説明

密閉容器サンプル採取システム用ハブ付きデュアルカニューレ型器具

本発明は、密閉容器から流体サンプルを抽出するハブ付きデュアルカニューレ型器具を提供する。この器具は、ハウジングハブ、2本の互いに実質的に平行な針、通気弁及び疎水性メンブレンを有し、かかる器具は、流体サンプル中の細胞性成分を損傷させず又は血小板を活性化させないで、密閉容器、例えば真空管から流体サンプルを抽出するよう効果的に使用できる。また、開示する器具を使用して密閉容器から流体サンプルを抽出する方法及びかかる器具を使用して血小板凝集度を測定するキットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、診断のためのアッセイ(評価分析)の分野、特に容器サンプル採取システム、例えば臨床化学分析器、より詳細には、流体サンプルを密閉容器から抽出するハブ付きデュアルカニューレ型器具に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2008年6月9日に出願された米国特許出願第61/060,076号の権益主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
天然に生じる場合と合成で得られる場合の両方の広範な生理活性化合物を定量的に測定できるということは、診断の補助資料と治療の補助資料の両方において重要度が益々高まっている。医療業界は、個人の健康状態、薬剤の投与レベル、不法薬剤の使用、遺伝子配列等を判定することができるようにするために生理学的流体中の種々の実態を測定する能力への依存度が益々高くなっている。かくして、生理学的サンプルを採取し、特定の成分について迅速に分析を行うことができるようにすることにより、医学的治療が益々効率的に且つ益々首尾良くなっている。
【0004】
1種類又は2種類以上の分析物に関する生理学的流体又は生物学的サンプルの診断用アッセイは、主として、臨床検査部門における判定を必要としている。ただし、医師のオフィス及び家庭でのアッセイによる判定を実施することができるということに関心が益々寄せられている。臨床検査部門で実施されるアッセイと関連した種々の問題に取り組もうとして多くのシステムが開発された。
【0005】
簡単であり、操作が容易であり、しかもオペレータの失敗の恐れを減少させるプロトコル及び器具を提供することに相当な関心が寄せられている。理想的な状況は、容器内の未測定状態のサンプルの収集であり、次にこの容器は密閉される。次に、密閉容器を開かずに且つサンプルを正確に測定する必要なく、サンプルをアッセイ器具中に導入する。サンプルが導入された器具は、分析されるべきサンプルの正確な測定を提供し、このことは、定量的結果を得るうえで重要である。
【0006】
多くの場合、血液は、患者の健康を診断し又は患者に投与された薬剤の効能をモニタするためのサンプルの源である。これらパラメータの判定のための源としての血液には、直接用いられる場合又は緩衝液で希釈された場合であっても、多くの欠点がある。これら欠点としては、迅速な凝固、多量の光吸収及び蛍光物質の存在、組成のばらつき、アッセイで用いられる試薬に関する変化の感受性及び酸素の存否のばらつきが挙げられる。これら特性は、診断目的のサンプルとしての血液の使用を複雑にする。これら問題を解決するために、種々の技術、例えば高度の希釈、抗凝固薬の添加、血漿及びその細胞性成分への血液の分離等が採用された。かかる捜査中、或る特定の診断用アッセイを邪魔する場合のあるヘモグロビンの放出を回避するために赤血球の凝塊を回避するよう多大な注意が払われなければならない。サンプル媒体としての血液の使用と関連した問題にもかかわらず、多くの場合、血液は、関心のある情報を提供する唯一の源である。したがって、全血の成分からの干渉を減少させながら全血を用いる手法を見出すことが極めて望ましい。したがって、診断目的で血液を用いたり操作したりするための方式を改良することに相当な関心が寄せられている。
【0007】
全血サンプルを用いる分析に特定の関心のある一領域は、血小板機能の評価である。哺乳動物の生理学における血小板の役割は、極めて多様性に富んでいるが、これらの主要な役割は、血栓形成を促進することにある。多くの状況では、血液が凝固する能力、即ち、血小板が付着すると共に/或いは凝集する能力によってしばしば制御されるパラメータの評価が望ましい。かくして、血小板の接着機能の評価を望む場合がある。例えば、凝血形成を阻止し又は促進する薬剤を投与するかどうかを知りたいと願う場合があり又は手術手技に先立って血小板機能の低下を検出する必要のある場合がある。他の場合、新薬として試験され又は患者に対する認可された臨床治療として用いられている血小板抑制剤の有効性の評価に関心がある場合がある。
【0008】
血小板は、通常の止血の保持に重要な役割を果たしている。損傷を受けた血管にさらされると、血小板は、露出状態の内皮下基質に粘着することになる。初期粘着に続き、外傷部位のところで放出され又は生じた種々の因子、例えばトロンビン、ADP及びコラーゲンが血小板を活性化させる。血小板がいったん活性化されると、立体配置的変化が血小板とタンパク質(GP)IIb/IIIaレセプタに生じ、このGPIIb/IIIaレセプタは、フィブリノーゲン及び/又はフォンウルブランド因子に結合可能である。止血栓又は血栓を形成するよう追加の血小板が外傷部位に補充されると共にこれらの凝集を結果的に生じさせる原因は、多価フィブリノーゲン及び/又はフォンウルブランド因子分子がこのようにGPIIb/IIIaレセプタにより隣接の血小板に結合されるということにある。
【0009】
迅速血小板機能アッセイが開発され、これは、米国特許第5,763,199号明細書(発明者:コラー(Coller))に記載されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。アッセイは、全血中におけるGPIIb/IIIaレセプタの遮断を判定する。小さなポリマービーズを遮断されていない活性化GPIIb/IIIaレセプタを含む血小板を含有する全血に接触させると、結果として、GPIIb/IIIaリガンド、例えばフィブリノーゲンで被覆された小さなポリマー粒子の凝集反応が生じる。凝集反応が生じないことは、GPIIb/IIIaレセプタが活性化状態にならなかったこと且つ/或いはGPIIb/IIIaレセプタの遮断が生じたことを示唆している。アッセイは、収集容器を開かないで、試験されるべき血液を収集容器からアッセイ器具に移すことができる。
【0010】
試験を実施するのに必要な血液の量は、数滴よりも多い場合、血液収集容器、例えば真空管又は注射器が用いられる。次に、サンプルをアッセイ中に送り込むには、血液を収集容器からアッセイ器具に輸送することが必要である。輸送は、臨床医への有害な接触とサンプルの汚染の両方の恐れを増大させる。臨床医及び実験室技師に対する危害の恐れを最小限に抑えると共にサンプル汚染の恐れを減少させるため、サンプル採取は、典型的には、プロセス中、真空管のキャップを取り外す必要がないようにするために密閉真空管から直接行われる。例示の管製造業者及びこれらのそれぞれの真空管の商標としては、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)社製のVACUTAINER(登録商標)、グレイナー・バイオ‐ワン(Greiner Bio-One)社製のVACUETTE(登録商標)、ザルステッド・エス(Sarstedt S)社製のMONOVETTE(登録商標)及びテルモ(Terumo)社製のVENOSAFE(登録商標)が挙げられる。
【0011】
先行技術は、流体生物学的サンプルを密閉真空管から抽出する多種多様な器具及び方法を開示している。これについては、例えば、米国特許第5,279,796号明細書、同第5,602,037号明細書、同第5,888,826号明細書、同第6,016,712号明細書、同第6,817,256号明細書、同第6,869,405号明細書及び同第6,902,534号明細書を参照されたい。典型的な抽出プロトコルでは、真空管の隔膜又はメンブレンを針、カニューレ又はピペットで穿通し、真空圧力を加えて流体サンプルを管から抽出する。幾つかの場合、真空管を吸引に先立って約180°逆さまにし、サンプル流体がサンプル管の頂部まで動くようにする。流体輸送を一段と容易にするため、特許明細書の中には、密閉真空管内の圧力を均圧するための第2の針、カニューレ又はピペットを開示しているものもある。これについては、例えば、米国特許第3,941,171号明細書、同第4,296,786号明細書、同第5,270,219号明細書、同第5,380,486号明細書、同第5,525,298号明細書、同第5,837,203号明細書、同第5,976,468号明細書、同第6,271,043号明細書、及び同第7,247,498号明細書並びに米国特許出願公開第2004/0228765号明細書及び同第2007/0059204号明細書を参照されたい。
【0012】
真空管の設計収容量としての流体の量に基づいて、真空管は、部分吸込み管(partial-draw tube )か完全吸込み管(full-draw tube)かのいずれかに分類される場合がある。例えば、共通所有者の米国特許第6,016,712号明細書は、第1世代のVERIFYNOW(商標)血小板機能試験システム(米国カリフォルニア州サンディエゴ所在のアキュメトリックス・インコーポレイテッド(Accumetrics Inc.))を開示しており、この試験システムは、密閉部分吸込み真空管の使用向きに特別に設計されているものである。流体サンプルを密閉部分吸込み真空管から抽出するため、ハブ付き単一針をアキュメトリックス社製の消費可能なカートリッジ組立体に押しつけ、するとこれは、このカートリッジ組立体の一部となる。
【0013】
部分吸込み真空管の主要な欠点は、これら部分吸込み真空管が完全真空管の場合よりも高い充填容積の変動性をもつ傾向があるということにある。密閉真空管は、通常、一定量の抗凝固薬、例えばクエン酸ナトリウムを収容し、流体と抗凝固薬の比のばらつきがかなりあると、そのことが試験結果の精度に悪影響を及ぼす。さらに、真空管の主要な市場供給業者は、自分たちのカタログから部分吸込み管をなくしており、部分吸込み管の消費者に利用可能なオプションは、極めて制限された状態になっている。かくして、臨床診断学において、アッセイを完全吸込み真空管フォーマットに変換するやむを得ない要望が存在する。
【0014】
しかしながら、血小板機能試験のために完全吸込み真空管を用いることは、それ自体の問題を提起する。というのは、流体サンプルを完全吸込み真空管から吸い込むには、通常、部分吸込み真空管に必要な真空圧力よりも高い真空圧力が必要とされるからである。圧力が高いと、その結果として、流体の細胞性成分の損傷(例えば、溶血現象)が生じると共に血小板活性化が誘発され、これが、診断用アッセイが測定を試みているまさにそのことである。強力な真空吸込みにより引き起こされる血小板活性化は、名目上の患者の血小板活性化状態及び/又は薬物療法に対するこれらの反応を分かりにくくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,763,199号明細書
【特許文献2】米国特許第5,279,796号明細書
【特許文献3】米国特許第5,602,037号明細書
【特許文献4】米国特許第5,888,826号明細書
【特許文献5】米国特許第6,016,712号明細書
【特許文献6】米国特許第6,817,256号明細書
【特許文献7】米国特許第6,869,405号明細書
【特許文献8】米国特許第6,902,534号明細書
【特許文献9】米国特許第3,941,171号明細書
【特許文献10】米国特許第4,296,786号明細書
【特許文献11】米国特許第5,270,219号明細書
【特許文献12】米国特許第5,380,486号明細書
【特許文献13】米国特許第5,525,298号明細書
【特許文献14】米国特許第5,837,203号明細書
【特許文献15】米国特許第5,976,468号明細書
【特許文献16】米国特許第6,271,043号明細書
【特許文献17】米国特許第7,247,498号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2004/0228765号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0059204号明細書
【特許文献20】米国特許第6,016,712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
今日まで、細胞を損傷させず又は血小板を活性化させずに流体サンプルを完全吸込み真空管から吸引できるようにする有効な解決策は見出されていない。かくして、細胞性成分を損傷させず又は血小板を活性化させないで流体サンプルを密閉容器、特に完全吸込み真空管から抽出する信頼性が高く且つ安価な器具を開発することが要望されている。
【0017】
したがって、本発明の目的は、細胞性成分を損傷させず又は血小板を活性化させないで流体サンプルを密閉容器、特に完全吸込み真空管から抽出する信頼性が高く且つ安価な器具を提供することにある。もう1つの目的は、本発明の器具を用いて流体サンプルを密閉容器、特に完全吸込み真空管から抽出する方法を提供することにある。さらにもう1つの目的は、本発明の器具を含む流体サンプル中の血小板凝集度の測定キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一観点は、流体サンプルを密閉容器、例えば真空管から抽出する器具に関する。この器具は、第1の開口部、第2の開口部、第1の開口部と流体連通状態にある通気ポート、及び第2の開口部と流体連通状態にある入力ポートを備えたハウジングハブを有する。幾つかの実施形態では、第1の開口部は、通気弁及び疎水性メンブレンを収容するよう形作られると共に構成されている。幾つかの実施形態では、第2の開口部は、テーパ付きルアーロック先端部と嵌合するよう形作られると共に構成されている。この器具は、密閉容器内に最小圧力を維持する通気先端部、例えばスチール製注射針を更に有する。通気先端部は、尖った末端及び丸まった末端を有し、丸まった末端は、通気先端部と通気ポートとの流体連通関係を確立するようハウジングハブに係合する。この器具は、流体サンプルを密閉容器から抽出する入力先端部、例えばスチール製注射針を更に有する。入力先端部は、尖った末端及び丸まった末端を有し、丸まった末端は、入力先端部と入力ポートの流体連通を確立するようハウジングハブに係合する。この器具は、第1の開口部内に位置決めされていて、密閉容器内に望ましい最小圧力を維持する通気弁、例えばダックビル形逆止弁を更に有する。通気弁は、器具の外部から密閉容器への一方向空気流を可能にするが、密閉容器内の流体サンプルが第1の開口部から漏れ出るのを阻止する。最後に、この器具は、通気弁に隣接して位置決めされた疎水性メンブレンを有し、疎水性メンブレンは、流入空気を濾過すると共に流体サンプルが装置から漏れ出るのを阻止する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、流体サンプルを密閉容器から抽出する方法である。まず最初に、流体サンプルを密閉容器、例えば真空管内に用意する。また、上述したサンプル抽出器具を用意する。通気先端部及び入力先端部の尖った末端を用いて密閉容器を穿通して密閉容器とサンプル抽出器具とを互いに流体連通させる。サンプル抽出器具は、通常、圧力変更装置、例えばポンプ又は注射器に連結され、この圧力変更装置は、器具内の圧力を変えて流体サンプルを抽出するために用いられる。
【0020】
本発明の更に別の実施形態は、流体サンプル中の血小板凝集度を測定するキットである。キットは、上述のサンプル抽出器具と、血小板凝集度を測定する試薬とを含む。キットは、オプションとして、サンプル収集容器、例えば真空管を含むのが良い。血小板凝集度を測定する試薬は、代表的には、共通所有者の米国特許第5,763,199号明細書に開示されているように、粒子上に不動化されたGPIIb/IIIaレセプターリガンド及び抗凝固薬及び流体サンプルのpH及び塩濃度を血小板凝集に適した範囲内に維持する緩衝液を含む。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のハブ付きデュアルカニューレ型器具の斜視図である。
【図2】本発明のハブ付きデュアルカニューレ型器具の別の斜視図であり、ハウジングハブの透明図を含む図である。
【図3A】密閉真空管及びアキュメトリックス(Accumetrics)社製のVERIFYNOW(商標)アッセイカートリッジに連結された図2の器具の断面図である。
【図3B】図2の器具の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
別段の規定がなければ、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明の分野の当業者により一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書において言及した全ての特許文献、特許出願(公開又は未公開)及び他の刊行物を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。この項に記載されている定義は、参照により引用した特許、特許出願、特許出願公開及び他の刊行物に記載されている定義とは対照的であり又は一致しておらず、この項において説明する定義は、参照により引用した定義よりも優先する。
【0023】
刊行物又は文献の引用は、かかる刊行物又は文献のどれもが関連の先行技術であるという承認を意味するわけではなく、或いは、かかる引用がこれら刊行物又は文献の内容又は日付に関して承認を示すものではない。
【0024】
原文明細書で用いられている“a”又は“an”は、“at least one(少なくとも1つ)”又は“one or more(1つ又は2つ以上)”を意味している。
【0025】
本明細書で用いる「流体サンプル」という用語は、細胞性成分及び他の粒子状物質を含む場合のある隔離された体液を意味している。この用語は、患者からの直接取り出された未処理の流体サンプルとあらかじめ処理されて何らかの都合の良い液体媒体、通常水性媒体(例えば、クエン酸ナトリウム)の状態に調製された流体サンプルの両方を含む。本発明は、血小板を含む流体サンプル、例えば全血、血小板含有血液フラクション、例えば血漿、多血小板血漿(PRP)等に利用できる。血小板凝集度が測定される場合、流体サンプルは、代表的には、約50%以下、好ましくは約20%以下の希釈を受ける全血である。血液は、好ましくは、実質的に空気の存在していない状態で末梢静脈のない四肢の輸液から得られる。
【0026】
本明細書で用いる「係合」という用語は、機械的又は物理的取り付け、インターロック、嵌合、結束又は結合の任意のモードを意味し、従って、「係合」状態にあると称される部材は、何らかの積極的な努力、エネルギーの印加等をしないで互いに分かれ又は分離することはないようになっている。
【0027】
本明細書で用いられる2つ又は3つ以上のコンポーネント相互間の「流体連通」という用語は、直接的であるか間接的であるかのいずれかによる(例えば、コネクタパイプによる連通による)連結を意味し、従って、流体は、連通状態にあるこれらコンポーネントに流れたりこれから流れたりすることができるようになっている。
【0028】
本明細書で用いられる「実質的に等しい」という表現は、2つの測定可能な値が互いの約30%以内、好ましくは約20%以内、より好ましくは約10%以内、最も好ましくは約5%以下であることとして定義される。
【0029】
本明細書で用いられる「実質的に平行」という表現は、「ほぼ平行」、例えば、完全に平行である状態から見て約30°以内、好ましくは約20°以内、より好ましくは約10°以内、最も好ましくは約5°以内であることを意味するものと理解されたい。
【0030】
本明細書で用いられる「高さ方向に互い違い」という表現は、2本の針が互いに対してずれていることを意味するようになっており、従って、一方の針の尖った末端が、他方の針の尖った末端よりもハウジングハブから遠くに延びるようになっている。
【0031】
「非コアリング針」という用語は、当該技術分野の用語であり、本明細書ではそういうものとして用いられる。この用語は、実質的に対象物から物質を取り出すのではなく、先端部を対象物に挿入し又はこれに挿入貫通させると共に/或いはその対象物から抜去することができる針の形状輪郭を意味している。例えば、代表的な実施形態では、実質的に滑らかな外面及び先端部の末端の近くに位置するテーパした輪郭形状を備えた先端部を、容器を密封しているエラストマー隔膜に挿入貫通させ、そして実質的に隔膜からエラストマー材料を取り出すのではなく、所与の流体取り扱いプロセス中に隔膜から抜去する。
【0032】
「ダックビル形逆止弁」という用語も又、当該技術分野の用語であり、本明細書においてはそういうものとして用いられる。ダックビル形逆止弁は、スリットのところで出会う2つの先細の弁リップにより形成された逆止弁の一形式であり、リップは、順方向(前方方向)の流れを可能にするためにスリットを開くよう互いに遠ざかるよう形作られると共に構成されている。弁は、通常、軟質エラストマー材料で作られ、従って、逆流方向における漏れを阻止するためにスリットを閉じると、リップ相互間に確実なシールが形成されるようになる。
【0033】
本明細書で用いられる「部分吸込み真空管(partial-draw tube )」という用語は、流体サンプルで部分的に満たされるよう設計された真空管を意味し、これに対し、「完全吸込み真空管(full-draw tube)」という用語は、流体サンプルで完全に満たされるよう設計された真空管を意味している。部分吸込み真空管の良く見受けられる一例は、VACUETTE(登録商標)管(米国ノースカロライナ州モンロー所在のグレイナー・バイオ‐ワン)であり、完全吸込み真空管の良く見受けられる一例は、VACUTAINER(登録商標)管(米国ニュージャージー州フランクリンレイクス所在のベクトン・ディッキンソン)である。真空管は、好ましくは、一般に約0.05〜0.5mlの容量の約35%クエン酸ナトリウムの少量のクエン酸ナトリウム溶液を収容する。
【0034】
本明細書で用いられる「1回使用器具」という用語は、ちょうど1回の使用向きの器具、即ち、1回の操作の際に1人の患者に対して使用されるようになった器具を意味している。
【0035】
上述したように、本発明の一観点は、流体サンプルを密閉容器から抽出するハブ付きデュアルカニューレ型器具に関する。密閉容器は、通常、処理されるべき流体サンプルを収集する容器である。密閉容器は、任意の形態をしていて良く、例えば、注射器、真空管(例えば、VACUTAINER(登録商標)管)、キュペット、バイアル、カートリッジ等である。真空管は、部分吸込み管と完全吸込み管のいずれであっても良く、より好ましくは、完全吸込み管である。容器の製作に適した材料は、ガラス、プラスチック等である。一般に、流体サンプル又は流体サンプルを溶解させる溶剤と反応せず又はこれに対して有害な結果を生じさせない材料であればどのような材料を用いても良い。本発明のハブ付きデュアルカニューレ型器具への取り付けに適した要素が密閉容器の一部として設けられる。例えば、密閉容器は、好ましくは、穿通可能な要素、例えば隔膜、メンブレン等から成る。関与する主要な原理は、容器を開くことなく流体サンプルを密閉容器から本発明のサンプル抽出器具に輸送できるということにある。
【0036】
本発明のハブ付きデュアルカニューレ型器具の例示の実施形態が図1に示されており、これは例示であって、本発明を限定するものではない。器具100は、疎水性メンブレン110及び通気弁(図示せず)を備えたハウジングハブ113を有する状態で示されている。ハウジングハブは、通気先端部115及び入力先端部114と嵌合している。図2を参照すると、本発明の流体サンプル抽出器具200が4つの基本的なコンポーネント、即ち、ハウジングハブ213、ハウジングハブ213に係合した2つの穿通先端部214,215、ハウジングハブ213内に位置決めされた通気弁211及び通気弁211に隣接して位置決めされた疎水性メンブレン210を有している。
【0037】
次に図2及び図3を参照すると、ハウジングハブ213は、組立体の本体であり、組立後、ハウジングハブは、他の器具コンポーネントの全てを収容し又はこれらに係合する。他のコンポーネントを収容するため、ハウジングハブ213は、通気弁211及び疎水性メンブレン210を収容するよう形作られると共に構成された第1の開口部218及びテーパ付きルアーロック先端部313を収容するよう形作られると共に構成された第2の開口部212を有している。第1の開口部218は、通常、嵌合手段、例えば柔軟性継手、ルアー型継手等によって通気弁211に即座に連結されるようになっている。ハウジングハブ213は、密閉真空管310を通気するための通気ポート220を更に有している、通気ポート220は、第1の開口部218と流体連通状態にあると共に通気先端部215に取り付けられるようになった円筒形通路217と流体連通状態にある。ハウジングハブは、第2の開口部212と流体連通状態にあると共に入力先端部214に取り付けられるようになった円筒形通路219と流体連通状態にある入力ポート216を更に有している。通気ポート及び入力ポートの直径は、代表的には約0.3〜1.0mmであり、好ましくは約0.5〜0.6mmである。
【0038】
上述したように、通気ポート220は、第1の開口部218と流体連通状態にあり、この第1の開口部は、密閉管310内に望ましい最小圧力を維持するために通気弁211を受け入れるよう形作られると共に構成されている。入力ポート216は、流体を密閉管310からサンプル抽出器具200が通常テーパ付きルアーロック(212+313)を介して取り付けられたサンプル試験モジュール311、例えばアキュメトリックス社製VERIFYNOW(商標)アッセイカートリッジに輸送させることができる。かかる輸送を容易にする好ましい手段は、器具内部の圧力を減少させることによってである。上述したように、入力ポート216は、サンプル試験モジュール311に即座に連結可能になった第2の開口部212と流体連通状態にあり、サンプル試験モジュール311は、試験モジュールの一部として圧力変更器具、例えば注射器又は真空ポンプを有するのが良く又は圧力変更器具と流体連通状態にあるのが良い。
【0039】
幾つかの実施形態では、通気先端部215及び入力先端部214のうちの少なくとも一方は、注射針を有する。針は、好ましくは、従来型注射針と同様金属、例えばステンレス鋼で作られている。ただし、他の適当に硬質の材料を用いても良い。幾つかの実施形態では、針は、サイズが約16〜26ゲージ、より好ましくは、少なくとも約21ゲージ(例えば、エア・タイト・プロダクツ・カンパニー・インコーポレイテッド(Air-Tite Products Co.,Inc.,)の部品番号N1812B)である。針の寸法は、通常、長さが約13〜20mm、好ましくは約10mm、外径が約0.6〜1.5mm、好ましくは約0.8mm、内径が約0.3〜1.0mm、好ましくは約0.5mmである。幾つかの実施形態では、針は、好ましくはチゼル先端部を備えた非コアリング針である。幾つかの実施形態では、通気先端部と入力先端部は、互いに実質的に等しい長さを有する。幾つかの実施形態では、通気先端部と入力先端部は、互いに実質的に平行であり、これらの尖った末端は、高さ方向に互い違いになっているか(図1〜図3に示されている)、実質的に等しい高さを有するよう構成されている。
【0040】
上述したように、穿通先端部214,215は、それぞれ、円筒形通路219,217内に設けられることによりハウジングハブ213に係合する。幾つかの実施形態では、器具は、穿通先端部が既にハウジングハブ内に固定された状態で製造されるのが良い。幾つかの実施形態では、穿通先端部は、使用に先立ってハウジングハブ内に固定されるのが良い。円筒形通路217,219は、これらがサンプル容器の迅速な穿通を可能にするよう穿通先端部を保持できる限り、任意従来の長さ及び直径のものであって良い。円筒形通路219は、器具に対する流体サンプルの接近を可能にするよう入力ポート216と流体連通状態にある。器具は、先端部とユーザの両方を保護するために穿通先端部のカバーを更に有するのが良い。
【0041】
通気弁211は、サンプル抽出器具200の外部から密閉管310への一方向だけの空気の流れを可能にする。通気弁211は又、密閉管310から第1の開口部218への流体の逆流を阻止する。適当な通気弁としては、例えば、逆止弁、例えばダックビル形弁、電磁弁、シャトル弁等が挙げられる。幾つかの実施形態では、通気弁211は、ダックビル形逆止弁である。ダックビル形逆止弁は、材料、寸法及び設計が最小「クラッキング圧力」(即ち、弁の開放時における最小圧力差)を達成するまで空気の自由流れを制限する市販のコンポーネントである。これにより、密閉サンプル容器内における望ましい最小圧力の維持が可能である。
【0042】
疎水性メンブレン210は、通気弁211に隣接して位置決めされ、この疎水性メンブレンは、最終的に密閉真空管310内に流入する到来空気のフィルタとしての役目を果たすと共に更に、逆洗流体が第1の開口部218から漏れ出るのを阻止するフェールセーフ補助機構としての役目を果たす。幾つかの実施形態では、疎水性メンブレンは、流体の存在下において膨潤して第1の開口部218を密封するよう設計された材料から成る。かかる材料としては、例えば、多孔質ポリマー、例えばPOREX XM-1374(登録商標)(米国ジョージア州フェアバーン所在のポレックス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Porex Technologies, Inc.,))、GORE-TEX(商標)(米国デラウェア州ニューアーク所在のダブリュ・エル・ゴア・アンド・アソシエイツ・インコーポレイテッド(W.L.Gore & Associates,Inc.,))等が挙げられる。
【0043】
ハブ付きデュアルカニューレ型器具を製作するには、通気弁をハウジングハブの第1の開口部内に挿入し、疎水性メンブレンを弁のすぐ後ろに配置し、プラスチックの包囲リムを冷間成形して(即ち、圧縮して変形させて)通気弁に加わる一定の予荷重を達成するのが良い。次に、通気先端部及び入力先端部を方向付けしてハウジングハブの円筒形通路内に挿入し、永久接着剤によって定位置に固定する。ハウジングハブを射出成形により単一部品として製作するのが良く、或いは、変形例として、ハウジングハブを個々の射出成形部品から組み立てても良い。ハウジングハブをサンプルの処理で用いられる温度に耐えることができる材料で作るのが良い。一般に、流体サンプル又は流体サンプルを溶解させ又は懸濁させている溶剤のどれとも反応せず又はこれらに悪影響を生じさせない材料であればどのような材料でも使用できる。ハウジングハブの製造に適した材料としては、熱可塑性材料、例えばポリスチレン、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、本発明のハブ付きデュアルカニューレ型器具は、各使用後に破棄される1回使用器具である。
【0044】
本発明の別の実施形態は、流体サンプルを密閉容器から抽出する方法である。図2及び図3を参照すると、流体サンプルは、通常、密閉容器、例えば真空管310内に入れられた状態で用意される。上述したようなハブ付きデュアルカニューレ型サンプル抽出器具200も又用意する。器具200は、これをサンプル試験モジュール311、例えばアキュメトリックス社製VERIFYNOW(商標)アッセイカートリッジの適当なテーパ付きルアーロック先端部313に圧力嵌めして入力針214とサンプル試験モジュールを流体連通させることによって配備される。サンプルモジュールを適当な臨床化学器具、例えばアキュメトリックス社製VERIFYNOW(商標)システムに差し込む。次に、真空管を図3Bに示されているように針215,214に押し付けることによって真空管310のメンブレン又は隔膜312を穿通し、それにより真空管310とサンプル抽出器具を流体連通させる。真空管の隔膜を穿通した後、この器具は、内部空気圧技術を用いてまず最初に流体サンプルを真空管から抽出してこれを試験モジュールのステージング領域に導入し、ここで流体サンプルを温め、次に、ステージング領域を加圧して温まった状態のサンプルをステージング領域から試験モジュールの混合及び検出チャンバ内に流入させ、ここで、アッセイ試験を実際に実施する。
【0045】
本発明の方法は、多くの重要な利点を有する。第1に、一体形通気弁を設けることにより密閉容器内の圧力は、或る特定のあらかじめ設定されたしきい値を決して下回ることはなく、このことは、流体サンプルを容器から抽出するのに必要な力が小さくて済むことを意味している。したがって、流体サンプルの細胞性成分は、剪断による損傷を受ける度合いが小さく、血小板は、輸送の結果として活性化状態になる恐れが低い。第2に、本発明のハブ付きデュアルカニューレ型器具は、完全自蔵式であり且つ製造するのに費用がかからず、1回使用に好適であり、しかも洗浄を必要としない。
【0046】
本発明の別の実施形態は、流体サンプル中の血小板凝集度を測定するキットであり、このキットは、上述したサンプル抽出器具と、米国特許第5,763,199号明細書、同第5,854,005号明細書、同第6,016,712号明細書、同第7,205,115号明細書、米国特許出願公開第2005/0031616号明細書、同第2006/0246528号明細書及び米国特許出願第12/114,498号明細書(出願日:2008年5月2日)に開示されているような血小板凝集度を測定するための試薬とをパッケージ化組み合わせ状態で有する。なお、これら特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。キットは、好ましくは、血小板の特有の凝集を促進する化合物で被覆された粒子、血小板活性剤及び緩衝液から成る凍結乾燥製剤を含む。凍結乾燥製剤は、反応容器、例えば分析器具で用いられるカートリッジ内に存在するのが良い。上述のアキュメトリックス社製VERIFYNOW(商標)システムの場合、凍結乾燥製剤は、分析器に用いられる4ウェル型カートリッジの外側ウェル内に配置されるのが良い。キットは、サンプル収集容器及び/又は本発明の方法を実施する器具を更に含むのが良い。幾つかの実施形態では、サンプル収集容器は、真空管、好ましくは部分吸込み真空管又は完全吸込み真空管である。試薬の相対的量は、判定の感度を実質的に最適化する溶液中の試薬の濃度を提供するよう様々であって良い。
【0047】
上述したように、キットは、代表的には、結果的に血小板の特有の凝集、即ち、血小板に付着しているレセプタと粒子に付着している化合物の特定の相互作用による血小板の凝集を生じさせることができる化合物で被覆された粒子を含む。かかる化合物としては、血小板レセプタの抗体及びGPIIb/IIIaレセプターリガンドが挙げられるが、これらは例示であって本発明を限定するものではなく、かかるGPIIb/IIIaレセプターリガンドは、血小板表面に付着しているGPIIb/IIIaレセプタと結合し、これと錯体をなし又はこれと相互作用する小さな有機分子、ポリペプチド、タンパク質、単クローン抗体又は核酸であるのが良い。血小板の表面上のGPIIb/IIIaレセプタが粒子に付着しているGPIIb/IIIaレセプターリガンドと結合し、これと錯体をなし又はこれと相互作用すると、結果的に粒子の血小板媒介凝集が生じる。幾つかの実施形態では、GPIIb/IIIaリガンドとしては、フィブリノーゲン、単クローン抗体10E5(コラー等(Coller, et al.),「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション(J. Clin. Invest.)」,1983年72:325)、単クローン抗体c7E3(ザ・エピック・インベスティゲーターズ(The EPIC Investigators),「エヌ・イー・ジャーナル・オブ・メディシン(N.E.J.Med.)」,1994年,330:956)、フォンウルブランド因子、フィブロネクチン、ビトロネクチン及びアルギニン‐グリシン‐アスパラギン酸(RGD)配列若しくは他のペプチド又はこのアミノ酸配列を模倣したペプチドミメティックスを有する他のリガンド(クック等(Cook, et al.),「ドラッグズ・オブ・ザ・フューチャー(Drugs of the Future)」,1994年,19:135)。関心のある他の化合物としては、低分子量ヘパリン等が挙げられる。
【0048】
キットは、本発明のアッセイを実施するのに必要な他の試薬を更に含むのが良い。例えば、幾つかの実施形態では、キットは、サンプルバイアル、固体表面の血小板媒介凝集に適した範囲内で評価された流体サンプルのpH及び塩濃度を維持する緩衝液及び血小板GPIIb/IIIaレセプターリガンドで被覆された小さなポリマービーズを含む。緩衝液は、溶液であっても良く、或いは、所望の緩衝溶液を与えるよう既知の量の水が添加された干渉組成物及び塩だけからなっていても良い。オプションとして、キットは、抗凝固薬を更に含むのが良い。幾つかの実施形態では、緩衝液は、HEPESであり、抗凝固薬は、クエン酸であり、GPIIb/IIIaレセプターリガンドは、フィブリノーゲンであり、小さなポリマービーズは、ペプチドGPIIb/IIIaレセプターリガンド、例えばフィブリノーゲンがビーズ表面に共有結合され又は受動的に結合されたポリアクリルニトリル又はカルボキシル化ポリスチレンである。
【0049】
該当する場合には、任意の試薬の活動度を維持するために試薬は、気密パッケージ内に配置されるのが良い。パッケージは、例えば、水分に対して実質的に不透性の材料で作られた袋、パウチ等であるのが良い。かかる材料としては、例えば、プラスチック、アルミニウム泊などが挙げられる。キットは、人の皮膚を穿通する物品、消毒薬又は滅菌パッド等を更に含むのが良い。キットは、較正器及び原器を更に含むのが良い。さらに、キットは、血小板の計数のためのアッセイを実施する1種類又は2種類以上の試薬を更に含むのが良い。幾つかの実施形態では、キットは、上述した1回使用サンプル抽出器具を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体サンプルを密閉容器から抽出する器具であって、
(a)第1の開口部、第2の開口部、前記第1の開口部と流体連通状態にある通気ポート、及び前記第2の開口部と流体連通状態にある入力ポートを備えたハウジングハブを有し、
(b)尖った末端及び丸まった末端を備えた通気先端部を有し、前記通気先端部の前記丸まった末端は、前記通気先端部と前記通気ポートとの流体連通関係を確立するよう前記ハウジングハブに係合し、
(c)尖った末端及び丸まった末端を備えた入力先端部を有し、前記入力先端部の前記丸まった末端は、前記入力先端部と前記入力ポートとの流体連通を確立するよう前記ハウジングハブに係合し、
(d)前記第1の開口部内に位置決めされた通気弁を有し、前記通気弁は、前記器具の外部から前記密閉容器への一方向空気流を可能にするが、前記密閉容器内の前記流体サンプルが前記第1の開口部から漏れ出るのを阻止し、
(e)前記通気弁に隣接して位置決めされた疎水性メンブレンを有し、前記疎水性メンブレンは、流入空気を濾過すると共に前記密閉容器内の前記流体サンプルが前記第1の開口部から漏れ出るのを阻止する、器具。
【請求項2】
前記流体サンプルは、全血サンプルである、請求項1記載の器具。
【請求項3】
前記流体サンプルは、血漿サンプルである、請求項1記載の器具。
【請求項4】
前記血漿サンプルは、多血小板血漿サンプルである、請求項3記載の器具。
【請求項5】
前記第1の開口部は、前記通気弁及び前記疎水性メンブレンを収容するよう形作られると共に構成されている、請求項1記載の器具。
【請求項6】
前記第2の開口部は、テーパ付きルアーロック先端部と嵌合するよう形作られると共に構成されている、請求項1記載の器具。
【請求項7】
前記通気先端部及び前記入力先端部のうちの少なくとも一方は、注射針で構成される、請求項1記載の器具。
【請求項8】
前記注射針は、約16〜26ゲージである、請求項7記載の器具。
【請求項9】
前記注射針は、非コアリング針である、請求項7記載の器具。
【請求項10】
前記注射針は、チゼル先端部を含む、請求項7記載の器具。
【請求項11】
前記通気先端部と前記入力先端部は、実質的に等しい長さを有する、請求項1記載の器具。
【請求項12】
前記通気先端部と前記入力先端部は、実質的に平行である、請求項1記載の器具。
【請求項13】
前記通気先端部と前記入力先端部の前記尖った末端は、高さが互い違いになっており又は実質的に等しい高さを有する、請求項12記載の器具。
【請求項14】
前記通気弁は、ダックビル形逆止弁で構成される、請求項1記載の器具。
【請求項15】
前記疎水性メンブレンは、流体の存在により膨張する材料で構成される、請求項1記載の器具。
【請求項16】
前記ハウジングハブは、熱可塑性材料で構成される、請求項1記載の器具。
【請求項17】
前記器具は、1回使用器具である、請求項1記載の器具。
【請求項18】
流体サンプルを密閉容器から抽出する方法であって、
(a)請求項1記載の前記サンプル抽出器具及び密閉容器内に入れられている流体サンプルを用意するステップと、
(b)前記通気先端部及び前記入力先端部の前記尖った末端を用いて前記密閉容器を穿通して前記密閉容器と前記サンプル抽出器具とを互いに流体連通させるステップと、
(c)前記器具内の圧力を変えて前記流体サンプルを抽出するステップとを有する、方法。
【請求項19】
前記流体サンプルは、全血サンプルである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記流体サンプルは、血漿サンプルである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記血漿サンプルは、多血小板血漿サンプルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記密閉容器は、真空管で構成される、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記真空管は、完全吸込み真空管及び部分吸込み真空管から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
流体サンプル中の血小板凝集度を測定するキットであって、前記キットは、請求項1記載の前記サンプル抽出器具と、血小板凝集度を測定する試薬とを含む、キット。
【請求項25】
サンプル収集容器を更に含む、請求項24記載のキット。
【請求項26】
前記サンプル収集容器は、真空管である、請求項25記載のキット。
【請求項27】
前記真空管は、完全吸込み真空管及び部分吸込み真空管から選択される、請求項26記載のキット。
【請求項28】
血小板凝集度を測定する前記試薬は、粒子上に不動化されたGPIIb/IIIaレセプターリガンドを含む、請求項24記載のキット。
【請求項29】
前記流体サンプルのpH及び塩濃度を血小板凝集に適した範囲内に維持する抗凝固薬及び緩衝液を更に含む、請求項28記載のキット。
【請求項30】
前記GPIIb/IIIaレセプターリガンドは、フィブリノーゲン、単クローン抗体10E5、単クローン抗体c7E3、フォンウルブランド因子、フィブリネクチン、ビトロネクチン、アルギニン‐グリシン‐アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド及びRGD配列を模倣したペプチド又はペプチドミメチックから成る群から選択された物質を含む、請求項28記載のキット。
【請求項31】
前記GPIIb/IIIaレセプターリガンドは、フィブリノーゲンを含む、請求項28記載のキット。
【請求項32】
前記サンプル抽出器具は、1回使用器具である、請求項24記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−523078(P2011−523078A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513608(P2011−513608)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/046616
【国際公開番号】WO2009/152094
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(507354611)アキュメトリックス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】