説明

寸法測定方法および寸法測定装置ならびに寸法測定処理プログラム

【課題】複数の信号を用いた高精度な寸法測定を実現することを可能にする。
【解決手段】本実施形態は、走査顕微鏡を用いて対象物の寸法測定を行う寸法測定方法であって、前記対象物の測定に関する始点および終点となる測長点を定義する工程と、前記対象物にビームを入射して走査することにより、同時刻における前記対象物からの複数の信号を検出する工程と、前記対象物の測長点の定義に基づいて、前記複数の信号から測長点を決定する工程と、前記対象物において決定された測長点の間の距離を算出する工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、寸法測定方法および寸法測定装置ならびに寸法測定処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope :SEM)、走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope :STEM)および透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope :TEM)による寸法測定は微細な構造を有する素子の開発、製造において広く用いられている。これは電子線の波長が光の波長よりはるかに小さいために空間分解能が高く、より微細な構造の寸法を正確に決定できるためである。
【0003】
素子微細化で必要になってくる1nmレベルの高精度の寸法測定にはSEMでは空間分解能が不足する。TEM,STEMは透過法であるためSEMより高分解能であり、さらに最近の球面収差の補正技術の実用化と普及により0.1nm近い分解能を有するものが製品化され、より微細で高精度な寸法測定が必要な場合に用いられるようになってきている。これらに加え、透過法である特徴として、内部の構造が反映されることもあり、微細かつ立体的に複雑な構造の寸法測定にはTEM,STEMの重要性が増しつつある。
【0004】
しかし、例えば測定対象が50nm以下に微細化された先端の素子などでは、TEM,STEMのための試料薄片も50nm以下に薄くする必要がある。特定位置における50nm以下の薄片に切り出すための加工は困難であり、所望の構造とならず、その結果、予想どおりの像が得られないことがある。また、所望の構造に切り出せた場合でも、50nm以下と試料が薄くなりすぎた場合は、入射ビームと試料の相互作用が小さくなり、得られる信号量が小さくなる。その結果、信号を画像化したものはコントラストが弱くなるという問題がある。また様々な新材料や新構造が導入されたことで、材料間の界面は複雑な積層となっていることも多く、ある信号による画像ではコントラストがつくが、もう一方の信号による画像ではコントラストがつかないという問題が発生することがある。
【0005】
また、X線やエネルギーロス電子による走査像は特定の元素を含む場合などに寸法測定に使用することが可能性として考えられる。しかし、これらの信号は試料中の広がりと、原理的な励起非局在性による広がりで空間分解能が劣化することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−52944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、従来のTEM,STEMでの寸法測定でコントラストや分解能、試料薄片の加工の問題などから寸法精度が要求どおり満たせないという問題がある。
【0008】
本発明の実施形態は、複数の信号を用いた高精度な寸法測定を実現することのできる寸法測定方法および寸法測定装置ならびに寸法測定処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態は、走査顕微鏡を用いて対象物の寸法測定を行う寸法測定方法であって、前記対象物の測定に関する始点および終点となる測長点を定義する工程と、前記対象物にビームを入射して走査することにより、同時刻における前記対象物からの複数の信号を検出する工程と、前記測長点の定義に基づいて、前記複数の信号から前記対象物の測長点を決定する工程と、前記対象物において決定された測長点の間の距離を算出する工程と、を備えていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】STEM装置で得られる各種の信号を示す模式図。
【図2】EELS,EF信号を検出するシステムの例を示す図。
【図3】HAADF信号とSE信号の表面での広がりの違いを示す図。
【図4】薄片試料とその境界領域を説明する図。
【図5】急峻な界面でも、信号が広がることを示す模式図。
【図6】第1実施形態の寸法測定方法の処理手順を示すフロー図。
【図7】第1実施形態の寸法測定方法を実行するための寸法測定装置。
【図8】厚さが変動する薄片試料の各信号例を示す図。
【図9】エネルギースペクトルの例とエネルギー選択領域を示す図。
【図10】厚さ変動の効果を抑える測長点の定義を説明する図。
【図11】始点と終点が異なる形態の界面で、HAADF信号のみでの寸法測定が困難な例を示す図。
【図12】始点と終点が異なる定義を必要とする場合の具体例を示す図。
【図13】始点と終点が異なる定義を必要とし、同じ材料の段差を含む具体例を示す図。
【図14】第2実施形態の寸法処理プログラムを実行するシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態によれば、走査顕微鏡を用いて対象物の寸法測定を行う寸法測定方法であって、前記対象物の測定に関する始点および終点となる測長点を定義する工程と、前記対象物にビームを入射して走査することにより、同時刻における前記対象物からの複数の信号を検出する工程と、前記測長点の定義に基づいて、前記複数の信号から前記対象物の測長点を決定する工程と、前記対象物において決定された測長点の間の距離を算出する工程と、を備えている。
【0012】
以下に、各実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図は発明の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。本明細書では実施形態として、電子線を入射ビームとして説明しているが、イオンビームその他の荷電粒子ビーム、粒子ビームに全く同様に適用することが可能である。
【0013】
(概要及び原理)
(SEM,STEMの説明)
実施形態の説明の前に各実施形態における原理に関わる走査顕微鏡法について説明する。走査顕微鏡法では粒子や素粒子等のプローブを測定対象に対して照射または相互作用させ、相互作用の結果、発生する粒子や素粒子を検出し、プローブを走査する各位置における、これらの検出信号の強度分布を輝度分布とした画像として表示する。
【0014】
走査電子顕微鏡法は入射プローブに収束された電子線を用いる方法である。狭義にはSEMは二次電子や反射電子など、電子プローブを走査した表面から放出される信号を主に検出する方式を意味する。
【0015】
STEMはSEMの一種であるが、狭義には薄片試料を用いて透過した電子、弾性散乱された電子を検出する方式を意味する。例えば、図1に示すように、薄片試料に電子ビーム(電子線)を入射したときに、この薄片試料を透過した電子、この薄片試料によって弾性散乱された電子がADF(Annular Dark-Field)検出器、BF(Bright-Field)検出器、またはEF(Energy Filtered)検出器によって検出される。更に、図1に示すように、SEM、またはSTEMは、エネルギーロス電子、二次電子、反射電子、特性X線、光、試料吸収電流、試料誘起電流等の信号が入射電子線の走査と同期して同時に取得することができる(例えば、R. F. Egerton: physical principles of electron microscopy, Springer)。
【0016】
以下の記述ではこのような様々な信号による像もSTEM像の1つとして説明する
(各信号の説明)
次に、STEM装置で取得可能な各種信号について説明する。前述の狭義のSTEMでの透過、散乱電子のうち入射プローブの収束角以内の範囲の透過電子を取り込んで取得した像を明視野(BF)像、収束角より大きい取り込み角範囲のものを暗視野(DF)像と呼ぶ。散乱された電子は円周上に広がるため、特定の散乱角領域を選択してすべて検出するには円環状の検出器を用いる必要がある。
【0017】
(ADF)
環状暗視野(ADF)信号はADF検出器を用いて得られ、形成された像はADF像またはADF−STEM像などと呼ばれる。
【0018】
(HAADF)
特に、高角に散乱された電子の場合、例えば200kVのSTEMの場合に、一般に50mrad程度以上の場合に高角ADF(HAADF)と呼ばれる。形成された走査像はHAADF像またはHAADF−STEM像などと呼ばれる。HAADF信号は単原子あたり原子番号Zの約2乗に比例するため、得られた像コントラストはZコントラストと呼ばれる。
【0019】
(BF)
BF信号は円板状の検出器によって検出され、散乱角が0度の透過電子を含む、散乱角が収束角より小さい範囲の開き角を取り込み角とした検出信号である。BF信号で形成される像は、入射電子の収束角度および透過、散乱電子の散乱角取り込み角度の両方に依存する。散乱角の取り込み角が収束角に近い程度、大きくなれば散乱、吸収コントラストとなり、小さければ干渉コントラストとなる。また、収束角が大きい場合はTEM像の多波干渉の高分解能TEM像(HRTEM像)に、小さい場合は明視野TEM像(BFTEM像)に相当する像が得られる。いずれも区別なくBF像またはBF−STEM像などと呼ばれることが多い。
【0020】
(MA−ADF、LA−ADF、ABF)
HAADFとBFの中間領域で各種の信号像が得られる。散乱角が小さいADF信号を中角度(middle-angle:MA)、低角度(Low angle: LA)のADFでそれぞれ、MAADF、LAADFと呼ばれる。高角度側はZコントラストの成分が、低角度では回折波を含むようになる。材料によってはこれらの信号成分が円環検出器の取り込み角度範囲によって、急激に変化するため、著しくコントラストが変化する。さらに、入射電子ビームの収束角より小さい範囲の円環状の検出を行う場合にはBF信号であるが円環検出を行うためにABF(annular bright field)と呼ばれることもある。
【0021】
(EF)
エネルギー選択(EF)信号は、例えば図2に示すように、薄片試料を透過、または散乱した電子をプリズムによってエネルギー分散させ、あるエネルギー領域のみの散乱強度を、複数個の検出器を有する検出部によって選択して、検出した、信号EF1、EF2、EF3の信号強度を像とする。これらの検出器はそれぞれ、選択し検出することのできるエネルギー領域が異なっている。このように、エネルギー選択して検出する検出器を複数個設置することで、同時に複数のエネルギー領域の信号を得ることが可能となる。例えば、材料Aおよび材料Bそれぞれにおいて、あるエネルギー領域のロスピークがある場合に、それらのエネルギー領域の検出信号EF1,EF2はそれぞれ材料Aおよび材料Bが存在する位置にて信号量が大きくなる。このため、それぞれのEF信号で走査像を形成すれば、それぞれの材料を強調するコントラストの像となる。EF信号を用いると、1つのコアロスピークについて2つのエネルギー領域の信号から2−window法、3つのエネルギー領域の信号から3−window法と呼ばれる計算で元素の定量的な計算像を形成することもできる(例えば、特開2001−148231号公報)。さらに、試料厚さの影響を抑制することができる(例えば、特開2003−329618号公報)。
【0022】
STEM装置においては、透過した電子以外の信号も各種発生する。それらの信号をそれぞれ入射電子線と同期して像を形成できる。例えば、二次電子(secondary electron :SE)信号、後方反射電子(back scattering electron :BSE)信号は試料の表面から二次的に発生、または反射した信号を検出する。SE信号を走査して得られる像は主に試料の表面構造を反映したコントラストが得られる。また、X線信号、光信号は試料に電子線が入射し、内殻電子や価電子を励起した結果発生する特性X線や光を固体検出器等で検出する。走査と同期して得られたスペクトルをある波長領域を選択して強度をマッピングする等の処理をすることで像が得られる。また、吸収放出電流は薄片試料に入射電子線が吸収または放出される電流量を信号とすることで像が得られる。電子線誘起電流(electron beam induced current :EBIC)信号は電子線により誘起される電子ホール対に起因する電流、電圧を信号として像が得られる。
【0023】
(薄片試料の構造)
薄片試料は、TEM,STEMにおいては、観察面に対して垂直な電子線が入射する。一般に、薄片試料は、電子線の透過する方向に約100nm以下に薄くする必要がある。電子線の透過率や散乱確率は薄片試料の厚さに依存する。よって取り込み散乱角度やエネルギーといった測定信号の取得条件のみならず薄片試料の厚さや表面の加工状態等が、検出される信号に影響を与える。寸法測定にもこれらを考慮する必要がある。
【0024】
(HAADFの問題点)
次に、HAADFの問題点について説明する。前述のようにHAADF信号は均一な試料の厚さを仮定すれば、原子番号Zと原子密度Nを反映したいわゆるZコントラストが得られる。原子番号や原子密度の差が大きい材料間の急峻な界面では明瞭にコントラストがつき、容易に界面位置を決定可能である。しかし100nm以下の厚さの薄片試料では試料の厚さに対してHAAADF信号強度はほぼ比例する。このため、試料厚さが測定対象領域内で変化している場合はHAADF信号のみでは厚さ変化と材料変化の区別はつかないことがある。また、原子番号と密度のバランスが近い物質ではほとんどコントラストがつかず界面決定が困難となることもある。例として、半導体素子に使用される代表的な材料としてSi,SiO,Siが挙げられる。これらは同じ試料厚さでありかつすべて非晶質であると仮定すると、HAADF信号ではSi>Si>SiOの順に信号強度が強い。それに対してSiOではSiとSiOの中間的な強度の信号のため、Siとほぼ同等の信号強度となりSiOとSiでほとんどコントラストがつかないケースがある。
【0025】
(EF信号の問題点)
次に、EF信号の問題点を説明する。EELS法を応用したエネルギー選択(EF)信号では、薄片試料内が同じ物質である場合には、ゼロロス信号とローロス信号の比から薄片試料の厚さの変化を検出できる(例えば、R. F. Egerton: Electron Energy-Loss Spectroscopy in the Electron Microscope, Plenum Press参照)。しかし、物質が異なる場合には散乱の平均自由行程が異なるために、厚さの変化なのか、物質の変化なのかが判別できなくなるという問題がある。またEF信号の像はエネルギーロスの過程で原理的な広がり(非局在励起)をもつ。その結果、同時に取得したHAADF像などに比べ空間分解能が低くなることが知られている。
【0026】
上述した特開2001−148231号公報のように、EF信号の像を同時に取得する装置も存在し、同時に実時間で検出するメリットが記述されている。しかし各信号の性質の違いによる寸法測定結果の乖離などに対して問題が考慮されなければ、現実の測長点の決定の過程に適用することができない。
【0027】
このようにHAADF信号とEF信号など異なる物理的性質を持った複数の信号の特徴を利用すれば、従来困難だったコントラストが弱い系や、原理の限界に近い精度が求められるような系でより高精度な寸法計測を実現できることが予想される。しかし、具体的に寸法測定に応用する方法が本願以前においては、確立されていなかった。
【0028】
(寸法測定位置=測長点定義の必要性)
寸法測定の測長点の位置を、ある材料間の界面における信号強度の変化の中間の大きさ(50%閾値)で決定するとした場合に、HAADF信号とSE信号、EF信号では信号の輝度差の半値に減少する、または増加する位置は必ずしも一致しない。
【0029】
例としては、図3に示すように、測定対象の材料Aの端面が真空(材料が何もない空間)と接している場合、材料Aに電子線を入射したときに得られるSE信号はHAADF信号を比べると、SEはHAADFより広がりが大きく、かついわゆるエッジ効果により試料端付近で強い強度を持つプロファイルとなり、両者の強度プロファイルは形状、広がりが大きく異なる。このように、同位置であっても異なる強度プロファイルをもつ各信号に対して同じ基準で表面位置を決定すれば誤差が生じることは容易にわかる。
【0030】
また、例えばEF信号はある材料の含有量等に依存するため、原子番号と密度に依存するHAADF信号と逆転した強度プロファイルを示す。さらにプロファイルの広がり方はエネルギー領域にもよるが、一般にHAADFより広がる。
【0031】
複数の信号を1つの対象の寸法決定に使用するためには、相互の信号の特性を考慮した基準に基づいて測長点を決定しなければならない。即ち測長点を定義する必要がある。
【0032】
(寸法測定と境界位置決定)
寸法測定は、対象となる試料の表面や端面などの境界位置を始点、終点、すなわち測長点として決定して、それらの距離を算出することで行われる。基準となる測長点の定義は任意性があるが、従来の寸法測定では一旦決めた測長位置の定義を暗黙のうちに始点、終点二つの測長点で同じように適用して寸法測定を行っていた。例えば、SEMの寸法測定では測定対象の周囲が真空の場合、輝度が輝度差の80%程度に落ち込む位置を測長点とみなすことが多い。これはSEMのエッジ効果によって端のほうで輝度が強く像が広がって見えていることを考慮すれば、50%の閾値の地点では真値より大きく見積もってしまうが、80%程度の地点が真値に近い値が得られることが理論的、または経験的に分かっているためである。この基準は両測長点に暗黙のうちに同等に適用される。測長点の定義にはそのほか輝度プロファイル微分やプロファイルの傾きに注目する方法や、2回微分や変曲点に注目する方法、プロファイルを平滑化して決定する方法など多種考案されている。さらに画像全体を画像処理した後に寸法測定する方法などがあり、測定条件や測定装置の特性に従って最も真値に近い、もしくは繰り返し再現性のよいなどの基準で決められる。しかしいずれも1つの信号に対して一旦決めた測長点の定義は全ての境界に暗黙のうちに同等に適用されてきた。また複数の信号を同時に用いられることもなかった。
【0033】
本実施形態では、寸法測定の始点と終点となる測長点の定義は任意性があることを予め考慮し、寸法測定の対象や目的ごとに適切な信号を組み合わせて測長点の定義を行う。複数の信号を使用するため、定義にはそれぞれの信号の特性を考慮する必要がある。またそれぞれの測長点の定義は必ずしも真値に近い値を求めるための定義とも限らない。ある測長点では信号強度がより強い信号を用いることで、ばらつきが少なく繰り返し再現性のより高い定義を採用することもある。また距離を測定するには最低限二つの測長点を決定する必要があるが、二つがそれぞれ別の信号、別の定義によって決定された測長点間の距離を寸法値とすることもある。さらに複数積層の構造を一度に寸法測定する場合は、3つ以上の測長点をそれぞれ別に定義することもある。
【0034】
(複数の信号の同時、同位置測定)
本実施形態のもう1つの特徴として、複数の信号にて高精度な寸法測定を行うための方法として、寸法測定に使用する複数の信号が全く同時に同位置で得られた信号を用いることである。このことは、複数の信号にまたがって、信号を処理、比較する上での位置ずれは全くないことを保証する。さらに入射ビームの変動、または測定対象のビームによる変質等含めた時間的な変化も全く同一時刻である。よって複数の信号間で同じ瞬間の状態を測定していることも保証する。仮に、複数の信号を用いて、同時ではなく異なる時間で同じ測定対象の寸法測定を行うと、測定ごとの時間的なずれがそのまま測定精度に反映される。このため、複数の信号を用いて、異なる時間で1nm以下の精度での寸法測定は、現実的に不可能になる。薄片試料のドリフト、電子ビームのふらつきなどから、一般に、薄片試料の位置ずれは、1分間あたり1nm程度は不可避で起こる。一般に、STEMの測定が数十秒から数分程度であることから、別々の時間で測定した結果で、1nm以下の位置精度を保証することは困難である。
【0035】
(寸法校正)
走査顕微鏡法における寸法測定において、取得された像の正確な走査位置を求めることは寸法校正に相当するため、重要である。本実施形態では複数の信号を使用するが、各信号は全く同じ位置で取得されるため、信号間はすべて同じ走査位置に対応する。よってどの信号の像で寸法校正を行ってもよく、方法としては公知のどのような寸法校正法でも適用可能である。人工的な周期構造を用いた方法や、結晶格子の周期を利用する方法などがある。信号間に像としての空間分解能の違いがある場合は、より空間分解能の高い信号による校正結果を、空間分解能の低い信号にも同等に適用することで、より高精度な寸法校正が可能となる。
【0036】
(測長点と境界領域の説明)
次に、寸法測定の測長点について説明する。本例では図4に示すように測長点を定義する何らかの境界領域そのものにも有限の厚さがあることを仮定して説明するが、急峻な界面は境界領域の厚さが0の極限として考えればよい。境界領域は薄片試料の厚さ変化や段差であったり、組成の傾斜であったり、または混合状態であったりする。例えば、領域A,領域Bは同じ材料であっても、厚さが変化する場所、段差が発生している場所などは境界とみなすことができる。領域Bは何もない空間の場合には、境界は表面ということになる。このような何かの変化が生じる場所に測長点の始点、および終点を置き、それらの距離を算出(測長)することで寸法測定は行われる。本実施形態の寸法測定方法では測長点を定義する手順が含まれるが、急峻な界面では、真の界面に最も近い位置になるように測長点の定義とすることが好ましい。しかし有限な境界の中ではどの位置が界面として正しいということはなく、測長点を定義する手順はどの位置を界面とみなすかを決める手順と考えることができる。
【0037】
(信号プロファイルの広がり、各信号での違い)
図5に示すように、材料Aと材料Bとが接していて急峻な境界領域が存在するとしても、1nm以下の精度が求められる場合、入射ビームの広がり、測定系の安定性などによって、広がった信号プロファイルとなる。さらに、検出信号ごとの物質中での広がり、透過、散乱のされ方によってそれぞれその広がり方も異なるため輝度プロファイルは違ってくる。よってそれぞれの信号の特徴を考慮して境界領域での測長点の定義を行う必要がある。本実施形態ではこの性質の違いをむしろ積極的に応用して、より確からしい、またはより繰り返し再現性に優れた寸法測定の方法を提供する。
【0038】
(TEMのEF法)
本願の対象とする走査顕微鏡ではないが、TEMを用いて、EF法にて元素分布を得ることができる。しかし、エネルギー選択領域ごとのEF像、またTEM像は別々のタイミングで取得する必要があるため、完全に同位置、同時間にすることはできない。また、TEMではエネルギーロスした透過、散乱電子も対物レンズで拡大して結像するため、レンズの収差による分解能低下などの影響を受けるデメリットがある。
【0039】
(第1実施形態)
第1実施形態による寸法測定方法の手順を図6に示す。初めに、測長点の定義を行う(図6の51)。これは始点、終点にそれぞれ異なる定義を用いてもよい。次に、複数の信号の同時測定を行う(図6の52)。なお、測長点の定義は、複数の信号の同時測定を行った後に行ってもよい。次に、定義に従って測長点を決定する(図6の53)。最後に測長点間の距離を寸法値として算出する(図6の54)。
第1実施形態の寸法測定方法を実施するための寸法測定装置の一例を図7に示す。この寸法測定装置は、STEMを用いて行い、STEM本体部100と、制御部120とを備えている。STEM本体部100には、電子ビームを発生するビーム発生部101が設けられている。このビーム発生部101から発生された電子ビームは、ビーム偏向部102から発生される電磁界によって偏向され、対物レンズ103を介して薄片試料200の所定位置に収束されるように照射される。なお、偏向のための電磁界は、制御装置120のビーム走査制御部122から送られてくる電流もしくは電圧によって制御される。電子ビームが薄片試料200に入射すると様々な散乱や励起が発生する。これらは検出部108の複数(図では3個)の検出器108a、108b、108cによって検出される。すなわち、本実施形態においては、試料200から同時にかつ同一位置において発生した散乱や励起の複数の信号が、複数の検出器108a、108b、108cによって検出される。
【0040】
薄片試料200における同一位置でかつ同時に検出された複数の信号は、制御部120のアナログ信号処理部124に送られる。そして、アナログ信号処理部124でデジタル信号に変換(AD変換)される。この信号データは中央制御部129で処理されメモリ127に送られて記憶される。このメモリ127に記憶されるデータは、測定条件(測定位置)、検出された複数の信号に対応する信号データであり、測定条件(測定位置)とともに保存される。このように、電子ビームを走査する位置ごとに同時に得られた複数の信号に対応する、メモリ127に保存された信号強度分布を表すデータは、デジタル信号処理部126によって画像(輝度データ)化されることで、各種の信号の像が得られ、モニター125にそれぞれの像として表示することもできる。寸法測定処理部128では、メモリ127に保存された測定データ、信号分布を、測長点の定義どおりに処理し、測長点の位置を決定し、寸法測定を行う。信号の演算は回路で行ってもよい。また複数信号間の演算結果の強度分布もデジタル信号処理部126で輝度データに変換し画像化できる。寸法の校正は複数信号のいずれかの画像内に寸法基準がある場合は別途行ってもよい。
【0041】
以下に本実施形態の実施例について説明する。
【0042】
(実施例1)
この実施例1は、測定対象物が厚さに変動のある場合である。図8(a)に示すように、薄片試料200が第1材料201と、この第1材料201と異なる第2材料202を有し、第1材料201から第2材料202に向かって、薄片試料200の断面が小さくなる形状を有しているとする。すなわち、薄片試料200の厚さが測長点となる位置でも変化する形状であるとする。例えば、第1材料201が非晶質Si、第2材料202が非晶質SiOの場合に、同じ厚さであれば、HAADF信号強度は、第1材料201に関する信号強度が第2材料202に関する信号強度よりも大きくなる。しかし、実施例1に用いた材料のように、第1材料201の厚さが第2材料の厚さよりも大きくなっている場合には、HAADF信号強度に厚さの効果を重畳し、単純な基準の信号強度では測長点を決定できない。
【0043】
上述したように、実施例1では、薄片試料200に電子ビームを入射したときに検出されるHAADF信号は、図8(b)に示すように、厚さに応じて信号量が変化する。このため、例えば第1材料201、第2材料202の輝度差の50%で判断しようにも、厚さ変化に従い輝度が変化するため、輝度差の基準となるような位置がなく決定不可能である。
【0044】
コアロスのEF信号を使用し、厚さによるartifactや回折効果の影響を受けにくい元素分布算出方法が知られている。しかし、コアロスEF信号は一般に信号量が少ないことに加え、所望の元素が検出できない場合がある。それに比較してゼロロスEF信号、およびローロスEF信号はどの材料でも検出可能で、かつHAADF信号などと同じレベルの十分な信号量(S/N)が同時に得られる。よって本実施例の方法で、ゼロロスやローロスのEF信号を使用することが有効である。
【0045】
本実施例では、図8(c)および図8(d)にそれぞれ示す、EF信号のうちゼロロス信号およびローロス信号を同時に取得し、これらから算出される厚さに比例する項によって、HAADF信号を、デジタル信号処理部126によって規格化する。そして、この規格化されたHAADF信号の変化量が50%の位置を境界位置と定義することで、薄片厚さが均一な場合と同じように測長点を定義して、厚さの変動量によらず決定できる。これを以下に説明する。
【0046】
図9に示すように、ゼロロス領域をEF1、その信号強度をIEF1(x)、ローロス領域をEF2、その信号強度をIEF2(x)とした場合に、薄片試料200の厚さt(x)は近似的に、次の式(1)によって求められる。
【数1】

【0047】
すなわち、t(x)はlog(1+IEF2(x)/IEF1(x))に比例する。図8(a)に示す薄片試料200に対するlog(1+IEF2(x)/IEF1(x))の波形を図10(b)に示す。よって、薄片試料200の厚さに、HAADF信号IHAADF(x)がほぼ比例する薄片領域では、次の式(2)を用いて規格化する。
【数2】

【0048】
このように、HAADF信号IHAADF(x)が薄片試料200の厚さt(x)で規格化され、この規格されたHAADF信号I’HAADF(x)は薄片試料200の厚さに依存しない信号となる(図10(a))。
【0049】
なお、式(1)の誤差が大きくなるような厚い領域については、より精度の高い補正式が必要になるが、そのような厚い領域では厚さの変動そのものが信号の変動の誤差程度になってしまうので実用的には式(2)で十分である。
【0050】
(実施例2)
実施例2は、両測長点が異なる材料の場合である。例えば、図11に示すように、材料A,B,Cの各境界A/BおよびB/Cが存在する場合に、A/B境界は第1信号、B/C境界は第2信号での境界決定が有効な場合は、それぞれの有効な信号で境界決定することとする。なお、第1信号と第2信号では材料間の信号変動の割合が異なる場合がある。 具体的には、前述したようにHAADF信号の強度はSi>Si>SiOである。しかし、SiOのHAADF信号の強度がほぼSiのHAADF信号の強度に等しくなる図12に示すような場合は、HAADF信号ではコントラストがつかない。しかし、例えば特開2001−148231号公報に記載されているような公知方法を用いて、O(酸素)の元素分布をEF信号の3つのwindowから算出することで、酸素の分布としてSiO/Si界面のコントラストが付き、測長点を定義することができる。Si/SiO界面もO分布でも定義できるが、片側の界面だけでも信号量が多く、かつ空間分解能に優れるHAADF信号で定義したほうが、繰り返し再現性、寸法校正精度が高くなる。例えば、HAADF信号では、0.1nm以下の空間分解能が達成されるが、EF像の場合は、非弾性散乱の非局在性が影響する。すなわち、像としては空間分解能が劣化する。取り込み角度にも依るが、典型的にはローロス領域(10eV〜50eV)で0.5nm〜1nm程度、コアロス領域では例えば炭素のK端(283eV)で0.3nm程度広がる。
【0051】
図13に示す例では、HAADF信号を用いると、A(材料A)/B(材料B)界面で材料間のZコントラスト差でコントラストがつく。しかし、B(材料B)/C(材料B)界面では段差があっても材料と厚さが同じであるためにコントラストがつかない。それに対しSE信号は表面の形状に敏感なため、同じ材料間であっても段差のある境界ではコントラストが付く。よって、A/B界面はHAADF信号の50%位置で測長点を定義し、B/C界面はSE信号の極大値で測長点を定義するとよい。よって、最終的に得られる測長値はこれら別々の定義から得られた測長点間の距離となる。このように異なる定義の測長点を用いることも本実施形態の特徴である。この場合より確からしい寸法測定を行うためには、段差がありかつ材料が変化する界面などで、同位置で取得されたHAADF信号とSE信号の変化を把握すればよい。これによりHAADF信号の定義での測長点とSE信号での測長点の関係がわかる。この場合は例えばHAADF信号の変化量を基準にしてSE信号で測長点を定義し決定すればよい。
【0052】
このように、測定対象によっては、測長点を定義するために適切な信号を選択する必要がある。この選択は、図6に示す51の処理手順で予め定義しておく。この選択は、試料の材料や構造に基づいた好適な測長点の定義を予めデータベースに記録し、そのデータベースを参照して図7に示す寸法測定装置に入力されるようにすることで自動的に決定することができる。また、人が図7に示す寸法測定装置に入力することもできる。その後、図6の52に示すように、図7に示す寸法測定装置を用いて、測定対象(薄片試料)の同位置における複数の信号を同時に検出する。この検出された複数の信号はそれぞれ、アナログ信号処理部124によってA/D変換されて輝度データになり、メモリ127に保存される。そして、各位置に対して複数の信号が同時に測定され変換された輝度データはメモリ127に保存される。メモリ127に保存された輝度分布を表すデータは、デジタル信号処理部126によって画像化され、各種の信号の像が得られる。寸法測定処理部128は、メモリ127に保存された測定データ、信号分布を、測長点の定義どおりに処理し、測長点の位置を決定し、寸法測定を行う(図6の53、54)。
【0053】
(プラズモンロスの利用、寸法校正)
前述のHAADF信号でコントラストが付きにくい領域で元素分布像を使用する方法においては、プラズモンロスのエネルギーが異なる材料界面での寸法測定に対してEF法でローロス領域のプラズモンロスによるコントラストを使う方法も有効である。ただしプラズモンロスによる像は前述のように非局在励起が起きて空間分解能が悪くなってしまうことが指摘されている。この場合には、コントラストの付き易いEF信号で測長点を定義して、寸法校正は空間分解能の高いHAADF信号の像によって(例えば、HAADF信号の像では結晶部分で原子列の格子像が観察可能なため、格子定数で校正可能)行えば、より高精度な寸法測定を行うことが可能となる。
【0054】
(同時のメリット)
別々のタイミングで測定された複数信号では、前述のように位置精度が保てない。しかし、装置的な制限などで、必ずしもすべての信号を同時に取得できない場合もある。例えば、図1に示すように、BF信号とEF信号を切り替えて検出する構成の場合に、これらは同時に検出することができない。
【0055】
電子線によるダメージや変質などが問題にならない場合は信号A,信号Bを同時に、信号A,信号Cを同時に測定し、後ほど、信号Aにてパターンマッチングなどで位置補正を行えば、同位置と見なすことができる。よって位置補正されたB,Cの像を比較し測長点を決定することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の信号を用いた高精度な寸法測定を実現することの可能な寸法測定方法および装置を得ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態による寸法測定処理プログラムについて説明する。上記第1実施形態においては、図6に示す52乃至54に示す手順は、図7に示す寸法測定装置の制御部120によって行っていた。第2実施形態では、図6に示す51乃至54に示す処理手順は、ソフト、すなわちプログラムで行うものである。このプログラムは、記録媒体(例えば、CD−ROM、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスクや、フロッピーディスク、メモリカード、USBメモリ等)に記録される。
【0057】
この記録は次のようにして行われる。まず図14に示すようにコンピュータ80を起動し、記録媒体を記録装置(図14においてはFDドライブ81またはCD−ROMドライブ82)にセットする。続いて入力手段(例えばキーボー85)を用いて、例えば第1実施形態の場合は図6に示す手順51乃至手順54までの処理手順をプログラムとして順次入力する。するとこの入力されたプログラムはコンピュータ80のCPU(図示せず)によって、記録媒体に書込まれる。この書込み際には表示装置86を利用すると便利である。
【0058】
このような記録媒体に記録された寸法測定処理手順を実行する場合について説明する。まず寸法測定処理手順がプログラムとして記録された記録媒体を読取り装置(図14ではFDドライブ81またはCD−ROMドライブ82)にセットする。続いて上記読取り装置に接続されたコンピュータ80のCPUによって上記記録媒体から上記プログラムが順次、読出されて図7に示す寸法測定装置70に送られ実行される。なお、上記プログラムを実行する前に、入力手段によって、図6の手順51に示す測長点の定義が入力される。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
100 STEM本体
101 ビーム発生部
102 ビーム偏向部
103 対物レンズ
108 検出部
108a、108b、108c 検出器
120 制御部
122 ビーム走査制御部
124 アナログ信号処理部
125 モニター
126 デジタル信号処理部
127 メモリ
128 寸法測定処理部
129 中央制御部
200 薄片試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査顕微鏡を用いて対象物の寸法測定を行う寸法測定方法であって、
前記対象物の測定に関する始点および終点となる測長点を定義する工程と、
前記対象物にビームを入射して走査することにより、同時刻における前記対象物からの複数の信号を検出する工程と、
前記測長点の定義に基づいて、前記複数の信号から前記対象物の測長点を決定する工程と、
前記対象物において決定された測長点の間の距離を算出する工程と、
を備えていることを特徴とする寸法測定方法。
【請求項2】
前記測長点の定義は、前記複数の信号の中から前記対象物に応じた信号を選択し、この選択した信号を用いて定義することを特徴とする請求項1記載の寸法測定方法。
【請求項3】
前記複数の信号は、エネルギー選択された透過ビーム、散乱ビームの信号を含むことを特徴とする請求項1または2記載の寸法測定方法。
【請求項4】
前記測長点を決定する工程は、前記対象物の構造または材料が変化する位置を前記始点および前記終点とする場合に、それぞれ異なる定義を用いて決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の寸法測定方法。
【請求項5】
前記複数の信号の中で、より寸法校正精度の高い信号を用いて寸法校正を行う工程を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の寸法測定方法。
【請求項6】
前記測長点を決定する工程は、同時に取得される複数の信号を用いて、前記複数の信号のうちの少なくとも1つの信号を規格化し、この規格化された信号を用いて前記測長点を決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の寸法測定方法。
【請求項7】
ビームを発生するビーム発生部と、
前記ビームを偏向させるビーム偏向部と、
偏向された前記ビームを対象物の走査面に収束させる対物レンズと、
前記ビームが前記対象物の走査面に照射されるように、前記ビーム偏向部に制御信号を送り制御する制御部と、
前記ビームが前記対象物に照射された際に同時刻における複数の信号を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された複数の信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部によって処理された信号を用いて、前記対象物の測長点を決定し、決定された測長点間の距離を測定する寸法測定部と、
を備えていることを特徴とする寸法測定装置。
【請求項8】
走査顕微鏡を用いて対象物の寸法測定を行う寸法測定処理プログラムであって、
前記対象物の測定に関する始点および終点となる測長点を定義する手順と、
前記対象物にビームを入射して走査することにより、同時刻における前記対象物からの複数の信号を検出する手順と、
前記測長点の定義に基づいて、前記複数の信号から前記対象物の測長点を決定する手順と、
前記対象物において決定された測長点の間の距離を算出する手順と、
を備えていることを特徴とする寸法測定処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−68197(P2012−68197A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215132(P2010−215132)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】