説明

寝袋

【課題】寝袋の外側に出たユーザの頭部、腕、および/または胴体のために快適で柔らかいクッションを提供する。
【解決手段】頭部(22)を有する袋(10)と、該袋の外側を覆う外側カバー(46)と、前記袋(10)の内側に裏張りされており、前記袋(10)の前記頭部(22)から外側に延び、かつ、詰め物(50)を備える部位を有する内側ライナー(48)と、を備える。前記外側に延びる部位は、前記外側カバー(46)の外側部位に取り付けられていることが好ましく、また、前記外側に延びる部位は、前記外側部位を2.54cm以上覆って延在することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝袋に関し、特に、収納と運搬のためにきつく巻き上げられる寝袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、寝袋は、キャンピングカーやテントなど、アウトドアで眠るため、暖かくなるように、ライナーが裏張りされ、または、パッドが詰められた袋状のものである。また、寝袋は例えば、外泊用に屋内で床の上に寝るために用いられ、あるいは、旅行の際の簡易ベッドとして用いられる場合もある。
【0003】
寝袋は、一般的に、寝袋の中で人がその上に横たわる下部と、その人を覆って延在する上部とを有する。多くの場合、前記上部および下部は、断熱材を備えまたはパッドが詰められた一枚の大きな長方形の布地を折り畳み、側縁および下縁を合わせて袋状に形成される。前記合わせは、一般的にはジッパーにより行われる。
【0004】
寝袋は、多くの場合、収納のために、折り畳んで丸められ、圧縮されたボール状にされる。長方形の寝袋の多くは、丸められた後、結びひも、圧縮ストラップ、または、弾性ストラップ等により括られ、または、他の方法で固定されることにより、収納時に広がってしまうことがないようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
寝袋を丸める際において、一旦寝袋を(例えば、長手方向に)折畳んでから丸めようとすると、合わせた寝袋の縁と縁とをずらさずに丸めることが難しいという問題がある。このため、多くのユーザにとって、運搬や収納のための確実な梱包を行うため、寝袋をきつく整った状態に丸めることが難しく感じられる。
【0006】
寝袋は、一般的に外側に粗いカバーを有し、内側にかなり柔らかい、例えば、フランネルなどのライナーを備える。カバーは、例えば、寝袋が地面の上やテントの中で使用される場合の摩耗に耐えるよう、耐久性に優れ、粗い素材により作られる。ライナーは、ユーザの体に触れるものであるため、一般的に柔らかい素材で作られる。このようなデザインのため、ユーザの頭部および腕が、しばしば寝袋の外に出て粗いカバーに触れ、不快を与えるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基本的な理解を図るため、本発明のいくつかの実施形態を簡略化した要約を、以下に示す。本要約は、本発明の広範な概略ではない。また、本要約は、本発明の主要かつ必須の要素を特定し、また、本発明の範囲を示すものでもない。本要約の唯一の目的は、後述するより詳細な説明に先立つものとして、本発明のいくつかの実施形態を簡略した形で示すことである。
【0008】
一実施形態によれば、収納のために、寝袋を巻き上げる際に、寝袋の複数部位を互いに合わせ留めるように構成され配置された、少なくとも一つの留め具を備える寝袋が提供される。前記留め具は、例えば、ループフックファスナー、ループトグルファスナー、クリップ、結びひも、または、他の適切な連結具である。使用に際し、ユーザが寝袋を丸めようとする時に、寝袋の各部位が折り畳まれ、一つの前記留め具または複数の留め具により、寝袋の前記各部位を互いに合わせ留める。この留め具は、巻き上げる際に各部位の位置決め状態を保持する。
【0009】
他の実施形態によれば、外側カバーと内側ライナーとを備える寝袋が提供される。内側ライナーは寝袋の内側に沿って延在し、寝袋の外側表面一部に露出する。一例としては、内側ライナーは、外側カバーを超えて延在する。外側カバーを超えて延在する内側ライナーの部位は、外側カバーの一部を覆うように裏返されて延在し、寝袋の頭部にクッションを形成する。この構成により、寝袋の外側に出たユーザの頭部、腕、および/または胴体のために快適で柔らかいクッションが提供される。
【0010】
本発明の他の特徴については、下記の各図面とともに後述する詳細な説明によって明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に示す説明において、本発明の種々の実施形態を説明する。説明を目的とし、実施形態の完全な理解のため、特定の構成および細部が記載される。しかしながら、当業者にとって、特定の細部が無くとも実施できることは明らかである。さらに、実施形態の記載を不明瞭にしないために、周知の特徴については省略または簡略化する場合がある。
【0012】
次に、図面を参照して説明する。各図面において、同一の部材については同一の符号を用いる。図1に、一実施形態に係る寝袋10を示す。寝袋10は、上部12および下部14を備える。右側縁部16および左側縁部18は、寝袋10の側部に沿って延在している。寝袋10は、脚部20および頭部22を備える。ジッパー24は、寝袋10の脚部20および右側縁部18に沿って延在するとともに、ジッパープル26を備える。
【0013】
寝袋10は、一般的な構成のものであって、図示の実施形態では、概して、上部12が下部14の上に折り畳まれ、上部12および下部14がジッパー24により連結されることで形成される長方形の袋である。また、図中の寝袋10は、折り畳んでジッパーで連結する構成となっているが、他の多くの構成も採用される。例えば、側縁沿いではなく、寝袋の上部または下部において連結する形状の袋であってもよい。さらに、袋は、折り畳んで縫い合わされたものなど、取り外せない方法で連結されたものであってもよい。上部12および下部14は、二つの異なる部材により形成し、その端縁同士を連結することにより寝袋を構成してもよい。さらに、長方形として示したが、寝袋は、マミー型、より正方形に近い形状、「ダブル」型など、いかなる形状であってもよい。
【0014】
一実施形態によれば、寝袋10は、収納のため、図4のように折り畳まれ、さらに巻き上げられる(読者の理解のために、一部を丸めた状態を図4に示した)。図示の実施形態は、長手方向に沿って折り畳まれる寝袋10であるが、他の方法で折り畳む実施形態もとりえる。限定しない例としては、3回または4回折り畳んだり、対角線に沿って折り畳んだり、幅方向および長手方向の両方に沿って折り畳むこともできる。
【0015】
一般的に、寝袋が折り畳まれ、折畳み線に対し直交する方向以外の方向に丸められる際には、寝袋の縁は外方向に動きやすい。なお、ここで用いられているように、「折畳み線に沿って」丸めるとは、折畳み線に対して直交する方向以外の方向に丸めることをいう。
【0016】
一実施形態によれば、寝袋10が折畳まれた後、寝袋10の各部位または層を互いに合わせた状態に保持するために一つ以上の留め具が提供される。概して、ここで用いられているように、「留め具」とは、寝袋の折り畳まれた部位を互いに合わせた状態に保持する装置のことをいう。そのため、留め具は、寝袋を折畳み線に沿って折り畳む際に、折り畳まれた部位を位置決めされた状態に保持する補助になりうる。(折畳み線とは、二つの部位または層の折畳みにより形成される線である。)そのため、留め具は、丸める際に折ら畳まれた寝袋の側縁が外方向に離れることを抑制する。このようにして、折畳み線に沿って丸める際に、ユーザが折り畳まれた寝袋の層を再度位置決めすることなく、所望の均等な幅で寝袋を丸めることが容易になる。
【0017】
留め具28の一実施形態が、図1〜図3に示されている。図示の実施形態では、二つの留め具28が寝袋に用いられるが、いかなる数を用いてもよく、一つであってもよい。各留め具28は、図2および図3によく示されているように、トグル30とループ32とを備えている。寝袋10が長手方向に沿って折り畳まれると、トグル30がループ32の中に入れられることにより、寝袋10の折ら畳まれた部位のうちの上側層が、寝袋10の折ら畳まれた部位のうちの下側層に対してロックされる。このようにして、図4の想像線で示したように、寝袋10を折畳み線に沿って丸めることができ、折り畳まれた部位のうちの上側層は、折り畳まれた部位のうちの下側層に対して、相対的にほんのわずかしか移動しない。図4に示した実施形態の折畳み線は、側縁部16、18に対して平行に延び、袋の巻上げ方向は、折畳み線に対して平行である。
【0018】
図示の実施形態では、留め具28は、寝袋10の略中央部と頭部とに配置されている。しかし、寝袋10の巻上げ方法に応じ、留め具28は寝袋10の脚部に配置したり、長手方向または幅方向に沿って、任意の位置に配置される。さらに、留め具28は一つのみでもよい。また、3個以上の留め具28を寝袋10の長手方向に沿って用いてもよい。
【0019】
図示の実施形態では、ループ32は寝袋の左側縁部16に位置し、トグルは右側縁部18であってジッパー近傍に位置している。トグルをジッパーの近傍に設けることにより、トグルをジッパー用のジッパーテープに取り付けることができる。これにより、構造上、強固に支持された状態でトグルを装着できる。しかし、留め具は、所望する寝袋の折畳み方に応じて、複数の異なる場所に配置し、取り付けてもよい。他の実施形態として、例えば、トグル30の一つをジッパープル26に対して取り付けるなど、留め具をジッパー24に取り付ける、または、留め具がそのジッパー24の一部を構成するようにしてもよい。
【0020】
留め具として使用可能な固定機構の他の例を図5および図6に示した。本実施形態では、留め具はクリップ40であり、寝袋10の一側縁に装着されている。この留め具は、寝袋10の折り畳まれる部位の布地または他の構造の一部に対して装着して使用してもよい(図6)。
【0021】
他の留め具を用いてもよい。例えば、寝袋が折り畳まれる際に寝袋の部位を互いに合わせた状態に保持する、結びひも、ベルクロ(Velcro;登録商標)のフックループファスナー、ボタン、スナップ、クリップ、クランプ、または、他の装置を用いることができる。また、図示の実施形態では、寝袋に対して装着されているが、他の実施形態として、寝袋に装着されず、寝袋を折り畳み、丸める際に取り付けられる留め具を有してもよい。
【0022】
図7に最もよく示されているように、一実施形態によれば、寝袋10は、上部12および下部14に沿って延在する外側カバー46を備える。さらに、寝袋10は、寝袋10の内側表面に沿って延在する内側ライナー48を備える。一実施形態によれば、内側ライナー48は、寝袋10の頭部22位置において外側カバー46の外側に延在する。図7に示した実施形態において、内側ライナー48は外側カバー46の端部を超えて延在し、寝袋10の長さとなるように、例えば、2.54cm(1inch)から15.24cm(6inch)、好ましくは10.16cm(4inch)分、脚部20へ向けて返されている。他の長さまたは幅のライナー素材を使用してもよい。図示の実施形態におけるライナー素材は、寝袋10の頭部22の周囲を取り囲んで延在しているが、例えば、寝袋10の上部12のみ等、頭部の一部の周囲に対してのみ延在していてもよい。
【0023】
内側ライナー48が外側カバー46の周囲に延在することで、一般的に耐久性が高く頑丈な素材により作られる外側カバー46により、寝袋10の外側に延在する内側ライナー48が支持される。しかし、他の実施形態では、内側ライナー48は単に外側カバー46の端を超えて延在し、内側ライナー48が寝袋10の端部に露出するようにしてもよい。
【0024】
内側ライナー48の素材は、柔らかい素材、例えば、フランネルや他の柔らかい布地とすることができる。一実施形態として、寝袋10の外側に延在する内側ライナー48は、充填材料が詰められた詰め物50を有し、外側カバー46の頭側端部を越え、または覆って延在することにより、寝袋10の頭側端部から伸びるユーザの四肢に対して快適さを提供する。
【0025】
他の実施形態についても本発明の思想の範囲内にある。すなわち、本発明は、種々の変形および代替構造をとり得るが、本発明の特定の実施形態を図示し、上記において詳細に説明した。しかし、本発明は上記で開示した形状に限定されるものではなく、逆に、添付の請求の範囲で定義される本発明の思想および範囲に収まるすべての変形、代替構造、および、同等の構成本発明に含まれると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】寝袋の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の寝袋に使用可能な留め具の一実施形態を示した詳細図である。
【図3】図2の留め具の閉位置を示した図である。
【図4】図1の寝袋であり、折畳まれて一部が丸められた状態を示した図である。
【図5】図1の寝袋に使用可能な留め具の他の実施形態について示した図である。
【図6】前記寝袋の一部に取り付けられた図5の留め具を示した図である。
【図7】図1の7−7線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 寝袋
12 上部
14 下部
16 右側縁部
18 左側縁部
20 脚部
22 頭部
24 ジッパー
30 トグル
32 ループ
40 クリップ
46 外側カバー
48 内側ライナー
50 詰め物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を有する袋と、
該袋の外側を覆う外側カバーと、
前記袋の内側に裏張りされており、前記袋の前記頭部から外側に延び、かつ、詰め物を備える部位を有する内側ライナーと、を備える寝袋。
【請求項2】
前記外側に延びる部位は、前記外側カバーの外側部位に取り付けられている請求項1に記載の寝袋。
【請求項3】
前記外側に延びる部位は、前記外側部位を2.54cm以上覆って延在する請求項1に記載の寝袋。
【請求項4】
前記外側に延びる部位は、前記外側部位を2.54cm〜15.24cmの範囲で覆って延在する請求項1に記載の寝袋。
【請求項5】
前記外側に延びる部位は、前記外側部位を10.16cm分、覆って延在する請求項1に記載の寝袋。
【請求項6】
前記外側に延びる部位は、前記頭部の周囲に延在する請求項1に記載の寝袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−247004(P2010−247004A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181474(P2010−181474)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【分割の表示】特願2006−533374(P2006−533374)の分割
【原出願日】平成16年5月25日(2004.5.25)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.