説明

密閉容器の蓋部シール構造

【課題】密閉容器への装着が容易で、しかも、密閉容器への装着が仮に多少不完全であってもシール性が損なわれることがない密閉容器の蓋部シール構造を提供する。
【解決手段】容器本体と蓋体との間に介装される弾性シール部材14を備えたものであって、蓋体の閉成時に蓋体の着脱方向で互いに対向しかつ近接する蓋体の外周部13Aと容器本体の開口端部12Bとの何れか一方にシール部材14を嵌入するための嵌合溝13Bが凹設され、嵌合溝13Bに嵌入されるシール部材14は、嵌合溝13Bに嵌入されかつ嵌入方向前方側が先細り形状を呈した本体部14Aと、本体部14Aの嵌入方向後方側から延びかつ開口の外周側に湾曲形成される舌片部14Bと、を有して、嵌合溝13Bを構成する一対の対向した溝側壁13Ba,13Bbに回動可能かつ摺動可能に保持される回動摺接部14Aaが本体部14Aの嵌入方向後方部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどを搬送する搬送用密閉容器に備えられた密閉容器の蓋部シール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハなどを搬送する搬送用密閉容器に備えられた密閉容器の蓋部シール構造が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
図6(a)において、符号1は半導体ウエハを収納する密閉容器、符号2は密閉容器1の容器本体、符号3は密閉容器1の蓋体である。
【0004】
容器本体2の開口2A周囲には、蓋体3の外周部3Aを受け容れる断面略鼎(かなえ)形状の開口端部2Bが形成されている。
【0005】
図6(b)に示すように、開口端部2Bには対向面部2Cが形成されており、蓋体3によって開口2Aを閉成した際に、対向面部2Cと蓋体3の外周部3Aとは、蓋体3の着脱方向で近接して対向するようになっている。
【0006】
外周部3Aの対向面部2C側には嵌合溝3Bが環状に凹設形成されており、嵌合溝3Bにはシール部材4が嵌合装着されている。
【0007】
シール部材4は、弾性を有するゴムなどによって形成されており、図6(a)に示すように、全体として環状を呈している。
【0008】
図6(b)に示すように、シール部材4は、嵌合溝3Bに嵌入される本体部4Aと、本体部4Aの嵌入方向後方側から延びるリップ部4Bとによって構成されている。
【0009】
シール部材4の本体部4Aは、その延びる方向横断面(図6(a)のA−A断面)で見て略等脚台形形状を呈しており、リップ部4Bは開口2Aの外周側に向けて湾曲形成されている。
【0010】
本体部4Aの断面外形形状は、嵌合溝3Bの断面内形形状とほぼ一致しており、本体部4Aが嵌合溝3Bに嵌合装着された際に、本体部4Aと嵌合溝3Bとは、ほぼ密着状態となる。
【0011】
リップ部4Bは、外周部3Aの下端面3Bcに当接される上唇部4Baと、開口端部2Bの対向面部2Cに当接される下唇部4Bbとを有しており、これらは蓋体3の着脱方向両側に二股になって延びている。
【0012】
そして、本従来例の密閉容器の蓋部シール構造では、シール部材4を嵌合溝3Bに装着した状態で蓋体3を容器本体2に装着すると、上唇部4Baは下端面3Bcに当接し、下唇部4Bbは対向面部2Cに嵌入方向前方に押圧されて、容器本体2と蓋体3との隙間がシール部材4によって封止されるようになっている。
【特許文献1】特開2007−62804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、従来例の密閉容器の蓋部シール構造では、図7(a)に示すように、シール部材4の本体部4Aが嵌合溝3B内の正規の装着位置まで十分に嵌入されず、シール部材4の蓋体3への装着が不完全な場合には、図7(b)に示すように、蓋体3を容器本体2の開口端部2Bに装着した際に、リップ部4Bが本体部4Aの中心位置より外周側に位置しているので、リップ部4Bの下唇部4Bbが対向面部2Cにより嵌入方向前方に押圧されて、シール部材4が傾き、本体部4Aが嵌合溝3Bの溝側壁3Ba,3Bbに引っ掛かる。
【0014】
したがって、蓋体3を容器本体2に装着した際に、リップ部4Bの下唇部4Bbが対向面部2Cにより嵌入方向前方に押圧されても、シール部材4の本体部4Aが正規の装着位置まで嵌入されることはない。
【0015】
このように、本体部4Aの嵌合溝3Bへの嵌入が不完全であると、リップ部4Bが必要以上に蓋体3の装着方向から嵌入方向後部側に突出するので、蓋体3を容器本体2の開口端部2Bに装着した際に、リップ部4Bの先端部が必要以上に曲り、蓋体3の着脱を繰り返すうちに、リップ部4Bの先端部に曲り癖が付いて、シール部材4のシール性が損なわれるという問題があった。
【0016】
そこで、本発明では、密閉容器への装着が容易で、しかも、密閉容器への装着が仮に多少不完全であってもシール性が損なわれることがない密閉容器の蓋部シール構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、半導体ウエハなどを収納する密閉容器の容器本体と、該容器本体に着脱自在とされ、かつ該容器本体の開口を閉める蓋体との間に介装される弾性シール部材を備えた密閉容器の蓋部シール構造であって、前記蓋体の閉成時に該蓋体の着脱方向で互いに対向し、かつ近接する前記蓋体の外周部と前記容器本体の開口端部との何れか一方に前記シール部材を嵌入するための嵌合溝が凹設され、前記シール部材は、前記嵌合溝に嵌入され、かつ嵌入方向前方側が先細り形状を呈した本体部と、該本体部の嵌入方向後方側から延び、かつ前記開口の外周側に湾曲形成される舌片部と、を有し、前記嵌合溝を構成する一対の対向した溝側壁に回動可能、かつ摺動可能に保持される回動摺接部が前記本体部の嵌入方向後方部に設けられている密閉容器の蓋部シール構造を特徴としている。
【0018】
そして、請求項2に記載された発明は、前記回動摺接部上部に前記溝側壁と当接して前記シール部材の回動を制止すると共に前記嵌合溝内部を封止する当接部が形成されている請求項1に記載の密閉容器の蓋部シール構造を特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
このように構成された本発明の請求項1に記載のものは、シール部材を嵌合溝に嵌入すると、シール部材の回動摺接部が一対の溝側壁に回動可能かつ摺動可能に保持されるので、この状態で舌片部の先端部が嵌入方向に押圧された際に、シール部材の本体部が嵌合溝の内部を回動しつつ摺動し、シール部材の初期の嵌入が多少傾いた状態でなされても、シール部材は溝側壁に引っ掛かることなく滑らかに正規の装着位置まで嵌入される。
【0020】
したがって、仮にシール部材の差し込みが不十分な状態で蓋体を閉めても、シール部材は舌片部を押圧する開口端部の対向面部による押圧力により嵌合溝に押し込まれ、シール部材の突当端部が嵌合溝の奥壁に突き当たるまで嵌入される。
【0021】
これにより、従来例のシール部材のように、舌片部が必要以上に蓋体の装着方向から突出して曲り癖が付き、シール性を損なうといった問題を解消することができる。
【0022】
しかも、舌片部が開口の外周側に屈曲形成されているので、密閉容器内部の気圧に比べて外気圧が高くなると、開口端部との当接部において、舌片部が対向面部に一層押圧され、外気の流入が防止される。
【0023】
そして、シール部材の本体部は、突当端部が先細りしているので、本体部を嵌合溝に挿入する際に挿入し易く、しかも、突当端部は、嵌合溝への挿入方向に適度な弾性を有しているので、蓋体による繰り返しの開閉操作によっても、突当端部の弾性により、押圧解除後にはシール部材は元の状態に戻り、曲り癖が付きにくく、長期の使用に際してもシール性を損なわない。
【0024】
そして、本発明の請求項2に記載のものは、回動摺接部上部の開口側に溝側壁と当接してシール部材の回動を制止すると共に嵌合溝内部を封止する当接部が形成されているので、蓋体の閉成時に、シール部材が嵌合溝内部で回転して、当接部が嵌合溝の溝側壁に当接し嵌合溝内部を封止するため、シール性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0026】
〈構成〉
図1(a)において、符号11は半導体ウエハを収納する密閉容器、符号12は主にポリプロピレン樹脂またはポリカーボネート樹脂により形成された密閉容器11の容器本体、符号13は主にポリカーボネート樹脂により形成された密閉容器11の蓋体である。
【0027】
図1(b)に示すように、容器本体12の開口12A周囲には、蓋体13の外周部13Aを受け容れる断面略鼎(かなえ)形状の開口端部12Bが形成されている。
【0028】
開口端部12Bには対向面部12Cが形成されており、蓋体13によって開口12Aを閉成した際に、対向面部12Cと蓋体13の外周部13Aとは蓋体13の着脱方向で近接して対向するようになっている。
【0029】
外周部13Aの対向面部12C側には嵌合溝13Bが環状に凹設形成されており、嵌合溝13Bにはシール部材14が嵌合装着されている。
【0030】
図1(a)に示すように、本実施例の密閉容器11には、ダイアル部15Aと、一対の閂(かんぬき)部15Bと、容器本体12の開口端部12Bの両側部にそれぞれ形成された嵌合穴15C,15Cとを有するロック機構15が2組備えられている。
【0031】
ダイアル部15Aを回転させると、ダイアル部15Aの両側から延びる閂部15B,15Bの各先端部が、ダイアル部15Aの回転に連動して蓋体13の両側から突出し、容器本体12の嵌合穴15C,15Cにそれぞれ嵌合するようになっている。
【0032】
このとき、閂部15B,15Bの各先端部によって嵌合穴15C,15Cの構成壁を蓋体13の装着方向後方に押圧させることにより、蓋体13の外周部13Aが開口端部12Bの対向面部12C側に押圧されるようになっている。
【0033】
したがって、蓋体13の嵌合溝13Bにシール部材14を装着し、蓋体13により容器本体12の開口12Aを閉成して、ロック機構15によりロックすると、シール部材14の舌片部14Bが、開口端部12Bに形成された対向面部12Cにより嵌入方向前方に押圧されて、容器本体12と蓋体13との隙間が封止されるようになっている。
【0034】
本実施例に係るシール部材14は、弾性を有するゴムや熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic Elastomer)などによって形成されており、ショアA硬度で60〜70程度の硬度を有し、図2(a)に示すように、全体として環状を呈している。
【0035】
図2(b)に示すように、シール部材14は、蓋体13の嵌合溝13Bに嵌入される本体部14Aと、本体部14Aの嵌入方向後方側から延びる舌片部14Bとによって構成されている。
【0036】
シール部材14の本体部14Aは、その延びる方向横断面(図2(a)のC−C断面)で見て全体として嵌入方向前方側が先細り形状を呈しており、舌片部14Bは開口12Aの外周側に向けて湾曲形成されている。
【0037】
シール部材14の本体部14Aは、嵌入方向後方側に形成された回動摺接部14Aaと、嵌入方向前方側に形成された突当端部14Abと、突当端部14Ab基端部の開口12A側に形成された当接部14Acとによって構成されている。
【0038】
回動摺接部14Aaの両側部には、一対の対向する溝側壁13Ba,13Bbに当接されると共に、回動摺接部14Aaを溝側壁13Ba,13Bbに回動可能に摺接させる凸形状の摺接面S1,S2が形成されている。
【0039】
これらの摺接面S1,S2は、図2(b)に示すシール部材14の点Oを中心点とする仮想円周線C上に形成されているので、回動摺接部14Aaは、嵌合溝13Bの内部で点Oを中心に滑らかに回動できるようになっている。
【0040】
これにより、回動摺接部14Aaは、一対の溝側壁13Ba,13Bbに回動可能かつ摺動可能に保持される。
【0041】
図3(b)または図4(b)に示すように、シール部材14の嵌合溝13Bへの正規の装着状態では、突当端部14Abの先端部が嵌合溝13Bを構成する奥壁13Bcに当接するようになっている。
【0042】
舌片部14Bの先端部が嵌入前方に押圧されると、シール部材14は、嵌合溝13Bの内部で、舌片部14Bの先端部が開口12Aの外周側に向かって(図3(b)で半時計回り)、回動摺接部14Aaを中心に回転して傾くようになっている。
【0043】
このとき、当接部14Acは、開口12A側の溝側壁13Baに当接し、シール部材14の本体部14Aの回動量を規制すると共に溝側壁13Baに圧接されるので、嵌合溝13Bの内部での気体の流れが封止される。
【0044】
また、舌片部14Bは、舌片14Baと、舌片14Ba基端部の開口12A側に形成された肉厚部14Bbとによって構成されており、肉厚部14Bbの嵌入方向後端部には押込面14Bcが形成されている。
【0045】
シール部材14を嵌合溝13Bに装着した状態で、蓋体13を容器本体12に装着すると、舌片部14Bは、対向面部12Cに当接し、対向面部12Cにより嵌入方向に押圧されて、容器本体12と蓋体13との隙間がシール部材14によって封止される。
【0046】
なお、図3(b)または図4(b)に示すように、本実施例の密閉容器の蓋部シール構造では、容器本体12の開口12Aが蓋部13で蓋され、ロック機構15によってロックされたときに、シール部材14の舌片部14B先端部が開口端部12Bの角部12Dに丁度当接するようになっている。
【0047】
〈作用効果〉
図3(a)に示すように、シール部材14を嵌合溝13Bに嵌入すると、シール部材14の回動摺接部14Aaが一対の溝側壁13Ba,13Bbに回動可能かつ摺動可能に保持されるので、図3(b)に示すように、この状態で舌片部14Bの先端部が嵌入方向に押圧された際に、シール部材14の本体部14Aが嵌合溝13Bの内部を回動しつつ摺動し、シール部材14の初期の嵌入が多少傾いた状態でなされても、シール部材14は溝側壁13Ba,13Bbに引っ掛かることなく滑らかに正規の装着位置まで嵌入される。
【0048】
したがって、図4(a)に示すように、仮にシール部材14の差し込みが不十分な状態で蓋体13を閉めても、シール部材14は舌片部14Bを押圧する開口端部12Bの対向面部12Cによる押圧力により嵌合溝13Bに押し込まれ、シール部材14の突当端部14Abが嵌合溝13Bの奥壁13Bcに突き当たるまで嵌入される。
【0049】
これにより、従来例のシール部材のように、舌片部14Bが必要以上に蓋体13の装着方向から突出して曲り癖が付き、シール性を損なうといった問題を解消することができる。
【0050】
しかも、舌片部14Bが開口12Aの外周側に屈曲形成されているので、密閉容器11内部の気圧に比べて外気圧が高くなると、開口端部12Bとの当接部において、舌片部14Bが対向面部12Cに一層押圧され、外気の流入が防止される。
【0051】
そして、シール部材14の本体部14Aは、突当端部14Abが先細りしているので、本体部14Aを嵌合溝13Bに挿入する際に挿入し易く、しかも、突当端部14Abは、嵌合溝13Bへの挿入方向に適度な弾性を有しているので、蓋体13による繰り返しの開閉操作によっても、突当端部14Abの弾性により、押圧解除後にはシール部材14は元の状態に戻り、曲り癖が付きにくく、長期の使用に際してもシール性を損なわない。
【0052】
また、本体部14Aの回動摺接部14Aa上部の開口12A側に当接部14Acが形成されているので、蓋体13の閉成時にシール部材14が回転して、当接部14Acが嵌合溝13Bの溝側壁13Baに当接し嵌合溝13B内部を封止するので、シール性に優れている。
【0053】
さらに、舌片部14Bには、舌片14Baの基端部内側部分に肉厚部14Bbが形成されているので、この肉厚部14Bbの厚さ調整により、舌片部14Bの弾性を調節することができる。
【0054】
しかも、肉厚部14Bbの嵌入方向後端部には押込面14Bcが形成されているので、シール部材14の蓋体13への装着時に、シール部材14を容易に押し込むことができる。
【0055】
〔変形例1〕
次に、変形例1の密閉容器の蓋部シール構造を図5を参照しつつ説明する。
【0056】
なお、図面の符号については、実施例の密閉容器の蓋部シール構造と同一ないし均等な部分には同一の符号を付している。
【0057】
図5(a)において、符号14は実施例と同一の構成となっている。
【0058】
ただし、図5(a)に示すように、本変形例では、溝側壁13Baに係止凸部13Aaが形成されている点が相違する。
【0059】
係止凸部13Aaは、嵌合溝13Bの開口12A側に膨出形成されており、シール部材14の嵌入時には突当端部14Abに当接してシール部材14の回動を規制すると共に、シール部材14の装着が完了した際には突当端部14Abに当接してシール部材14のシール性を向上させている。
【0060】
なお、係止凸部13Aaは、後付けでも、あるいは蓋体13と一体に形成されていてもよい。
【0061】
変形例1の密閉容器の蓋部シール構造に係る、この他の構成および作用効果は、実施例に係るシール部材14の各部の構成および作用効果と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
〔変形例2〕
次に、変形例2の密閉容器の蓋部シール構造を図5(b)を参照しつつ説明する。
【0063】
なお、図面の符号については、実施例の密閉容器の蓋部シール構造と同一ないし均等な部分には同一の符号を付している。
【0064】
図5(b)において、符号14は変形例2に係るシール部材である。
【0065】
実施例に係るシール部材14に設けられていた当接部14Acが、本変形例に係るシール部材14には設けられておらず、本変形例では溝側壁13Baに係止凸部13Aaが形成されている。
【0066】
係止凸部13Aaは、嵌合溝13Bの開口12A側に膨出形成されており、シール部材14の嵌入時には突当端部14Abに当接してシール部材14の回動を規制すると共に、シール部材14の装着が完了した際には突当端部14Abに当接してシール部材14のシール性を向上させている。
【0067】
なお、係止凸部13Aaは、後付けでも、あるいは蓋体13と一体に形成されていてもよい。
【0068】
さらに、本変形例のシール部材14は、突当端部14Abの先端部が断面視で二股に分岐した形状を呈しており、本変形例では、この二股形状により、シール部材14の延びる方向側方からの押圧に対する突当端部14Abの柔軟性を増大させている。
【0069】
このように、突当端部14Abの柔軟性を増大させることにより、シール部材14の装着が完了した際のシール部材14のシール性を向上させる。
【0070】
変形例2の密閉容器の蓋部シール構造に係る、この他の構成および作用効果は、実施例に係るシール部材14の各部の構成および作用効果と同様であるので、その説明を省略する。
【0071】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は本発明に含まれる。
【0072】
なお、本実施例に係る密閉容器11は、蓋体13が容器本体12の開口端部12Aに内嵌されるタイプのものであったが、蓋体の嵌合は内嵌であっても外嵌であってもどちらでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例の密閉容器の蓋部シール構造に係る密閉容器を示す図であり、図(a)は容器本体に蓋体が装着された状態の密閉容器の斜視図、図(b)は蓋体の斜視図、図(c)は図(a)のB−B断面の断面図である。
【図2】本実施例の密閉容器の蓋部シール構造に係るシール部材を示す図であり、図(a)は全体の斜視図、図(b)は図(a)のC−C断面図である。
【図3】図1(b)のD部分の拡大図であり、図(a)は非押圧状態、図(b)は押圧状態の図である。
【図4】図1(b)のD部分の拡大図であり、図(a)は非押圧状態、図(b)は押圧状態の図である。図4はシール部材の初期の嵌入が不十分な場合を示している。
【図5】図(a)および図(b)は、それぞれ変形例1および変形例2の密閉容器の蓋部シール構造の断面図である。
【図6】従来例に係る密閉容器の蓋部シール構造を示す図であり、図(a)は密閉容器の容器本体とシール部材と蓋体との分解斜視図、図(b)は蓋部を密閉容器に装着した状態の図(a)のA−A断面の断面図である。
【図7】従来例に係る密閉容器の蓋部シール構造の問題点を示す図であり、シール部材の初期の嵌入が不十分な状態で、蓋部を密閉容器に装着した状態の図6(a)のA−A断面の断面図であって、図(a)は非押圧状態、図(b)は押圧状態の図である。
【符号の説明】
【0074】
11 密閉容器
12 容器本体
12A 開口
12B 開口端部
13 蓋体
13A 外周部
13B 嵌合溝
13Ba,13Bb 溝側壁
14 シール部材
14A 本体部
14Aa 回動摺接部
14B 舌片部
14Ac 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハなどを収納する密閉容器の容器本体と、該容器本体に着脱自在とされ、かつ該容器本体の開口を閉める蓋体との間に介装される弾性シール部材を備えた密閉容器の蓋部シール構造であって、
前記蓋体の閉成時に該蓋体の着脱方向で互いに対向し、かつ近接する前記蓋体の外周部と前記容器本体の開口端部との何れか一方に前記シール部材を嵌入するための嵌合溝が凹設され、
前記シール部材は、前記嵌合溝に嵌入され、かつ嵌入方向前方側が先細り形状を呈した本体部と、該本体部の嵌入方向後方側から延び、かつ前記開口の外周側に湾曲形成される舌片部と、を有し、
前記嵌合溝を構成する一対の対向した溝側壁に回動可能、かつ摺動可能に保持される回動摺接部が前記本体部の嵌入方向後方部に設けられていることを特徴とする密閉容器の蓋部シール構造。
【請求項2】
前記回動摺接部上部に前記溝側壁と当接して前記シール部材の回動を制止すると共に前記嵌合溝内部を封止する当接部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の密閉容器の蓋部シール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−52758(P2010−52758A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219050(P2008−219050)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(596163747)千葉積水工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】