンプルキャリアを排出する方法の一実施形態の一般動作を示す簡略フロー図である。図9に示される動作順序は一般に、図6A〜6Cを参照して図示かつ上記に詳述したイベントのシーケンスに相当する。
【0154】
標的サンプルが保管される保存エレメントは、ブロック901で示されるように供給され得る。この供給は、上記に詳述した手動または自動的な識別、取扱、操作、および配置の種々の形態のいずれかを備え得る。
【0155】
ブロック902で示すように、保存エレメントに保管または維持される標的サンプルまたはキャリアが識別され得る。ここでは、標的サンプルまたはキャリアを「識別すること」は一般に、ブロック901で供給される保存エレメント内の標的サンプルまたはキャリアを位置づけること、すなわち、1つ以上の特定ウェルまたはサンプル容器の位置が適切な標的サンプルが保管されることを保証することを包含する。一例として、かかる識別は、制限なく以下の一部または全部により容易にされ得る:サンプル情報を含むデータベースまたはその他のコンピュータが読み取り可能な媒体に維持されるデータレコード;たとえば、バーコードリーダー、光学またはRFトランスポンダー、またはその他の手動または自動装置により提供されるデータ; ユーザーまたはオペレーター入力;または上記の組み合わせである。
【0156】
上記したように、研究所または実験設備では、たとえば、データベースまたはその他のデータ構造を含む電子システムとともに自動または手動装置を使用して、特定サンプルの識別と位置に関する情報の目録を作り維持し得る。ブロック901と902の動作は、かかる装置を拡張的にまたは限定的に使用する。
【0157】
図示かつ上記に詳述したイジェクターは、ブロック902の識別に続いて、またはそれと一緒に(すなわち、実質的に同時に)、標的サンプルを含むウェルに整列される(ブロック903)。ブロック903の整列は、たとえば、一部のシステムで手動で実行されるか、または上記したように、精密ステッパーモーター、関節式アーム、デカルト座標制御装置などの自動装置により促進される。
【0158】
図6Aと図6Bを参照して実質的に上記するように、イジェクターは標的ウェルを通って進み、シールフィルムを穿孔し、サンプルキャリアを排出し得る(ブロック904)。図6Bと図6Cを参照して上記したように、イジェクターは潜在的汚染部分の切断と廃棄に先立って、(ブロック906)標的ウェルから後退する(ブロック905)。ブロック906に示すように、新しいイジェクターが供給され得るか、またはイジェクターストックの無菌部分が後のサンプルキャリア排出動作のために露出され得る。
【0159】
決定ブロック911で決定されるようにサンプルがこれ以上所望されない場合、シーケンスが終了し、保存エレメントが研究所設備のサンプル保管庫またはその他の場所に戻る。1つ以上の付加サンプルを必要とする場合、さらなる決定が決定ブロック912で実行される。新しい標的サンプルまたはキャリアが使用時すでに保存エレメント内に保管されている場合、動作はブロック902にループバックし、選択サンプルを維持するウェルを識別かつ位置づける。一方、新しい標的サンプルが現在使用されている保存エレメント内に保管されない場合、その保存エレメントは保管庫に戻され、動作制御はブロック901にループバックし、選択標的サンプルを含む保存エレメントを識別かつ供給し得る。
【0160】
図2A〜2Fを参照して、ノード111として選択されたサンプル支持媒体が、保存されるサンプル物質の種類と、サンプル物質が使用される保管または研究所設備の機能性全体により影響されることが分かる。適切なサンプル支持媒体(たとえば、発泡ポリウレタン)が選択された場合、媒体は、圧縮されて、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩酸(HCl)塩などのグアニジニウム塩、尿酸、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのDNAを安定化させる溶液に晒される。サンプル支持媒体を圧縮し、液体をその多孔質構造(水を吸い込んだスポンジに類似)へ引き上げることにより、溶液の吸収が容易になる。あるいは、サンプル支持媒体は乾燥かつ圧縮形態で得られ、液体に浸されて湿ると膨張し得る。
【0161】
溶液を溶解される試薬に浸した後、サンプル支持媒体は風乾され得るか、または試薬が十分に高い濃度にある場合、媒体は圧搾乾燥されて風乾され得る。あるいは、媒体は熱気(オーブンや窯などの)、または真空で乾燥され得る。乾燥後、媒体は一般に、細胞を溶解するのに十分な試薬の被膜を保持し、核膜を破裂させ、病原体を不活性化し、かつ重要なことに、生物核酸サンプルを保護かつ保管し得る。上記の調製技術に続いて、媒体はロールまたはシートとして保持され得るか、たとえば、適切なサンプル保存に望ましい任意の形状に切断される。媒体はまた、圧縮状態で乾燥され、液体に接して配置されると膨張し、液体サンプル物質を吸収する薄い、ウェハー様のユニットを供給し得る(たとえば、図2Dに示すようなもの)。
【0162】
サンプルが分析やその他の使用に望ましい場合、図2Dに示したサンプル支持媒体を備えるノード111は保存から取り出され適切な容器に配置され得る。ノード111に元々充填されていたサンプルが精製されると、サンプル物質は容易に回収される。いくつかの実施形態では、ノード111は、たとえば、蒸留水または適切な緩衝剤で再び湿らされ得る。ノード111は適切な化学薬品または溶液で処理され得(たとえば、その他の化学要因に従って適切にまたは必要に応じて加熱される)、ノード111のサンプル支持媒体はサンプルを溶液に放出する。最後にサンプル物質を含む溶液は容器から後退し得る。
【0163】
図2Dの実施形態では、適切な後退方法は、以下の技術の一部または全部を含み得る:ノード111の保存媒体を圧縮し溶液を搾りピペットにより引き上げること;スピンバスケットまたはマルチウェルフィルタープレートでノード111の保存媒体に遠心力を作用させ、多孔質構造から液体を押し出すこと;または流体を可撓性のある多孔質媒体から分離する有用性を有するその他の公知の方法。
【0164】
ノード111に元々充填されていたサンプルが不純な核酸または生物材料の混合物(たとえば、全血、DNA、細胞培養培地、血漿など)である場合、更なる精製が望ましい。かかる更なる精製に適合するいくつかの実施形態では、ノード111が水または緩衝剤で洗浄またはリンスされ、精製したサンプル物質の回収に先立って不純物を除去し得るよう、いくつかの洗浄ステップが実施される。
【実施例】
【0165】
以下は、上記種々の実施形態の有用性を示す具体的実施例である。
【0166】
(実施例1−血漿の保管)
血漿(約500マイクロリットル)がサンプルキャリアノードの図2Dの実施形態に加えられる。本実施例では、ノードは直径1cm、厚さ0.1cmである。ノードは平均細孔寸法が30ミクロン、多孔率が92%の発泡ポリウレタンから構成される。ノードは2%のEDTAナトリウム、4%のTRIS、1%の尿酸で前処理され、圧縮状態で乾燥される。液体サンプル物質(血漿)は、ノードが厚さ0.5cm(直径1cmは変化しないまま)に膨張するように、ゆっくりと加えられる。膨張終了後、サンプルノードは40℃の真空オーブンに配置され乾燥される。乾燥ノードは、適切な保存エレメント(たとえば、96ウェルの標準プレートなどの)に移され、加熱されたシールフィルムはプレート開口部(すなわち、本実施例では受容開口部)を封着するよう取り付けられる。保存エレメントは、クリーンかつ乾燥した領域に配置され長期保存される。
【0167】
(実施例2−取り出した血漿保管サンプルの回収)
サンプル物質が今後の研究のために必要な場合、実施例1のサンプルノードは、保存から回収され、保存エレメントまたはプレートから娘プレートまたはその他の適切な容器に移される。再構成された血漿が所望生成物である場合、400マイクロリットルの脱イオン化された無菌の濾過水が容器に加えられ、5分間ノードを再び湿らせる。プランジャーまたはロッドは繰り返し、ノードを圧縮し解放するために使用される。ノードは10回以上圧縮し解放され、水と保存された生物材料との良好な混合を保証する。最終圧縮後、液体が収集され再構成された血漿として分析のために保存される。あるいは、再び湿らされたノードは、マルチウェルフィルタープレートのうちの1つのウェル、または遠心分離機フィルターのスピンバスケットに配置され得る。従って、遠心分離機(プランジャー方法ではなく)が液体を回収するのに使用され得る。
【0168】
(実施例3−全血の保管)
4%のSDSを混合物に加え細胞と核を溶解し、DNAを遊離させて保存する以外は、実施例1と同様である。
【0169】
(実施例4−血液サンプルから回収したDNAの精製)
実施例2と同様だが、ノードはTE緩衝剤で再び湿らされ、液体除去と類似の技術を使用してTE緩衝剤で二度リンスされる。続いて、ノードは400マイクロリットルの脱イオン化した無菌の濾過水で5分間85℃に加熱される。サンプル物質の回収は圧縮または遠心分離のいずれか使用して実行される。
【0170】
(実施例5および6−サンプルの自動回収)
マルチウェルプレートがTecan Robotic Liquid Handlerに配置される以外は、実施例2および4と同様である。次いで、Tecan装置は、必要に応じて、液体を自動的に加える。また、液体ハンドラーは、(先端が鋭くない、廃棄可能なピペットチップと類似の)廃棄可能なプランジャーをピックアップするのに使用され、ノードを圧縮し解放し得る。遠心分離機に運ぶロボットアームを付加することによって、処理後第二の(収集)プレートにサンプルを回収できる。
【0171】
図を参照すると、図10Aは保管設備での使用のために構成され動作するサンプル保存構成要素の一実施形態の簡略斜視図であり、図10Bは、サンプル保存構成要素とともに使用するために構成され動作する容器の一実施形態を示す、簡略斜視図である。図10Aに示すように、サンプル保存構成要素1032は一般に、所望の三次元構成で配置された複数の容器1001〜100nを含む。本開示は図10Aに図示された特定配置により限定されるものではない。サンプル保存1032が、発明力を必要とせずに、x、y、またはz方向のいずれかにおいて任意の数のさらなる容器1001〜100nをさらに含み得ることが、当業者に理解される。
【0172】
各容器1001〜100nは、移動可能な引出し、トレイ、シェルフ、ラック、または上記に詳述した1つ以上の保存エレメント(参照符号1020)を支持するまたはそれを含むのに適した同等の構造で実施される。図10Aに示すように、容器1001〜100nは互いに移動可能で、各容器1001〜100nに含まれるか配置される保存エレメント1020へのアクセスを可能にする。とりわけ、サンプル保存1032を実施する保管設備の種々のハードウェアおよびソフトウェア構成要素の高度さに従って、かかるアクセスは手動またはロボット取扱機構(図示せず)を経由し得る。
【0173】
たとえば、容器1001から100nは、当該分野で一般に知られているように、ローラー、ベアリング、レール、トラックなどに作動可能に係合する。かかる実施形態では、容器1002は、図10Aに示すようにx方向に移され、下記に詳述した1つ以上の保存エレメント1020の配置、回収、またはその他の操作を可能にする。
【0174】
図10Bの実施形態により、容器1002は一般に、保存エレメント1020の1つ以上のスタック(例えば、参照符号1021で示される)を備える二次元構成で複数の保存エレメント1020を搬送、支持、または係合するよう動作する、支持表面1010を含む。従って、保存エレメント1020は、実質的には、示されるような三次元構成で配置され得る。容器1001から100nに対して上記したように、スタック1021または保存エレメント1020の特定配置、構成、数、空間的な相互関係は、ロボット取扱装置またはシステムのシステム要求、能力、制限、保存エレメント1020または容器1002の大きさや形状などに従って変更する。図10Bの長方形の実施形態は一例としてのみ簡略のために図示かつ説明されるものであり、限定するものではない。
【0175】
いくつかの実施形態では、所望数k個の保存エレメント1020はy方向にスタックされる得。任意の容器1002の各スタック1021が異なる数の保存エレメント1020を維持し得ることが分かる。任意のスタック1021の各保存エレメント1020は、たとえば、各保存エレメント1020に付随した一連の方向づけポストまたは一体式連動機能で所定位置に固定または維持され得る。たとえば、1つ以上の保存エレメント1020がスタックされる場合、各保存エレメント1020は、隣接した保存エレメント1020の1つ以上の対応するスロット、溝、またはノッチに係合するよう設計され動作する1つ以上の整列プロング、突起、またはスカートを備え得る。スタックされた場合のアイテムを安定化するよう動作する連動構造機能を供する種々の方法は、当該分野で一般に知られている。いくつかの実施形態では、たとえば、各保存エレメント1020は、図3Bを参照して上記に詳述した下に位置する保存エレメント1020の上面に係合するよう動作するスカートまたはフランジを備える。具体的に、かかる連動構造機能は一般に、同一スタック1021の他のものに対する任意のスタック1021の1つの保存エレメント1020の移動を防止する。y方向の移動により、連動構造機能が外れ、xまたはz方向の保存エレメント1020のその後の移動が可能になる。さらに、上記したように、かかる連動構造機能は、保存エレメント1020の表面に付着または接着したフィルムの損傷または磨耗を防止し得る。
【0176】
さらに、またはあるいは、1つ以上のガイドポスト、レール、または支持表面1010からy方向に伸びる類似の安定化構造は、各スタック1021の安定化を容易にし得、互いにまたは支持表面1010に対して保存エレメント1020の移動を防止する。いくつかの実施形態では、各保存エレメント1020はかかる安定化構造に係合するよう構成されかつ作用し得る。図10Bの実施形態では、たとえば、安定化構造1011は支持表面1010から伸びるポストとして図示されている。動作時、保存エレメント1020は、安定化構造1011に係合または突き合わせるよう寸法が決められるノッチまたはくぼみを含み得、スタック1021の保存エレメント1020の相対的な移動(xまたはz方向のいずれか)を防止する。
【0177】
上記または同様の様式で、任意のスタック1021のk個の保存エレメント1020のすべりが妨げられる、すなわち、xまたはz方向のいずれかの相対的移動が防止される。さらに、かかる実施形態では、スタックされた保存エレメント1020の1つ以上の縁部(xまたはz軸に沿って方向づけられた)は、適切な取扱機構によりアクセス可能となり得る。
【0178】
複数のスタック1021は容器1002に保存または維持され得、図10Aと図10Bに示すように、一般にm個のスタック(x方向)×n個のスタック(z方向)の最大寸法を有する二次元構造として支持表面1010に配置され得る。支持表面1010の種々のスタック間の間隔は一般に、支持表面1010からy方向に伸びる安定化構造1011(たとえば、ポストまたはガイドレールとして実施される)の寸法とパターン、および容器1002の単一スタック1021を選択かつ係合するようツールまたは運搬装置に必要な間隙との関数である。従って、例示的実施形態では、スタックされた保存エレメント1020の三次元構成に適合する容器1002は、n×m×k個の保存エレメント1020の最大容量を有する。
【0179】
動作時、容器1002は、支持表面1010に配置された構成で各保存エレメント1020にアクセスされるような様式で操作され得る(たとえば、10Aに示すように)。特に、各スタック1021の各保存エレメント1020は、x、y、およびz座標に関して個別にアドレス指定可能で、たとえば、あらゆるアドレス可能な保存エレメント1020への容易な識別と直接のアクセスを可能にする。いくつかの実施形態では、保存エレメント1020は、実質的に下記に示すように、配置、回収、または操作のためのロボットアームまたはその他の自動取扱装置によりアクセスされる。
【0180】
1つ以上の取扱装置、ロボットアーム、またはその他の機械装置は、容器1002の任意のスタック1021から任意の保存エレメント1020を回収し得る。図10Bでは、たとえば、標的保存エレメント1099は、所望のy座標(y=y目標)のスタック1098(位置x=xm、z=zn)に配置されるよう図示されている。例示的実施形態では、取扱装置またはロボットアームは、スタック1098から標的保存エレメント1099を取り出す。第一に、取扱装置は、スタック1098の一番上(すなわち、y=yk)からy=y目標の標的保存エレメント1099までを含む全ての保存エレメントを把持し持ち上げ得る。保存エレメント1099とスタック1098の上部1097(すなわち、ykを経たy=y目標+1)の両方が、一単位として操作される。かかる実施形態に従って、標的保存エレメント1099とスタック1098の上部1097の保存エレメントは、保管設備の所望の位置にまとめて移され得る。次いで、保存エレメント1099は適切な位置に配置され得る。たとえば、指定の、所定の、または動的に選択された位置で、スタック1098の上部1097の残りの保存エレメントを保持しながら、取扱装置は標的保存エレメント1099を放出し得る。
【0181】
ykを経たy=y目標+1に相当する残りの上部保存エレメントは、元のスタック位置(x=xm, z=zn)か、容器1002の利用可能なn×m×kボリューム内のその他のより都合の良い位置のいずれかで容器1002の構成に戻り得る。前者の場合、たとえば、x=xm,z=znの得られたスタックは、このシーケンスに続いてk-1個の保存エ
レメント1020のみを含む。あるいは、残りの上部保存エレメントは、たとえば、別の容器(図10Aの1001または1003〜40n)に再配置され得る。
【0182】
以上の保存配置と回収技術は一般に、個別にアドレス可能かつ直接アクセス可能な保存エレメント1020が、保存設備のサンプル保存構成要素1032の大部分の利用可能なボリュームを占め得る、スペース効率の良い、高密度保存を供する。しかし、サンプル保存1032の各保存エレメント1020の各位置(すなわち、三次元空間の個別アドレス)を示すための適切なデータモデルは、従来システムに関連して使用される一般のデータモデルより複雑である。たとえば、任意のスタック1098内で、除去操作と挿入操作は、標的保存エレメント1099の位置だけでなく、それより上の保存エレメントの全て、すなわち、ykを通して位置y=y目標+1の保存エレメントに影響する。
【0183】
図10Aのサンプル保存構成要素1032の適切なデータモデルは、たとえば、上記したデータ保存媒体で維持され得るテーブル、データベース、またはその他の適切なデータ構造の1つ以上のレコードとして未占有の潜在的位置を含む各考えられる保存位置を示す。いくつかの実施形態では、かかるテーブルまたはデータベースは、各位置に1レコードを含み得、各レコードは、とりわけ、以下のフィールドを含み得る:
容器識別(たとえば、1002);
行識別(すなわち、x座標);
列識別(すなわち、z座標);
スタック位置識別(すなわち、y座標);
保存エレメント識別(たとえば、1099);および
状態(たとえば、占有、空の、確保された状態)である。
【0184】
容器、行、および列フィールドは、組み合わせで、サンプル保存1032のボリュームの全体内の特定スタック(図10Bの1098など)を特定するか、または一意に識別する。スタック位置フィールドは、標的スタック内の選択保存エレメントの所望の高さまたはy座標の識別を可能にし得る。さらに、またはあるいは、保存エレメント識別フィールドは、存在する場合、任意の保存位置の特定保存エレメントを示すか、または一意に識別する。さらに、状態フィールドは、特定位置が空か一杯かを示し得る。
【0185】
従って、各保存エレメント1020は、容器識別と座標軸の適切な参照を使用して三次元空間で個別的にアドレス可能であり得る。たとえば、図10Cを参照して下記に詳述するように、一部の保存方法では、各保存エレメント1020は任意の容器内で二次元座標に関して個別的にアドレス可能であり得る。図10Bの保存方法の実施形態では、3つの座標(適切な容器識別に付け加えて)は、各個別保存エレメント1020の正確なアドレス指定のために要求され得る。
【0186】
いくつかの実施形態が容器識別とx、y、およびz座標情報で保存エレメント識別フィールドを動的に相互参照する。従って、保存エレメント識別フィールドは、ロボット装置が三次元空間の任意の保存エレメントのアドレスを確認し、その特定保存エレメントを回収できるようにするのに十分である。保存エレメント識別フィールドは、たとえば、関連用途で説明されたバーコード識別タグに相当し得るか、またはそれにとともに動作し得、各保存エレメントとそれに含まれるサンプルを一意に識別し得る。
【0187】
代替的実施形態では、保存エレメント1020またはスタックは、容器1001から100nにおいて「直立して」保存または保管され得る。たとえば、図10Aと図10Bに示された実施形態では、「直立して」は一般に、保存エレメント1020が支持体1010にスタックされないよう、x軸、z軸、またはその両方で、完全に90度回る回転のことをいう。この別の保存方法は、高い保存密度と保存エレメントへの迅速かつ効率的なアクセスを同時に供することが分かる。
【0188】
図10Cは、サンプル保存構成要素とともに使用するために構成され動作する容器の別の実施形態を示す簡略斜視図である。上記したように、保存エレメント1020は容器1002に直立して保存される。例示した図10Cの実施形態では、保存エレメント1020は図10Aと図10Bのそれらの向きに対してz軸で90度回転している。さらに、またはあるいは、保存エレメント1020は、たとえば、容器1002の大きさと形状、取扱機構の大きさ、全般的な動作性、および空間的要件などに従ってx軸で回転する。
【0189】
図4Cで示された直立した保存エレメント1020の向きは、サンプル物質損失防止に関連したさらなる要求を導入することが分かる。従って、図10Cの実施形態の各保存エレメント1020は、たとえば、図4A〜4Cを参照して上記したように封着される。あるいは、保存エレメント1020は、各保存エレメント1020が回転する際に所定位置に留まるサンプル物質のみを含む。
【0190】
保管と回収についての図10Cの方法では、特定容器の任意の保存エレメントピッチにより優れた保存密度が供され得る。また、保存エレメント1020はスタック状に配置されないため、あらゆる保存エレメント1020は直接回収され得(すなわち、任意の保存アドレスまたは位置が、その他のアドレスに存在する保存エレメント1020を妨害することなくアクセスされ得る)、簡略データモデルを可能にする。たとえば、標的保存エレメント1099は、xおよびz座標のみを使用して単にアドレス指定され得る。図10Cに示すように、標的保存エレメント1099はx=x目標とz=znに位置づけられる。容器識別フィールドとともに、これらの二つの座標は、サンプル保存構成要素1032により囲まれる三次元空間全体内における任意の保存エレメント1020を位置づけるのに十分であり得る。
【0191】
図10Aと図10Bに示した実施形態と同様に、あらゆる保存エレメント1020の少なくとも一つの縁部(図10Cのxまたはz軸に沿って方向づけられる)は、図10Cで示した配置に晒される。従って、識別ラベルまたはその他の標識(たとえば、図1Bの参照符号129で示した)は、手動またはロボット取扱機構によりスキャンされ得る。適切な運搬装置は、選択軸を中心に回転を可能にする適切なヒンジ、ジンバル、またはその他の機構を含み得ことが分かる。本実施形態では、単一の取扱装置は、異なる容器で使用される異なる保存方法(たとえば、図10Bと図10Cで例示される)に適切であり得る。
【0192】
本発明は、特定の実施形態を参照して詳細に例示かつ記載されてきた。これらの特定の実施形態は、単に例示の目的であり、限定目的ではない。当業者は、これら例示的実施形態の種々の改変が、本開示の範囲および意図の内にあることを理解する。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると考えられることが意図される。
【符号の説明】
【0193】
110 サンプルキャリア
111 サンプルノード
112 ステム
119 サンプル識別子
120 保存エレメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存エレメントであって、以下:
サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、該サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器
を備える、保存エレメント。
【請求項1】
保存エレメントであって、以下:
サンプルキャリアを受容するように構成されかつ作動する受容開口部と、該サンプルキャリアの排出を可能にするように構成されかつ作動する排出開口部とを有する容器
を備える、保存エレメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公開番号】特開2009−300448(P2009−300448A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158280(P2009−158280)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【分割の表示】特願2004−555324(P2004−555324)の分割
【原出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願人】(505187666)ジェンボールト コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【分割の表示】特願2004−555324(P2004−555324)の分割
【原出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願人】(505187666)ジェンボールト コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】
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